比類なきジーヴス
以下はWikipediaより引用
要約
1919年に出版された"My Man Jeeves" に続き、ジーヴスシリーズの2作目の短編集である。イギリスでは、ロンドンのハーバート・ジェンキンス社から1923年5月に、アメリカではニューヨークのジョージ・H・ドラン社から同年9月に出版された。
11編の短編を時系列順に構成し直した作品で、長編として扱われることもある。前半の6編と最後の1編は2章に分かれており、全18章から構成されている。
日本では2005年に国書刊行会で『比類なきジーヴス』が、2011年に文藝春秋〈文春文庫 全2巻〉で『ジーヴズの事件簿』が刊行。『比類なきジーヴス』は完訳本であるが、『ジーヴズの事件簿』は主人公バーティーとジーヴズの出会いを描く「ジーヴズの初仕事」やシリーズ第1弾の短編「ガッシー救出作戦」など数編が追加収録されている。2018年、上皇后美智子が自身の誕生日に合わせて発表した文書において、「読み出すとつい夢中になるため、これまで出来るだけ遠ざけていた探偵小説も、もう安心して手許に置けます。ジーヴスも2、3冊待機しています」と言及したため、国書刊行会に注文や問い合わせが殺到するなど話題となった。
収録作品
- 略称:SM - 『ストランド・マガジン』、CP - 『コスモポリタン』、SEP - 『サタデー・イヴニング・ポスト』
文藝春秋版収録作品
※ 訳者が異なるため、各章のタイトルも上記と異なっている。下記には追加収録作品のみ列記する。尚、文藝春秋版は「ジーヴズ」という表記である。
- ジーヴズの初仕事(『それゆけ、ジーヴス』収録)
- バーティー君の変心(『それゆけ、ジーヴス』収録)
- ジーヴズと白鳥の湖(『でかした、ジーヴス!』収録)
- ジーヴズと降誕祭気分(『でかした、ジーヴス!』収録)
- ガッシー救出作戦(特別収録)
登場人物
バーティー・ウースター
ジーヴス
ビンゴ・リトル(リチャード・リトル)
モティマー・リトル(ビトルシャム卿)
あらすじ
ジーヴス、小脳を稼働させる / ビンゴが為にウエディングベルは鳴らず
ジーヴスのアドバイス通り、巷で流行っているロージー・M・バンクスのロマンス小説を読み聞かせることで伯父の警戒心を解いたビンゴは、メイベルとの結婚を了承を得るため、〈ロージー・M・バンクス〉の正体はバーティーだと大嘘を付いていた。
メイベル - ロンドンの場末の喫茶店の給仕。ダンスパーティーで出会ったビンゴに見初められ交際するが、後に別れ、ジーヴスと交際する。
ジェーン・ワトソン - 老リトル氏の専属コック。氏の痛風治療のための食餌制限に尽力し、氏の求婚を受ける。ジーヴスと婚約していた時期もあった。
アガサ伯母、胸のうちを語る / 真珠の涙
アガサ伯母が決めた婚約者アライン・ヘミングウェイとその弟シドニーがバーティーを訪ねてくる。シドニーはカジノで大負けした上、知り合いの大佐から借りた金まですってしまい、困り果てているという。仕方なくバーティーは姉弟に金を貸すが……。
アライン・ヘミングウェイ - バーティーの結婚相手にとアガサ伯母が見初めた女性。
シドニー・ヘミングウェイ - アラインの弟。
ウースター一族の誇り傷つく / 英雄の報酬
偶然にも親友のビンゴがオノリアに恋をしていることを知ったバーティーは、ジーヴスの手を借りずに何とか自分との縁談を破談にし、ビンゴとくっつけようと画策する。
オノリア・グロソップ - ハンプシャーのディタレッジ・ホールに住む女性。ありとあらゆるスポーツをこなし、ミドル級のレスラー並の体格をしている。
オズワルド・グロソップ - オノリアの弟。庭の池で釣りをするのが趣味。ビンゴが小遣い稼ぎのために家庭教師をする。
クロードとユースタス登場 / サー・ロデリック昼食に招待される
バーティーが変人ではないことを証明するため、サー・ロデリック・グロソップとの会食をアガサ伯母がセッティングした。何とかオノリアとの縁談を壊したいバーティーだが、直前の従弟たちとの再会が何かをもたらすか……。
スペンサー - アガサ伯母の執事。ジーヴスとも親交がある。
ロデリック・グロソップ - オノリアとオズワルドの父親。神経の専門家(精神科医)。猫が嫌い。娘と婚約したバーティーの人間性を見極めるためにロンドンへ来る。
ヘンリー - バーティーの亡くなった伯父。寝室でウサギを11匹飼うなど、時折エキセントリックな行動をしたため、家族を困らせた。
クロード&ユースタス - バーティーの双子の従弟。バーティーがオックスフォード大学を卒業する年に入学してきた。
レインズビー卿 - クロード&ユースタスの同級生。
紹介状 / お洒落なエレベーター・ボーイ
これ以上アガサ伯母の怒りを買いたくないバーティーは、バーティーが買った奇抜な色の靴下の件で機嫌が悪いジーヴスに最善を尽くすように頼む。ジーヴスが考えた策とは……。
シリル・バジントン=バジントン - 遊学のために渡米した青年。
ジョージ・キャフィン - バーティーのアメリカの友人。戯曲などを書いている。
ブルーメンフィールド - 劇場のマネージャー。すぐに舞台に口出しをする生意気な息子がおり、関係者に嫌われている。
同志ビンゴ / ビンゴ、グッドウッドでしくじる
グッドウッド・カップにビトルシャム卿の馬オーシャン・ブリーズ号が出走することになり、ビンゴもシャルロットとの結婚資金の足しにと一攫千金を狙って賭けるが、周囲の期待に反してまさかの最下位。ビンゴは再び思想家に変装し、伯父を糾弾するが……。裏では、ビンゴとシャルロットの仲を壊そうとジーヴスが動いていた。
シャルロット・コルデ・ロウボサム - 貴族社会に批判的な思想家の女性。「赤き黎明の使者」の一員。
ブット - 「赤き黎明の使者」の一員。シャルロットを愛しており、婚約一歩手前まで行った時にビンゴが現れた。
説教大ハンデ
スポーツマン精神
都会的タッチ
クロードとユースタスの遅ればせの退場
ビンゴと細君 / 大団円
バーティーの演技と努力の甲斐あって、小遣いの再開にこぎ着けることができた。だが一足早く、ビンゴは例の女性と結婚してしまったと報告してきた。事後ながら何とか伯父の了解は得たものの、ビンゴの新妻が自分がロージー・M・バンクス本人だと打ち明けたことから事態は混乱する。ジーヴスはいかにしてこの事態を収めるのか。