居眠り磐音
以下はWikipediaより引用
要約
『居眠り磐音』(いねむりいわね)は、佐伯泰英による日本の時代小説シリーズ。全51巻およびサイドストーリーの「新 居眠り磐音」シリーズ既刊5巻。
『居眠り磐音 江戸双紙』(いねむりいわね えどぞうし)のシリーズ名で双葉文庫より書き下ろしで2002年4月から2016年1月にかけて刊行され、累計発行部数2000万部を超えるベストセラーとなった。『居眠り磐音』へとシリーズ名を改め、加筆修正を経た「決定版」が新作書き下ろしのサイドストーリーとともに文春文庫より2019年から3年にわたって刊行されている。
2017年1月より続編となる『空也十番勝負』のシリーズがスタートした。
『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』として2007年から2017年にかけてテレビドラマシリーズ化、『陽炎の辻 居眠り磐音』として2008年に漫画化された。2019年に映画化。
『居眠り般若(はんにゃ)』と、誤読、誤解される事が多く、また間違いのまま検索エンジンで検索しても『居眠り磐音』と正しく検索できる。
あらすじ
登場人物
『空也十番勝負』以降の動向は「空也十番勝負#登場人物」を参照
主人公
佐々木磐音(ささき いわね) / 坂崎磐音(さかざき いわね)
この作品の主人公。のち、佐々木磐音。九州の豊後関前藩(架空)の中老である坂崎正睦の嫡男。幼なじみの河出慎之輔、小林琴平とともに直心影流の佐々木玲圓の道場で修行(国を出る前は神伝一刀流中戸信継門下)し、3人で藩政改革を志していたが、藩の守旧派である宍戸文六らの陰謀により、自身の許嫁である奈緒の兄・琴平を討ち取ることになってしまう。傷心の磐音は、豊後を離れて浪人として江戸に戻り、江戸深川の金兵衛長屋に住み、今津屋で用心棒稼業を経てその人物を見込まれ、店の後見となる。将軍徳川家治の日光社参では世子家基の影警護として同道し、師の佐々木玲圓と共に家基を消さんとする老中田沼意次の刺客から家基を死守した。また、関前帰着前後に起きた危難にも陰ながら助け、藩主や家臣たちの信頼も厚い。後、佐々木玲圓の養子となり金兵衛の娘のおこんとも結婚、尚武館佐々木道場を継ぐが、家基の死後、田沼意次の陰謀により命を狙われ、おこんと共に江戸から離れる(後に霧子と弥助が合流)。尾張を経て、紀伊姨捨の郷で雑賀衆の庇護を受けて一子空也を儲ける。2年半を過ごした後江戸に戻り、道場を再興する。田沼一派の妨害などもあって全盛期に比べて小規模な道場となってしまったが、量より質の方針転換で20人程度の門弟を指導していた。やがて11代将軍となった徳川家斉の命により、神保小路に幕府道場として尚武館道場を再興させた。
剣を構えた姿が縁側で日向ぼっこをして居眠りしている年寄り猫のようなので、「居眠り剣法」と呼ばれている。愛刀は備前包平で、刀身は2尺7寸(約87センチ)。一度鉄釜を斬り付けて刃こぼれさせてしまったことがある。他に備前長船長義2尺6寸7分(今津屋から貰った大刀)、粟田口吉光一尺七寸三分(将軍家治の代わりに速水左近からもらった脇差)も所有している。
江戸坂崎家
佐々木こん(ささき こん)/坂崎こん(さかざき こん) / おこん
坂崎空也(さかざき くうや)
豊後関前
入り江に面した豊前白鶴城を中心とする7万石の小藩。財政が逼迫している中、藩は宍戸派と改革派に分裂して争っている。
豊後関前藩
福坂実高(ふくさか さねたか)
お代の方(おだいのかた)
お玉の方(おたまのかた)
福坂俊次(ふくさか としつぐ) / 木下俊次(きのした としつぐ)
中居半蔵(なかい はんぞう)
宍戸文六(ししど ぶんろく)
東源之丞(ひがし げんのじょう)
豊後坂崎家
坂崎正睦(さかざき まさよし)
坂崎照埜(さかざき てるの)
幼馴染
小林琴平(こばやし きんぺい)
江戸
幕閣
速水左近(はやみ さこん)
直参旗本で将軍御側御用取次を務める。佐々木玲圓道場の剣友で小野派一刀流免許皆伝の腕前を持つ。幕府内において将軍徳川家治の信任厚く、時には老中や大名よりも絶大な権力を誇る。実権を握ろうとする田沼意次を牽制しつつ、家基の将軍就任に向けて着々と準備を進める。日光社参においても玲圓や磐音らと共に影警護に徹して家基を死守したが、鷹狩りの帰りの際に田沼の息のかかった者に暗殺されしてしまう。そのため、田沼の実権掌握を許し、御役御免の上で蟄居閉門となる。その後、許されたが甲府勤番として山流しに遭い、徳川御三家の助言により復帰するまでの3年余の間、家族と別れて過ごすことになる。甲府勤番時代は善政を敷き、歴代勤番の中でも実直だと噂された。江戸への道中で田沼の命を受けた刺客に襲われるが磐音たちが駆けつけて無事帰着した。帰着後は奏者番に昇格し、敵対する田沼意知と同格となった。その後寄合席に入っていたが、11代将軍徳川家斉の命により再び御側御用取次に返り咲いた。杢之助、右近の2人の息子も佐々木道場の門弟。
今津屋
今津屋吉右衛門(いまづや きちえもん)
佐紀(さき)
佐々木玲圓道場 / 坂崎道場
