封仙娘娘追宝録
小説
著者:ろくごまるに,
出版社:富士見書房,
掲載誌:月刊ドラゴンマガジン,
レーベル:富士見ファンタジア文庫,
巻数:全16巻,
漫画
原作・原案など:ろくごまるに,
作画:ひさいちよしき,
出版社:富士見書房,
掲載誌:ファンタジアバトルロイヤル,
以下はWikipediaより引用
要約
『封仙娘娘追宝録』(ふうせんにゃんにゃんついほうろく)とは、ろくごまるにによる日本のライトノベル。イラストはひさいちよしきが担当している。富士見ファンタジア文庫(富士見書房)より1995年8月から2009年2月まで刊行された。
あらすじ
仙人の世界に住む道士の和穂は、仙人になるための昇格試験を受け、見事合格した。しかし、仙人になったのもつかの間、和穂は不注意から爆発を伴う大事故を起こし、師匠である龍華がかつて生み出した欠陥宝貝の封印を解いてしまう。
封印されていた欠陥宝貝には、単に欠陥を持つだけではなく、危険性のある物も含まれていた。封印されていた数は、七百二十七にものぼる。
欠陥宝貝たちは再び封印されることを恐れ、仙人の手の届かない場所、すなわち人間の世界に逃走を図り成功した。もはや、対処しようがないという事で和穂はお咎め無しとなったが、責任感の強い和穂はその処分に納得いかなかった。
「私が人間界に行って、全ての宝貝を回収します」
和穂の懇願を聞き入れた仙人達は、人間界にさらなる混乱を招きかねない和穂の仙術を全て封じた上で、回収に必要な最低限の宝貝を持たせて人間界へと送ることとした。
しかし、欠陥宝貝の中には、新米仙人の失敗に付け込んで逃亡を図ることを良しとしない者がいた。刀の宝貝、殷雷刀である。殷雷は和穂を心配する龍華達に頼まれ、和穂の護衛として共に人間界へと渡る事となる。
登場人物
和穂(かずほ)
本作の主人公である元仙人。年の頃は15、6の娘。とある不注意から大事故を起こしてしまい、宝貝をばらまいた張本人。本来なら責任は問われないはずであったが、強い責任感から自ら志願して宝貝回収のために地上へ向かった。現在は一切の術を封印されており、普通の人間と変わらない。
人間界の九遥山に捨てられていたところを、たまたま仙界と入り混じった際に龍華に拾われ仙界へやって来た。本来、仙人とは数百年に及ぶ長い修行の末になるはずだが、和穂の場合はその特異な経歴により赤子の頃から龍華に修行を受けたため、見た目通りの若い年齢で仙人となる。心優しく気だても良い素直な少女であるが、師匠譲りの非常に頑固な一面もあり殷雷と意見が対立することもある。物心付く前から仙界で暮らしているため、人間界の常識に疎い一面もある。
外見はほっそりとした顎に淡い桜色をした唇、柔らかな黒髪を持ち、黒曜石のような輝きを持つ瞳の上には少し太めの眉がのっかっている(お陰で初対面の人間から「眉毛の女」呼ばわりされた事もある)。眉毛に比べ、目は穏和で優しい。道士や仙人がよく身につけている、懐と袖の大きな道服を羽織っている。色は白ですそはそれほど長くなく、ふとももぐらいまでしかない。武道家が練習の時に身につける、動きやすそうな服の上に道服を着け、腰の部分を赤く細い帯でくくっている。
龍華(りゅうか)
和穂の師匠である仙人。和穂を我が子のように厳しく育てた。和穂からは親としても師匠としても慕われている。見た目は20歳過ぎの女性。豪快な性格であり、きらびやかな装飾を散りばめた真紅の道服を着ているが、その装飾品を凌駕する美貌の持ち主。七百二十七の欠陥宝貝の創造主であるが、封印されていたことと、その性格のため、彼らのほとんどからは嫌われている。ただし、欠陥宝貝を破壊せずに敢えて封印に留めたのは彼女なりの考えがあるかららしい。
