忍者と極道
以下はWikipediaより引用
要約
『忍者と極道』(にんじゃとごくどう)は、近藤信輔による日本の漫画作品。
概要
本作の詳細
- 現代日本を舞台に抗争を繰り広げる忍者と極道を描くアクション漫画。WEBアプリ『コミックDAYS』で2020年1月20より連載中。当初タイトルの読みは「しのはときわみ」だったが、読者の混乱を避けるため改題された。
- 近藤にとって初の青年漫画。キャッチコピーは「決めようか、忍者と極道、どちらが生存(いき)るか死滅(くたば)るか。」。生首が飛ぶ、人体に穴が開くなどの凄絶な描写が多い。演出として、登場人物の台詞に通常とは違うルビ(例:「裏社会(ウラ)」「悪事(わるさ)」「来襲(く)る」)が数多く振られている点も特徴。
- 連載決定後の2019年2月、ウェブコミック投稿サイト『DAYS NEO』で「作画コンペ」が行われ、金木令が作画担当に抜擢された。しかし、製作途上で金木は降板してしまい(近藤は自らに責任があると述べている)、作画も近藤が担当することとなった。本作は近藤にとっては初めて重版された作品となった。
- 2021年10月23日から11月14日まで大阪の画廊モモモグラにて、本作初となる原画展を開催。
- 2022年1月、しばらくの間近藤の「心身のメンテナンス」を理由とした休載となることが発表されたが、2023年5月1日より連載が再開された。
「外伝」の公開
- 本作の「外伝」は期間限定で公開が行われている。紙媒体ではページ数の制限があるためヒット作でない限り外伝の掲載が難しい一方、Webマンガには制限が存在せず、インターネットの特性を活かしている、と講談社の草野真一は分析している。
- 『獅子の華』は『コミックDAYS』において第9話~第13話と並行して連載された全5話の中編。昭和20年を舞台に、「暗刃」誕生秘話を描く。本エピソードは連載以前のネームの掲載の為、ペン入れが行われておらず、セリフも手書きのまま掲載された。その後、単行本第2巻発売にあたり、2020年7月6日から7月13日にかけて無料公開が行われ、後に無期限で無料公開された。
- 『最狂悪童伝ガムテ』は『コミックDAYS』において公開された短編。前後編の2話構成で、2020年10月19日の初公開後、不定期に公開されていたが、2021年10月現在ではいつでも読めるよう公開されている。本編の少し前、偉藤幽華が割れた子供達に加入するまでを描く。
あらすじ
本編
1657年、明暦の大火の裏で起きた裏江戸守護番・神賽惨蔵と始祖の極道・江戸一の大任侠・幡随院長兵衛の死闘を発端とする忍者と極道の因縁は現在も続いていた。
極道は、社会から孤立してしまった人々の唯一の居場所となる一方で、数々の悪事を行い、極道を滅ぼそうとする忍者から度重なる襲撃を受けてきた。竹本組“裏組長”兼“破壊の八極道”の一人「輝村極道(きむら きわみ)」は、忍者を死滅させるべく、身体能力を異常強化する“地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)”という麻薬を使い、悪事を嗅ぎつけてやってくる忍者をおびき寄せるため都内各所で派手な騒動を起こし始める。この騒動で、法や権力に囚われず極道の悪事を阻止する忍者集団“帝都八忍”の一人が殺され、「多仲忍者(たなか しのは)」を含む同士は極道への復讐に燃える。
その一方で、表向きは高校生として暮らす少年「忍者(しのは)」と、表向きはエリートサラリーマンとして暮らす青年「極道(きわみ)」は女児向けアニメ・プリンセスシリーズの話題で意気投合し、お互いの素性が「忍者と極道」であることを知らぬままに友情を結ぶ。
外伝『獅子の華』
ある日、忍者が『でいびす』を訪れると、いつもとは異なる味の珈琲が出された。淹れた壊左によれば、代用食として戦中戦後に提供していたたんぽぽコーヒーだという。たんぽぽコーヒーを口にする忍者を見て、壊左は在りし日の友の事を思い出していた。
昭和20年3月。アメリカ軍と結託した極道は、東京大空襲の最中に都民を避難させようとした忍者を強襲。惨蔵と壊左を残し、全ての忍者が討死を遂げた。壊左は主犯の獅子面を被った極道に襲い掛かるも、返り討ちに遭い右眼を負傷してしまう。
月日は流れ、敗戦の末に焼け跡となった東京で、壊左は一人の男と出会う。男の名は輝村獅門。「母の珈琲」の味を求めて流離う獅門に、壊左がたんぽぽコーヒーを提供したことで、奇妙な絆が生まれる。互いの正体を知らぬまま、獅門と壊左は無二の親友となるが、互いに過酷な運命を辿ることを知る由もなかった。
外伝『最狂悪童伝ガムテ』
赤見原中学校の生徒会長を務める偉藤幽華は、学内有数の問題児である輝村照の奇行に困らされながらも対峙していた。建設現場の屋上、落下すれば無事では済まないであろう位置から人込みを眺め、意味不明な数値を呟く照。幽華は生徒会長としての責任感から照に安全な場所に戻るよう説得を試みるが、彼は聞く耳を持たずに飛び降りを敢行し、凄まじい運動能力を発揮してほぼ無傷で地上に降り立った。
結局、照の父である極道が学校に呼び出しを受ける事態にまで発展したが、そんな大事へ対応した事実も幽華にとってはあまり苦には感じられなかった。ついに幼い頃からの夢の実現の一歩、ロシアへのバレエ留学が叶う日が間近に迫っていたのだ。しかし帰宅した彼女に、すべてを失う悲劇と、思いもよらぬ出逢いが待ち構えていた。
用語解説
帝都八忍(ていとはちにん)
本拠地『烏合の巣』は巣鴨のとあるビルの地下に隠されており、エレベーターの1Fと2Fのボタンを同時に1秒間50連打することで直通する。
東京以外にも大阪を拠点とする浪速拾忍など日本各地に忍者の集団がいたが、破壊の八極道の1人・砕涛華虎の襲撃を受けて壊滅している。
忍手"暗刃"(しのびて"あんじん")
編み出される以前は苦無などの武器を使っていたが、太平洋戦争の影響で武器が枯渇してしまったため、極道の忍者狩りにて大敗を喫することになった経験から、「武器に頼らない」「銃器を超える速度の」無手の技が必要となった事から開発された技。
