敗者復活戦!
舞台:書店,
以下はWikipediaより引用
要約
『敗者復活戦!』(はいしゃふっかつせん!)は、辻灯子の原作による日本の4コマ漫画作品。
あらすじ
某大手外資系金融の優良企業を辞めて祖父母の営む古書店『ゆかし堂書店』の手伝いをしている黒髪の美女・田邑月穂。
彼女は、収入が外資系金融企業勤務時代の10分の1に下がったことに若干の後悔しながらも第二の半リタイヤ生活を満喫していた。
そんな時、未来に希望しかない超静電気体質の女子高生・新名一水がアルバイトとして入ってきたのを機に、少しずつ生活環境に変化が現れ始める。
登場人物
田邑 月穂 (たむら つきほ)
本作の主人公。祖父母の営む古書店『ゆかし堂書店』の手伝いをしている。古書店歴は浅く、まだ3年程度であるが、知識は豊富。前職は某外資系金融業。仕事ができるキャリアウーマンで、簡単には配属されない花形部署に難なく配属されてM&A(企業合弁)を成功させるなどの手腕を発揮し、年収数千万円もの収入を得ていたが、朝晩関係なく仕事をしていたことと、同僚たちのアクの強さに辟易し、「疲れた」との理由に突如退職。当時住んでいたマンションを引き払い、ゆかし堂書店の2階の一角に間借りする形で移り住んできたことが明かされる。ひとたび本を読むと、その本の内容に影響されて言葉遣いや一人称が変わることがある。3姉妹の次女であるが、実母の姿子とは長年の確執があり、その関係で父方の祖父母である「ゆかし堂書店」の社長夫妻と養子縁組されたため、実父の和彦とは戸籍上、義兄妹となっている。そのため、3姉妹の中で唯一苗字が異なり、父方の本姓である「田邑」姓を名乗っている。辻灯子の登場人物らしくゲーム好きであるようで、作中で夜通しゲームをやりこむ予定である旨を発言するシーンが在る。左利き。上述しているように仕事ができる知的な黒髪美人だが、蝉や青大将を素手で掴んだり、「権力のある者の弱みは握っておくべし」と論じるなど、性格に難がある。このような難のある性格の為か、彼氏が居る様子は無く、本人も彼氏を欲する意識は無い。少女時代、男の子の服装や遊びを好んで母親を過度に悩ませて育児ノイローゼに陥らせたことが母子間の確執を作った原因であることが明かされている。大の猫好きであるが、相反するように重度の猫アレルギーであるため、猫を飼うことができない。また、後にハウスダストアレルギーであることも判明したため、古書店業を継続することは困難だと判断し、最終的には榎本の紹介でかつての上司が独立して起業した投資銀行に転職することを決断。「ゆかし堂書店」を去り、2階の一角から付近のマンションに転居する。当初、ゆかし堂書店はアルバイトを募集しておらず、そこに無理やりアルバイトの面接と称してしつこく喰い下がってくる新名一水を邪険に扱っていたが、一水が正式にアルバイト店員として採用された後は一水を厳しくも暖かく指導していき、最終的には「ニーナは『ゆかし堂』に就職すればいいよ」と勧める。また、一水を通して知り合った長谷川夕記は月穂自身がアルバイトにスカウトしている。社長である祖父(戸籍上は義父)とは経営面で対立し、実店舗での対面販売を良しとする祖父に対し、通販専門店にするべきと主張している。それについては社長自ら「売上の8割は通販によるもの」と認めていることから、経営に関しては先見の明が在る模様。某外資系金融業勤務時代の元同僚である榎本のことを何度も「榎本(えのもと)」と釘を刺されても覚えられず「榎木(えのき)」と素で間違えたり、特定の日付が決まっていない「父の日」や「母の日」をみんながどうやって毎年把握しているのか疑問を持つなど、抜けたところがある。
月穂の祖母
榎本 (えのもと)
月穂の外資系金融企業勤務時代の元同僚。何度も自身の苗字が「榎本」だと釘を刺しても月穂からは「榎木(エノキ)」と素で間違われる。月穂が外資系金融企業を退職してから3年後、ゆかし堂に尋ねてくる。当初、ゆかし堂の場所が判らず、近くで転けた夕記に「大丈夫?」と声を掛けたことで夕記と知り合い、夕記からゆかし堂の場所を教えてもらう。月穂の気を引くため、ゆかし堂に何度も本を売りに訪れるが、その度に買い取り対象外品だったり、店に在庫が在るなどの理由で買い取りを拒否されている。唯一買い取ってもらった本は猫の写真集1冊のみ。実は、月穂を訪ねてきたのには理由があり、月穂のかつての直属の上司だった人物が独立して日本にオフィスを構えることになり、月穂のヘッドハンティングを個人的に依頼されたためだった。月穂は古書店の勤務で満足していたが、猫アレルギーに加えてハウスダストアレルギーであることも判明し、古書店での勤務を続けることは難しいと判断。転職を決断したため、ヘッドハンティングに成功する。裕福な家庭の育ちらしく、高級外食店での支払はいつも実父の支払になっていたり、祖父の社交クラブのお供をしたりしている。相続税対策のため、月穂と同様に祖父の養子になっている。
長谷川 竜太 (はせがわ りゅうた)
長谷川 蛍太 (はせがわ けいた)
一水の兄
一水の母
三森 優 (みもり ゆう)
戸田 篤志(とだ あつし)
升田 粧子(ますだ しょうこ)
夕記の叔母
団子屋の3代目
理髪店の女将
