漫画 アニメ

怪獣8号


漫画

作者:松本直也,

出版社:集英社,

掲載サイト:少年ジャンプ+,

レーベル:ジャンプ・コミックス,

発表期間:2020年7月3日 -,

巻数:既刊11巻,

漫画:怪獣8号 side B

原作・原案など:松本直也,安藤敬而,

作画:肥田野健太郎,

出版社:集英社,

掲載サイト:少年ジャンプ+,

発表期間:2024年1月5日 -,

アニメ

原作:松本直也,

監督:宮繁之,

シリーズ構成:大河内一楼,

キャラクターデザイン:西尾鉄也,

音楽:坂東祐大,

アニメーション制作:Production I.G,

放送局:テレビ東京系列,



以下はWikipediaより引用

要約

『怪獣8号』(かいじゅうはちごう、英語: Kaiju No.8)は、松本直也による日本の漫画作品。怪獣発生率が世界屈指となっている架空の日本を舞台としたバトル漫画。ウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』(集英社)にて、2020年7月3日より連載中。 毎週金曜更新とされているが、描き溜めが無くなった2020年8月28日更新分より「3話描いて1回休むくらいのペースで更新」したいとしている。なお、休載日には怪獣の存在する日常風景イラスト集「怪獣百景」が掲載されている。

スピンオフとして2022年11月4日に集英社の「JUMP j BOOKS」レーベルより安藤敬而が執筆した小説版が刊行されており、2024年1月5日からはこれを原作とした肥田野健太郎による漫画『怪獣8号 side B』が『少年ジャンプ+』にて毎週金曜に更新中。また2024年4月からはテレビアニメが放送予定。

製作

松本の3作目の連載作品。2016年春以降、『少年ジャンプ+』はオリジナル作品が主力となって人気を伸ばしており、ヒット作を次々と輩出していた。その中で、能力は高いものの長年不遇だった作家たちが、新作を発表してブレイクするという流れが起きていた。松本も漫画家歴は長いがこれまでヒット作を発表できずにいた。こうした背景の元で本作の連載が始まり、2021年3月の時点では『SPY×FAMILY』と並ぶ『少年ジャンプ+』最大のヒット作と称れた。

本作に登場する怪獣は台風のように番号で呼ばれ、発生波による津波を呼ぶ危険性がある。強さにはマグニチュードになぞらえた「フォルティチュード」という単位が使われるなど、自然災害(特に地震)のメタファーとして機能している。これは第二次大戦下の空襲を象徴していた特撮怪獣映画『ゴジラ』(1954年)などとは異なり、『シン・ゴジラ』(2016年)に代表される東日本大震災(2011年)以降の怪獣作品の系譜にあるとされている。

社会的評価

担当編集者は大人が過去にワクワクしていたものを大人目線で楽しめる作品にすることが狙いであったため、若者からの支持を危惧していたが、結果的に予想以上の反響となった。

単行本の発売前から日本国内外で人気を博す。1日で3200件を超えるコメントが寄せられるなど、連載開始からインターネット上で大きな話題を呼び、最新話更新のたびに大きな反響を呼んでいる。2020年12月には『少年ジャンプ+』の看板作品と報道された。各話の閲覧数は更新ごとに100万を超え、総閲覧数は第15話公開(10月30日)時点で3000万、第31話公開(4月16日)時点で1億閲覧を『少年ジャンプ+』史上最速となるペースで突破した。

単行本の発行部数は1巻で43万部を突破した。また、2020年に発売された1巻としては、集計日数が28日にも関わらず、同年日本で最も売れた作品となった。国内累計発行部数は2023年12月現在で1200万部(デジタル版を含む)、全世界累計発行部数は同年3月現在で1100万部をそれぞれ突破している。また、2021年3月に記録した100万部、同年6月に記録した300万部(電子版を含む)、同年9月に記録した400万部(電子版を含む)はいずれも『ジャンプ+』連載作品としては最速記録となった。

