燃える!お兄さん
以下はWikipediaより引用
要約
『燃える!お兄さん』(もえる!おにいさん)は、佐藤正による日本の少年向けギャグ漫画作品。または、それを原作としたテレビアニメ、OVA、ゲームソフト。
概要
1987年から1991年まで、集英社の漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』にて連載。連載開始以前に1986年の『週刊少年ジャンプ・ウインタースペシャル』に、読み切り作品『燃える!おにーさん』として掲載された。鳥山明のカラー原稿が間に合わず、佐藤に代原の依頼が回ってきたのがきっかけだという。2度の読切掲載を経て連載となった。
本作品は“お兄さん”こと主人公ケンイチと、その周りの人々の非常識な日常を描いたドタバタギャグ漫画であり、さらには学園でのイベントを絡め、また中期以降は宇宙人の襲来といった格闘ギャグ路線へと発展。終盤では格闘要素を排除し、ショートコント風のシリーズなども取り入れた。作中では「動物語」というシステムが存在し、動物(哺乳類と鳥類)やケンイチなど一部の人間が使うことができる。動物語を話す時は吹き出しの線が二重になっている。
本作は暴力・破壊描写をはじめ、金属バットで殴打、大量出血、違法行為や殺意を込めた心情描写、身体の一部(耳や指)を切り落とされたり、主人公のせいで半身不随になるキャラクターが出てくるなど、過激なギャグ表現が多い(後に刊行の文庫版では一部台詞が変更されている)。
また、知的障害者や人格破綻者をネタにした差別的な表現も少なからずあり、それが災いして1990年10月9日発売の第45号の「サイボーグ用務員さんの巻」は自治労など用務員が関係する労働組合・団体の抗議により、掲載号が回収される事態を引き起こした。なお「サイボーグ用務員さんの巻」は出版社側の提示にもとづき、単行本に収録されていない(詳細は週刊少年ジャンプ#『燃える!お兄さん』職業差別事件を参照)。
一旦連載終了したあとに『燃える!お兄さん2』とタイトル変更され再開。単行本、文庫版では『燃える!お兄さん』のまま巻数も通算しており、単行本の18・19巻、および文庫版の11巻後半から12巻が『燃える!お兄さん2』に該当する。
最終回のナレーションは『ジャンプ』掲載時と単行本では修正されており、掲載時では尊大な文章で本作のことを記憶しているかは読者に委ねた上で、「このマンガにメッセージはなにもない」と書かれていた。
電子書籍
2013年7月13日より「マンガ図書館Z」にて順次無料公開された。この版はセリフを作者のネームどおりに戻し、細かい作画のミスを修正した特別バージョンとなっている。ただし、作者の意向により「サイボーグ用務員さんの巻」およびロボット君が放射能漏れを起こす回は掲載されていない。なお、2017年3月12日をもって取り下げられている。
他に、TORICOが運営する「漫画全巻ドットコム」からもアプリ版が配信されている。
あらすじ
国宝 憲一は幼い頃、父親の憲吉の不注意から川に流され、山で行方不明になってしまう。しかし、山に住む玄米茶に拾われた憲一は野生児としてたくましく成長する。そして本当の家族と街への憧れから憲一は下山し、程なく本当の家族と再会する。しかし憲一には都会の知識や常識がまるでなく、本人の人間離れした身体能力もあいまって、普通ではないトラブルに満ちた日常が繰り広げられるのであった。
舞台は東京都に存在するとされる架空の市、「是羽市」(これわし)。第一部の中学生編では「是羽市立第二中学校(是羽二中)」、それ以降は「是羽市立第二高等学校」が主な舞台である。
登場人物
国宝家
国宝 憲一(こくほう けんいち / お兄さん)
声 - 矢尾一樹、丸山裕子(赤子時)
主人公。玄米茶流空手の使い手。年齢は原作開始時15歳。1974年の夏に山で行方不明になり、13年間山の中で育ったために都会の常識は何一つ知らない。そのため、山を降りてからは毎回様々なトラブルを巻き起こす。野生児だけあって、身体能力が異常に高く陸上競技なら全種目で金メダルを狙えるほどであり、作中ではソウルオリンピックの日本代表として招聘され出場した。しかし、唯一水泳だけは苦手。身長188cm、体重110kg。
今まで学校で勉強したことが無いため、妹である雪絵と同じ学年に編入する。勉強はまったくできず、無理に勉強すると頭の回路がショートしてスパークしたり、爆発する。動物と会話ができるなど、動植物に関する知識は豊富(ただ、育った山の中で見られる以外の動植物知識はそれほどでもない)。