その外見通り気性は激しく、文字も性格を反映して豪快であり、本人曰く「文字なんて読めればいいんだよ」とのこと。また師匠との台詞からして気に入らない者には従わないようだ(もっとも、他人に容易に臣従しないのは、仙人としては特に珍しい事ではないらしい)。仙界では最上位である五仙の1人、神農の頭を殴った初めての仙人でもある。
護玄(ごげん)
神農(しんのう)
夜主(やしゅ)
梨乱(りらん)
用語
世界観
宝貝(ぱおぺい)
仙界
人間界
仙術
宝貝
以下、特に記載のないものは龍華の作。
殷雷刀(いんらいとう)
悪ぶった言動を取っているが基本的にお人好し。特に動物や病気をネタにした人情話にとことん弱く、聞かされると涙を流すほど。武器の宝貝らしく、武芸百般に通じている。また、名前の「雷」の字は伊達ではなく、周囲の雷気を探って敵の気配を読むことも可能。ただし、武器の宝貝の中では最強ではなく彼より強い宝貝は大勢いる。
現在は、和穂の護衛として人間界に渡っている(神農の目を盗んで持ち出した3つ目の宝貝)。普段は和穂を子供扱いしてからかっているが、その実とても大切に守っている。何故かやたら食い意地が張っており、「包丁の宝貝」と揶揄されて落ち込む場面も見られる(本来宝貝に食事の必要はない)。
四海獄(しかいごく)
索具輪(さくぐりん)
索具輪が渡されたとき、「使い方によっては危険」と言われた宝貝だが、何が危険なのか不明である。
断縁獄(だんえんごく)
捜魂環(そうこんかん)
夜主に拾われ、その機能を持って彼女と共に宝貝探索を続けている。合理的で冷静な判断力の持ち主であることから、無鉄砲で豪放な夜主を諫めたりすることが多いが、その硬さを武器代わりに敵に殴りつけられたりと扱いはあまり良くない。
恵潤刀(けいじゅんとう)
とある事件により、複数の宝貝と融合するという事態を起こしてしまう。唯一意志を持った宝貝としてそれらをまとめることに成功するものの、自身も刀の宝貝としての本質を失い、本来の姿に戻ることが出来なくなった。現在は断縁獄の中にて綜現台と塁摩杵を鍛えている。
静嵐刀(せいらんとう)
流麗絡(りゅうれいらく)
仙術を織り込んだ布も作れる。その能力で、仙界では龍華仙人の宝貝製作の補佐を行っていた。ただし人間界の糸では強度が足らないため、仙術の力を持つような特殊な布は織れないらしい。
非常に捻くれた性格をしており、それが欠陥と判断されたようである。人を苛立たせるために、わざと台詞に若干の間を開けるほどの念の入れようである(作中では、台詞の冒頭に三点リーダを常に付けてその間を表している)。それでも、宝貝としての業である「誰かに使われたい」という望みは持っているらしい。
男の趣味も捻くれていて、頼られるのは嫌だが、しかし頼りない方がいいという難儀な物である。
綜現台(そうげんだい)
実直さ、誠実さ、使用者に対する態度、思いやりなどでは四海獄に匹敵するほどの人格者だが、自分が何の種類の宝貝であったか忘れてしまっている。本来、宝貝は気絶した場合に本当の姿へと戻るが、綜現の場合は完全に己の正体を忘れてしまっているので、常に人間の姿を取っている。
宝貝の業として、自分を拾った使用者の役に立ちたいと思っているが、なかなかその思いは報われない。
塁摩杵(るいましょ)
その正体は名前の通り杵だが、単なる杵ではなく、全長半里(2キロメートル)もある攻城兵器である。破壊力は欠陥宝貝全ての中でも一、二を争うほど凄まじい。殷雷とは、封印されていた時からの顔見知りだったらしく、塁摩と出会った時、殷雷はその破壊力を知っていたので引き攣った笑みを浮かべた。
