戦国小町苦労譚
小説
著者:夾竹桃,
出版社:アース・スター エンターテイメント,
掲載サイト:小説家になろう,
レーベル:アース・スターノベル,
連載期間:2013年1月27日 -,
巻数:既刊16巻,
漫画
原作・原案など:夾竹桃・平沢下戸,
作画:沢田一,
出版社:アース・スター エンターテイメント,
掲載サイト:コミック アース・スター,
レーベル:アース・スターコミックス,
発表期間:2017年5月26日 -,
巻数:既刊14巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『戦国小町苦労譚』(せんごくこまちくろうたん)は、夾竹桃による日本のライトノベル。イラストは平沢下戸が担当。2013年1月27日より「小説家になろう」で連載されており、2016年1月15日からはアース・スターノベル(アース・スター エンターテイメント)より書籍化されている。2023年3月時点でシリーズ累計発行部数は200万部を記録している。
2017年5月26日からは『コミック アース・スター』(同社)にて漫画版が連載されている。作画は沢田一。
あらすじ
歴史好きの農業高校生・綾小路静子は、学校の帰りにふと気が付くと永禄八年(1565年)3月という戦国時代のど真ん中にタイムスリップしていた。そこで織田信長に出会い、(当時は無礼に当たる)実名を口にして殺されそうになった静子は、南蛮で育ち最新の農業技術を持っているため役に立つと自称する。その言葉を聞いた信長は、静子を荒れ果てた村の村長に任命し、豊作にすることを命じる。村長に任命された静子は、土壌を改良したりタイムスリップの際に偶然持っていた苗を植えたりして信長の命に応えようとする。初めこそ村長が女であることへの風当たりは強かったが、静子が実力を発揮するにつれ村人の偏見は少なくなっていった。その後、静子は内政にも呼ばれ、現代の技術や農業の知識を織田軍のために使用する。
稲葉山城の戦いを制した信長は、これまでの静子が語る知識や育ちをうかがわせる話などから、宣教師から聞く南蛮とは明らかに異なる出自の人間と見破り、別な世界からの来訪者ではないのではないか?という問いを投げかけ、ついに静子はタイムスリップについて正直に話すことにする。静子の知識は信用できると判断した信長は、静子を「織田家相談役」に任命。可児才蔵、前田慶次が馬廻となり、勝蔵が静子のもとで修業することとなった。その後静子は行商人から自分のものではない現代品を購入し、自分のほかにもタイムスリップしてきた人間がいることを知る。
信長は足利義昭と会合の上、上洛を決定。静子も上洛戦に参戦を命じられる。その後京の治安回復を成し遂げた際、料理人としてやってきた足満とみつおに出会う。静子と話し合い、みつおは畜産担当として、足満は神社の神主としてそれぞれ働くこととなった。足満は、濃姫を間者から救ったことを切っ掛けに自身が元将軍・足利義輝であり、死ぬ直前に現代にタイムスリップして再び戦国時代に来た人物であることを思い出す。
静子の助言により浅井長政の裏切りは無くなったものの、浅井家の実権を握る浅井久政の妄動を防ぐ事は出来ず、史実通りに浅井朝倉連合軍と織田家の対立が始まり、姉川の戦いが起こってしまう。志賀の陣で森可成を失うのを避けるため、静子軍は宇佐山城へ向かう。可成は死亡はしなかったものの重傷を負い、静子は作戦が失敗したことに深く責任を感じるようになる。信長軍は劣勢が続き、朝廷による和睦の令によって志賀の陣は終幕する。
登場人物
綾小路静子(あやのこうじ しずこ)
本作の主人公。歴史好きの元農業高校生。ある日突然戦国時代にタイムスリップしてしまい、織田信長に仕えることとなる。肩書は「織田家相談役」。信長直属として「静子隊(のちに軍単位となる)」を率いる。博覧強記でもあり、戦争に詳しい姉や、農業のプロである祖父・寅之助とその知り合いの薫陶もあって多方面の知識を有し、戦国時代以降の未来の知識や技術や料理などを再現することで、戦国の終焉を目指す織田家にとって切り札的存在でもある。
信長と前久による朝廷戦略として静子の家名を利用し、断絶した公家・綾小路家の末裔とされ、前久や濃姫が代筆した手紙と献上品により、正親町天皇より従四位上の官位と「仁比売(にひめ)」の名を賜る。ルイス・フロイスを始めとした外国人に対しては男装した上で頭巾を被った姿で相対し、「頭巾宰相」と呼ばれている。この変装は信長の指示だったが、以後解禁の指示がないため律儀に続けている。
尾張を中心とした織田領内の発展と安定に寄与し、信長に仕えてから長年に渡って尾張を発展させてきたことで、尾張では崇拝に近いレベルで民に慕われている。動物好きでヴィットマンファミリーだけでなく地元の野生種やフロイスから献上された外来種も手懐けており、害意を持つ者は近づいただけでも排除される。
作中ではタイムスリップしてすでに10数年が経っており、三十路も目前だが独身。静子の持つ個人資産額もだが、織田家内部での立場が高まり下手な相手を婿にすることも出来ず、保護者役である信長・前久・足満の3人が親バカを発揮して候補者に片っ端からダメ出しした結果、信長の庶子でも訳ありだった四六と器を養子にする形になっている。
織田上総介三郎平朝臣信長(おだ かずさのすけ さぶろう たいらの あそん のぶなが)
森三左衛門可成(もり さんざえもん よしなり)
カイザー、ケーニッヒ、アーデルハイト、リッター、ルッツ
彩(あや)
玄朗(げんろう)
濃姫(のうひめ)
織田信忠(おだ のぶただ) / 奇妙丸(きみょうまる)
可児才蔵吉長(かに さいぞう よしなが)
前田慶次利益(まえだ けいじ とします)
森長可(もり ながよし) / 勝蔵(かつぞう)