少年ジャンプ+編集長の細野修平は、2020年9月時点で「最近注目している作品」として本作を挙げ、「どこまで伸びるのか楽しみ」であると語っている。

主な受賞・ノミネート歴
受賞年 セレモニー 部門・賞 受賞対象 備考・出典
2021年 コミックス第1巻 年間売上ランキング(2020年) 1位 『怪獣8号』1巻 同期に最も売れた単行本1巻新刊
続編・スピンオフなどは除く
コミックス第1巻売上ランキング(2020年10〜12月) 2位 『怪獣8号』1巻 同期間に最も売れた単行本1巻新刊
マンガ大賞2021 ノミネート 『怪獣8号』
次にくるマンガ大賞2021 Webマンガ部門・1位 『怪獣8号』
第5回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞 2位 『怪獣8号』

あらすじ

怪獣が人々の日常生活を破壊する“怪獣大国”・日本。幼いころに住む町が破壊された主人公の日比野カフカは、幼馴染の亜白ミナとともに「怪獣を全滅させよう」と約束した。

しかし、32歳になったカフカは夢破れて怪獣死体の解体業者・モンスタースイーパーに就職した。日本防衛隊の隊員として活躍するミナを横目に鬱屈した日々をおくっていたカフカだが、アルバイトの市川レノから防衛隊の年齢制限が引き上げられることを教えられ、再び入隊試験を受けるよう促される。決意を新たにするカフカだが、謎の生物に浸食されて身体を怪獣化され、怪獣8号と呼ばれるようになってしまう。この時、レノが最初に8号に変身したのを目撃している。

エピソード1 怪獣になった男(第1話〜第12話)
防衛隊選別試験の一次書類審査を通過したカフカとレノは、二次試験を受験するため試験の西東京会場である防衛隊立川基地を訪れ、駐車場で四ノ宮キコルと出会い一悶着を起こす。怪獣の力を使わず試験に臨んだカフカであったが、加齢による衰えもあり体力試験では苦戦を強いられる。その後、試験は演習場での試験用に捕獲した余獣を使用した怪獣討伐へと移され、攻撃能力の低いカフカとレノは怪獣解体で得た知識を活かした支援行動に回り健闘する。一方キコルは援護すら寄せ付けない圧倒的な活躍を見せ試験は終了するが、謎の人型怪獣が現れ、試験で倒した余獣が次々と復活する。カフカはキコルを守護するべく8号へと変身。

エピソード2 夜明けの相模原掃討作戦(第12話〜第24話)
試験には不合格になるものの、副隊長・保科宗四郎の目に止まり候補生として採用されたカフカは初任務で相模原に出現した大型怪獣の討伐へと向かう。カフカは現場で余獣を直接解体し、怪獣の生態情報を提供するなどの活躍を見せる。一方、余獣を掃討していたレノと古橋伊春の前に、モンスタースイーパーの解体作業員が現れる。直後、作業員は立川の最終試験を襲った人型怪獣怪獣9号へと変形し、レノと伊春を襲撃する。カフカは怪獣8号に変身し、レノらの救出へと向かう。

エピソード3 立川基地襲撃(第24話〜第32話)
相模原掃討作戦での働きが評価されたカフカは正式に防衛隊員として採用される。それも束の間、複数の翼竜型怪獣を引き連れた人型怪獣怪獣10号が立川基地に奇襲をかけてくる。

エピソード4 捕らわれた怪獣8号(第33話〜第40話)
立川基地を10号から守るためやむを得ず人前で8号に変身したカフカは、仲間である防衛隊に拘束され本部にて尋問を受けることになる。

エピソード5 怪獣兵器(第41話〜第56話)
防衛隊長官・四ノ宮功の判断により、怪獣兵器として運用されることを条件に処分保留となったカフカは、10号により壊滅的な被害を受けた立川基地の復旧まで、キコルと共に一時的に第1部隊に編入される。そんな折、品川区で蟻型の怪獣が群体で出現。第1部隊が出撃し対処にあたるが、カフカは変身不能の事態に陥る。そんなカフカの目の前に怪獣9号が三度現れる。

エピソード6 適合者(第57話〜)
品川での怪獣9号戦で四ノ宮長官を失った防衛隊は師団会議を招集する。保科は怪獣10号から自身の怪獣兵器化を条件に9号の情報の提供を受け、9号が大怪獣クラスの怪獣を生産する能力を持ち、将来的に量産できるほどの能力を持てば壊滅的な脅威となる旨を報告する。報告を受けた防衛隊本部は新たな人材の育成を急務とし、組織の立て直しを図る。その一環として、市川は適合者不在で封印されていた怪獣6号ベースの識別怪獣兵器「ナンバーズ6」と同調の兆しを見せたため、松本基地で適合訓練を受ける。

