小説

悼む人




以下はWikipediaより引用

要約

『悼む人』(いたむひと)は、天童荒太による日本の長編小説。第140回直木賞受賞作。『オール讀物』(文藝春秋)にて2006年10月号から2008年9月号まで連載された後、加筆修正を経て2008年11月に同社より刊行された。2012年、大森寿美男の脚本・堤幸彦の演出で舞台化され、同じ脚本・監督により映画化され2015年2月に公開された。

続編的扱いの作品として、本作の主人公・静人が書いた日記という体裁を取った『静人日記』(しずとにっき)がある。

あらすじ

悼む人に関わる3人を軸として、悼む人の必要性、目的、人間の死生観などを浮き彫りにしていく。

登場人物


坂築静人(さかつき しずと)

悼む人。32歳。無職。新聞や雑誌などの情報を元に事件や事故の現場を訪れ、犠牲者を悼む。
元医療機器メーカーの営業職。年前に退職し、死を悼む旅に出る。

坂築巡子(さかつき じゅんこ)

静人の母。末期癌患者。58歳。病院を出て、神奈川県横浜市内の自宅での在宅ホスピスケアを受けている。
実家は鎌倉。12歳のとき兄の継郎(つぐお)(16歳)を白血病で亡くす。母親は肺癌で亡くす。

坂築鷹彦(さかつき たかひこ)

静人の父。対人恐怖症的性向あり。故郷は愛媛県今治市。絵が得意。

坂築美汐(さかつき みしお)

静人の妹。静人の5つ年下。都内の旅行代理店勤務。都内で一人暮らししていたが、母の在宅ケアに合わせ実家に戻る。
高久保英剛の子を妊娠。

蒔野抗太郎(まきの こうたろう)

都内大手出版社の記者(契約制の特派者)。同僚たちから「エグノ」(エログロの蒔野)と呼ばれている。北海道で発見された白骨遺体の事件をきっかけに静人と知り合う。
北海道函館市出身。亡き母の実家が函館にある。
バツイチ。元妻は京都で美術関連出版社の編集責任者の男性と再婚し息子(9歳)と3人で暮らす。

  • 蒔野の父

  悪性リンパ腫で入院中。余命僅か。声を失っている。

尾国理々子(おぐに りりこ)

蒔野の父の愛人。元銀座のバーのホステス。

奈儀倖世(なぎ ゆきよ)

夫を殺した罪で服役後、事件現場に戻ったところ、悼む行為をしていた静人と出会い、その後、行動を共にする。

甲水朔也(こうみず さくや)

奈儀倖世の夫。東北地方の寺院の長男。東大出身。幼い頃に実の母と死に別れ、義母が産んだ腹違いの弟がいる。幼い頃から神童と呼ばれる。寺の敷地に家庭内暴力の被害者女性のシェルターや高齢者施設などを設立し、仏様の生まれ変わりと慕われるが、裏の顔がある。

福埜怜司(ふくの れいじ)

静人の従弟。坂築鷹彦の妹・みのりの息子。美汐と同じ年。実家は滋賀県。都内の通信事業会社勤務でインターネット関連の管理運営。

高久保英剛(たかくぼ ひでゆき)

美汐の交際相手(元恋人)。高久保家の次男。兄は、県会議員の叔父の秘書をつとめる。都内の銀行に勤める。福埜怜司の大学時代の友人。

  • 福埜みのり(ふくのみのり)

  怜司の母。坂築鷹彦の妹。坂築巡子の大学時代(演劇部)の親友。滋賀県で小さな運送会社を経営。

  • 海老原(えびはら)

  都内大手出版社編集部の班デスク。蒔野の上司。

  • 野平清実(のひら きよみ)