中指を頂点として人差し指と薬指、親指と小指をそれぞれ合わせ円錘状にする事で、拳速の障壁となる音速を超える際に生じる空気抵抗を極限まで細め放つ事で、音速以上の速度と貫通力を生む近代兵器以上の素手の技となった「弾丸の象形拳」。
習得には壊左が作成したカリキュラムを少なくとも2~3年は耐え抜くは必要があるが、常人であれば9割程度が死ぬ程過酷であり、その後も日常的に型を維持する必要がある。
忍手"潰礫"
べしゃり烏(ガラス)
鼠坊衆(チューボーズ)
極道技巧(ごくどうスキル)
地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)
服用することで身体の異常活性化を引き起こし、忍者に匹敵するほどの肉体能力と視覚強化を得た上、抉れた肉体を見る間に修復する再生能力と、周辺を更地に変えるほどの爆発にも耐える外皮を得るという凄まじい身体強化を得られる。効果時間は一度の舌下接種で最低90分。なお再生能力には限界があり、重大な欠損までは再生不可能で、胃酸にも弱く一度飲み込んでしまったものを再利用する際は数舜のみ効果が使える程度まで薬効が減衰する。効果が出ている間は両目の周りに罅割れに似た模様が浮き上がる。
人間以外の生物にも効果はあり、投与されたネズミはヒグマを倒すまでに凶暴化した。人間の限界まで身体能力を鍛え抜いた忍者には効果がない。
二枚摂取
忍災孤児
MP(マサクゥルポイント)
一般の子供は10P、一般の大人は100P、極道の構成員は500P、極道の本部長は3000P、10万超えはVIP級、昔の 極道は80万P、忍者は一律100万Pが設定される。
歌舞伎町地下倶楽部
帝都高速道路
プリンセスシリーズ
限定商品の販売日にはグッズ販売店で長蛇の列ができるほどに人気があり、熱狂的なファン("プリオタ"と呼ばれる)も少なくない。
後述のフラッシュ☆プリンセスでは「宿敵同士の友情」「主人公の師匠を宿敵が殺す」など本編にもリンクしたストーリーが展開されている。
元ネタはプリキュアシリーズ。単行本カバー裏やおまけページには詳細な設定が記載されている。
フラッシュ☆プリンセス
プリンセスシリーズの第6作(4代目)。「二つの正義の対立」や「容赦なく散りゆく仲間たち」など高いストーリー性で知られる。
忍者並びに極道が最も好きなシリーズで、極道が組事務所に保管していたブルーレイを視聴し、夢中になった忍災孤児トリオも本作を好んでいる。元ネタと違って、味方側の登場人物が次々と戦死している。
シリーズディレクターに師水ジョーンズ、キャラクターデザインに羅川ひさし、音楽に鷹梨靖治が務め、主役の撫子アブは王騎さなえが担当していた。
プリストロベリー/撫子アブ
「フラッシュ☆プリンセス」の主人公の一人。「漢女」と称される。互いに正体を知らないまま敵対組織の女王・ヒースと友情を深めたが、のちに激突することになる。
ヒース/東山セツ
「フラッシュ☆プリンセス」の敵組織「ソリテール」の女王。孤独から生まれる怪物たちを愛し守ろうとする。忍者と極道は彼女の熱狂的なファンで「ヒース様」と呼ぶ。互いに正体を知らないままプリストロベリーと友情を深めたが、のちに激突することになる。
本名の「ヒース」は花のエリカに由来している。
フィーリングッド♥プリンセス
プリンセスシリーズの第17作。本編時点での放送中のプリンセスシリーズで、作中でもオフィシャルショップにて主題歌が流れている描写がある。シリーズ構成の香森は作品にて女性の在り方に一石を投じる意思を示しており、賛否両論の展開が予想されている。
のろか
「フィーリングッド♥プリンセス」の主人公。変身後の名称は不明。母性溢れる性格であり、忍者は彼女がダリーヤンを癒し、改心させると見ている。
ダリーヤン
「フィーリングッド♥プリンセス」の敵幹部。主人公であるのろかと特別な因縁が示唆されている。
トロピカルンバ!プリンセス
プリンセスシリーズ18作目。本編時点では未放送で情報も一般公表されていないが、プリンセスシリーズのスポンサー企業に勤める極道はタイトルを知っており、死地に赴く忍者に次回作の存在をリークした。
デカモリパトス☆プリンセス
プリンセスシリーズ19作目で作中の再来年に当たる2022年度公開予定のプリンセスシリーズ。極道が再来年分まで完了させていた企画書に名前のみが登場。
ふたりはプリンセス
なぎ
ほのほ
ヒポポタマスマイク
登場人物
忍者
多仲忍者(たなか しのは)
主人公の一人、高校生で15歳。“帝都八忍”の一人。プリンセスシリーズの熱狂的ファンであり、その縁で極道との深い友情が結ばれた。
幼い頃、一人の極道によって家族を惨殺された現場を目視してしまい、その過去によるトラウマから笑うことができなくなり、「自分と同じように極道に因って笑えない人を生ませない」という意志の下、悪事を働く極道を狩っている。笑えない事がネックで他者とのコミュニケーションに苦しんでおり、学校でも孤立していて友人がいないが、心優しい性格の持ち主。その本質を知る帝都八忍や極道からはとても大切に思われている。
他の忍者と違い特異体質は持ち合わせていないが、暗刃を極めていることからその戦闘技能は他の忍者からも一目置かれている。惨蔵からは「誰よりも貫く男」と評価されている。忍者としての仕事は小学校低学年の頃から行っていた模様で、そのときすでに暗刃を習得している。
名前は生まれつきのものではなく、家族を惨殺された直後に惨蔵のもとに引き取られた際に名付けられたもの。
暗刃「暗打豪落」(あんだごうら)
璃刃壊左(あきば かいざ)
暗刃の産みの親。東京忍者達の師匠。“帝都八忍”の第二席。94歳。
頭が切れ、惨蔵曰く「新しい事を考案する」才に長ける。普段は銀座で喫茶店「でいびす」を営んでいる。
両腕を長く自在に伸ばす異能“如意暴”を持つ。
赤坂の料亭「京兆」で極道達の大集会に強襲。多くの極道達の首を刈り取るが、“地獄への回数券”をキメた極道との一騎討ちで敗れ、最後の力を振り絞り自爆。多くの極道を道連れにするも、“破壊の八極道”らは事前に“地獄への回数券”をキメていた為全員が生き残った。遺体は挽肉にされた上で短刀を突き刺すという形で晒し物にされ、忍者への挑発に使われた。