一人称は「おにーさん」で、語尾に「 - のだ」をつける。歳上の人物相手でも、自称が「おにーさん」になることは珍しくない。連載初期の頃は「私」と言うこともあった。また、「あう!」が口癖。普段は空手着姿で、下着はふんどし。泳ぐ時もふんどし一枚である。当初は身長は高かったが、連載が進むにつれ2 - 3頭身になり、連載終盤では頭が禿げたり教室で寝小便を漏らしたりとキャラクターの変貌が著しくなる。
「クルクル波(パー)」などの技を持つ。また、敵から攻撃を受け続け、極限状態に追い込まれると「目にあまるほど防衛現象」として白目をむき、普段の数倍のパワーを発揮する。動物に関することで負けるのは非常に悔しいらしく、勝つためなら残酷なことでも平気で行う。部屋は非常に汚く、ポキール星人から資源(地球人から見たゴミ)と認識されてしまうほど。自宅から学校までの距離は不明だが、雪絵とはほとんど一緒に登校せず走って通っており、遅刻することが多い。連載初期の頃にはもらった宝くじが大当たりするなど強運の持ち主だったが、後期には運が悪いような話も出てきたことがあり、運の良し悪しについては一貫していない。
作者の佐藤曰く、連載前の考案当初は女性キャラクターで、顔のモデルは工藤夕貴。
国宝 雪絵(こくほう ゆきえ)
声 - 本多知恵子
年齢は原作開始時14歳。憲一の妹で、他界した雪子に代わり国宝家の家計や家事をこなすしっかり者。真面目な性格で、学校の成績も優秀。お人好しでルックスも可愛いので男子生徒たちのマドンナ的存在。憲一の奇行に対してツッコミを入れる常識人だが、新聞を読んだことがないので世間の流行などを何も知らず、非常識な行動をとることもしばしば。アイドルデビューも果たしたことがあるが、憲一と憲吉が原因で引退を余儀なくされてしまう。
1973年6月19日生まれ。身長150cm(本人は151cmと主張している)で、背が低いのを少し気にしている。憲一よりも1歳以上は年下だが、学校では同じ学年。家庭は貧乏だがかなりの衣装持ちでファッションセンスも良い。ゴシップ新聞の『是羽スポーツ』を読んで間違った形で流行に敏感になったことがある。中学時代はバトン部に所属。
髪色は原作ではピンク。テレビアニメでは第6話までは黒髪だが、第7話以降金髪になっている。
国宝 憲吉(こくほう けんきち / 父ちゃん)
声 - 緒方賢一、稲垣悟(若い頃)
国宝家の主。年齢は原作開始時45歳。職業は植木職人。憲一と生き別れになる前の若い頃の容姿はスマートな長身でパーマをかけた髪型だったが、月日を経て再会した時にはチビでハゲでケチでカネとギャンブルに目がないダメオヤジに変貌していた。
人間性に問題があり、常人の30倍は悪事を働いており改善の見込みがないと第14巻で閻魔大王に断言された。とてつもなく強欲で、自分の欲望を満たすためにはどんな非道なことでも平気で行う。特に金に対する執着はすさまじく、いつも茶の間でこめかみに青筋を立てながら 「マネー」などと書かれた金儲けの本を読んでいる。
学生時代はコソドロなど様々な悪事を働いており、宝石しげるからそのことをネタに好き放題されても黙っていたが、家族にそのことを打ち明けたら殺人くらいやっているんじゃないかと思われていて逆に安心される始末。常日頃から、憲一のゲームソフトを勝手に売り払ったり、雪絵からタバコ代の名目で金をちょろまかしたりするなどせこい行動を取ることが多い。憲一とは常にいさかいが絶えず、毎日のようにくだらないことでケンカばかりしている。実の息子といえど容赦はせず、どこからともなく取り出した金棒や金属バットなどでタコ殴りにすることもある。アニメでは「ぐれてやるー!」が口癖。
国宝 憲二(こくほう けんじ)
声 - 松岡洋子
憲一の弟。年齢は原作開始時9歳。普段は気弱で目立たないが、実は国宝家で一番頭が良く真面目な少年である。顔は父親と兄に似ているが、性格は全く似ていない。初期は是羽市立第二小学校、のち是羽二中に進学。中学生になっても背が伸びた描写がなく、中2時点でも雪絵よりずっと背が低かった。
国宝 雪子(こくほう ゆきこ)
かえで
声 - 林原めぐみ
