栞と紙魚子
以下はWikipediaより引用
要約
『栞と紙魚子』(しおりとしみこ)は、諸星大二郎による日本の漫画。少女向けホラー雑誌『ネムキ』にて1995年Vol.23から2008年5月号まで不定期連載されていた。2008年、第12回文化庁メディア芸術祭においてマンガ部門優秀賞を受賞。
「栞と紙魚子の怪奇事件簿」として連続ドラマ化され、栞役を南沢奈央、紙魚子役を前田敦子が演じた。
概要
諸星大二郎の初めての少女向け作品。基本的に一話完結の短編である。
胃の頭町(いのあたまちょう)に住む主人公の二人が、周囲で起こる怪奇現象に巻き込まれる、少女向けホラーコメディ作品。作中に登場する脇役達はクトゥルフ神話などを元ネタとする奇妙な生き物などだが、主人公たちが非日常に溶け込み、独特の不条理めいてユーモラスな世界を作り出している。なお、伝承などある程度の事実に基づく同作者の『妖怪ハンター』シリーズと異なり、劇中の出来事の大半は事実無根のフィクションで、劇中に登場する書籍なども全く架空のものである。
胃の頭町のモデルは東京都三鷹市の井の頭。ただし単に名前のモデルとなっているだけでほぼ無関係。
あらすじ
胃の頭町に住む美少女だが若干猟奇趣味があり、友人たちから「神経が何本か抜けている」と称される栞と古本屋の娘で稀少本のためなら身の危険をも冒す紙魚子。親友である二人は好奇心や諸事情から様々な出来事に巻き込まれていく。
売れっ子ホラー作家ながら奇妙な奥さんと奇矯な娘クトルーちゃんと仲良く暮らしている段一知先生。その段先生に一方的に惚れ込み彼のストーカーとなって公園暮らしをしている新進気鋭の猟奇詩人菱田きとら、栞の飼い猫だが人間の男性に化けるボリスなど一風変わった人々が織りなすホラーコメディ。
主な登場人物
栞(しおり)
紙魚子(しみこ)
栞の関係者
紙魚子の関係者
段さん一家と関係者
段 一知(だん いっち)
名前はハワード・フィリップス・ラヴクラフトの作品ダンウィッチの怪から。クトルーちゃんの父であり、連載初期に胃の頭町の木造平屋建てのボロ借家に引っ越してきたホラー作家。容姿はラヴクラフトによく似ており、作中ではほぼ常に黒いスーツを着用している。
初対面の人には、人形のふりをして驚かせることを趣味にしている。
性格は温和で割合に社交的。ただ遅筆に加えて仕事をサボりがちであるため常に締め切りと編集に追い回されている。考古学、民俗学に通じており怪異には好奇心旺盛な態度を見せ、若い頃は世界崩壊を企む魔導師と魔道書がらみの事件解決などをやっていた模様。栞同様に天然ボケかつ剛胆な性格をしており、血塗れのきとらを見ても動揺せずに食事を続け、自分の妻が胃の頭町七不思議の一つに数えられる事実については一切知らない。奇矯な娘が幼稚園から出禁を食らうなどしているため養育に頭を悩ませており、ベビーシッターとして栞を頼みにしている。ごく普通の夫婦間におけるケンカ(例としてグラビア雑誌をこっそり家に隠し持つ等)では妻には全く頭が上がらず一方的に怒られている。
「クトルーちゃんのお母さん」あるいは「段先生の奥さん」
巨大な顔を持つ、段一知の妻。「外国人」だが、日本以外の国家出身という意味ではなく異界の住人らしい。準レギュラーキャラだが固有の名前が明示されておらず、劇中では「クトルーちゃんのお母さん」または「段先生の奥さん」と呼ばれている。そもそもムルムル、ヨグをはじめとして胃の頭町の生態系が劇的に変化したのも奥さんが実家から持ち込んだ(あるいは実家から届いた)様々なものにくっついてきたせいである。
太古の邪神「プープービヨマンカ」を遠縁の叔母に持つ。世界滅亡を図る魔道師の呪文によって呼び出されたところ、偶然段一知と出会い、それをなれそめとして結婚に至った。色白で整った巨大な顔と長い腕、節足動物や軟体動物を彷彿とさせる足を持つが、作中で全身が描かれたことはない。
連載中盤で怪魚に拉致された一件以降は、姿を自在に変化出来るようになり完全な人間体にもなれるようになった。
性格は至って普通の妻であり、良き母親。栞や紙魚子、烏賊井らが来訪した際には普通にお茶を出す。段一知を熱烈に愛しており、一同で「百物語」を開いた折、なれそめをのろけながら周囲に語る程。しかし夫の浮気を疑えば猛烈に攻め立てる。ムルムルの佃煮が得意料理でご近所や知り合いに巨大なビン詰めにして配っている。ゼノ奥様とは仲良しで彼女の家を訪問して執事の出す得体の知れない茶も愛飲している。