外伝『獅子の華』では昭和20年の若かりし頃の姿が描かれ、獅門との出会いと別れ、暗刃の開眼が描かれた。
神賽惨蔵(かさい ざんぞう)
年齢300歳以上。“帝都八忍”の長。
老若男女問わず変身する変幻自在の肉体を持つ特異体質“全姿全能”を持つ最強最古の忍者。その特異体質は他の八忍の体質すら模倣可能だが、脳は模倣できない。頻繁にその姿を変えるため、八忍ですら惨蔵と認識できない場合があるが、独特の形状の瞳で判別している。
忍者としてのプライドは非常に高く、時に長として合理的かつ冷徹な判断も下すが、同時にかなりの人情家。
かなりの野球ファンであり、逢魔賀の試合は全て観戦して好きな試合は何度も観返しているほど。
外伝『獅子の華』では昭和20年の姿が描かれる。当時はパンパンに扮し、米兵らから諜報活動を行っていた。仲間の仇を討ち壊左の技を完成させるため、地上げ屋に変装し獅門に壊左抹殺を依頼する。
祭下陽日(まつもと のどか)
新宿・早世大学法学部の大学生、“帝都八忍”の末席。20歳。
優しい性格で、忍者と1番仲が良い。忍者と共通の話題を持つためにプリンセスシリーズを見始め、初代のブラックを気に入る。学内ではそのルックスや私生活の窺えないミステリアスさから隠れファンが多い。
超高熱を発する特異体質“灼華繚乱”の持ち主。一瞬にして“地獄への回数券”服用者すら炎上させるほどの高熱を放ち、角質を飛ばすことで遠方の相手を焼く。また、空気を熱して浮遊・飛行も可能。
その体質ゆえに肉親からも疎まれ、預け先の孤児院の院長に裏切られて臓器を売られそうになったことで特異体質が暴走。絶望して自殺を図るも忍者に救われ、忍者にスカウトされた。
カブチカで竹本組を壊滅させ、なんとか夢澤の口内から“地獄への回数券”を入手するも、駆け付けたガムテと殺島から致命傷を受ける。ガムテとの交戦を終えて己の死を宣告した忍者に読唇術を通じて“地獄への回数券”を託し、出会ってからの思い出や感謝の言葉を語り「全部伝えられた」と微笑みながら息絶える。
病田色(やまだ しき)
“帝都八忍”の一人。目元を長い前髪で隠したセクシーな女性。28歳。
天才とされる斗女程ではないがIT技術に長け、高い事務処理能力を持つため、通常時は表の職業を持たず他の忍者のサポートに徹している。
元々は一般人だったが、極道の抗争に巻き込まれて両親を亡くしたことを切っ掛けに忍者となることを決意、特異体質を得るための荒行として劇物を摂取した副作用で顔の上半分が酷く爛れ、髪の毛で隠している。まだ幼かった忍者にその顔を「綺麗」と評されたことが切っ掛けで、忍者に想いを寄せるようになる。荒行における痣の治療を試みていた左虎にはその辺りの事情を全て知られている模様。
壊左殺害の犯人が、忍者のプリオタ仲間である極道だと知るが、誰にも(忍者や惨蔵にすら)知らせずに極道を殺そうと決意。殺島の帝都高暴走の際にガムテと対峙するが、忍者の卓越した視力でその場に近づいてくる極道を視認したことで動揺した隙を突かれ、極道技巧“疒”を食らってしまい敗北。死の間際極道とガムテを道連れにしようとするが、ガムテの進言によって一歩及ばず逃げられてしまう。極道らが逃走した後に駆け付けた忍者から「綺麗」と言葉をかけられ、感涙しながら息絶える。
雄鷹斗女(おだか とめ)
“帝都八忍”の一員。世界的企業のCEOから「100年先の頭脳」と絶賛される天才少女。見た目は10代前半ぐらいだが、言葉遣いはやや訛りがあり、人前で寝転がって放屁したり、対峙した極道の女性を"チャンネー"と呼ぶなど、実年齢と外見に開きがあることをうかがわせる言動が散見される。
仕事で米国に行っていたが、色からのメールを受け取った後、世界的企業に自分の開発成果を全て譲り渡し、漫画やアニメの美形キャラクターを模して作った人型ロボット集団”忍巧美男衆”を率いて日本に到着、首相官邸に乗り込んで「割れた子供達」の掃討を開始する。
両手両足は機械化しており、ロケット噴射で飛行、暗刃の形で発射するロケットパンチ“完全無敵乙女砲(ラブずっきゅん)”で敵の首を刈る。自分の足で移動することは緊急時以外ほとんどなく、美形青年2人組“お兄ちゃんズ”の肩に乗っていることが多い。
幼い頃、極道の強引な地上げ活動(ダンプカーで自宅に突っ込まれる)のせいで両親と兄2人を亡くした。自身は兄2人に抱きかかえられたおかげで一命は取り留めたものの、両手両足を失った上に損傷した臓器類の大半を移植等によって補わなければならないほどの重傷を負った。
忍巧美男衆(テクノビダンズ)
極道
破壊の八極道
輝村極道(きむら きわみ)
主人公の一人。“破壊の八極道”の一人。推定29~30歳。髪で隠しているが、側頭部に大きな傷跡がある。
表向きは玩具会社「ダイバン」の企画部長というエリートサラリーマン。裏では音羽組傘下二代目竹本組“裏組長”、割れた子供達創立時のメンバーで当時のMPは80万。中国拳法の心得があり、短刀と銃の扱いに長ける。また、部下の極道技巧を使用することもできる。“地獄への回数券”の元締め。
人心掌握術にたけ、目的の為なら手段を択ばない悪のカリスマ。極道を「世を外れ社会から孤立した者達の生きる寄る辺」と考えており、“孤独な者”を排除する現在の社会の破壊をもくろみ、“短刀”“銃”“麻薬”による打倒忍者を誓っている。一方で、家庭環境と事故が原因で感情の起伏が常人から大きく逸脱しており、人間らしい感情を感じることがなく、極道仲間であろうと共感しあえる人間がいない。そのことを隠し表向き自分を偽り続けているため、本心を曝け出せずにいる。なお、情や仲間意識自体はあり、夢澤や殺島の死を悼んだり、彼らの計画がうまくいったときのための祝いの席を予約していたりと、「全ての孤独な者の力になる」という想いは本物。
プリンセスシリーズの熱狂的ファン。その縁で忍者との深い友情が結ばれた。中でも『F(フラッシュ)』のダークヒロインであるヒースが大好きで、孤独な怪人を愛し守ろうとしている彼女に自分と忍者を重ねている。何に対しても芯から感情が動かないはずだったが、忍者といる時のみ心から笑ったり、つられて涙を流するなど、人間的な情緒が生まれている。年の離れた彼を友達として本気で大切に思っており、自らの命運を左右する希少な“地獄への回数券”すら「君が危機に陥った時に使うんだ」と譲り渡している。
