少女海賊ユーリ
以下はWikipediaより引用
要約
『少女海賊ユーリ』(しょうじょかいぞくユーリ)はみおちづる作、永盛綾子作画の小学生4年生-5年生向きの長編小説。
童心社フォア文庫から全10巻出版された。シリーズ累計は25万部。
時光石
時間を支配する光の粒子・時光を結晶に閉じ込め、固めることによって作られる青、緑、赤の石。未来世界でユーリと彼女の父が作った。それらは全て合わされば、どんなものにも使え、永久に無くならないエネルギーが得られるはずだった。
青の時光石(ブルー・ストーン)
緑の時光石(グリーン・ストーン)
赤の時光石(レッド・ストーン)
ザリア石
加工されたザリア石は、月の光に透かすと少し先の未来や、違う場所の様子を映し出す。第2巻では万年嵐の影響で、月も出ていない中で未来が見えかけた。
舞台
リーデニア海
リーデニア海の王国・島
オーデニア国
ラドニア島
オラキス島
ハート諸島
海賊波止場
ここでの掟は「けんかをするな」の一つだけで、仲の悪い海賊の船長同士が席を並べて食事をするのはここだけである。
氷の王国
キャラクター
各巻に必ず登場しているキャラクター
ユーリ
主人公。見た目は十五、六歳程の青い目の美少女だが、「弱きを助け、強きを挫く」伝説の海賊船・ユーラスティア号の船長。小麦色の長い髪をサイドテールの三つ編みにし、赤を基調とした服に青いマントを合わせて着ている風貌が特徴。リーデニア海では直接会ったことや見たことがなくても、その名を知らない者はいない。剣の名手で、その腕前と航海術はリーデニア海一と言われている。
その正体は、未来世界に暮らしていた天才科学者。十三歳で大学を卒業した後、天才と言われた科学者の父親と、幼馴染のカイルと共に時光石の研究を始めた。だが、大爆発によって世界の半分が吹き飛び、その時に生じた時空の亀裂に吸い込まれて千年過去のリーデニア海に落ちてきた。父は時光石の大爆発に巻き込まれて命を落とし、母はユーリを生んですぐに他界しているため記憶にない。「どんなときもあきらめてはいけない」という父の口癖を信条にしている。
リーデニア海に落ちてきたばかりの頃は時光石を生み出したことに自分を責め続けて途方に暮れていたが、助けられた海賊船の船長・ドランの励ましで後悔するよりもこれからを考え、二度と醜い争いが起きないよう時光石を壊す方法を探し求めて二百年以上も自分の時を止めて旅をしていた(第1巻のプロローグより、二百二年と五ヶ月と十日)。
時空の亀裂に吸い込まれた際に背中に傷を負い、握り締めていた青の時光石(ブルー・ストーン)の力を使う度に傷口は開いていき、最後にはユーリ自身の身体を八つ裂きにしてしまうという。
終盤に仲間たちに心配をかけないようにゴアと二人だけでさらわれたノエルを助けに宿敵である黒マントの男・ボルドと戦おうとしたが、洗脳されたゴアによって連れ去られ、最終巻では記憶喪失になっていた。憎んでいたボルドの心の痛みを思い知り、正気に戻った時にはこれまでの事を許し合い共に生きたいと思うも叶わなかった。全てが終わった後、皆に見送られてカイル、ゴアと共に未来世界へ帰る。
ゴア
ユーリの頭脳を悪用しようとする者からユーリを護る為に、ユーリの父が作らせた護衛ロボットの大男。ユーリと共にリーデニア海に落ちてきた。
10トン力のパワーと、指の先に小型ロケット弾、腕にはミサイルが仕込まれており、目と耳は遠くまで見聞きできる超倍率。ほかに赤外線探査装置、Ⅹ線透視装置、超高周波レーダーといった機能も搭載されており、金属製の皮膚はレーザー光線をも跳ね返す。人工頭脳は常にユーリを護るようにインプットされている。また、ユーラスティア号の船長室にある、ユーリの秘密の研究室のコンピューターの反応盤に手を置いて瞬きすると、何万桁もの計算を一瞬でこなしてデータを出すことができる。
前述の洗脳が最終巻でユーリによって解かれ、暴走した時空間調節器(フィールドコントロール)を止めるため自らを犠牲にした。機能停止の間際、「心」を知り、ユーリを護りきれて幸せだったと言い残した。
ノエル(本名:ノエリア)
ラドニア島の姫君。十二歳。ショートヘアに青い目。マリンルック風の服を着ている。オーデニア国との戦いの時、家臣グリフィスの裏切りによって、故郷と城主である「海の勇者」と呼ばれた父と母を失う。ラドニアの家宝であるザリア石の指輪を母から託されている。弟のヨハンとは離ればなれだったが、氷の大陸で再会。
ラドニア島の近くのクレタス島をうろついていたところを奴隷商人に捕まり、ピップスに売られそうになったがユーリに救われた。最初は魔女ばばの家に預けられるはずだったが、海賊波止場でオーデニア軍を率いるボルドとの騒動にあい、ユーリと時光石の秘密を知った。その後、そこに留まっていればまたオーデニアが狙ってくると考えた魔女ばばに促されたことと、指輪の裏切りの凶兆を信じず、最後まで人を信じた父と同じように、過去や未来のことよりも現在のユーリ自身のことを信じ、ユーラスティア号の海賊見習いになる。