ゆかし堂の常連客の一人。しかし、社長夫人とコーヒーを飲みながら雑談していることが多く、特に本を購入しているような様子は無いため、常連客というよりも商店街における近所付き合い的な立ち位置である。一水が夕記を伴って店に押しかけ面接に行った際、一水に飴玉のようなお菓子などをあげたため、一水は当初、ゆかし堂の店員だと思っていた。一水がゆかし堂でのバイトを希望していると聴き、「何でこんな汚い店で」と平気で軽口をたたけるほどゆかし堂に浸透している。後に近く取り壊す予定の実家にある大量の古書の宅買い依頼をする。実家は車やバスでその日のうちに行って帰ってこれる程度の距離に在るものの、奥まった田舎であり、タヌキ・キジ・イノシシ・サル・カモシカ・テンなど、多数の野生動物が周囲に棲み付いている。
升屋の長男
桑原 和彦 (くわばら かずひこ)
ゆかし堂書店社長夫妻の実息で月穂の実父。59歳。姿子と結婚した時に桑原家の婿養子になったのか、姿子が桑原家から田邑家に嫁に入ったのかは語られていないが、長期出張で月穂の世話を姿子に丸投げしたことで姿子が育児ノイローゼに陥ったのは自分に責任があるとして、姿子に償いをするために月穂を両親と養子縁組させ、自身は両親と絶縁して桑原家の一員として生活することになった経緯があるため、結婚当時は姿子が桑原家から田邑家に入籍し、その後に絶縁のために婿養子化したものと思われる。実母であるゆかし堂社長夫人によると、商社に入って粋がっていたという。後に姿子とは自分と両親が堂々と逢えるようにするために協議離婚し、早期退職して実家に戻る形でゆかし堂に再就職する。しかし、離婚後も「田邑」姓には戻っておらず「桑原」姓のままである。なお、初めて名前が明らかになったのは月穂と星乃が公園で会話している時の月穂の台詞で語られたのが初出であるが、この時は「和彦」ではなく「俊也」となっている。
桑原 姿子 (くわばら しなこ)
月穂の実母。月穂が少女らしい振る舞いをせず、男の子の服装や遊びを好むなど、過度に彼女を悩ませた為に育児ノイローゼに陥る。夫(和彦)は月穂の育児を彼女に丸投げしていた責任は自分にあると感じたため、彼女に詫びるために婿養子として桑原家に入籍した経緯がある。桑原家では月穂の話が出ただけで場が凍り付くほどであり、月穂のことを口にするのは事実上のタブーとなっている。このため、現在も月穂とは強い確執がある。その後、紆余曲折を経て夫が実親と堂々と逢える環境を作るために協議離婚する。月穂との確執や田邑家における親子間の確執に至る原因に深く関わっている人物であるが、作中には一度も登場しておらず、名前だけが月穂と星乃の会話で明らかになっているのみである。
月穂の姉
月穂の実姉。作中で結婚したことが次妹の星乃によって語られ、挙式はハワイで行なった。月穂は3人姉妹の次女であるため、彼女は3姉妹の長女である。某省庁に勤務している国家公務員で、夫も同様。星乃によると安月給とのことなので、キャリアではない模様。母親が育児ノイローゼに罹った原因が月穂にあることを間近で見て育っているため、母親寄りの考え方の持ち主らしく、長妹である月穂のことを現在も快く思っていない。月穂によると3姉妹は両親が天体好きだったことから、天体に関する名前が付けられているとのことだが、彼女は電話越しでの声のみの登場に留まっていて3姉妹の仲で唯一容姿が不明。それに伴い、名前も明かされていない。だが、長妹は月、末妹は星が名前に含まれていることから、彼女は太陽に関する名前であると推測される。
黒埼 (くろさき)
角屋の女将
自治会長
備考
- 本作は『よゆう酌々』『ただいま独身中』の両作と同じ世界観という設定になっている。ただし、本作には『ただいま独身中』の登場人物は登場しない。
- 最終的に月穂は『ゆかし堂』を退職して外資系業界に復帰するが、作品タイトルである「敗者復活戦!」の意味は「月穂が外資系業界に復帰して人生に再起をかける」という意味ではない。
- 社長(月穂の祖父)曰く「本も行き場の無いところを救われた 古本屋は本の敗者復活戦なんだよ」とのことで、これはつまり「本来なら行く当ての無いはずだった本たちにとって、自分たちが再び人の手に渡って読んでもらえる機会の獲得を競える場所こそが敗者復活戦」という意味であり、要するに『ゆかし堂』そのもののことを意味する。
- 『ゆかし堂』という書店名の由来は作中では明らかにされていないが、松尾芭蕉の詠んだ句に「春の夜や 籠り人ゆかし 堂の隅(はるのよや こもりどゆかし どうのすみ)」というものがあり、作中の月穂の立ち位置と一致する。
- 月穂は猫アレルギー体質であり、春の時期はネコの換毛期である要素が「春の夜や」、『ゆかし堂』の2階の隅に居を構えて住み込んでいる要素が「籠り人ゆかし 堂の隅」にあたる。
- 社長(月穂の祖父)曰く「本も行き場の無いところを救われた 古本屋は本の敗者復活戦なんだよ」とのことで、これはつまり「本来なら行く当ての無いはずだった本たちにとって、自分たちが再び人の手に渡って読んでもらえる機会の獲得を競える場所こそが敗者復活戦」という意味であり、要するに『ゆかし堂』そのもののことを意味する。
- 月穂は猫アレルギー体質であり、春の時期はネコの換毛期である要素が「春の夜や」、『ゆかし堂』の2階の隅に居を構えて住み込んでいる要素が「籠り人ゆかし 堂の隅」にあたる。