ガムテとは複雑かつ劣悪な「親子」関係で繋がっており、あくまで「ビジネスライクな取引をする上司と部下」または「師弟」として接している。その一方、本人は一切気が付いていないが、ガムテとの歪な関係を続けた影響により、僅かながらも本来の感情(主に怒りと哀しみ)を取り戻している。
赤坂で東京中の極道を扇動し、忍者狩りを行おうとするも壊左により皆殺しにされるが、忍者を挑発すべく討ち取った壊左の遺骸を挽肉にする。その後は主に裏方に回っており、生前夢澤が嫌っていた今の歌舞伎町を爆破し死者8万人超の崩落事故を引き起こし、殺島の望む帝都高暴走のための極道車をわずか数日で3万台用意するなどしている。「割れた子供達」の総理官邸襲撃に巻き込まれた際は、ガムテの悪意を評価しながらも「このタイミングは0点だ」と告げ、自らの生存と忍者を守るために行動を開始するも、忍者の正体をガムテから知らされる。この事件後にダイバンを退社、最後の仕事は再来年度のプリンセスシリーズの企画書であった。以後、地下に潜り忍者や忍者への敵対行動を開始する。
刺青は彼の理想像である「地球をブッ壊すシヴァ」。
夢澤恒星(ゆざわ こうせい)
二代目竹本組組長で、極道の側近。“破壊の八極道”の一人。“仁義の大侠”の異名を持つ巨漢。38歳。怪物揃いの八極道の中では自他ともに認める凡夫にして最弱だが、極道からは「だからこそ彼が忍者を殺せれば極道の勝利に希望が灯る」と期待されていた。
その怪力は容易に人の首を引き抜くほど。義に篤く部下想いで堅気の人間は殺さない事を信条としているが、敵に対しては子供が虫を殺すが如く躊躇なく行う残虐性を持つ。趣味はEテレの理系番組視聴。刺青は愛と家庭円満の象徴である愛染明王。
自分より後から見習いとして入ってきた極道の知性とカリスマに惹かれ、数年前より組の実権を譲り支えている。極道の無感情について理解したうえで彼を尊敬している。
忍者達をおびき寄せるために在日米軍の施設跡地“歌舞伎町地下倶楽部”(カブチカ)で極道に反目する半グレやヤクザを殺害していたが、忍者の襲来を察知して忍災孤児トリオを逃がした後に陽日により舎弟共々火だるまにされた後、腹を貫かれ瀕死の重傷を負うが、直前に殺害していた者達の血の池で消火し、自身に刺さっていた角質から陽日の能力を解析する。反撃の為に瀕死の状態から意識を取り戻すため切腹、それに動揺した陽日に組み付いた舎弟全員の命と引き換えに極道からの誕生日プレゼントの短刀で陽日の胸を貫くも、同時に陽日の暗刃によって首を狩られ、在りし日の歌舞伎町での初代組長と舎弟達の幻影を見ながら満足げに息絶えた。
彼の死後、極道は忍者との帝都高のドライブ中に、夢澤をフラッシュ☆プリンセスの敵幹部オトコングに例えて「私には出来過ぎた仲間だった」と語っている。
殺島飛露鬼(やじま ひろき)
元“暴走師団『聖華天』”初代総長。現・講談會傘下長沢組若頭。39歳。“破壊の八極道”の一人。"暴走族神"の異名を持つ。
絶世の美貌と絶大なカリスマ性を持ち、聖華天が解散した後も黄金時代を忘れられない大人達の心の拠り所となっていた。自身の戦闘力としては八極道の中では下から二番目だが、そのカリスマ性は群を抜いている。背中の刺青は自身が率いていた暴走師団聖華天の名と燃え盛る帝都高の路線図。
暴走の際には気合い入れの為、有刺鉄線を鉢巻のように巻き、特攻服の内側には大型リボルバー拳銃を何丁も吊るしている。
聖華天が解散した後は長沢組に就職、順調に成績を伸ばして25歳で本部長の地位まで伸し上がり、当時付き合っていたノリカと結婚し愛娘である花奈を授かるが夫婦間の齟齬により離婚。親権は妻に取られ、元妻は自身の上司である長沢組組長と再婚したが、程なくして忍者による強襲にて組長と元妻は死亡、その際の混乱に因る組員の流れ弾で花奈を喪う。以降数年に渡り酒浸りの日々を過ごしていたが、その辛さを払拭できず黄金時代を夢見る中、極道と出会い「全て忍者が悪い。忍者をブッ殺そう」と持ち掛けられ承諾、復帰して若頭まで伸し上がった。上述の娘との経緯もあるのか、ガムテのことを非常に可愛がり、彼にも懐かれていた。
蒲田の多摩川河川敷から2万の仲間と共に帝都高への暴走を敢行し、池袋にて忍者と相対する。地の利を活かした”狂弾舞踏会”で忍者相手に善戦するも、”暗打豪落”により左腕を失う。さらに”世界の終わり”での奇襲も失敗し、諦めと笑みの混じった表情で首を狩られた。
死後は愛する花奈のいる天国に向かう道もあったが、「悪いことしたら責任取らないと」という意志の下、聖華天の皆と地獄の底まで出発していった。最期まで仲間を愛したその心を極道はフラッシュ☆プリンセスの敵幹部ヤンキラーに例えて「ドブネズミより美しい」と称えた。
ガムテ / 輝村照(きむら てら)
極道の息子。推定15~16歳(本編の3年前時点で中学1年生のため)。未成年の少年少女だけで構成された殺し屋集団「割れた子供達」のリーダー。MPは本編の3年前の時点で53万。忍者との決戦に二枚摂取をし、5分という時間制限と引き換えに MP 1000万を超える実力を持つことができた。その際、他の’’割れた子供達’’の能力を使用することができる。破壊の八極道”の一人。“殺人の王子様”の異名を持つ。刺青は割れた子供達のシンボルのガムテープが巻かれた両手ピースサインの髑髏。
戦闘時は髪や顔中にガムテープを張り付け、ズボンの上から裾がボロボロなプリーツスカートを履いている幼い外見の少年。その姿はフラッシュ☆プリンセスの敵幹部ガキミーラに酷似している。当初は短刀の二刀流(両手とも逆手)を武器にしていたが、左手を失ってからの帝都高での戦闘では短刀をガムテープで留めた双刃刀「Wドスドス」を獲物としていた。帝都高での戦闘の色の抵抗に因って「Wドスドス」はその場で放棄し、以降は短刀一本でのスタイルに切り替えている。
性格は軽率かつ幼稚に見えるが、相手の油断を誘うために道化を演じており、本質はかなり冷静で観察眼が鋭い。「心が壊れた子供の味方」を自称し、「高価な大人」の殺害を楽しんでいる。学習能力や閃きには優れており、戦闘中に狙って筋繊維の隙間から内蔵へ短刀を刺せる、無呼吸で30分程度なら活動できる等、超人的な技能も持つ。
