機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ
小説
著者:板倉俊之,
出版社:角川グループパブリッシング,
掲載誌:ガンダムエース,
レーベル:カドカワコミックス・エース,
巻数:全4巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』(きどうせんしガンダム ブレイジングシャドウ)は、アニメ作品群『ガンダムシリーズ』の1つで、板倉俊之の小説。芸能人が初めて手がけたガンダム小説である。『ガンダムエース』で連載された。
あらすじ
1巻
ある時、宇宙のジオン残党と通じていたとされる政治家の始末を請け負ってから間もない頃、カイン達『チーム5』は組織の創設者であるルオンズ・ヤージ中将から、中東にあるジオン残党の拠点「ヘルズゲート」の中にいる首魁を暗殺せよとの直々の命を受け、カインはチームメイトのザルフ・ワッケンやリネマ・サントと共に地球へと赴く。
だが、ヘルズゲートの首魁、カノラ・ゾンクシーは裏でヤージと結託しており、彼の真の目的は用済みとなったカインたちを抹殺することだった。真実を知らされたカインたちが激昂し、脱出するための激戦の中、3人の機体は大破。基地に侵入して脱出手段を探すものの、戦いの中でリネマとザルフは戦死する。残されたカインも、ヤージとゾンクシーへの復讐を誓いながら宇宙へ脱出していった。
一方、旧サイド4コロニー「ロディニア」の宙域では、その地の生き残りと一部の軍人で結成された宇宙海賊「シュテンドウジ」が同宙域のジオン残党部隊「ファラク」との交渉を持ちかけられる。しかしジオンによって故郷を失った彼等は協力を拒み、パイロットのウイングス・ハウザーをはじめとした面々は全面抗争を決意。しかし直前にウイングスの妹、セリアがカインの乗った脱出艇を保護し、カインはシュテンドウジの艦「プランダー」に収容された。
意識を取り戻したカインはシュテンドウジを復讐のための潜伏する拠り所と判断。彼等に協力して共にファラクを撃退したのであった。
2巻
一方、手痛い反撃を受けて退いたファラクも、改修された高機動型ゲルググをはじめとした全兵力を以てシュテンドウジを襲撃。熾烈な戦いを繰り広げるも、想定に無かったカインの参入、ウイングスやセリア、フェルナンド達の抗戦、加えてファラク幹部、マハガンの離脱などの要因で多くの兵力を喪失する羽目に陥った。
業を煮やしたファラクの首魁、ロギ・リニトラムは自ら大型モビルアーマー『ウムガルナ』を駆って参戦。ドム・バラッジに乗って応戦したジント・モーグンの死を経て窮地に陥るも、ウイングスの逆撃でロギはウムガルナ諸共虚空に消滅した。
だが、ジントと部下達の正体はかつてサイド4に毒ガスを放ったジオンの脱走兵だった。それを明かされたことでウイングス達は複雑な心境に苛まれ、苦楽を共にしたジントの元部下達と別れることになってしまう。
そしてカインは、念願であったヤージの暗殺に乗り出すべくシュテンドウジのもとを離れてコロニー『ギムナシオン2』に向かうのであった。
3巻
しかしサイド4、ロディニア宙域は前回のファラクとの戦闘によって連邦軍の捜査の手が忍び寄っており、カインと合流したシュテンドウジ面々は海賊稼業の継続困難を悟る。そしてカインの提案によって、彼等は民間軍事会社『マリア・シールド』として再出発を果たす事となった。
一方、政治家に転身して順風満帆にステップを進めていたルオンズ・ヤージは、マリア・シールド社の護衛を伴ってサイド1のコロニーに足を運ぶ。表向きは視察、しかしその目的は、かねてからコンタクトを取っていた『ブレイズ』を名乗る謎のジオン残党との接触だった。
人知れずブレイズとの接触を図るヤージであったが、ブレイズの正体はヤージを狙っていたカイン・ラグナードその人であった。直後にヤージはウイングスやフェルナンド達の協力で苦も無く拉致されてしまう。
ヤージを壮絶な拷問にかけて悪事を洗いざらい吐かせたカインは、その証拠をギムナシオン2にいるチーム6に提示。ヘルズゲート攻略を任として請け負う事になったホーグ達は、訓練やシミュレーションでは得られない「殺し合い」の予感に歓喜しながらもカインに改めて協力する事を約束した。
マリア・シールドの仲間達もウイングスをはじめとして多くがカインの復讐に付き合うつもりでいたが、ウイングスやセリアの幼馴染の青年ミリハスはカインの復讐が仲間達を危険に曝す事を鑑みて密かにヤージを脱出させてしまう。それを察したカインは単身でヤージを捕縛するために宇宙に飛び出していくが、これはミリハスの意図を知ったカインが彼に持ちかけた作戦であり、仲間達を巻き込むまいとした芝居であった。首尾よくチーム6と合流したカインは、全ての因縁の地、ヘルズゲートへと向かうのであった。