憲一の妹として山で育てられた子供。ベビーカーに入っていた頃、玄米茶が拾ってきたらしい。そのため憲一たちとは血の繋がりは無い。憲一の後を追って下山し、国宝家に居候することになった。かなり可愛くてスタイルも良く、性格は無邪気で好奇心旺盛。彼女も身体能力は高く(憲一や玄米のような人間離れしたものではなく、常人の範囲内)、女子プロレスからスカウトされたことがある。年齢は雪絵よりも年下だが、雪絵たちと同じクラスである。精神年齢は低く、絵本が好き。
玄米 茶(げんまい ちゃ / じいちゃん)
声 - 松岡文雄
憲一の育ての親で玄米茶流空手の達人。一見ガリガリな体型でつかみ所のない性格だが、憲一以上のパワーを持つ。単体でも強いが、玄米茶流空手にはコンビネーションも存在し、憲一と息を合わせて行う合体技の威力は絶大。かえでの面倒を見て欲しいと国宝家に現れ、自分もそのまま居着いてしまった。結構身勝手なところがあり、同じように我の強い憲吉とは犬猿の仲である。いつの間にか国宝家から姿を消すが、宇宙人襲来編などで重要な戦力として登場した。
基本的に玄米茶の力をもってしても宇宙人たちには敵わなかったが、インビジブル・ブルーブル編(第14巻)などは相手の毒液で溶かされるもスライム状態で生存し、さらにこの状態でインビジブル・ブルーブルに襲い掛かって結果的に耐熱プロテクターから追い出すなど、人外レベルの活躍を見せた。
フリッパー
声 - 沢木郁也
山から連れてきた憲一の友達のオオカミ。国宝家にペットとして住む。体格は細身で大きくはないが、街の不良犬数匹程度なら簡単に倒せるくらいの強さはある。方向音痴。連載中期以降は出番が激減し、ストーリーに絡むことはほとんど無くなった。月に1度、チャッピーと遊ばせるために綾小路家に足を運んでいる。
生徒
火堂 害(ひどう がい)
声 - 池田秀一
ヤクザである火堂組の跡取りで、3代目組長になる予定の不良生徒。何度か留年しているらしく年齢不詳。自己中心的な性格で憲一とは強引にマブダチになる。雪絵に恋心を抱いている。雪絵の言うことには素直に従うが、さゆりに対しては強気。般若のような顔で常に口を開いている。鮫肌。肩から背中にかけて刺青をしている。身長192cm、体重129kg(中学生時)。
「ぼっちゃん」と呼ばれることを嫌い、アニメでは「目ん玉ひし形潰れ」とも呼ばれていた。ポキール星人にはヒシガタキボリノメンと命名されている。
当初は不良集団を軽々と一蹴するなど、戦闘能力が高い描写もあったが、憲一と比べると実力は低く、またそれ以降に登場した強敵キャラクターには手も足も出ないことも多いなど、早い段階で戦力外になった。
父は2代目組長、火堂 激(ひどう げき。声 - 加藤精三)。
綾小路 さゆり(あやのこうじ さゆり)
声 - 山本百合子
雪絵の親友。可愛いがお調子者でややわがままな性格。ツッコミ役の一人。金持ちのお嬢様で、親は外車を持ち、自宅には執事やコックがいる。火堂に片想いしているが、作品中では特に進展することはなかった。雪絵と同じく中学ではバトン部。いとこにモヒカン頭の凶悪な赤ん坊・綾小路 みちるがいる。チャッピーという犬を飼っている。身長160cm。
暴走する憲一に容赦なくブレーキをかける数少ない人物。
髪色は原作では緑。テレビアニメでは黒髪。
ロッキー 羽田(ロッキー はだ)
声 - 屋良有作
日本人とフィリピン人とのハーフ。アメリカにかぶれていて、常に派手な服を着ている。「自由」がポリシーで「 - じゃない」が口癖。火堂と同じく雪絵に恋心を抱いている。かつては仕事人(用心棒)をしており、1秒間に50発放てる閃光パンチ「スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー」が必殺技。仕事人としての初登場後、しばらくして是羽一中から是羽二中に転校。ストーリー中盤からは登場回数が極端に減り、読者からはよく復活を希望されていた。ムエタイのキックも習得しており、過去に決闘の相手に瀕死の重傷を負わせたことから封印していた。アパート「是賀荘」に一人暮らしで、部屋では憧れの雪絵の写真に囲まれ自由を満喫しているものの、極貧生活を送っている(両親が離婚して父親が蒸発、母親からの仕送りは月3万)。
名前についてはプロレスラーのロッキー羽田、口癖の「 - じゃない」は『北斗の拳』天帝編に登場するアインから。
穴薄 太郎(あなうす たろう)、貝節 次郎(かいせつ じろう)
稲垣 千明(いながき ちあき)
日向 団次郎(ひゅうが だんじろう)
不知火 明(しらぬい あきら)
声 - 速水奨
