我間乱〜GAMARAN〜
以下はWikipediaより引用
要約
『我間乱〜GAMARAN〜』(がまらん)は、中丸洋介による日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』(講談社)2009年第24号から2013年第30号まで連載された。
物語の2年後を描いた『我間乱 ―修羅―』が『マガジンポケット』(同)にて2018年3月21日より連載中。2020年10月時点でシリーズ累計発行部数は280万部を突破している。
あらすじ
時代は江戸中期。"鬼の巣"と呼ばれ、幾多の武芸者どもが集まる藩として知られる海原藩では、海原藩の次期藩主を決めるため武芸仕合である"海原大仕合"が行われることとなった。現藩主・鷲津直正の二十八男である鷲津直善は、海原大仕合に出場させる流派を探すため、"千人斬り"と呼ばれ最強の剣客と言われた黒鉄陣介の流派とされる大亀流を訪れ、そこで出会った陣介の息子である、大亀流門下の少年・黒鉄我間の実力を目の当たりにし自らの夢を託す。 我間は強敵揃いの一回戦を苦戦しつつも1人で勝ち抜き、さらに我間の兄弟子たちも直前に合流、二回戦においても、恐るべき武芸者たちとの激闘の中、直善と我間たちは絆を深めあって行くが、大試合の裏で、数年前、「ある事件」を起し大亀流を去った陣介と、彼の率いる無宝流による恐るべき陰謀が進められていた…。
海原大仕合概要
海原藩藩主・鷲津直正により開催された武芸仕合。直正の息子である31人の藩主候補がそれぞれ最強と目した流派を推挙し、選ばれた流派同士で争う。この大仕合で頂点に立った流派を推挙した藩主候補が海原藩藩主跡目として認定される。
一回戦仕合方式
二回戦仕合方式
登場人物と流派
大亀流(おおがめりゅう)
海原藩の藩境に位置する、人里離れた山奥に道場を構える剣術流派。創設二百年を越える古参の流派で、雷・火・空・水・土の五つの型からなる「五行(大亀流五剣)」を軸とした独自の術技体系を持つ。
かつて大亀流では、黒鉄陣介と妙画鉄斎という2人の天才剣士が当主の座を争っていた。当時の当主であった大泉亀伝坊は、陣介の内に秘められた野心を見抜きながらも、わずかに腕の勝る彼に当主の座を託した。
しかし大亀流は、剣と流派の力を用いて権力を得ようとする陣介の派閥と、武術流派としての大亀流を守ろうとする鉄斎の派閥に分裂。両派の溝は埋まらず、ついには同門同士で殺し合うという事件に発展した。この事件で、鉄斎と彼の支持者たちの多くが死亡し、陣介は自分の支持者達を引き連れて姿を消した。この事件で生き残った門下生は、陣介の息子である黒鉄我間とその兄弟子である千石伊織、桜真ノ丞、一ノ瀬善丸の4人のみ。のちに3人の兄弟子たちは陣介の行方を追って道場を離れ、現在は我間と隠居した亀伝坊、その娘である千花の3人が道場に居残っている。
黒鉄我間(くろがね がま)
本作の主人公。黒鉄陣介の一人息子で、父譲りの銀髪が特徴の15歳の少年。実年齢以上に小柄で幼い容姿だが、9歳の頃からの5年間たった一人で他藩からの道場破りに勝ち続けてきたほどの実力の持ち主。特に身のこなしや動体視力、反射神経など、あらゆる面で人間離れした「疾さ(はやさ)」を持つ。大亀流の剣士は、修行の初めに「五行」の第一式の技すべてを習得するが、我間は疾さ重視の五剣ノ一「雷電型」のみ第二式まで習得している(後に伊織の特訓により第三式まで習得)。反面、体格的に非力であるため、威力重視の型である五剣ノ二「焔燃型」は苦手とする。観察力や学習能力にも優れ、敵の技を一見しただけで自分のものにし、あまつさえ独自に改良を加えるなどの創意工夫を見せる。
普段は年相応に生意気な性格で、年上や目上の人間に対しても基本的に敬語は使わない(「さん」など最低限の敬称を付ける程度)。下の毛がまだ生えていないことを非常に気にしており、道場の仲間からことあるごとに「つるちん」呼ばわりされムキになることが多い。一方で、剣術に対しては日々の鍛錬を欠かさず真摯な姿勢で臨み、武芸者として確固とした信念と覚悟を持つ。また、自分が強さを認めた相手に対しては、たとえ敵であっても敬意を払う。かつて同門の仲間たちを殺した父・陣介を深く憎んでおり、いつしか自分の手で彼を倒すことを悲願としている。
続編の『-修羅-』では、可士太郎との修行の旅の最中に幕下百剣に番付5番で百剣士に選ばれることに。伊織を超え、天下無双となるべく参加。折りしも年を経て剣士として最も成長する時期に入っており、海原大仕合をも凌ぐ成長速度を見せる。可士太郎からは陣介以上の天凛を持っていると評価されており、我間の戦いを見た伊織からは陣介に被って見えると言われた。
無宝流の残党や直善との再会を機に、かつて陣介が歩もうとした道について今一度考えることになり、思慮の末陣介を知り超える為に無宝流の当主となる事を決断。
千石伊織(せんごく いおり)
我間の兄弟子であり、幼少時からの師匠的存在。後ろに束ねた癖毛と鋭い双眸が特徴の男前で、羽織と煙管を愛用する洒落男。24歳。陣介に「自分のすべてを叩き込んだ」と言わせるほどに認められた高弟であり、我間と同等の疾さに加え、片手の斬撃で鉄製の武具ごと相手を両断するほどの圧倒的な膂力を兼ね備えている。我間の師だけあって雷電型を多用する傾向にあるが、元々の攻撃力がずば抜けているため流派の技を使うことは少ない。刀を両手で握ることはなく、片手一本か、脇差との二刀流で戦うことが多い。戦闘後の刀の手入れを面倒臭がっており、抜く価値がないと判断した相手に対しては、基本的に素手か手近な武器を奪って戦う。傲岸不遜かつ掴み所のない性格の持ち主で、よく我間をからかい彼が怒る姿を見て楽しんでいる。
9歳の頃、自分の両親を殺した不良侍二人に陵辱されかけたところを陣介に救われ、その圧倒的な強さに魅かれ大亀流に入門した。以来、陣介を実の父親のように慕っていたが、のちに覇道を歩もうとする陣介の誘いを断り決別する。陣介を止めるべく、鉄斎派との抗争前日に一騎討ちを挑むが敗北。この戦いは我間と亀伝坊以外には知らされておらず、のちの真ノ丞との軋轢を生む要因となった。
ほかの弟子たちとは別行動で陣介の行方を追っていたが、陣介が海原大仕合に参戦している可能性があるという情報を掴み帰還。我間と鏡千流との決戦の場に姿を現し、愛弟子である我間の成長を確信しつつも問題点を指摘。二回戦を前に我間に自らの技を伝授するなどの修行を施し、海原大仕合二回戦開戦後は再び別行動を取るが、明神流戦で真ノ丞と合流する。
対四神槍戦では圧倒的実力を見せ、神野一翁をわずかこぶし2発で撃破。海原城へ単身突入した際も、鞍四伝・林慶・前園兆栄・那須早雲(それぞれが軍団団長)などを圧倒的な技量差で斬り倒す。その後、陣介の前で大亀無宝流間の一年間の休戦協定を締結させ、姿を消すが裏では内通者の月影、神成流の鬼崎玄斎らと連携して無宝流打倒のための準備を行っていた。一年後、大亀流と無宝流の決戦が始まった後、再び我間達に合流する。
続編の『-修羅-』では、陣介亡き後の天下無双として無芸者から狙われながら修行の旅を続けていた。陣介の死に囚われる面が現れており、鈍くなった己の剣が天下無双とされることへの苛立ちも心の底で抱えている。
陣介が座した天下無双とは何かを求める中で幕下百剣として幕下大仕合への参加を要求され、真の天下無双を掴むべく参加を承諾する。
桜 真ノ丞(さくら しんのじょう)
我間の兄弟子の一人で、伊織と肩を並べる実力者。束ねた長い黒髪と切れ長の目が特徴の美男子。24歳。通称は「真さん(伊織は真と呼ぶ)」。疾さと技巧を兼ね備えた剣士で、五剣ノ四「水龍型」に代表される流麗な太刀捌きが特長。涼しげな容姿に反して相当な毒舌家であり、特に後輩の善丸に対しては辛辣な発言が多い。また極度の方向音痴であり、海原城下に到着するまでに二日以上森を彷徨ったことがある。
10年前までは一天流(いってんりゅう)という他流の道場に在籍しており、当時14歳にして道場の跡取りを嘱望されるほどの腕前を持っていた。しかし、突如道場に現れた双燕流当主・二階堂美作に仲間や道場主の娘である許婚の幸を殺され、これに激昂して美作に挑むも圧倒的な実力差の前に惨敗を喫し、長らく強いトラウマを抱えるようになる。その後、美作に指摘された自分の剣に足りない「狂」の強さを得るべく、大亀流の門戸を叩いた。
海原大仕合二回戦より善丸とともに参戦。四神槍との戦いに向かう道中で美作たちと再会し、他の仲間を先に行かせ単独で因縁の私闘に臨む。切り札である二刀流を解放した美作に手こずりつつも、10年間で磨かれた技で圧倒し見事敵討ちを果たす。四神槍戦には伊織とともに途中から合流するも、突如として現れた馬庭重法を筆頭とした無宝流第二遊撃師団の攻撃を受ける。その際、大宮万里、馬庭重法の二人を相手にすることとなるが、神野一翁の乱入もあり、馬庭重法を一撃で斬殺する。