登場人物

声の項はテレビアニメ版の声優。

日本防衛隊
第3部隊

日比野 カフカ(ひびの カフカ)

声 - 福西勝也
本作の主人公。32歳の男性。
幼いころに住んでいた街が怪獣の被害に遭い、ミナと共に防衛隊員になることを目指すも試験で不合格となり夢破れる。その後は怪獣の死体を清掃するモンスタースイーパー(株)に勤務。やさぐれてはいるものの仕事に対しては真摯で上司からの信頼は厚い。レノとの出会いと入隊試験の年齢制限が引き上げられたことがきっかけで、再び防衛隊を目指す。しかし、その直後に小型の怪獣が口の中に侵入し、怪獣に変身する能力を持ってしまう。怪獣の能力を封印して臨んだ入隊試験の成績は芳しくなく不合格となってしまったが、保科に監視目的で目をかけられ3ヵ月の試用期間を経て採用される。
怪獣10号による立川基地襲撃の際に10号が放った巨大余獣爆弾から隊員たちを救うため、やむを得ず人前で変身し正体が知られる事となり防衛隊本部に護送されるが、四ノ宮長官の判断により、処分保留となり怪獣兵器として運用される事となり、立川基地が機能を回復するまでの間、キコルと共に第1部隊の預かりとなる。8号への変身を繰り返すごとに手の甲など体の一部が怪獣形態に侵食されるようになる。
いかつい顔つきに反して根は人想いで優しい性格。レノを逃がすために1人で怪獣に立ち向かうなど勇敢で、仲間の危機には自身が怪獣である事が発覚することも厭わず変身する。一方、おじさんと呼ばれて反発したり、なにかと大騒ぎしたり、落ち着きのない面もある。
人間時も筋骨隆々な体格で身体能力も高いが、加齢と生活習慣の影響で衰えており、同期の隊員たちには遠くおよばない。また、怪獣化の影響なのか、防衛隊のスーツの解放戦力も0%(のちに1%)とほとんど引き出せない。一方、怪獣清掃で得た怪獣に対する知識は豊富で、知識を活かしたサポートや情報提供で隊を支える。
怪獣8号

市川 レノ(いちかわ レノ)

声 - 加藤渉
カフカの相棒。18歳の男性。
防衛隊志望で、試験対策の一環としてモンスタースイーパーにアルバイトとして入社する。落ち着きのないカフカのツッコミ役で漫才のようなやりとりをする。夢を諦めたカフカを当初は冷たい目で見ていたが、仕事中のカフカからの気遣いや余獣から命を救われたことで敬意を持つようになり、彼が怪獣になった後も彼を気にかけ付き添っている。カフカに負けず劣らずの勇敢な性格。入隊試験では解放戦力8%程度だったが、入隊後は急成長を遂げ20%を超える。保科からはその可能性を強く期待されている。立川基地が襲撃を受けた後は第4部隊の預かりとなり、怪獣6号ベースの識別怪獣兵器「ナンバーズ6」と同調の兆候が現れ、松本基地で適合試験を受ける。
亜白 ミナ(あしろ ミナ)

声 - 瀬戸麻沙美
カフカの幼馴染。27歳の女性。日本防衛隊第3部隊長。幼少期に住んでいた街を怪獣に襲われことから、カフカと共に防衛隊を目指していた。一度挫折したカフカと違い入隊後は活躍を重ね、解放戦力96%を叩き出すなど防衛隊最強クラスの実力を誇り、テレビで特集を組まれるなど国民からの人気が高い。入隊試験で再会したカフカに対しては上官としての態度を崩さずに接している。銃火器の扱いに長けている一方で刃物の扱いは苦手で包丁も握れない。猫好き。
伐虎(ばっこ)

ミナが飼っている虎で、普段はミナの自宅で生活している模様。戦闘時にはミナに随伴しサポートする。

四ノ宮 キコル(しのみや キコル)