中学編に登場した女生徒たちの憧れの的。雪絵をものにしようとする。美形だが人間が小さく、恥を掻かされた相手にはとことん仕返しをしないと気がすまない。連載初期では憲一のライバル役としてストーリーを盛り上げた。憲一たちと同様、是羽二高に進学するも、その後の出番は忘れられたキャラクターたちの1人として出たのみ。後述のようにアニメ版では初登場以後、ほぼ毎回登場している。
アイアン、スマッシュ
サンディ・ウーパー
風見鶏 右京(かざみどり うきょう)
木根間 純芳(きねま じゅんぽう)
教師陣
小山内 文子(おさない あやこ)
声 - 松井菜桜子
中学時代の担任。年齢は20代半ばだがとてもそうは思えないほどの無邪気な思考を持っている。おっとりとした優しい性格で生徒には舐められつつも慕われている存在であるが、ペアマラソン大会では体調不良を装い酢張丹におんぶしてもらうなどちゃっかりした面もある。チャッピーの元の飼い主。
憲一らの中学卒業後も中学に残り、憲二の担任となった。憲一たちが卒業した後は何もかもやりやすくなったと、憲一たちが在籍していた時とは違い穏やかな教師生活を送っている様子だったが、若い安生先生に対抗意識を燃やすなど以前より過激な面も見られた。
是津(ぜつ)校長
酢張丹 悦楠(すぱるたん えっくす)
声 - 山寺宏一
是津が憲一の風紀更生のために招いた教師。眉と口がX字の形状をしている。気にいらない奴には体罰も辞さない超スパルタ教育を信条とする。
初登場時は小山内に替わり担任となるが、憲一の大暴れにより以後は副担任となる。全教科の教員資格を持ち、受験の補習にも対応できる。憲一を敵視しており、初登場の回では難癖を付けまくった挙句、中学校にもかかわらず退学決定にしたりと過激さを遺憾なく見せつけた。その後も幾度となく争うが大体がロクな結果にならない。またその体罰主義で他の生徒にも(特に男子)からも恨みを買っており、豆まきの鬼になった時は命がけの戦いを生徒と繰り広げていた他、卒業式にはお礼まいりで車をボコボコにされている。小山内に惚れているが、不器用なのでそれを表現できないでいる。だがその後の中学卒業後に憲一たちと再会した際、安生を見つめる酢張丹に小山内が嫉妬の目を向けるシーンがあり、関係は進展している模様。
憲一たちが卒業した後は特に問題児もいないらしく、穏やかに過ごしているようだが物足りなさも感じていたようで、再開後小山内と安生の対抗心から端を発したバス競争では、運転手からハンドルを奪い久々の対決に血をたぎらせていた。
祭九論絶人(さいくろん ぜっと)という親友がいる。
有座須 真二(あるざす しんじ)
安生 美加子(あんじょう みかこ)
早見 姿郎(はやみ しろう)
高校での副担任。初登場時25歳。自転車の整備不良によるダンプとの衝突事故により半身不随となる重傷を負うが、文部省がプロフェッサーKの研究所に依頼し、問題児矯正のために600万円かけて改造人間にし、無理矢理蘇らせた。全国の問題児代表の憲一を矯正するためやってきた。ケンイチの体当たりを受け止めるほどの強靭なボディと改造人間のパワーで生徒たちを圧倒する。反面、脳の手術がやや失敗しており時折昔のことを思い出して絶叫する。変身ベルトで「怪傑スパット」というヒーローに変身できる。専門は保健体育らしく、それ以外の授業をしているシーンはない。安生にべた惚れしており何度か告白もしているが間の悪さ(と憲一たちの行動で)いつも失敗している。
初登場時は熱血教師らしさを持っていたが、回を重ねる毎に卑劣な面が目立ち教師らしくない行為を繰り返すようになる。犬が苦手で小学校時代には盗みも犯している。連載版では船木登場により用務員に降格された後(単行本ではグレートハイスクール、通称「グレ高」に転勤するという話に差し替えられている)登場しなくなったが、実際は山奥村立肥山小学校へ謎の転勤をしていたという設定になっていた。清田赴任後、再び体育教師として是羽二高に復帰した。
改造手術の執刀はプロフェッサーK。ひらめ筋、ひざの皿などは人工物に置換されており、ほぼ全身が改造されているが、睾丸はそのまま残されている。エネルギーは人間と同様の食事を取ることによって補給している模様。主武器は両腕から発射するロケットパンチ。両足からのジェット噴射で飛行することも可能。変身ベルトでよりパワーアップした変身も可能。ボディの強度は宇宙空母の主兵装「超ウルトラマグナムカノン波動フェーザー砲」で撃たれても消失を免れるほど強靭。後に憲一のパワーに対抗するためロボットのような姿に改造した(執刀はプロフェッサーK)が、惚れていた安生に手ひどく嫌われたことから元の姿に再改造した。
