日本国召喚
以下はWikipediaより引用
要約
『日本国召喚』(にほんこくしょうかん)とは、みのろうの執筆による日本のライトノベルおよび、それの元となったオンライン小説。また、同作を高野千春がコミカライズした同名の漫画作品。
概要
2013年10月からみのろうがblog「くみちゃんとみのろうの部屋」および小説投稿サイト「小説家になろう」で連載している作品。2016年の第4回ネット小説大賞を受賞し、toi8がイラストを務める形でぽにきゃんBOOKSより「小説家になろう」で連載されていたものを元に、大幅加筆及び文章修正をした上で書籍化された。
異世界に日本列島が丸ごと転移してしまうのが本作最大の特徴で、魔法や竜の存在するファンタジーな国家から第二次世界大戦時相当の科学技術力を有した近代国家まで、多種多様な文明水準の国々が入り乱れる異世界を舞台に、主に外交官らによる異世界国家との外交、自衛隊と異世界国家との戦闘を描きつつ、異世界での立ち振る舞いに翻弄される日本国や、外交を通じて日本と交わる異世界の国々、互いの文化の違いに戸惑う日本と異世界の人々、異世界の謎を調査せんとする研究者・技術者やJAXAなどの組織、そして自衛隊だけでなく海上保安庁や警視庁などによる異世界での戦闘と活躍が様々な視点を通して描かれている。また、物語が進むにつれて日本が異世界転移した理由についても明かされていき、タイトルが「転移」ではなく「召喚」となっている理由も次第に判明する。
2018年6月24日よりComicWalkerなどで高野千春がマンガを務める形でコミカライズされ、2019年1月に同作の漫画の第1巻が書籍化された。2023年2月現在、7巻まで刊行されている。
2018年8月17日にはシリーズの編集担当である髙松良次により外伝作品「日本国召喚 外伝 新世界異譚」が執筆され、本編開始前の魔王軍、勇者達、太陽神の使いの戦いを描いた第1巻「I 魔王降臨」が出版。2020年1月17日には魔物大陸ことグラメウス大陸内に存在する未知の国の人々と、その国に墜落事故で遭難した一人の自衛官の戦いを描いた第2巻「II 孤独の戦士たち」が出版された。
あらすじ
全体のあらすじ
ある日、日本は突然異世界に転移した。食料や資源を輸入に頼っていた日本は、食料不足と資源不足の危機に直面する。自衛隊は付近を探索し、発展途上ではあるがこの世界の国を発見。政府はすぐさま国交を締結し、食料と資源を輸入して窮地を脱する。
しかし、国交を樹立した国の戦争に巻き込まれてしまい、日本は再びの危機に直面。覇権国家の乱立している異世界で、それでも日本は自らの平和主義を貫こうとする。しかし、地球の常識が通用しない異世界は、日本を戦乱に巻き込んでいく。
また、日本はこの世界について調査していくうち、次第に日本が転移した理由を把握していくことになる。
第1巻 導かれし太陽
ワイバーンに騎乗する『クワ・トイネ公国』の竜騎士はある日、自国領空を侵犯する不思議な飛行物体を発見する。白地に赤丸の描かれたそれは、ワイバーンを凌駕する飛翔性能でどこかへと飛び去って行った。その飛行物体は、突然異世界に飛ばされて混乱の極みにあった日本国の海上自衛隊に所属するP-3C哨戒機だった。
異世界に転移したことで輸入が断絶し、食糧難や資源不足などの危機に直面した日本は、自衛隊のP-3Cを周辺の探索に飛ばし、日本の南西1,000km先に未知の大陸『ロデニウス大陸』を発見。すぐさま外交官を海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」に乗せて派遣し、大陸に存在するクワ・トイネ公国とその隣国『クイラ王国』と接触。国交を樹立し、転移後の窮地を脱する。
しかし大陸内の覇権国家『ロウリア王国』が大陸統一を狙ってクワ・トイネとクイラ両国に宣戦布告。日本政府はクワ・トイネから軍事支援を要請されるが、憲法を理由に一度は拒絶。しかし再度の輸入断絶が危惧されたこと、ロウリア軍が侵攻先のクワ・トイネ国内にて大量虐殺を行ったことから、日本はロウリアを武装勢力と見做し、憲法を拡大解釈して「武装勢力の排除」を目的に自衛隊をロデニウス大陸へ派遣する。
自衛隊の現代兵器を前にロウリア軍は一転して敗北の一途を辿り、最終的にロウリア王城に突入した第1空挺団と警視庁SATの混成部隊がロウリア国王を逮捕したことにより事態は終息する。
第2巻 滅びゆく栄光・上
ロウリア事変の終結後、日本は周辺諸国と国交を広めるべく邁進していた。そんな中、積極的な領土拡張政策を取る第三文明圏唯一の列強『パーパルディア皇国』は、近隣の小さな島国『フェン王国』に領土割譲を要求するも拒否されたため、フェン王国を"懲罰"すべく艦隊を派遣して襲撃する。だがフェン王国に国交樹立のため訪れていた日本の海上自衛隊護衛隊群が自衛のためこれを撃退してしまい、日本はパーパルディア皇国の怒りを買う。
その頃、パーパルディア皇国から南の島国『アルタラス王国』は、主要産業である魔石鉱山の献上や王女の奴隷化という理不尽な要求を皇国から受け、これを拒否したためにフェン王国と同じく"懲罰"を名目に侵攻され、攻め滅ぼされてしまった。偽装商船で何とか脱出したアルタラス王国の王女ルミエスは海賊に襲われるが、海上保安庁の巡視船「しきしま」に救助される形で日本に保護される。
一方、日本の北の『トーパ王国』では、1万年前に封印された『魔王ノスグーラ』が復活し、魔物の軍勢を率いて襲来。人類を虐殺して進む魔王軍を撃退すべく、トーパ王国はすでに国交を締結していた日本に援軍を要請する。魔王を脅威と認識した日本は、有害鳥獣駆除の国際貢献を名目に陸上自衛隊の混成小隊を派遣。自動小銃や戦車などを駆使し、魔王軍を撃退する。パーパルディア皇国と魔王を退けた日本の名声は高まり、さらに同じ頃、機械文明で第二文明圏列強国『ムー』との国交も樹立させたことで、日本の国交はより広まることとなった。
しかし日本に怒りを募らせるパーパルディア皇国は、フェン王国に再侵攻。同国都市ニシノミヤコを陥落させ、そこを訪れていた日本人観光客203人を捕縛。日本の外交官に対して彼らを人質に属領化を要求するが、それを拒否されると捕えた日本人観光客を全員処刑する様子を映像中継で見せつける暴挙に出る。日本の国内世論は反パーパルディアで沸騰し、日本政府はフェン王国内に取り残されている邦人救出のため自衛隊を派遣。自衛隊は邦人を救出するとともにパーパルディア軍を撃退する。
だが、日本に敗北した事実を列強国としてのプライドが許さないパーパルディア皇国は、日本に対して宣戦布告するとともに日本国民全員を虐殺するべく殲滅戦を宣言。これに対して日本政府も個別的自衛権の発動と初となる自衛隊の防衛出動を決定し、日本とパーパルディア皇国は本格的な戦争状態に突入した。
第3巻 滅びゆく栄光・下
パーパルディア皇国との間で本格的な戦争状態に突入した日本は、皇国本土攻撃の足掛かりを得るため、皇国占領下のアルタラス島を確保することを決定。自衛隊がアルタラス島の皇国軍を「日本に侵攻してくる恐れのある部隊」として攻撃する。さらに外務省は亡命したアルタラス王国の王女ルミエスに要請し、魔導通信でアルタラスの住民たちに反乱を呼びかけ、皇国軍壊滅後のアルタラス島から皇国の統治機構を撃退する。
皇国攻撃への足掛かりを得た日本は、ルミエスと第二文明圏列強国ムーの許可のもと、アルタラス島内にあるムー国の飛行場を自衛隊基地にすべく改修工事を急ぐ。一方、アルタラス島の独立を許してしまった皇国は、大艦隊をアルタラス島へと進撃させるべく、海軍主力を集結。また、列強国ムーが日本を本格的に支援しているのではないかとの疑いから、皇国はムー国の大使を召喚して詰問する。しかし、ムー大使は日本の科学技術がムーを遥かに凌駕していることを伝え、皇国は自分たちが宣戦布告した相手の実力をようやく把握する。
やがて海軍の大艦隊が海上自衛隊に殲滅された上、皇国内の軍事基地や工業地帯がアルタラス島の基地を発った航空自衛隊機と海上自衛隊のP-3C改造爆撃機に戦略爆撃されたことで、ムー大使の弁明は事実であることが証明されてしまう。さらに再独立を果たしたアルタラス王国の新女王となったルミエスは、魔導通信で演説し、皇国属領の住民に対して決起を呼びかける。戦力補填のため属領占領軍を本土に帰還させていた皇国は、圧政ともいえる属領統治への反動もあって反乱を抑えられず、分裂していった。
そして皇国は全ての属領と軍事力の大半を喪失した上、反乱した属領の連合軍によって本土最北端の地方都市アルーニを占領されてしまい、隠密裏に日本本土攻撃に向かわせた艦隊も撃退されてしまう。最終的に皇国ではクーデターが起こり、日本に講和を呼びかけたことで事実上降伏。フェン王国での日本人観光客虐殺の首謀者と皇国軍捕虜が双方で引き渡され、この世界の列強を打倒したことで日本の名はさらに広まった。そんな中、この世界の列強第一位の大国『神聖ミリシアル帝国』は、日本に対して使節団の派遣を打診する。
