溺れるナイフ
漫画
作者:ジョージ朝倉,
出版社:講談社,
掲載誌:別冊フレンド,
レーベル:講談社コミックス別冊フレンド,
発表期間:2004年10月 - 2013年12月13日,
巻数:全17巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『溺れるナイフ』(おぼれるナイフ)は、ジョージ朝倉による日本の漫画作品。『別冊フレンド』(講談社)にて、2004年11月号より2014年1月号まで休載を挟みながら連載された。単行本は全17巻。
作者曰く、題名中の「ナイフ」とは「十代の自意識」であり、破裂寸前の十代のこころと、剥き出しの刃物のような青春の情景を多彩に描き、読者から高い支持を集めている。
2016年3月時点での累計発行部数は150万部である。
年表
『別冊フレンド』にて2004年11月号より連載開始。2005年4月号まで掲載され、休載を経て同年9月号に再開。2006年2月号まで連載されるが休載、同年5月号より再開され、12月号まで掲載。2007年3月号から連載し、同年11月号から休載となったが、2009年2月号の掲載を経て、6月号より連載を再開。
2009年8月に発売された単行本第8巻の帯には荒木飛呂彦がコメントを寄せ、ジョージが「ジョジョ立ち」を意識して描いたという手描きのポップイラストが書店の店頭で展開された。
休載を挟んで2010年7月号より連載が再開。
同誌2012年4月号にはジョージの過去作『恋文日和』と本作のコラボエピソードが掲載。本作の江波と同級生の恋を描いた話となっている。同年5月号でもコラボし、本作の国広鈴香と教育実習生の話が描かれた。2012年7月に単行本第13巻と同時発売された『愛蔵版 恋文日和』の第1巻に江波の話、第2巻に鈴香の話がそれぞれ収録されている。
休載後、2012年6月号より1年2カ月ぶりに再開し、同年10月号まで連載。2013年1月号から再開し、2014年1月号で完結した。
2014年11月に発売された『創作人』VOL.3ではジョージの特集が組まれ、ギャラリーページでは本作の扉絵などが掲載。
2015年10月に本作の実写映画化が決定。その際にジョージは本作について「実写映像化できない様な漫画にしようと思って描いていた」と述べている。映画は2016年11月5日に公開された。
2020年9月25日に公開の映画『マティアス&マキシム』と本作がコラボレートし、映画の人物を夏芽と航一郎に置き換えたイラストが描きおろされた。
あらすじ
東京で雑誌モデルをしていた小学6年生の美少女望月夏芽は、ある日突然父の故郷である浮雲町(うきぐもちょう)に引っ越すことになる。東京から遠く離れた田舎町には刺激がなく、自分が欲する「何か」から遠ざかってしまったと落ち込む夏芽だったが、長谷川航一朗(コウ)に出会い、強烈に惹かれていく。
登場人物
望月 夏芽(もちづき なつめ)
長身でほっそりとした手足と綺麗な顔立ちの美少女。刺激的な「何か」を欲し、東京にいた頃はモデルの仕事もしていた。家は旅館「ひねもす屋」を経営。弟がいる。小学6年生のころに家庭の都合で浮雲町に引越し、そこでコウと出会い強烈に惹かれていく。目立つ外見や出身の違いからなかなか周囲に溶け込めなかったが、その「浮いた」雰囲気が有名カメラマン広能の目に留まり、写真集のオファーをうける。夏芽は「自分の力を試したい」との想いからオファーを受諾、中学生になった頃、その写真集をきっかけにコウとつきあうことになる。
CMや映画の出演も決まりすべてが順調だったのもつかの間、熱狂的なファン・蓮目による拉致と強姦未遂にあい、芸能活動を辞めざるを得なくなる。事件の際怪我をしており右耳が聞こえづらくなっているが、周囲には黙っている。事件をきっかけにコウとも破局し、心を閉ざしてしまった夏芽は学校でも居場所を失う。しかし、中学3年生になり、友人だった大友の告白をうけて付き合うようになってからは明るさを取り戻しはじめる。