声 - ファイルーズあい
カフカ、レノの同期。16歳でカリフォルニア討伐大学を飛び級で最年少首席卒業した防衛隊期待の新人。防衛隊長官・四ノ宮功と元防衛隊第2部隊長・四ノ宮ヒカリの娘。
入隊試験前に駐車を巡ってカフカと一悶着を起こし、生身で車を軽々と持ち上げたカフカに驚嘆し注目するようになる。何事も完璧であることに対して異常なこだわりを持つが、これは父の影響によるもの。入隊試験ではトップクラスの成績を挙げるものの、討伐試験で9号が乱入し重傷を負ったところをカフカに救われ、彼の8号への変身を目撃する。試験後は助けられた借りとしてカフカの正体を内緒にすることを約束するも「もし人類に敵対するようになったら自分が討伐する」と宣言し、彼からも了承された。
首席で入隊し、第3部隊配属後はミナ、保科に次ぐ戦力として評価され、特例で斧型の専用武器(プロトタイプ)が支給されている。
古橋 伊春(ふるはし いはる)

声 - 新祐樹
カフカ、レノの同期。八王子討伐高専首席卒業。リーゼント風の髪型が特徴。中学生時代にミナに命を救われたことがきっかけで防衛隊を目指す。入隊後は解放戦力が伸び悩み、急成長するレノに対し焦りを感じる。立川基地襲撃後はレノと共に第4部隊預かりとなり、自分との実力差を広げていくレノに劣等感を抱えながらも、ナンバーズ6との適合に苦しむレノを叱咤激励し支える。その際、感情が昂りゾーンに入ると瞬間的に著しく解放戦力が上昇する体質である事が発覚する。
出雲 ハルイチ(いずも ハルイチ)

声 - 河本啓佑
カフカ、レノの同期。東京討伐大学首席卒業の有望株。大怪獣兵器の最大手企業・出雲テックの御曹司。防衛隊を志望したのはミナへの憧れと「家の事情」とのこと。
神楽木 葵(かぐらぎ あおい)

声 - 武内駿輔
カフカ、レノの同期。陸上自衛隊の若手ホープとして将来を約束されていたが、それを蹴って防衛隊への編入を志望する。真面目で実直な人物で、正反対の性格のハルイチとは何かと張り合うことが多い。
水無瀬 あかり(みなせ あかり)

カフカ、レノの同期の女性隊員。立川基地襲撃で初登場。余獣に襲われているところをカフカに助けられる。学生時代は保健委員で、怪我人の手当てが得意。キコルと仲が良い。
保科 宗四郎(ほしな そうしろう)

声 - 河西健吾
第3部隊副隊長。
マッシュルームカットと糸目が特徴で関西弁で話す。室町時代から続く怪獣討伐隊の家系の出身。明るく人当たりの良い人物であるが、怪獣相手には冷徹な一面を覗かせる。入隊試験でカフカに面白半分で興味を持つ一方、人型怪獣の出現時に不自然にバイタルが消失したことに違和感を感じ、不合格になったカフカを監視するため候補生として採用する。
保科流刀伐術の使い手で刀の扱いに長けており、双刀を使用する。本人曰く大型怪獣に対してはミナに劣るが、中型・小型に対しては自分の方が分があるとのこと。刀に対するこだわりは強く、怪獣の大型化が顕著になり、銃の解放戦力が低かったために周囲から防衛隊を諦めるように言われ続けてきたが、刀のスペシャリストとして自分を必要としてくれたミナに対しては特別な敬意を抱いている。
斑鳩 亮(いかるが りょう)

第3部隊の男性隊員で小隊長。責任感が強く、保科からの信頼も厚い。目力は強いが視力は弱く、コンタクトレンズを着用している。
中ノ島 タエ(なかのしま タエ)

第3部隊の女性隊員で小隊長。イケメン好きで相模原討伐戦ではハルイチと葵を小隊に加え、彼らが言い争う姿に恍惚していた。
小此木 このみ(おこのぎ このみ)

第3部隊の女性隊員。メガネをかけている。オペレーター部隊のリーダーで主に通信と戦況報告を担当する。

第1部隊

鳴海 弦(なるみ げん)

