怪物 (福田和代)
以下はWikipediaより引用
要約
『怪物』(かいぶつ)は、福田和代による日本の推理小説。『小説すばる』2010年5月号から12月号に連載されたものを大幅に加筆・訂正した上で刊行された。
2013年にテレビドラマ化された。
あらすじ
千住大橋署の刑事生活安全組織犯罪対策課に所属している香西武雄は定年退職を1か月後に控えていた。刑事として30年以上働いてきたが、1つ心残りな事件があった。「くるみちゃん誘拐殺害事件」―。犯人は当時大学生だった堂島昭だと確信していたにもかかわらず、逮捕することができなかった。なぜなら、証拠は自分が嗅いだ〈死〉の匂いだけだったから―。あれから15年が過ぎ、時効も迎えて今更どうすることもできないのはわかっていたが、香西は残りの1か月、堂島を再び追うと決めた。堂島は裁かれることもなくのうのうと生活してきた挙句、次の衆議院選挙に出馬するつもりで地元に帰ってきていたのだ。
香西はまた、千住大橋署に娘を連れて相談に来ていた女性・橋爪治子の話を聞く。夫の橋爪行雄が10日前、仕事に行くと言って出ていったきり帰ってこないのだという。すでに捜査の主軸を外されている香西は単独で橋爪の足取りを追い、橋爪が失踪当日最後に訪れたという最新鋭のゴミ処理施設「日本循環環境ラボラトリ」に辿り着いた。そこにいた若き研究者・真崎亮は、骨をも溶かしてしまうという"亜臨界水"を使ったゴミ処理の最新技術を香西に説明する。興味を持った香西は、さらに詳しい話を聞くために本社にある真崎の研究室へと赴く。そしてそこで香西は思いがけず、真崎の研究室に充満する〈死〉の匂いをかいでしまう。
登場人物
千住大橋署
香西 武雄(こうさい たけお)
主人公。千住大橋署の刑事生活安全組織犯罪対策課(縮めて”刑事課”)に所属している来月下旬に定年を迎える予定の刑事。家族を含め他人には一度も話したことがないが、実は〈死〉の匂いをかぐことができる特殊能力を持っている。人間の〈死〉と動物の〈死〉も嗅ぎ分けることが可能。この能力のおかげで殺人事件の現場はぴたりと言い当てることができ、しかも一度もはずしたことがないため、「あいつは妙に勘がいい」と評判になり、刑事に推薦されて以降30年以上を刑事として生活してきた。そのうち20年近くは千住大橋署にいるため、名物刑事として署内でも有名。しかし能力によって知ることができた事柄に関してはいつも「刑事の勘だ」とごまかしている。
絵里子という娘がいたが、乳幼児突然死症候群で亡くしている。妻の聡子(さとこ)とは、家庭を顧みず、絵里子の急病の知らせにも応じなかったことが原因で離婚した。煙草は吸わず、他に趣味もないが、豆から挽くコーヒーが唯一の嗜好品。
石川(いしかわ)
日本循環環境ラボラトリ
大手町にある生ゴミの処理場。ショッピングフロアやレストラン、有名海外ブランドショップなどもある地上50階、地下7階の大型ビルの地下3階から7階にある。
真崎 亮(まさき りょう)
その他
堂島 昭(どうじま あきら)
35歳。次の衆議院選挙に立候補予定の議員。ずっと埼玉で仕事をしていたが、選挙のために地元・千住大橋に戻ってきた。妻と子供がいる。
15年前の「くるみちゃん誘拐殺害事件」では不審者リストに名前が挙がり、香西は犯人だと確信していたが、父親が警察庁で高い役職におり、未来の長官候補に名前が挙げられるほどの人物であったため、警察上層部は容疑者リストから外した。実家にはヘルパーがいて「坊ちゃん」と呼ばれるほど裕福であったが、当時はひとり暮らし。背が高く、いつもデニムにギンガムチェックのシャツを着ていた。黒いふちの眼鏡をかけていて真面目そう&陰鬱な顔つきをしているが、その瞳にはどこかふてぶてしい狡猾さが見え隠れする。金持ち連中御用達の高校で成績の中の下ぐらいだったにもかかわらず、卒業後は両親が金を積んで有名私立大学に押し込んだ。
父親は息子の件で経歴に傷がついたと感じたのか、50代前半であっさり都議会議員に転身し、その後は国政に転じた。
鏑木 美知子(かぶらぎ みちこ)
鏑木 洋一(かぶらぎ よういち)
藤井寺 里紗(ふじいでら りさ)
橋爪 行雄(はしづめ ゆきお)
橋爪 治子(はしづめ なおこ)
増尾 義之(ますお よしゆき)
山本 輝夫(やまもと てるお)
ヒロミ
重要節句
くるみちゃん誘拐殺害事件
堂島昭をはじめ、容疑者リストには多数の人物の名前が挙がったが、いずれも決定的な証拠や犯行に不可欠だったと思われる車が見つからず、逮捕には至らなかった。当時は15年だった公訴時効は平成17年の法改正によって25年に変更されたが、すでに進行している時効はのびないため、被疑者不詳のまま今から3か月前に時効となってしまった。
書籍情報
- 単行本:集英社、2011年6月3日、ISBN 978-4-08-771410-4
- 文庫:集英社文庫、2013年5月17日、ISBN 978-4-08-745077-4
テレビドラマ
「読売テレビ開局55周年記念ドラマ」として読売テレビ・日本テレビ系で、2013年6月27日に放送。
キャッチコピーは、「怪物として生きるか、人間として死ぬか。」
キャスト
- 香西武雄〈55〉 - 佐藤浩市
- 真崎亮〈30〉 - 向井理
- 藤井寺里紗〈24〉 - 多部未華子
- 杉浦充博 - 矢島健一
- 山本雪子 - いしのようこ
- 斉藤光彦 - 矢柴俊博
- 山本優 - 藤原薫
- 石川えみ〈30〉 - 栗山千明(特別出演)
- 堂島昭〈35〉 - 要潤
- 藤吉久美子、山下容莉枝、仙波和之、石橋祐、竹中涼乃、大田正樹、芳岡謙二
スタッフ
- 原作 - 福田和代『怪物』(集英社刊)
- 脚本 - 森下直
- 監督 - 落合正幸
- 音楽 - 沢田完
- 技術協力 - NiTRo、バル・エンタープライズ
- 照明協力 - 三和プロライト
- CG - スワーヴイメージス
- チーフプロデューサー - 堀口良則
- プロデューサー - 岡本浩一、佐藤善木、小林みつこ
- 制作協力 - テレビマンユニオン
- 制作著作 - 読売テレビ
関連商品
- 2013年10月9日にDVDがTCエンタテインメントから発売。