戎簾の里では、空席となっていた大亀流当主を決めるべく、伊織に戦いを申し込む。数々の技巧で伊織を苦戦させるも、伊織の膂力の前に徐々に押され始める。最終的には後から駆け付けた亀伝坊が仲裁に入り、勝負はお預け。流派を守ろうとする意志の強さは伊織も認め、亀伝坊の最終判断で、大亀流当主となる。
続編の『-修羅-』では、大亀流の道場主として後身の育成に精を出している。幕下百剣に選ばれ招待状が届いてはいたが、海原大仕合の際に負った傷が原因で腕を十全に使えなくなっていたこと、何より大亀流という家族を守る在り方を決めていたために不参加を表明した。我間との手合わせで負けたことで自身の巻物と陣介が大亀流時代に使っていた刀の千我村雨を我間に譲渡した。その後利虎の手紙によって我間が無宝流の当主になったことを知ると千花を連れて江戸に向かった。
一ノ瀬善丸(いちのせ ぜんまる)
我間の兄弟子の一人で、体格のいい長身の男。風貌通りの豪快かつ単純な性格で、真っ先に敵の罠に嵌り窮地に陥ることが多い。その気質は剣術にも表れており、威力重視の技である「焔燃型」を最も得意とする。その戦い方ゆえに周囲から口々に馬鹿力と呼ばれるが、本人はあくまで技であると強調している。先輩である真ノ丞の毒舌の最大の標的であり、「サル」「筋肉バカ」などと呼ばれ年甲斐のない罵り合いをしている。しかし、自分に没頭しやすい大亀流の面々の中では人を見ており、所謂ツッコミが多い。腰の大小に加え、自分の身の丈ほどの長さを誇る怪刀「久夛良木定長(くたらぎさだなが)」を携えている。海原大仕合二回戦より真ノ丞と共に参戦。
実家の一ノ瀬家は大実賀藩で剣術師範を務める一千石取りの武門の大家で、我間を愕然とさせるほどの名家の御曹司。家門に相応しい武名を揚げ、陣介とともに大亀流を裏切った兄・可偉を倒すために修行に打ち込み、戦いに身を置いている。
続編の『-修羅-』では、一ノ瀬家の道場の一つを任されている。海原大仕合の後もひたすらに鍛錬に打ち込み自身を定長に特化させており、定長を使用するとなれば幕下百剣内では下位であった周囲評を容易く覆すほどの力量を見せる。一方で死線や窮地から長らく距離を置いていたこともあり、修羅場となる幕下大仕合に身を投じたことを度々危惧されることも。
大泉亀伝坊(おおいずみ かめでんぼう)
大泉千花(おおいずみ せんか)
妙画鉄斎(みょうが てっさい)
戎簾の里(じゅうれんのさと)
大亀流道場から、海原藩外に数日歩いた山奥にある隠れ里。かつて大亀流の開祖が流派を興した地であり、以降代々の当主や高弟たちが、その資格と強さを得るための修行場として利用されてきた。
麟太郎(りんたろう)
可士太郎(かしたろう)
麟太郎と日本人の妻(故人)との間に生まれた長男で、里の中央にそびえる戎簾山の管理者。眼鏡をかけたひ弱そうな青年だが、父の麟太郎から天才と言わしめるほどの一流の武術家である。普段は山頂に建てた書斎に篭って研究に没頭している。特殊かつ変態的な性的嗜好の持ち主であり、「ややぽっちゃりの釣り目で何でもやらしてくれそうな女」が好みのタイプ。我間と善丸に稽古をつけるための交換条件として連れて来られた千花に、放送禁止用語だらけのセクハラ行為を強要しようとし、これに怒った彼女の鉄拳を食らい成敗される。
外見どおり、生まれついての虚弱体質で少し山道を歩いただけで息切れし、短刀しか扱えない等、体力、腕力ともに人並み以下のものしか持たない。それゆえ、一度は父から剣の道を諦めるよう告げられるが、十数年間研究に没頭した結果、人体構造について知り尽くすまでになり、体に触っただけで筋肉の付き方、これまで行ってきた鍛え方、これからするべき鍛え方を把握できる。それらに裏打ちされた卓越した身体操作術と相手の能力、戦型をも利用した「後の後を取る剣」は陣介に認められし達人集団である直属兵団の一人、清盛と短時間ながら互角以上に渡り合う程であり、彼からは「身体のハンデさえなければ間違いなく天才と呼ばれていた」と高い評価を受けている。
打倒無宝流の修行の為に山を訪れた我間、善丸の教育を任されることになる。二人には横柄な態度で接しているが、はじめての弟子、そして同じ目標を持つ友としてかけがえのない存在とも思っており、彼らのために戦うため大亀流との決戦に同行する。
続編の『-修羅-』では、我間を完成させるべく修行の旅に同行している。食い物のために我間の刀を売り払ったり、初対面かつ素性も明らかでなかった蘭にセクハラするなど言動は相変わらず。
海原藩
鷲津家
鷲津直善(わしず なおよし)
海原藩の現藩主・鷲津直正の二十八男。しかし、妾腹の身ゆえに冷遇されてきた。常に理不尽に虐げられながら何もできない自信の無力さと、同じく冷遇される母のために海原大仕合を制し次期藩主となることを決意し、大試合に負けた場合、その命を捨てることを条件に参加を許され、大亀流の元を訪れる。その力を確かめるため連れて行った日向流の日向雅人、日向小三郎との戦いを見て、我間が自分の人生を賭けるに足りる存在だと理解する。
我間と大亀流の面々とともに試合に勝ち進むうち、彼らに対する信頼と絆を深めていき、松本無楽、藤林才蔵戦では我間への信頼から取った行動により、結果的にその負担を軽減する状況を作り出し、御堂心悟戦では攻撃を受け、失神しかけた我間の意識を取り戻させる。しかし本人も無自覚のうちに次期藩主の地位に執着するあまり、視野が狭くなっている面も見られる。
二回戦で伊藤乱丸の手引きで引き合わされた直勝と明神流が直善打倒を宣言した事に動揺、勝利後もその殺害をとまどうが、直善を気づかい代わりに首を取ろうとした我間から直勝をかばった際、逆に直勝に刺される。ここで次期藩主の地位に固執した、自らの言動が直勝の誤解と暴走を招いたことに気が付くが、決裂したまま直勝は眼前で大宮万里に殺され、慟哭、放心状態となる。
さらに海原藩乗っ取りを企む黒鉄陣介と無宝流、さらに尊敬していた母・雪尾により、海原藩乗っ取り後の傀儡の藩主として狙われ、我間、善丸とともに逃走するも、直勝同様、自分のために二人が傷つくと思いつめ、大亀流に手出ししないことを条件に陣介の軍門に下る。
続編の『-修羅-』では、海原藩の一件によって罪人とされ幕府より追われる身となっており、自らの窮地を救い保護してくれた無宝流への恩として我間に無宝流当主就任を依頼する。
鷲津直正(わしず なおまさ)
鷲津直勝(わしず なおかつ)
鷲津家三十一男。明神流の主君。兄弟の中で唯一、直善に対し毛嫌いした態度を見せずに融和に接しており、どんな時も、何者にも屈服しないその精神を尊敬し、信愛の情を抱いていた。直善自身も心を許し、大仕合後も彼のみは庇護対象にある存在。
二回戦仕合方式に対し動揺を見せるが、直善の次期藩主への野望が全く揺るがないさまを目の当たりにし、彼の中で自分をも追い落とそうしているのではないかという疑念を抱く。ついには乱丸の手引きで兄と大亀流に対して宣戦布告するが、大亀流の前に明神流は連敗し、明神流が敗北すれば自分を殺さざるを得ないにも関わらず我間、善丸の勝利を手放しで喜ぶ直善と大亀流への憎悪を深めていく。最終的に大将の万里が直勝をあっさり見捨て試合に敗北するも、敬愛する兄が自分を殺すという事実を許せず、その首を取らんとする我間からかばおうとした直善を刺すという暴挙に出、「自分のことしか考えていないにも関わらず、常に正当化する理由を探している一番卑しい人間」と罵り、無宝流に寝返っていた大宮万里により背後から刺され、落涙しながら息絶える。
家臣および関係者
那智(なち)
日向流(ひゅうがりゅう)
直善が千人斬りの実力を確かめるために雇った流派。我間に倒されるが、大亀流の強さに惹かれ亀伝坊に弟子入りを志願、「1か月間道場や屋敷の雑用をこなせば弟子入りを認める」という条件付きで、住み込みの家事手伝いとなる。
日向雅人(ひゅうが まさと)
海原大仕合一回戦六組の流派
いずれの流派も我間一人によって敗北する。
天幻流(てんげんりゅう)
巻梅庵と薬師寺栄馬の2人によって旗揚げされた長刀(薙刀)術の流派。鷲津家十男、鷲津直定の推挙によって海原大仕合に参戦した。一回戦六組における大亀流の最初の相手であり、創設わずか4年ながら二回戦進出の最有力候補と目されていた。奇襲を避けるために荒れた古寺に潜伏していたが、その動向を探っていた我間の知るところとなり、一回戦開始早々に奇襲を受ける。
巻梅庵(まき ばいあん)
天幻流当主。「眉尖刀(びせんとう)」の使い手。流派を旗揚げ後は某大名から300石での仕官話を持ちかけられるほどの武名を揚げていたが、天幻流を最強の流派とすべくこの話を蹴り、海原大仕合への参戦を決意した。
「酔いの梅庵」の異名を持つ無類の酒好きで、昼間から徳利を片手に街を徘徊したり、居酒屋に入り浸っている。しかし、海原城での御前仕合にて、泥酔状態ながらも一光流の剣客10名を1人で一蹴するほどの実力を持ち、海原藩密事頭取那智からも高い評価を受けている。
