櫂 (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『櫂』(かい)は、宮尾登美子の長編小説。1972年8月に第一部を自費出版し、1973年の第9回太宰治賞を受賞。同年12月および1974年3月に筑摩書房より上下巻にて刊行された。『春燈』『朱夏』『仁淀川』と続く自伝的四部作の第1作で、自らの父母をモデルに、大正から昭和初期の高知の花街を舞台に15歳で渡世人に嫁いだ薄幸の女のひたむきな生涯を描く。
1985年に映画化、1975年と1999年にテレビドラマ化された。
あらすじ
高知の下町に生まれた喜和は15歳で岩伍に嫁いだ。渡世人で女衒である岩伍の稼業に喜和は飛び込んでいった。しかし、生まれ育った環境の違いから、喜和は岩伍の稼業をよしとはせず、二人の関係は破局へと向かった。
登場人物
書誌データ
のちに中公文庫、ちくま文庫、新潮文庫に収録された。
- 私家版 櫂(第一部)(1972年8月、自装)
- 櫂 上(1973年12月、筑摩書房)
- 櫂 下(1974年3月、筑摩書房、ISBN 978-4-480-80105-0)
- 櫂 (上)(1978年、中公文庫、ISBN 978-4-12-200529-7)
- 櫂 (下)(1978年、中公文庫、ISBN 978-4-12-200536-5)
- 櫂(全)(1990年4月10日改版、中公文庫、ISBN 978-4-12-201699-6)
- 櫂(全)(1985年12月4日、ちくま文庫、ISBN 978-4-480-02017-8)
- 櫂(1996年10月30日、新潮文庫、ISBN 978-4-10-129308-0)
- 櫂(全)(1990年4月10日改版、中公文庫、ISBN 978-4-12-201699-6)
映画
東映京都撮影所制作で五社英雄監督、緒形拳および十朱幸代の主演により映画化され、1985年1月15日に公開された。
概要
- 緒形拳・十朱幸代主演で1985年、東映制作で映画化される。『鬼龍院花子の生涯』・『陽暉楼』と合わせ、宮尾登美子原作、五社英雄監督のコンビ作品で「高知三部作」とも呼ばれる。時代設定は大正3年。激しく揺れる人生の荒波に、愛憎の櫂を操る男と女を描く。
- 主題歌は小椋佳の「かなうなら夢のまヽで」
- 予告編ナレーターは来宮良子。
- また、陽暉楼の女将役で宮尾登美子が特別出演している。
キャスト(映画)
富田岩伍 - 緒形拳
富田喜和 - 十朱幸代
富田家で育つ子供たち(実子以外を含む)
菊 - 石原真理子
竜太郎 - 井上純一
健太郎 - 田中隆三
綾子 - 高橋かおり(子役)
岩伍と関わる女たち
大貞(だいさだ) - 草笛光子
染勇(そめゆう) - 名取裕子
豊竹巴吉(ともきち) - 真行寺君枝
松井照(てる) - 白都真理
喜和の実家
小笠原楠喜 - ハナ肇
里江(さとえ) - 園佳也子
富田家で働く人々
庄 - 左とん平
米 - 桜金造
女中 - 藤山直美
その他
森山大蔵 - 島田正吾
谷川文造 - 成田三樹夫
木元武造 - 片桐竜次
松崎 - 成瀬正
竹市 - 島田紳助
スタッフ(映画)
- 原作 - 宮尾登美子(中公文庫版 筑摩書房刊)
- 企画 - 日下部悟朗、奈村協、遠藤武志
- 脚本 - 高田宏治
- 撮影 - 森田富士郎
- 美術 - 西岡善信
- 照明 - 増田悦章
- 音楽 - 佐藤勝
- 編集 - 市田勇
- 監督補佐 - 清水彰
- 整音・録音 - 荒川輝彦
- 記録 - 田中美佐江
- 助監督 - 長岡鉦司
- 装置 - 野尻裕
- 装飾 - 西田忠男
- 衣裳 - 森護
- 美粧・結髪 - 東和美粧
- 擬斗 - 土井淳之祐
- 刺青 - 毛利清二
- 演技事務 - 寺内文夫
- 制作宣伝 - 丸岡艦
- 本社宣伝 - 佐々木嗣郎
- スチール - 渋谷典子
- 方言指導 - 宮川珠季、山崎佳寿江
- 和楽 - 中本敏生
- プロデューサー補佐 - 中山正久
- 進行主任 - 山本吉應
- 撮影協力 - 高知県高知市、熊本県山鹿市、兵庫県西脇市、東映俳優センター、土佐蓮池太刀踊保存会、北村染工場、野市町土佐凧保存同好会、京割烹伊勢勝
- 技術協力 - 極東コンチネンタル株式会社
撮影
撮影は1984年夏、東映京都撮影所で大半行われた。緒形拳は付き人も就けず、一人で同撮影所に来ていた。スチールカメラの渋谷典子に「幼い頃、母親に手を引かれ、あまり家に帰らないで新宿で働く父親のところにお金を貰いについて行ったことがある。父は女衒ではなかったけれど、今やっている役と重なってくるところがあった。僕は苦労して来た母のために家を建ててやりたくて、それまで乗り気でなかったコマーシャルの仕事を引き受けた。その母が亡くなった時、霊安室で久しぶりに会った父と酒を酌み交わし、一緒に歌を歌ったんだが、その時初めて気持ちが通じ合えた」「自分の一番好きな映画は『自転車泥棒』、あの親子関係が何ともいいんだよね」と話してくれたという。フランクな緒形と比べて、無口なのが成田三樹夫で、渋谷は成田と同じ山形県酒田市出身だったことから「私も酒田出身なんです」と言ったが、何の反応もなく、会話も続かず。成田が亡くなってから、同じ町内、同じ小中学校出身だったことを知ったという。
ロケは熊本県山鹿市の芝居小屋「八千代座」。滋賀県琵琶湖。
五社英雄監督作品 | |
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1960年代 |
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1970年代 | |
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テレビドラマ
1975年版
1999年版
1999年5月6日・5月13日・5月20日に、NHK-BS2「衛星ドラマ劇場」にて21時から22時29分に全3話で放送された。翌2000年1月8日、1月15日、1月22日には地上波のNHK総合テレビ「NHKドラマ館」でも21時から22時29分に放送された。
『藏』(1995年)、『春燈』(1998年)の2作品に続く、宮尾登美子原作、松たか子主演による3部作の最終章と位置づけられる。
2021年5月22日にBSプレミアムおよびNHK BS4Kの同時放送で19時30分から23時57分に3本立てで再放送された。
キャスト(1999年版)
- 富田喜和 - 松たか子
- 富田岩伍 - 仲村トオル
- 巴吉 - 藤谷美紀
- 照 - 千堂あきほ
- 小笠原梅 - 林美智子
- 染勇(豊美)- 麻生久美子
- 牛和歌 - 中江有里
- 富田綾子 - 井上真央
- 百鬼勇乃介 - 下川辰平
- 宮下医師 - 室田日出男
- 佐和島真太郎 - 長門裕之
- 大貞 - 加賀まりこ
スタッフ(1999年版)
- 演出:大山勝美
- 脚本:冨川元文
- 音楽:深草アキ
放送日程
受賞
- 第37回(1999年度)ギャラクシー賞 テレビ部門 奨励賞(松たか子)