恐竜探険隊ボーンフリー
以下はWikipediaより引用
要約
『恐竜探険隊ボーンフリー』(きょうりゅうたんけんたいボーンフリー)は、1976年10月1日から1977年3月25日までNET(現・テレビ朝日)系列で毎週金曜18:00 - 18:30に放送されていた特撮・アニメ番組である。円谷プロダクション制作。全25話。
概要
後に『恐竜大戦争アイゼンボーグ』『恐竜戦隊コセイドン』とともに「円谷恐竜三部作」と称されることになる3作品の第1作目である。恐竜やメカなどはモデルアニメーションを含むミニチュアによる実写特撮、人間などのキャラクターはセルアニメ、という表現方法にて製作されている。円谷プロではこの手法を「立体アニメ」(または「立体アニメーション」)と称している。
円谷プロダクションでは同時期に『プロレスの星 アステカイザー』も制作していた関係から、本作品のアニメ部分は日本サンライズに、実写部分は日本現代企画に、それぞれ下請制作を任せていた。特撮パートは、日本現代企画の撮影所である狛江スタジオを使用している。
『巨獣惑星』、『恐竜特捜隊DC-8』、『ザウルス号アドベンチャー』、『ザウルス号の冒険』という4つの企画を経て実現した。いずれもモデルアニメーションを使ったリアルな恐竜の生態表現を志していた。『DC-8』では人間は完全実写での表現を予定していた。『ザウルス号の冒険』では主人公はチームの少年であった。ザウルス号以降の企画では精巧な人形を使っての人物の描写を予定していた。怪奇性を盛り込んだ『ザウルス号の冒険』の企画の一部は『ファイヤーマン』で実現している。このうち『巨獣惑星』は2分40秒のパイロットフィルムが製作されており、本作品の実現に繋がったとされる。
旭通信社が企画に加わった時期に本作品に調整され、セルアニメを使用することとなった。
古生物学者の小畠郁生が監修として参加している。恐竜の描写は当時最新の学説に極力基づいて描かれており、従来の怪獣ものとは一線を画している。そのため、正しい形状に留意して恐竜のイラストが脚本内に掲載されるなどしていたが、尻尾を引きずる恐竜が実際の映像では多かった。
前年に発見されたエゾミカサリュウや一般には馴染みの薄いポラカントスやコリトサウルスなどが登場するのも特徴である。
「アニメーションによる人物表現」は、『サンダーバード』などに見られるスーパーマリオネーションを意識したために採られた方法である。また『アステカイザー』共々、特撮に替わり子供番組の中心となっていったアニメーションへの挑戦であったともされ、さらに特撮を加えることによって新しい映像表現を見出そうとしていた。しかし、モデルアニメーションゆえに高額の製作費が掛かってしまい製作スケジュールが破綻。2クールで終了した。恐竜シリーズの中では最短話数である。
この手法は次作『恐竜大戦争アイゼンボーグ』にも引き継がれた。『アイゼンボーグ』では恐竜たちがモデルアニメーションではなく着ぐるみを用い、『恐竜戦隊コセイドン』は全編実写で制作されるなど相違点もある。
スポンサーはトミー(現:タカラトミー)の1社提供。本作品は、同社が初めて本格的にスポンサードした特撮およびアニメ番組でもある。
2009年1月から6月まで、チャンネルNECOの「円谷特撮アワー」枠にて再放送された。
撮影に使用されたティラノサウルスのアップ用ギニョールは、2021年時点で現存が確認されている。通常、造型に用いられるラテックスは劣化しやすいが、このギニョールは45年後も良好な状態を保っている。
ストーリー
1996年、地球に接近したアービー彗星に伴う地殻変動によって、中生代の環境を維持していた地底の大空洞から恐竜が地上に姿を現した。国際自然保護連合は現在の環境に適応できずに死んでいく恐竜たちを保護するため恐竜捕獲隊「ボーンフリー隊」を組織した。ボーンフリー隊は富士山麓に基地指令室を置き、専用の大型探検車ボーンフリー号や輸送機キャリードンキーなど様々なメカを駆使し、環境変化や恐竜抹殺を訴える人間たち、さらに密猟者バトラーなどの手から恐竜たちを保護するために奮闘する。