校長(是羽二高)
船木 君枝(ふなき きみえ)
動物
ダック・ニコルソン
声 - 山寺宏一
綾小路家に食肉用として送られたアヒルであったが、庭の檻に閉じ込められていた所をたまたま遊びに来ていたケンイチに助けられる。さらに、復讐のつもりで家を滅茶苦茶にしたところをさゆりによって囚われたが、調理前の電子レンジから脱出に成功し日本にただ一羽の「野良アヒル」となった。以降憲一の悪友となり、毎回憲一にろくでもないことを教えたり、プロフェッサーKの研究所からトラブルの元になる発明品を持ってきたりするトラブルメーカーとなる。「野良アヒル」といっても実態はホームレスであり、寒い冬は焚き火や新聞紙やダンボールで暖を採り、競馬などの賭博に耽り、ビールとスルメを好物とし、街の浮浪者と共に公園で暮している。浮浪者からは「ギャワギャワの大将」と呼ばれている。天敵は街の子供たち。
くちばしに超合金製の棘付きアタッチメントを装着し、キツツキのように高速で相手の股間や目を突く「アイアンダック速射砲」という必殺技を持つ。ドナルドダック風のセーラー服(初期は着ておらず、国宝家がクイズで手に入れた賞金を奪って購入)とサングラスがトレードマーク。
宇宙人
※ポキール星人他の侵略者宇宙人は別項で解説。
侵略者
ポキール星人
地球人とほぼ逆の価値観を持つ(主として衛生観念、美的感覚など強弱の概念も反転している)宇宙人。自称「宇宙のエリート」、他称「宇宙のクズ」。ポキール大王を君主とする惑星国家を築いている。地球のゴミを資源として尊び、犬のフンを食べて「うまい!」と評する(ポキール星人のウンコは地球でいう純金)。侵略者として地球に来襲した際も恥知らずな要求を平気で行い、卑猥な拷問を公開する、就寝中の寝言や人に付けるニックネームも下ネタ単語の羅列と、下品極まりない。苦手な物は消毒(ポキール星人にとっては最も苛烈な拷問とされる)で、気持ちいいと倒れてしまうという性質を持つ。
価値観が逆であるため、戦闘力は非常に弱体である。ただし放屁のような手段で睡眠ガスを発射するなど、戦闘を支援する能力に関しては有効なものも持ち合わせている。また500階以上の階層を持つ高層ビルを建設し、戦闘ロボット・インモーキング(量産型、Mk-II、Mk-IIIなどのバリエーションがある)や宇宙船、体の大きさを変えられる乗り物を建造するなど、科学技術力は地球人をはるかに上回っている。
初登場時は大王の配下であるM1号、P3号の2人が、東北弁を話す宇宙の片田舎出身の友好的な宇宙人を装い地球侵略を狙うもあっさり敗北(ただし、資源の確保には成功した)。翌年再登場し、ケンイチ・父ちゃんをポキール星に連れ去り、大王のもとで食糧(ウンコ)供給源として拘束しようとするも、戦いに敗れて自爆。
この直後ビデー大帝に救われて超暗黒大巨星帝国の手下となり、その地球侵略の尖兵として地球に来襲する。が、その性質と弱さは変わらず、破壊兵器として量産された戦闘ロボット・インモーキングII&III部隊は壊滅、宇宙空母も大破させられたが、対ケンイチ用に用意した猛獣のうちポキリアンデビルとポキールパンダを大帝の援護に差し向け、その容姿で地球人を笑わせて足止めに成功、囮役を果たした。しかしビデー大帝敗北後は地球に取り残され、汲み取り業、何でも屋などで生計を立てるが、収入は少なく飢餓に苦しめられる。
地球侵略は失敗したが、ミッキー総統、死神マックなどの侵略者との戦いには、ケンイチたちの味方として多数の武器を提供し少なからず貢献した。本作の宇宙人キャラクターは一回限りの登場が多いが(侵略者も一度倒された後の再登場は少ない)、初登場時から目立っていたその特異なキャラクターゆえ登場回数が増え、最終的には準レギュラーまで地位を上げた。初登場エピソード「史上最低の侵略!」が収録されたコミックス8巻には、出番を増やすよう嘆願する読者の投稿ハガキも収録されている。
ビデー大帝
ミッキー総統
死神マック
インビジブル・ブルーブル
第14巻のインビジブル・ブルーブル編の敵。宇宙刑務所に収監されていた水の魔人。耐熱プロテクター・栄養ドリンク・まくらを持って脱獄して地球侵略にやってくる。体は液体(見た目は水だが会話時に目が現れる)である。脱獄時に看取が怯えるほどの存在で歴代侵略者の中でも強者の部類に入り、是羽市の上下水道と電気を制圧してしまう。