胃の頭七不思議「お化け屋敷の小説家の奥さん」に数えられている(七不思議のスタンプも持ち合わせており、本人“には”自覚があるらしい)。町の物の怪達からも胃の頭イチの実力者として認知されており、劇中ほぼ最強の存在。菱田きとらや長姫、更には弁財天ですら一目置いている。
クトルーちゃん
名前はクトゥルフ神話のクトゥルーから。
栞がベビーシッターのアルバイトを通じて出会った子供。ボサボサの髪、大きなリボン、大きく影の濃い目、暗めの色のドレスと不気味な容姿をしている。「テケリ・リ!」と叫び、ぬいぐるみを振り回しながらはしゃぐ、虫を食べる、首が180度回る、股間と首が入れ替わるなど、変形するなど奇行が多い。初登場時も足は裸足、片手に包丁、片手に血の滴る袋を持つという不気味な様相で栞達が絶対に関わりたくないと思わせるほどだった。
その奇行ぶりは周囲にとうてい受け止められるものではなく、幼稚園からは1日も経たずに出禁を食らってしまったり、公園にいる母親集団から例のあの子と呼ばれて警戒されたりしている。
ねこや関係者
ボリス
胃の頭町とその周辺の住人たち
菱田きとら(ひしだきとら)
目が細く、ロングヘアーで背が高い女流詩人。代表作は死体を切り刻むありさまを表現した限定500部の詩集「殺戮詩集」。「血だまりの詩」「胆嚢を堪能」「腸でなわとび」などの作品が収録されている。なお、「腸でなわとび」は、中原中也の詩に似ている。
恋人を殺し、死体を解体しながら詩を書いたとされるが、心神喪失で無罪となり精神病院に入院、その後退院し、公園などで野生のムルムルを食料としながら充実した放浪生活を送っている。段一知へ熱烈に想いを寄せており、隙あらば段先生の奥さんを亡き者にして愛妻の座を射止めようと暗躍する。
凶暴かつ豪胆な性格であり、物の怪に監禁されたり体がカニに変身したりと受難のたびにパワフルな破壊活動を見せている。腕っ節も相当の物であり、胃の頭町の怪物や妖怪の類を相手にして単身で倒している事も多い。
ゼノ奥さんと執事
帽子好きの兄弟
胃之頭公園のママ友たち
つくも堂店主
ゴブリン
胃之頭高校関係者
鴻鳥 友子(こうのとり ともこ)
クラスは違うが栞たちの同級生。「蔦屋敷」と呼ばれる大きなお屋敷に住む深窓のお嬢様。料理が得意で大好き。
大変な美食家で、カップラーメンを食べたことがない。先祖に「陳氏菜経」という奇本にハマり美食追求に文字通り一生を捧げて、果ては娘の股肉を食ってしまった血縁の鴻鳥和子・友子母子がおり、その幽霊に取り憑かれて栞を料理して食べようとしたことも。元々幽霊などに憑かれやすい体質らしく、怪異に遭遇したりすると「人肉料理ですわ!」と叫び、包丁を振り回して暴れるなどして、家族や周囲を困らせている。怪魚が原因で町の住人たちが魚になってしまった際には夜の女王の宮廷料理人になって人類を裏切った。繭姫の侵略に際しても一度は裏切ったが、大足将軍から魚料理ばかり強要された事に嫌気が差し、大足将軍を料理の具材にしてあっさり人類側に再度寝返っている。
洞野(ほらの)
奇妙な生き物、妖異たち
ヨグ
ムルムル
ゴブリン
頸山城の長姫(くびやまじょうのながひめ)
影姫と十三人の侍
長姫に捕らえられ、成仏できなくなった顎家の影姫とその配下の侍たち。頚山神社にある人間鳥居は、死後、彼らが影姫を成仏させる「門」を作り出すために変化したもの。彼ら自身は決して邪悪な存在ではないが、その宿願が無関係な人間を巻き添えにして人間鳥居に変えてしまっていた。
若侍の宗十郎は美男子。仲間の中では比較的行動の自由が利き、人間の姿に戻れるため栞が捕らえられた際には救出に活躍している。最終的に、紙魚子や段先生の活躍で封印石が破壊されたため成仏(鬼門を通って成仏できるのかと紙魚子は疑問を呈している)できた。少なくとも石のなかから解放されたが、その際に、頚山神社の人間鳥居にされていた後藤ゆかりも無事に戻っている。
夜の女王
怪魚
魚
吝嗇後屋の番頭(けちごやのばんとう)
結界
繭姫
弁財天
胃の頭稲荷
単行本
2014年の新装版では各巻に書き下ろしの新作が追加掲載されている。2013年12月30日にはソノラマコミックス版を底本とした電子書籍も各配信サイトで販売開始している。
- 諸星大二郎 『栞と紙魚子』シリーズ 朝日ソノラマ〈眠れぬ夜の奇妙な話のコミックス〉