登場キャラクター
ボーンフリー隊
首長竜のシルエットの上に「DINOSAURS CATCHER」(恐竜捕獲隊)の文字を冠した紋章を使用している。隊員服は青を基調としたサファリジャケットで、ズボンとヘルメットは全員共通だが、男性用は長袖と胸ポケット付きのジャケットと黒い長靴なのに対し、女性用は半袖で胸ポケットが無く赤い長靴である。また、体温調整機能もある。
恐竜密猟組織
キング・バトラー:滝口順平
レディ・バトラー:池田和歌子
第17話から登場。キング・バトラーの娘。父と異なり恐竜に興味がなく、逆に父を自分から奪った恐竜を憎み、殺害することが目的で活動。と同時に父と敵対したボーンフリー隊にも憎しみを抱いており、その復讐をも狙っている。父の死を契機に活動を始め、装甲車ワイルドキャットで暗躍。また、父と異なり部下任せにはせず、自ら銛やダイナマイトで恐竜にとどめを刺す。また黒猫のジュリーをかわいがっている。第23話で丈二に命に救われたことがきっかけで心境に変化が生じ、つづく第24話でボーンフリー隊が人命救助のためにK弾を撃ち込んだエゾミカサリュウが死に場所を探すのを見逃してくれという丈二の声を聞きいれたため、リックに叩きだされた直後に地割れに落ちる。しかし、再度丈二に救出され、完全に心を入れ替えて去って行った。
その他
- ナレーション、フリーランナー操縦者、コンピュータの声:中江真司
ゲスト
エリックじいさん:水鳥鉄夫(第5話)
キャッサバ:白川澄子(第15話)
チッチ:小熊恭子(第16話)
トミー:麻上洋子(第21話)
ライアン:玄田哲章(第21話)
ベロ:渡辺知子(第22話)
サム:細井重之(第23話)
登場メカ
- ボーンフリー号の操縦室やボーンフリー隊の基地指令室、キングバトラー号の内部などが背景用のミニチュアセットが美術班によって製作されている。
ボーンフリー号
1号
2号
フリーシーガル
フリービークル
フリーマッカール
気球
フリーマッカール
気球
フリーマッカール
気球
フリーマッカール
気球
フリーマッカール
気球
フリーマッカール
気球
フリーマッカール
気球
フリーマッカール
気球
キャリーバード
キャリードンキー
フリーランナー
キングバトラー号
作品中ではキングバトラー号と呼ばれるが、関連書籍ではベアーキャットと記述されている。
ワイルドキャット
次回予告ではこの名称で呼ばれ、「WILDCAT」とマーキングされているが、関連書籍ではヘルキャットと記述されている。
スタッフ
- 監修:小畠郁生
- 企画:円谷プロダクション、旭通信社
- プロデューサー:高橋正樹(NET)、円谷粲(円谷プロダクション)、岩上清志(旭通信社)
- プロデューサー補:大木淳、小森徹
- 脚本:阿部桂一、安藤豊弘、山崎忠昭、若槻文三、田口成光、久保田圭司
- 監督:高野宏一、大木淳、鈴木清、鈴木俊継
- 音楽:冬木透
- 実写撮影:大岡新一
- 照明:松丸善明
- 操演:白熊栄次
- 実写美術:山口修
- 編集:山下登喜子
- 効果:伊藤克己(スワラ・プロ)
- 録音:成田茂
- 記録:竹田ひろ子
- 計測:宮下成治、宇井忠幸
- 照明助手:高野和男
- 美術助手:寒竹恒夫
- 助監督:鈴木一
- ネガ編集:太田百子
- タイトル:石田徹
- 制作主任:小池一三
- 動画監督:河島治之、秦義人、秦泉寺博
- 原画・動画:ペーパームーン
- 彩色:グループジョイ
- 背景:東條俊寿
- 動画演出補:山崎和男
- 動画撮影:東京アニメーションフィルム
- 背景スチール:手塚龍行
- 進行:高山幸直
- 立体アニメーション:田畑博司
- 視覚効果:中野稔
- 制作協力:創映社、日本現代企画、サンライズスタジオ