第1部隊隊長。日本最強の対怪獣戦力と称される青年隊員。普段は隊長室に寝泊まりしているが典型的なオタク気質で、部屋はゴミや趣味のゲームやプラモデルで散らかっており、だらしない生活を送っている。ネット通販の大量購入で金欠に陥り部下(主にキコル)に金策をせがむ、自身の活躍をSNSでエゴサーチし、ミナの手柄のように扱われているのを妬む陰湿な一面を持つなど品格面では欠点だらけの人物。しかし隊長としての実力は本物で、圧倒的な実力ひとつで全ての欠点を覆している。任務においては他の隊長同様冷徹な面を覗かせ、部下に対してはただ結果と実力のみを求めている。
戦闘では銃剣状の専用武器「GS-3305」を操る。目には怪獣1号の網膜から造られた日本最古の識別怪獣兵器「Rt(レティーナ)-0001」を移植しており、生物が脳から発する信号を視覚化し、相手の行動を先読みする能力を持つ。
長谷川 エイジ(はせがわ エイジ)

第1部隊副隊長。210cmの長身に、スキンヘッドと無数の傷跡が特徴の男性隊員。奔放な鳴海に代わって第1部隊の隊長業務の大半をこなす。隊長の鳴海に対しては対等の立場で接しており、だらしのない鳴海を度々嗜め、暴行など実力を行使する事もある。戦闘ではパワードスーツのような兵器を装備している。
東雲 りん(しののめ りん)

第1部隊の女性隊員で小隊長。

第2部隊

五十嵐 ジュラ(いがらし ジュラ)

現・第2部隊長。歯には歯列矯正のワイヤーを入れている。短気な性格で、鳴海や緒方に対して憎まれ口を叩く。
四ノ宮 ヒカリ(しのみや ヒカリ)

キコルの母で功の妻。物語開始時点では故人。元第2部隊長。防衛隊最強兵器の1つ「ナンバーズ4」を装備し、ワルキューレと評され国民的な人気を誇った。怪獣6号が引き起こした群発災害で命を落とす。ヒカリの死はキコル、功双方の防衛隊員としての矜持に大きな影響を与えている。

第4部隊

長野・松本基地を拠点とする部隊。

緒方 ジュウゴ(おがた ジュウゴ)

第4部隊長。会議の席にも酒瓶を持参し、勤務中にも酒を飲むほどの酒好き。しかし仕事を疎かにしている訳ではなく、冷静で大局的な観察眼を持っている。伊春と同じく感情の変化によって著しく解放戦力が上下する体質。四ノ宮ヒカリとは同期の間柄で、彼女の死に現在も大きな喪失感を抱えている。
トーコ

第4部隊所属の女性隊員。緒方の傍らで作戦を指揮する。

幹部・その他

四ノ宮 功(しのみや いさお)

日本防衛隊長官。キコルの父。超がつく完璧主義者。怪獣の襲撃によって妻・ヒカリを亡くしており、怪獣に対しては人一倍の敵意を持っている。
かつて防衛隊史上最強と謳われ、その実力は今も健在。怪獣2号ベースのスーツとアームをこの世で唯一使いこなす。
立川基地襲撃の際に怪獣8号である事が露見し本部に拘束されたカフカに一方的に戦闘を仕掛けその後、怪獣兵器としての運用を決定する。鳴海、カフカらを擁した最強の部隊を作り上げる事を画策するが、品川に出現した怪獣9号と対峙。怪獣9号の予想以上の成長と、自身の加齢による衰えも相まって、善戦虚しく、2号の力と自身の記憶を奪われ帰らぬ人となる。
伊丹 啓司(いたみ けいじ)

防衛隊副長官。上官の功には敬語を使わずに対等の立場で接している。
乃木坂(のぎざか)

功の部下で左目に眼帯を着用している隻眼の隊員。9号に襲撃された功に加勢しようとするが「邪魔になる」と伊丹に制止され、総員退避の統率と支援に回った。
来栖(くるす)

功が使用する怪獣2号ベースのスーツとアームの管制を担当。

怪獣

古来より突如現れ、世界各地を襲う巨大生命体。メインで現れる怪獣を本獣といい、続いてそれより小さな余獣と呼ばれる個体が現れることがある。サイズは100m超から人間と同程度、数十cmのものまで様々。ユニ器官と呼ばれる怪獣ごとの特性を発揮する器官を持ち、特性によって「菌類系怪獣」「翼竜系怪獣」などに分類される。