可成の次男。荒くれものであり、信長の命によって静子のもとで修業をしている。最初は静子に反発していたが徐々に静子のことを認める様になり、静子から学んだ知識や技術も活用して「鬼武蔵」の二つ名に劣らぬ暴れっぷりを見せる。家中ではやり過ぎだと意見されるが信長からは「若人らしくて良い」と気に入られている。
後に元服してから幾多の戦いに参戦しており、様々な活躍をしていく。本人は政治については一切の興味を持たないが、それは森家は兄が継ぐからであり、もし自身が政治に明るいと良からぬ欲を持つものが現れて、森家を揺るがすかもしれないと言う理由だった。静子もこの考えを聞くと、信長から気に入られていることもあって森家に火種を産む可能性があると納得しており、本人はあくまでも兄の腕で矛であれば良いと思っている、
藤堂与吉(とうどう よきち)
足満(あしみつ)
静子は知らないが、正体は足利義輝。永禄の変で死亡する直前に現代にタイムスリップし、ボロボロに傷ついて記憶を失った状態で拾われ、静子の家で数年の間を共に過ごしていた。その後静子と同様にタイムスリップし、再び戦国時代へやってくる。この際、静子と同様に永禄の変の2ヶ月前に現れていたとすると史実の年齢より4~5歳老けている計算になるが、現代で暮らしていたこともあってか、かなり若々しい。その身の上は信長や濃姫は承知している。松永久秀や足利義昭に対してはかつての将軍として睨みを利かせている。
現代にいる間に様々な知識を得ており、静子が使いたがらない軍事面の知識を提供する以外に「鬼」を自称して敵対した(特に静子に害となる)ものを徹底的に処断する。普段は静子領にある神社「櫻信ノ社」の宮司をしている。
田中みつお(たなか みつお)
元・畜産業の会社員。静子と同様に現代からタイムスリップしてきた。五郎から「おっさん」と呼ばれるたびに「みつおです」と訂正している。既婚者だが、妻に先立たれ娘も結婚して家を出たのを機に、農業を始めようと静子の祖父を訪れた帰りに足満と共にタイムスリップした。寅之助から譲られた苗木などは久次郎を経て静子に渡っている。戦国人を上回る酒豪。琉球までいって黒豚のアグー種を手に入れてくるが、途中の薩摩で島津に囚われ、飲み比べに勝った結果として当主・貴久の娘である鶴姫を許婚として押し付けられた。尾張に連れ帰ったのち信長の許可を得て祝言を挙げる。
当初は嫁と言っても建前で、娘を持ったつもりだったが徐々に想い合っていき、家中から嫁を取るよう勧めた信長が呆れるほどの惚気を吐くようになる。鶴姫は身体の成長が悪く子も成せない心配があったが、尾張においての食生活改善もあって無事懐妊し、娘の葵を産んでいる。
近衛前久(このえ さきひさ)
四六(しろく)・器(うつわ)
本多平八郎忠勝(ほんだ へいはちろう ただかつ)
浅井長政(あざい ながまさ)
お市の方(おいちのかた)、茶々(ちゃちゃ)、初(はつ)、江(ごう)
真田昌幸(さなだ まさゆき)
虎太郎(こたろう)、弥一(やいち)、瑠璃(るり)、紅葉(もみじ)
海外の生の情報・技術も取り入れるべく静子に買い取られたユダヤ人奴隷たち。買い取られたことで過去の自分と決別すべく、静子に日本名を付けてもらった。
虎太郎は最年長で40代。複数の言語を操り言語学者の肩書を持つ。当時の学説であった天動説を否定するなどしたため教会から破門とされて奴隷に落とされたというインテリ。輸入した海外の書籍も当時は手書きがほとんどでネイティヴでなければ読めないので、それらの翻訳を行いながら静子に聞かされた地動説の証左を実証する研究を続けている。酒好きであり、慶次とは呑み仲間で自ら洋酒作りにも手を染める。
弥一と瑠璃は兄妹。兄が奴隷に落とされた際に妹も連座させられた。元々は金属加工職人だった弥一は職人として働き、瑠璃は絨毯の製法を伝える。瑠璃は栄養状態が良くなったためか、日本人を遥かに上回るバストに成長する。
紅葉は10代。母親が魔女と認定されたことから薬師の流れを持つ家系。黒髪と翠瞳をもつ。さすがに専門と言えるほどの知識や技術はないため、栽培試験中の作物観察記録を任される。
用語
静子領
領民を中心として組織された「静子軍」は「兵士訓練所」による苛烈を極める近代的な軍事訓練が採用され、コンパウンドボウによる弓騎兵隊や新式の鉄砲隊を擁し、静子領の豊富な物資を用いた兵站部隊や負傷兵・流行病の治療に当たる「衛生衆」、陣地や街道の整備を行う土木工兵「黒鍬衆」などが養成されている。技術を身に付けた者は当然として、静子隊としての訓練を受け、訓練所を潜り抜けた者はその訓練の過酷さを知る武将達からも好待遇で召し抱えられているので、士官先に困らない。
作風
「小説家になろう」で人気のある異世界ファンタジージャンルの作品で主流であるチートものの影響を受けている。また、版元であるアース・スター エンターテイメントからは異世界作品の一種として扱われることもある。
タイムスリップものの作品では、歴史を変えないことをテーマにすることが多いが、本作は大胆に歴史に介入していくことも魅力のひとつとなっている。
制作背景
連載開始当初「小説家になろう」ではテンプレート的な展開が流行していたため、あえてその逆を書こうと考え、本作が構想された。自衛隊がタイムスリップする話を見たこと、身分が固定されておらず江戸時代よりも幅広い活躍ができそうなこと、などから、戦国時代にタイムスリップする話に決定した。チート能力でいろいろできてしまうと他の異世界ファンタジーと差別化できないため、主人公が戦国時代で再現できるであろう現代知識を進行に応じて使用している。
既刊一覧
小説
- 夾竹桃(著)・平沢下戸(イラスト) 『戦国小町苦労譚』 アース・スター エンターテイメント〈アース・スターノベル〉、既刊16巻(2023年3月15日現在)
- 「邂逅の刻」2016年1月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-0859-3