4巻
チーム6と共に奇襲を決め有利に戦うカインであったが、モビルアーマー「ゲンブ」2機の戦場投入を機に戦況の逆転を許し、チーム6のジム・メタルスパイダー3機とゲンブ1機が相打ちのかたちとなる。駆けつけてきたマリア・シールドの仲間の協力を得てゲンブ内部への侵入に成功したカインであったが、そこで目にしたのはゲンブの生体制御装置となった、かつての仲間リネマであった。リネマに二度目の死を与えることに躊躇するカインであったが、ゲンブにより追い詰められたマリア・シールドの仲間の危機を救うため、動揺しながらも制御装置を破壊ゲンブの沈黙に成功する。
ヘルズゲート内部への侵入を果たしゾンクシーを追い詰めたカインだが、ゾングシーは自分の死と共に基地が自爆することを告げ、仲間を巻き込めないカインに降伏を迫る。しかしカインはゾングシーの四肢を切断、失血死に至るまで放置することで自爆までの時間を稼ぎ仲間たちと共に脱出に成功。復讐を完遂する。
戦後、チーム6と共に復隊を果たしたカインは、一度は後追い自殺を考えたものの、ザルフとリネマの幻影に諭されて断念。除隊しマリアシールド社の採用試験を受け仲間たちとの再会を果たす。
登場人物
主要キャラクター
カイン・ラグナード
本作の主人公。一年戦争当時は両親とサイド7で暮らしていたが、ジオン公国軍のザクの襲撃で両親を亡くす。ジオンへの復讐を誓った数年後、戦争孤児を集めて編成された地球連邦軍特殊部隊「シャドウズ」に入隊する。
「シャドウズ」チーム5の隊長で、ジムスナイパーIIに搭乗。狙撃の腕前はもちろん、隊長として最前線での判断力にも優れる。同チーム5のメンバーであるザルフ・ワッケンやリネマ・サントからの信頼も厚い。
ヘルズゲートでリネマ、ザルフを喪った後、HLVで宇宙に脱出。サイド4宙域でシュテンドウジに保護され、彼らと協力して敵対していたジオン残党「ファラク」を撃破した。
その後はシュテンドウジの面々と共に民間軍事会社『マリア・シールド社』を立ち上げていたが、同社を護衛に選んだルオンズ・ヤージをサイド1で拉致してヘルズゲート攻略戦への準備を進めていく。
ヘルズゲート戦にてヤージ、ゾングシーへの復讐を果たした後シャドウズに一時復隊するが、除隊しマリアシールド社へ再入社する。
ウイングス・ハウザー
地球連邦軍
ルオンズ・ヤージ
地球連邦軍中将。「シャドウズ」の創設者で、カインたち戦災孤児の後見人。表向きは温厚な人間に見えるが、実は自分の目的のためなら他人を利用し、使い潰す事すら厭わない悪人。退役後に政界に乗り出して首相の座に就くのが目的である。一年戦争直後からジオン残党であるカノラ・ゾンクシーと裏で結託しており、自分が用済みと見なした人間をヘルズゲートに送り込んで始末させていた。
ファラクが壊滅したのとほぼ同じ時期に退役して政治家に転身し、その後は善良な政治家を装いつつ首相になる為に周囲を欺き続けていた。しかしサイド1コロニーに視察に赴いた時、待ち構えていたカインの手で捕らえられてしまう。
その後は想像を絶する拷問によって自らの悪事を暴露するが、後に仲間達の現状を憂いたミリハスの手で脱出させられたが、実は脱出劇は利害の一致したカインとミリハスの作戦であり、カインとチーム6のヘルズゲート攻略戦に強制連行される事となった。
ヘルズゲートにて戦力を暴露するための囮の自動操縦のジム改に乗せられ、今まで処分してきたシャドウズ隊員と同じ死に方をする形でカインに復讐を果たされた。
ザルフ・ワッケン
リネマ・サント
ホーグ
シャドウズの一員で、チーム6を率いる大尉。
一年戦争以前から、生きるために暴力や犯罪行為で身を立ててきた荒くれ者で、自身を『戦うために生きている』と称している好戦的な人物。
パイロットとしての腕はカインにも劣らず、とりわけ強襲戦においてはチームメイトであるサイラス、ローデシアンと共に無類の戦闘力を発揮する。
ヤージの退役発表の際、彼を狙っていたカインを偶然にも発見。ヤージの裏の顔を聞かされた際には彼を一旦帰している。しかしその後、カインの言った事が真実と分かると協力者となり、ヘルズゲート攻略戦に嬉々として臨むことになる。
ゲンブαとの交戦で乗機ジム・ストライカー改〈メタル・スパイダー〉を失うも、敵のザクIを強奪し戦闘を続行する。
戦後はシャドウズに復帰している。
サイラス、ローデシアン
シュテンドウジ
ジント・モーグン
シュテンドウジの母艦であるトラファルガ級母艦『プランダー』の艦長。三十代。精悍な顔と体格をしており、そのためかウイングスたちからは「ゴリラ」と呼ばれている。
