日本国大統領 桜坂満太郎
以下はWikipediaより引用
要約
『日本国大統領 桜坂満太郎』(にほんこくだいとうりょう さくらざかまんたろう)は、作画:吉田健二、監修:日高義樹、脚本:堀江信彦による日本の漫画作品。『週刊コミックバンチ』(新潮社)にて2003年23号から2006年34号まで連載された。単行本は全16巻。全151話。
概要
作品キャッチフレーズは「近未来国際政治コミックス」と題されている。「日本を中華人民共和国やアメリカ合衆国、ロシアなど周辺大国に翻弄されない、真の独立国家にするために元東京都知事の主人公・桜坂満太郎が戦う」という内容の作品。ちなみに日高監修の同様な作品として『日本国初代大統領 桜木健一郎』(作画:次原隆二、集英社刊)があるが、こちらは掲載誌の休刊が原因で打ち切りとなっており、中途半端な終わり方をしている。
「世界の警察官」を自負するアメリカが、日本と韓国という同盟国が蹂躙されるという極東の状況悪化を傍観するばかりか、不作為な態度に終始しようとしたり、中国と北朝鮮が日本侵攻作戦を遂行するなど荒唐無稽な面がある。また、中国軍が軍事力ではなく主人公が仕掛けた内紛によって撤退するなど、ご都合主義的展開も見られる。
中・露の後押しを受けた朝鮮人民軍が韓国軍をわずか3日間であっさり敗北させ、韓国政府の面々が以後全く登場しないことや、米中が核兵器を大量に発射したり、ロシア人やフランス人といった欧州諸国の人物が全く登場しない等、政治的・軍事的観点から見て突っ込みどころの多い作品である。またアメリカ政府首脳が、侵略に成功するとみすみす中国を世界の超大国にしてしまうような極東の軍事行動を終盤まで黙認するなど、設定自体が現実性よりも日本独立戦争を描きたいとする娯楽的観点を重視したものである。
なお、雑誌掲載中(2004年)に発生した中国原潜が日本領海を侵犯した事件や竹島問題を「数年前」と表現されている。また、イラク戦争のために国際連合が機能麻痺しているという描写もある。
あらすじ
西暦200X年。アメリカは北朝鮮への軍事制裁を決意し、北朝鮮の暴走を誘発するために在韓米軍を朝鮮半島から撤退させ、さらに在日米軍も日本から撤退させてしまう。そうした中、東京の国会議事堂を中心として永田町周辺が小型核爆弾テロの攻撃を受け、日本の国家中枢が消滅してしまう。これを北朝鮮の犯行と判断したアメリカは、その報復として北朝鮮の総書記を空対地ミサイルで暗殺した。しかし、この事件は中国が世界覇権を狙うために引き起こした陰謀であった。中露の後押しを受けた北朝鮮の軍事政権は韓国を武力併合し「統一朝鮮国」を樹立した。勢いに乗る統一朝鮮は中国人民解放軍とともに日本へ侵攻する。統一朝鮮軍は大規模軍事侵攻を九州に行い、中国・統一朝鮮による傀儡国家「九州国」として独立(分断)させられる。
同時期、東京都知事の桜坂満太郎は神奈川県知事の川原龍二と共に「知事連合」を結成し、日本国の臨時政府を樹立する。一方、アメリカは日米安全保障条約に基き第7艦隊を派遣するが、中国のミサイル攻撃で軍事衛星を破壊され、北朝鮮の潜水艦隊の襲撃を受け艦隊が全滅したため、日本を見捨て撤退してしまう。程なくして、日本本土も中国軍の弾道弾攻撃により航空自衛隊がほぼ全滅し、東京は占領されてしまった。日本の占領を受けたアメリカ政府は日本を見捨て、中国の日本占領を事実上黙認する。桜坂ら知事連合と残された自衛隊は仙台に撤退して中国への抵抗を続ける。
中国から派遣された占領軍司令官の劉金星は日本の親中メディアを利用して桜坂たちを「テロリスト」に指定し、陸路・空路から知事連合を追い詰め仙台を攻略する。桜坂らは函館に撤退して「新生日本政府」を樹立し、中国軍への抵抗を継続する。桜坂の元には各地から義勇軍が加わりゲリラ運動を展開し、桜坂に刺激された台湾が日本と連携し独立を宣言する。中国では台湾との衝突を避けようとする周雲山が、中国の影の支配者・鄧建民に見放され暗殺され、鄧の支配下の軍部が全権を掌握する。中国は台湾侵攻を開始するが、台湾空軍と軍事衛星を復旧させたアメリカ空軍の反撃に遭い艦隊が壊滅する。