それからは平凡で幸せな毎日を送っていたが、カメラマン広能との再会で、戻るつもりのなかった芸能界の高揚感を再び味わう。拉致事件のトラウマや現在の生活とのバランスに悩みながらも、ドラマ出演を決意し、再び芸能活動を始めた。
長谷川 航一朗(はせがわ こういちろう)
通称コウ、コウちゃん。地元の元大地主「長谷川家」の跡取り息子。姉がいる。家は「長谷川産業」を経営しており、山を一つ所有するほどの金持ちで、浮雲町の人間なら必ずなんらかの世話になっているため誰も頭が上がらない。コウはそんな長谷川家の本家の跡取りという大きなプレッシャーを背負っており、また、長谷川家の血筋で少しだけ霊感のようなものがあったことから、家族や周囲の大人から過剰に期待されたり、失望の眼差しを向けられる環境にあった。そのせいか、幼稚園の頃は非常に暴力的で荒れており、周囲から怖がられていた。しかし不思議な力を持つ曾祖母に数珠を授けられた頃から落ち着き、小学校では皆の輪の中心に立つ人物になる。小学6年生のころに夏芽と出会い、中学に上がり夏芽と付き合い始める。しかし拉致事件の際に夏芽を助けられず、その後破局。再び暴力的な性格が目立ちはじめ、夏芽はもちろん親友の大友とも疎遠となり、喫煙、後輩いびりなどの悪行を繰り返すようになる。
学校での成績は良くないようだが、第一志望校は偏差値70であること、実は読書家でカミュの『シーシュポスの神話』を読んでいる描写やあらゆる近現代の思想家の著書で埋め尽くされた自室の描写があることなどから、本来は知的な人物であることが伺える。また、公の場では、長谷川家の息子にふさわしい堂々として大人びた振る舞いを見せる。
家庭は複雑で、財産目当てで現れた先代の愛人の子・薫に疎まれている。町では「コウの母・冬美は舅である先代に孕ませられてコウを生んだ」と噂されている。冬美はそのせいで気が狂い、幼いコウの首を絞めているところを見つかって神さんの海に身を投げ、いまだに死体があがらないという。
大友 勝利(おおとも かつとし)
夏芽のクラスメイト。コウの元親友。おおらかで優しく明るい性格で、幼い頃、荒くれものだったコウにも臆せず近づき、親友となる。コウのことが大好きで、彼女になった夏芽のことが気に食わなかった。しかし、コウの素行が悪くなり始め、ある日大友の友人がリンチされた際、その場にいたコウが他人事のような顔をしていたことに失望し、交流がなくなる。
夏芽とは長いこと腐れ縁でお互い全く意識していなかったが、中3の夏休みから付き合い始める。夏芽のドラマ出演には賛成していなかったが、カメラの前で生き生きとしている姿を見て心が突き動かされ、芸能活動に臆している夏芽を後押しした。
幼い頃から地元の海で遊んでいたため、サーフィンが得意。兄が、昔は地元で有名な暴走族だったため、その筋の人からは「あの大友クンの弟か!」と言われる。現在は、夏芽に触発されて買ったギターの練習にあけくれている。
松永 カナ(まつなが カナ)
夏芽のクラスメイトで、浮雲町での夏芽の最初の友達。実家は喫茶店「こけもも」。地味で太めの体形とおどおどした性格で小さいころから周りにバカにされている。そのため周囲には隠していたが、ファッションや美容に興味があり、夏芽が転校してくる前から愛読雑誌『プラム』のモデルであった夏芽のファンだった。また、幼稚園のころからずっとコウが好きで、追い払われても側を離れなかったためコウに海に落とされたことがある。そんな「憧れの二人」が惹かれあっているのを知ると、「運命で結ばれたカップル」として神聖視するようになり、自分が付き合うよりも夏芽とコウが二人一緒にいるときの輝きを見ている方がいいと言っている。
拉致事件後、すれ違う2人をとりもとうとした行動が裏目に出て、それが夏芽たちの破局の直接のきっかけとなってしまう。大きくショックを受けるが、それをきっかけに「運命を変える決心の証」としてピアスを開け、大胆にイメチェン。クラスで孤立した夏芽と唯一仲良くしていたクラスメイトだったが、今でも自称「コウの信者」で、コウを救えるのは夏芽だけだと思っているため、夏芽が大友とつきあうことを知り激怒した。それ以来夏芽とあまり交流がない。