我間の奇襲により左目を斬り裂かれるも、即座に体勢を整え仲間達との連携で我間を追い詰める。しかし、それでも我間を仕留めることはできず、虚空型第一式「影縫(かげぬい)」の不可解な動きに翻弄され敗死する。
薬師寺栄馬(やくしじ えいま)
天幻流師範。5年前までは立身出世に燃える貧乏剣客であり、梅庵と出会ったのも彼を倒し名を揚げるためであった。しかし、幾度も挑んだ勝負は全戦全敗、やがて悔しがる自分を見かねた梅庵に誘われ彼に弟子入りする。額と顎に縦一文字に走る傷は、梅庵に初めて勝負を挑んだ時に付けられたものである。
我間との仕合では、梅庵の身を案じ仕込み刀による奇襲で果敢に立ち向かうも、梅庵と天幻流の敗北を目の当たりにする。その後は絶望と我間への憎悪を抱えつつ野に下っていたが、梅安のかつての師である東条春嶽に巡り合い、我間を倒すべく彼の下で修業を積む。天賦の才では梅庵におよばないものの、我間への憎悪を糧に厳しい鍛錬を乗り越え、やがて梅庵をしのぐ強さを得る。その強烈な怨嗟と気迫で我間を一時追い詰めるが、戦いの中でさらなる覚醒を遂げた我間には敵わず敗死する。
中泉流(なかいずみりゅう)
中泉新が十数年の研鑽の末に完成させた独自の弓術流派。大仕合参戦時の所属者は当主である新であった。
中泉新(なかいずみ あらた)
鏡千流(きょうせんりゅう)
100年以上前の戦乱期に誕生した体術流派で、大丸家の人間にのみ代々相伝されてきた。人体の各急所に的確な角度で拳打などの衝撃を加えることで、一撃で死に至らしめる暗殺格闘術を真髄とする。技の練磨、研究の過程において夥しい数の人間を拉致、屋敷の土蔵に監禁し、非道な人体実験を繰り返していた。
大丸左近(だいまる さこん)
鏡千流当主で大丸家六男(末弟)。年齢は20歳。鏡千流史上最年少でその技の全てを修得した傑人。特に蹴り技を得意とし、人体急所を蹴りで突くなど、幼き頃より独自の技を編み出していた。しかし、温厚な性格であったために実戦で人を殺すことを嫌い、非情になり切れない面があった。13歳の時にその性格を疎ましく思った長兄・龍五の策略により、人体実験が行われていた土蔵に放り込まれ、そこに囚われていた大勢の被験者たちとの生死を賭した戦いを強いられることになる。辛くも左近は彼ら全員を殺害し生還を果たすが、その時の恐怖心から精神が完全に破綻し、一度敵と認識した者全てを殺すまで止まらない「獣(ケモノ)」のような存在に成り果て、翌朝に先代当主である父を殺害し、龍五の目論見どおり当主に仕立て上げられた。普段は茫洋恍惚としているが、自身の血を見る事により防衛本能が目覚め「獣」へと変貌する。
龍五の膳立てで我間と果し合い彼を圧倒するが、目に付く急所すべてを狙いにいく癖を見抜かれ、それを逆手に取った超至近距離からの「紫電閃」で片腕を切断され敗北する。それでもなお我間を攻め立てるも、重傷で動きに精彩を欠いていたため難なく止めを刺される。最期まで正気を取り戻すことはなく、我間は「本当(武芸者として)のお前とやりたかったよ」と溢していた。
作者いわく、精神を壊されなければより実力の高い武芸者になっていたであろう人物である。
大丸龍五(だいまる りゅうご)
大丸五郎(だいまる ごろう)
大丸四ノ介(だいまる しのすけ)
海原大仕合二回戦での参加流派
卍卍流(かさねまんじりゅう)
鎖鎌術の流派。少人数の新興流派だが、一回戦では相手流派三組を皆殺しにして勝ち上がっており、その中には海原藩で永きに渡り最強を争ってきたと言われる「海原五大流派「五竜」」の一つ、栗林流も含まれているという。
松本無楽(まつもと むらく)
卍卍流当主。剃り上げた頭部に独特な刺青を施しており、その鋭い眼光からはまったく熱を感じさせない。流派内でもずば抜けた実力を持ち、我間が「直善を守りながらでは勝てない」と認めるほどである。強い武芸者を見ると暗に欲情しているような描写がある。首さえ取ればいいはずの直善を拷問じみたやり方で殺そうとしたり、我間の動きに逐一感想を述べたりしながら戦うなど、かなりの異質ぶりがうかがえる。彼の仕草は「モゾ…」「ちゅる…」などの独特な擬音で表現される。 我間との戦いは第三者の乱入などで中断され、お互いが一対一で決着をつけることを望むようになる。
海原大仕合が頓挫した後も、無宝流の勧誘を蹴り続け、接触を図った流派の者を20名以上殺傷するが、我間たちが無宝流打倒を目指している話を聞くや急遽無宝流入りを承諾。参謀・一ノ瀬可偉をして「桁外れの殺意と強さを持つ」と評される実力から、短期間で当主直属兵団に取り立てられる。
大亀流と無宝流の全面対決が始まってからは、我間と四十七軍団の戦いを傍観するなどしていたが、陣介から大亀流殲滅の命が下った事により本格的に行動を開始。異国の武器の使い手で構成されたとある部隊とともに我間たちが休む旅籠を襲撃、我間にだけは手を出さないという条件で当初は事の推移を見守っていたが、その集団が我間と戦いだしたため約定が破られたとして皆殺しにし、ついに我間の前に姿を現した。
間合い、戦法ともに変幻自在の鎖分銅による攻撃、一年間過酷な修行により数段強くなった我間の一撃を防御に不向きな鎌で受け止めるなど、相変わらずの卓越した技量を見せつける。さらに胴には今まで「愛ゆえに殺してきた武芸者」の遺髪で編まれた帷子を着用しており殆どの斬撃を無効化する事が可能。
優れた武芸者を愛するあまり、彼らが老い衰える前に自らの手で殺しその屍を愛でるのに飽きたらず、永遠に一つとなるために髪帷子にしてきたと語り、我間の成長を見るにつけ「一つになる」に値する武芸者と認め、武凶具「双首蛇鐘」を開放。二本の分銅を同時に操る連携攻撃と、数々の常軌を逸した言動で我間を心身ともに追い詰めるが、防御を崩すために放った攻撃の逆手を突いた我間の策略により、分銅が同時に制御不能となった一瞬の隙を突いた鳴神が発動。しかしこれも既に無楽の予想範囲内の出来事であり、鳴神と同じ軌跡を先行して移動する事により我間が死角に回り込むことを阻止し、止めを刺そうとするも、藤林才蔵戦とは異なり、修行によって交の動作を連続的に行えるようになっていた我間に再度死角に入りこまれ、虎穿で帷子を貫かれ致命傷を負う。それでもなお立ち上がり、それまでとまったく遜色の無い攻撃を繰り出すなど我間に対する凄まじい妄執を見せるが、それも「直善を救出し、無楽ではなく陣介を倒すために戦ってきた」我間に拒絶され、腹に刺さった刀を引き抜きざま内臓を引き裂かれ完全敗北した。
我間からは「それでも俺の方が強かった」としながらも「自分に対する執念と武芸者としての強さは想像を超えていた」「今まで戦った中で最強の敵」と評されている。
蛇牙(じゃき)
五竜(ごりゅう)
海原の歴史において、大亀流と共に、永きに渡り、最強の座を争い続けてきた五つの流派。「海原五大流派」とも称される。栗林流(くりばやしりゅう)・占部一法流(うらべいっぽうりゅう)の2流派は、作中ですでに敗退または詳細が不明なため記述しない。
魂隠流(たまがくしりゅう)
海原大仕合二回戦出場流派。忍術を戦闘に特化させた流派であり、様々な暗器による攻撃を得意とする。五竜の中ではかなりの大所帯であり、二回戦では人海戦術を駆使し、同時に複数の流派に攻撃をしかけている。一方で松本無楽、御堂心吾からは個々の門下生の実力は玉石混交と評されている。
神成流(かんなりりゅう)
海原大仕合二回戦出場流派。
鬼崎玄斎(きざき げんさい)
陣介が台頭する以前に海原最強を誇っていた老剣豪で、海原が鬼の巣と呼ばれるきっかけを作った人物。神速の居合術の使い手。亀伝坊とは若い頃からのライバルにして悪友という間柄。性格は傲慢でがめつく、敵意を持って自分に近づいた相手は容赦せず斬り伏せ、さらにその死体から金銭を巻き上げるなど非道な一面を見せる。その実力は老いてなお健在で、無宝流から破格の高待遇で勧誘を受けていた。しかし、当人はこの話を蹴り、大亀流に加勢することを選ぶ。
自身の邸宅を大亀流の拠点として提供し、伊織とともに綾中林道で参謀2名の率いる軍団と、直属兵団1名に囲まれた真ノ丞、善丸への助っ人として初めて大亀流の面々の前に姿を現す。安吾、万里の攻撃を受け体制を崩した伊織を狙って繰り出された理一郎の攻撃を妨害して、そのまま真ノ丞の反撃へと繋げ、軍団長内でも高い実力を持つとされた蓮川鬼一を事もなげに葬るなど、熟達者として卓越した技量を見せる。
明神流(みょうじんりゅう)
海原大仕合二回戦出場流派。五竜の中でも上位の実力を有する槍術流派。4種4本の槍を選ばれた4名にのみ継承するという独特な技の伝達法が特徴で、その4名は海原では尊敬と畏怖の念を込め、「四神槍(ししんそう)」と呼ばれる。正式に明神流を名乗ることが許されるのはこの四神槍のみで、100年以上に渡りたった4名で鬼の巣最強の座を常時争ってきた。しかし12年前、当時の四神槍が陣介ただ1人に惨敗を喫したことで、それまで不敗を誇っていた明神流の歴史は突如終焉を告げる。しかし、敗れた四神槍の内死亡した3名は、既に自分達を超える才を持つ弟子達にその全ての技を相伝していた。そして、その弟子達と生き残った先代四神槍1名によって新生した現四神槍は、歴代最強の四神槍と称され、打倒「千人斬り」を目指し再び鬼の巣へと返り咲いた。