第4巻 崩れる均衡
『列強』レイフォルをわずか5日で滅ぼした謎の新興国、グラ・バルカス帝国。突如轟いたその名に全世界が注目した。その一方で、より強力な列強パーパルディア皇国を打ち負かし、こちらも全世界から注目を浴びる日本。ついに先進11ヵ国会議から呼び声がかかり、日本は会議の開催地である神聖ミリシアル帝国の港町・カルトアルパスに外交使節団を派遣した。
どの参加国も「護衛」と称し最新鋭の艦隊を送り込んでくる中、日本は海上保安庁所属の巡視船「しきしま」だけを護衛につける。それが悲劇を引き起こすとは露知らず、外交にいそしむ日本国使節団。そんな彼らに、グラ・バルカスの野望と陰謀が迫りつつあった。
第5巻 新世界大戦
先進11ヵ国会議でグラ・バルカス帝国は全世界に向けて宣戦を布告し、その覇道を開始した。
神聖ミリシアル帝国は『世界連合軍』を呼びかけ、自ら先頭に立ちグラ・バルカス帝国の狂気に立ち向かう事を宣言。世界大戦への準備が着々と進められた。そしてついにバルチスタ沖において、両軍の戦闘の火蓋は切られた。しかしグラ・バルカス帝国海軍の力の前に世界連合軍艦隊は瞬く間にその数を減らし、神聖ミリシアル帝国は対魔帝戦のための秘蔵の発掘兵器「パル・キマイラ」を出動させるまで追い込まれてしまう。
一方、フォーク海峡海戦において大破したムー海軍の戦艦「ラ・カサミ」は、日本において現代技術を注ぎ込んだ大改修がなされて「ラ・カサミ改」に生まれ変わり、海上自衛隊第4護衛隊群の護衛の下、無事ムーの首都・オタハイトに入港した。任務を終えた第4護衛隊群は休暇のため同国の商業都市・マイカルに寄港していたが、「世界連合軍撤退」の凶報がもたらされる。
そんなムーにグラ・バルカス帝国海軍占領地護衛艦隊、通称「死神イシュタム」の魔の手が迫りつつあった。
第6巻 激動のムー大陸
バルチスタ沖大海戦に勝利したグラ・バルカス帝国の恐怖は世界中に伝播し、その軍門に降る国々は増えつつあった。
勢いづいたグラ・バルカス帝国はムーへの侵攻を本格化させる。日本国は自衛隊展開までの時間を稼ぐため、外交官朝田をレイフォルに派遣し、敵国外交官に日本の力の一端を垣間見せ最後通牒を突きつける。各地で戦線を拡大し、虐殺と蹂躙をまるで狩りを楽しむかのように進めるグラ・バルカス帝国軍。日本はムー国とともに連携し、この脅威を退けるべく動き始める。
一方、エスペラント事変によってその介入が疑われたアニュンリール皇国を探るべく日本国外務省は、先進11ヵ国会議にも出席した外交官近藤俊介と井上一巳を当地へと派遣する。
主な登場国家
日本国
転移先の世界で突出して優越した技術力と国力を有し、さらに陸海空自衛隊を筆頭に海上保安庁や日本警察など、この世界のあらゆる軍事力を凌駕する現代兵器を装備した強力な戦力を有する。
しかし異世界の常識に極めて疎く、周辺との技術格差や常識の違いで度々戦争に巻き込まれている。また、魔法の存在しない世界から転移してきたため、国民は魔法を使うことができない。
転移直後は数々の混乱に見舞われ、全ての人工衛星を喪失したほか、諸外国との連絡途絶により外資系企業が軒並み倒産。さらに輸出入が断絶し、もともと食料自給率とエネルギー自給率が低かったため食料・エネルギー不足の危機に直面する。その他にもコーヒー豆など輸入に頼っていた物資の不足や、LSI等の外国製電子制御部品の輸入断絶による携帯電話やスマートフォンなどの超貴重品化・高騰化など、さまざまな問題が発生した。
しかし転移後に国交を締結した国々からの物資輸入で何とか危機を離脱。また、日本経済の内需割合がもともと高かったため、輸出入再開後の4月下旬ごろまでには経済的混乱も沈静化に成功する。前述したLSIなどの外国製に頼っていた電子制御部品についても、これらがないと携帯端末類が枯渇する恐れもあったことから政府主導で大手企業に出資し、ライセンスによる制約が無いことからコピーも想定内に研究開発・生産体制を急ピッチで整えることで西暦2018年までの解決を試みている。
ロウリア事変後は、諸外国との技術格差を生かして輸出を拡大。工業製品や衣料品などの輸出や、それにともなって諸外国が発注した発電所や港湾を始めとする各種インフラの諸外国での建設など、これらが成功して転移1年後より好景気が開始。パーパルディア皇国との戦争後は国交が広まったこともあって経済がV字回復し、かのバブル期を超える好景気が訪れている。一方で造船業などの分野で発注が殺到しており、過労死する者が後を絶たない。特に日本製品を使うために必要な電気インフラ発注に対しては建設が追い付かず、後述する科学文明国のムー国にも発電所群建設と人材育成の面で協力を受けている。
転移の1年後からは種子島宇宙センターよりH-IIBロケットで人工衛星の打ち上げを開始。転移から4年後までに観測衛星、偵察衛星、通信衛星、気象衛星、太陽観測衛星、Xバンド防衛通信衛星などを打ち上げており、さらに日本版GPS網の整備を中央暦1645年(西暦2021年)までに計画している。
文明圏外国
クワ・トイネ公国
日本との接触後、当初は日本の自衛隊機が領空侵犯を行ったことや、日本が国力を背景に恫喝してくるのではと警戒していたが、日本への使節団派遣などを経て友好関係を構築。日本との国交樹立後は年間5,500万トンという莫大な量の食料輸出を対価に日本から各種のライフラインと輸送インフラをODA(政府開発援助)で輸入し、生活水準が劇的に向上する。
住民の3分の1はエルフ、ドワーフ、獣人などの亜人が占めており、日本の転移から約3ヶ月後、亜人殲滅を掲げる隣国ロウリア王国の侵略を受ける。しかし再度の食糧難発生を恐れた日本から自衛隊の派遣を受けたことで窮地を脱する。
クイラ王国
国土の全域に砂漠地帯が広がる貧しい国だったが、日本が必要とする地下資源の宝庫であることが判明し、石油などの地下資源輸出を対価に日本からインフラを輸入。クワ・トイネ公国ともども急速に生活水準が向上する。
クワ・トイネと同じく亜人の割合が高いためロウリア王国に宣戦布告されるが、日本の参戦で窮地を脱する。
ロウリア王国
亜人殲滅とロデニウス大陸統一を目論んでおり、後述する列強国のパーパルディア皇国からの支援と6年間に渡る準備で木造軍船4,400隻、ワイバーン500騎、地上兵力50万人以上の大軍を用意している。しかし大砲や銃器などはなく、剣、弓矢、魔導師らの魔法が主戦力となっている。人的資源の質もあまり良くない。当初は日本も国交締結のため接触したものの、事前にクワ・トイネとクイラとの国交を結んでいたため敵性勢力と判断され、門前払いされた。
日本転移から約3ヶ月後にクワ・トイネ公国へ侵攻し、公国国境の町ギムを蹂躙、ギムにいた公国軍兵士と住民らを虐殺する。しかしこれを受けて日本はロウリアを武装勢力と断定し、憲法を拡大解釈して「武装勢力の排除」を名目に自衛隊をロデニウス大陸へ派遣。自衛隊との戦闘でロウリア軍は壊滅し、最終的にロウリア国王が武装勢力の首領として警視庁に逮捕される形で侵攻は頓挫した。その後は諸侯が分裂して国土が縮小したものの、民主化と日本企業の進出が進んでいる。
フェン王国
人口約70万。ワイバーンも魔法もなく、生活レベルの低い貧しい国だが、国民の精神的なレベルは高く誰もが礼儀正しい。日本との交流開始後は水中翼船等による高速船の定期便が築かれており、大昔の日本のような生活様式や治安の良さが受けて日本から多数の観光客が訪れている。
しかし、列強パーパルディア皇国からの領土献上要求を拒否したため、皇国から懲罰攻撃・上陸侵攻を受けることになる。
ガハラ神国
日本とはかなり初期から交流している描写があるが、作中で直接国内が描かれたことは無い。
アルタラス王国
パーパルディア皇国から魔石鉱山の献上や王女の奴隷化という理不尽な要求を突き付けられ、それを拒否したことにより一度攻め滅ぼされ属国となったが、日本に亡命した王女が協力を取り付け、国内のレジスタンス組織とともに再独立に乗り出す。
シオス王国
ロウリア事変後、ロウリア王国が日本に敗北したという報せから日本と国交を締結。日本とパーパルディア皇国の戦争に際しては国内に自衛隊の前線基地が作られた。
トーパ王国
魔王ノスグーラ率いる魔王軍の侵攻を受けた際は周辺諸国に援軍を要請。日本にも応援を要請し、魔王軍を脅威と判断した日本は有害鳥獣駆除を名目に陸上自衛隊から混成小隊を派遣。トーパ王国軍とともに魔王軍を撃退し、以後日本とは極めて友好的となる。
漫画版では、日本が北方海域の海洋調査とカニなどの漁業権を求めて接触した、と新たに設定されている。
その他の文明圏外国