本人の能力としては水と一体化して操るというシンプルなものだが、水なので物理攻撃はほぼ効かず、凍らないし電気は逆にエネルギーに変えてしまう。弱点としては沸騰させ蒸発すれば死ぬ、100時間以上睡眠をとらないと体が腐るというのがあるが、前者は持ち込んだどんな熱も防ぐことができる特殊なプロテクターを装備してこの弱点を封じてしまう。
これ以外に二軍落ちしたかつてのレギュラーキャラクター、火堂&ロッキー、動物たちを肉弾戦で次々倒すなど単純な格闘能力も高く、水道管を集めてロボットや爆弾を作るなどの芸当も見せ、唯一苦戦した玄米茶相手にも哺乳瓶型の容器に入った栄養ドリンクでパワーアップした際に毒液でスライムに変えてしまったりその戦闘力は非常に高い。最後は人質にとった雪絵の持っていた粉せっけんが偶然自分の水と混じったことで体に力が入らなくなり、その場にいた全員総がかりでシャボン玉を作られ、消滅してしまった。
レジン将軍
メガロ大王
その他の人物
チンピラ
声 - 堀内賢雄(アニキ) / 鈴木勝美(子分)
2人組のチンピラ。是羽一中のOB。是羽一中在籍時のロッキーにケンイチの始末を依頼。読み切りの時点ですでに登場していたほか、飼っていたキューちゃんを追い出すなど、その後もしばしば登場。
組員A(アニメ版での名前)
プロフェッサーK
声 - 宮内幸平
是羽市に研究所を構えるマッドサイエンティスト。実験中に肉体の2/3を失っており、サイボーグとなっている。腕は確かなようであり、『ザ・フライ』のような転送装置やタイムマシン、生き物を大きくする薬、クローン製造マシーンなどを実用化している。たびたび発明品をダックに盗まれる。
宝石 しげる
ラオチュー
管中 杯(かんちゅう はい、カン)
雪合戦おじさん
執事
回転太郎(温泉太郎)
ムジョルニア
スティング・フォン・エリック
ミンク
ヤマちゃん
ロボット君
クイズじじい
ナレーター
テレビアニメ・OVA
テレビアニメ
1988年3月から同年9月にかけて、日本テレビ系列で放送された。全24話。同じ『週刊少年ジャンプ』連載作品をアニメ化した『きまぐれオレンジ☆ロード』の後番組として開始した。
ストーリーは原作初期の路線に沿いながらも、オリジナルの演出を加えている。原作のエピソードを大幅に膨らませており、一部オチが変わった話もある。また原作では出番が少なかったキャラクターをほぼ毎回登場させた(不知火や組員A、警察署長など)。他のキャラクターも、全体的に出番が増えている。
サブタイトル表示前には、「この物語はもっちろん!フィクションであり 実在する人物または団体とはナンノ(ヨーコなんちゃって)関係もないんだヨーダ!あう」という断り書きが出された。エンディングおよび次回予告後に視聴者応募コーナーがあった。賞品は表彰状と記念バッジであった。
テレビアニメ終了後にOVAが全2巻作られた。各キャラクターの髪の色がテレビアニメ版基準ではなく、原作同様に変更されている。
1989年にVHS(全5巻)が発売されたが、現在は全巻、廃盤となっており、DVDに関しては『ジャンプスーパーHEROESスペシャルコレクションDVD5』に収録された第1話以外はDVD化はされておらず、全話収録のDVD版・Blu-ray版はリリースされていない。
スタッフ
- 原作 - 佐藤正
- 監督 - 小林治
- 企画 - 布川ゆうじ(スタジオぴえろ)、藤原正道(東宝)
- アシスタントプロデューサー - 福与雅子(東宝)
- プロデューサー - 堀越徹(NTV)、河野秀雄(東宝)、深草礼子(スタジオぴえろ)
- シリーズ構成 - 寺田憲史
- キャラクターデザイン - 山田みちしろ
- 美術監督 - 三浦智
- 特殊効果 - 池田健司
- 色指定 - 勝沼まどか
- 撮影監督 - 金子仁
- 編集 - 掛須秀一、石田悟
- 音響監督 - 松浦典良
- 音楽 - 馬飼野康二
- 音響効果 - 伊藤克己(スワラプロダクション)
- 調整 - 大塚晴寿
- 音響制作 - 現
- 現像 - 東京現像所
- タイトルデザイン - 杉澤英樹
- OPアニメーション、EDアニメーション - 望月智充〈演出〉、摩砂雪〈作画〉
- 制作デスク - 本間道幸
- 文芸 - 静谷伊佐夫
- 広報 - 岩上喜進(NTV)
- 制作進行 - 青木訓之、早川雅彦、津野竜之輔、岡田貢一
- 企画制作 - 日本テレビ
- 製作 - 東宝株式会社、スタジオぴえろ
主題歌・挿入歌