- デン・フィルム・エフェクト、ヒルマモデルクラフト、沼里企画、光子館、五十嵐デザインオフィス、東京現像所、整音スタジオ
- 掲載:小学館
- 制作:NET(現:テレビ朝日)、円谷プロダクション
放送リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 監督 | 登場恐竜 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1976年 10月1日 |
行け!ボーンフリー号 | 阿部桂一 | 高野宏一 | ブロントサウルス親子 |
2 | 10月8日 | 恐怖の肉食恐竜 アロサウルス | ブロントサウルス親子、アロサウルス | ||
3 | 10月15日 | ブロントサウルスを救え! | ブロントサウルス親子 | ||
4 | 10月22日 | 砂漠の暴れん坊 ティラノサウルス | ティラノサウルス | ||
5 | 10月29日 | トリケラトプスの卵を守れ! | トリケラトプス(親と卵) | ||
6 | 11月5日 | トラコドンの涙 | トラコドン(オス、メス)、トリケラトプスの子供 | ||
7 | 11月12日 | 親にはぐれたステゴサウルス | ステゴサウルス、アロサウルス | ||
8 | 11月19日 | イグアノドン対ティラノサウルス | 安藤豊弘 | イグアノドン、ティラノサウルス | |
9 | 11月26日 | 赤ちゃん恐竜を救え!! | 大木淳 | トリケラトプス親子、テラノドン | |
10 | 12月3日 | 少年と恐竜の | |||
11 | 12月10日 | 大暴れ!ステゴサウルス | 山崎忠昭 | 高野宏一 | ステゴサウルス |
12 | 12月17日 | 素晴しい友!ステゴサウルス | |||
13 | 12月24日 | 台地の帝王 ゴルゴサウルス | 阿部桂一 | ゴルゴサウルス、テラノドン | |
14 | 1977年 1月7日 |
飛べ!テラノドン | 鈴木清 | テラノドン2体 | |
15 | 1月14日 | 恐竜の道の秘密 | 若槻文三 | トロエドン | |
16 | 1月21日 | アンキロサウルスは友達 | 田口成光 | 高野宏一 | アンキロサウルス |
17 | 1月28日 | キングバトラーの最期! | 阿部桂一 | ティラノサウルス、ポラカントス | |
18 | 2月4日 | 復讐の鬼 レディ・バトラー | トラコドン、モノクロニウス | ||
19 | 2月11日 | ジャンボ恐竜 ブラキオサウルス | 田口成光 | 大木淳 | ブラキオサウルス |
20 | 2月18日 | 百竜の王 ティラノサウルス | 安藤豊弘 | 鈴木俊継 | ティラノサウルス、コリトサウルス |
21 | 2月25日 | ディプロドクス大救出作戦 | 久保田圭司 | ディプロドクス | |
22 | 3月4日 | ガンバレ!チビッコ恐竜 | 安藤豊弘 | 高野宏一 | ブロントサウルス親子、ゴルゴサウルス |
23 | 3月11日 | 人喰い恐竜を倒せ! | 阿部桂一 | ティラノサウルス | |
24 | 3月18日 | 謎の恐竜 エゾサウルス | エゾミカサリュウ、ステゴザウルス | ||
25 | 3月25日 | 恐竜よいつまでも! |
- 1976年12月31日は、18:30 - 19:54に演芸特別番組『'76笑い納めだ!大爆笑』が編成されたことにより、18:30の『ANNニュースレーダー』と18:50の『各地のニュース』(関東地区は『ANN首都圏ニュース』)がそれぞれ30分繰り上がったため休止。
主題歌
- オープニングテーマ - 「行け!ボーンフリー」 作詞:藤公之介 / 作曲・編曲:冬木透 / 歌:子門真人、コロムビアゆりかご会