列強国
パーパルディア皇国
現皇帝ルディアスの即位後は積極的な拡張政策をとっており、周辺国に対して技術供与を対価に領土や奴隷としての国民の献上を要求し、拒否された場合は技術供与の停止や軍による懲罰攻撃を行っている。極度にプライドが高い国民性で、周辺国を強大な軍事力による恐怖で支配しているため、自分達に少しでも舐めた態度をとる者には決して容赦しない。しかしそれ故に、日本にも自国への絶対隷属を要求。これを拒否されたことから「日本人観光客虐殺事件」を起こす。全面戦争となった結果は見るも無惨な大惨敗で、すべての属領と国力・軍事力の大半を喪失。没落して列強の座からも転落した。
ムー
魔法技術に重点が置かれる異世界で科学技術に重点を置いており、文明水準は地球の第一次世界大戦前後。たった一国で相当な技術力を磨いている技術大国で、ガソリン自動車や前弩級戦艦、さらに地球の1930年代相当のレシプロエンジンの複葉機や、それらを艦載機として運用する空母を中核とした機動部隊、白黒テレビ放送という1940年代以降の技術までも普及させている。
その正体はかつて地球で海中に没したとされる伝説のムー大陸そのもの。実際には沈んだのではなく、大昔の地球から転移してきたとされる。地球に居た頃はアトランティス文明とともに世界を二分していたが、転移後の混乱に乗じた現地魔法文明と海賊の侵略を受けて大陸の半分ほどを奪われてしまった。その後は科学文明国として再出発し、諸外国との共栄路線のもと、現在では列強国の一つに数えられるほど発展している。
転移前は神代の日本とも友好国だったようで、日本と同じ科学文明国なこともあって列強の中では早期に日本と友好関係を結んでいる。その後は日本から各種の工業製品などを輸入しており、日本企業の進出や、港湾・空港機能の拡張が積極的に行われている。また、日本製品の流入で電気インフラ整備の発注が殺到している第三文明圏にて、日本と共同して発電所群の建設と人材育成を進めている。
しかし、第二文明圏の西に突如出現したグラ・バルカス帝国と戦争になり、圧倒的な軍事力を有する帝国軍に本土を侵略されたことで、日本に支援を要請、自衛隊の派遣を受ける。
漫画版では、建物や衣服をレトロフューチャー的なデザインにしている事が新たに設定されている。
神聖ミリシアル帝国
かつて全世界を支配していた「古の魔法帝国」の遺跡が国内に多数存在しており、これらを発掘・解析することで他国の追随を許さない高度な魔法技術を有している。自動車や「天の浮舟」と称されるジェット機を実用化しており、全体的に地球の1940年代から1960年代に相当する技術力を持っているほか、カラーテレビまで実用化している。
しかし所詮は遺跡の解析によるリバースエンジニアリングによって得た技術であるため、技術の本質を理解できていない感が否めず、ところどころ歪な発達をしている。同じ理由で、魔法を使わない科学技術に対する認識や理解は浅い。
日本との交流開始後は「古の魔法帝国」関連への研究調査や外交関連での協力を日本にしているほか、日本がルーンポリスに現地調査団事務所を設置し、各分野から派遣された人員によってミリシアルの調査をしている。また、後述のグラ・バルカス帝国との戦争では、第一・第二文明圏諸国とともに世界連合軍を結成して対峙するが、グラ・バルカス帝国の圧倒的軍事力を前に苦戦を強いられている。
エモール王国
竜種と意思疎通する技術を持ち、ガハラ神国と同じく風竜を使役できる。使役している風竜の個体数はガハラを上回るほか、竜人族の頑丈かつ強靭な肉体により常人には耐え切れない風竜の高速飛行による空気抵抗も耐えられるので、戦力的にはガハラ神国を上回る。しかしそれ故プライドが非常に高く、人間など魔力の低い別種族への差別意識が強い。
年に一回「空間の占い」と呼ばれる儀式を国儀で行っており、空間の神々に干渉することで98%の的中率を誇る。
レイフォル
複数の保護国や属領を有するが、保護国筆頭のパガンダ王国がグラ・バルカス帝国に強襲されて滅亡した際には皇帝が激昂。グラ・バルカス帝国と戦争になるも、首都に敵国の戦艦「グレードアトラスター」による艦砲射撃を受けて僅か5日で滅亡。列強の座から転落し、「グラ・バルカス帝国領レイフォル州」となる。
その他の主要国
グラ・バルカス帝国
転移当初は慎重に事を進めようと融和政策を取ったものの、この世界の各国に散々軽く扱われる。遂には、パガンダ王国に交渉に赴いた皇族が処刑された事で、堪忍袋の緒が切れて侵略路線に方針転換。パガンダ王国とその宗主国レイフォルを、それぞれわずか数日で滅ぼした。
なぜか兵器の意匠が旧日本軍のものと酷似しており、大和型戦艦や零式艦上戦闘機などに外観と性能が酷似した兵器類を有する。しかしその国力は第二次大戦末期のアメリカ合衆国に相当しており、世界一位の神聖ミリシアル帝国すらも凌駕している。
国際会議の場で全世界に宣戦布告し、列強第一位の神聖ミリシアル帝国率いる世界連合軍と激突。さらに植民地のレイフォルを経由してムー国本土に陸上侵攻したことで、日本とも衝突する事になる。日本のことも自国と同じ転移国家であると気付いているが、技術水準の大きな差と誤認識により、日本の実力をひどく過小評価している。
通称として「第八帝国」、「バルカス」とも呼ばれる。
アニュンリール皇国
しかし衛星写真により、本土には神聖ミリシアル帝国などに匹敵する発展した大都市や、ミリシアルの魔導戦艦と同クラスの戦艦など、高度な文明と技術を有することが日本に確認されている。
リーム王国
パーパルディア皇国が日本との戦争で劣勢に立たされた時、それに乗ずる形で参戦。新たな領土を手に入れようと画策するが失敗。新兵器の威力を確認する成果を得ただけで終わった。
パンドーラ大魔法公国
高度な魔導技術と軍事力を持つが、実権はパーパルディア皇国に握られている。
マギカライヒ共同体
ムーから入手した機械技術を魔導技術と融合させた「魔導機械工学」という科魔融合の複合文明を発達させ、高度な技術を築いている。機械技術のある日本にも興味をもち、国交樹立前から交流している。
ニグラート連合
長い年月の間にムーとの対立関係は無くなったため、連合を維持する理由はもう無いのだが、逆に解消する理由も無いためそのままとなっている。竜母やワイバーンロードなど列強相当の軍事力も多数保有しているが、最近ではグラ・バルカス帝国の台頭に危機感を抱き、ムーとの合併案も出ている。
イルネティア王国
トルキア王国
アガルタ法国
個人単位での魔法技術が発達しているため、遺跡解析に重点を置く神聖ミリシアル帝国とは対照的に人材育成に力を入れている。実用性が低いのでやる者は少ないが、熟練した魔導師は箒で空を飛ぶなどの芸当も可能。
主に水産業や魔石の採掘によって成り立っており、最近は農業生産も活発化している。
中央法王国
しかし魔導工学には力を入れていないため魔信が普及しておらず、他国との連絡には少し手間取っている。
カルアミーク王国
書籍版では日本と国交を結んだことだけが3巻で語られており、直接登場はしないが、Web版では日本とカルアミーク王国の接触が外伝「竜の伝説」という形で描かれている。
エスペラント王国
魔獣との長きに渡る戦いにより小国ながらパーパルディア皇国に匹敵するほど技術力を発達させており、科学技術由来の蒸気機関や銃器などを実用化している。また魔獣の侵入を防ぐため国土の周囲を壁で覆っている。
カルアミーク王国と同じく外界の存在を認識しておらず、外界の国々からも知覚されていなかったが、日本の打ち上げた人工衛星によって発見された。
トーパ王国で魔王ノスグーラが討伐された後、魔獣の活動が活発化したことで国家滅亡の危機に陥っていたが、日本から飛来した1機の墜落機と、墜落から唯一生還した1人の自衛官によって運命が変わる事になる。
その他の国
古の魔法帝国
日本が転移する数万年前に存在していた国家で、国民全てがどの種族よりも遥かに高い魔力と高度な知識を有するが、その圧倒的な力によって他種族を見下し、全世界を支配下に置いていた。しかしあまりに傲慢だったため、ついには神々に弓を引き、怒った神々によって自国の存在するラティストア大陸に星を落とされた。これに対して隕石落下から逃れるため自国領土に結界を張り、ラティストア大陸ごと未来に転移したと言われており、日本が転移してきた時点では世界各所にその遺跡が点在するのみで存在しない。
インフィドラグーン
この際に竜人族は世界中に四散したが、魔帝の転移後に再び集った竜人族が国を作り、これが現在の世界第三位の列強エモール王国となる。
アトランティス
もともとは大陸全体が赤道付近に位置していたが、ムー転移後に地球の地軸がずれたらしく、環境が南極と化したことで崩壊したのではないかと作中で推測されている。このため現代には存在せず、転移前の日本でも、ムーとともに都市伝説の一種として語られていた。作中ではその存在が語られたのみで登場はしない。
