宇宙英雄物語
以下はWikipediaより引用
要約
『宇宙英雄物語』(うちゅうえいゆうものがたり、THE FUTURE-RETRO HERO STORY)は、伊東岳彦による日本の漫画作品。伊東の連載デビュー作である。角川書店『月刊コミックコンプ』において、1988年から1992年まで連載されていたが、角川書店の分裂の際に未完結のまま中断。1995年に集英社『ウルトラジャンプ』で再開され、1996年まで連載された。また、伊東岳彦個人の同人誌において番外編が展開されている。
概要
魔法やエーテルの存在する異世界『真なる太陽系』から来た祖父を持つ主人公が、宇宙船“星詠み(フォーチュナー)号”を受け継いで祖父の生まれた世界で悪と戦うファンタジー・スペースオペラで、全編がドタバタコメディで展開される。エドモンド・ハミルトンのSF小説『キャプテン・フューチャー』シリーズへのオマージュ作品であり、往年のスペースオペラ作品のパロディが随所にちりばめられている。
単行本は角川書店コンプコミックスで5巻まで発売された時点で連載が中断し、予定されていた6巻の発売も中止された。連載中断から3年後(コンプコミックス5巻の発売からは4年後)、集英社ホームコミックスで全8巻が発売され完結、その後2003年~2004年にホーム社漫画文庫でディレクターズカット版と称して全5巻が発売された。
イメージアルバムが1989年と1991年に発売。また、ラジオドラマが1992年から1993年にかけて全26話オンエアされた。CDは全て廃盤となっている。
OVA化予定でパイロット版も制作されていたが、角川書店の分裂に伴う連載中断に伴い本作の放送及び公開は実現しなかった。ラジオドラマ版は2度目のOVA化企画とのメディアミックスだったため、OVA化予定だった原作中盤のエピソードがカットされていて、OVAを見ることでストーリーが補完出来る予定だった。
『月刊コミックコンプ』での連載よりも前に、BLACK POINT名義で「数多の星より大切な…」と言う本作のプロローグに当たる作品が、『C-LIVE 4』(夢元社発行、東京創元社発売)に掲載されており、長編作品となる本編は描き下ろしで刊行される予定だったが、『C-LIVE 5』発行後に夢元社が倒産したため実現しなかった。これを再起動したのがコミックコンプ版である。
本作の世界観はToward Star Worldsとして『星方武侠アウトロースター』や『星方天使エンジェルリンクス』に継承された。
登場人物
護堂 十字(ごどう ジュージ)
本作の主人公で、クォーターメンのリーダー。フルネームは護堂・トーマス・十字。祖父の遺産を受け継ぐため恒星高校USA分校から日本校に転校してきた16歳の少年。ロジャーと日本人のクォーターで、祖父譲りの赤い髪をしている。星詠み号に乗り、さらわれた咲美を救うため“真なる太陽系”に旅立つ。ロジャーにかけられた呪いを受け継いでおり、世界を滅ぼす元凶とされている。トラブルメーカー体質で、火がついたら止まらない性格がトラブルをさらに拡大させるが、悪運も非常に強く、絶体絶命のピンチをその悪運で切り抜けることもある。年頃の少年らしくかわいい女の子に弱い。幼少期にロジャーの夢物語を聞かされて育ったため宇宙に強い憧れを抱いているが、当初はロジャーが望んでいる「ヒーローになること」や正義・人道より「自分が自由に宇宙を冒険する」ことを優先しており、真なる太陽系がロジャーの敵の支配圏と聞くと行く気は無いと宣言し、行ったら行ったで攫われた咲美を放置して冒険をしようとしていた。武器は呪唱銃。バイクが趣味で、愛車はヤマハ・TZR250。恒星高校では、雷により強制的に陸上部に入部させられた。
名前の由来はサミュエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』。
椎原 咲美(しいはら さくみ)
本作のヒロイン。聖エルザ学園の中等部から素敵な出会いを求めて恒星高校に進学した16歳の少女。本人は事件に巻き込まれる事を好ましく思っていないが、事が起こると順応は早い。常に十字架を携帯し、事あるごとにお祈りをしている。格闘技マニアで、手より早いと言われる脚技とプロレス技を得意とする。恒星高校ではNo.5の美少女と言われており、陸上部のホープでもある。ゾハルたちによって“真なる太陽系”に連れ去られ、偶然捕らえられていたガーランドと共に逃亡し太陽系警察の一員となる。父はファミリーレストラン“ディリーズ”の社長。