台湾侵攻の失敗を受けた鄧は、責任を劉に押し付け南京大軍区の粛清を始める。桜坂は劉と会談し、中国の鄧体制を打倒することで合意し、日本占領軍は撤退し中国は内戦に突入する。桜坂は九州を奪還し日本本土を回復、一方の劉はチベットなどの反北京派を味方に引き入れ「中華連邦共和国」を結成し、日中台による「東アジア安全保障会議」を設立し、新しい東アジア安保体制を確立する。また、ニューヨークでロビー活動をしていた川原の尽力により、国連総会で日本の独立と再加盟が承認される。一方、アメリカは東アジアの覇権を握るためにロシアを動かし統一朝鮮へ侵攻させたが、最高司令官である高城眞が消息不明となり内乱が激化したために覇権主義を断念。アメリカも東アジア安保に加盟した。そして、桜坂の戦略と劉の活躍により鄧体制は崩壊する。
日本では独立後の大統領就任式を控えていたが、大統領に内定していた川原が爆弾テロで暗殺されてしまう。人々は都知事に復帰していた桜坂に大統領就任を求めるが、川原の死に衝撃を受けた桜坂は就任を断る。しかし、桜坂は核爆弾テロで死んだ妻子が死ぬ直前に贈った誕生日プレゼントとメッセージカードを受け取り、自分を誇りに思っていた妻子の気持ちに気付き、大統領への就任を決意する。
登場人物
日本国
桜坂 満太郎(さくらざか まんたろう)
本作の主人公で東京都知事。日本の危機管理の甘さを憂えていた。ハーバード大学留学時代にボクシングを経験。妻京子(けいこ)と娘玲菜(れいな)の三人家族。
以前は衆議院議員だったが、派閥闘争に明け暮れる衆愚政治に嫌気が差し、国会議員を辞し東京から日本を変えようと試みた。ボクシングでも政治でも型破りなスタイルをとり、マスコミからは政界の乱暴者としてヒール扱いを受けているが、国民からは絶大な支持を得ている。国会テロで妻子を失い、一度は政治家としての自信を喪失してしまうが、政治家としての自分を誇りに思ってくれていた妻と娘のために再び政治家として立ち上がる決心をした。
「知事連合」の臨時政権を樹立して副総裁に就任し、中国にもアメリカにも支配されない真の独立国家の建設を目指す。中国軍の日本侵攻に対して日本の独立戦争を宣言し、事実上の総指揮官として中国・統一朝鮮と戦い続ける。本州奪還後はアジアの新しい平和と秩序のために台湾や南京国と協力し、東アジア安全保障会議の構築を急ぎ、戦後の東アジアの安定化を図る。対中戦争の終盤、中国にブラフのミサイルを撃ち込み共産党政権を崩壊に追い込み戦争を終結させた。戦後は都知事に戻ろうとしたが、臨時大統領の川原の死去に伴い、その意志を継いで日本国初代大統領に就任した。
桜坂 慎二郎(さくらざか しんじろう)
川原 龍二(かわはら りゅうじ)
細谷 寿美江(ほそや すみえ)
飯嶋 勝文(いいじま かつふみ)
相馬(そうま)
橘 公平(たちばな こうへい)
西条 昇(さいじょう のぼる)
青山 優子(あおやま ゆうこ)
カンヌ映画祭でグランプリを受賞した映画監督。
暗殺された細谷との約束に従って桜坂陣営に姿を見せた。敵の情報操作への対策に苦悩する桜坂に対し、ライブによるメッセージの発信を提案し実行する。このライブによって桜坂の勇気が国民に伝わり、国内世論は一気に知事連合に傾く。当初は相馬をはじめとする桜坂の側近達からも信用されていなかったが、ライブの撮影場所に侵入した暗殺者から桜坂を救ったことで信用を得る。その後は戦場に残り、戦争のありのままの姿を記録し世界に伝える。
当初桜坂に対しては民衆の心を揺り動かすその圧倒的な存在感に対し、純粋に演出家として興味を持っていただけだったが、次第に好意を寄せていくようになる。桜坂の大統領就任式にも姿を現し、その雄姿を記録した。
岩本 小太郎(いわもと こたろう)