基本的に、出現後は速やかに防衛隊の手で討伐されるため特定の名称を付けて呼ばれることはない。一方、強大な怪獣や討伐が難航した怪獣は識別怪獣として「怪獣◯号」とコードネームが付けられる。物語開始までに計7体の大怪獣に付けられていたが、怪獣8号は防衛隊発足以来初の未討伐個体となった。

現実で言うところの地震のような災害として扱われており、フォルティチュードという規模を示す数値が存在する。詳しい計測方法は不明だが、地震のマグニチュードのようなものであり、6.0以上あれば『本獣』クラス(本獣の強さはピンキリなので、5.0台以下も多いと思われる)、8.0以上あれば『大怪獣』クラス、9.0以上あれば『歴史に残る大怪獣』クラスといった計測内容での数値で表示され、数値が高いほど「強度」及び脅威度が増していく。

これらの怪獣から得られた素材は防衛隊の兵器のパーツとして使用される。

識別怪獣

怪獣8号
カフカが怪獣に変身した姿。人型の体格に2本の角が生えた骸骨のような顔に黒い筋肉で覆われている身体を持つ。怪獣への変身はある程度自由に行えるが、少し力んだだけで部分的に変身してしまうなどコントロールは不安定な模様。フォルティチュードは9.8を記録し、パンチ一撃で怪獣を粉々にするなど保科いわく「歴史に残る大怪獣」と評されるほどの力を持つ。変身時もカフカの理性は保たれているが、本能的に鳥などの生物を捕食してしまったり排尿することがある。防衛隊発足以来初の未討伐事件となり、「怪獣8号」のコードネームをつけられ日本中の防衛隊員から追われる身となってしまう。10号による立川基地襲撃の際にカフカが人前で変身した事から正体が露見し、本部に拘束されるが、功の判断により処分保留となり、怪獣兵器として運用される事となる。
怪獣9号
人型の怪獣。
知性と人語を有し、捕食した人間に擬態する、指から光線を発射する、通信機器を遮断するフィールドを張るなど既存の怪獣とは異なる特性を有している。むき出しになった歯の付いた菌類のような頭部が特徴。伊丹からは「ウイルスのような怪獣」と評され、高い学習能力を持ち、戦うたびに進化していく。最も恐れられている能力は、「識別怪獣クラスの怪獣を創り出す」能力である。
入隊試験に乱入し、試験用の怪獣を蘇生させキコルを負傷させるなど混乱に陥れる。後にモンスタースイーパーの作業員に変装し、相模原討伐戦にも出現。レノと伊春を重傷に追い込み、怪獣8号と交戦。後に8号に続く未討伐個体として「怪獣9号」の呼称が与えられるが、新たな顔を得て潜伏。
その後、蟻型の余獣を引き連れ、品川に3度目の出現。α、β、γの3体に分裂し、2体で陽動を行うなど高い知性を見せた。
怪獣10号
西洋の全身甲冑のような姿をした人型怪獣。眼は顔面中央にあり、十字傷のような瞼に覆われており、瞼の内部には余獣に指令を下す器官が付随する。口は二重で、肉食動物のような乱杭歯の奥に草食動物のような臼歯が生えている。
主な攻撃は打撃技のみだが、その筋力はデコピンの風圧だけで遥か遠方の建物の壁にひびを入れるほどで、本気の拳は風圧一線で建物に大穴を開ける。更に本人の高い戦闘技術により目にも止まらぬ連撃を放ち、保科からは『隕石』とまで称された。また、巨大化能力を持ち、その際は頭部にはカブトムシのような角が生え、瞼と顎が一体化した姿となり、筋力が大幅に上がったことに加え、特徴的な目は全身に形成することが可能で死角が無くなる。
本来は単独行動しか行わないフォルティチュード6.0以上の翼竜型怪獣すら従え、特攻すら辞させないほどのカリスマ性を有する。人間や怪獣問わず強者との戦いを好んでおり、どれほどの窮地に追い込まれようが常に冷静に相手の攻撃を見抜き、真っ向からの勝負に挑む武人的な性格。実は9号によって作られた試作品の怪獣であり、試作品でありながらフォルティチュードは人型時には8.3、巨大化時は9.0を記録している。
防衛隊第3部隊の本拠地である立川基地を、翼竜系怪獣の編隊と共に空から襲撃、迎撃に向かった保科を即座に敵中最強と見抜き、翼竜系怪獣に指示を出しつつ自身は保科と対峙、激戦の末に全身をバラバラに切り裂かれてしまうが、核は残っていた為高圧の蒸気を噴出しながら巨大化、翼竜系怪獣を自爆させるなどの奇策により保科を圧倒し、駆動限界を迎えた保科を追い詰めたが、保科の命がけの時間稼ぎが功を為し、駆け付けたミナの砲撃で体に大穴を開けられ、更に保科とキコルにより体制を崩されたところでミナの直撃弾を受け、核を半壊され敗北した。それでも残存していた核のかけらが付随していた首部分だけで、残った翼竜系怪獣を全て結集させて巨大な爆弾に変え、自分諸共立川基地そのものを爆破しようと試みたが、自分の正体が露見するのも厭わずに怪獣8号に変身したカフカの渾身の拳で爆弾が上空に打ち上がり、間一髪で地上での爆発を回避されてしまった為に失敗、第3部隊により回収され拘束された。

