昭和水滸伝
以下はWikipediaより引用
要約
『昭和水滸伝』(しょうわすいこでん)は、1973年に『週刊大衆』(双葉社)に連載された、藤原審爾による日本の小説。
昭和初期の日本を舞台に、一度は世間の噂に殺されて道を外れた男たちが「剣聖」石川義信の下に集まり正義のために命を懸ける姿を描く。著者の仁侠・武芸ものの代表作で、登場人物たちが主人公の石川道場に集まって活躍するという構成が『水滸伝』を擬している。1974年に双葉社より上中下の3巻が刊行され、1981年に角川文庫に収録された。「本の雑誌」文庫ランキング15位(1991年)。
あらすじ
無名流石川道場之章
米騒動に揺れる日本。六高で子供たちに剣を教える石川義信は友人の窮地を救う代償に、教職を失い娘の雪乃と岡山を離れる。各地を流れる石川親子だが、神戸の「やくざ」である山岡は義信の器量の大なるを知り、師の礼を持って遇する。三年の間、神戸で閑居の日々を過ごした義信が倉敷に建立される道場の主に推挙される。一度は断わるも青少年を教導するという天命を悟り、石川道場に己の人生を託すと決意する。
雲龍の政次郎之章
雲竜の政次郎は追っ手から逃れて電車から飛び降り、瀕死のところを通りかかった雪乃に助けられて、石川道場に居候する。義信に私淑し、次第に道場や地元の衆の信頼を得るようになり堅気の生活を望むようになるが、自分がいることで道場に迷惑がかかることも恐れる。そこへ、紡績工場で各地から女工を集めて過酷な条件で働かせ、逃げようとした者は売られてしまうという悪事が行われていることが明らかになる。仕事を引き受けていた地元の山本一家では、シマ争いも絡んで政次郎が邪魔になるが、日下組の銀蔵や政次郎らの活躍で解決する。大阪の立花金助は中国地方で柴山サーカスを興行して儲けを企み、倉敷へ乗り込んでくる。政次郎は自ら死地に赴くが、この修羅場を神戸の山岡が仲裁して、全国の親分衆の前で手打ちがされる。政次郎は、心中では自らの死ぬまでの道が定まったことに煩悶しつつ、義信を守ることを決心する。
風虎の止三郎之章
政次郎の弟の止三郎が網走から出てきて、大阪へ戻る。金助はふたたび柴山サーカス興行を目論み、手打ちを反故にして再び政次郎らを襲わせる。止三郎もその絵に巻き込まれるが、日下に拾われてしばらく高松で暮らすことになる。四国では、柴山がサーカス興行を巡って日下に刺客を送り込んでおり、解決のために柴山のところへ行く銀蔵に止三郎もついて行くことになる。その頃満州進出を図る日本企業は、反日勢力などで現地の治安が悪いために軍に対策を求めたが、軍は表立ったことができないために、あぶれ者を集めた自警組織を作ろうと日下に人集めを依頼する。日下の大親分はそれを筋が違うと言って断るが、三代目は乗り気になって、二人は対立することになる。銀蔵の身を心配した政次郎も四国に渡る。
石川二十七人衆之章
関西方面のあちこちで鉤手と呼ばれる強盗団が暴れ回っていた。政次郎と雪乃は米子へ出かけた帰り道、その一味と間違われた縁で、被害者達から石川道場に手助けを頼まれる。義信は自らが門弟を連れて、鉤手の本拠地名古屋に出向くことにするが、鉤手一味も義信達の来ることを察知して迎え討つ。心配して駆けつけた政次郎も加わり、名古屋の警察とも協力していよいよ鉤手の本拠へ踏み込んで、大立ち回りとなる。鉤手を親の仇とするお千は義信と同行するうちに、いつしか心引かれるようになっていく。
甲斐槍術之章
義信は県知事の上田から、児島湾埋め立て工事の監督を頼まれる。やくざや荒っぽい土建業者が入り乱れて困難が予想される事業だが、世のためになることであり、また屑どもに奉仕の仕事をやらせる意義を見いだして義信は引き受け、地元の人夫の他に囚人を使って工事をすることにする。名古屋の棒術の名手で左官の経験のある宮脇を呼び寄せて現場の管理を依頼し、工事は着々と進んでいく。しかし工事現場の周りでは地元の土建業者の相川組が仕事を横取りしようと、いやがらせを仕掛けて来るようになる。とうとう甲斐の槍術使いの玄心らの一味が道場の者の宿所に押し寄せて来る。
剣聖への道
児島湾埋め立てには、いよいよ囚人達100人が送り込まれて来る。道場の者達はその監督に手腕を振るうが、脱獄を企てる者も現れる。脱獄囚は宮脇のかつての妻がいる俵屋を襲い、船で逃げるが、小豆島にいるところを銀蔵に押さえられる。やがて出来かけた堤防を爆破されるという事件が起きるが、相川組の息のかかった警察は動かない。続いて技師の岩崎が誘拐され、前原一刀は単身相川組に乗り込んで行く。銀蔵は四国から人夫の手配などをして、自らも政次郎を助けに赴くが、義信に迷惑はかけまいと手出しは控える。義信は幾多の困難を抱えながら、国家100年の事業のためには自らの命を投げ出すことも覚悟する。
登場人物
石川道場
前原一刀
中川政次郎(雲龍の政次郎)
井田宗次郎(夜烏の法宗)
四国・神戸・その他
銀蔵(四八の銀蔵)
仙九郎