日本国初代大統領 桜木健一郎
漫画
原作・原案など:日高義樹,
作画:Ryu,
出版社:集英社,
掲載誌:BART,
レーベル:スーパー・プレイボーイ・コミックス,
巻数:全3巻,
話数:全25話,
以下はWikipediaより引用
要約
『日本国初代大統領桜木健一郎』(にほんこくしょだいだいとうりょうさくらぎけんいちろう)は、作画:次原隆二(作品クレジットでは「Ryu」名義)、原案・監修:日高義樹による日本の漫画作品。『BART』(集英社)にて、1998年1月号から2000年3月号まで連載された。
概要
首相公選制が導入された近未来の日本を舞台とした政治漫画。初の公選首相選挙に当選した桜木健一郎が、事実上のアメリカ型大統領として第二次朝鮮戦争と中台紛争の勃発という激流の世界情勢の中、日本の独立をいかに守り抜くかという物語である。
しかしながら、中華人民共和国国家主席が軍部に暗殺され、アメリカ合衆国大統領も暗殺されるなど作中の大風呂敷を広げ過ぎた挙句、連載が打ち切り(雑誌の休刊が原因)になったため、作品世界の伏線を回収することはなく、中途半端な終わり方(第一部完)をした。この作品世界では憲法改正が行われていないことが前提になっているなど、不自然な点もあった。
この作品自体の続編は出されることはなかったが、日高は後に同様なシークエンスを持つ『日本国大統領 桜坂満太郎』の原案を担当した。
あらすじ
20XX年4月22日、首相公選制選挙が実施された日本で、無所属議員の桜木健一郎が日本初の公選首相に当選した。しかし、同じ日に北朝鮮軍が韓国に軍事侵攻を開始し第二次朝鮮戦争が勃発する。韓国では在韓邦人が取り残され虐殺される事態が発生するが、大橋内閣は右往左往するばかりで事態を解決する手段を持っていなかった。桜木の元には大橋内閣を見限った若手官僚たちが結集し、桜木は首相就任を間近に情報収取と人材確保に努める。一方、首相の大橋は「アメリカ軍がいると戦争に巻き込まれる」という世論に押され日米安保条約の破棄を求め、アメリカ大統領のキャラダインは要請を受け入れ、代わりに米ロ安保条約を締結したため、日本は孤立してしまう。大橋は新たに日中安保条約の締結を模索する傍ら、中国国家主席の王龍民と結託して桜木の失脚を図る。桜木は大橋と王の仕掛けたスキャンダルで窮地に立たされるが、自ら疑惑を払拭し危機を脱し、スキャンダルを仕掛けた大橋は求心力を失い、王にも見放され退任する。
アメリカ軍の参戦で第二次朝鮮戦争が混迷する中、首相に就任した桜木は衆参同日選挙を実施し、桜木派の政和主民党が勝利し政治基盤を整える。その頃、中国ではクーデターによって王が暗殺され、軍部の劉華雲が全権を掌握した。劉は王の影武者を利用して台湾への軍事侵攻を宣言すると同時に第二次朝鮮戦争に介入する。中国軍の攻撃で台湾総統が死亡するなど戦争が拡大の一途を辿る中、桜木は自衛隊を派遣し在韓邦人を救出する。同じ頃、桜木は台湾政府要人で友人の李美豊とのやり取りの中で王の死と中国海軍の原子力潜水艦の居場所を掴み、アメリカにその情報をリークする。情報を受け取ったアメリカ軍は中国海軍の原子力潜水艦を撃沈し、キャラダインは桜木の実力を認め首脳会談を申し入れるが、劉の放った刺客に暗殺されてしまう。キャラダインの国葬に参加した桜木は、後任大統領となった親友のスパイダーと再会するが、そこに中国で大規模な反軍部・民主化運動が発生したという情報が届く。桜木は対米追従に終始した従来の日本の方針から脱却し、「アメリカからの独立」を誓い、スパイダーとの協議に入る。
登場人物
日本国
桜木 健一郎(さくらぎ けんいちろう)
鯨井 洋介(くじらい ようすけ)
モリス・谷口(-たにぐち)
恩田 誠十郎(おんだ せいじゅうろう)
桜木の政治顧問。周囲の人物からは「御大」と呼ばれる。長年に渡って代議士を務めた革新的政治家。桜木の父とも深い親交を持つ。かつて桜木は恩田の所のスタッフとして政治を始めており、その経緯故に桜木は彼を政治的な師と仰いでいる。桜木とはあらゆる政治局面におけるケーススタディを何度かやっていた。