  出版社編集部の社員。蒔野の後輩。新人記者。入社2年目

  • 高久保英剛の兄 県会議員の叔父の秘書。
舞台

2012年10月19日 - 10月28日にかけてのPARCO劇場での上演など、11都市で公演され、約5万人を動員した。

キャスト
  • 坂築静人 - 向井理
  • 奈儀倖世 - 小西真奈美
  • 蒔野抗太郎 - 手塚とおる
  • 坂築美汐 - 真野恵里菜
  • 坂築巡子 - 伊藤蘭
スタッフ
  • 原作 - 天童荒太
  • 脚本 - 大森寿美男
  • 演出 - 堤幸彦
映画

2015年2月14日に公開された日本映画。舞台版と同じく堤幸彦が監督、大森寿美男が脚本を担当した。主演は高良健吾。2014年3月22日にクランクインし、福島県や山形県、新潟県、関東近郊で5月上旬までの予定で撮影された。

キャスト(映画)
  • 坂築静人 - 高良健吾
  • 奈儀倖世 - 石田ゆり子
  • 甲水朔也 - 井浦新
  • 坂築美汐 - 貫地谷しほり
  • 福埜怜司 - 山本裕典
  • 沼田響子 - 麻生祐未
  • 沼田雄吉 - 山崎一
  • 高久保大剛 - 眞島秀和
  • 海老原 - 佐戸井けん太
  • 水口(倖世のバイト先の店長) - 甲本雅裕
  • 弁護士(倖世の裁判の弁護を担当) -堂珍嘉邦
  • 中村(癌病棟の入院患者) - 大島蓉子
  • 蒔野の父 - 上條恒彦
  • 高久保英剛 - 生島翔
  • 比田雅恵 - 戸田恵子
  • 尾国理々子 - 秋山菜津子
  • 野平清実 - 大後寿々花
  • 坂築鷹彦 - 平田満
  • 蒔野抗太郎 - 椎名桔平
  • 坂築巡子 - 大竹しのぶ
  • 坂築静人(幼少期) - 大西利空

キャスト出典:

スタッフ(映画)
  • 監督 - 堤幸彦
  • 脚本 - 大森寿美男
  • 原作 - 天童荒太『悼む人』(文春文庫刊)
  • 音楽 - 中島ノブユキ
  • 主題歌 - 熊谷育美「旅路」(テイチクエンタテインメント)
  • 製作代表 - 木下直哉
  • エグゼクティブプロデューサー - 武部由実子、長坂信人
  • プロデューサー - 神康幸
  • 音楽プロデューサー - 茂木英興
  • 協力プロデューサー - 菅野和佳奈
  • ラインプロデューサー - 利光佐和子
  • 撮影 - 相馬大輔
  • 照明 - 佐藤浩太
  • 録音 - 渡辺真司
  • 美術 - 稲垣尚夫
  • 装飾 - 相田敏春
  • 編集 - 洲崎千恵子
  • Bカメラ - 川島周
  • 現場編集 - 似内千晶
  • VFX - 浅野秀二
  • 音響効果 - 壁谷貴弘
  • 助監督 - 日高貴士
  • 制作担当 - 篠宮隆浩
  • 監督補 - 高橋洋人
  • 記録 - 奥平綾子
  • 企画協力 - 文藝春秋
  • 特別協力 - 朝日新聞社
  • 製作 - キノフィルムズ
  • 製作プロダクション - オフィスクレッシェンド
  • 配給 - 東映
  • 製作委員会 - 「悼む人」製作委員会(木下グループ、オフィスクレッシェンド)
封切り

全国184スクリーンで公開され、初週2015年2月14日・15日の全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)では、動員4万8,556人、興収5,993万7,700円で初登場8位にランクインした。

受賞
  • 第28回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(2015年)
  • 主演男優賞(高良健吾)※ 『きみはいい子』と合わせて受賞。
  • 主演男優賞(高良健吾)※ 『きみはいい子』と合わせて受賞。

オーディオブック

綱島剛太郎と中村綾の朗読により、Audibleにてオーディオブックのデータ配信が2018年3月16日に上巻、同年4月16日に下巻が発売された。

関連本
  • 『静人日記』文藝春秋、2009年 ISBN 9784163287201