- 「天下布武」2016年5月14日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-0923-1
- 「上洛」2016年9月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-0956-9
- 「第一次織田包囲網」2016年12月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-0978-1
- 「宇佐山の死闘と信長の危機」2017年4月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1037-4
- 「崩落、背徳の延暦寺」2017年9月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1110-4
- 「胎動、武田信玄」2017年12月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1141-8
- 「岐路、巨星墜つ」2018年4月16日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1182-1
- 「黄昏の室町幕府」2018年9月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1229-3
- 「逸を以て労を待つ」2019年1月17日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1261-3
- 「黎明、安土時代の幕開け」2019年7月16日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1312-2
- 「哀惜の刻」2020年1月16日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1369-6
- 「第二次東国征伐」2020年9月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1451-8
- 「工業時代の夜明け」2021年4月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1503-4
- 「本願寺炎上」2022年3月16日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1627-7
- 「決戦! 小田原城」2023年3月15日発売、ISBN 978-4-8030-1767-0
漫画
- 夾竹桃・平沢下戸(原作)、沢田一(漫画)、アース・スター エンターテイメント〈アース・スター コミックス〉、既刊14巻(2023年9月13日現在)
- 『戦国小町苦労譚 農耕戯画 1』2017年12月15日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1134-0
- 『戦国小町苦労譚 農耕戯画 2』2018年4月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1175-3
- 『戦国小町苦労譚 躍進、静子の村 3』2018年10月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1233-0
- 『戦国小町苦労譚 躍進、静子の村 4』2019年3月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1277-4
- 『戦国小町苦労譚 現代女子、戦場ニ立ツ 5』2019年10月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1345-0
- 『戦国小町苦労譚 上洛、そして邂逅 6』2020年4月11日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1409-9
- 『戦国小町苦労譚 重鎮ヲ懐柔セヨ 7』2020年9月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1449-5
- 『戦国小町苦労譚 伊勢平定 8』2021年2月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1489-1
- 『戦国小町苦労譚 義弟との絆 9』2021年7月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1537-9
- 『戦国小町苦労譚 宇佐山の決戦 10』2021年12月10日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1574-4
- 『戦国小町苦労譚 志賀の陣、終結 11』2022年5月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1643-7
- 『戦国小町苦労譚 越後の龍と近衛静子 12』2022年10月12日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1701-4
- 『戦国小町苦労譚 乱世を照らす宰相 13』2023年3月10日初版第1刷発行(同日発売)、ISBN 978-4-8030-1759-5
- 『戦国小町苦労譚 眠れる獅子 14』2023年9月13日発売、ISBN 978-4-8030-1834-9