異世界居酒屋「げん」
漫画
原作・原案など:蝉川夏哉,
作画:碓井ツカサ,
出版社:宝島社,
掲載誌:このマンガがすごい!WEB,
レーベル:このマンガがすごい!comics,
発表期間:2018年3月8日 - 連載中,
巻数:既刊11巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『異世界居酒屋「げん」』は原作:蝉川夏哉、作画:碓井ツカサによる日本の漫画作品。『異世界居酒屋「のぶ」』のスピンアウトコミックとして、『このマンガがすごい!WEB』(宝島社)にて2018年3月より連載中。 2022年4月には、ノベライズ版である『小説 異世界居酒屋「げん」』も発売された。
あらすじ
関東のとある街で居酒屋を営む葦村(よしむら)草平。彼の家には代々「葦村の呪い」という言い伝えがあり、先祖と狐の間に何かしらの因縁があったために、葦村家の男性は全員が齢60前後で亡くなっていた。草平は自分がその年齢になったことから、一度は店を畳もうと考えた。しかし、ある日突然魔法のように店の入口が異世界へとつながってしまい、異世界の住人たちが徐々に店に訪れるようになる。言葉が通じるからいいかとおもい、見知らぬ世界で店をやるのも面白そうだと考えなおしたことから、草平は店を再開することを決意する。店の入口がつながった先は、東王国オイリアの王都ラ・パリシィア。異世界の大陸における屈指の大都会だった。 一方、父親が閉店するとの知らせを聞いた長女のひなたは、大学の先輩で恋人の榊原(さかきばら)正太郎を連れて店に駆けつける。しかしそこには、外国人(ひなたには異世界人がそう見えた)の客を迎えて今まで通りに店に立つ父親の姿があった。ひなたは、父が店を仕舞うのであれば、自分で店を持ちたいと考えている正太郎に店を譲ってほしいと、頼みに来たのだった。 それをきっかけとして正太郎が店を手伝うこととなり、居酒屋「げん」の異世界での営業が始まった。
世界観
「げん」がつながった異世界は、『異世界居酒屋「のぶ」』に出てくる世界と同じである。ただし、「のぶ」がつながったのは帝国の古都アイテーリアであったのに対して、「げん」がつながったのはその西隣にあるオイリアの王都ラ・パリシィアである。オイリアは、人や食材や料理の名前、そして地名などがフランス風に描写されている。時代的にも同じようで、「げん」がつながったオイリアでは、そう遠くない時期の回想シーンでセレスティーヌが摂政宮として登場しており、時代的にはそのセレスティーヌが帝国へ嫁いだあとの世界である。なお「げん」「のぶ」ともに、お互いの存在は知らないようであるが、オイリア貴族のラ・ヴィヨン卿と、食の吟遊詩人クローヴィンケルは、「げん」と「のぶ」の両方の店を訪れている。 また、異世界には「げん」や「のぶ」以外にもこちらの世界の店が急に繋がって現われるようで、居酒屋、焼き鳥屋、ラーメン屋など、多種多様な店が確認されているようだが、ある日突然異世界との接続が閉ざされて店がなくなってしまうこともある。 なお、金銭に関しては異世界の貨幣を何故か取り扱っている質屋があり、そこ以外では換金できず、他の質屋に持ち込んでも変な理由で断られたり数々の妨害が入ったりして結局換金できない。
「げん」が異世界とつながったのは、稲荷神社の神の使いが「わざわざ七面倒臭い手続き」をしたからであることが、神の使い本人から店主に告げられた。ただし、なぜそのようなことを行なったのかについては、言及されなかった。なおこの神の使いが、「のぶ」に登場するそれと同一人物であるかについては不明である。
登場人物
「げん」とその関係者
葦村草平(よしむら そうへい)
居酒屋「げん」の店主。年齢は60に手が届こうというところ。娘2人は実家を離れ、元妻はこちら側の世界で文字通り世界を飛び回って仕事をしているようで、普段は一人暮らしをしている。娘は名前呼びで、元妻のことは「月ちゃん」もしくは「月子さん」と呼ぶ。元妻とは離婚はしているものの、今でも仲が良い。腰痛の持病持ちで、傷みがひどい時には店を休むことがある。もともと店を畳もうとしたのも、この腰痛が原因のひとつでもある。