- エンディングテーマ - 「恐竜よ いつまでも」 作詞:藤公之介 / 作曲・編曲:冬木透 / 歌:子門真人、コロムビアゆりかご会
コミカライズ
- 小学一年生 1976年11月号 - 1977年3月号連載 小島利明
- 小学二年生 1976年11月号 - 1977年3月号連載 内山まもる
- てれびくん 1976年11月号 - 1977年3月号連載 久松文雄
映像ソフト化
- 1997年11月-12月にかけて全話収録のビデオ(VHS・全6巻)がビクターエンタテインメントより発売。
- 1997年12月17日に全話収録のLD-BOXがビクターエンタテインメントより発売。
- 2003年12月25日に全話収録のDVD-BOXがマーベラスエンターテイメントより発売。
- 単巻DVDが2014年3月から東映ビデオより発売。
ネット局
- NETテレビ(制作局):金曜 18:00 - 18:30
- 北海道テレビ:金曜 18:00 - 18:30
- 東日本放送:金曜 18:00 - 18:30
- 名古屋テレビ:金曜 17:00 - 17:30
- 朝日放送:日曜 18:30 - 19:00
- 広島ホームテレビ:金曜 17:00 - 17:30
- 九州朝日放送:金曜 17:55 - 18:25
巨獣惑星・円谷立体アニメ
1974 ‐ 1975年に円谷プロで制作された2分40秒のパイロットフィルムで、この2作品を本作品の実質的なパイロットフィルムと位置づけている書籍もある。
スタッフ
※特記なしは両作品共通
- モデルアニメーション:鯨井実(『巨獣惑星』では作画と兼任)
- 撮影:佐川和夫(『巨獣惑星』のみ)、宮重道久(『巨獣惑星』のみ)、佐藤誠二郎
- 作画:木村金男(『円谷立体アニメ』のみ)
- 演出:宮重道久(『円谷立体アニメ』のみ)
巨獣惑星
1974年制作。人物はセルアニメ、登場する怪物はモデルアニメーションによって表現されている。ストーリーは宇宙船で未知の惑星に漂着してタンクで探検する二人の隊員が2体の怪物、巨鳥と触角獣に遭遇するというもので、隊員は怪物によって宇宙船とタンクを破壊されるが、謎の巨人によって救出されるというもの。
円谷立体アニメ
1975年制作。登場する怪物はモデルアニメーションによって表現されているが、人物は場面によってセルアニメと実写撮影に替わる形式となっている。ストーリーはドライブ中の男(出演・平野康)が、トンネルを抜けると突然砂丘に迷い込んでしまい、巨鳥に襲われ、車を置き捨てて戦いを挑むものの、その最中に起こった地震によって地割れに巻き込まれた男はセルアニメで表現された巨大な少女の住む世界に迷い込んでしまい、少女に追いかけられる中で車を見つけた男は小さな穴(実はトンネル)を見つけて元の世界に帰還するというものである。
参考文献
- 『X文庫 メーキング・オブ・円谷ヒーロー (1)』講談社、1987年8月12日。ISBN 4-06-190102-8。
- 大石真司、江口水基・島崎淳・間宮尚彦『円谷プロ全怪獣図鑑』小学館、2013年。ISBN 9784096820742。
- 『別冊映画秘宝 円谷プロSFドラマ大図鑑』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2013年10月2日。ISBN 978-4-8003-0209-0。
- 『テレビマガジン特別編集 ウルトラ特撮マガジン VOL.2』講談社(講談社MOOK)、2021年5月24日。ISBN 978-4-06-523014-5。
- 『夢のかけら 円谷プロダクション篇』修復-原口智生 撮影-加藤文哉、ホビージャパン、2021年8月31日。ISBN 978-4-7986-2523-2。
- 『宇宙船』vol.180(SPRING 2023.春)、ホビージャパン、2023年4月1日、ISBN 978-4-7986-3133-2。