御堂心吾(みどう しんご)
重量20kg、全長約3m、穂先の長さ約1mという規格外の大身槍「鬼断(オニダチ)」を操る豪傑。15年前に入門した当初は、上背はあったが到底鬼断をあつかえるような体格ではなかった。しかし、師である原城元馬(ばらき げんま)の教えに奮起し、日夜数千もの素振りをひたすら繰り返し、入門3年にして正式な鬼断後継者として認められる腕前となる。ところが、その数日後に原城は陣介との闘いで敗死。以降は亡き師の無念と打倒「千人斬り」への強い執念を胸に、さらなる苦練をおのれに課す。素振りの数は最終的には日に4万におよび、更には極度の疲労の果てにある槍体合一の無我の境地に到達する。こうした激しい鍛錬により師を超える強さを得る。
対大亀流の1番手として我間と対戦。間合いの利と重さに似合わぬ巧みな槍さばきで我間を苦しめるが、紫電閃×虎穿の連携技の前に敗北。しかし、その信念までは折ることはできず、負けたくないという想いの強さで立ったまま絶命する。
榊原佐助(さかきばら さすけ)
神野一翁(じんの いちおう)
短刀のような片刃の穂先が特徴の菊池槍「銀閂(ぎんかん)」を操る老人。陣介に敗れた先代四神槍唯一の生き残り(陣介の最初の攻撃で気絶したため)であり、彼のみ代替わりせず20年以上に渡り四神槍であり続けている。肉体の全盛期は過ぎているが、更なる鍛錬を積み12年前とは比較にならない強さを得ている。額の鉢金の下には、過去に陣介に付けられた傷痕がある。
陣介の高弟である伊織を「仮想・千人斬り」に相応しい相手として勝負を挑むが、「(自分の刀を)抜く価値が見当たらない」として拒否される。この言葉に激昂し伊織に襲い掛かるも、顔面への鉄槌打ちと肋骨を砕く鉄拳を続けざまに喰らい、実力を見せることなくあっさり叩き伏せられる。
大亀流と無宝流の闘いの最中に意識を取り戻し、自らの愛槍銀閂を奪った馬庭に激昂、襲い掛かり、真ノ丞が馬庭を打倒する活路を開く。しかし、伊織の攻撃で大亀流との試合に関する記憶がすべて飛んでおり、さらに12年前の敗北に関して言い訳を口にする等、醜態を晒したため万里に見放され、「明神流の面汚し」と罵られた挙句、再び鉄拳を浴びせられる。
大宮万里(おおみや ばんり)
柄に可動式の管(持ち手)を取り付けた管槍「九曜(くよう)」を操る青年。7歳の時点ですでに九曜の継承者に内定していたほどの才の持ち主であり、現四神槍の中でも抜きん出た強さを誇る。先代の九曜の継承者で師である父親を陣介に殺されている。
一翁が敗北したことで団体戦としての明神流の敗北を認め、なおも自分にも戦えと命じる直勝を無視して、一方的に仕合を放棄する。実は敬愛する父を倒した陣介の強さに近づくため、仇であるはずの陣介の誘いに乗って無宝流と内通しており、直勝も明神流も最初から見放していた。その後、直勝を殺害し無宝流と合流して、大亀流と対決。馬庭重法とともに真ノ丞と戦うが、陣介の高弟であり、優れた技量を持つ真ノ丞に対しては、1対1での対決を望み、馬庭との共闘にも非協力的であった。馬庭が倒された事により、再戦を仄めかして去る。
無宝流内でもその実力は上位に位置し、海原大仕合から1年後には当主直属部隊に取り立てられる。丸山三兄弟を倒した真ノ丞の前に姿を現す。真ノ丞を、大切なものを奪われたことで強さを手に入れた自分とよく似た存在と評しながらも、彼をそれをきっかけに守る側に回った者、自身を奪う側に回ったものとして対極に位置付け、奪う側である自分の優位を証明するため一対一の勝負を仕掛ける。一騎討ちの中で顔面に傷を負わされるが、逆に真ノ丞の脇腹に重傷を負わせるなど互いの技と信念をぶつけあった一進一体の攻防を繰り返す。しかし、途中で九龍安吾、花村理一郎の軍団が乱入。大亀側にも千石伊織、鬼崎玄斎、そして中泉流の面々が駆けつけ、不本意ながら乱戦の中に組み入れられ再び勝負はうやむやとなる。海原城内で再々度真ノ丞を相対し、奥義ノ五「双蛇旋」、そして最終奥義「八星開眼」を繰り出し、先の蟻丸との戦いで負傷した真ノ丞を圧倒する。しかし、自分の左肩を犠牲にした真ノ丞の奇策で穂先を封じられ、そのまま反撃を喰らい絶命する。
無宝流(むほうりゅう)
海原藩乗っ取りのための兵力を欲した黒鉄陣介が、数多の流派から有能な武芸者をかき集め創設した流派。その設立目的から流派というよりは軍隊に近く、当主の陣介を頂点に、参謀・軍団長・師団長・団員で構成されるピラミッド構造を成している。
表向きは一流派として海原大仕合に参加し、仕合の混乱に乗じて海原城を占拠するとともに、ほかの参加流派を引き入れ戦力の増強に成功する。
当主
六参謀
陣介の直下に位置する無宝流の幹部たち。元・大亀流3名と、他流の武芸者3名の計6名で構成される。
九条 麻里央(くじょう まりお)
参謀長。元・大亀流で、陣介の右腕的存在。陣介以外でただ一人、大亀流五行の技を全て極めたとされる男。真ノ丞とは互いの実力と人格を認め合った仲だった。普段こそ落ち着いた物腰だが、本性は粗野で残忍な性格である。可偉からは「自信過剰」と評されており、事実可偉や善丸など格下とされる相手を侮っている節がある。
無宝流を裏切っていた黒幕の一人であり、剣に代わる新たな権力を手に入れようとしていた。最終決戦において裏切りが露呈し可偉と対峙する。一度は追い詰められるが、伏兵の奇襲で可偉を戦闘不能に追い込む。
続いて可偉を庇った善丸とも戦闘になるが、善丸の予想外の成長に意表を突かれ、左目を切り裂かれた上に刀も折られ降伏を迫られる。その後も動けない可偉の命を盾にした奇襲を善丸に仕掛け、庇った可偉に致命傷を負わせるも、このことで善丸を激昂させてしまい、定長と脇差との間合いの不利や左目を失ったことによって斬撃が見切れなくなったことが災いし、腹部を斬り裂かれ死亡した。
一ノ瀬 可偉(いちのせ カイ)
元・大亀流で善丸の兄。23歳。粗暴な弟に似つかない柔和な物腰だが、陣介の野心に共感し大亀流を裏切った。善丸を凌ぐ定長の使い手であり、自分を倒すため5年間修行を積んできた彼をも容易く圧倒してみせたり、片腕だけでも両腕のときと遜色なく定長を扱うなど、無宝流の中でも五指に入るほどの実力を持つ。無宝流入りした後も善丸を兄として気に掛けている一方で、実家では落ちこぼれだった彼を見下している。
無宝流の裏切り者を調査しており、最終決戦において黒幕の一人である九条と対峙する。一進一退の戦闘を繰り広げ一度は九条を追い詰めるも、奇襲を受け両肩を負傷してしまい戦闘不能となる。その後、九条から奇襲を受けた善丸を庇うために自らの体を盾にし致命傷を負い、最期に善丸の剣を受ける約束を果たせないことへの謝罪と、善丸が想像を遥かに超えた剣士へ成長したことへの喜びを言い残し、善丸に看取られながら死亡した。
村雨 利虎(ムラサメ リコ)
元・大亀流。口は悪いが義理人情に厚く、部下たちからも慕われている好漢。武術の動きや技への探求心が強く、その理論をもとに構築した絶対防御術「鉤ノ灯籠(かぎのとうろう)」を極めている。その守備力は、大亀流時代の弟子同士の立会いでほとんど一本を取られたことがなかったほどの鉄壁を誇る。自分の出身流派である大亀流の技を知り尽くしており、同じ大亀流である我間たちにとっては天敵と呼べる存在である。
幼少期に親に捨てられていたところを陣介に拾い育てられた過去を持ち、伊織と同じく陣介を実の父のように慕っている。かつては我間や善丸のよき兄貴分であり、いつかは陣介の大亀流を日本一の流派にすることを夢見ていた。しかし、のちに大亀流を捨て覇道を歩もうとする陣介に誘われ、迷いを抱えつつも彼に従うことを選ぶ。現在でも大亀流への未練を断ち切れておらず、袂を分かった我間たちに刃を向けることには消極的である。一方で、その未練がいずれ陣介の野望の妨げとなることも理解しており、大亀流対無宝流の全面戦争では、自ら先陣を切って大亀流を潰す決意を固める。
海原城東門から城内に侵入しようとする我間たちを部下たちとともに迎え撃ち、我間からの提案を受け彼との一騎討ちを繰り広げる。序盤の攻防で我間の動きを掌握し、鉤ノ灯籠で優勢を保つも、自分との戦いで進化し続ける我間の猛攻の前についに傷を負う。過去一度も自分に一撃を入れたことがなかった我間の成長ぶりに大亀流の未来を再認識し、悪態を突きつつも敗北を認め門の道を空ける。
門を通した後は裏切り者として捕らえられたようで、海原城の地下牢に囚われていた。その後伊織に助け出され直善の元へ向かうも、幕府による反乱に巻き込まれ戦闘になる。
決戦後は万次郎と共に直善を我間達の元へ送り届けた後、どこかへ去っていったと語られている。