過去の識別怪獣

怪獣1号
最古の識別怪獣。功が体験ではなく記録から情報を引用している事から、相当古い時代に出現した怪獣である事が窺える。生物が脳から発する信号を視覚化する未来視の能力を持ち、回避不能な攻撃を放った。
怪獣2号
1972年に札幌を襲撃し壊滅寸前にまで陥れた大型怪獣。副長官の伊丹曰く、「凄まじい破壊力と息絶える寸前まで屈しない気位の高さを持つ大怪獣」だったとのこと。防衛隊に討伐され、スーツとアームの素材にされるが、使いこなせるのは四ノ宮功ただ一人しかいない。
怪獣6号
物語の10年前に群発災害を引き起こした怪獣。災害によって隊員200人と隊長3人が犠牲になった。討伐後は兵器化されるが、適合者不在で封印された。

その他

小型の怪獣
カフカを怪獣化させた元凶の怪獣。外見は4つの細い羽根がついた、トカゲのような怪獣。第1話にて、入院のカフカの前に突如出現、「ミツケタ」と人語を話した直後、直ぐ様カフカの口から体内に侵入し、彼を怪獣化させた。その後しばらくはカフカの体内で大人しくしていたが、功との戦闘時に彼が持つ怪獣2号の兵器に反応したのか、「カイジュウコロス」と殺意を露にし、カフカを強制的に怪獣化・暴走させた。
明暦の大怪獣
1657年に江戸に出現したと言われる怪獣。古文書によれば土竜67型に近い外見。当時はまだ刀剣や石火矢・火縄銃などしか無かったため、歴史上最も多くの死者を出した怪獣とされる。
エリマキトカゲ型の怪獣
小説版の回想で登場。保科副隊長が第3部隊配属となるきっかけを作った怪獣。数年前に青梅市に出現した爬虫類系怪獣。本獣は体高30mほど。きわめて獰猛な肉食獣であり、胃液を吐いて弱らせた生物を捕食する習性を有し、余獣含めて人間を十数名食い殺している。
トカゲ型の怪獣
冒頭で横浜市に出現した四足歩行型の怪獣。柳田理科雄氏曰く「100mを超える体長」であったが、出てきて1ページで亜白ミナの砲撃で瞬殺。図体の割にフォルティチュードが6とそこまで甚大ではないのは、こういう単にでかいだけで動きも遅く火も光線も吐かないタイプの怪獣はミナのような高火力型には弱く被害が甚大になる前に駆除できると思われる。その後、四つん這いの人間のような形状のものや亀のような形状のものなど余獣が複数体登場し、前者のうち1体は怪獣8号となったカフカに倒されることとなる。
牛鬼型の怪獣
物語開始の1年前、八王子市に出現した怪獣。16人の犠牲者を出したが、防衛隊に捕獲され、演習場で飼育されていた。防衛隊選抜二次試験で受験者たちにより全滅に追い込まれたが、怪獣9号によりゾンビ化されて暴れ回る。
菌類系怪獣
相模原市に出現した怪獣。本獣のサイズは150m。凄まじい生命力により余獣からも自己増殖可能。カフカら第3分隊新入りの初任務の相手。
甲殻類系怪獣
小説版に登場。伊勢原市に出現した蟹型の怪獣。全身が強固な甲殻に包まれ、巨大な鋏で攻撃する。背中のユニ器官から水飴状の粘液を分泌し、土砂やコンクリートなどを体に纏う習性があるので、ただでさえ頑丈な装甲が更に強化されている。

