氷菓 (小説)
舞台:高等学校,
以下はWikipediaより引用
要約
『氷菓』(ひょうか)は、2001年11月に刊行された米澤穂信の推理小説。『〈古典部〉シリーズ』第1作であり、著者のデビュー作である。第5回角川学園小説大賞内で新設されたヤングミステリー&ホラー部門で奨励賞を受賞後、角川スニーカー文庫〈スニーカー・ミステリ倶楽部〉から刊行された。
角川文庫の「カドフェス杯2012」において総合第3位・大学生が選んだ第1位、「カドフェス杯2016」「カドフェス杯2017」において高校生が選んだ第1位であった。
2012年にテレビアニメ化(#テレビアニメ参照)および漫画化(#漫画参照)。2017年11月3日に実写映画公開(#実写映画参照)。
概要
本作は、元々は賞への投稿を意識して自身のサイト上で公開し、オンライン小説を公開するホームページのポータルサイトでミステリー部門の1位を取ったこともある連作短編形式の小説であり、賞への投稿の際に長編に改編された。文庫版の英題は「You can't escape」で、後に「The niece of time」へと変更された。
古典部の結成から、古典部の前に現れる日常の謎を連作的に展開しながら古典部部長・千反田えるの伯父・関谷純に関わる過去に纏わる謎を解いていくまでの高校入学の4月から夏休みに入って間もない7月末の出来事を描く。本作では、著者が小説家を目指すきっかけとなった北村薫著『六の宮の姫君』のようにテキスト・クリティークを重ねてミステリを作る手法と、後半ではアントニー・バークリー著『毒入りチョコレート事件』の要素が取り入れられている。なお著者はあとがきにおいて、本作は部分的に実際にあった「ささやかな」事件に基づいており、その事件を小説に仕立てる上ではデフレスパイラルの模式図とNHK教育で放送されていたテレビドラマ『サブリナ』から大いに影響を受けたと記している。
あらすじ
何事にも積極的に関わろうとしない「省エネ主義」を信条とする神山高校1年生の折木奉太郎は、姉・供恵からの勧めで古典部に入部する。しかし、古典部には同じ1年生の千反田えるも「一身上の都合」で入部していた。奉太郎とは腐れ縁の福部里志も古典部の一員となり、活動目的が不明なまま古典部は復活する。そして、えるの強烈な好奇心を発端として、奉太郎は日常の中に潜む様々な謎を解き明かしていく。
ある日、奉太郎はえるから助けを求められる。それは、彼女が元古典部部長の伯父から幼少期に聞かされた、古典部に関わる話を思い出したいというものだった。奉太郎の幼馴染で里志に好意を持つ伊原摩耶花の入部後、古典部の文集『氷菓』がその手掛かりだと知った奉太郎は、仲間たちと共に、『氷菓』に秘められた33年前の真実に挑むことになる。
各章ストーリー
ベナレスからの手紙〜伝統ある古典部の再生
名誉ある古典部の活動
事情ある古典部の末裔
由緒ある古典部の封印
栄光ある古典部の昔日
歴史ある古典部の真実
未来ある古典部の日々〜サラエヴォへの手紙
真相
奉太郎が、える、摩耶花、里志の用いた資料と仮説から読み解いたのは、33年前、神山高校で当時の校長が学力重視の方針を打ち出し、また学生を連帯させ運動を激化させる可能性を潰すために文化祭の縮小を目論んだが、生徒たちは反発、関谷純がそのリーダーとして反対運動を展開、6月に非暴力による実力行使を行い、文化祭は縮小されずに済んだが、学校はほとぼりが冷める文化祭の後に関谷純を退学処分にしたということだった。
しかし供恵の一言で、33年前の事件で退学になったことは関谷純も本意だったと思っていた推理に補完が必要と感じた奉太郎は、古典部の仲間と共に『氷菓 第二号』の序文の著者・郡山養子=神山高校司書・糸魚川養子に関谷純の真意を問う。糸魚川は、関谷純が学校側の処分を恐れる反対運動のメンバーたちによって名目上のリーダーに祭り上げられていたこと、運動の最高潮に達したある日の夜、生徒たちがキャンプファイアーをした際に格技場で火事が発生したこと、火事はボヤ程度だったが老朽化していた格技場は消防車の水圧で半壊してしまったこと、学校側が事態拡大を嫌ったことで警察の介入はなかったが、文化祭終了後にそれを問題にし、名目上のリーダーであった関谷純がその責任を負って退学に追い込まれたことを告げる。そしてその話から「カンヤ祭」の語源が関谷の名字から取られたことが明らかになる。
