小説

忍ぶ川


題材:河川,



以下はWikipediaより引用

要約

『忍ぶ川』(しのぶかわ)は、三浦哲郎の小説、またそれを原作とした映画、ドラマ化作品である。小説は『新潮』1960年10月号に掲載、同年に第44回芥川賞を受賞した。

三浦自身の私小説ともいわれ、私大苦学生の「私」は、東京深川の料亭「忍ぶ川」で働く不幸な生い立ちの志乃と知り合い、「私」の郷里青森県八戸で結婚、初夜を迎えるまでの過程を叙情的に描く。

映画

映画『忍ぶ川』は1972年5月25日公開。俳優座作品。東宝配給。モノクロ・スタンダード作品。

  • 併映は『白鳥の歌なんか聞こえない』

(原作:庄司薫、監督:渡辺邦彦、主演:岡田裕介)。

キャスト
  • 志乃:栗原小巻
  • 哲郎:加藤剛
  • 哲郎の父:永田靖
  • 哲郎の母:滝花久子
  • 文哉:可知靖之
  • 次兄:井川比佐志
  • 亜矢:山口果林
  • 美那:片山真由美
  • 香代:岩崎加根子
  • 志乃の父:信欣三
  • 志乃の母:阿部百合子
  • 要:鹿野浩四郎
  • 小夜子:大西加代子
  • 「忍ぶ川」の女将:木村俊恵
  • 木村幸房:滝田裕介
  • 課長・木村の上司:稲葉義男
  • 列車の乗客1:菅井きん
  • 哲郎の学友・潮田:鶴田忍
  • 射的の若い男:橋本功
  • 卒業生A:河原崎次郎
  • 哲郎の学友A:松野健一
  • 街の女:桧よしえ、野中マリ子
  • ほか:新田勝江、谷育子、宮川真理、立花一男、小出敬三、小林亘
スタッフ
  • 監督:熊井啓
  • 製作:佐藤正之、椎野英之
  • 脚本:長谷部慶治、熊井啓
  • 撮影:黒田清巳
  • 音楽:松村禎三
  • 美術:木村威夫
  • 編集:井上治、丹治光代
  • 録音:太田六敏
  • 照明:岡本健一
  • スチール:岩井隆志
  • 監督補佐:宮川孝至
  • 助監督:佐川功
  • 製作担当:森園忠
  • 題字:賀茂牛道人
  • 協力:米沢市役所、米沢新聞社
製作

三浦哲郎の原作が発表された1960年に東宝が映画化権を獲得。当時熊井啓は日活の助監督だったが、映画化しようと脚本を書き上げた。また松竹の前田陽一も三浦と早大時代の友人で、岩下志麻を主役に映画化を目論んだが、松竹に蹴られた。そこで前田は熊井に話を持ち掛け、熊井を三浦に紹介、三浦から「僕が諦めない限り他の誰にも映画化権を渡さない」という約束を取り付けた。そこへ吉永小百合事務所が企画、映画化権の取り合いになった。

熊井は構想段階では吉永小百合を主演に予定していたが、劇中のシーンの問題などから吉永の親族と軋轢を起こし、結局吉永の主演が実現しなかったばかりか、後に吉永の母の手記で名指しされ痛烈に批判されるなど、しこりが残った。映画の実現まで10年以上を要したため、幻の企画と呼ばれた。

撮影

当時としては珍しい一年がかりの撮影。原作の八戸を始め、日本各地をロケハンし、初夜シーンの撮影は山形県米沢市に最終決定した。1971年2月15日に当地でクランクインを予定していたが、熊井が深酒で胃を壊し喀血。病院に担ぎ込まれたが危険な状態で、録音の太田六敏らが輸血を買って出て一命を取りとめた。このため熊井の療養が夏までかかり、1971年7月9日、改めて夏のシーンからクランクインした。1972年2月14日からは冬の米沢ロケ。この年の米沢は70年ぶりの暖冬といわれ、例年なら軒先まで積もる雪が少なめで30センチ程度。初夜シーンの撮影は当地の李山(すももやま)の築150年の農家で行われた。撮影を前に熊井は「はやりのポルノ映画ではなく、これは日本の伝統的な儀式であり、二人の生への復活でもある」と説明した。また栗原小巻は「この作品を大女優への踏み台にしたい。本当は心配なんですけど、しょうがありませんわ。女優ですもんね。全裸シーンだけに関心を持たれると困るんですけど、スタンドインにはお世話にならないつもりです」と意を決した。

米沢ロケは栗原と加藤剛、栗原の姉役の山口果林が参加したが、山口がちょうどNHKの朝ドラ『繭子ひとり』のヒロインを務めていたため、建立300年という普門寺での法要シーンの撮影では、栗原以上にファンからのサイン責めに遭い、悲鳴を上げた。

作品の評価

最終的にヒロイン志乃を演じた栗原小巻はその容姿、演技力と、大女優には珍しいヌード・シーンが評判となり、この映画は『栗原の代表作の一つ』となっている。なおキネマ旬報の最優秀女優賞では、僅差で栗原小巻が伊佐山ひろ子に敗れ、これも映画界で大いに話題になった。

テレビドラマ
1961年版

1961年1月22日にTBS「東芝日曜劇場」枠にて放送された。

キャスト
  • 大空眞弓
  • 山本勝
  • 前田昌明
  • 穂積隆信
  • 山田巳之助
  • 浦辺粂子
  • 山岡久乃
  • 御橋公
スタッフ
  • プロデューサー - 石井ふく子
  • 制作 - TBS
1962年版

1962年1月21日に『続・忍ぶ川』のタイトルで、TBS「東芝日曜劇場」枠にて放送された。

キャスト
  • 山本勝
  • 大空眞弓
  • 山田巳之助
  • 浦辺粂子
  • 山岡久乃
  • 風見章子
  • 一の宮あつ子
スタッフ
  • プロデューサー - 石井ふく子
  • 脚本 - 八住利雄
  • 制作 - TBS
1963年版

1963年1月20日に『忍ぶ川 その三』のタイトルで、TBS「東芝日曜劇場」枠にて放送された。

キャスト
  • 山本勝
  • 大空眞弓
  • 内藤武敏
  • 来宮良子
  • 土方弘
  • 沢ひろ子
  • 富田勝義
スタッフ
  • プロデューサー - 石井ふく子
  • 制作 - TBS
1975年版

1975年7月7日 - 8月29日にTBS「花王 愛の劇場」枠にて放送された。

キャスト
  • 上村香子
  • 横光勝彦(現・横光克彦)
  • 清水信一(現・真実一路)
スタッフ
  • 制作 - 国際放映、TBS

TBS 花王 愛の劇場
前番組 番組名 次番組
赤い殺意
(1975.5.6 - 1975.7.4)
忍ぶ川
(1975.7.7 - 1975.8.29)
ここに幸あり
(1975.9.1 - 1975.10.31)

2000年版

2000年3月8日に『にっぽんの名作・朗読紀行「忍ぶ川」』のタイトルで、NHKBShiにて放送された。

キャスト
  • 朗読 - 三浦友和
  • 聴き手 - 高橋かおり
スタッフ
  • 演出 - 大林宣彦 
  • プロデューサー - 川村尚敬
  • 制作 - NHK
  • 共同制作 - KAZUMO
  • 美術-竹内公一