小説

猿の手




以下はWikipediaより引用

要約

「猿の手」(さるのて、原題: The Monkey's Paw)は、イギリスの小説家W・W・ジェイコブズによるホラー短編小説である。

概要

本作は、1902年に短編小説集『遊覧船の貴婦人(英語版)』にて発表された。物語は、「3つの願い」という伝統的なおとぎ話の暗いパロディである。

本作は怪奇小説の古典に位置しており、多数のアンソロジーに収録されている。また、さまざまな形で後世の作品に影響を与え続けている。

あらすじ

老いたホワイト夫妻とその息子ハーバートの一家は、夕食に招いたインド帰りの友人モリス曹長の持つ「猿の手のミイラ」について聞く。これには行者のまじないがかけられており、願いを3つ叶える魔力があるが、運命を曲げようとする者には災厄をもたらすという。自らそれを経験したと語るモリスが捨てようとした猿の手を、ホワイトは譲り受ける。

ハーバートの提案を受け、家のローンを完済するため二百ポンド欲しい、と猿の手に願うホワイト。とたんに、彼は驚いて悲鳴を上げた。猿の手がねじれて動いたというのだ。 ――翌日。ホワイト夫妻は、ハーバートの勤める工場から彼が機械に巻き込まれて死んだことを知らされる。そして支払われた弔慰金は、“願い”通り二百ポンドであった。

息子の死を嘆き悲むホワイト夫妻。ある夜、どうしてもあきらめきれない妻は、ホワイトに息子を猿の手で生き返らせてと懇願する。息子の無残な亡骸を目にしていたホワイトは妻を懸命になだめるが、彼女の必死の訴えを断り切れず、渋々2つ目の願いをかけた。 しばらくのち、夫妻は何者かが玄関をノックする音に気付く。息子が戻ったと確信した妻は狂喜して迎え入れようとするが、恐ろしい結果を予感したホワイトは、猿の手に最後の願いをかけると、ノックは止んだ。それと同時に開いた玄関の外で待ち受けていたものとは?