就任式が目前に迫った日に起こった桜木暗殺未遂事件で、図らずも彼を庇う形で命を落とす。死に際に大橋内閣の最後の暴挙を伝え、それに対する桜木の回答に対し、「完璧」の評価を下し、「FREEDOM IS NOT FREE(自由は犠牲の上に成立する)」と言い残し、息絶えた。父親も同然だった恩田の死は桜木を精神的に大きく動揺させたが、薄々死期を悟っていた恩田は自分の身に何かあった時のために瑶子へ遺書を託していた。
大橋 高廣(おおはし たかひろ)
首相公選制導入以前の最後の内閣総理大臣。戦後長きに渡って政権を担い続けた自由憲政党の総裁でもあり、首相就任以前は大蔵大臣を歴任した。政財界及び海外からの資金力を武器に自身の大橋派を党内最大派閥に成長させる。大橋派はアメリカとの同盟関係を堅持する一方で中国政府から長年に渡って資金援助を受けており、同時に日本企業の中国進出を扇動し続けた。
組閣時に派閥の論理だけで閣僚を選んでおり、その結果自身の内閣は政治・外交オンチばかりが集まることになってしまい、桜木からは「利権屋のアマチュア内閣」と酷評されている。保身しか頭に無く、権力維持に固執している。憲法を一部改正して首相公選制を導入したのも、経済改革の度重なる失政に不満を漏らす国民へのガス抜きの為だった。桜木当選という結果を目の当たりにしてもなお彼の首相就任を認めようとはせず、手段を選ばずに再び政権に返り咲くつもりだった。アジア有事勃発に際しても、日米安保に依存するのみで何ら対応を採ろうとはしなかった。自身の派閥が持つ中国との深い繋がりを活用して、日米安保に代わる日中安保条約の締結を模索していたが失敗に終わる。最終的には米国債売却をちらつかせてアメリカを脅す強硬手段に手を出すがこれも成功せず、そのまま首相を退任した。
望月 太一(もちづき たいち)
沢村 哲蔵(さわむら てつぞう)
佐藤 省二(さとう しょうじ)
大河内 重道(おおこうち しげみち)
政和主民党党首。45歳。5代に渡る世襲議員であり、日本の議会政治の手練手管を知り尽くした叩き上げのくせ者政治家としてホワイトハウスにまでその名が知れ渡っているが、「日本政界の悪役(ヒール)」とも呼ばれており、評判はあまり良くない。だがその愛国心は非常に強く、政治理念は桜木と殆ど変わりない。
首相選挙で激戦を繰り広げた桜木に対するライバル意識は拭えないものの、アジア有事に対しては桜木と協力することを決心。就任式直後に行われる衆議院・参議院両院の解散総選挙において桜木新総理を支持する政策集団として闘い、裏から桜木を支えることを約束した。衆参同時選挙で彼が率いる政和主民党は旧政権の自由憲政党や軍事化反対を標榜する立憲共会党相手に大勝し、衆参両方の議院にて圧倒的多数の議席を獲得した。
榊 耕平(さかき こうへい)
青木 謙一郎(あおき けんいちろう)
赤井 義一(あかい よしかず)
八頭 政二郎(やがしら せいじろう)
相馬 善彦(そうま よしひこ)
片桐 徹(かたぎり とおる)
神崎 瑶子(かんざき ようこ)
花村 環(はなむら たまき)
54歳。世界有数の日系ファッションメーカー・TAMAKI-HANAMURAの社長。大勢の報道陣を眼前にしても堂々とした態度を崩さず、「女帝」と呼ばれる。
かつては桜木健一郎の父・桜木航が社長を務める航洋商事のファッションデザイナーだった。自身の良き理解者であった航とは親密な関係となり、航の息子・譲を出産するが、花村を第一線に送り出すことができぬまま桜木航は他界してしまう。葬儀の席で全てを知った健一郎は譲の父親となり、受け継いだ遺産の全てを花村の事業につぎ込んだ。健一郎に対して深い恩義を感じていた彼女は、健一郎が議員を目指した時から陰から支援し続けていたが、それを知った大橋と王龍民によって桜木失脚のためのスキャンダルに利用されてしまう。恩人である桜木を救うため、桜木との関係を全て公表し身の潔白を証明し社長を辞任した。
