狐火の家
以下はWikipediaより引用
要約
『狐火の家』(きつねびのいえ)は、角川書店から刊行された貴志祐介の推理小説。
概要
『防犯探偵・榎本シリーズ』の第2作。2005年から2007年の間に『野性時代』の間に収録された3編と書き下ろし1編を収録され、2008年に刊行、2011年に文庫化された。前作『硝子のハンマー』で使われずに溜まったトリックが使われているという。『硝子のハンマー』から榎本・純子の関係者である鴻野・今村も登場し、次作『鍵のかかった部屋』にも登場する劇団「土性骨」は本作「犬のみぞ知る Dog Knows」で初登場。
各章概要
狐火の家
初出:『野性時代』2005年11月号
狐火集落のある長野県荒神村の日本家屋内に住む西野家長女の中学3年生・愛美が殺害される事件が発生。玄関と縁側、勝手口は施錠されていた上に、玄関と勝手口は100m先のリンゴ園の視界に入る場所にあり、唯一1階の窓が開いていたが、窓の下の草地は前日の雨でぬかるみ犯人の足跡が残されていないことから、第一発見者の父・真之に容疑が向けられてしまう。軽井沢で合コンを控えていた純子は今村の頼みで急遽、真之の弁護を担当することに。真之の妻・麻美の話から犯人が金のインゴッドを狙って西野家に侵入したことが判明、一度は一人で解決しようとした純子だが、最終的には密室の解明を榎本に託す。榎本は純子と共に検証をする中で、密室を破る方法を見出したが、それはさらなる事件への呼び水に過ぎなかった。
西野 真之
西野 愛美
西野 麻美
西野 猛(たける)
辻 登美子
遠藤 晴彦
斎田
太田 淳一
百瀬
平林
杉内 航太
川窪 大志
山崎 里香
鵜飼
黒い牙
初出:『野性時代』2007年2月号
依頼人の古溝から死んだ友人の桑島が遺したペットの譲渡を巡るトラブルについて相談を受けた純子。古溝から相続人である妻・美香がペットを殺すかもしれないと聞き美香の元に行った純子は、本当に殺すつもりだという彼女に、動物愛護法を説いて古溝が受け取る予定だと語る3匹のペットを渡すということで美香と話をつけた。そして古溝と美香と共にペットが管理されているアパートに行くことになったが、古溝の話しぶりから猫だと思われていたペットの正体は毒蜘蛛だった。蜘蛛は動物愛護法の対象に含まれていないにもかかわらず、美香に虚偽の説明をしてしまった形となり後には引けなくなった純子は、桑島がペットの毒蜘蛛に噛まれて死亡したことを聞く。しかし桑島の死んだ状況に疑問を抱いた純子は桑島の死が事故ではなく他殺だと直感し、榎本からの助言を借りながら、古溝と美香の2人の中にいる真犯人を突き止めようと考えを巡らす。
古溝 俊樹
桑島 美香
盤端の迷宮
初出:『野性時代』2007年11月号
鴻野刑事からホテルの一室でプロ棋士五段の竹脇が刺殺された事件の現場に呼び出された榎本。現場のドアにチェーンが掛かっており、外からチェーンを掛けられるかどうかの意見を求められる。だが外から施錠した痕跡はなく、犯人は鍵を持ち去り遺体発見を遅らせるためにドアの鍵を閉めたのに、わざわざチェーンを掛ける意図は見当もつかない状況にあった。そんな中、榎本は事情聴取のためにホテルに呼び出された、生前に竹脇を尋ねてホテルに電話を掛けていた女流棋士・奈穂子と出会う。奈穂子への虚栄のため、榎本は菜穂子と独自に調査を開始。その中で竹脇を殺す動機のある人物3人の話を聞くと同時に、鴻野から竹脇が生前に純子に法律相談しに来ていた事実を知らされる。やがて調査の末に榎本は、事件の犯人と不可解な密室にせざるを得なかった動機に目星をつける。
来栖 奈穂子
中野 秀哉
竹脇 伸平
犬のみぞ知る Dog Knows
初出:書き下ろし
かつて介護サービス会社社長殺害事件で関わったことがあり、現在劇団「土性骨」の劇団員となっている松本さやかから、自分が同劇団の座長・ヘクター釜千代(本名:中田実)が一升瓶で殺害された事件の容疑者にされるかもしれないと相談を受けた純子。さやか以外にアリバイが無いのは同劇団員の力八頓と飛鳥寺鳳也。飛鳥寺はヘクターが買っていた番犬・呑龍号にいつも吠えられるが、犯行のあった夜に呑龍号は全く吠えておらず、力はさやかと同様に呑龍号に吠えられないが犬アレルギーであり呑龍号に耐性が無く、犯行の翌日に力には発疹が出ていなかった。さやかに連れられ現場検証を開始した純子は「土性骨」の個性的な面々と遭遇、彼らは飛鳥寺にはヘクターを殺す動機が多数あったと証言する。団員全員が満場一致で飛鳥寺が犯人だという見解を指し示す中、事件の最終的な解決は榎本に委ねられた。
松本さやか
飛鳥寺鳳也
左 栗痴子
力 八噸
吞龍号