西条桜司(さいじょう おうじ)
西条薫(さいじょう かおる)
広能晶吾(ひろのう しょうご)
早瀬(はやせ)
上原(うえはら)
じゅり
国広 鈴香(くにひろ すずか)
武田(たけだ)
舞台
浮雲町(うきぐもちょう)
神さんの海
月ノ明リ神社
著名人からの評価
ジョージと親交のある荒木飛呂彦は『ダ・ヴィンチ』(メディアファクトリー)2012年10月号にて、「『溺れるナイフ』は最高傑作」と本作を推薦するコメントを述べている。
Base Ball Bearの小出祐介は音楽制作において、本作のセリフに影響を受けているという。
書誌情報
- ジョージ朝倉 『溺れるナイフ』 講談社〈講談社コミックスフレンド B〉、全17巻
- 2005年3月10日発売、ISBN 4-06-341418-3
- 2005年10月12日発売、ISBN 4-06-341447-7
- 2006年4月13日発売、ISBN 4-06-341468-X
- 2006年10月13日発売、ISBN 4-06-341491-4
- 2007年2月13日発売、ISBN 978-4-06-341511-7
- 2007年7月13日発売、ISBN 978-4-06-341532-2
- 2007年12月13日発売、ISBN 978-4-06-341552-0
- 2009年8月10日発売、ISBN 978-4-06-341636-7
- 2010年1月13日発売、ISBN 978-4-06-341688-6
- 2010年6月11日発売、ISBN 978-4-06-341662-6
- 2010年11月12日発売、ISBN 978-4-06-341714-2
- 2011年5月13日発売、ISBN 978-4-06-341743-2
- 2012年7月13日発売、ISBN 978-4-06-341810-1
- 2012年11月13日発売、ISBN 978-4-06-341826-2
- 2013年5月13日発売、ISBN 978-4-06-341858-3
- 2013年11月13日発売、ISBN 978-4-06-341884-2
- 2014年02月13日発売、ISBN 978-4-06-341901-6
映画
実写映画化作品が、2016年11月5日に公開された。監督は山戸結希が担当。主演は小松菜奈、菅田将暉。
キャスト
- 望月夏芽 - 小松菜奈
- 長谷川航一朗(コウ) - 菅田将暉
- 大友勝利 - 重岡大毅(ジャニーズWEST)
- 松永カナ - 上白石萌音
- 広能晶吾 - 志磨遼平(ドレスコーズ)
- 堀内正美、斉藤陽一郎、市川美和子、ミッキー・カーチス ほか
スタッフ
- 監督 - 山戸結希
- 脚本 - 井土紀州、山戸結希
- 音楽 - 坂本秀一
- 主題歌 - ドレスコーズ「コミック・ジェネレイション」
- 音楽プロデューサー - 菊地智敦
- 撮影 - 柴主高秀
- 照明 - 宮西孝明
- 録音 - 飴田秀彦
- 整音 - 山本タカアキ
- 音響効果 - 齋藤昌利
- 美術 - 三ツ松けいこ
- 衣装 - 伊賀大介
- VFXスーパーバイザー - オダイッセイ
- スタントコーディネーター - 出口正義
- ラボ - 東映ラボ・テック
- ロケ協力 - わかやまフィルムコミッション、熊野しんぐうフィルムコミッション、新宮市、田辺市、串本町、那智勝浦町 ほか
- 企画 - 瀬戸麻理子
- Coプロデューサー - 永田博康
- プロデューサー - 朴木浩美
- 企画協力 - 松竹撮影所
- 製作委員会メンバー - ギャガ、カルチュア・エンタテインメント
映像メディア
DVD
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