中森 鬼介(なかもり きすけ)
政権与党・民自党の幹事長を務める実力派の衆議院議員。親中派の親玉と見られている。耳の早い男であり、「鬼の地獄耳」とも呼ばれる。
国会テロに巻き込まれて死亡したと思われていたが、裏でウォンと手を結んで核爆発から逃れており、テロの三日後に廃墟から発見された。彼の生還をマスコミは「奇跡」と形容し、日本の救世主のように英雄扱いして大々的に報道した。その後同じくウォンと密かに接触してテロから逃れていた親中派の国会議員達を集め、臨時内閣を樹立。ウォンとともに日本を乗っ取ろうと目論む。
新人議員だった頃は桜坂と同じく日本の国防の甘さを憂えており、日本の再軍備を主張していた。軍備より先に首相公選制の導入を唱える桜坂とは犬猿の仲と揶揄される程に激論を交わしていたが、一方でお互いの愛国心を認めていた。だが、一向に変わらない日本の政治に失望し、権力亡者の老人政治家達にすり寄って権力を得ていく道を選んでしまう。それでも日本の真の独立は諦めていなかったが、権力を得れば得るほどこの国の変革が不可能であるように感じ、日本を変えるには外圧による革命しかないと結論してしまう。
国会に仕掛けられたのが核爆弾であることはウォンから知らされておらず、核爆破で内縁の妻と娘を失っている。その後も国民の流血が強いられる要求を次から次へと求めてくるウォンに対し、次第に不信感を抱くようになる。臨時内閣総理府へ中森との直談判に来た桜坂に対し、中国の陰謀を暴露したためにウォンが仕向けた狙撃手に暗殺される。
加藤(かとう)
矢吹 大(やぶき だい)
中国軍占領下の東京に潜伏するレジスタンスの指揮官を務める傭兵。息子が一人いるが、妻とは死別している。
桜坂慎二郎とは防衛大学校の同期だったが、首席で卒業したのにも関わらず土壇場で任官を拒否し、ソ連軍相手に戦うためにアフガニスタンへ飛んだ。その後も世界各地の戦場を転戦し、世界中の軍情報部に目を付けられ「孤高の虎」と呼ばれ恐れられるようになる。ゲリラ戦のノウハウだけでなく、部下を統率するカリスマにも長けている他、特殊作戦部隊を一人で壊滅させるなど自身の作戦遂行能力も高い。
弱い者に味方したくなる性分であり、戦争については言い分はどちら側にもあることを認めているが、大国の言い分は全てエゴにしか過ぎないと語っている。その大国のエゴから自分達の国を守ろうとする者達に協力するために、自衛官の道を進まず日本を去っていた。
中国軍を撤退させるために劉との交渉役に名乗りを挙げ、桜坂と劉の会談を実現させる。中国軍の撤退後は九州に乗り込み統一朝鮮軍と戦い、戦争を早期に終わらせるために統一朝鮮軍の弾薬庫を爆破するため単独で敵地に侵入するが発見され銃撃され重傷を負い、脱出不可能と判断し弾薬庫諸共自爆して果てた。
半田 準一郎(はんだ じゅんいちろう)
陸上自衛隊三等陸佐。慎二郎の部下で日米合同軍事演習には共に参加している。決まってピンチの時に軽口を叩く癖がある。
函館沿岸警備隊の隊長として北海道に侵攻する中国軍を釘付けにしていた。慎二郎ら援軍の到着時には防衛線は突破される寸前であったが、重傷を負っていたために慎二郎の命令で病院に搬送される。しかし、搭乗車が中国軍の砲撃によって大破した際に致命傷を負い、寿命を悟り死ぬ決意を固め大型タンカーに乗り込み、函館に上陸しようとする中国軍に特攻し死亡した。
平岡 俊一(ひらおか しゅんいち)
笹原(ささはら)
石川 孝太郎(いしかわ こうたろう)
徳田 又一(とくだ またいち)
小沢 伊平(おざわ いへい)
武田 修三(たけだ しゅうぞう)
佐藤 剛(さとう ごう)
笹峰 静観(ささみね せいかん)
九州国
統一朝鮮国
高 城眞(コウ・ソンジン)