この他にも文明国・文明圏外国含めて多数の国家が存在しており、作中で国名が出されていない国家も無数にある。
主な登場人物
日本国
外務省
田中一久
朝田泰司
島田
御園
柳田 - 中井
防衛省・自衛隊
大内田和樹
百田太郎
天野
岡真司
海原
三浦
樋口浩介
その他
瀬戸衛
青木
クワ・トイネ公国
マールパティマ
イーネ
カナタ
リンスイ
ヤゴウ - ハンキ
ブルーアイ
ロウリア王国
ハーク・ロウリア34世
赤目のジョーヴ
フェン王国
トーパ王国
ガイ
モア
アルタラス王国
ターラ14世
ルミエス
王国の王女。2巻表紙中央の人物。漫画版では長い青髪をしている。
父であるターラ14世により偽装商船で王国から脱出。途中で海賊に襲撃されてしまい、戦闘中に受けた矢に塗られていたサソリ毒で意識不明の重体に陥るも、海上保安庁の巡視船に救助された後、治療を受けて無事全快。
その後は祖国がパーパルディアに攻め滅ぼされたため亡国の王女となり、日本に亡命。クワ・トイネ公国からの留学生という立場を与えられ、後に日本からの協力を得て亡命政府を樹立。女王となってアルタラス王国の再独立に動く。祖国を滅ぼしたパーパルディア皇国を、当然ひどく憎んでおり、「悪魔のような国」とまで表現している。
後に日本側の思惑に乗り、魔信を通じてパーパルディア軍の惨敗を世界に公表。パーパルディア属領の住民に反乱をうながす。それが実質的なとどめとなり、パーパルディア皇国は国そのものが崩壊。没落して列強の座から転落した。
パーパルディア皇国
ルディアス
レミール
パーパルディア皇国の皇族で、外務局監査室に所属する銀髪の美女。3巻表紙の人物。
皇帝ルディアスに特別な感情を抱いており、ルディアスの傍らで、世界の支配者の妃・世界の女王となることを夢見ていた。
外務局監査室の人間として各外務局の不手際を監視しており、文明圏外国相手の外交では時に相手国の国民をみせしめとして処刑する狂犬。日本に対して弱腰ととれる対応をする第3外務局長カイオスに代わり、日本との交渉を担当。日本に自国への絶対的隷属を要求し、拒否されると、日本人観光客200名の処刑を命ずる。
この「日本人観光客虐殺事件」を起こしたことが命取りとなり、祖国の敗戦後、すべてを失って破滅。犯罪者として日本に引き渡された。
エルト
カイオス
文明圏外国との外交を専門とする第3外務局の局長。
皇国の人間で最初に日本との外交を担当することになった人物。他国への懲罰攻撃を行う皇国観察軍の指揮権を有しており、このためフェン王国への懲罰攻撃に派遣された観察軍を破った日本に警戒心を抱いている。しかし、それが理由で外務局監査室所属の皇族レミールに「弱腰外交」と見做されて日本との交渉役を外されてしまう。
属領と属国の疲弊や、統治機構の腐敗など、以前から皇国の問題には頭を抱えている。かつての部下であるエルトに対してはその手腕を認めつつも、自身よりも高位な第1外務局長の座に未練を残している。
貿易商とのつながりも強く、日本との交渉役がレミールに移った後も貿易商などの民間経由で日本についての調査を続け、やがて皇国政府の中で一番早く日本とパーパルディア皇国の隔絶した差を把握。それが結果として、祖国を滅亡から救うことになる。
アルデ
ポクトアール
レクマイア
カスト
ムー
マイラス・ルクレール
ムー国の技術士官。所属はムー統括軍情報通信部情報分析課。
若くしてムー国随一の技術士官と言われている優秀な人物。日本から御園外交官らが国交締結の交渉にムーへ訪れた際、日本の技術水準調査をムー外務省から依頼され、御園外交官らの案内役を務めつつ日本の技術水準を探ることになる。その途中で日本がムーと同じ地球からの転移国家であることを知る。
その後、日本とパーパルディア皇国が戦争になった際は後述のラッサンとともに日本側に観戦武官として派遣。日本と自国のあまりに隔絶した技術力の差を知るが、それでもなお積極的に日本の技術を学ぼうとしたため、ムーきっての日本通になる。
当初の階級は尉官だったが、中央暦1643年5月時点(書籍6巻)では少佐に昇進。技術系ながら史上最年少で佐官階級に昇進しており、昇進とともに技術将校となって軍備総監部へ異動している。
ラッサン・デヴリン
ミニラル
神聖ミリシアル帝国
ライドルカ・オリフェント
グラ・バルカス帝国
グラルークス
グラ・カバル
シエリア・オウドウィン
ダラス・クレイモンド
ゲスタ
カイザル・ローランド
ミレケネス
アルカイド
フラグストン
メイナード
オスニエル
アストル・ヒースコード
ガオグゲル・キンリーバレッジ
ボーグ・フラッツ
その他の国々
スサノウ
ハキ
エイテス
ビーリー・マックウェル
ライカ
イルネティア王国に住む17歳の少女。
10年前に黒い幼竜を助けたところ懐かれてしまい、王国建国以来初めて風竜を使役したと話題になった。以来、幼竜を「イルクス」と名付けて無二の親友となるが、イルクスが成長するにつれて額に紋様が現れたことから、イルクスが風竜ではなく神竜の幼体であると気が付いている。
王国にグラ・バルカス帝国侵攻の脅威が近づいた際、一度は戦いを拒否するものの、侵攻に際して王都が爆撃されるのを見たイルクスが憤ったことで参戦。3機の帝国軍機を撃墜する戦果を上げたが、多勢に無勢で最終的に被撃墜された。しかし直撃弾をイルクスが庇ったことで生還し、瀕死のイルクスを必死で看病することになる。その後は不明。
モーリアウル
ファルタス・ラ・バーン
中央法王国の海軍提督。
国一番の大魔導師で、古代禁術火炎閃光魔法『イクシオンレーザー』の使い手。神聖ミリシアル帝国を中核とする世界連合軍とグラ・バルカス帝国軍が激突したバルチスタ沖大海戦にて、2隻の大魔導艦を率いて参戦したが、魔法を使う暇もなく爆撃で乗艦を撃沈された。
小説5巻特典では、海戦後に救助されてマギカライヒ共同体の日系病院に担ぎ込まれている。身体が回復してきた1週間後、マギカライヒから要請され、国内に現れた怪物の駆除現場へ赴く。その際に怪物が古の魔法帝国製の生体兵器であると気が付き、同じくマギカライヒからの要請で派遣された百田太郎二尉の率いる陸上自衛隊部隊とともに、古の魔法帝国製の生体兵器と交戦する。
カール・クランチ
勇者一行
神話の時代、魔王軍がグラメウス大陸に撤退してから1年後、魔王ノスグーラを討伐すべく組織された討伐隊の中で特に強者の4人。自らの命と引き換えに魔王を封印した。本編開始時点では全員故人で、神話などに登場するのみだが、本編開始前を描いた外伝1巻で主要人物として登場する。
エスペラント王国
主に外伝2巻の登場人物。
サフィーネ
ジャスティード
ザビル
セイ
ザメンホフ27世
世界観
新世界
しかし惑星の直径が大きい影響で水平線の位置が地球よりも遠くなっており、さらに宇宙ロケットの打上げ重量が大幅に低下するなどの問題が起きている。また、魔法や竜などの地球に存在しないものが存在しているほか、書籍1巻特典によると月が2つある。
国家間の格差も大きく、新世界には特に影響力の大きい「列強」と呼ばれる5ヶ国(五大列強)と、列強の影響圏内にある「文明圏」と呼ばれる地域が3つある(三大文明圏)。列強と呼ばれる国々の中には、地球で20世紀の大国に相当する技術力と国力を有し、航空機やテレビを普及させている国もあるのに対し、文明圏の外に位置する国々「文明圏外国」では地球の中世程度の技術力しか持たない国も多い。
作中でこの世界は単純に「異世界」「異界」とも呼ばれており、反対に転移前の世界(地球)は「旧世界」「前世界」と呼称している。
大陸・海洋・地域名
大東洋
しかし後に日本が打ち上げた偵察衛星の調査で1万2,000キロ先に陸地が確認されたほか、日本から北東に約3,000㎞の位置に文明を有する島が確認されている。日本転移前には集落のある小規模な群島も存在していたようだが、こちらは日本転移後にどこかへ消失している。
また、台風が発生するなどしており、転移後の日本では気候の大規模な変動は起きずに済んでいる。
ロデニウス大陸
フィルアデス大陸
グラメウス大陸
外伝1巻後半と外伝2巻ではこの大陸が主な舞台となる。
東方世界
中央世界
ムー大陸
ムーをはじめ、列強第五位のレイフォルや、ニグラート連合、マギカライヒ共同体等の準列強クラスの国々が複数存在している。
南方世界
西方世界
列強・文明圏・文明圏外国
五大列強(列強国)
列強内でもミリシアルやムーはテレビ放送や航空機を普及させるだけの国力があるのに対し、パーパルディアやレイフォルは産業革命直前の技術力しかなく、主戦力も未だ戦列艦やワイバーンの改良型だったりと、国によって技術力や国力に格差が存在している。