しかし、関谷純が命名した『氷菓』の意味だけは糸魚川でもわかっていなかった。ただ一人その意味に気付いていた奉太郎は、『氷菓』の読み解き方を教える形で、その意味を伝えていく。ようやくその真意に気付いたえるは幼少期に関谷純から「強くなれ、弱いままなら悲鳴を上げられなくなる日がくる」と言われ、生きたまま死ぬ恐ろしさで泣いたことを思い出した。
『氷菓』は関谷純が駄洒落を通じて自身の想いを託して命名していた。『氷菓』=「アイスクリーム」→「I scream(私は叫ぶ)」と。
登場人物
「声」はテレビアニメ版『氷菓』での担当声優。「演」は実写映画でのキャスト。詳細な情報は「〈古典部〉シリーズ#登場人物」へ。
折木 奉太郎
千反田 える
伊原 摩耶花
折木 供恵
遠垣内 将司
声 - 置鮎龍太郎
神山高校3年E組・壁新聞『神高月報』を発行する壁新聞部部長。
実家は千反田家を含む「桁上がりの四名家」(里志提唱)と対抗できるとされる教育界の重鎮で、家柄の関係上、えるとも面識がある。
テレビアニメ
2012年、『〈古典部〉シリーズ』が『氷菓』のタイトルでアニメ化された際は、アニメの第1話から第5話の間で本作のストーリーが展開されたが、時系列は4月から6月頃までの間となっている。また、原作の2000年からアニメ放映がされた2012年に年月が変更されたことから、関谷純の身に起きた「33年前の出来事」が「45年前の出来事」へと変更されている。
漫画
よしだもろへ版
タスクオーナ版
『〈古典部〉シリーズ』がタスクオーナ作画により『氷菓』のタイトルで、『月刊少年エース』2012年3月号より連載されている。本作は第一話から第九話の間でストーリーが展開された(コミックス1巻から3巻に収録)。テレビアニメと同様、関谷純の身に起きた「33年前の出来事」が「45年前の出来事」へと変更されている。
実写映画
2017年11月3日公開。劇場公開数は225館。興行収入ランキングでは初登場時にはベスト10圏外だった。
2016年2月24日、KADOKAWAが発表した2016 - 2017年のラインナップに示された映像化プロジェクト始動作品の中で、『氷菓』(ひょうか)のタイトルで実写映画化されることが判明した。3月22日にロケ地の栃木県足利市映像のまち推進課ホームページ上でエキストラの募集が締め切られた後、3月25日には群馬県安中市のホームページ上でもエキストラの募集が告知された。
テレビアニメ版、漫画版が2012年に舞台を変更したのに対して、実写映画では原作通り2000年が舞台に設定されている。
キャスト
- 折木奉太郎 - 山﨑賢人
- 千反田える - 広瀬アリス
- 伊原摩耶花 - 小島藤子
- 福部里志 - 岡山天音
- 関谷純 - 本郷奏多、眞島秀和
- 糸魚川養子 - 斉藤由貴
- 折木供恵 ‐ 貫地谷しほり(声のみ)
スタッフ
- 脚本・監督 - 安里麻里
- 原作 - 米澤穂信
- 音楽 - 林祐介、OLO
- 主題歌 - イトヲカシ「アイオライト」
- 撮影 - 月永雄太
- 照明 - 木村匡博
- 録音 - 藤丸和徳
- 美術 - 西尾共未
- 装飾 - 堀口浩明
- 編集 - 村上雅樹
- VFXスーパーバイザー - 道木伸隆
- 音響効果 - 大河原将
- 助監督 - 野尻克己
- スタントコーディネーター - 高槻祐士
- 画コンテ - 酉澤安施
- イラスト - 飯田将基
- ラボ - IMAGICA
- ラインプロデューサー - 梶川信幸
- エグゼクティブプロデューサー - 井上伸一郎
- 製作者 - 堀内大示、三宅容介、勝股英夫、阿南雅浩、宅間弘治
- プロデューサー - 小林剛、山形亮介
- 配給 - KADOKAWA
- 制作 - 角川大映スタジオ
- 製作 - 「氷菓」製作委員会(KADOKAWA、ポニーキャニオン、エイベックス)