- 『栞と紙魚子の生首事件』 1996年9月 ISBN 4-257-90280-9
- 『栞と紙魚子と青い馬』 1998年5月 ISBN 4-257-90342-2
- 『栞と紙魚子 殺戮詩集』 2000年1月 ISBN 4-257-90393-7
- 『栞と紙魚子と夜の魚』 2001年8月 ISBN 4-257-90441-0
- 『栞と紙魚子 何かが街にやって来る』 2004年2月 ISBN 4-257-90494-1
- 『栞と紙魚子の百物語』 2008年6月 ISBN 978-4-02-213120-1
- 諸星大二郎 『栞と紙魚子』シリーズ 朝日ソノラマ〈ソノラマコミック文庫〉
- 2003年6月 ISBN 4-257-72211-8
- 2003年7月 ISBN 4-257-72215-0
- 2003年8月 ISBN 4-257-72217-7
- 諸星大二郎 『栞と紙魚子』シリーズ 朝日新聞出版〈ソノラマコミックス 眠れぬ夜の奇妙な話コミックス〉
- 『栞と紙魚子の生首事件』 2007年10月 ISBN 978-4-02-213058-7
- 『栞と紙魚子と青い馬』 2007年10月 ISBN 978-4-02-213059-4
- 『栞と紙魚子殺戮詩集』 2007年10月 ISBN 978-4-02-213060-0
- 『栞と紙魚子と夜の魚』 2007年10月 ISBN 978-4-02-213061-7
- 『栞と紙魚子何かが街にやって来る』 2007年10月 ISBN 978-4-02-213062-4
- 『栞と紙魚子の百物語』 2008年6月 ISBN 978-4-02-213062-4
- 諸星大二郎 『栞と紙魚子』シリーズ 朝日新聞出版〈ソノラマコミック文庫〉
- 収録されたのはソノラマコミックス版における『百物語』途中までで事実上の未完となっている。
- 2007年10月 ISBN 978-4-02-267085-4
- 2007年10月 ISBN 978-4-02-267086-1
- 2007年10月 ISBN 978-4-02-267087-8
- 2011年2月 ISBN 978-4-02-267196-7
- 諸星大二郎 『新装版 栞と紙魚子』 朝日新聞出版〈Nemuki+コミックス〉、全4巻
- 2014年11月7日発売 ISBN 978-4-02-214158-3
- 2014年12月5日発売 ISBN 978-4-02-214166-8
- 2015年1月7日発売 ISBN 978-4-02-214168-2
- 2015年2月6日発売 ISBN 978-4-02-214171-2
収録されたのはソノラマコミックス版における『百物語』途中までで事実上の未完となっている。
栞と紙魚子の怪奇事件簿
『栞と紙魚子の怪奇事件簿』(しおりとしみこのかいきじけんぼ)は、2008年1月5日から3月29日まで、日本テレビのサタデーTVラボ枠内で放映されたテレビドラマ。各話テレビ放送終了後に日本テレビのウェブサイトで動画配信も行なわれた。また、2010年4月3日より6月26日までサンテレビにて、2010年7月13日から10月5日まで札幌テレビ放送(火曜日24:49〜25:19)でも放送されていた。
なお、CS放送のファミリー劇場でも過去に放送されたことが有り、2010年11月現在は日テレプラスで放送されている。
スタッフ
- 原作:諸星大二郎「栞と紙魚子」(朝日新聞社「ネムキ」連載中)
- プロデューサー:大野哲哉(NTV)、植野浩之(NTV)、太田裕輝(バイオタイド)
- 音楽:平野義久
- 主題歌:「赤い胃の頭ブルース」eastern youth(VAP)
- 脚本:渡辺雄介、ブルースカイ、江本純子(毛皮族)、小林雄次、伊勢尚子
- 演出:井口昇、富永まい、清水厚、高橋巖、落合崇、大野哲哉
- 企画制作:日本テレビ
- 制作協力:バイオタイド
- 製作著作:D.N.ドリームパートナーズ、VAP
キャスト
- 栞:南沢奈央
- 紙魚子:前田敦子
- 洞野:山根和馬
- 鴻鳥友子:松山メアリ
- 早苗:中村朝佳
- マチコ:坂本亜里紗
- 仁美:大和田美帆
- 校長:伊藤幸純
- 宇論:橋本じゅん
- 段一知の妻:高橋惠子(特別出演)
- 段一知:井上順
サブタイトル