元朝鮮人民軍将軍。日本との外交問題が発生する度に日本への報復を声高に叫んでいた極左軍人だったが、人民のために李万男暗殺を企てたことで投獄されていた。李万男の死後に中国軍によって救出され、そのまま中国の後押しで北朝鮮の最高指導者となり、武力による南北朝鮮統一を遂行する。南北統一後は統一朝鮮軍最高司令官に就任する。統一後の朝鮮民族団結を目的に日本への侵略(これは中国の意向に沿ったものであった)を敢行し、初戦で九州を占領し傀儡政権として独立させた。
だが、劉将軍の無血開城後は戦局が不利に傾き、その後中国からの援助が途絶えたことで日本からの撤退を部下に進言されるが聞き入れず、軍事政権の求心力維持のために日本との交戦を継続した。最終的には長崎の死守も停戦交渉阻止も失敗に終わり、さらにアメリカの意向を受けたロシア軍に朝鮮半島が侵攻されることになる。戦場となった平壌を脱出しようとするも、最後は中国により口封じのため殺害された。
高 東宣(コウ・ドンソン)
李 万男(リ・マンナム)
柳 鶴林(リュウ・ハクリン)
伊 容夏(イ・ヨンハ)
統一朝鮮陸軍中佐。九州を占領した日本侵攻軍の司令官。
朝鮮民族としての誇りは強く、周囲からも「異常」と称される程に高将軍を崇拝していた。長崎での戦いにおいては九州の朝鮮人難民を片っ端から徴用し特攻を強制することで桜坂慎二郎率いる日本人ゲリラを追い詰めた。元々は何人もの小さい弟や妹達を養うために軍人になった男であり、子供を想う気持ちは強かったのだが、今回の戦争では戦争への異議を唱えた難民の老人や敵前逃亡者を射殺したほか、幼い子供にまで特攻を強要するなど非道な振る舞いを見せる人物に変貌してしまう。
弾薬庫を失っても尚、高将軍からの信頼に応えるべく抗戦を続けようとしていたが、元参院議員の白文煥の説得を受けて降伏を決断。降伏交渉の代表者を白文煥に指名した委任状を残し、自害した。
裵(ヒ)
白 永寛(ベック・ヨンガン)
中華人民共和国
鄧 建民(とう けんみん)
半世紀以上にも渡って共産中国の実権を握ってきた影の独裁者で、党幹部達からは「大老」と呼ばれている。中国が敢行した一連の軍事行動は全て、アメリカ合衆国との覇権戦争の前哨戦として彼の指示で実行されたものだった。抗日戦(日中戦争)を戦った経験があると話していることから、80歳以上の高齢であることが窺える。当初は姿も全く見せておらず、彼の存在は共産党幹部の中でも限られた者にしか知られていなかった。周雲山暗殺後は趙藍帝を通して中国を実質的に動かしていたが、周雲山暗殺からほとんど時の経たぬ内に米国に自身の存在を嗅ぎ付けられる。以後は趙藍帝と行動を共にし、彼自身が直接軍へ指示を出すようになる。
中国という国を「自身の全てである」と語っており、死を迎える日まで中国の住人でありたいと願っている。それ故に桜坂から北アフリカへの亡命を要求された時には激昂していた。しかし、指導者として民のことを真剣に考えているとは言い難く、自分に従わない人民や部下を躊躇無く殺そうとする冷酷さには忠実な部下の筈の趙藍帝ですら時に戸惑いを隠せなくなる程である。最期は自害したと見せかけるために自宅を爆破して、いずこかへ逃亡していった。
周 雲山(しゅう うんざん)
国家主席。苛立つと爪を噛む癖がある。日本占領等、一連の軍事行動を敢行した。
当初は計画通りに事が運んでおり、中国軍は東京まで制圧を完了したものの、その後は劉金星が桜坂ら日本の残存勢力の掃討作戦において失敗を繰り返し、人民解放軍に多大な被害が出たために強く焦りを感じるようになる。独立宣言した台湾に対しても当初は徹底抗戦の構えを見せており、「ミサイル誤射」の名目で台湾を示威したが、報復措置として台湾から弾道ミサイルによる威嚇攻撃を受けたために平和的解決路線に転換しようとする。
しかし、台湾に対する武力行使を否定したことによって趙藍帝ら軍部との対立は決定的となり、鄧建民からも見切られることとなる。それでも最期まで政治家として死力を尽くす決意を固め、マスコミを通じて軍部の陰謀を暴露しようとするが既に鄧建民の手が回っており、鄧の命令を受けた警護官によって暗殺された。
趙 藍帝(ちょう らんてい)