続編の『-修羅-』では、幕府より追われる身であったため各地を転々としていたが真ノ丞とは連絡を取り合っていた。幕下大仕合の最中に伊織と再会し、天賦の才で防御理論を必要としてこなかった彼に教えを説く。
九龍 安吾(くりゅう あんご)
長巻流派である牙雲(がうん)流の元当主。一個人としての武力は元より、将としての洞察力・戦略眼も併せ持つ生粋の武人。参謀の中でも最強の一人と称されている。自信家である一方で武芸に対する姿勢は真摯であり、理一郎が開発を推進している禁薬「茱丸」の使用には反対している。愛用の長巻「竜桐(たつぎり)」「長子丸(ちょうしまる)」と本人の膂力から繰り出される斬撃は速く、刀を折るほどに非常に重い。
大亀流を取るに足らない存在と侮っていたが、単身海原城に乗り込んできた伊織と相対したことで認識を改め、自身の手で大亀流を倒すことを望むようになる。のちに陣介から対・大亀流の先鋒部隊の指揮を任される。元・牙雲流の子弟である部下9名を率い、綾中林道で真ノ丞・善丸を襲撃する。万里・理一郎らと不承不承ながら連携を組み優位に戦況を展開、二人と増援に駆けつけた伊織、玄斎ともども殲滅を図るが、中泉新率いる中泉流の乱入という予期せぬ事態が起こり、兵の無駄な損耗を避けるため撤退の決断を下す。その際、次の戦いで伊織との因縁に終止符を打つ決意を固める。
最終決戦において、利虎の救出のために地下牢へ訪れた伊織達の前に立ちはだかる。一度は伊織に圧倒されるも、牙雲流奥義「崩塊斬(ほうかいざん)」の一撃で互角へと持ち直す。再度崩塊斬を繰り出し決着をつけようとするが二度目は刃を折られて防がれてしまい、それでも参謀としての意地で相打ち狙いの捨て身の一撃を試みようとするも、虎穿無刀によって顔面を殴打され気絶する。伊織には力量自体は75点と評価されたが、相手との実力差に絶望し捨て身で向かってくることには0点と評価された。
花村 理一郎(はなむら りいちろう)
西洋伝来の武具・斧槍(ポールアーム)をあつかう明朗な物腰の美青年。元は十文字槍の名門・宗陣(そうじん)流の嫡男だったが、当主である父・圭二郎が陣介に敗死した後、仇を討とうとはせず率先してその配下となった。
あえて卑劣な手段を用いる事を好む傾向にあり、その瞳には計り知れない狂気を宿している。ほかの参謀たちが使用に反対している茱丸の有効性を強く訴え、その実験部隊である第四十七軍団を独断で我間たちに差し向けた。四十七軍団が壊滅したことで大亀流に興味を抱き、元・宗陣流の部下11名を率い、自ら出陣する。既に綾中林道に駆けつけていた安吾・万里とともに真ノ丞と善丸に襲撃を仕掛け、大亀流の助っ人として現れた伊織・玄斎を交えた乱戦となる。
その斬撃は伊織すらもかわしきれないほどの速度を誇り、万里・安吾との連携攻撃で伊織をあわや討ち取らんとする勢いを見せるが、玄斎の妨害に会い、すかさず襲い掛かった真ノ丞の連撃を受け逆に重傷を負わされる。さらに乱入した中泉流の弓術で部下たちも傷を負わされる屈辱を味わい、安吾の判断に従い撤退する際は、大亀流に対する強い憎悪を見せ、殲滅を決意する。直属兵団の出撃に呼応して、大亀流に決戦を挑もうとするが、出陣を前にして海原城内で月影の命を受けた何者かに暗殺される。
月影(つきかげ)
常に不気味な笑みを浮かべた奇矯な言動の男。その正体は幕府の密命を受け陣介を打倒すべく送り込まれた公儀隠密。無宝流の情報を逐一伊織に流していた内通者でもある。大亀流と無宝流の抗争が佳境を迎える中、参謀である理一郎を暗殺する事で無宝流内部の攪乱を画策する。さらに自らが守備を任された第二門を無抵抗で大亀流一行に開放し、自らの正体を明かすとともに協力を申し出る。しかし裏では無宝流の壊滅だけでなく、同じ武芸者集団として太平の世にとっての危険分子である大亀流をも壊滅させようとし、更には藩主である直善を殺害し海原藩そのものを取り潰すことも画策していた。
裏切りが露呈した後は城下に潜伏し幕府側の指揮を取っていたが、最早幕府の勝利は目前というところで、自身の出世に浮かれていたところを月影を追っていた土龍と神空によって首を刎ねられ死亡した。
当主直属兵団
六参謀とは別に陣介が自ら指揮する戦闘集団。無宝流内でも特に戦闘能力に優れた精鋭10名で構成されており、一部には参謀と同等かそれ以上の実力者も含まれているという。流派内で唯一、単独行動が認められており、清盛、無楽らの言動から軍団長以下の構成員に対する私的制裁も黙認されている様子。
なお、構成員の一人である伊藤乱丸は、当初は師団長として登場するが、便宜上こちらで解説する。
伊藤 乱丸(いとう らんまる)
冷静沈着で感情表現に乏しい青年剣士。その優れた剣才と忠誠心の高さを陣介に見込まれ、幼い頃から彼から直々に剣の指南を受けている。親に捨てられた孤独な身であり、陣介と出会う前は幼いながら「鬼の子」と噂されるほどの牢人斬りだった。我間と同じく「天覚ノ眼」の持ち主であり、その眼を最大限に生かした技として相手の攻撃を見切って先に自分の攻撃を打ち込む交叉法を最も得意とする。我間に個人的な興味を寄せており、「陣介の血を引く者」である彼と対比して、自らを「陣介の技を受け継ぐ者」と称する。また直善を「誰にも必要とされてこなかった人間」としてかつての自分と重ねて見ており、命を賭して守ると誓っている。
大亀流と明神流との試合後、無宝流が動き出したと同時に自分から直善を守るため立ち向かってきた我間を完膚なきまでに叩きのめし、さらにはあえて命を見逃すという最大の屈辱を味わわせる。その後、師団長から当主直属兵団に抜擢され、直善の警護を任されることになる。
最終決戦において直善を救いにきた我間と遭遇、陣介の敵であるとして対峙する。交叉法により始終優勢に進めるも、我間が新たに習得した第六の型「神威」によって致命傷を負う。その後、乱丸を庇い共に城を脱出しようという直善を制止し、直善という友が出来た喜びや剣士として未練がないことを言い残し死亡する。
宮藤 四門(くどう しもん)
我間と年齢の近い若者で、陣介の側近的な役割を持つ。陣介の命で天幻流の偵察を行っていたが、我間が天幻流を倒したことで監視対象を彼に変更する。負傷した我間に仕合を辞退するよう勧めるなど、早くから接点を持つ。二回戦では陣介から名の上がっていた武芸者の登用の任を与えられる。
かつては神成流に所属しており、初代当主である鬼崎にも後継者として認められた実力であったが、新当主を決める際に同門の周助を殺める結果となってしまい、二人の実力差を知っていながら真剣勝負をさせた玄斎を恨み出奔する。
最終決戦において、海原城へ向かう鬼崎と亀伝坊の前に立ちはだかり、かつての復讐として鬼崎と対峙する。師匠である鬼崎と同等以上の実力を見せ左目に一太刀入れ、鬼崎が反撃に繰り出した神成流の極意である「卍抜き」も一目で瞬時に習得し、卍抜き同士の対決にも勝利し鬼崎を殺害する。続いて亀伝坊とも交戦しようとするが幕府側の人間による反乱によって中断、異変を察して本丸へと向かい、陣介を城外へ運び出した。
決戦後は、かつての仕打ちによる恨みはあるが剣士としては最後まで尊敬できる男だったとして、鬼崎の墓前で神成流の後継者として生きていくことを誓い、陣介の遺志を継ぐために土龍達と共に旅立っていった。
続編の『-修羅-』では、無宝流の当主。決戦以降弱体化してしまった無宝流の再興を目標に掲げ、さらに幕下大仕合を利用し再び幕府に戦を仕掛けようとしている。再興の中で我間を陣介の後を継ぐ当主として勧誘し、我間が交渉に応じ当主として就任した後は、我間不在時の無宝流の指揮や駿河藩との交渉など裏方に回って活動している。
土龍(つちりゅう)
隠密風の装束を纏った男。大陸の武器子母鴛鴦鉞の使い手。海原大仕合で伝令役の隠密が身に付けている物と同じデザインの仮面を所持している。かつては限界天兵に所属しており幕府の暗殺部隊の一人であり、当時は「黒龍」と呼ばれており、幕府から陣介殺害の任を受け戦闘になった際に己の武について諭され、その後何度も陣介に挑み続けているうちに、無宝流と陣介こそが自身の居場所となっていたと語られている。
非常に身のこなしが軽く、戎簾の里で対峙した亀伝坊を雰囲気だけで圧倒するほどの実力者。大亀流との決戦では水川流ともに亀伝坊、玄斎を討つため海原城正門前に向かい、ほんの短時間で中泉流の子弟8名を全滅させる。続く玄斎との戦いでも完全に彼を手玉に取り、同格の水川流が伊織に倒された際もまったく動揺せず1対3での戦闘を続行しようとするなど驚異的な腕を見せるが、参謀暗殺による非常事態を知らせる半鐘が鳴らされたため撤退する。
撤退後は裏切り者の捜索をしていたらしく、最終決戦において逃亡していた月影を暗殺する。
決戦後は四門や神空といった無宝流の生き残りと共に陣介の意思を継ぐために旅立った。