平和だった頃にグリフィスから教えられた剣が得意。男勝りで負けん気が強いが、心優しい性格。
物語の終盤で「まことの幸せ」という言葉を書き残したユーリの先祖であることが判明する。
エピローグで美しい女性に成長。即位したレニーと結ばれる。授かった女の子にユーリと名づけ、ユーラスティア号の新しい船長となり、新たなる伝説を、未来へ帰ったユーリに指輪と一緒に伝えることを誓う。
レニー(本名:ロレニオ)
ザーナン(本名:ラディ)
イッカククジラという動物の角で作られた、ケルンという縦笛の名手である海賊見習いの少年。黒髪に黒ダイヤのような目で、中性的な顔立ち。耳が良く、泳ぎも得意。
実は、リーウィー族の長・ラドの息子だったが、幼い頃にローデン王が差し向けたオーデニア軍に襲撃され、ラドは一族を護るために戦い胸に槍を突き立てられて命を落とし、その時のショックで言葉を失った。母親・ティラにより海草に包まれてラドのケルンと共に海に流され、飢えと渇きで苦しんでいる中でユーリに拾われてそのまま仲間に加わった。
後に母と再会。その後、終盤近くになってから少しずつ言葉を話せるようになっていく。
エピローグでは、ユーラスティア号を降り、リーウィー族として海竜と来ていた。また、宝島のサラに告白する描写があるが、実際はどうなったかは不明。
海賊船ユーラスティア号の仲間
以下のメンバーの他にも、たくさんの乗組員がいることが挿絵からうかがえる。
カラザン
デミル
ドミノス
ガーグ
アッカ
作中のデミル発明品
各巻のあらすじ、並びに登場している主要キャラクター
8巻以降には新しいキャラクターは登場しないため、あらすじのみを記載する。
第1巻:なぞの時光石
追い詰められたノエルの前に現れた伝説の海賊船ユーラスティア号。ノエルが出会ったその船長には不思議な力が……。ユーリが旅を続ける訳とは?
ボルド
未来世界でユーリたちと共に時光石の研究をしていた科学者。
大学のあらゆる分野を全て一番の成績で通過した秀才で、時光石の研究論文はボルドが書いた物。ユーリたちに作らせ、政府に知らせて争いを誘発させた張本人。爆発に巻き込まれて全身に大火傷を負いながらも、緑の時光石(グリーン・ストーン)を手にしてリーデニア海に落ちて来た。
黒いマントに身を包み、リーデニア海中で様々な卑怯な方法を使って赤の時光石(レッド・ストーン)を作り、ユーリの青の時光石(ブルー・ストーン)を奪い、全ての時間・時空を支配しようとしていた。物語の終盤、ユーリが雲つき山で作った赤の時光石(レッド・ストーン)を奪い、ローデン王を死に追いやった。
彼が卑怯な手段を取り続けていたのは、過去に受けてきた仕打ちからだと終盤に判明する。友達だと思っていた相手に盗みの濡れ衣を着せられ、両親にも見放され、いじめられて育った少年のボルドは悔しさから知識のみを信じるようになり図書館の本を丸暗記するほど読み尽くした。そして一番になった時、周りには誰もいなくなり、心を閉ざしてしまった。そんな時、大学卒業後に訪れた研究所でユーリと出会い、自分と屈託無く接する彼女となら共に生きて行けると思い変わろうとしたが、ある時ユーリが自分にも見せたことの無い笑顔でカイルと話しているところを目撃し、その嫉妬と憎しみから再び心を閉ざした。
最終巻で、憎み合っていたユーリが記憶喪失になったために偽の記憶を植えつけてパートナーにしようと考えて気遣うようになり、記憶が戻った後、世界を統べる力を前にして自分が一番求めていたのはそんな力を得ることではなく、誰かに認めて欲しかっただけでその差し伸べる手を払いのけていたのは自分だったということに気付き、ユーリと和解して共に手を取り合って生きて行きたいと思ったが、副官の裏切りで暴走した時空間調節器(フィールドコントロール)を止めるため燃え盛るコクピットに乗り込み、炎の中で開いた時空の亀裂に消えた。三つの時光石はその際に砕け散った。
ローデン
オーデニア国・第19代目の国王。野心が強く、国民に重い税金をかけたり、永遠に王であるために不老不死を得ようと人魚狩りをしたり、海竜の心臓を獲って来るように言った。また、不老不死の噂があるユーリを捕まえて、その秘密を聞き出そうと考えていた。
後に将軍になっていたボルドにより国を追われて「ロード」と名乗り、レニーに連れられてユーラスティア号に乗り込み国を離れる。その後雲つき山の山頂にあった、クリスタル・コンバートマシーンの光を浴びてクリスタルとなり、クリスタル化した山の崩壊に巻き込まれた。クリスタルになる直前、今までに犯した自分の罪深さを思い知り、虹の短剣を持っていたレニーを兄王ラムデンの遺児と悟ってオーデニア国を譲り渡した。その際、彼は誰にも見せたことのない笑顔であった。
ラムデン
タットン
ピップス
魔女ばば
第2巻:時のとまった島
愛する人のため、何度難破しても西の海へとむかう老人。ユーリたちは老人とともに恐ろしい嵐の中へ。その先で待っていた偽のユーラスティア号の正体は!?