ブリティッシュ作戦時にロディニアが毒ガス攻撃を受けた際『プランダー』で寄港中であったため、生き残ったウイングスたちを保護したが、連邦軍に部下ともども見捨てられたため、彼らと共に宇宙海賊を結成する。
実は元ジオン軍人であり、ロギの同僚。ロディニアには毒ガスの効果を確かめる調査部隊の隊長として訪れたがウイングスたちを保護したことをきっかけに同調した約半数の部下たちとともに軍から脱走した。ロディニア難民が連邦軍から見捨てられたというのはこのことを知られないための嘘である。
ファラクとの決戦においてドム・バラッジに乗って出撃しコロニー内に侵入してきたモビルスーツ部隊を撃破する活躍を見せるが、その後のウムガルナとの交戦において撃破され戦死する。
コハネ・アダン
メタノア・ユーク
フェルナンド・ペデス
ハリー・ロッドマン
イアン・ヤシブ
レビン、トレノ
ジオン残党軍
カノラ・ゾンクシー
中東に位置するジオン残党軍の一大拠点「ヘルズゲート」を支配する、ジオン残党軍の首魁。地球圏内でのテロ活動など、多くの悪事に手を染めているが、とある連邦軍高官との取引により、破壊活動だけでなく娯楽と化している連邦軍パイロットの虐殺行為なども黙認されている。また類稀な科学技術の持ち主であり、人道を無視した様々な兵器を手掛けている狂科学者でもある。
罠と知らずに攻めてきたカインたちチーム5を陥れ、配下のドム・バラッジを投入して機体を大破に追い込み、チーム5の一員であるリネマ、ザルフを殺害させた張本人。
元はハイデルベルツ大学の研究所に勤める研究者であったが、連邦軍の兵器開発への協力を拒否したことから陰謀に巻き込まれ妻子を毒殺されジオンに亡命。オデッサにて兵器開発の傍ら妻子を復活させるための研究を行っていた。
自らの心臓停止と基地の自爆装置を連動させていたが、カインによって四肢を切断され緩慢な失血死という形で最期を遂げる。
ロギ・リニトラム
マハガン・レズナー
ロギ・リニトラムの率いる残党組織「ファラク」に属する少尉。愛機は白地に蛇の鱗を模した模様を施されている高機動型ゲルググ
一年戦争当時は学徒兵としてア・バオア・クー戦に駆り出されたが、同じく戦場にいた兄をアムロ・レイの駆るガンダムに撃沈されている。その後は兄の敵であるアムロと再び相見えるという目的のために生き続けてきた。そのため、ジオニズムやニュータイプ理論などの主義主張には全く興味を示さない(ファラクの一員となったのも、自分が生き残るためでしかない)。シュテンドウジとの戦いでも戦況不利と悟ると即座に武器を捨て、配下の残党と共に戦場を去っていった。その後もマリア・シールド社が発足した際に彼等の自作自演に協力している。
ジオンに対して嫌悪の念を持つカインやウイングスを以てしても嫌悪感をあまり感じさせない人物。
髪の色が真っ白であるが、これは兄の戦死を目の当たりにした時の恐怖の名残でもある。
ガルド・クレイズ、アズ・バレン、ヒック・シャーマン
登場兵器
シャドウズ
シュテンドウジ/マリア・シールド社
ジオン残党軍(ヘルズゲート)
ジオン残党軍(ファラク)
地球連邦軍
ジオン残党軍(その他)
用語
シャドウズ (SHADOWS)
部隊名称の「SHADOWS」は部隊の任務である「Scout」(偵察する)「 Hide」 (潜伏する)「Assassinate」(暗殺する)「 Destroy」(破壊する)「 Obey」(~に従って行動する)「 Watch」(監視する)「 Save」(救出する)の頭文字をとったもの。
1チームモビルスーツパイロット3名、全15チームで構成されており、ダークグレーと黒を基調とし左肩に漢字の「影」をかたどった部隊章を入れたモビルスーツを機材とする。部隊所属の母艦を持たないため移動は連邦軍通常部隊に間借りして行う。
その実態は体のいいヤージの裏仕事用の使い捨ての私兵であり、表に出せない任務を完了したチームはヘルズゲートのジオン残党に依頼して処分される。
シュテンドウジ/マリア・シールド社
故郷の廃コロニー「ロディニア」を拠点に海賊行為を行い生計を立てていたが、ジオン残党軍ファラクとの交戦後、元プランター乗員がロディニアを毒ガス攻撃したジオン軍人であることと連邦軍に切り捨てられた事実がないことが発覚。ロディニア難民グループが元プランター乗員を追放し、合法的に居住権を取り戻し宇宙海賊時代の経験を生かせる仕事として宇宙船警護専門PMC「マリア・シールド」社を立ち上げた。
起業時に母艦の名称を略奪者を意味するプランターから守護者を意味するディフェンダーに変更している。
ファラク残党とのマッチポンプにより実績を上げ、業績を拡大。戦艦やモビルスーツを追加で複数所有し、連邦軍からもパイロットをスカウト。サイド6の本社のほかフォン・ブラウンとサイド2にも支社をもち実質的に宇宙船警護業を独占する一大企業となった。