新ハムレット
以下はWikipediaより引用
要約
『新ハムレット』(しんハムレット)は、太宰治の戯曲風の小説。シェイクスピアの『ハムレット』の近代的翻案、あるいはパロディ。
1941年(昭和16年)7月2日、文藝春秋社より刊行された。定価は1円70銭。著者にとって最初の書き下ろし長編小説である。
執筆の背景・時期
はしがきに太宰は次のように書き記している。「此の作品を書くに当り、坪内博士訳の『ハムレツト』と、それから、浦口文治氏著の『新評註ハムレツト』だけを、一とほり読んでみた。浦口氏の『新評註ハムレット』には、原文も全部載つてゐるので、辞書を片手に、大骨折りで読んでみた。」
ここで言っているのは、『新修シェークスピヤ全集 第二十七巻 ハムレット』(中央公論社、1933年9月20日、坪内逍遥訳)と、浦口文治著『新評註ハムレツト Shakespeare's Hamlet as seen by the Elizabethan Audience』(三省堂、1932年10月22日)である。なお後者は妻美知子の蔵書であった。
本書は1941年(昭和16年)2月1日に起稿され、5月末に完成した。
井伏鱒二への手紙に「この作品は戯曲の形式をとっていますが、新しい小説のつもりで書きました」という趣旨のことを書いており、「はしがき」でも、「これは、謂(い)わば LESEDRAMA ふうの、小説だと思っていただきたい」とレーゼドラマを意識した作品であることを言明している。
上演
- 本書が出版されると、「新演劇研究会」にいた芥川比呂志、加藤道夫らは何度も繰り返して読み、上演について熱心に検討したという。1946年初夏、芥川は上演の許可を求めるために青森県金木町まで太宰を訪ね、許可を得るが実現はしなかった。
- 1948年(昭和23年)12月14日から23日まで、脚色宮田輝明、演出加納浩により『亡霊失格』の題で読売ホールにて上演された。
- 劇団シェイクスピア・シアターによって上演されている。
- 2008年(平成20年)12月、外輪能隆の演出により静岡県舞台芸術センター(SPAC)で上演された。
- 2023年(令和5年)6月、五戸真理枝の演出台本により、「新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~」のタイトルでPARCO劇場他で上演されている。
内容
はしがき
一 エルシノア王城 城内の大広間
二 ポローニヤス邸の一室
ポローニヤスが登場して、レヤチーズに、大学生活での心得を言い渡す。レヤチーズが去った後のオフィーリアと父のやりとり。
三 高台
四 王妃の居間
五 廊下
六 庭園
七 城内の一室
朗読を聴いた王妃は怒り、王は喜んでいるように見える。
八 王の居間
九 城の大広間
戦争が始まり、レヤチーズは死ぬ。そのことを王は知らせに来たのだが、ハムレットは、王がポローニヤスを殺したことを察する。そのとき、王妃の入水自殺を知らせに、ホレイショがやってくる。