ガイ
クリナ
第3巻:海竜のなみだ
ザーナンがまっすぐに見つめるのは、怪物が棲み、人魚が船を難破させるという恐ろしい海竜の海。そこで、ユーリたちはザーナンの過去を知ることに……。
オーガム
ティラ
海の一族・リーウィー族の現在の族長。海草の服をまとった美女。
オーデニアの人魚狩りで首筋を槍で突かれるが海深く潜って生き延び、夫ラドの死後、リーウィー族の長を継ぎ、海竜の心臓を狙って「魔の海域」にやって来た船から海竜を護るためにケルンの音色と美しい歌声で船を誘い、岩にぶつけて沈めていた。ユーラスティア号が魔の海域にやって来た時に息子のザーナンと再会した(その時は本名の「ラディ」と呼んでいた)。オーデニア海軍との戦いの後、海に不慣れなザーナンをユーラスティア号に預け、海竜の子供を育てられる海を探しに旅に出た。
最終巻では成長した海竜と、リーウィー族と共にイルカを使ってボルドに連れ去られたユーリの行方を探し、その時は「ザーナン」と呼んだ。
第4巻:天使のいのり
「《光の魔術師》は連れ去られる!」カラザンの予言に導かれて、ユーリたちはハート諸島へ。そこには、かつてユーリが助けた少年セディがいるはずだったが……。
ゲルト
ハート諸島・ベルゼ島随一の「光の魔術師」と言われているガラス職人。セディの師匠。
彼が作るガラス細工のガラスカットは一流で、セディがユーリを模って作ったガラス像をまるで光で出来ているかのように美しく仕上げたり、オーデニアが荒らした島の惨状を故郷と重ねて動揺したノエルを元気付けようとセディがあげたガラスの白鳥は、光を当てるとその中に光の白鳥が現れる。そのガラスカットの腕前から、時光を結晶の中に閉じ込めることを企んでいたボルドに捕まり、巨大なレッドクリスタルの球にカットを施し、その中に一生に一つの傑作である「光の天使」を生み出した。
ボルドとの戦いの後、剣を持って戦ったセディに、かつて自分が同じように剣を持って戦い、家を燃やされて大切な妻子を亡くして残ったのは腕に負った火傷の痕だけだった過去を話し、二度と剣を使わないでくれと諭す。
第5巻:黒いゆうれい船
200年以上も前の古い航海日誌。そこには、ユーリがゴアといっしょに未来世界から落ちてきたときのことが書かれていた。驚くノエルの前にゆうれい船が……!?