三大文明圏
ただし列強と同じく、文明圏間や国家間では発展や技術の度合いには大きな差があるほか、パーパルディア皇国の支配する第三文明圏のように事実上の属領・植民地地域となる場合もある。
いずれの文明圏も日本から見て西側に存在する。
第一文明圏
第二文明圏
第三文明圏
その他
ラティストア大陸
ユグド
用語
生物
竜・龍
ワイバーン
世界中に棲息し、運用も簡単なため文明圏内外各国の多くの軍隊で航空戦力として使用されている。このため文明水準に反して対空兵器や早期警戒網の開発が発達している国家が多く、「竜騎士団」「飛竜隊」の名称で事実上の空軍を組織している国も多い。日本でも暴力団が密輸して国内での抗争に使用したが、これにより日本では竜種を個人で飼うことが法律で禁止され、違反した場合は10年以上の懲役が科せられる。
ワイバーンロード
最大速度は350km/hに強化され、全体的にも身体が大きくなっている。文明圏外では、大軍を投入してワイバーンロード1騎の撃墜に成功すれば大戦果扱いになるとされるほど強力な存在。しかし品種改良に伴い生殖機能を喪失しており、一代限りであるためコストが高い。主にパーパルディア皇国や第二文明圏の文明国が運用している。
漫画版では「飛竜〈改〉」とも呼称される。
ワイバーンオーバーロード
パーパルディア皇国により、ムー国の戦闘機マリンに対抗すべく開発された。性能強化と引き換えにワイバーンロードの三倍に及ぶ製造費が必要になるため、現状ではパーパルディア皇国しか運用できていない。さらに高速すぎて竜騎士の肉体が風圧に耐え切れないため、新しい鞍の開発に苦労している。
漫画版では「飛竜〈超〉」とも呼称される。
風竜
しかし使役が難しく、風竜と意思疎通が可能なエモール王国やガハラ神国などの国家を除き、航空戦力としてはワイバーンと異なってほとんど運用されていない。風竜のさらに上位の存在として、南方世界に棲息する雷竜という属性竜が存在するが、こちらは竜人族ですら手なずけるのが困難。
地竜
パーパルディア皇国皇軍が使役・運用している。ワイバーンと異なり面制圧が可能な火炎放射が出来るほか、弓矢を弾く強靭な鱗を持つ。
魔導砲や荷物をけん引して運搬したり、戦車のような運用もされるほか、漫画版では兵員輸送の用途にも使われている。陸戦兵器としては非常に強力で、この竜を飼育し使役する方法を確立したことが、パーパルディア皇国を第三文明圏の覇者に押し上げる最大の要因となったと評されるほど。
赤竜
もともとグラメウス大陸に棲息していた竜で、魔王ノスグーラに使役されている。しかし魔王軍がトーパ王国に再侵攻した際は戦力保持のため魔王に置いて行かれたため、大きな出番はない。
外伝1巻にも登場しており、これと交戦した「太陽神の使い」は赤竜の能力を前に撃破を見送っている。
神竜
滅多に人前に姿を見せないが、非常に知能が高く、念話により人間ともコミュニケーションできる。また、成長とともに頭に紋章が現れる。一部の個体を除いて作中には登場せず、巻末の用語集や登場人物らの台詞でその存在が語られるのみとなっている。作中ではヴェティル=ドレーキの幼竜が登場する。
その他の竜
基本的にいずれも本編で登場する機会は少なく、もっぱら用語集や登場人物らの台詞で存在が語られるのみとなっている。
魔物
魔力を持った生物の総称。ゴブリンをはじめ、オーク、オーガ、リビングデッドなどさまざまな種類が存在する。基本的に知性は持たず、人類を襲って捕食する性質がある。しかしゴブリンのように片言ながら会話が出来る者もいるため、日本ではゴブリンに基本的人権を適用するか害獣扱いするかで議論されている。
グラメウス大陸など世界中に存在し、このうち獣型のものは魔獣、海中に棲むものは海魔と呼ばれるほか、呼ばれる高い知能を持つ魔族という存在もいる。
ゴブリン
ゴブリンロードやゴブリンキングと呼ばれる格上の個体もおり、こちらは人間の騎士と互角に戦える。
オーク
オークキングと呼ばれる格上個体もおり、こちらはオークより二回り巨大な身体と人間を遥かに超越する怪力、魔獣を指揮できるだけの知能を持つ。
魔王ノスグーラ
かつて神話の時代にグラメウス大陸から出現し、魔物を従えて魔王軍を結成。人類の領域に南侵して人類を追い詰めたものの、突如現れた「太陽神の使い」の活躍で撤退。その後、グラメウス大陸に遠征した4人の勇者たちによって1万年以上に渡り封印された。しかし日本転移後に復活し、魔王軍を従えて再びトーパ王国に侵攻する。
その正体は古の魔法帝国が作った生体兵器で、魔帝転移後の人類が力を付ける事を阻害し、無力な存在のままにしておくことを目的に作られた。
オーガ
数は全部で4体しかおらず、個体ごとに体色が異なり、それぞれレッドオーガ、ブルーオーガ、イエローオーガ、ホワイトオーガと色ごとの名を付けて呼ばれる。魔王と同じく古の魔法帝国によって生み出された。
百足蛇
火喰い鳥(レッドホーク)
遠い昔から使役されており、ワイバーンの使役技術が確立する前は航空戦力としても利用されていた。しかしワイバーンに性能が劣るため、現在では航空戦力として使用することはあまり無くなっている。
大型火喰い鳥(スーパーレッドホーク)
ゴウルアス
魔力量が凄まじく、角からは雷属性の衝撃波を伴う爆裂魔法、口からは導力火炎弾と同じ速度の火属性の爆裂魔法を放つ。しかし耐久力は低く、小銃のライフル弾でも撃破可能。
その正体は魔王ノスグーラと同じく古の魔法帝国が作り出した生体兵器で、魔王軍による最初の侵攻などに際して魔王軍戦力として投入される。主に外伝に登場する。
海魔
その他の魔物
その他
陸鳥
登場する機会が少なく、巻末用語集にも説明がないので、どのような生物か不明。
種族
人間
人々を束ねる能力に長け、平原を住処として燃料を得るために森を刈る習性を持つ。他の種族同様に魔力を有する。
地球やグラ・バルカス帝国の人々も人間だが、グラ・バルカスの人間は魔力を少なからず持つのに対し、地球の人間は魔力を一切持たない。このため地球人は魔力を探知する魔法や装置に反応しない一方、魔法を使う事も出来ない。
エルフ
ハイエルフ
町エルフ
ドワーフ
獣人
竜人
鬼人
有翼人
魔族
光翼人
魔法・技術等
魔法
呪文の詠唱や、魔法陣、魔術回路、魔導具、魔石の使用などによって発動される。物理法則下では観測できないため科学の領域では解明が出来ていない。使用には熟練が必要とされ、年月の経過で失われた古代魔法も数多い。道具や機械などの補助で発動するものは「魔導」と呼ばれており、魔導で動く機械は魔導具や魔法具と呼ばれる。こちらは魔力のない者でも扱える。
魔素
主に魔法の発動に際して使用され、魔導師や魔導具などで魔法現象に変換されるか、あるいは魔石などにより魔力として放出される事で魔法を発動する。また、四元素(火・水・風・地)のような分別があり、それに応じて様々な配合を行うことで多種多様な効果の魔法を起こせる。
日本でも高エネルギー加速器研究機構などが解析をしているが、魔素が従来の物理法則に則らないため解析は難航している。
魔力
人や生物によって魔力を持つ量は異なり、魔力の量はそのまま「魔力量」と呼ばれる。
魔導師
魔法士の中で特に剣術に優れる者は『魔法剣士』という特位階級が与えられる。
魔石
魔力を持った生き物の死骸が化石化して出来る。魔素を魔力として放出する効果があり、魔導機関の燃料などに使われる。ケイ素型のもの、金属状のもの、液状のもの、さらにガス状のものまで存在する。地球における化石燃料と同様に戦略的価値が高い。
風神の涙
魔信
神聖ミリシアル帝国ではこれを発展させ、カラーテレビ放送を実現している。パーパルディア皇国も音声付きの白黒テレビ放送を実現させたが、映像や音声の解像度はあまり高くない。転移後の日本でも巡視船などが他国艦船と交信するため搭載するようになっている。
魔写
魔力探知機
しかし日本やムーなどの科学技術主体で魔力を用いない兵器は探知することが出来ないため、ミリシアルは科学文明対策に「魔導電磁レーダー」という対物理用探知レーダーの実用化を急いでいる。
魔導船
パーパルディア皇国や大半の文明国で見られるように「風神の涙」と呼ばれる魔導具で風を起こして推進する帆船型なども存在すが、こちらは基本的に魔導船とは呼ばれない。
その他の用語
中央暦
大陸共通言語
この他にも様々な言語が存在するものの、この自動翻訳現象により日本と各国の人々の間で意思疎通の問題は起きていない。また、同様に別世界から転移してきたグラ・バルカス帝国の人々もこの自動翻訳現象の恩恵を受けている。
漫画版では「世界共通言語」となっている。
魔王軍
