無頼伝 涯
以下はWikipediaより引用
要約
『無頼伝 涯』(ぶらいでん がい)は、福本伸行による日本の漫画作品。
概要
冤罪に陥れられた少年・工藤涯の自らの無実の証明と更生施設「人間学園」からの脱獄までの闘い、真の自由と自立を追い求める姿を描く。
本作は福本が『熱いぜ天馬!』以来、久しぶりに『週刊少年マガジン』に挑戦した作品で、内容は、少年犯罪・監禁・矯正など、少年誌では表現の難しいテーマを扱っており、格闘や脱走などアクションシーンを多分に盛り込むなど、今までの福本作品とは一線を画している。
だが、その甲斐もなく結局は1年未満で打ち切られることとなり、福本自身も「読者の心情を読めず、不人気の末に打ち切られた失敗作である」と認め、その原因については展開が遅すぎたためと分析している。
2011年10月28日に新装版がKCDX(B6版)として刊行された。
登場人物
主要人物
工藤 涯(くどう がい)
本作の主人公。中学3年生の14歳。顔の右半分を覆う稲妻状の火傷痕が特徴。天性の格闘センスと自己鍛錬により、人間の認識速度を上回るパンチを繰り出すことができる。
生まれて間もない頃から孤児として養護施設で育ってきた。中学生になると、親に養われながら好き勝手に生きる同級生を軽蔑し他人の庇護下で生きることを嫌い、そして施設の世話になっている自分に苛立つ日々を送っていた。自立を志し町を彷徨っていたところ、不動産に居座り立退き料を迫る占拠屋の池田に買われ、廃屋に一人自由に10ヶ月間暮らす。しかし、厳しい現実に直面しそこで起こした騒動によって居場所を失ったところ、富豪・平田に利用され殺人の濡れ衣を着せられる。逃亡の末に投降した涯は、「人間学園」に入所することになる。
人間学園に服従することを極端に嫌って散々痛めつけられるが、自身の生存と打倒平田を目指し続ける。二度目の脱走に成功した際、危機に陥ったところを小川に救われる。このことが、「人間は時として誰かの助けが必要」であることを実感することになり、自分のこれまでの生き方や考え方を改めることになる。
最終的には奴隷化された人間学園の生徒たちに「外に出られる希望」を伝播し、人間学園の脱出に成功すると同時に、冤罪が認められ、人間学園の生徒から解放されることになる。
安部守宏(あべ もりひろ)
本作の裏主人公。飯田橋警察署の警部・生活安全課に所属。年齢は50歳間近。
逃亡中の涯と対峙し眼球を潰されそうになるが、「お前は無力だ」「本当に無実だと言うなら証明して見せろ」などと説得し、投降させることに成功する。違法業者と癒着し、ノミ屋の博打にはまって借金を重ね、別れた子供への養育費も滞らせるなど散々な生活を送っていた。
逮捕後は報道内容から涯が冤罪を着せられたと確信し、それを元に平田から大金を得ようと涯に協力する。最終回では脱獄に成功した涯と再会し、平田の父・隆鳳の殺害の証拠を渡され、直接的な描写はないものの平田の逮捕に成功したことを示唆した。
出版された単行本に「阿部」と名前を誤植されたことがある。
人間学園の関係者
その他
用語
人間学園
本作の主要舞台。東京から離れた、とある孤島に建てられた少年更生施設。創立者は平田。
その実態は、職員は(殺傷能力はないが)銃器を平然と利用し、洗脳教育によって社会や権力者に従順な人間にすること、時には事故を装って抹殺することを目的とする監獄である一方、将来有望な権力者の子弟が犯罪を犯した際、彼らを保護すべくその罪を着せられた者を収容する施設でもある。ただし、そうした人間は収容者全体のわずかな割合であるとされる。
単行本
少年マガジンコミックス(講談社、全5巻)
少年マガジンコミックスデラックス(講談社、全4巻<新装版>)
- 単行本は全5巻、少年誌としては珍しく著者コメントやあらすじ解説は掲載されていない。
- また、講談社プラチナコミックス(KPC)としてコンビニコミック版が2005年に全4巻、2008年、2009年には全2巻で発売された。なお、コンビニコミック版では一部の個人名などを除いて振り仮名が削除されている。
- 2011年に新装版が発売されたが、上記のKPC版の版を使用しているため、振り仮名は削除されたままである。