小説

状況曲線




以下はWikipediaより引用

要約

『状況曲線』(じょうきょうきょくせん)は、松本清張の長編推理小説。「禁忌の連歌」第2話として『週刊新潮』に連載され(1976年7月29日号 - 1978年3月9日号、連載時の挿絵は朝倉摂)、1988年9月に新潮社から単行本が刊行された。ゼネコンによる公共事業発注工事をめぐる談合を背景とした、連続殺人事件を描くミステリー長編。

1994年にテレビドラマ化されている。

あらすじ

梅雨空の昼下がり、東京都心・有楽町近くのガード下の喫茶店「DATE」に、3人の紳士が集っていた。日星建設の味岡、大東組建設の成瀬、共栄建設の中原の3名であり、いずれも建設会社の役員であった。彼らは、丸の内の「神邦ビル」4階にある「東明経済研究所」へ向かう。この研究所は、エリート官僚に顔の利く怪人・巨勢堂明を中心とする、非公式の談合組織「南苑会」の事務所となっており、この日の会合では、巨勢から3人に、J県とR県にまたがる観光有料道路「ハイランド・ライン」建設に関わる情報が伝えられた。

会合のあと、用件のあった味岡は、引き返して巨勢の事務所を再訪するが、誰もいない事務所内に、成瀬が抜け駆けで贈ったものと思しき紙袋を発見し、好奇心からその中身を覗こうとする。ちょうどその時、神邦ビルの屋上で死体が発見され、騒ぎとなった。やましい行動をしていた味岡は、自分の行動を言うことができなかったが、「死体発見の日に不審な男」と新聞に報じられてしまう。以後、殺人事件のことが気になって仕方がない味岡の前に、怪事件が続発していく……。

主な登場人物
  • 原作における設定を記述。

味岡正弘

大手建設会社・日星建設の専務。
末吉祐介

新興の建設会社・甲東建設の社長。
巨勢堂明

「東明経済研究所」所長。大蔵省を中心とした各省庁の幹部に、不思議な影響力を持つ。
沢田美代子

東明経済研究所の事務員。
成瀬敬一

大東組建設の専務。
中原武夫

共栄建設の常務。
柳原孝助

金融ブローカー。与党の政務審査会路線部会幹事・高尾雄爾の後援会の名前で、詐欺を働く。
大石謙吉

日星建設の道路建設部長。味岡の発意による道路建設現地視察に同行する。
中橋泰夫

下請けの土建会社「中橋組」社長。人夫出しの手配師として各地を渡り歩く。
照葉

R県の刈野温泉にある旅館「楓荘」で、日星建設一行を接待した芸者の一人。
金弥

「楓荘」で日星建設一行を接待した芸者の一人。
矢田部護親

二俣署の刑事課巡査部長。発見された死体の状況に疑問を抱き、捜査を始める。
山崎達二

二俣署の刑事課長。矢田部の上司で、捜査をバックアップする。

エピソード
  • おもに第三節で描かれる柳原孝助には、実在のモデルがあり、著者が梓林太郎から聞いた話がもとになっている。梓の説明によれば、その男Gは、鹿児島出身の国会議員Sの後援会会長を名乗り、建設会社のN組やK建設の社長に、「フランス石油」と呼ばれる巨大な金融システムの話を持ちかけ、その資金を利用し大型融資をするように求めたという。この話を聞いて興味を持った清張は、梓にGの素性を調べるよう頼み、Gが詐欺と選挙違反で捕まったことがあり、また代議士の秘書を名乗ったりしていた、などの話が伝わると、清張はGを「政治家と企業の寄生虫のような男」と評し、その生態について想像をめぐらしていたという。
テレビドラマ

「松本清張スペシャル・状況曲線」。1994年11月26日、テレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」枠(21:02-22:51)にて放映。サブタイトル「巨大談合組織の黒い殺人!男と女が欲望の罠にはまる…」。視聴率14.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。原作の登場人物を一部省略して人間関係を簡略化し、また、原作では犯行の重要人物が後半まで伏せられているのに対して、本ドラマは重要人物を前半から明らかにした上で展開されている。

キャスト

  • 大石謙吉:村上弘明 (日星建設の事業開発室長)
  • 照葉:七瀬なつみ (粟津温泉の芸者)
  • 矢田部刑事:蟹江敬三 (二俣署の刑事)
  • 味岡正弘:財津一郎 (日星建設の専務)
  • 巨勢堂明:田中明夫 (東明経済研究所・南苑会事務所所長)
  • 中橋泰夫:鶴田忍 (下請け建設会社・中橋組の社長)
  • 安田秋子:栗田よう子 (中橋の妻)
  • 沢田美代子:斉藤林子 (南苑会事務所の秘書)
  • 柳原孝助:北村晃一 (談合屋)
  • 成瀬敬一:加島潤 (建設会社・大東組の常務)
  • 田中刑事:高峰圭二 (近江守山署の刑事)
  • 新幹線の車掌:越村公一
  • 味岡の妻:木村翠
  • 伊豆長岡温泉の芸者:小林千晴
  • 警視庁の刑事:水橋和夫
  • 刑事:志賀圭二郎
  • 大石の息子:飯塚恭平
  • 森章二、松村彦次郎、三沢明美、小柳圭子、貴紫市子、高山千草、中尾真澄、するきあゆみ、三浦論、横溝貴之、大木史郎、村上幹夫、永居光男、名川貞郎、市村莉絵、杉山みどり、東佳代子、大下美紀、福島孔道

スタッフ

  • 脚本:吉田剛
  • 監督:松尾昭典
  • 音楽:鏑木創
  • 撮影:宇田川満
  • 美術:大橋豊一
  • 編集:多嘉良栄子
  • 助監督:三好雄大
  • 撮影協力:琵琶湖グランドホテル 京近江、山水館欣龍、日清都カントリークラブ、沼津国際カントリークラブ、大宮アイネ、浜名湖ロイヤルホテル、ヒルトン東京 ほか
  • 小道具協力:ブリヂストンスポーツ、エースバッグ
  • 技術協力:ビデオフォーカス
  • 制作協力:松竹大船撮影所
  • プロデューサー:佐藤涼一(テレビ朝日)、今木清志(テレビ朝日)、田中浩三(松竹)、佐々木孟(松竹)、林悦子(霧企画)
  • 制作:松竹、テレビ朝日、霧企画

テレビ朝日系列 土曜ワイド劇場
前番組 番組名 次番組
京都妖怪地図
(1994.11.19)
松本清張スペシャル
状況曲線
(1994.11.26)
緋の風
(1994.12.3)

松本清張原作のテレビドラマ一覧(放送順)

脚注・出典

松本清張作品の一覧(刊行順)

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