ドラン
ユーリとゴアがリーデニア海に落ちてきた時に助けた、二十五、六歳ぐらいの、海賊船「エレノア号」の船長。当時、剣の腕と海の知識はリーデニア海一といわれていた。
無実の殺人罪で投獄され、しばり首になるはずだったが脱走し、潜り込んだ海賊船の船長の信頼を買って海賊の一員になり、船長の死後、その後を受け継いだ。
その後、恋人のエレノアが人買いに売られたという噂を聞いて各地を探し回ったが、ある時エレノアが最後に乗せられた奴隷船ごと嵐の海に沈んだと知った。その日から、元々陽気だった感情を悲しみで封じ込め、船を真っ黒に塗りたくり、リーデニア海中をまるで幽霊船のように彷徨ってはエレノアを苦しめた者を皆殺しにしていた。
未来世界から落ちたばかりの頃のユーリに自分を重ねて励まし、立ち直らせたことで自分自身を立ち直らせ、ユーリをエレノア号の仲間にして剣と航海術を教える。
ユーリの時光石の影響で百三十年以上の長い人生の中で病に倒れ、最後の一年を海賊見習いの少年だったカラザンに看病された。死後、役目を終えるエレノア号と共に海に沈めてほしいと日誌に書き残し、新しい船長のユーリにユーラスティア号を贈った。
ヌーボ
第6巻:さまよえる宝島
すべてが黄金でできているという伝説の宝島。はたしてその島はほんとうにあるのか?ユーリは時光石を壊す方法をもとめて、オーガムたちとともに出発するが……。
ディー
第7巻:指輪のちかい
金髪の子どもがあつめられているという氷の島の噂を聞き、ノエルは行方不明の弟、ヨハンを思う。その島でユーリたちが出会ったのは、なぞの老人、グリンだった。
キリナ
ギール
なめくじが這うような声で話す年老いた呪い師。
ヤルシュが生きていて行方不明になっていると乱心しているキリナに付け入り、裏では南方の商人から子供を買った代金を横流ししていた。城の崩壊時、一番に逃げ出したが、氷の割れ目に落ちかけているところを兵士に発見され、罪滅ぼしにヒカリシンジュガイを育て、氷真珠をつくる仕事をさせられることになった。
グリン
氷の王国の護衛隊の兵士。見た目は八十歳くらいの老人だが、犬橇の扱いと剣の腕に長けている。ロッシュに進言して自らユーリたちを王宮へ連れて行った。
正体は、かつてノエルたち一家を裏切り、ラドニアの滅亡を招いた家臣グリフィス。彼は当時、事故で最愛の妻と息子を亡くし、その悲しみが癒える前に現れたボルドに「ラドニアの大船団を全て沈めれば、妻と子供を生き返らせてやる」と言われ、何日も苦しみ悩んだ末に、言われた通りにラドニアが誇る大船団全てに火薬を仕掛けて一隻残らず沈めた。対抗する術が無くなり陸に上がったノエルの父に降伏を呼びかけると、ノエルの父は裏切ったグリフィスを許し、城に残った妻、ノエル、ヨハンのことを託して最後まで戦うことを選んだ。城に戻るとノエルの姿は無く、オーデニア兵に深手を負わされて胸を血で赤く染めた妃がいた。その時のグリフィスにできることは、ヨハンをつれて逃げることだけだった。戦いの後、ボルドに自分の妻子とノエルたちの両親を生き返らせるよう詰め寄ったが、ボルドは緑の時光石(グリーン・ストーン)でグリフィスを老人にして消えた。その時に初めて自分は利用されただけだったと気付き、取り返しがつかない過ちを犯してしまったことを悔んだ。その後、ヨハンを連れてオーデニアから逃げ廻り、悪者にヨハンと共にさらわれて氷の王国に連れて行かれ、ロッシュの子供をシロクマから助けたことが縁で兵士となった。剣は自前の物を使っている。城の崩壊時、崩れ落ちた瓦礫からヨハンを身を挺して助け、息を引取った。死に際に、ノエルに今までの経緯を全て話す。遺体は毛皮に包まれて海に葬られた。
第8巻:剣にかがやく星
黒マントの男、ボルドがついに城から王を追い出し、動き出した。一方、ユーリたちの前にはあやしい男が。はたしてユーリはボルドより先に赤の時光石(レッド・ストーン)を作れるのか?
第9巻:流星の歌
赤と緑の時光石を手に入れたボルドは、ユーリをおびきよせるためにノエルを狙う。そこに現れた白いマントの男の正体は?ユーリは青の時光石(ブルー・ストーン)を守れるのか?
第10巻:未来へのつばさ
つれさられたユーリのため、リーデニア海中のなかまたちがあつまった!そのとき、世界を支配しようとするボルドは…。時空をこえたたびの最後にユーリがみたものは?
用語
主に物語の核心に迫る用語を記載。
万年嵐
終盤でユーリの活躍によって打ち消された。
リーウィー族
かつて人魚と間違われて「心臓を食えば不老不死が得られる」という噂の為に人魚狩りにあい、それ以来アザラシの毛皮をかぶって移動するようになった。
虹の短剣
さまよえる宝島
その島の正体は蜃気楼と同じ光の屈折で見え隠れする土の島で、高ミネラルな地下水が湧き、外の世界には生息していない宝石のような生き物が暮らす島だった。
ルナ・リリー
ヒカリシンジュガイ
夜になると身体から光を発し、氷を溶かして中の太古のプランクトンの死骸を食べ、氷真珠を作る。
氷真珠
クリスタル・コンバートマシーン
オーデニア国では、「なんでもクリスタルに変えてしまう卵」と銘打たれて現代まで伝わり、秘宝とされた。そして、そこへ辿り着くための封印は虹の短剣がなければ開かない。
雲つき山でユーリは赤の時光石(レッド・ストーン)を作るために使った。
時空間調整機(フィールドコントロール)
単行本
全10巻出版されており、図書館版も発売された。
通常版
図書館版