極道からは認知されておらず、ただの雇用関係。本人も極道を父親と見なさず、母親と自分を見捨てた男として殺す機会を探っている。母親のことは強く慕うが、幼い頃から鼻と口をガムテープで塞がれた上で蹴られるなどの壮絶な虐待を受けており、真っ当な愛情を殆ど与えられていなかった。
「割れた子供達」以外には敵対的に振舞うことが多いが、母親と同様に「大人であることによる苦しみを持つ人間」にあたる聖華天のメンバーには好意的に接していた。また、殺島のことは"兄チャン"と呼び慕っており、彼の遺体を見つけたときは本気で号泣していた他、殺島の死後も彼への敬愛を抱き続けていた。
カブチカに突然現れ、殺島と共に瀕死の陽日にとどめを刺す。その後駆け付けた忍者の右目の辺りを斬りつけ傷を残すも、同時に暗刃で左手を切り落とされてしまい、さらに歌舞伎町崩落に巻き込まれるが生還。その後、自分がいると分かっていながら歌舞伎町を崩落させた極道を殺す為の「社会科見学」として殺島の帝都高暴走に同行し、遭遇した色を「痛覚と共に研ぎ澄ました感受性」だけで仕留めている。
帝都高暴走で「総理官邸で忍者と極道を殺す」計画を思いつくが、決定打が見つからず悩んでいたところに忍者が読書感想文コンクールの総理大臣賞に選ばれ極道もその授賞式に参加することを知り、「割れた子供達」全員を引き連れて官邸襲撃を決行する。
「割れた子供達」の幹部達が次々と忍者に殺され、一番信頼して爆弾の護衛を任せていた舞踏鳥の死を察知したことで、残る仲間達に遊び半分の殺戮から本気の殺戮への切り替えを指示するも、忍巧美男衆の登場でそれも望めなくなったため、せめて忍者の殺害だけでも成就しようと、"地獄の回数券"を2枚口に入れて忍者と対峙する。幹部達の幻影に後押しされながら忍者を追い詰めるも、忍者の実力をわずかに上回れず、両手両足を暗刃で切断され倒れる。2枚摂取の副作用で死が迫る中、目の前に立った極道に忍者の正体を語り、その瞬間の極道の表情に歓喜を覚えながら死亡した。
死の間際、自分たちが割れなかった"もしもの未来"を夢想するが、その光景は自分と仲間たちがままならない現実に直面しながらも平和な世界でそれぞれの夢のために前を向いて生きていくというものであり、ありふれた平穏に憧れ仲間たちの幸福を心から夢見ていたことが描かれている。自分たちの現状を悲しげに「そういう生き物になっちまった」と表現し、危険も顧みずに手を差し伸べてくれる大人を嘲ることが出来ず「遅いよ」と弱々しく漏らすなど、狂気に満ちた振る舞いの裏では自分たちの現状を嘆いており、その狂気は悲惨な過去や罪悪感に苦しむ仲間たちに寄り添うためのものでもあった。
繰田孔富(くりた あなとみ)
"怪獣医"の異名を持つ闇医者。白黒半分に分けた白衣を着用し、左右非対称な見た目に大きく裂けた口、八極道1の巨体である異様に長い胴体をした、怪物のような風貌の人物。オカマ口調で話し、極道のことを「ダーリン」と呼ぶ。巨大特撮ヒーロー番組ネビュラマンの大ファンで、特に怪獣達の異形の姿に憧れている。フラッシュ☆プリンセスの敵幹部ドクイーンに似ている。
"麻薬学の父"と謳われた闇医者、繰田美伴の弟。表社会では大リーガー・逢魔賀広偉の故障を治療して復帰させた『オーマガ術式』を始めとする数々の革新的術式を発明。多くの人々を救った名医として有名で、左虎も「最も尊敬する」医者と言っており彼の著書を持っていた。しかし現在は闇医者に転落。兄が作った天国への回数券を改悪して地獄への回数券を発明し、廃墟のような建物で闇病院を運営して極道の治療をしたり、麻薬の製造を行なっている。彼の病院では一般病院では絶対使わない違法薬物も、気軽に処方している。
敬愛する兄と同じく「この世はみんな病んでいる。表向きは元気でも法など守っていては救えぬ心で溢れている」と考えており、全てを壊して全てを救うべく東京各地の浄水場を占拠し、特別に濃度を上げた天国への回数券をぶち込み、全東京を麻薬漬けにするバイオテロを行う。麻薬水の効果は忍者の解毒力さえ通じない程に強烈で、忍者達を大幅に弱体化させた。
怪獣への憧れから自身の肉体を強化改造しており、唾を吐くだけで忍者を弾き飛ばし、惨蔵が放った炎を一息で吹き消す。関節を操作し、あり得ない方向に体を曲げる事も可能。
MAYA(マヤ)
竹本組
初代組長
捨松(すてまつ)、佐吉(さきち)
粋田恵介(いけだ けいすけ)
夢澤が育てている忍災孤児の少年。極道が事務所に保存していたブルーレイボックスを見ていたことから『F(フラッシュ)☆プリンセス』のファンで、プリバナナこと祈流が大好き。将来は竹本組を仏茶・高志と共に3人で組長をすることを目標にしており、ニセ電話詐欺などの末端悪事を手伝っている。
忍者の襲来を察知した夢澤によりカブチカから逃がされ、出入り口である地下駐車場で忍者と遭遇し、忍者からは殺人未経験と見抜かれて見逃されそうになるも、夢澤を守るため“地獄への回数券”を服用して立ち塞がった。その際、腰に吊り下げたキーホルダーからプリオタ(プリンセスファン)同士と分かり、短時間ながら心を通わせるも、お互いの譲れない者のため相対する。当初こそ“地獄への回数券”と極道技巧“鉄腕男志”で忍者と拮抗するも、寸分違わず放たれた暗刃”愛羅穿硬”の前に両腕と首を切断され、絶命した。死後、忍者からは「愛すべき“強敵(とも)”だったぜ」と言葉を手向けられた。
刺青は背中のドラゴンボールと両腕から両胸へかけての二匹の竜。
仏茶(ブッチャ)
暴走師団 聖華天(せいかてん)
90年代末期に結成された最悪の暴走族。数々の抗争を勝ち抜き全日本の暴走族を統一し10万人超の規模となったが、同時期に復活した忍者の襲撃により5万人の犠牲者を出したことで文字通りの”半殺し”により解散されている。旗のシンボルは燃え盛る帝都高の路線図。
α/有羽汰駆(ありは たく)
元・聖華天副総長。胸元に自ら彫った「α」のナイフ傷がトレードマーク。39歳。殺島とは中学時代からの付き合い。