「葦村家の男は過去に狐との間に何かしらの因縁があり、その呪いで皆60歳前後で死ぬ」と考えていた。実際にはむしろ逆で元々の短命を稲荷神が60まで引き伸ばしており、草平に関しては特に短命と言う事はない様子。
第48話で正太郎に店を譲り、その後は時々店を手伝いながら、悠々自適の生活を送っている。
葦村ひなた(よしむら ひなた)
葦村奈々海(よしむら ななみ)
草平と月子の次女で、国立城北大学の大学院で経済学を学んでいた。母親に似て徹底したリアリストだが、反面無類のファンタジー好きでもある。そのことは「げん」が異世界とつながったと聞いた後の第一声が、ひなたにエルフや獣人の来店者がいないかを確認したことからも伺える。異世界に対する興味を満足させるために、こちらの世間には内緒で父親が店を続けることに賛成する。自身の知識をともに、異世界の貨幣の両替や、市場調査を担当しようとした。昔から誰とでも接する事ができるひなたを尊敬しており、異世界の人達とも接するひなたの姿を見て異世界で生活する事を決意し大学院を自主退学した。一度は白狐に阻止されるも、奈々海の退学届を休学に変更した月子が出した、信頼できる勤め先を見つけるという条件で異世界で働く事は許され、クリストフの助手としてその才能を振るう事となる。
その仕事ぶりは各所でも評判で、クリストフの昇進に伴い、従卒見習いから従卒に出世し、その際にユーグ王への謁見が適った。
大黒月子(おおぐろ つきこ)
榊原正太郎(さかきばら しょうたろう)
リュカ
ひなたが遅刻してきたある日、汚れた姿で店にやってきて、いきなり雇ってほしいと草平に頼み込んできた少年。空腹そうだと見て取った草平が食事を勧めたが、施しは受けないと一度は断ったり、その後食べ始めるときもきちんと食前に祈りを捧げ、上品に食べることから育ちの悪い人間ではないと「げん」で皿洗いとして雇われることとなった。仕事をさせてみると、どんな仕事もすぐ覚え、よく気が利いて草平に可愛がられている。カミーユの「国王の盾」という言葉に反応したり、外国の料理についての知識も備えている。「げん」ではひなたの中学時代の体操服とジャージを仕事着にし、ひなたの髪留めで髪をまとめている。
実は後述のアンの異母兄で、本名は「リュック・ド・クルスタン」。父・セドリックとは確執があったがのちに和解、家に戻るよう促されるも「リュカ」として母と生活すると断って「げん」を手伝っている。
異世界人
ジャン・ド・ルナール
アナトール・エレボス
法服貴族として出仕できる資格を持ち、その知識で貴族相手の家庭教師をしている。失恋し、やけ酒を飲んでいるときに「げん」にたどり着いた。それ以来「げん」の常連となっている。
「マリー」という名前の複数の女性に繰り返しフラれる事から「寝取られ男」の渾名を付けられており、「マリーの呪い」にかかっているとも噂されている。しかしてその真実は、親の勧めで王女付の侍女として王宮に上がることが決まった恋人のマリー・ド・バイイの経歴に一切の汚点を残すことが無いよう、そして世間の目が彼女に不利に向けられることが無いように、自身が道化となって「マリー」という女性にばかり振られるという噂を故意に流していたのであった。「げん」で偶然にマリー・ド・バイイと隣り合わせになったが、どちらも自分の気持ちを言い出すことができずにその場は別れた。
カミーユ・ヴェルダン
アン・ド・クルスタン
ラ・ヴィヨン卿
クロヴィス・ド・フロマン
クリストフ・ヴェルダン
ミリアムとスージー