続編の『-修羅-』では、番付六十九番「黒瀬龍」として幕下大仕合に飛び入りで参戦する。無宝流の一員として四門の意志を尊重する立場を取っているものの、我間が陣介の後継足りうるかには当初疑念を抱いていた。本戦一回戦においては幕府側の王華に無宝流の潜伏先が露呈した際に交戦、奇抜な剣術に一度は翻弄されるも勝利する。また、自身が限解天兵の出であったことが明らかとなった。
山ノ上 清盛(やまのうえ きよもり)
元・絃魂(げんこん)流拳法創始者にして初代当主。直属兵団では唯一の徒手格闘家で、「凶拳王(きょうけんおう)」の異名を持つ。尋常でない指の力の持ち主であり、すべての力と体重を込めた突きである奥義「尖牙神勁(せんがじんけい)」は、刀剣なみの切れ味を誇る。また相手の神経を直接突き、その部分を数日間動かせなくさせる技「天脈気殺(てんみゃくきさつ)」も操る。その手で相手の臓腑を抉り出すといった残虐な殺し方を好み、相手を挑発し策にはめる狡猾さを持つ。普段は場の空気を読めないへらへらした青年で、無自覚な毒舌で相手を怒らせる天才。その性格から、同じ直属兵団やほかの軍団とも軋轢が絶えない。本人曰く強い人が好きであるらしく、弱者については完全に見下しており慇懃無礼な態度で接するが、強者に対しては武芸者として敬意を払っても見せる。
陣介によって直属兵団全員に大亀流殲滅の命が下された後、真っ先に行動を開始。仲間から力量不足を指摘され一行を飛び出した善丸を襲撃する。その怪力に驚嘆しつつも、同時に身体操作が完璧でないため定長を全力で振るえないという善丸の弱点をも看破、全ての手の内を逐一潰して見せ、最終的に両手両足の神経を麻痺させ圧勝する。止めを刺そうとした所に、善丸を探しにやってきた可士太郎が現れ、これとも互角以上の戦いを繰り広げるが、止めを刺すべく繰り出した右腕の神経を天脈気殺を盗み取った彼の剣で切断され、無防備状態となった胸を刺し貫かれて死亡した。
水川流 進介(つるまる しんすけ)
元・神垣(かみがき)流所属の青年剣士。質実剛健とした武人らしい性格をしており、性格が正反対の清盛とは折り合いが悪い。元の流派に伝わる二刀を組み合わせて大剣を形作る怪刀「双炎丸(そうえんまる)」と、それを利用した防御不能の奥義「双炎車輪(そうえんしゃりん)」の使い手。通常の刀の二倍の重量を持つ双炎丸を操る腕力と、一度の斬撃のうちに相手を二度斬るという特殊な性質を持つ双炎車輪を自在に制御する技巧を兼ね備え、更に殆どの相手はそれらを使うまでも無く葬ってきた力量の持ち主。
海原城正門前で陽動作戦を続ける亀伝坊と鬼崎の討伐に土龍と共に向かうが、月影の情報により救援に駆け付けた伊織と対峙する。互いに一太刀ずつ手傷を負わせた後、双炎車輪によって一気に勝負をつけようとするが、脇差を伊織自らの膝に突き立て受け止めるという奇策(通常の防御では双炎丸の重量によって弾き飛ばされてしまう)によって防御され、返す刀で左目を失い、右腕に重傷を負う。それでもなお反撃に繋げるべく右腕を気力で動かし伊織の追撃を受け太刀する気概を見せるが、結局双炎丸ごと肩口から胴を断ち割られ死亡する。あっけなく倒されたが伊織にとっては久々に本気で戦うに値する相手ではあったらしく、70点の評価が与えられる。
神空(じんくう)
顔を仮面で隠した謎の多い男。やや飄々とした物腰で、仮面の下は優しげな顔の美青年である。陣介の直属兵団召集時には自分の背丈ほどもある巨大な得物を所持していた。刀と体術を組み合わせた闘いをする。かつては徳川家の分家の紀州徳川家に仕える隠密集団『藤の一族』の出身であり、一族の中でも屈指の才を持っていたが、自身を疎んじる兄の策略によって嵌められた後に陣介と出会い、陣介の言葉によって自身の路を自身で切り拓く事を決め、陣介と共に歩む事を決める。
花村の暗殺後は土龍と同じく裏切り者の調査をしていたらしく、終盤にて土龍と共に月影を暗殺する。
決戦後は四門や土龍といった無宝流の生き残りと共に陣介の遺志を継ぐために旅立った。
続編の『-修羅-』では、番付六十三番「白州神」として幕下大仕合に飛び入り参戦する。本戦一回戦では我間を無宝流に保護されていた直善のもとへ案内する役目を受け、同試合で我間の相手だった元羽義盛や周囲に展開していた幕府の密偵である案内人を一人で全滅させた。我間の当主就任後、無宝流の間者である碇谷と手を組み自身の死を偽装。二回戦にて独断で将軍暗殺のため城へと潜入する。柳楽と海道の両名によって重傷を負うが、将軍の影武者と海道を殺し、瀕死の最中に江戸城へとやって来た我間によって救出された。
蟻丸(ありまる)
東条 春嶽(とうじょう しゅんがく)
直属兵団最古にして最強と称される長刀使いで、梅庵のかつての師匠。無精ひげとべらんめえ口調が特徴で、梅庵と同じく大の酒好き。戦闘においては眉尖刀を愛刀としている。江戸で幕府の諜報活動に従事していたため、ほかの直属兵団よりも遅れて海原城に到着した。梅庵の敵討ちという名目で我間を付け狙うが、本人は復讐にはさして興味がなく、純粋に我間の実力に興味を抱いている。
薬師寺の敗北後、我間の才能を測るために対峙する。疲労していたとはいえ門を破壊するほどの威力のある中泉新の破王を弾き飛ばし、我間を始終圧倒するほどの力を見せる。その後、急成長を続け自身に一太刀入れた我間を大いに気に入り、我間が「天覚ノ眼」の所有者であることを告げ、幕府の隠密によって戦闘を中断された際には相手を引き受け、「生きて再開した際には今日の戦いの続きをしよう」という約束を交わし我間を城へと送り出した。
十年前は師も流派の看板も持たず、戦いの日々を送る一匹狼であったが、自身の鬼神ともいえる強さもあり、周りに集った武芸者の誰一人も高揚させてくれるような相手が現れずに退屈していた。そんな折に陣介と立ち合い、お互い一進一退の攻防を繰り広げ、陣介から倒幕の勧誘を受けたことで意気投合、無宝流へと加入した。
続編の『-修羅-』では、番付六番として幕下大仕合に参戦。予備戦における伊織との戦闘では(連戦による疲労や心の迷いがあったが)伊織を終始圧倒するほどの力を見せつける。陣介なき無宝流は面白くないと縁を切っており、一時は幕府に協力を打診され拒否する気もなかったが、我間が無宝流当主に就任するという報を聞き無宝流へ戻ることを決意する。
その後、幕府から送り込まれていた蔵院聖矢に裏切り者と見做され交戦。事前に戦術や能力を分析されていたこともあり苦戦を強いられるが、蔵院が勝負を決めに来たところで自身の唯一の大技「虎王破牙」を繰り出し勝利する。その後は我間や四門らと合流し無宝流へと戻った。
第四十七軍団
戎簾の里での修行を終え、海原城下へと旅立った我間一行に差し向けられた最初の刺客。多大なリスクと引き換えに肉体能力を限界以上に引き出す禁薬「茱丸(ジュガン)」の被験者たちで編成された実験部隊であり、ほかの軍団とは一線を画す超人的な戦闘力を持つ。実験部隊ゆえに無宝流の正規の命令系統には組み込まれていないが、実質的には茱丸開発の推進者である理一郎の指揮下にある。
鬼部流方(きべ りゅうほう)
軍団長。投薬実験の副作用で銀色に変貌した毛髪と、額にある瞳状の刺青から「銀鬼」の異名を持つ。かつては鬼部流剣術道場の跡取りだったが、当主であった父が無名の素浪人に敗死したことで流派の名声は失墜、断絶に至った過去があり、その経験から強さと勝利に異常に執着するようになる。元々体格・技量ともに並程度の武才しか持ち合わせていなかったが、その執念の強さを理一郎に買われ、茱丸の投薬実験の被験者となった。その過程であらゆる薬物の副作用にも耐えうる特異体質の持ち主であることが判明し、常人ならばほぼ死亡する茱丸の二錠服用によって脳を超覚醒させ、技量・思考力の低下という副作用を克服、超人的な戦闘力を手に入れた。自身を「戦いの神」を称し、武術は弱者が戦うために身に着ける手段であり、いかに磨こうと圧倒的な力によりねじ伏せられると豪語する。
海原城下に向かう我間・可士太郎を部下を使って襲撃を仕掛け、彼らが全滅すると自ら我間と対峙する。規格外の巨大金棒・黒梳爪(コクソソウ)とその超人的膂力で我間を追い詰めるが、気配や予備動作を察知して攻撃に対処してくる我間に次第に押され左腕を負傷、勝利への執念から死は免れないと知りながらも血管注入式の茱丸を追加投与し、さらに筋力を強化させ我間を圧倒するが、遠間からの紫電閃により右手の四指を切断され、同時に茱丸の副作用を起こし廃人同然となって敗北する。劇中では噛ませ犬となることの多い軍団長の中で強敵として描写されていた数少ないキャラクターの一人。
その他の軍団長
新納学進(にいながくしん)
名須早雲(なす そううん)
西尾元慈(にしお もとじ)
間宮鈴ノ介(まみや すずのすけ)
丸山三兄弟(まるやまさんきょうだい)
久路一(くろ はじめ)
藤堂虎真(とうどう コマ)
第九軍団長。元・宗陣流。綾中林道の乱戦に参加。真ノ丞に斬られかけた理一郎を久路とともに援護する。
実は宗陣流時代は当主・花村圭二郎に理一郎以上の才の持ち主として目をかけられており、無宝流参入後も直属兵団入りが打診された程の実力者。敬愛する師を殺害しその尊厳を貶めた陣介と、その仇を討とうともせず無宝流の傘下に入りのうのうとしていた理一郎を憎んでおり、月影一派による理一郎殺害も黙認した。