投資詐欺に遭って1億円の借金を作り、愛想を尽かした嫁が浮気相手と駆け落ちして自殺を考えていたところに暴走族神からの召集を受けた。
市川から1万の仲間と共に帝都高への暴走を敢行し、葛西にて右龍と相対する。地獄への回数券による強化によって右龍の初撃を躱し一撃を与えるものの、逆に自らの拳を砕かれた後"不死身の電撃漢"に因って周囲の仲間諸共感電するが立ち上がり、聖華天を潰した忍者への恨みと聖華天が潰されて以降の"大人"の日々の惨めさを殺島に救われた感謝を言放しながら右龍へ殴りかかる。しかし逆に右龍により首を狩られ、青春を過ごした帝都高で死ねることを殺島に感謝しながら息絶えた。
Σ/師隈殴偉人(しくま ないと)
元・聖華天副総長。 左目に被さるよう自ら彫った「Σ」のナイフ傷がトレードマーク。39歳。殺島とは中学時代からの付き合い。
聖華天解散後は極道ドラフトを経て極道になるが、成果を出せず破門。現在は保険会社のダメセールスマンで、上司や同僚から馬鹿にされ罵倒される日々を送っていたが、暴走族神からの召集を受け、直後に暴言を吐いてきた上司をボコボコにして退職する。
川口から1万の仲間と共に帝都高への暴走を敢行し、レインボーブリッジで左虎と相対する。背後の極道車の断面から左虎を剣豪と判断し斬りかかるも、”凍剣執刀”により左半身を切断され全身を凍結される。全身の氷を砕いて刀を杖代わりにし、聖華天が潰されて以降の"大人"の日々の惨めさを殺島に救われた感謝を言放しながら左虎へと斬りかかり、最後は左虎の手で首を狩られた。青春を過ごした帝都高で死ねることを殺島に感謝しながら息絶える。
Ω/逢魔賀広偉(おうまが ひろい)
元・聖華天特攻隊長。799本塁打という大記録を挙げ、国民栄誉賞授与が検討されているニューヨーク・ドンキーズ所属のメジャーリーガー。35歳。殺島達に出会ったのは小学生の時。自ら彫った左頬の「Ω」と、Ωの左の横棒から右頬まで顔を横断するナイフ傷がトレードマーク。
聖華天解散後は殺島、α、Σとは異なりスカウトを受けたものの極道にはならずブラブラしていたが、街角のテレビで見たメジャー本塁打王の王・キングに刺激を受け翌日単身渡米。野球未経験ながらトライアウトを一発パスし、現在の地位を勝ち取った。しかし、5年前に病気の少年を勇気付けるためホームランを打つという約束を交わし果たしたものの、少年がそのまま死んでしまったことで野球への情熱を失っていた。800本塁打を迎えようとしていた打席の直前、Σの国際電話で暴走族神からの召集を知り試合を放り投げで帰国した。
松戸から1万の仲間と共に帝都高への暴走を敢行し、霞ヶ関の総理官邸前で惨蔵と相対する。約束をしながら亡くなった少年・ブライアンの姿に化けた惨蔵から野球への愛を取り戻すよう説得を受けるが、黄金時代を忘れられず拒否。決裂の末「野球への愛を取り戻した上で殺す」為に王・キングに化けた惨蔵との憧れの名選手と帝都高での命懸けのバッティング勝負を行いながら、いじめられっ子だった小学生の頃から殺島らに付いて行ったことで「帝都高での暴走」と「憧れの王・キングとのバッティング勝負」という二つの夢を叶えられたことを感謝しながら打ち合ったバットを弾き飛ばされる。惨蔵の「野球は最高じゃろう?」という一言に純真な笑みで応え、惨蔵の渾身のスイングでその首は大気圏外まで飛ばされた。
割れた子供達(グラス・チルドレン)
2000年代初頭に社会問題となった未成年の凶行に目を付けた極道によって結成された殺し屋集団。メンバーは全員未成年の少年少女で構成され、加入前に全員何かしらの理由で「心を壊された」経験がある。コードネームは「なりたかったもの」をそれぞれがつけ、ほぼ全員が加入前に着ていたと思しき学生服や運動着を着ている(割レンジャーのみ、5人お揃いのパーカーを着ている)。墨極道を壊滅させた実績がある。メンバーが成人した場合、リーダーと戦い命を落とすか、他の極道組織に移籍するかの選択を行う。
舞踏鳥(プリマ)/ 偉藤幽華(いとう ゆか)
ガムテから「大臣亡き後のオレの右腕」と証されている幹部。推定17~18歳。冷静沈着な長い黒髪の美少女。ガムテの母親の面影があるため、ガムテを寝かしつけることができる。殺戮活動時はトウシューズを履いており、ガムテがいない場合はメンバーたちの司令塔を務める。卓越した表現力で相手を幻惑しながら蹴り殺す戦法を取る。
外伝『最狂悪童伝ガムテ』でその過去が語られている。当時ガムテの通っていた中学の生徒会長で、バレエ留学を幼い頃からの夢としていたが、叶う直前に引きこもりの兄が「天国への回数券」と各種薬物を買い込み続けたことで家が破産し、両親も兄に殺された。絶望の末、怪物となり果てた兄を殺すと同時に自殺するため、極道の代紋狩りをしていた兄がガムテのターゲットとなっていたことでその協力を得て初の殺人を行い、「割れた子供達」に流されるまま加入した。自分に怨敵の兄の止めを刺させてくれたことや、殺人者と化した自分に「割れた子供達」という居場所を与えてくれたことで、ガムテには心から感謝しており、彼に深い愛情(恋心)を抱いていた。
首相官邸では爆弾本体とタイマーを守る役目を担う。現れた極道に大ダメージを与えるも、捨て身の戦法で口の中の「地獄への回数券」を奪われ形勢が逆転、完全回復した極道に片足首を切断される。それでも果敢に攻撃を試みたが、首を落とされると同時にタイマーの線も切断され爆弾爆発を阻止された。忍者の素性をガムテから聞いていたが敢えて極道には教えず、最後は選択次第であり得たかもしれない未来を夢に見ながら息絶えた。
黄金球(バロンドール)
ガムテの左腕を自称する幹部。皮膚の色が濃く大柄な少年。屈強な肉体とサッカーボールを武器に用いる。軽薄なノリで舞踏鳥に度々アプローチをかけるが、軽くあしらわれている。