当時人類の各種族は種族間連合を結成して対抗したが、絶大な力を誇る魔王軍はこれを圧倒。ロデニウス大陸のエルフの神の住まう神森まで侵攻するも、突如現れた「太陽神の使い」に駆逐され、グラメウス大陸に逃げ帰った。その後、グラメウス大陸に遠征した4人の勇者たちが魔王ノスグーラを封印。1万年以上活動を止めていたが、日本転移後に魔王ノスグーラが復活したことで、再侵攻を行った。
太陽神の使い
ロウリア事変後の日本もリーン・ノウの森への調査を行ったが、その際に「神の船」として保管されているのが零式艦上戦闘機だったことが判明し、旧日本軍が新世界へと来ていた事が判明する。
新世界技術流出防止法
ムーなどの一部の国では緩和がされ始めているほか、魔信という形で高度な通信技術がすでに世界中で普及していることから、携帯電話、電話通信網、テレビ放送の技術などは積極的に輸出されている。ただし、より高度なインターネット技術の輸出は行われていない。
先進11ヵ国会議
なお、会議では各国が威信をかけ、使者の護衛を名目に最新の軍艦を艦隊ごと開催地のカルトアルパスに送るため、国際的な砲艦外交の場と化している。
日本も神聖ミリシアル帝国から招待される形で参加し、パーパルディア皇国との戦争から1年半後の中央暦1642年の会議に参加することになる。
登場兵器等(日本)
実在
詳細は、各項目のリンクを参照の事。
陸上装備
車輌
車輌
火砲・誘導弾
火器
艦船
海上自衛隊
海上自衛隊
海上保安庁
海上保安庁
その他
その他
艦船装備
海上自衛隊
海上自衛隊
海上保安庁
海上保安庁
固定翼機
航空自衛隊
航空自衛隊
海上自衛隊
海上自衛隊
その他
その他
回転翼機
陸上自衛隊
陸上自衛隊
海上自衛隊
海上自衛隊
海上保安庁
海上保安庁
航空機装備
航空自衛隊
航空自衛隊
陸上自衛隊
陸上自衛隊
その他
ちなみに本編中で描写はないが、編集担当の髙松良次のツイートによると、アメリカ合衆国などの海外から輸入していた輸入品の防衛装備は転移に伴う輸入断絶で導入が不可能となったため、日本政府は在庫品を元にこれら輸入防衛装備の全性能の解析に踏み切っている。これは転移後の日本が防衛装備を自前でまかなう必要が出てきた事と、転移によりライセンスなどの制約が無くなったためで、当面は在庫を使用しつつも急ピッチで代替の電子制御部品を開発するなどして生産を行っている。
国内で生産できる対艦誘導弾等はロウリア事変などの武力紛争後に増産が行われており、パーパルディア戦後は精密誘導兵器の不足を痛感し、積極的に誘導兵器の開発と量産も進められたほか、高性能20mm機関砲に対ワイバーンを想定したチューニングが行われたり、FCS-2の計算用数値を新世界の環境に合わせてアップデートするといった改修が行われている。
また、転移後(つまり西暦2015年1月以降)に配備や装備された防衛装備は、例えば護衛艦「かが」のように国産のものであれば作中年月の経過とともに登場するが、F-35戦闘機やV-22オスプレイなどの海外のものについては登場していない。漫画版では転移時期が明かされていないためか、西暦2019年度導入の海外装備であるB-777-300ER日本国政府専用機も登場している。
架空
BP-3C
日本の転移後、異世界諸国と日本の技術格差による最新兵器の非効率化が問題視されたことで、防衛省は「航空機の多目的運用に関する構想」を立案。その一環でP-3CとP-1の爆装化案が進められ、爆装化のため主翼下に複数のMk82通常爆弾を搭載可能なパイロンの設置とそれらを動作させるプログラムが開発された。
ロウリア事変後には大きな問題も無く試作段階に到達し、運用試験が始められていたが、パーパルディア皇国との戦争が起きたことで急遽実戦配備され、P-3Cのうち70機がBP-3Cに改修。各機約9トンの爆装をした上でパーパルディア本土への空爆作戦に参加している。
新型多目的誘導弾(RMPM)
もとは陸上自衛隊の中距離多目的誘導弾で、これを対艦目的で使用するためにロケット補助推進器を追加し、射程を40㎞まで延伸、50発まで装填可能な大型発射器に収めている。
転移後しばらくして防衛装備庁が輸出用に技術流出防止法対策として議論していたものであり、ロケット補助推進器はパーパルディア皇国との戦争中から開発が開始された。後述の18式近距離艦対空誘導弾とともに急遽実用化され、後述するムー国の改造戦艦「ラ・カサミ改」に搭載されて使用される。
18式近距離艦対空誘導弾
もとは陸上自衛隊の93式近距離地対空誘導弾で、車載型のものを発射器とともに艦載型へと改良している。
前述の新型多目的誘導弾とともに急遽実用化され、ムー国の改造戦艦「ラ・カサミ改」に搭載されて使用される。
52口径155mm三連装砲
もとは陸上自衛隊の99式自走155mmりゅう弾砲の砲身と自動装填装置を流用したもので、これを複合装甲で防護した新規開発の砲塔に三連装で搭載している。弾種には通常の榴弾やベースブリード弾、新規開発の対艦用HEAT弾、さらにクラスター弾らしきものが用意されている。
ある目的で使うために砲安定装置も含め大急ぎで開発され、前述の新型多目的誘導弾、急造18式近距離艦対空誘導弾とともに実用化、ムー国の改造戦艦「ラ・カサミ改」に搭載されて艦上で使用される。
試作衛星単一通信携帯局装置(JPRC-PC2)
転移によって日本は全ての人工衛星を喪失し、陸上自衛隊はXバンド帯で衛星中継を行う通信機材が使えなくなったため、衛星単一通信可搬局装置 JMRC-C4を突貫で改良、転移後に打ち上げられたレーダー衛星の通信回線に割り込み衛星通信を行う形で開発された。
中隊規模でも運用できるように小型化されているが、その代償に文章などの小量のデータしか送信できない上、バッテリー小型化の代償として通信可能時間が極端に短く、通信時には衛星の見える範囲や角度を慎重に調整しなければならないなど、試作品としての域を出ていない。
なお、Xバンド帯の通信を中継するXバンド防衛通信衛星「きらめき」は、惑星が地球より大きいため、当初予定の倍にあたる10基を中央暦1641年(西暦2017年)以降に打上げ予定。
不整地離着陸対応改修キット
航空自衛隊のC-2輸送機に装着することでC-2に不整地離着陸能力を付与するもので、転移前の日本がC-2の海外輸出を秘密裏に検討していた頃から開発された。ロウリア事変後はC-2と共に納品が急がれている。
人工衛星により、人類未開の地とされるグラメウス大陸で文明の痕跡が発見されたことを受け、グラメウス大陸への調査隊派遣が決定した際には、調査隊を輸送するC-2の量産初号機に本改修キットが組み込まれた。
史実のC-2は不整地での運用能力は要求されなかったが、強度上では運用可能とされており、外伝2巻が刊行された2ヶ月後の2020年3月に非舗装滑走路で地上走行試験、10月に地上滑走試験、11月に離着陸試験が行われている。
H3ロケット
現実のH3ロケットと異なり、日本が地球より大きい惑星に転移したことで打ち上げ重量の大幅低下という問題が発生し、元のH3ロケットからエンジン基数と燃料を増加させる等の設計変更をしたことでファルコンヘビーのように大型化した。しかし、一定高度を過ぎると重力加速度が弱まることが後に判明し、結果的にH3ロケットの実用化で打ち上げペイロードが増加する予定になっている。中央暦1643年(西暦2019年)時点では実証実験中。
全高75m、ロケット本体は2段もしくは3段式。JAXAと重工大手2社が共同開発した新型エンジンLE-12を1段目に5基、液体燃料ブースターを6機備え、2段目にLE-7Aを1基搭載する。3段の場合はLE-9を9基使うことを想定している。
大型無人宇宙往還機
宇宙空間の物体をサンプルリターンすることも主眼に置かれていたため、宇宙ステーションのロボットアーム技術を応用した遠隔操作によるロボットアームを搭載している。中央暦1644年(西暦2020年)に前述のH3ロケットによる打ち上げを予定している。
登場兵器等(異世界)
各国共通
軍船
ロウリア王国を筆頭にクワ・トイネ公国やフェン王国などの文明圏外国で運用されている。バリスタなどによる火矢を用いた遠距離攻撃と、相手船に横付けして水夫らを白兵戦のため切り込ませる移乗攻撃を攻撃手段としている。
白兵戦前提なので戦闘距離は非常に短く、さらに防御力も矢避けの盾を並べて搭載するくらいで、機動性も帆に風を受けて進むだけなので巡航速度5ノットと鈍足であり、戦列艦などの格上相手には全く歯が立たない。
戦列艦
パーパルディア皇国、レイフォルなどの列強国を筆頭に、各地の文明圏内国と一部の文明圏外国の海軍にて運用されている。地球のものと異なり魔導砲で武装しており、文明圏外国が運用する移乗攻撃前提の木造軍船を圧倒できる能力を持つほか、魔導具「風神の涙」により地球の戦列艦を上回る巨体・重装甲・機動性を誇る。しかし性能的にはミリシアルやムーの戦艦に大きく劣っている。魔導砲や風神の涙を装備する魔法文明のものは魔導戦列艦とも呼ばれ、マギカライヒ共同体や、かつてムーが運用していた科学技術を用いたものは機甲戦列艦と呼ばれる。