参考文献
  • W・W・ジェイコブズ ほか 著、田村隆一 訳、早川書房編集部 編『幻想と怪奇 英米怪談集 第2』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1956年。 
  • W・W・ジェイコブズ ほか 著、田村隆一 訳、早川書房編集部 編『幻想と怪奇 英米怪談集 2』早川書房〈Hayakawa pocket mystery books 268〉、1976年。ISBN 978-4-15-000268-8。 
  • Jacobs,William Wymark 著「三つ の ねがいごと 猿 の 手 より」、山中恒、佐野美津男 編『とってもおもしろい話ちょっとこわい話』三一書房〈母と子のお話図書館 1〉、1967年。 
  • ブラックウッド ほか 著、平井呈一 訳「猿の手」『怪奇小説傑作集 1』東京創元社〈創元推理文庫 501-1〉、1969年2月。ISBN 978-4-488-50101-3。 
  • ブラックウッド ほか 著、平井呈一 訳「猿の手」『怪奇小説傑作集 1 (英米編 1)』(新版)東京創元社〈創元推理文庫 Fン1-1〉、2006年1月。ISBN 978-4-488-50106-8。 
  • W・W・ジェイコブズ 原作『猿の手』矢野徹 文、石井治 絵、学習研究社〈5年の学習付録 5年生文庫シリーズ 11〉、1971年2月。 
  • ジェイコブズ ほか 著、椋田直子 訳「猿の手」、江河徹 編『奇妙な動物の話』林浩一 画、くもん出版〈幻想文学館 3〉、1989年8月。ISBN 978-4-87576-486-1。 
  • ジェイコブズ ほか 著、椋田直子 訳「猿の手」、江河徹 編『ザ・クリーチャー』林浩一 画、くもん出版〈世界の幻想ミステリー 3〉、2008年4月。ISBN 978-4-7743-1378-8。 
  • W.W.ジェイコブズ ほか「猿の手」『七つの恐怖物語 英米クラシックホラー』坂崎麻子 編訳、小松修 本文さし絵、偕成社〈偕成社文庫 3190〉、1992年7月。ISBN 978-4-03-651900-2。 
  • W.W.ジェイコブズ ほか 著、大久保康雄 訳「猿の手」、サマセット・モーム 編『巧みな語り』河出書房新社〈世界100物語 3〉、1996年12月。ISBN 978-4-309-70873-7。  - 注釈:原タイトル:Tellers of tales
  • W.W.ジェイコブズ ほか 著、矢野浩三郎 訳『猿の手』大久保浩 絵、岩崎書店〈恐怖と怪奇名作集 4〉、1998年12月。ISBN 978-4-265-03254-9。 
  • W.W.ジェイコブズ ほか 著、倉阪鬼一郎 訳「猿の手」、森英俊、野村宏平 編『乱歩の選んだベスト・ホラー』筑摩書房〈ちくま文庫〉、2000年3月。ISBN 978-4-480-03549-3。  - 注釈:「猿の手」は原典版新訳。
  • W.W.ジェイコブズ ほか 著、平井呈一 訳「猿の手」、宮部みゆき 編『贈る物語terror』光文社、2002年11月。ISBN 978-4-334-92378-5。 
  • W.W.ジェイコブズ ほか 著、平井呈一 訳「猿の手」、宮部みゆき 編『贈る物語terror みんな怖い話が大好き』光文社〈光文社文庫 み13-7〉、2006年12月。ISBN 978-4-334-74163-1。 
  • ジェイコブズ ほか 著「猿の手」、赤木かん子 編『恐怖』ポプラ社〈Little selections あなたのための小さな物語 22〉、2003年4月。ISBN 978-4-591-07573-9。 
  • ジェイコブズ ほか 著、柴田元幸 訳「猿の手」、E.ゴーリー 編『憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』河出書房新社、2006年8月。ISBN 978-4-309-20465-9。 
  • ジェイコブズ ほか 著、柴田元幸 訳「猿の手」、E.ゴーリー 編『憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』河出書房新社〈河出文庫 コ6-1〉、2012年6月。ISBN 978-4-309-20465-9。 
  • W・W・ジェイコブズ ほか 著、倉阪鬼一郎 訳「猿の手」、東雅夫 編『怪奇小説精華 世界幻想文学大全』筑摩書房〈ちくま文庫 ひ21-2〉、2012年11月。ISBN 978-4-480-43012-0。 
  • W・W・ジェイコブズ ほか「猿の手」『5分後に意外な結末 1 (赤い悪夢)』小林良介 翻案、学研プラス、2013年12月。ISBN 978-4-05-203895-2。 
  • W.W.ジェイコブズ ほか「猿の手」『ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース』柴田元幸 編訳、スイッチ・パブリッシング〈Switch Library 柴田元幸翻訳叢書〉、2015年7月。ISBN 978-4-88418-442-1。 
  • W・W・ジェイコブズ ほか 著、平井呈一 訳「猿の手」『30の神品 ショートショート傑作選』江坂遊 選、扶桑社〈扶桑社文庫 え5-1〉、2016年10月。ISBN 978-4-594-07565-1。 
  • W・W・ジェイコブズ ほか 著、田村隆一 訳、早川書房編集部 編『幻想と怪奇 英米怪談集 2』早川書房〈Hayakawa pocket mystery books 268〉、1976年。ISBN 978-4-15-000268-8。 
  • ブラックウッド ほか 著、平井呈一 訳「猿の手」『怪奇小説傑作集 1 (英米編 1)』(新版)東京創元社〈創元推理文庫 Fン1-1〉、2006年1月。ISBN 978-4-488-50106-8。 
  • ジェイコブズ ほか 著、椋田直子 訳「猿の手」、江河徹 編『ザ・クリーチャー』林浩一 画、くもん出版〈世界の幻想ミステリー 3〉、2008年4月。ISBN 978-4-7743-1378-8。 
  • W.W.ジェイコブズ ほか 著、平井呈一 訳「猿の手」、宮部みゆき 編『贈る物語terror みんな怖い話が大好き』光文社〈光文社文庫 み13-7〉、2006年12月。ISBN 978-4-334-74163-1。 
  • ジェイコブズ ほか 著、柴田元幸 訳「猿の手」、E.ゴーリー 編『憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』河出書房新社〈河出文庫 コ6-1〉、2012年6月。ISBN 978-4-309-20465-9。 
CD
  • ウイリアム・ワイマーク・ジェイコブズ 原作 著、平井呈一 訳『猿の手』松崎謙二 朗読、榊原大 音楽、日本ユー・エス・エス〈NUSS RECORDS CD book 幻想ロマン・シリーズ Vol.2〉、2007年12月。JAN 4523351070073。  - 注記:録音ディスク 1枚 (47分)