小説

氷の涯




以下はWikipediaより引用

要約

氷の涯 (こおりのはて)は、『新青年』1933年(昭和8年)2月号に発表された、夢野久作の手記形式の中編探偵小説である。ロシア内戦中の満州内ロシア租借地 (東清鉄道附属地) のハルピンを舞台とする。

あらすじ

登場人物の一人である上村作次郎が、シベリア出兵中の大正9年(1920年)に書き残した手記という体裁をとっている。帝国陸軍の一等卒に過ぎない上村作次郎は、とある大事件に巻き込まれ日本軍・白軍・赤軍の三方に睨まれることとなり、特に日本官憲には「売国、背任、横領、誣告、拐帯、放火、殺人、婦女誘拐」等々の罪で追い詰められることとなった。手記は、その真相と結末を綴るものとなっている。

登場人物

上村作次郎

この手記の語り手。女嫌いの文学青年であり、探偵趣味を持つ。東京美術学校 (現東京芸術大学) を中退し、ピアノ弾きからペンキ職人に転落したあと帝国陸軍に徴兵された。ロシア内戦が起きると、北満守備のために一等卒として満州へと出征した。満州では満州通となり、司令部に重宝されるようになっていた。十五万円事件で捜査本部附きとなるも、退屈さから探偵の真似事を始め、事件に関わっていく。
オスロフ・オリドイスキー

白軍の総元帥であり、セミョーノフ将軍及びホルワット将軍(ロシア語版)を従えてシベリア王国の建設を計画していた。また、日本軍に家屋を提供していた。近ごろは旅行がちとなっていた。
ニーナ

オスロフの養女。19歳だが、化粧により幼く見える。自称コルシカ人とジプシーのハーフ。酒を飲むと悪魔のような記憶力を表す。
富永トミ

大衆料理店および待合店「銀月」の女将。「銀月」は十五万円事件で捜査を受けていた。
坂見芳太郎

大衆料理店および待合店「銀月」の会計係。
星黒

経理室附きの二等主計。十五万円事件に関与する。
十梨

司令部附きのロシア語通訳。ホルワット将軍の手記の翻訳を任されていた。十五万円事件に関与する。

登場場所

当時ハルピン付近には、旧市街 (傅家甸)と新市街 (東清鉄道附属地)が存在した。

傅家甸 (現道外区)
旧市街であり、中国人街であった。
新市街 (秦家崗、現南崗区)
ロシア人街となっていた。
埠頭区 (現道裏区)
商区。キタイスカヤ街 (中央大街)やトルコワヤ街 (買売街)がある。日本人はここに住んでいた。
ナハロフカ
貧民街。