竜母
ワイバーンなどの飛竜を洋上で運用する飛行甲板と格納庫を有した航空母艦で、大抵は船体が木造帆船となっている。主にパーパルディア皇国が戦列艦とともに海上戦力の主力として運用しているほか、第一・第二文明圏内の一部文明国海軍でも運用されている。戦列艦と異なり文明圏外国ではほとんど運用されていない。
魔導砲
前装砲型にも様々な種類があり、主にアルタラス王国などが使用する射程1㎞の球形砲弾を放つ旧式のものと、主にパーパルディア皇国が使用する射程2kmほどの炸裂砲弾を放つもの、漫画版ではさらに迫撃砲型や臼砲型などが存在する。
ミリシアルでは砲身に魔法陣の代わりとなる魔術回路を組み込むことで魔法陣を展開させず、被発見性を抑えているほか、さらにエネルギー弾を連射する「魔光砲」も実用化しており、こちらは対空機関砲などの用途で運用されている。
文明圏外国
伝説の盾
しかし地震で蔵が崩壊しても盾自体が無傷だったことから、妻から押し付けられる形でスワウロが日本の陸上自衛隊との戦闘に際して装備した。戦闘では自衛隊の90式戦車の機関銃を弾き返す性能を見せる。
風神の矢
魔石が大量に使用されているため費用対効果は絶句するほど悪く、魔石産出国たるアルタラス王国の財力あってこそとされる。
神聖ミリシアル帝国
天の浮舟
魔法を原動力とするジェット機に類似した航空機。魔石を燃料に使う「魔光呪発式空気圧縮放射エンジン」という推進器で推力を得て飛翔するが、材質や燃料に魔石を使用すること以外は基本的に科学技術で作られたものとさして変わらない。かつて古の魔法帝国が実用化して運用したとされており、現在は神聖ミリシアル帝国のみが魔帝の遺跡から発掘した技術を分析する形で実用化したとされる。しかしミリシアルの科学技術への理解不足から、バイパス比が滅茶苦茶だったり非合理的な設計のために本来の性能を発揮できていないとされる。
エルペシオ
最新型はエルペシオ3。魔帝の遺跡から発掘した機体をベースに作られたジェット戦闘機で、ムーの戦闘機やワイバーンを圧倒する速度性を有する。しかしミリシアルの技術不足により非合理的な設計が多く、ジェット戦闘機でありながら非常に低い性能しか出せていない。
ジグラント
最新型は急降下爆撃を重視して爆撃性能を強化したジグラント3で、前型のジグラント2も運用されている。最大速度はジグラント2で510㎞/h。主な役割は爆撃による対艦攻撃任務などであるが、戦闘爆撃機として空中戦も行うことが出来る。しかしエルペシオと同じく非合理的設計により性能は非常に低い。
ゲルニカ35型
航続距離4,200km、巡航速度310km/h。テーパー翼にタマゴ型のエンジンを2発搭載するほか、機内の圧力調整に風神の涙を使用して快適性を確保している。民間だけでなく空軍でも輸送機として運用されている。
魔導艦
ミリシアル海軍の魔導艦は船体に特殊な金属を含んでおり、船体に魔力を注入することで装甲を強化できる。また、注入する魔力の属性を変化させることで防御効果も変化させられる。一方で強化されない場合は戦艦であっても20cm砲クラスの艦砲である程度の被害を被ってしまうほど防御性能が低く、また戦術思想の遅れから魚雷及び対潜水艦装備が存在しない(そのため、地球における駆逐艦クラスの艦艇は「小型艦」と呼称される)。なお、魔導艦の艦級は船体に含まれた金属素材で決定されるため、ネームシップの概念はない。
ミスリル級魔導戦艦
最大射程34㎞の霊式38.1cm三連装魔導砲2基6門を前部に集中配備しているほか、多数の対空用魔光砲を装備しており、魔力探知レーダーによる簡易的なレーダー照準射撃も可能。
作中では第零式魔導艦隊旗艦の同型艦「コールブランド」と同艦隊所属の「クラレント」が、艦隊と共にマグドラ群島沖で訓練中にグラ・バルカス帝国海軍東征艦隊の襲撃を受けこれと交戦する。またバルチスタ沖大海戦では第1魔導艦隊旗艦の「カレドヴルフ」が、別働隊として編成されたミリシアル海軍魔導連合艦隊の旗艦としてグラ・バルカス帝国海軍と交戦する。
ゴールド級魔導戦艦
作中では第零式魔導艦隊所属の同型艦「ガラティーン」がグラ・バルカス帝国海軍東征艦隊と交戦するほか、第1魔導艦隊所属の「ティソン」がバルチスタ沖大海戦に参加する。
マーキュリー級魔導戦艦
作中では同型艦「ベガルタ」が世界連合艦隊に属するミリシアル海軍地方隊旗艦としてバルチスタ沖大海戦に参加、グラ・バルカス帝国海軍と交戦する。
ロデオス級航空魔導母艦
艦自体は双胴艦で、中央にアイランド式の上部構造物と20.3センチ霊式魔導砲と10.2センチ連装魔導砲を各1基、その他に多数の対空魔光砲を装備している。最大速力は25kt。左右の船体に幅23mの全通式飛行甲板を2基備えており、エルぺシオ及びジグラントを最大56機まで運用することが可能である。燃費や旋回性能は劣悪で長距離航行の際には補給艦の随伴を必要としており、艦・艦載機双方の性能の低さも相まってジェット機対応空母としては性能が低い。
作中では「シェキナー」を始めとした6隻がバルチスタ沖大海戦において別働隊に参加する。
ムー
マリン
最大速度380km/h、武装は7.92mm機関銃2丁。空中戦ではワイバーンロードを凌ぐ空戦性能を誇り、パーパルディア皇国がワイバーンオーバーロードを開発するきっかけになったとされる。空母艦上機型も存在しており、ムー海軍のラ・コスタ級航空母艦やそのマイナーチェンジ版であるラ・ヴァニア級航空母艦(搭載機数30機)などに搭載されている。
名称及び性能は不明だが、書籍6巻ではマリンより旧式の戦闘機や爆撃機も登場している。
ラ・カオス
巡航速280km/h、最大航続距離7,000km。機体には4発のレシプロエンジンを搭載しており最大36人を収容できる。ムーでは最大の航続力を持ち、空軍でも長距離輸送機として使用されている。なお航続距離を最大にする際は搭乗者数を10人に、巡航速度を220km/hに制限する必要がある。ムー本土から日本に飛行する際はこれでも航続距離が不足するため、ムーが各地に建設した連絡用空港で最低3回給油しなければならない。
漫画版ウェブ連載版での外観はhandley page h.p.42/45に似ている。
ラ・カサミ級戦艦
主砲30.5cm連装2基4門、最大速力18kt。地球水準の前弩級戦艦に相当する艦で、外観と性能は日本海海戦で活躍した日本の戦艦「三笠」に似ているとされる。ただしディーゼル機関を搭載している。
戦列艦や木造軍船に対しては圧倒的に優越した性能を誇るが、第二次大戦時相当のグラ・バルカス海軍戦艦に対しては大きく劣る。同型艦「ラ・エルド」はグラ・バルカス海軍との戦闘に備えて急遽対空用の20mm機銃を増設したが、空母艦載機の爆撃と巡洋艦の砲撃で大破する被害を受けている。
また、ネームシップである「ラ・カサミ」はグラ・バルカス海軍戦艦「グレードアトラスター」との戦闘で大破するが、修理を名目に日本のドックに運ばれて現代兵器の搭載を始めとする大改装を受け、「ラ・カサミ改」となる。
ラ・カサミ改
修理と改造に際して、主砲の後述装備への換装、エンジンの換装(ディーゼル機関からCOGOG方式のガスタービン機関)、船体延長、さらに新規兵装、能力を減じた射撃管制システム、対空レーダー、各種のテスト的な兵装の搭載がされている。ムーが日本からの部分的な技術支援を受けるために修理を依頼しており、本来なら新しい護衛艦を新造したほうが安上がりになるほどだったが、法律による規制を避けるため新造ではなく修理を名目とした改造がされた。CICも設けられているが、時間の都合上CICを新規に設置する余裕はなかったため、既存の露天艦橋を防弾仕様の壁と天井で覆ってCICの機能を兼ねるようにしている。
作中での装備は以下の通り。各装備の詳細は「登場兵器等(日本)」を参照の事。なお、これは第一次改修とされており、今後も改修が予定されている。
52口径155mm三連装砲:前部主砲搭載位置に搭載。
54口径127mm単装速射砲:後部主砲搭載位置に搭載。
44口径120mm滑腔砲(10式戦車砲):副砲として前後両舷に装備。砲塔は10式戦車のものをそのまま流用している。
新型多目的誘導弾:100発を搭載。
18式近距離艦対空誘導弾
高性能20mm機関砲:4基搭載。
32.4cm3連装短魚雷発射管:2基搭載。
艦首魚雷発射管:53.3cm口径を2門装備。89式魚雷を使用。
22型105mmイレール砲 - 26型ガエタン70mm歩兵砲 - 18型6.5mm重機関銃