魚類系怪獣
小説版に登場。冒頭で小型のものが死体として登場したほか、第4章で河口湖に大量に出現した。死体は予想通り物凄く臭い。基本的には水棲だが、成長すると四肢を生やし上陸して暴れる。本獣はクジラさえも丸のみにしそうなサイズで、テッポウウオのように口から数十tに及ぶ水を噴射する。

用語

フォルティチュード
怪獣の危険度を専用機器による計測で数値化したもの。地震のマグニチュードに相当する概念で、8.0を超えると「大怪獣」と認定される。
日本防衛隊
怪獣と戦う組織。討伐庁の管轄で、自衛隊とは別に存在する。怪獣のサイズに関わらず、戦闘は討伐した怪獣から得た素材で作られた特殊装備による白兵戦が中心で、パワードスーツ状の兵器や榴弾砲などの使用も確認できる。戦闘車両や戦闘機を使用する描写は現在のところない。最大戦力である隊長・副隊長クラスの隊員には個性に合わせた専用装備が支給される。
防衛隊のスーツ
隊員が着用している戦闘用のスーツ。怪獣筋肉繊維で構成されており、装着すると隊員の体に自動的に形状同化し、身体能力を大幅に強化する。防御用のシールドや隊員のバイタル、解放戦力の計測などの機能を有する。出雲テックスという企業が製造している。背中に怪獣と同様の背骨状の突起がある。
解放戦力
防衛隊の装備の性能をどれだけ引き出しているかを数値化した指標。スーツの解放戦力は訓練を積んだ一般隊員で20%程度で、入隊試験の受験者でも10%超えは年に1人いるかいないかとのこと。
識別怪獣兵器(ナンバーズ)
識別怪獣をベースにして作られた兵器。従来の怪獣ベースの兵器を圧倒的に凌駕する能力を持つが、使用者には生命に関わるほど重度の負荷がかかる。

書誌情報
漫画
  • 松本直也 『怪獣8号』 集英社〈ジャンプ・コミックス〉、既刊11巻(2023年12月4日現在)
  • 2020年12月4日発売、ISBN 978-4-08-882525-0
  • 2021年3月4日発売、ISBN 978-4-08-882611-0
  • 2021年6月4日発売、ISBN 978-4-08-882671-4
  • 2021年9月3日発売、ISBN 978-4-08-882815-2
  • 2021年12月3日発売、ISBN 978-4-08-882872-5
  • 2022年3月4日発売、ISBN 978-4-08-883053-7
  • 2022年7月4日発売、ISBN 978-4-08-883170-1
  • 2022年11月4日発売、ISBN 978-4-08-883305-7
  • 2023年3月3日発売、ISBN 978-4-08-883443-6
  • 2023年8月4日発売、ISBN 978-4-08-883613-3
  • 2023年12月4日発売、ISBN 978-4-08-883747-5
小説
  • 松本直也(原作)・安藤敬而(小説) 『怪獣8号 密着!第3部隊』 集英社〈JUMP j BOOKS〉、2022年11月4日発売、ISBN 978-4-08-703525-4
テレビアニメ

2022年8月にアニメ化が発表された。2024年4月よりテレビ東京系列ほかにてテレビ放送されるほか、インターネットではX(旧Twitter)にて全世界リアルタイム配信予定。

スタッフ
  • 原作 - 松本直也
  • 監督 - 宮繁之、神谷友美
  • シリーズ構成・脚本 - 大河内一楼
  • キャラクターデザイン・総作画監督 - 西尾鉄也
  • 怪獣デザイン - 前田真宏
  • 美術監督 - 木村真二
  • 色彩設計 - 広瀬いづみ
  • 3D監督 - 松本勝
  • 撮影監督 - 荒井栄児
  • 編集 - 肥田文
  • 音響監督 - 郷文裕貴
  • 音楽 - 坂東祐大
  • アニメーション制作 - Production I.G
  • 怪獣デザイン&ワークス - スタジオカラー