その後、理一郎から奪ったハルベルトで海原城内で無宝流団員を多数殺害、「理一郎殺害の黒幕を教える」との書簡を陣介に送って無人の南御殿に呼び出し、これに決闘を挑むが、圧倒的実力差の前に一方的に攻めたてられ、起死回生を狙い放った奥義「昇飛龍(のぼりひりゅう)」も破られ、理一郎暗殺の黒幕は最後まで明かさぬまま敗死した。
熊櫛三蔵(くまくし さんぞう)
安曇仁(あずみ じん)
師団長以下・その他
馬庭重法(まにわ じゅうほう)
芝野一飛(しばの いっぴ)
第五警備師団長。無宝流最速の弓使い。螺旋状の溝を刻んだ、矢羽の無い矢を使う。早雲の指揮の元、海原城に侵入した伊織を迎撃する作戦に参加し、伊織に止めをさす役割を任せられるが、仕留めるだけにあきたらず毒によって悶死させる方法を提案したり、その死体を所望するなど異常な性癖の持ち主。
流塞の細道に伊織が現れた際は、その消耗具合から単独で伊織を射殺可能と判断、三方同時攻撃という作戦を無視し伊織を狙撃するが、その一撃を刀の束で防がれ、その場から逃走したため陣介の怒りを買い、生きながら自らの矢を全身に突き刺されるという拷問を受ける。見せしめのために伊織の前に引き出された際はまだ息があるが、その後の生死は不明。
山下 田吾作(やました たごさく)
進次郎(しんじろう)
団員。馬庭の部下のひとりで、粗野な性格の双節棍使い。田吾作が倒されたのち、奥義「砕熾撃」を伊織に放つが、あっさりかわされ逆に斬り付けられるも、鎖帷子を着用していたため致命傷を免れる。その後、忠次とともに鎖で伊織を拘束するが、力負けしてじり貧の状況下、馬庭が倒されたことにより撤退する。伊織の評価では10点満点中4点の実力。
伊織が海原城に侵入した際、早雲、忠次らとこれを迎撃する任務を受け、三方同時攻撃の一端を任されるが、先の敗北で既に心を折られており、伊織が現れる前からおよび腰となっていた。現れた伊織に芝野の矢が防がれたのを見て完全に戦意を喪失し逃亡を図るが、捕えられ、自らの得物で顔面が変形するほど執拗に殴打されるという制裁を受け、その後生死不明。
忠次(ちゅうじ)
団員。馬庭の部下のひとりで、目元に隈がある不健康そうな印象の手甲使い。普段は小物を装っているが、本性は奸智に長けた戦巧者。その本質を知った伊織からは10点満点中7点の高評価を受ける。
田吾作、進次郎が伊織に敗れ、個々の実力では叶わないと判断し、進次郎とともに鎖で伊織を拘束する戦法に移るが、伊織の怪力の前には通用せず、さらに師団長である馬庭が倒されたため、無理は禁物とばかりに撤退する。
伊織が海原城に侵入した際は早雲の下で参謀役を務め、疲弊した伊織を二の丸と本丸を結ぶ隘路「流塞の細道」で挟み撃ちにし、さらに芝野一飛の狙撃による三方同時攻撃で仕留める作戦を立てるが、芝野の抜け駆けと進次郎が怖気づいたことにより計画が破綻、自ら鎖鉄球を振るって早雲とともに特攻するが、虎穿を腹に食らい死亡する。
その他の人物
『-修羅-』からの登場人物
主要人物(-修羅-)
一ノ瀬蘭(いちのせ らん)
一ノ瀬家の長女。善丸の妹であることを驚かれるほど整った容姿の持ち主だが、幼少時から祖父や兄たちに憧れて剣の修行を積み、一ノ瀬家が指南役を務める大実賀藩の城内道場で男たちを圧倒するほどの実力を身に付けている。
しかし女の身ゆえに周囲の目は冷たく、性別ではなく純粋に剣士としての実力を評価されたいという欲求を抱えている。また、過去に剣士としての生き方に背を押してくれた亡き友人の言葉もあり、剣に対しては時に狂的とすらいえる姿勢を見せる。
善丸から大実賀藩に訪れた伊織の世話役を任され、当初は伊織の非常識な行動に幻滅するが、剣士としての純粋に強さを求める姿勢と、女である自分をひとりの武芸者として接したくれたことから考えを改める。幕下大仕合では、自身も正式な参加者となるべく江戸へ向かう伊織に同行し、百剣士のひとりである有働武來と対峙、激戦の末に辛くも勝利し本戦出場を果たす。
本戦一回戦では駿河藩の美鳳丸との対戦となるが、あまりの力量差の前に赤子同然のあつかいをされる。それでも剣士としての意志で手傷を負わせるものの深手を負わせるには至らず敗北、さらには自身を救うため追ってきた伊織の敗北を忠家に見せつけられ、駿河藩へと拉致される。
幕府関係者
柳楽京也斎(やぎら きょうやさい)
海堂凛(かいどう りん)
碇谷新蔵(いかりや しんぞう)
限解天兵(げんかいてんぺい)
幕府指揮下の非公式暗殺部隊。武才に優れた人間同士を何世代にも渡って交配させ、過酷な鍛錬を課すことで生み出された「人間兵器」たち。構成員は完全な実力順で伍級〜壱級、そして最上位の特級天兵で組織されており、特級天兵は文字通り「一騎当千」の実力を誇る。忠家ら駿河勢の一回戦突破の報を受けた将軍の命令により、総長・副総長を含む最強の特級天兵6名が大仕合二回戦より出場する。
伊勢羅門(いせ ラモン)
現羅(げんら)
誉(ほまれ)
花蕾(からい)
蔵院聖矢(ぞういん せいや)
駿河藩
平松忠家(ひらまつ ただいえ)
石神井乱童(しゃくじい らんどう)
美鳳丸(びほうまる)
幕下百剣
本作で初登場する人物のみを記載する。
柴飛燕(しば ひえん)
百地三平太(ももち さんぺいた)
真上雷桜(まがみ らいおう)
番付九番。印度伝来の柔軟な長剣「ウルミ」の使い手で、通称「最強の暗殺者」。血を好む快楽殺人者で、江戸に向かう道中では無関係の人間を大勢手にかけていた。宿場町で遭遇した蘭を圧倒し、途中交代した伊織をも追い詰めるが、右手首を切り落とされ敗走する。このとき自身の巻物を失うが、ほかの参加者を倒して3本の巻物を集め、本戦に出場する。
本戦一回戦では忠家の対戦相手となり、ウルミに加え失った右腕に新たな三又の刺突武器「ヴァジュラ」を携え、幕府からの依頼で鎌田太一郎とともに忠家と乱童を襲撃する。武器を持たずに回避に徹する忠家に「ヴァジュラの雷鳴」で勝負を決めようとするが、実は武術を分析するために観察されていただけであり、忠家にヴァジュラを素手で受け止められ、左腕を怪力で握り潰されてウルミも奪われる。その後も忠家の馬鹿にした態度に激昂しつつ反撃を試みるが、ウルミの試し斬りとして首を切り落とされ惨殺される。
名越作太郎(なごし さくたろう)
真嶋喜太郎(ましま きたろう)
番付十二番。明神流槍術。榊原佐助の兄で、佐助を遙かにしのぐ槍の才能の持ち主であり、佐助を超える紅抜の使い手。15歳の時に師を圧倒し勝利した事で紅抜の後継者の座を手中にするも、紅抜への強い憧れを持つ佐助の思いを察して紅抜の後継者の座を譲り、出奔していた。佐助に紅抜を譲った事で結果的に佐助が死んだ事を後悔し、佐助から紅抜を受け継ぎ、佐助を殺害した仇である大亀流に復讐する事を誓った。佐助とは兄弟を超えた関係にあった。
本戦初戦にて伊織と対戦。紅抜の性能と特性を最大限に引き出し伊織と互角に渡り合うも、強敵との戦いと剣を楽しむ事を取り戻した伊織によって左耳を斬られる。しかし、身につけていた佐助の耳を食べることで、佐助の人格を創り出して肉体のリミッターを外し伊織を圧倒するも、最後は紅抜の穂先を斬り裂かれそのまま斬られ死亡する。
中村時雨(なかむら しぐれ)
元羽義盛(げんう よしもり)
百瀬士郎(ももせ しろう)
王華(おうか)
鎌田太一郎(かまた たいちろう)
大林一姫(おおばやし いっき)
岡本半次郎(おかもと はんじろう)
番付百番。元・大亀流門下にして亀伝坊の息子であり、本名は大泉半次郎。大亀流時代は五行の技を全て極め、父の亀伝坊からも次期当主と目されていたほどの天才剣士で、陣介を大亀流へ招き入れた張本人でもある。凛太郎の事も知っていた。やがて頭角を現してきた陣介の姿に自身の剣の限界を感じ、自身では出来ない大亀流の進化を陣介に託し、陣介に当主の座を譲るために、20年近く前に大亀流から離れた。
その後も陣介とは少なからず交流があったようで、陣介が考案した六番目の型である「天地の型」を我間と伊織へ受け継ぐ橋渡しの役目を頼まれていた。大仕合には、生前の陣介からの頼みであった、我間と伊織に会い彼らに「天地の型」を継承させる目的で参加した。大亀流を辞めてからも武術に対する好奇心・探究心は失われておらず、初見の武術には直撃こそ避けるがわざと受けようとする悪癖がある。
本戦一回戦では名越作太郎と対戦。土公型第三式「磐裂根裂」によって名越の鉄杖ごと脳天を粉砕し勝利する。その後は伊織たちと合流し、生前の陣介の意向とともに「天地の型」を伝授する。その後大亀流と決別を決めた我間にも「天地の型」を伝授させようとするも、基礎を磨く事に重点を置こうとしそれを拒んだ我間に対して、強引に「天地の型」を見せた。
天野次郎丸(あまの じろうまる)
術技
大亀流
雷電型(イカヅチノカタ)
第一式