イメージアルバム内でのボイスドラマでは、凄まじく酒癖が悪いことが判明。しかも酔うと紅竜ですら太刀打ちできないほどに戦闘力が増大する(十字が「椎原には逆らわない方がいいぞ」と紅竜にそっと警告したほど)。
ロジャー・アドレアン・グリフィス
クォーターメンのブレーン。十字の祖父で恒星高校の創設者。「キャプテン・ロジャー・フォーチュン」と名乗り、星詠み号と共にブラスに立ち向かった“真なる太陽系”の英雄だったが、50年前、ブラスの手によって子々孫々まで災いを及ぼす呪いをかけられ“こちらの世界”に転送された。その後、巫女であった“こちらの世界”の妻(十字の祖母に当たる)と出会い、息子・千太郎をもうける。星詠み号をブラス達の手から守り、又、元の世界に戻るための方策を求めて、"真なる太陽系"の知識を元にグリフィス財団を設立し、恒星高校を星読み号の基地その他の目的で設立、理事長として財団のトップに就任する。10年前に事故死したと思われていたが、実は脳だけになって生きていた。現在の別名は“アンデッド脳”。星詠み号を十字に託し、クォーターメンの一員として“真なる太陽系”へ帰還を果たす。アメリカ(UKT)出身。
『キャプテン・フューチャー』シリーズに登場するキャプテン・フューチャーおよび“生きている脳”サイモンのパロディ。
アゼル・アズリナ・アゼランディ
クォーターメン。銀髪に赤い肌をした15歳の少女で、一人称を「あたい」と言い男言葉を話す。魔法を守ってきた古代高地民族(ハイランダー)の末裔にして最後の魔女。一族の伝承に従い、世界を滅ぼす赤い髪の少年(=十字)を抹殺するために日本にやってきた自称「正義の味方」。好戦的な性格で、周りを巻き込んでもおかまいなし。雷撃系の魔法を得意とし、杖の先端の球体を帯電させて発射するドカンボー、眠いけど眠れない苦痛の呪文ヤース・ミン、最期の時に働く自爆魔法メチャ・ゲドンなどの魔法を使いこなす。「魔法使いはメカが嫌い」という教育を受けて育ったため極度のメカ嫌い。体質にも影響しており、メカに触れると力が抜け、魔力が暴走してしまう。十字に助けられたことで惚れてしまい、メカアレルギーを我慢して星詠み号に乗り込む。
最終決戦のゴタゴタで十字たちとははぐれてしまい、後日譚では火星を旅している。魔法が自由に使えなくなったこともあって銃器を使用する様になっていた。
ゴート
クォーターメンで、星詠み号の副操縦士(コ・パイロット)。宇宙レストラン“星雲雀(すたーらーく)”の支店長で、地球の料理界を掌握して全土の農場化を要求する侵略者として登場する。支店開業から55億年、地球誕生前から営業している。身長235cmの人型ロボットだが、本体は衛星軌道上にある全長200kmの球体型宇宙船。天候を操作し、10体の戦闘衛星やレーザー砲を備える等、本来なら人類の科学力では太刀打ち出来ないほどの性能だが、星詠み号とアゼルの魔法の前に敗北して店長資格を剥奪され、レゾンデートルを維持するため十字に仕えることになる。
『キャプテン・フューチャー』シリーズに登場するグラッグのパロディで、名前の由来はSF映画『地球の静止する日』に登場するロボット。
劉 紅竜(リュウ・コウリュウ / リウ・ホンロン)
十字の遠い親戚で自称「十字のライバル」。ブラスに認められるほどの生粋の悪役。中国儀式省の一門、劉の血を受け継いでいるためかプライドが高い。26歳にして数々の博士号を持つノーベル賞クラスの天才だが、真顔で世界征服を唱える奇人変人で、イリノイ大学から追い出される形で恒星高校に赴任する。十字や咲美の1年次の担任である。意外と教師という職務には真面目で生徒想い。女性に優しいフェミニスト。異世界の魔法技術を手に入れるため、ゾハルと手を組んで“真なる太陽系”へ旅立つ。表面上はブラスに仕えるが、世界征服の野望は忘れていない。中国拳法の達人で“真なる太陽系”では魔法も身につけ、自らが編み出した攻撃魔法を「紅竜天才波」と名付ける。最終回では元の世界に帰還、月軌道に大黒竜要塞(見た目はスケールアップした黒竜号)から世界征服を目的とした降伏勧告を宣言していた。
人並み外れた泣き上戸であることがイメージアルバムで判明。