桜木 譲(さくらぎ ジョー)
片桐 大次郎(かたぎり だいじろう)
鷲尾 星二(わしお せいじ)
豊川 達史(とよかわ たつし)
海老沢 巌(えびざわ いわお)
竹下 総太郎(たけした そうたろう)
アメリカ合衆国
アレックス・キャラダイン
大統領。イリノイ州シカゴ生まれ。共和党出身のタカ派。一度下した決断を翻すことは滅多に無く、「怒れる野牛(レイジング・ブル)」「鉄の男」とも呼ばれる。
父親が太平洋戦争で戦死した直後に生まれており、ベトナム戦争では兄のH・キャラダインを失っている。勃発した戦争を国益拡大に利用する冷徹な強かさを備えているが、内心では家族を喪った戦争を嫌悪している。
18年前にカリフォルニア州知事選挙に出馬した時に一時窮地に陥っていたが、当時スタンフォード大学生として選挙運動のボランティアに参加していた桜木が書いた名演説のおかげで形勢逆転し同選挙に勝利した。
同時期に勃発した朝鮮動乱と中台戦争に対し、アメリカにとって初の二か国同時戦争の対応に忙殺されるものの、一方でこのアジア有事を利用し、ドル経済体制の拡大を目論む。終盤、桜木の実力を認め直接会談を申し込むが、実現前に劉華雲の放った刺客に暗殺される。
ジェファーソン・スパイダー
レイチェル・スパイダー
エイミー・スパイダー
ルイス・キングスレイ
リチャード・ハンコック
ダリル・サリンジャー
ロシア共和国
中華人民共和国
王 龍民(ワン・ロンミン)
国家主席。国内経済の破綻により暴動が多発しており、その鎮圧のために神経質となっている軍部から「弱腰政治」との批判を受けていた。軍部の機嫌を取るためには軍事行動で強気を装う必要があり、偶然勃発した朝鮮動乱に乗じて台湾へ武力威嚇を行い、日本にミサイル攻撃を仕掛けた。日本への留学経験もあることから、周囲からは外交通との評判だった。
日米安保を廃棄した大橋首相に接近し、日中安保条約締結の条件として日本主要企業の本社の中国移転を要求。日本を中国の支配下に置こうと目論む。そのために桜木が邪魔となっていることを知ると、大橋に協力して桜木の失脚を企む。
だが、彼はあくまでも改革開放路線に重点を置いており、アメリカとの全面戦争は望んでいなかった。そのことに対して不満を抱いていた劉華雲をはじめとする軍部によって暗殺される。
劉 華雲(りゅう かうん)
張 玉石(ちょう ぎょくせき)
台湾
林(りん)
李 美豊(リー・ビホウ)
国家安全局局長。軍事戦略の最高責任者であり、実質的に台湾政府では総統に次ぐナンバー2である。スタンフォード大学卒業後、ワシントンのシンクタンクに身を置いていた時期もある。林総統の死を受けて総統代理に就任し、相互安全体制を確立するために桜木と会談する。
スタンフォード大学時代に、桜木達と同様にキャラダインが出馬したカリフォルニア州知事選のボランティアに参加しており、そこでレイチェルと知り合う。スタンフォードのダンスパーティーでは一度だけ桜木と踊っており、その頃から彼に好意を抱き続けていた。「戦略としてのシミュレーション・フォーラム」というフォーラムでも桜木と知り合っており、現在も互いに意見を交換している。桜木の方は知らないが、彼女の方はフォーラムで話をしている相手が桜木であることを知っている。
単行本
スーパー・プレイボーイ・コミックスから全3巻で単行本が発売された。また本編発売に先立ち、専門家からのコメントが記載された総集編が全1巻で発売されている。
プレイボーイコミックス
- 日本国初代大統領 桜木健一郎〈独立編〉(1) 1999年12月18日発売 ISBN 4-08-857407-9
- 日本国初代大統領 桜木健一郎〈独立編〉(2) 1999年12月18日発売 ISBN 4-08-857408-7
- 日本国初代大統領 桜木健一郎〈独立編〉(3) 2000年4月24日発売 ISBN 4-08-857059-6
総集編
- 日本国初代大統領 桜木健一郎(1) 1998年12月20日発売 ISBN 4-08-780290-6