劉 金星(りゅう きんせい)
南京大軍区総司令官。日本占領軍の司令官として派遣される。兵が何人死のうと構わず作戦を強行した他、桜坂達だけではなく民間人を巻き込むことを承知の上で仙台市への無差別爆撃を行う等、任務遂行の為ならば苛烈な手段も厭わず「猛将」と呼ばれる。幼い頃に国共内戦で両親を失い、内戦による混乱と貧困の中で幼い弟妹も亡くした過去を持つ。そのために軍人として中国人民を守るために戦う意志は非常に強く、「人民のためにいつでも死ねる軍人でありたい」と思っている。
しかし、保身に走った共産党により、米中戦争勃発の全責任を自身の南京大軍区に押し付けられ、本国の南京軍を粛清される。無血開城を求める桜坂との猿島での会談でこのことを知らされた彼は共産党との決別を決意する。日本から自軍部隊を撤退させた後、南京大軍区を「南京国」として中国から独立させ、南京国臨時大統領に就任し、日本・台湾と同盟を結ぶ。一連の動乱の後に、「中華連邦共和国」結成を主導する。
ウォン
中国系の組織犯罪集団「八頭龍(やずりゅう)」を率いる初老のテロリスト。東シナ海で海賊行為を繰り返しており、「白鯱」の異名で恐れられている。北朝鮮の工作員を買収し、日本の官庁街で核テロを起こさせた。実は中国人民解放軍の将軍で、国家を背景とした信念で動いていたが、当の中国首脳部からは捨て駒として扱われていた。国会テロを起こした後は中森を通じて日本を中国の支配下に置こうとしたが失敗に終わり、その後は桜坂の屈服を狙ってテロ行為を繰り返す。だが、最終的には桜坂慎二郎率いる特殊作戦群に捕縛され、切り札として部下に持ち込ませていた3つの小型核爆弾も回収される。中国軍による弾道弾攻撃の標的になっていることが分かっていたため、収監されている入間基地から脱走しようしたが叶わず、自身の最期を悟る。今際に無線を通じて桜坂に対し、「戦わねば、日本に夜明けはない」と遺し、彼を「大統領」と呼び、爆炎に呑まれた。
漢字表記(本名)は「黄勇」。
隗(かい)
張 錫龍(チャン・シロン)
喬 継耐(きょう けいたい)
温 文泉(おん ぶんせん)
中華民国(台湾)
孫 建仁(そん けんじん)
チベット
アメリカ合衆国
ロバート・ヘイグ
大統領。北朝鮮の李政権を抹殺するため平壌への空爆を決意し、中国の黙認を得る見返りとして在韓米軍を撤退させた。この動きが一連の戦乱のトリガーとなったが、当初は同盟国への救援には消極的であった。日本の政権が知事連合に統一されたことで日米安保に基づき援軍を送ったが、中東のテロ組織を利用した中国の罠によって軍事衛星網を破壊されたため手を引き、以後暫くの間は世界情勢を静観することを余儀無くされる。
軍事衛星網の復旧後は本格的介入を再開しており、第7艦隊が壊滅した際には「アメリカのルールに従わない国には容赦しない」と語って中国のミサイル基地への核攻撃を実行するなど、パクス・アメリカーナの体現者としての一面を覗かせた。その後は側近達の意見を聞き入れアメリカが東アジアの覇権を握るための計画を練っており、長期戦略で懐柔したロシアを動かして朝鮮半島に侵攻させたが、ロシア軍が高将軍の捕縛に失敗し内乱が泥沼化したことで、覇権主義の誤りを悟る。ニュージーランドで桜坂と直接会談を行い、日本の覚悟を見定めたことで東アジア安全保障会議への参加を決断する。
モデルはジョージ・W・ブッシュ。
ジョナサン・スペンス
国防長官。大統領執務室(オーバル・オフィス)に集まるヘイグ大統領の側近達の中では最も地位が高いこともあり、事実上のリーダー格となっている。アメリカの覇権を堅持することに拘っており、他国の国力を過小評価したり、米軍の力を過信した発言も多い。ボビーからは「悪しき軍事力至上主義から抜けきれていない」と言われたこともあった。