名前の由来は『キャプテン・フューチャー』の仇敵ウル・クォルン。伊東岳彦の別作品である『星方武侠アウトロースター』や原作を手掛けた『ゼーガペイン』で採用された中華風デザインの原型。
ゾハル
デュラン・カース
“真なる太陽系”の金星人。人呼んで“鷹の”デュラン。金星に不時着した十字と出会い行動を共にするが、軽い性格の十字とは相性が悪く喧嘩が絶えない。十字のことを馬鹿にして“カラル”(金星に住む赤毛豚の名称)と呼ぶ。垂れ目で右目に眼帯をし、金星人の特徴として長くとがった耳を持っている。額が広いのを秘かに気にしており、十字に「おでこが逆パラボラアンテナ」や「デコピー」と言われて怒り狂う場面が度々ある。一瞬で呪唱銃を細切れにするほどの凄腕だが、女の子に免疫がない。両親と右目の仇としてアークを付け狙うが、実は金星羽根突きの罰ゲーム、一生消えない呪いのスミヌリによる落書きが恥ずかしいと逆恨みしているだけである。愛剣ツィムツムは伸縮自在の霊剣。
名前はアンソニィ・ギルモアのSF小説『太陽系無宿』の主人公〈鷹〉のカースのパロディ。『覇王大系リューナイト』のサルトビの原型となったキャラクター。
アーシア・ルヴァロア・ナカザワード
ブラス・マナフ
アーク・マナフ
ウルト
ハドゥル
エディ・ガーランド
雷 隼人(いかずち はやと)
アゼルパパ
ステラ・ドゥワード・ナカザワード(旧名ステラ・メイナード)
宇宙船
星詠み号(フォーチュナーごう)
『キャプテン・フューチャー』シリーズに登場する、キャプテン・フューチャーの愛機コメット号のパロディ。
黒竜号(コクリュウごう)
魔王号(まおうごう)
聖闘士号(ガリバルディごう)
用語集
クォーターメン
『キャプテン・フューチャー』シリーズのフューチャーメンのパロディ。
真なる太陽系
攻撃や回避に「当たり判定」があり、ダイスロールの魔法「チンチロリン」で向上させることが可能。また、宇宙船が小惑星に激突して爆散したとしても搭乗者は生きているなど、ご都合主義な世界観はゴートに疑問を生じさせる。元の世界で十字は悪運で助かったとはいえ、度々入院しており、担当医は身体の温存を諦めてロジャー同様のカンテラ人間にする提案をしていた。
秘星球(ひせいきゅう)
地球(バオル)
金星(シェキナー)
火星(クロム)
エドガー・ライス・バローズのSF小説『火星のプリンセス』のパロディ。
占王星(クラートゥ)
「クラートゥ」の名前の由来は1951年のSF映画『地球の静止する日』の主人公で、秘密の呪文“Klaatu barada nikto.(クラートゥ・バラダ・ニクタ)”も登場する。
聖王家
十二神官
火星古王朝(ウ・ウク・ソウン)
聖ホルト
精霊石
呪唱銃(スペルガン)
この問題を解決するために呪文を弾丸型カートリッジに別途封入する方式が編み出されるが、こちらは使い手に魔法の素養を要求しない代わりにカートリッジに儀式装填する術者によって威力が左右される。宇宙船に応用したのがエーテルリアクター・スーパーチャージャーである。
エーテルリアクター・スーパーチャージャー
精霊砲(アーソナーガン)
神罰砲(パニッシャー)
下僕アンテナ
星雲雀(すたーらーく)
すかいらーくと、E・E・スミスのSF小説『宇宙のスカイラーク』をひっかけたパロディであり、設定的にはフレッド・セイバーヘーゲンの「全ての生命に死を与える」無人機械兵器『バーサーカー』が元。ゴートの言及した「グッドライフ」も『バーサーカー』からの引用である。
私立恒星高校(しりつこうせいこうこう)
星詠み号を真なる太陽系に送り出す際にアゼルパパの指示から魔法陣を書き換え、学校ごと真なる太陽系の火星辺境に飛ばされ十字の父 千太郎と20名の生徒が行方不明となった。
聖エルザ学園(セントエルザがくえん)
SCEBAI
コミックス
角川書店コンプコミックス、未完。
ホームコミックス
ホーム社漫画文庫ディレクターズカット版
海外での展開
イラスト集
『Takehiko Itoh Illustrations TAKE OUT 伊東岳彦『宇宙英雄物語』の世界』
巻中には32Pの外伝コミック「ウルト様 邪教の里温泉大作戦」収録されている。
ラジオドラマ
放送日時
- KBS京都 1993年10月5日~1994年3月29日 毎週月曜日 23:40~23:55(『冨永みーなのKBS京都はいぱぁナイト』内)
