宇宙の小石
題材:未来,
以下はWikipediaより引用
要約
『宇宙の小石』(うちゅうのこいし、Pebble in the Sky )は、アイザック・アシモフのSF小説。
概要
アシモフの最初の長編作品で、「ファウンデーションシリーズ」に繋がる小説群の1つ。『暗黒星雲のかなたに』や『宇宙気流』と共に、ファウンデーション宇宙史の一部であるアシモフの銀河帝国シリーズを型作っている。なおタイトルの「宇宙の小石」とは、人類発祥の地だということが忘れ去られてちっぽけな存在となってしまった地球の比喩である。
原型はある雑誌の依頼で描かれた中編『我と共に老いよ(Grow Old With Me)』であり、編集方針の変更により採用されずお蔵入りになっていたのを、友人のフレデリック・ポールが出版社のダブルデイ社に紹介、長編化の依頼を受ける事になった。
あらすじ
主人公のジョゼフ・シュワーツは、1949年にアメリカのシカゴで余生を送る洋服屋の隠居。彼が散歩中、近くにあった核物理研究所のプルトニウム実験の余波を受け、次元の断層を通り、別の世界(実は未来の地球。アーヴァダンの推定では5万年後だが後のアシモフの小説群からの計算では8000年後)へ飛ばされてしまう。
突然の環境の変化にパニックとなり、言葉も通じず狼狽する彼は、その世界の人間からは痴呆として扱われる。そのため彼は哺乳類の知能を増大させる装置『シナプシファイアー』の実験台にされ、とてつもない知能とある特殊能力を得てしまう。そのおかげでたちまち彼らの言葉を理解できるようになった主人公は、そこが放射能に汚染された未来の地球であることを知る。この時代の地球では、放射能汚染の影響で食料生産能力が低いため、人口抑制政策として地球市民は(一部の例外を除き)60才になると安楽死させられることになっていた。
彼がたどり着いた時代では人類は銀河宇宙に進出し、広大な銀河帝国を形成していたが、放射能にまみれた辺境惑星として地球は蔑まれ、人類のルーツの惑星であった事は忘却の彼方に置き去られており、地球側はそれを恨んでいる状況だった。そんなおり、強力な細菌兵器を持ち銀河帝国の撃滅を企む狂信集団「古代教団」と、その計画を知った考古学者ベル・アーヴァダンとの対立に、シュワーツは否応なしに巻き込まれてしまう。シナプシファイアーによって得た能力を使って、シュワーツは単身で古代教団の野望に挑む。
登場人物
史実との類比
本書におけるトランター支配下の地球はあきらかにローマ帝国支配下のユダヤ属州になぞらえられている。トランターに対し反乱を企図する狂信者は、西暦66年にユダヤ戦争を引き起こした熱心党 (Zealots) がモデルである。これは本書の後の時代にあたるファウンデーションシリーズにおけるトランターがローマ帝国の衰亡をなぞっていることと軌を一にしている。この史実に対するアシモフの態度は狂信者が悪役として描かれていることから明らかである。この反乱を未然に防ぎ、ユダヤ戦争におけるエルサレム神殿の破壊のような悲劇が繰り返されることを食い止めたジョセフ・シュワーツが明らかにユダヤ人であることは特記に価する。
書誌情報
- 『宇宙の小石』 沼沢洽治 訳、創元SF文庫 1972年、ISBN 4-488-60405-6
- 『宇宙の小石』 高橋豊 訳、ハヤカワ文庫SF 1984年9月、ISBN 4-15-010577-4