佐々木玲圓(ささき れいえん)
佐々木えい(ささき えい)
依田鐘四郎(よだ かねしろう) / 本多鐘四郎(ほんだ かねしろう)
松平辰平(まつだいら たっぺい)
重富利次郎(しげとみ としじろう)
重富霧子(しげとみ きりこ) / 霧子(きりこ)
小田平助(おだ へいすけ)
田丸輝信(たまる てるのぶ)
南町奉行所
笹塚孫一(ささづか まごいち)
品川家
品川柳次郎(しながわ りゅうじろう)
竹村家
竹村武左衛門(たけむら ぶざえもん)
竹村早苗(たけむら さなえ)
竹村秋世(たけむら あきよ)
竹村修太郎(たけむら しゅうたろう)
その他
おそめ
鉄五郎(てつごろう)
桂川桜子(かつらがわ さくらこ) / 織田桜子(おだ さくらこ)
鵜飼百助(うかい ももすけ)
箱崎屋次郎平(はこざきや じろべい)
作品リスト
本編
- 陽炎ノ辻 居眠り磐音(一) 決定版(2019年2月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791219-2)
- 寒雷ノ坂 居眠り磐音(二) 決定版(2019年3月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791239-0)
- 花芒ノ海 居眠り磐音(三) 決定版(2019年3月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791240-6)
- 雪華ノ里 居眠り磐音(四)決定版(2019年4月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791259-8)
- 龍天ノ門 居眠り磐音(五)決定版(2019年4月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791260-4)
- 雨降ノ山 居眠り磐音(六)決定版(2019年5月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791282-6)
- 狐火ノ杜 居眠り磐音(七)決定版(2019年5月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791283-3)
- 朔風ノ岸 居眠り磐音(八)決定版(2019年6月9日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791299-4)
- 遠霞ノ峠 居眠り磐音(九)決定版(2019年6月9日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791300-7)
- 朝虹ノ島 居眠り磐音(十)決定版(2019年7月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791317-5)
- 無月ノ橋 居眠り磐音(十一)決定版(2019年7月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-791318-2)
サイドストーリー
磐音と奈緒の幼年期から青年期を描いた、本編で描かれなかった5篇の前日譚。
利次郎、辰平、霧子の青春の日々を描く。
品川柳次郎とお有の祝言の日や、磐音をめぐる人々の運命の一日を描く。この巻から「新 居眠り磐音」のシリーズ名が付けられる。
若き日のおこんを描いた二作。
幸吉とおそめの職人として成長していく日々を描く。
その他作品
- 「居眠り磐音江戸双紙」読本(2008年1月、ISBN 978-4-575-66315-0)
- 読み切り中編「跡継ぎ」収録
- 居眠り磐音 江戸双紙 帰着準備号(2011年10月16日、ISBN 978-4-575-66525-3)
- 読みきり中編「橋の上」(『居眠り磐音 江戸双紙』 青春編)収録
- 吉田版「居眠り磐音」江戸地図 磐音が歩いた江戸の町(吉田喜久雄地図作成、佐伯泰英監修 ISBN 978-4-575-66540-6)
- 江戸地図1枚(地図サイズ:縦75cm×横80cm)
- 索引小冊子(16ページ)
- 特製しおり6枚セット
読み切り中編「跡継ぎ」収録
読みきり中編「橋の上」(『居眠り磐音 江戸双紙』 青春編)収録
江戸地図1枚(地図サイズ:縦75cm×横80cm)
索引小冊子(16ページ)
特製しおり6枚セット
テレビドラマ
『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』としてテレビドラマシリーズ化され、2007年にNHKの「木曜時代劇」で、2008年と2009年に「土曜時代劇」で放映された。また、2017年には「正月時代劇」で完結編が放映された。主演は山本耕史。
映画
『居眠り磐音』のタイトルで映画化され、2019年5月17日公開。主演は松坂桃李。監督は本木克英、脚本は藤本有紀。
佐伯泰英作品の初めての映画化。松坂は時代劇初主演。
製作