中国相手に健闘する桜坂に興味を持ち始め、グァムでの桜坂との会談で彼が有能な政治家であることを認めた。だが、終盤ではアジアで台頭しようとする新生日本を警戒し、桜坂に対しても懐疑的になっていった。その一方で、桜坂との直接会談に先立ってヘイグが「桜坂に協力や意見を求める気はない」と明言した際には、桜坂の提案に相応の価値があれば受け入れても構わないという含みを持たせた進言を行っている。
ヘンリー・ラブス
ボビー・ゴールドマン
大統領次席補佐官。黒人。ハーバード大学時代の桜坂のボクシング仲間だった。左目辺りには桜坂との試合でつけられた傷が今も残っている。元陸軍将校であり、ハーバード大学で書いた軍事戦略の論文が認められて大統領補佐官に抜擢された経歴を持つ。桜坂の政治手腕を高く評価しており、「日本が大統領制ならば彼をおいて他に大統領になれる者はいない」とまで明言するほど。
桜坂の親友だということもあってか親日寄りであり、日本救出を強く主張し続けていた。中国軍の東京占領後、アメリカが日本に救援を出さないと結論したために大統領補佐官を辞任。小規模の義勇軍を組織して日本へと渡り、元陸軍将校としての経験と軍事戦略のプロとしての知識を活かして桜坂を助ける決意を固める。元々アメリカでは安全保障に深く関わる立場にいたため、それを元にアメリカの次の行動を予測し、桜坂に助言を行うことも多かった。戦争の終結後はヘイグの補佐官に復帰し、アメリカに戻った。
スティーブ・ヒルマン
ジェームズ・ランドルフ
「ニミッツ」艦長
スチュワート
その他
- 本作では日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である天皇が全く登場しない(皇室の存在にすら触れられていない)。また、作品終盤で日本国憲法を廃止し、日本国暫定大統領を置いて新たに選出した国民議会で自主憲法を制定しようとしている描写があり、君主制がいつの間にか廃止されたことになっている。
- 「日本本土を侵略する軍隊と戦い、真の独立を摑む」という設定のため、軍事的考察を精密に行っていない。そのため、突っ込みどころの多い作品になっている。例として、北朝鮮が韓国と九州を僅か1週間ほどで征服するなどアジア最強の軍事力を見せ付けたり、また専守防衛に関しては、現実にはアジア最強の海上兵力を持つ海上自衛隊の存在が作品では全く描かれていない(何らかの方法で無力化させられたという描写もない)など、強引なストーリー展開が見受けられる。
単行本
- 第1巻 2003年11月8日発売 ISBN 978-4-107-71119-9
- 第2巻 2004年2月9日発売 ISBN 978-4-107-71135-9
- 第3巻 2004年5月8日発売 ISBN 978-4-107-71149-6
- 第4巻 2004年7月9日発売 ISBN 978-4-107-71161-8
- 第5巻 2004年9月9日発売 ISBN 978-4-107-71172-4
- 第6巻 2004年11月9日発売 ISBN 978-4-107-71182-3
- 第7巻 2005年1月8日発売 ISBN 978-4-107-71193-9
- 第8巻 2005年4月9日発売 ISBN 978-4-107-71211-0
- 第9巻 2005年6月9日発売 ISBN 978-4-107-71219-6
- 第10巻 2005年8月9日発売 ISBN 978-4-107-71231-8
- 第11巻 2005年10月8日発売 ISBN 978-4-107-71241-7
- 第12巻 2005年12月9日発売 ISBN 978-4-107-71251-6
- 第13巻 2006年2月9日発売 ISBN 978-4-107-71262-2
- 第14巻 2006年5月9日発売 ISBN 978-4-107-71272-1
- 第15巻 2006年7月7日発売 ISBN 978-4-107-71282-0
- 第16巻 2006年9月9日発売 ISBN 978-4-107-71294-3