父系の指
以下はWikipediaより引用
要約
『父系の指』(ふけいのゆび)は、松本清張の短編小説。『新潮』1955年9月号に掲載、加筆修正の上、1956年11月に短編集『風雪』収録の1編として、角川書店(角川小説新書)より刊行された。
1995年にテレビドラマ化されている。
あらすじ
私の父は伯耆の山村に生まれた。父は19の年に養家を出て、広島で母と連れ合い、九州へ移った。しかし人のよい父はだらしがなく、私の一家は貧しい生活が続くことになった。しっかり者で聞こえる母の弟は、よく私の指を見て「おまえの指の格好は親父そっくりじゃ」と笑った。その笑いには嘲りがあるように思われた。おまえも親父に似てつまらん男になるぞ、という意味が嘲笑にある気がした・・・。
エピソード
- 現在の本作は一人称文体で書かれているが、『新潮』掲載時は、「宗太」という名の人物を中心とした、三人称文体で書かれていた。
- 著者は本作について「「父系の指」は、これまでの作品の中で自伝的なものの、もっとも濃い小説である。私は自分のことをナマには語りたくなかった。いわゆる私小説というものには私は不適当であり、また小説は自分をナマのかたちで出すべきではないという考えを持っていた。この小説でも全体の半分ぐらいは事実だが、半分は虚構になっている」と述べている。
テレビドラマ
「松本清張特別企画・父系の指」。1995年1月16日、TBS系列の「月曜ドラマスペシャル」枠(21:00-22:54)にて放映。視聴率14.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。第32回ギャラクシー賞大賞受賞作品。1995年度芸術祭作品賞受賞作品。原作は登場人物として特に清張自身とその家族を明示した作品ではないが、原作者の没後に制作された本ドラマは、作家として大成した清張の回想話という構成が取られている。
キャスト
- 松本清張:長塚京三
- 峯太郎:橋爪功
- タニ:泉ピン子
- 養母・かね:杉山とく子
- 松本清張(少年期):三浦勉
- 中嶋朋子
- 芦田昌太郎
- 橋本光成
- 段田安則
- 坂本長利
- 高橋克実
- 奥村千花子
- 世古陽丸
- 中平良夫
- 佐藤輝
- 沼崎悠
- 多田亜沙美
- 小池栄
- 佐古正人
- 佐戸井けん太
- 田嶋基吉
- 歌澤寅右衛門
- 片岡静香
- 明石良
- 武藤令子
- 天田益男
- 水森コウ太
- 磯村千花子
- 門谷美佐
- 沼崎悠
- 森康子
- 元井須美子
- 弥生みつき
スタッフ
- 脚本:高木凛
- 演出・プロデューサー:堀川とんこう
- 音楽:中冨雅之
- 方言指導:明石良、ハント敬志
- 撮影協力:杉並区、青梅市商工観光課、嵐山町教育委員会、真木温泉(山梨県)
- 制作:TBS
TBS系列 月曜ドラマスペシャル | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
松本清張特別企画
父系の指 (1995.1.16) |
京都映画撮影所殺人事件
(1995.1.23) |
松本清張原作のテレビドラマ一覧(放送順)
参考文献
- 藤井省三「松本清張の私小説と魯迅「故郷」~「父系の指」から「張込み」への展開をめぐって」(『文學界』2012年6月号掲載)…本作と魯迅の作品を比較しつつ、本作の成立過程を考察した論文。