人間に変化可能で、設定年齢八歳、見た目は五歳ぐらいの女の子供である。状況分析能力は高く、殷雷相手でもほぼ互角の読みを見せる。兵器の宝貝は武器の宝貝と違い、人間の姿でもその破壊力を自由に使えるようである。
宝貝なので食事の必要は無いはずだが、甘いものに弱い。
欠陥は明言されていないが、設定年齢が八歳と幼いためか、兵器としての冷静な計算と子供としての無邪気さがかみ合わず、自分で分析した事が自分で理解できない事があるという記述が作中にある。
制作背景
作者のろくごまるには1巻のあとがきで、小学生の時に『水滸伝』の「洪信が伏魔殿の扉を開け、そのために封印されていた百八の魔星が地に降り立った」という物語冒頭の説明を聞き、洪信が百八の魔星を捕まえる話だと勘違いしたが、むしろその「捕まえる話」の方が面白そうだ、と思ったのがきっかけでこの話が誕生した、と書いている。同じく1巻のあとがきによると、元々は「大始末記」というタイトルだったが、判りづらいということで編集部が現在のタイトルをつけたという。
評価
刊行に数年にわたって中断期間を挟んでもなお熱狂的な固定ファンがいるほどの人気を獲得したが、それはライトノベルの主流だった中世ヨーロッパ風ファンタジーではない題材という目新しさによるものではなく、著者独自の言葉廻しや作風によるところが大きいと文芸評論家の榎本秋に紹介されている。
既刊一覧
長編
- ろくごまるに(著) / ひさいちよしき(イラスト) 『封仙娘娘追宝録』 富士見書房〈富士見ファンタジア文庫〉、全11巻
- 「天を騒がす落とし物」1995年8月18日発売、ISBN 4-8291-2641-8
- 「嵐を招く道士たち」1996年2月20日発売、ISBN 4-8291-2670-1
- 「泥を操るいくじなし」1996年9月20日発売、ISBN 4-8291-2700-7
- 「夢をまどわす頑固者」1997年1月20日発売、ISBN 4-8291-2731-7
- 「黒い炎の挑戦者」1997年6月20日発売、ISBN 4-8291-2747-3
- 「憎みきれない好敵手」1998年3月19日発売、ISBN 4-8291-2806-2
- 「闇をあざむく龍の影」1998年8月20日発売、ISBN 4-8291-2833-X
- 「刃を砕く復讐者(上)」1999年11月15日発売、ISBN 4-8291-2907-7
- 「刃を砕く復讐者(下)」2005年11月19日発売、ISBN 4-8291-1759-1
- 「天を決する大団円(上)」2007年6月20日発売、ISBN 978-4-8291-1931-0
- 「天を決する大団円(下)」2009年2月20日発売、ISBN 978-4-8291-3379-8
短編集(奮闘編)
- ろくごまるに(著) / ひさいちよしき(イラスト) 『封仙娘娘追宝録』 富士見書房〈富士見ファンタジア文庫〉、全5巻
- 「くちづけよりも熱い拳」1997年10月17日発売、ISBN 4-8291-2773-2
- 「切れる女に手を出すな」1998年10月16日発売、ISBN 4-8291-2847-X
- 「名誉を越えた闘い」2000年7月14日発売、ISBN 4-8291-2977-8
- 「夢の涯」2002年6月20日発売、ISBN 4-8291-1436-3
- 「最後の宝貝」2006年2月18日発売、ISBN 4-8291-1796-6
漫画化
イラストを担当しているひさいちよしきにより、読み切りの形で、『ファンタジアバトルロイヤル』(月刊ドラゴンマガジン 2000年3月号増刊)にて漫画化された。