周囲を盛り上げる明るい性格ながら、何かと他人を妬んでは彼に八つ当たりする実母と暮らしていた。実母の「父はサッカー選手」という言葉を信じてサッカーに熱中し続けたが、プロサッカーチームのジュニアユースからの誘いを実母に勝手に断られてしまう。挙句の果てには、実父はサッカー選手ではなくクラブで引っかけた黒人であることが明かされると同時に、実母が「これからもお前の幸せの邪魔をしてやる」と宣言したことで、実母は救いようのない醜悪な人間であることを痛感し絶望、衝動的に自らの足技で実母の首をへし折り殺害した。割れた子供達への加入後も、度々過去のトラウマのフラッシュバックにより絶叫することがあったが、同様に発狂じみた叫びを上げるガムテに相対することで「自分だけではない」と感じて落ち着くようになり、ガムテへの信奉を深めた。
忍者と極道には手出ししないようガムテに言われていたが、合流した忍者と極道に敢えて戦いを挑む。壁や床も破壊できるボール技で二人を攻撃するが、極道が自身の右腕を犠牲にボールを止めた上、消火器で煙幕を張った中で忍者との連係プレイを実行したため、自身の首を落とされる。しかし彼は残った肉体だけで最後の悪足掻きとして忍者に蹴りを放ち、窓外へ突き落した。薄れゆく意識の中、やれる限りのことをやり遂げたという達成感の元、舞踏鳥への純粋な想いや、ガムテへの感謝と愛情を胸に笑顔で息絶えた。
天使(アンジュ)、毒(ブス)
幹部。ガムテの命令によりコンビを組まされた少年と少女。互いに憎まれ口ばかりを言い合うが、抜群のコンビネーションを発揮する。MPは天使は1186500、毒は1183900。
天使は容姿端麗で、言動は女子そのものだが実は男。自身の美貌に目を付けた実父に性的虐待を受け続け、14歳の時に嫉妬した実母が実父を殺害した直後に彼自身も殺されかけたが、実母を返り討ちにしてしまい、逃亡して現在に至った。加入後は一日数回の入浴を毎日行っており、仕事着として白いセーラー服を着用している。機関銃を武器とするが、狙撃は得意でないらしく撃ちすぎて原形を留めないほど相手を破壊しがち。極道技巧は”妖精通信”。
毒はボーイッシュな女子であり、陰険な雰囲気と荒い男言葉が特徴。元は美少女だったが、浮気相手の子ではと疑った実父に薬物をかけられたせいで顔半分と頭皮の半分が爛れている。事情を知らない他人からあらぬ悪評を立てられ続け、14歳の頃にその容姿により近所の悪ガキどもから理不尽な暴力を受けて返り討ちにし、逃亡して現在に至った。加入後は文句を言いながらも天使の相棒をしている。グラスチルドレンの殺戮活動時はガスマスクを着用して顔を隠し、背負ったタンクから液状の毒物”超酸”を散布して相手を溶かす。極道技巧は”彷徨える厄い弾丸”。
単身の右龍と遭遇し、”不死身の電撃漢”などの攻撃は”妖精通信”ですべて回避、”彷徨える厄い弾丸”で有利に進めていたが、右龍は合流した左虎との合体技”氷帝雷公来駕”を放つ。逃げ場がない攻撃をまともに食らった天使は、右龍に首を落とされ、寸前で天使に殴り飛ばされて直撃を免れた毒は、超酸を噴射する装置に氷を詰め込まれて攻撃できず、左虎に首を落とされる。顔の美醜に人生を翻弄された2人は、顔(首)がなくなった自分達を見て、笑顔になりながら逝った。
攻手(アタッカー)/タカヒロ、司令(オーダー)/ヒデユキ
幹部。巨漢で剛力だが盲目の攻手と、視覚・聴力に優れるが四肢を失っている司令の幼馴染コンビ。MPは二人とも1058788。
普段は司令が乗った車椅子を攻手が押し、殺戮活動時は攻手が司令を背負ってガムテープで固定している。攻手は極道技巧“剛拳巨砲主義”、司令は極道技巧“箱庭覗聴”の使い手で、二人だけが知る暗号「4つの2桁数字」により、司令が目標の位置を正確に攻手に伝えて攻撃する。
かつては2人とも、親に望まぬ将来を押し付けられながらもプロゲーマーになることを夢見る少年であった。実力も高く、FPSにて「4つの2桁数字」を活かすことで海外のプレイヤーと対等以上に渡り合うほど。しかし、スポンサー提携の条件として提示された大会の前夜、自らの夢が親にバレ、タカヒロは空手家の父に殺されかけ、ヒデユキはヒステリックな母親が自殺未遂を引き起こす。それでも夢を諦め切れず自転車に乗って家を飛び出したが、東京に向かう途中で交通事故によりそれぞれ眼と四肢、そして夢見た理想の未来を失う。退院後は互いの両親を殺し回り、タカヒロの父親を殺した直後にガムテと大臣にスカウトされ割れた子供達に加入した。
首相官邸襲撃にて屋上から階下の惨蔵に対してAPFSDS連射による狙撃を敢行するが、その貫通孔を“全姿全能”によって赤子と化した惨蔵に通り抜けられて接近戦に持ち込まれ、首を狩られた。死に際、攻手が司令の重みを感じ取れなくなり錯乱したが、惨蔵のさり気ないフォローにより互いの存在を目の前に感じ取り、2名とも安らかに逝った。
極道技巧「箱庭覗聴」(ブラックボックスプロビデンス)
偉大(グレート)、美男(カサノバ)
拳闘大帝(パウンドフォーパウンド)
割レンジャー
ユリ、リリィ
大臣(ダイジン)
救済(すくい)なき医師団
孔富が率いる闇医者集団。孔富と同じく、全員が白黒でセンター分けした髪と白衣を着ている。既存の極道勢力のような雑兵的な部下はいない。
歪罹井(エリイ)
産婦人科の看護師。医師団の紅一点。病気により不妊になって以降、患者である妊婦の気持ちを知りたいという理由で寄生虫を体内で飼い始める。病院では助産を担当していたが、自分が取り上げた子供達が悉く不幸な目に遭わされた末に早世したことを知り、子供達をこの世に生まれてこさせたことに対する罪悪感から薬物に溺れる。後に警察の摘発から逃亡していたところを孔富に拾われた。
葛飾区K浄水場に強力な"天国への回数券"を大量投入していた際、現われた斗女と交戦する。"孕みの蟲髑肢"でお兄ちゃんズと斗女の手足や首を落としたが、"美男抱擁"によってお兄ちゃんズの内の一人の胴体に隠れていた本物の斗女に背後を取られ、不意打ちで首を落とされる。それでも寄生虫達が斗女に攻撃を仕掛けたが、斗女は寄生虫達が伸び切った瞬間を狙って歪罹井の首をその腹に打ち込み、寄生虫も死滅。歪罹井はその際に生まれてくる子供の気持ちを理解し、絶命した。
美陀(ヨシダ)
精神科医。眼鏡をかけカイゼル髭を生やした紳士風の男。かつては患者の心の闇に引きずられて病んでいく同僚を見てきた経験から、あえて患者に寄り添わないスタンスを徹底することで多くの患者を社会復帰させてきた名医だった。共に暮らす母親だけが唯一の心の支えだったが、認知症を患い別人のように変わり果ててしまった事実に絶望し、母親の首を絞めて殺害してしまう。その後、「現代の医療で救済えぬ心を救済いたい」という願望を孔富に気に入られ、医師団に引き入れられた。