グラ・バルカス帝国陸軍によるムー国侵攻に際し、帝国軍の迎撃に使用される。しかし、帝国陸軍のハウンド中戦車を始めとする大規模な機甲戦力と、ムー陸軍砲兵の射程圏外から砲撃を行う重カノン砲により、ほぼ一方的に撃破されてしまった。
ガラッゾ350スポーツスター
350cc単気筒。元は民間用に販売されていたもので、レーサースタイルもラインナップされており、民間では競合他社の同クラスよりも人気を誇る。ムー陸軍のものはアップハンドルが装備されている。
グラ・バルカス帝国陸軍によるムー国侵攻に際して偵察部隊により使用された。
グラ・バルカス帝国
アンタレス型艦上戦闘機
最高速度550km/h、武装は20mm機関砲と7.7mm機関銃を各2基。旧日本海軍の零式艦上戦闘機と酷似しており、外見は五二型系統、性能は二一型に相当。ただしエンジン出力が大きく、パイロットと燃料タンク用の防弾装備を有しており防弾性能は零戦を上回っている。
海軍だけでなく陸軍航空隊も主力戦闘機として運用している。
リゲル型雷撃機
最高速度370km/h。性能は旧日本海軍の九七式艦上攻撃機に類似する。雷撃による対艦攻撃を主な任務としている。
シリウス型爆撃機
最高速度530km/h。急降下爆撃による攻撃を主な任務としており、陸軍航空隊でも使用されている。
海軍にはより高性能な「アルタイル」と呼ばれる艦上爆撃機が存在しており、また陸軍航空隊もより大型の双発爆撃機「ベガ」を運用している。
グレードアトラスター型戦艦
主砲45口径46cm砲3連装3基9門、最大速力30kt。旧日本海軍の大和型戦艦(後期型)に酷似しており、作中登場人物によると性能や内部構造までほぼ同じとの事だが、レーダー照準射撃が可能、対空砲弾には近接信管を装備、最大速力は30kt以上などの違いがある。現時点で同型艦はネームシップの戦艦「グレードアトラスター」1隻しか存在しない。
作中では列強第五位のレイフォルの戦列艦艦隊を単艦で撃滅。さらに首都レイフォリアを襲撃し、艦砲射撃で首都を火の海に変え、さらに皇帝を含むレイフォル首脳陣を殲滅。一隻で列強を滅ぼしたことで全世界にその名を馳せる。その後、グラバルカス帝国軍が神聖ミリシアル帝国率いる世界連合軍と激突したバルチスタ沖大海戦に連合艦隊旗艦として参加する。
ヘルクレス級戦艦
主砲45口径41cm砲連装4基8門、最大速力25.8kt。旧日本海軍の長門型戦艦に相当する。
海軍ではかつて連合艦隊旗艦を務めることが多かったが、航空母艦と潜水艦の有用性が認められ始めた事で戦艦は冷遇されつつあったため、転移前の戦争後期には「防御力が高く安全性の高い艦」として旗艦を任されていた面が強かったとされる。しかしそれに見合う強固な防御力を誇り、作中でもその防御力の高さを示している。
作中では連合艦隊第1打撃群旗艦の「ラス・アルゲティ」がバルチスタ沖大海戦に参加する。
オリオン級戦艦
主砲45口径35.6cm砲連装4基8門、最大速力30kt。旧日本海軍の金剛型戦艦に相当し、比較的高速で移動可能であるが、金剛型と違い対空砲火には近接信管付き砲弾を使用しているなどの面もある。一方で旧式艦艇(老朽艦とも)であり、作中では本国護衛艦隊や占領地護衛艦隊に配備されている。
作中では東征艦隊旗艦の「ベテルギウス」と同艦隊所属の「プロキオン」が、マグドラ群島沖でミリシアル海軍第零式魔導艦隊と交戦する。また、本国艦隊第52地方艦隊所属の「メイサ」が、ムーの首都オタハイトを攻撃するべく艦隊から分派された分遣隊を率いて行動中、オタハイト沖にてムー海軍首都防衛艦隊及び日本で大改装を受けて回航されてきた「ラ・カサミ改」と交戦する。
ぺガスス級航空母艦
旧日本海軍の翔鶴型航空母艦に酷似した艦で、前述のアンタレス型艦上戦闘機やリゲル型雷撃機、シリウス型爆撃機を運用しており、主に東部方面艦隊にその多くが配備されている。
作中ではフォーク海峡海戦やバルチスタ沖大海戦に参加した他、本国艦隊第52地方艦隊旗艦の「シェアト」がムーの商業都市マイカルを攻撃すべく本隊を率いて行動中、「ラ・カサミ改」の護衛としてムーに来航していた海上自衛隊第4護衛隊群と交戦する。
シータス級潜水艦
旧日本海軍の伊四百型潜水艦に相当し、二式水上戦闘機に似た試作水上戦闘機「アクルックス」を3機搭載して超長距離を航行できる。転移前の潜水艦黎明期に大量建造され、その圧倒的戦果から一時は戦艦不要論すら生み出したが、転移後は水上艦の活躍が増えたことから長距離偵察や秘密基地建設に駆り出されている。一方で黎明期に建造されたこともあって、潜水艦にとって重要とも言える静粛性などは非常に低い。
作中では第2潜水艦隊所属艦の「ミラ」が日本への通商破壊作戦への前段階として日本近海に派遣されるが、先述したように静粛性が非常に低いために海上自衛隊によって探知され、派遣されてきた護衛艦「たかなみ」と交戦する。また、同じく第2潜水艦隊所属艦の「バデン・カイトス」所属のアクルックスが、ムーへの航海中だった日本の自動車運搬船を襲撃する。
ハウンド中戦車
旧日本陸軍の九七式中戦車チハに外観と性能が酷似しており、57mm砲搭載の旧砲塔型に相当するハウンドI、47mm砲搭載の新砲塔型に相当するハウンドIIがある。グラ・バルカス帝国陸軍第4機甲師団などに配備。
また、同じく旧日本陸軍の九五式軽戦車に外観と性能の酷似した軽戦車、2号戦車シェイファーIIも登場する。試験段階だが重戦車の研究開発も行われており、こちらは名前をワイルダーと設定される予定。
古の魔法帝国
誘導魔光弾
僕の星(しもべのほし)
空中戦艦パル・キマイラ
コア魔法
制作背景
作者は元々軍事技術に興味を持っており、自衛隊が登場する作品を書きたいと考えたことから本作は誕生した。また、作者自身が現代兵器と異世界が戦う物語を読みたいという思いがあったという。ストーリーを構築していく上で「補給」の問題をどのように解決するのかについて悩み、この問題をどのように解決するかを考え抜いた結果、国をまるごと移転させることで自衛隊の補給の問題を解決させた。そして、「兵器の出し惜しみがないような作品で、各国の思惑も入り混じる自分自身が読みたい世界観」にしたいと考えたことで「全周10万kmの惑星」というかなり広い異世界を舞台としている。
作者は本作のテーマを「なぜ戦争が起きるのか」だとした上で以下のように述べている。
「個」としての主人公が存在しない点が本作の特徴となっているが、この理由について作者は「強いて言うなら国が主人公であり、そこに出てくる人はその国の考え方の1つ」というイメージを持っているからだと述べている。
既刊一覧
小説
- みのろう(著) / toi8(イラスト、全巻) / 深井涼介(イラスト、2 - 3巻) / 高野千春(イラスト、4巻 - ) 『日本国召喚』 ポニーキャニオン〈ぽにきゃんBOOKS〉、既刊6巻(2020年2月20日現在)
- 「導かれし太陽」2017年3月29日、ISBN 978-4-86529-243-5
- 「滅びゆく栄光・上」2017年8月18日、ISBN 978-4-86529-268-8
- 「滅びゆく栄光・下」2017年11月29日、ISBN 978-4-86529-269-5
- 「崩れる均衡」2018年3月30日、ISBN 978-4-86529-287-9
- 「新世界大戦」2019年2月17日、ISBN 978-4-86529-297-8
- 「激動のムー大陸」2020年2月20日、ISBN 978-4-86529-310-4
- 髙松良次(著) / みのろう(原作) / toi8(イラスト) / 高野千春(イラスト) 『日本国召喚 外伝 新世界異譚』 ポニーキャニオン〈ぽにきゃんBOOKS〉、既刊2巻(2020年1月17日現在)
- 「魔王降臨」2018年8月17日、ISBN 978-4-86529-294-7
- 「孤独の戦士たち」2020年1月17日、ISBN 978-4-86529-306-7
漫画
- みのろう(原作) / toi8(キャラクター原案) / 高野千春(作画) 『日本国召喚』 KADOKAWA〈MFC〉、既刊8巻(2023年12月21日現在)
- 2019年1月21日発売、ISBN 978-4-04-065031-9
- 2019年8月23日発売、ISBN 978-4-04-065885-8
- 2020年3月23日発売、ISBN 978-4-04-064471-4
- 2020年12月23日発売、ISBN 978-4-04-065975-6
- 2021年9月21日発売、ISBN 978-4-04-680565-2
- 2022年5月23日発売、ISBN 978-4-04-681147-9
- 2023年2月22日発売、ISBN 978-4-04-682168-3
- 2023年12月21日発売、ISBN 978-4-04-683039-5