主題歌・挿入歌を収録したCDの発売元は、テレビアニメ・OVAともに東芝EMI。
オープニングテーマ
「ドリーミー・ドリーマー」(TV)
「どしゃ降りのジェネレーション」(OVA)
エンディングテーマ - 「時を置いて」
挿入歌
「どしゃ降りのジェネレーション」(第12話で使用)
「燃える!国宝音頭」(第17話で使用)
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1988年 3月14日 |
さらば山の日日!大都会のお兄さんの巻 | 寺田憲史 | 小林治 | 小林和彦 | 山田みちしろ |
2 | 3月21日 | あう! 極悪中学生はマブダチなのだの巻 | 殿勝秀樹 | 久米一成 | ||
3 | 3月28日 | 不知火登場! ドッジボール決戦の巻 | 大橋志吉 | 中村孝一郎 | 柳田義明 | |
4 | 4月11日 | あちゃ! おちゃ〜! すきやきバトルの巻 | 静谷伊佐夫 | 横山広行 | 林隆文 | |
5 | 4月18日 | 嵐をよぶ仕事人! 雲のロッキー登場の巻 | 寺田憲史 | 松園公 | 摩砂雪 | |
6 | 4月25日 | 父ちゃんが2人? あぶない来訪者の巻 | 石井文子 | 佐々木和宏 | 児山昌弘 | |
7 | 5月2日 | なるほど! ベースボールは格闘技!? の巻 | 大橋志吉 | 殿勝秀樹 | 久米一成 | |
8 | 5月9日 | ロッキーくんのビンボーじゃな〜いの巻 | 森川滋 | 進藤満尾 | ||
9 | 5月16日 | あちゃ〜! 家族で銭湯アンド戦闘の巻 | 静谷伊佐夫 | 中村孝一郎 | 柳田義明 | |
10 | 5月23日 | いいよ〜! テレビ局の甘いワナの巻 | 会川昇 | 横山広行 | 山本哲也 | |
11 | 5月30日 | 空手に先手なし!? 燃える!ケンジ君の巻 | 大橋志吉 | 松園公 | 摩砂雪 | |
12 | 6月6日 | 大蛇が何じゃ死んじゃダメじゃ雪絵の巻 | 静谷伊佐夫 | 小林和彦 | 佐々木和宏 | 児山昌弘 |
13 | 6月13日 | ギネスバカ! 恐怖の発明ハカセの巻 | 寺田憲史 | 殿勝秀樹 | 久米一成 | |
14 | 6月20日 | お兄さんタクシーでお弁当ドカーンの巻 | 大橋志吉 | 森川滋 | 摩砂雪 | |
15 | 6月27日 | ゲゲゲのゲ! 転校生は妖怪? なのだの巻 | 中村孝一郎 | 柳田義明 | ||
16 | 7月4日 | 大ピンチ! 水泳勝負はマズイエー!! の巻 | 静谷伊佐夫 | 横山広行 | 松下佳弘 | |
17 | 7月18日 | ギャンブル人生! 大金持ち父ちゃんの巻 | 大橋志吉 | 松園公 | 久米一成 | |
18 | 7月25日 | いざ海へ! 台風なんてフーンフン! の巻 | 須田裕美子 | 佐々木和宏 | 児山昌弘 | |
19 | 8月1日 | ジョーズは海のメーワクなのだ! の巻 | 寺田憲史 | 殿勝秀樹 | 摩砂雪 | |
20 | 8月8日 | 海のバカバカ!怒りの鉄人レース!! の巻 | 大橋志吉 | 横山広行 | 松下佳弘 | |
21 | 8月22日 | さらば国宝家! 家出したフリッパーの巻 | 静谷伊佐夫 | もりたけし | 柳田義明 | |
22 | 9月5日 | 地獄の教師スパルタンX先生登場の巻 | 大橋志吉 | 松園公 | 時矢義則 | |
23 | 9月12日 | あぶないお兄さん刑事でおてがらの巻 | 寺田憲史 | 殿勝秀樹 | 大橋誉志光 | |
24 | 9月19日 | 突然の最終回! 学芸会でサヨナラの巻 | もりたけし | 児山昌弘 |
放送局
※放送時間は1988年9月の放送終了時点、放送系列は放送当時のものとする。
放送地域 | 放送局 | 放送時間 | 放送系列 | 備考 |
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関東広域圏 | 日本テレビ | 月曜 19:30 - 20:00 | 日本テレビ系列 | 制作局 |
北海道 | 札幌テレビ | |||
青森県 | 青森放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
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岩手県 | テレビ岩手 | 日本テレビ系列 | ||