撮影は2018年3月から4月にかけて大分県杵築市および京都近郊にて行われた。
宍戸文六役はピエール瀧で撮影が行われていたが、2019年3月12日に発覚した瀧の不祥事を受けて、3月29日に代役として奥田瑛二が起用されることが発表され、出演箇所を再撮影して差し替え、当初の予定通り5月17日に全国公開された。これにともない4月4日に予定されていた完成披露イベントでの本編上映は中止となった。
キャスト
- 坂崎磐音:松坂桃李
- おこん:木村文乃
- 奈緒:芳根京子
- 小林琴平:柄本佑
- 河出慎之輔:杉野遥亮
- 佐々木玲圓:佐々木蔵之介
- 宍戸文六:ピエール瀧 → 奥田瑛二
- 由蔵:佐戸井けん太
- 毘沙門の統五郎:比留間由哲
- 東源之丞:和田聰宏
- 竹村武左衛門:高橋努
- 品川柳次郎:荒井敦史
- 坂崎伊代:南沙良
- 鉄五郎:ベンガル
- 川合久敬:桜木健一
- 蔵持十三:水澤紳吾
- 黒岩十三郎:阿部亮平
- 上野伊織:永瀬匡
- さよ:川村ゆきえ
- 河出舞:宮下かな子
- 松吉:山本浩司
- 佐兵衛:有福正志
- 日村綱道:菅原大吉
- 三浦屋庄右衛門:陣内孝則(特別出演)
- 甚兵衛:橋本じゅん
- 邦右衛門:早乙女太一
- 高尾太夫:中村ゆり
- 天童赤児:波岡一喜
- 坂崎正睦:石丸謙二郎
- 坂崎照埜:財前直見(友情出演)
- 田沼意次:西村まさ彦(友情出演)
- 今津屋吉右衛門:谷原章介
- 金兵衛:中村梅雀
- 阿波屋有楽斎:柄本明
スタッフ
- 原作:佐伯泰英『居眠り磐音 決定版』(文春文庫刊)
- 監督:本木克英
- 脚本:藤本有紀
- 音楽:髙見優
- 主題歌:MISIA「LOVED」(アリオラジャパン)
- 企画・プロデュース:藤村直人
- 製作:今村司、大角正、谷和男、中部嘉人、有馬一昭、安部順一
- エグゼクティブ・プロデューサー:伊藤響、吉田繁暁
- プロデューサー:西麻美、福島大輔
- ラインプロデューサー:砥川元宏
- 撮影:安田雅彦
- 照明:はのひろし
- 美術:原田哲男、倉田智子
- 録音:山本研二
- 編集:川瀬功(J.S.E.)
- 整音:鈴木肇
- 音響効果:岡瀬晶彦
- 装飾:郷原慶太、中込秀志
- アクションコーディネーター:諸鍛冶裕太
- VFXプロデューサー:齋藤大輔
- VFXディレクター:土師翔太
- 演技事務:城野浩人
- 制作担当:高塚映里香、村山大輔
- 記録:西岡智子
- 宣伝プロデューサー:西田雅之
- 音楽プロデューサー:千陽崇之
- 音楽ディレクター:岩﨑充穂
- 助監督:井上昌典
- 配給:松竹
- 制作プロダクション:松竹撮影所
- 制作協力:松竹映像センター
- 企画:日本テレビ放送網
- 製作:映画「居眠り磐音」製作委員会(日本テレビ放送網、松竹、読売テレビ放送、文藝春秋、イオンエンターテイメント、読売新聞社、札幌テレビ放送、宮城テレビ放送、静岡第一テレビ、中京テレビ放送、広島テレビ放送、福岡放送)
漫画
『陽炎の辻 居眠り磐音』と題してかざま鋭二の作画により漫画化された。
『居眠り磐音 IWANE』として双葉社の漫画雑誌『A-ZERO』に2008年7月の創刊号より連載を開始し、『A-ZERO』の看板作品となっており表紙率が高く、毎号50ページ越えで連載された。2009年6月にて同誌休刊後、『漫画アクション』(同社刊)に移籍して『陽炎の辻 居眠り磐音』と改題し7月21日発売号より連載、アクションコミックスから単行本化された。全11巻。
作画のかざまはゴルフ漫画で有名な漫画家であるが、時代劇漫画は初挑戦。しかしそれを感じさせない作品になっている。
単行本
- かざま鋭二 『居眠り磐音 江戸双紙』双葉社《ACTION COMICS》 全11巻
- 第1巻(2009年1月15日、ISBN 978-4-575-83569-4)
- 第2巻(2009年1月15日、ISBN 978-4-575-83570-0)
- 第3巻(2009年4月11日、ISBN 978-4-575-83614-1)
- 第4巻(2009年7月21日、ISBN 978-4-575-83651-6)
- 第5巻(2010年1月28日、ISBN 978-4-575-83723-0)
- 第6巻(2010年5月28日、ISBN 978-4-575-83770-4)
- 第7巻(2010年9月28日、ISBN 978-4-575-83816-9)
- 第8巻(2010年12月27日、ISBN 978-4-575-83851-0)
- 第9巻(2011年3月28日、ISBN 978-4-575-83884-8)
- 第10巻(2011年6月28日、ISBN 978-4-575-83918-0)
- 第11巻(2011年9月28日、ISBN 978-4-575-83969-2)
コンビニコミック
- かざま鋭二 『居眠り磐音 江戸双紙』双葉社《ACTION COMICS 5coinsアクションオリジナル》
- 第1巻(2008年12月4日、ISBN 978-4-575-99435-3)