渦 (松本清張)
以下はWikipediaより引用
要約
『渦』(うず)は、松本清張の長編推理小説。テレビの視聴率調査現場をモチーフに著者が構成したミステリー長編。「黒の線刻画」第2話として『日本経済新聞』に連載され(1976年3月18日 - 1977年1月8日付)、1977年11月に日本経済新聞社から刊行された。
あらすじ
テレビ局関係者に大きな影響力を持ち、番組編成を左右している視聴率。しかし、実際、その集計は信用に値するものなのか?
視聴率調査の実体を探るため、劇団出入りの小山修三ら3人は、視聴率調査会社「TVスタディ」の監視を開始した。その結果、何度かの失敗を経て、集計現場の尻尾をつかまえる。ところが、間もなく、小山らの突き止めた回収員の女性が失踪し、さらに、TVスタディ社の実務担当者が退社し、姿を消してしまう。小山らは周辺の不審人物の動静を探るが、怪しい材料が次から次へと浮上し、なかなか真相が掴めない。果たして、事件に仕掛けられたトリックを見破ることはできるのか?
主な登場人物
エピソード
- ビデオリサーチ社長(当時)の森崎実は、本作の連載終了後にコメントを出し、作品中に描かれるサンプル回収員の尾行や買収に関する噂が実際に存在し、小説中の視聴率調査に関わる描写がだいたい事実であることを認めている。
- 本作執筆のきっかけは、著者が未知の女性から受けた手紙であり、小説冒頭の手紙はその内容をほぼ反映したものであると著者は述べている。
そのわけを兄にきいてみましたが、はじめのうちはなかなか口をひらきませんでした。そのうち、ようやくわかったことは、兄がプロデュースしたある連続ドラマの番組が視聴率の低下のためにスポンサーから苦情が出たりなどして途中でうち切られ、あとの制作の仕事もあたえられないということでした。・・・ — 「着想ばなし2 - 渦巻きと海岸」(抜粋)
- 『黒の線刻画』の第二話が視聴率をテーマにしたものになると決まると、当時日本経済新聞の電波担当だった中川順が、東京12チャンネルの編成部長だった石光勝に「現場からみた視聴率の話をするように」と松本宅に行かせた。石光が持参した資料の中に、当時モニター世帯に置かれていた視聴率測定装置の記録テープがあり、このテープの回収にまつわるエピソードを話したところ、清張は非常に興味を持ち、一度では足らず日を改めて松本宅を訪れたという。
脚注・出典
注釈
出典
参考文献
- 梓林太郎『回想・松本清張 - 私だけが知る巨人の素顔』(2009年、祥伝社文庫)…本作の裏話に言及。