- 栃木放送 1993年10月4日~1994年3月28日 毎週日曜日 21:25~21:40
- 大分放送 1993年10月5日~1994年3月29日 毎週月曜日 21:40~21:55
- 東海ラジオ 1993年10月9日~1994年4月2日 毎週金曜日 23:40~23:55
パーソナリティ
- 冨永みーな
サブタイトル
- 第1話 「大いなる遺産」
- 第2話 「遥かなる世界」
- 第3話 「非凡な日々」
- 第4話 「悪の天才」
- 第5話 「ドラゴンファイト」
- 第6話 「悩める魔法少女」
- 第7話 「狙われた秘星球」
- 第8話 「めざせ!真なる太陽系」
- 第9話 「混沌の陣営」
- 第10話 「決戦!金星上空」
- 第11話 「金星の大魔境」
- 第12話 「鷹の騎士」
- 第13話 「大暴れ金星ダコ」
- 第14話 「導かれし伝説Ⅰ」
- 第15話 「導かれし伝説Ⅱ 邪神の花嫁」
- 第16話 「意外なる再会」
- 第17話 「さすらいのサーカス修行」
- 特別編 「金星のプリンセス」(ラジオドラマCDシリーズ ACT.2に収録。)
- 外伝 「驚異の音楽魔人」(ラジオドラマCDシリーズ BGM COLLECTION PLUS SPECIAL DRAMAに収録。)
- 第18話 「運命の聖王女」
- 第19話 「乱戦!御前サーカス」
- 第20話 「英雄伝説」
- 第21話 「星の瞳」
- 第22話 「魔王号、接近遭遇!」
- 第23話 「乙女の祈り」
- 第24話 「善悪集結」
- 第25話 「霧の中の死闘」
- 第26話(最終話) 「新たなる英雄」
- 特別編 「金星のプリンセス」(ラジオドラマCDシリーズ ACT.2に収録。)
- 外伝 「驚異の音楽魔人」(ラジオドラマCDシリーズ BGM COLLECTION PLUS SPECIAL DRAMAに収録。)
オープニングテーマ
- 横山智佐「もしかしちゃうかも知れない」
スタッフ
- シリーズ構成:とまとあき、千葉克彦
- 脚本:千葉克彦(#1~6,9,10,16,17,特別編,19,20,24,25,最終話)、隅澤克行(#7,8,13,18.22)、関島眞頼(#11,12,21,23)、とまとあき(#14,15,外伝)
- 音響演出:岩浪美和
- 効果:佐々木純一
- 音楽:大野雄二、田中公平
- 音響制作:HALF HP
- 企画・製作:メディアリング
イメージアルバム
ワーナーパイオニアから3枚のCDがリリースされている。構成・脚本・演出はとまとあき。
- 『宇宙英雄物語』 (1989)…オリジナルドラマとキャラクターソング、大野雄二作編曲によるメインテーマとインスト曲を収録。
- 『宇宙英雄物語 冒険編』 (1991)…イメージアルバム続編。ドラマ部分は一部キャストが変更されている。
- 『宇宙英雄物語 満漢全席』…新録ドラマ+前2枚のイメージソングのカラオケ集という構成。
キャスト
2枚目のイメージアルバムが出る時に変更になったキャストと、ラジオドラマ化される時に変更になったキャストがいる。当初はOVAが企画されてパイロットフィルム迄作られていたが、角川書店の分裂により公開中止となった。主人公側の声優変更は、このOVA版でも採用されていた配役である。
- 護堂十字(イメージアルバム1、2版松野太紀→ラジオドラマ版草尾毅)
- 椎原咲美(イメージアルバム1版林原めぐみ→イメージアルバム2版横山智佐)
- ロジャー(イメージアルバム1版広川太一郎→イメージアルバム2版小川真司)
- アゼル(イメージアルバム1、2版富沢美智恵)
- ゴート(イメージアルバム1、2版玄田哲章)
- 劉紅竜(イメージアルバム1、2版小杉十郎太)
- ゾハル(イメージアルバム2版篠原恵美→佐久間レイ)
- ガーランド(イメージアルバム2版青野武)
- 星海王ブラス(イメージアルバム2版青野武)
- 星詠み号(イメージアルバム1、2版小杉十郎太→梅津秀行)
- アーク(関俊彦)
- ウルト(久川綾)
- ハドゥル(北村弘一)
- デュラン(松本保典)
- ステラ(イメージアルバム2版岩男順子)
- アーシア(イメージアルバム2版藤枝成子)
- アラン(中村大樹)
- ルローレ(冨永みーな)
- 平田公中(田中公平)
- 平田綾子(久川綾)
- 生徒(伊東岳彦)
- イメージアルバム1ナレーション:広川太一郎