埼玉県A浄水場に強力な"天国への回数券"を大量投入していた際、現われた惨蔵と交戦する。"夢遊ナル螺旋回廊"で惨蔵を完全な催眠状態に落とし、忍者の情報を聞き出そうとするが、惨蔵が遡った記憶が江戸時代の出来事であることに驚愕し、即座に殺害しようとするものの惨蔵によって逆に催眠術にかけられて己の過去を引き出され、自身の望んだ結果として自分の首を捻じり切って果てた。
その他の極道
幡随院長兵衛(ばんずいいん ちょうべえ)
流島椿沙(ながしま つばさ)
魔津田黒雨(まつだ くろさめ)
弾丸をも斬って落とす極道技巧“極道居合”の使い手。強面だが、敬愛する組長の教えで少しは人に好かれるように常に笑顔を浮かべている。極道に関しては「界隈で評判は高いが、いけ好かない相手で信用ならない」と評しており、与えられていた『地獄の回数券』も千切り捨てていた。
人身売買を行っていた組長は忍者に惨殺されており、忍者を誘い出し恨みを晴らすためには極道も嫌悪するほどの悪事が必要と考え、多数の女性を拉致監禁して『天国の回数券』で薬漬けにし強制的に売春させていたが、忍者の強襲により部下共々抹殺された。モーニング出張版読み切りでは、極道と話を合わせるため、プリンセスシリーズの勉強にプリンセスストアに立ち寄っていたところ忍者に声を掛けられ、仄かな友好を結んでいた。
刺青は胸元の「断」の一文字と半分に分かれた般若の面。
桜賀第一中生徒会OB
名前は『ドキドキ!プリキュア』の主要人物に由来する。
愛多間七(あいだ かんしち)
内閣総理大臣。「みんなの笑顔を守る」ことを第一に置く、高潔で懐の深い政治家。少年時代から道義心にあふれ志が高く、仲間たちの精神的支柱だった。
歌舞伎町崩落に際し、テロを視野に入れて調査を行わせる。聖華天の事件の際は、惨蔵を忍者と認識し、短いながら会話を交わす。後にレジーの依頼を果たすためにお忍びで外出中、忍者と出会い、プリオタの仲間入りをする。
仕事で学生読書感想文コンクールの審査で忍者の感想文が東京代表であったことを知り、総理大臣賞を与えて総理官邸に招くが、不運にも極道と忍者を同じタイミングで殺したいガムテと、VIP級のMPを手に入れられるチャンスを得た割れた子供達に利用されることになる。
桜賀第一中学の仲間達を失いつつも事態収拾に向かうが、ガムテの指示で忍者に隙を作るための囮にされ、その最中忍者が忍者だと知る。忍者が”疒”から回復するまでの時間稼ぎのため、忍者の持っていた”地獄への回数券”を口に入れてガムテに立ち向かう。
剣崎真虎(けんざき まこ)
その他の人物
幡随院弧屠(ばんずいいん こと)
王・キング(ワン・キング)
奇斑离倫(きむら りりん)
ガムテの実母。故人。その遺体はミイラになってガムテの家のソファに置かれている。
元は「性を極めし娼界の女帝」と呼ばれた伝説の娼婦。公私合わせて10年で5000人もの男と淫行を行った。舞踏鳥に似た絶世の美女だったが、性根は悪かったようで、14歳の極道とも強引に肉体関係を持った。
ガムテを出産後はパトロンの支えを受けて母子で「幸せな」暮らしを送っていたが、加齢と性格の悪さから次第に見捨てられ、困窮と孤独に心身を病んだ。急死する前、ガムテに対してヒステリックに当たり散らした挙句、「ガムテープで鼻と口を塞いで蹴る」「瓶で頭を殴る」「股間を切断する」などの壮絶な虐待を加えていた。その虐待の際、「あの男の汚い血を全部出して死ね」などと罵ったことを起因に、ガムテは「父親の殺害」を決意した。
外伝オリジナルの登場人物
輝村獅門(きむら しもん)
『獅子の華』オリジナルの登場人物の1人で、『でいびす』を訪れた青年。獅子を思わせる風貌の気さくな男で、語尾に「よう」を付けることが多い。貧しい家庭に育ち母が1度だけ淹れてくれた珈琲の味を求めて旅を続けていた折、壊左と出会い無二の親友となる。
その正体は講談会(単行本では講男會)の殺し屋。東京大空襲における忍者狩りでは100名以上の忍者を虐殺している。
生来の共感覚により味覚が発達していており、極道技巧“超絶対味覚”により50m四方の人間の感情を読み取ることができる。この技巧により二丁の機関銃を手足のように操り、死角にいる相手もたやすく討ち取る。
地上げのために壊左を殺さねばならない状況に陥り、友情と任務の狭間で苦しみながらも壊左討伐の為に赴く。超絶対味覚で壊左を追い詰めたが、ある計略により怯み、飛び交う銃弾の軌道から暗刃を考案した壊左により撃破された。
偉藤優一朗(いとう ゆういちろう)
受賞
- WEBマンガ総選挙2020 第9位
- このマンガがすごい!2021 オトコ編・第8位
- 次にくるマンガ大賞2021 Webマンガ部門第10位
- 第6回アニメ化してほしいマンガランキング 10位
書誌情報
- 近藤信輔 『忍者と極道』 講談社〈モーニングKC〉、既刊12巻(2023年10月11日現在)
- 2020年4月8日発売、ISBN 978-4-06-519365-5
- 2020年7月8日発売、ISBN 978-4-06-520098-8
- 2020年10月14日発売、ISBN 978-4-06-520852-6
- 2021年1月13日発売、ISBN 978-4-06-521835-8
- 2021年2月10日発売、ISBN 978-4-06-522201-0
- 2021年7月14日発売、ISBN 978-4-06-523455-6
- 2021年10月13日発売、ISBN 978-4-06-524976-5
- 2022年1月12日発売、ISBN 978-4-06-526450-8
- 2022年4月13日発売、ISBN 978-4-06-527483-5
- 2022年9月14日発売、ISBN 978-4-06-529056-9
- 2023年1月11日発売、ISBN 978-4-06-530297-2
- 2023年10月11日発売、ISBN 978-4-06-533107-1