秋田県 | 秋田放送 | |||
山形県 | 山形放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
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宮城県 | ミヤギテレビ | 日本テレビ系列 | ||
福島県 | 福島中央テレビ | |||
山梨県 | 山梨放送 | |||
新潟県 | テレビ新潟 | |||
静岡県 | 静岡第一テレビ | |||
富山県 | 北日本放送 | |||
福井県 | 福井放送 | |||
中京広域圏 | 中京テレビ | |||
近畿広域圏 | 読売テレビ | |||
鳥取県・島根県 | 日本海テレビ | |||
広島県 | 広島テレビ | |||
山口県 | 山口放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
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徳島県 | 四国放送 | 日本テレビ系列 | ||
香川県・岡山県 | 西日本放送 | |||
愛媛県 | 南海放送 | |||
高知県 | 高知放送 | |||
福岡県 | 福岡放送 | |||
熊本県 | 熊本県民テレビ | |||
長野県 | テレビ信州 | 木曜 17:00 - 17:30 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
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長崎県 | テレビ長崎 | 火曜 16:30 - 17:00 | フジテレビ系列 日本テレビ系列 |
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宮崎県 | 宮崎放送 | 金曜 17:30 - 18:00 | TBS系列 | |
鹿児島県 | 鹿児島テレビ | 金曜 16:30 - 17:00 | フジテレビ系列 日本テレビ系列 |
特別番組
- アニメ開始日となる1988年3月14日の17:00 - 18:00(JST。関東地区)には、本作の宣伝特別番組として、先週の同年同月7日に終了したばかりの『きまぐれオレンジ☆ロード』の名場面集と本作のハイライトシーンを集めた『きまぐれオレンジ☆ロード最終号&ヨロシク燃える!お兄さん』を放送。番組では『きまぐれオレンジ☆ロード』の春日恭介(声 - 古谷徹)、鮎川まどか(声 - 鶴ひろみ)、檜山ひかる(声 - 原えりこ)、そして本作のケンイチがナレーションのみで登場した。
OVA
- 1巻 - ビデオで初めてコンニチワ!暴走ダック・ニコルソンの巻 / ハチャメチャボウリング!透明お兄さんの巻
- 2巻 - 回転ずし、大食い勝負の巻 / 欲のかたまり、文化祭の巻
ゲーム
テレビアニメ放送終了から約1年後の1989年8月8日に、テレビアニメの製作に関わった東宝からファミリーコンピュータ用ゲームソフトとして発売された。ジャンルはアクションゲーム。雪絵をさらったドラ・ゴンを倒すことが最終目標。
ゲーム冒頭で憲吉が娘の身体をカタにして丁半博打を行うがこれは完全に運任せであり、ここで勝つと雪絵が攫われずストーリーが始まらなくなるため、ゲーム本編を遊ぶ前にゲームオーバーになる。1面からワープの連続でマップは迷路のような構造。敵は四方八方から無限に湧いて来る上に被ダメージ時の無敵時間がないため多段ヒットでゲームオーバーになることも珍しくない。魔法のエネルギーの名前が「ロリコニア」であったり集めるアイテムの名前が「ンタマ」であったりと原作のテイストになっているネーミングが散見される。ケンイチ、火堂、ロッキー、不知火の4人をステージごとに入れ替わり立ち替わりに操作して進める。最終ボスのドラ・ゴン戦では『ドラゴンクエストシリーズ』風の戦闘画面に切り替わり、コマンドを選択してドラ・ゴンを倒すことになる。
OVA1巻に、ケンイチが紹介する本作のPVが収録されている。
ゲスト出演
『ファミコンジャンプ 英雄列伝』(ファミリーコンピュータ、1989年2月15日、バンダイ)
- ケンイチと雪絵が通行人として登場。
- 当ゲーム上においては、ケンイチが『魁!!男塾』の剣桃太郎とまぶだちという設定になっている。