第二式「紫電閃(しでんせん)」
第三式「鳴神(ナルカミ)」
天幻流
燕(つばめ)
蓮華(れんげ)
中泉流
狂矢(くるいや)
鏡千流
月隠の構え(つきがくしのかまえ)
虚蹴跳(こしゅうちょう)
卍卍流
大蛇(おろち)
魂隠流
不動金縛りの術(ふどうかなしばりのじゅつ)
双燕流
無比無双連刃(むひむそうれんじん)
明神流
金剛三法(こんごうさんぽう)
血絡(ちがらみ)
破状血絡(はじょうちがらみ)
反し牙牙(かえしガガ)
迅式・五扇尖(じんしき・ごおうせん)
蛇旋(じゃせん)
双蛇旋(そうじゃせん)
八星開眼(はっせいかいがん)
神成流
凪繊月(ナギセンゲツ)
鷺討(さぎうち)
卍抜き(まんじぬき)
無宝流
砕熾撃(さいしげき)
蓋轟烈震(がいごうれっしん)
剛旋牙(ごうせんが)
鉤ノ灯籠(カギノトウロウ)
天脈気殺(てんみゃくきさつ)
尖牙神勁(センガジンケイ)
双炎車輪(そうえんしゃりん)
昇飛龍(のぼりひりゅう)
蛇四連弾(じゃよんれんだん)
砂狩の陣(すながりのじん)
崩塊斬(ほうかいざん)
天覚ノ眼(てんかくのめ)
虎王破牙(こおうはが)
蠍火極毒歩(かつびごくどくほ)
源羽流
燕飛乱舞(えんびらんぶ)
燕返し(つばめがえし)
印度武術
四刃開眼(しじんかいがん)
ヴィシュヌの裁き
四神狂乱(ししんきょうらん)
ヴァジュラの雷鳴
伊賀霧隠流
毒手(どくしゅ)
毒霧の術(どくきりのじゅつ)
駿河藩
戦乙女の祈り(いくさおとめのいのり)
百瀬流
バインド
正天の構え(せいてんのかまえ)
武具
大亀流
久夛良木定長(くたらぎさだなが)
千我村雨(せんがむらさめ)
『‐修羅‐』で新設された大亀流道場で保管されていたが、我間と立ち合い次代の当主にふさわしい実力であると認めた真ノ丞から我間に託される。
天幻流
眉尖刀(びせんとう)
中泉流
黎月(れいげつ)
卍卍流
蛇金(ジャゴン)
三ツ星(ミツボシ)
双首蛇首(フタクビジャショウ)
髪帷子(かみかたびら)
魂隠流
矮針(わいしん)
明神流
鬼断(オニダチ)
紅抜(ベニヌキ)
『‐修羅‐』では佐助の兄である真嶋喜太郎が使用している。
銀閂(ぎんかん)
九曜(くよう)
無宝流
竜桐(たつぎり)
黒梳爪(コクソソウ)
黒辻(くろつじ)
銀廓(ぎんぐるわ)
蒼霞(あおがすみ)
絃奉(ゲンホウ)
ハルベルト
『-修羅-』では、百剣士のひとりである蔵院聖矢が同じくこの武器を使用する。
双炎丸(そうえんまる)
霞白定(かすみしろさだ)
長子丸(ちょうしまる)
源羽流
物干し竿 正宗(ものほしざお まさむね)
印度武術
ブラフマー
シヴァ
ヴァジュラ
百瀬流
ロングソード
駿河藩
その他の武具
炎雅(えんみやび)
書誌情報
- 中丸洋介『我間乱〜GAMARAN〜』講談社〈講談社コミックスマガジン〉、全22巻
- 2009年8月17日発売、ISBN 978-4-06-384179-4
- 2009年10月16日発売、ISBN 978-4-06-384199-2
- 2009年12月17日発売、ISBN 978-4-06-384227-2
- 2010年2月17日発売、ISBN 978-4-06-384255-5
- 2010年4月16日発売、ISBN 978-4-06-384285-2
- 2010年7月16日発売、ISBN 978-4-06-384335-4
- 2010年9月17日発売、ISBN 978-4-06-384367-5
- 2010年12月17日発売、ISBN 978-4-06-384421-4
- 2011年2月17日発売、ISBN 978-4-06-384449-8
- 2011年4月15日発売、ISBN 978-4-06-384477-1
- 2011年6月17日発売、ISBN 978-4-06-384507-5
- 2011年9月16日発売、ISBN 978-4-06-384552-5
- 2011年11月17日発売、ISBN 978-4-06-384581-5
- 2012年1月17日発売、ISBN 978-4-06-384614-0
- 2012年4月17日発売、ISBN 978-4-06-384657-7
- 2012年6月15日発売、ISBN 978-4-06-384690-4
- 2012年9月14日発売、ISBN 978-4-06-384737-6
- 2012年11月16日発売、ISBN 978-4-06-384768-0
- 2013年1月17日発売、ISBN 978-4-06-384798-7
- 2013年4月17日発売、ISBN 978-4-06-384847-2
- 2013年6月17日発売、ISBN 978-4-06-384879-3
- 2013年8月16日発売、ISBN 978-4-06-394913-1
- 中丸洋介『我間乱〜GAMARAN〜』講談社〈講談社プラチナコミックス〉、全5巻
- 神速の剣技“雷電型”発動!の巻 2017年4月26日発売、ISBN 978-4-06-386147-1
- 単行本第1巻、第2巻の内容を収録。
- 主君を守れ! 掟無しの勝ち抜き戦!の巻 2017年5月31日発売、ISBN 978-4-06-386151-8
- 単行本第3巻、第4巻の内容を収録。
- 間合いを潰せ! 敵は伝説の『四神槍』!!の巻 2017年6月28日発売、ISBN 978-4-06-386162-4
- 単行本第5巻、第6巻の内容を収録。
- 重厚無比! 怪刀『久夛良木定長』の巻 2017年7月26日発売、ISBN 978-4-06-510055-4
- 単行本第7巻、第8巻の内容を収録。
- 強者たちの修業場『戎簾の里』へ!の巻 2017年8月23日発売、ISBN 978-4-06-510121-6
- 単行本第9巻、第10巻の内容を収録。
- 単行本第1巻、第2巻の内容を収録。
- 単行本第3巻、第4巻の内容を収録。
- 単行本第5巻、第6巻の内容を収録。
- 単行本第7巻、第8巻の内容を収録。
- 単行本第9巻、第10巻の内容を収録。
- 中丸洋介『我間乱-修羅-』講談社〈講談社コミックスマガジン〉、既刊29巻(2023年12月7日現在)
- 2018年5月9日発売、ISBN 978-4-06-511566-4
- 特別編(第零話)「千石伊織」(『週刊少年マガジン』2018年14号)収録。
- 2018年7月9日発売、ISBN 978-4-06-511780-4
- 2018年11月9日発売、ISBN 978-4-06-513239-5
- 2019年1月9日発売、ISBN 978-4-06-514456-5
- 2019年3月8日発売、ISBN 978-4-06-514785-6
- 2019年5月9日発売、ISBN 978-4-06-515138-9
- 2019年7月9日発売、ISBN 978-4-06-515725-1
- 2019年9月9日発売、ISBN 978-4-06-517278-0
- 2019年12月9日発売、ISBN 978-4-06-517834-8
- 2020年2月7日発売、ISBN 978-4-06-518451-6
- 2020年5月8日発売、ISBN 978-4-06-519381-5
- 2020年7月9日発売、ISBN 978-4-06-520102-2
- 2020年10月9日発売、ISBN 978-4-06-521025-3
- 2021年1月8日発売、ISBN 978-4-06-521678-1
- 2021年3月9日発売、ISBN 978-4-06-522657-5
- 2021年6月9日発売、ISBN 978-4-06-523602-4
- 2021年9月9日発売、ISBN 978-4-06-524841-6
- 2021年12月9日発売、ISBN 978-4-06-526274-0
- 2022年3月9日発売、ISBN 978-4-06-527266-4
- 2022年5月9日発売、ISBN 978-4-06-527843-7
- 2022年7月8日発売、ISBN 978-4-06-528382-0
- 2022年9月9日発売、ISBN 978-4-06-529146-7
- 2022年11月9日発売、ISBN 978-4-06-529926-5
- 2023年2月9日発売、ISBN 978-4-06-530741-0
- 2023年4月7日発売、ISBN 978-4-06-531461-6
- 2023年6月8日発売、ISBN 978-4-06-531873-7
- 2023年8月8日発売、ISBN 978-4-06-532604-6
- 2023年10月6日発売、ISBN 978-4-06-533223-8
- 2023年12月7日発売、ISBN 978-4-06-534085-1
- 特別編(第零話)「千石伊織」(『週刊少年マガジン』2018年14号)収録。