後宮小説
以下はWikipediaより引用
要約
『後宮小説』(こうきゅうしょうせつ)は、 酒見賢一のデビュー作となるファンタジー小説。1989年(平成元年)の第1回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。1989年12月1日に新潮社よりハードカバーで刊行され、1993年4月25日には新潮文庫より文庫版が発売された。1990年にはこの小説を原作に『雲のように風のように』のタイトルでテレビアニメスペシャルが制作され、日本テレビ系列局で放送された。
概要
中国哲学や中国史に依拠した独特の記述法は、『素乾書』・『乾史』・『素乾通鑑』に依拠して歴史事実を記載した小説という体裁を採用し、ファンタジーノベル大賞選考会では井上ひさしにより「シンデレラと三国志と金瓶梅とラストエンペラーの魅力を併せ有す、奇想天外な小説」と高く評価された。
恩田陸、千葉ともこ、清水朔などの作家が、本作に影響を受けたと語っている。
あらすじ
現代の暦で見れば1607年のこと、素乾国で皇帝腹宗の崩御に伴い即位する新皇帝の後宮整備が行われることになった。宮女募集が行われた緒陀県で、14歳の銀河がこれに応募し、後宮の教育機関である女大学に学ぶこととなった。銀河を含む一行は都城である北師へと旅立つ。その道中で義賊である平勝と厄駘に出会うこととなり、これが後に物語の重要な伏線となる。
北師に到着し、宮女としての教育を受けることになるが、天真爛漫であり、儒学の思想にとらわれない銀河は、仲間や師となる瀬戸角人と出会い、その中で房中術に基づいた奇抜な後宮哲学を学んでいくこととなる。
その時期、宮廷では新皇帝に即位した双槐樹に対し、異母弟である平菊を即位させようという琴皇太后一派による皇帝暗殺計画が進められる。そのような状況の中、銀河は双槐樹と瀬戸角人の遠謀によって正妃として立后される。
宮廷内の陰謀が渦巻く中、銀河が北師に向かう道中で出会った平勝と厄駘が、退屈しのぎという理由で挙兵を行った。この反乱軍を利用して、平菊擁立を目指す琴皇太后は瀬戸角人の弟子である菊凶と通じ、反乱軍を宮廷に導こうとする動きが発生する。
渾沌(厄駘より改名)はこの琴皇太后の陰謀を退け、幻影達(平勝より改名)は北師攻撃を実行する。反乱軍を過大に評価した宮廷内では、もはや武力で反乱軍に対抗する術もなく、数百人の宮女達が住まう後宮もその略奪対象として攻撃を受けることになる。
後宮を守るべく、銀河は宮女や宦官と協力し、幻影達の軍勢に対抗していくことになる。
主な登場人物
双槐樹(コリューン)
設定
架空の史料
小説中で挙げられる史料は下記の通り。
- 『後宮七典』
- 『女大学』
- 『素乾書』
- 『乾史』
- 『素乾通鑑』(天山遯)
- 『素乾城の思い出』(エリサレム・ジャコメル著)
- 『箕松先生随文』巻3
架空の皇帝
小説中で名前の現れる素乾国の皇帝は下記の通り。
- 衒宗(げんそう) - 腹宗の6代前
- 狄宗(てきそう) - 腹宗の4代前
- 腹宗(ふくそう) - 双槐樹の父、後宮で腹上死したという伝説が残っている
- 槐宗(かいそう) - 双槐樹
- 黒耀樹(こくようじゅ) - 槐宗と銀正妃(銀河)の子、後に乾朝を建国、神武帝と称される
架空の紀年法
小説中で使用される素乾国の元号は下記の通り。
- 腹英:1573年 - 1607年
- 槐暦(かいれき):1608年
書誌情報
- 後宮小説 (新潮社、1989年12月発行、ISBN 4103751010)
- 後宮小説 (新潮文庫、1993年4月発行、ISBN 4101281114)
- 文庫版の表紙は駄場真弓が、解説は矢川澄子が担当した。
- 文庫版の表紙は駄場真弓が、解説は矢川澄子が担当した。
テレビアニメ
1990年3月21日に日本テレビ系で放送された。テレビアニメ化されるにあたり、人物設定などが大きく変更されている箇所もある。