女二人で古都で小間物商をしている、細身でストレートヘアのミリアムは食事や交渉事を担当し、少しふっくらとしてそばかすのあるスージーは、健啖家で人の名前や特徴を覚えるのが得意という女性のコンビ。2人とも以前は苦労をしており、その頃には二度と戻りたくないと考えている。商売に失敗して全財産を失いそうになったときに「げん」を訪れた。二人に出す料理に使おうと正太郎が卵を割ったとき、たまたまそれが二黄卵だったことから良いことがあると言われたが、まさにその場で起死回生の商談をまとめることができた。それから、大きな商談に赴く前には、「げん」に寄っていくというジンクスを守っている。
商売が軌道に乗ったところで小間物ギルドに声を掛けられ、ギルドに加入することとなった。
ピエール・ド・クルスタン
セドリック・ド・クルスタン
ガブリエル
マチュー
パンジャンマン
アデレード・ド・オイリア
マリー・ド・バイイ
クローヴィンケル
セレスティーヌ・ド・オイリア
ユーグ・ド・オイリアII世
ジャンヌ=フランソワーズ・レミ・ド・ラ・ヴィニー
新人奇譚拾遺使の女性。奇譚拾遺使の仕事を「王族のために珍しい話を集める」という文字通りの意味でしか理解しておらず、諜報員としての働きについては全く知らない。このため、職場で他の拾遺使の報告書を読みたいといって、同僚に止められたこともあった。居酒屋「げん」に帝国の影を感じた拾遺使上層部により、「げん」で食事をして状況を確認するよう命じられた。店では拾遺使の思惑を感じた稲荷神社の神の使いがひなた達には見られないように相手をしたが、もとより裏の意味を知らないジャンヌに安心して去っていった。
異世界居酒屋「のぶ」の登場人物の一人である、ジャン=フランソワ・モーント・ド・ラ・ヴィニーとはノビリアリー・パーティクルが同じであるが、本作中でその縁戚関係が語られることはない。ただ、両名には報告書に料理について細かく、しかも食欲をそそるように記述するという、同じ才能が見られる。
その他の登場人物
稲荷神社の神の使い
草平が稲荷神社に詣でる姿を、いつも背後から見ていた。「げん」を異世界につなげた張本人。異世界につなげる際には、日本国内の複数の神宮や大社に出向いたらしい。草平の前には、十二単の上に水干を着た狐の耳と尻尾を持つ少女の姿で現れ、お子様ランチを所望した。しかしハンバーグに含まれる玉ねぎは本来狐などイヌ科の動物には猛毒であるため、草平に一度拒否されて落ち込んだが、スマホでいずこかに問い合わせて問題無いらしいことを確認し、それならと狐に食べられない物を盛り沢山にしたお子様ランチを作って貰った。本人は狐に類する何からしいが、純粋な狐とは違うため、玉ねぎやチョコレート、そしてレーズンを食しても死ぬことは無い。ただし、帰った後に腹を下したらしく、月子の夢枕に現れた際には、ネギをよけるように頼んでいた。
書誌情報
- 原作:蝉川夏哉・作画:碓井ツカサ『異世界居酒屋「げん」』宝島社〈このマンガがすごい!comics〉、既刊11巻(2024年1月19日現在)
- 2018年5月25日発売、ISBN 978-4-8002-8368-9
- 2018年11月22日発売、ISBN 978-4-8002-8700-7
- 2019年7月25日発売、ISBN 978-4-8002-9672-6
- 2020年3月14日発売、ISBN 978-4-299-00288-4
- 2020年7月4日発売、ISBN 978-4-299-00675-2
- 2021年3月12日発売、ISBN 978-4-299-01347-7
- 2021年9月9日発売、ISBN 978-4-299-01940-0
- 2022年4月8日発売、ISBN 978-4-299-02856-3
- 2022年11月25日発売、ISBN 978-4-299-03550-9
- 2023年6月23日発売、ISBN 978-4-299-04389-4
- 2024年1月19日発売、ISBN 978-4-299-05073-1
- ノベライズ版:蝉川夏哉・挿画:碓井ツカサ『小説 異世界居酒屋「げん」』宝島社、既刊1巻(2022年4月8日現在)
- 2023年6月23日発売、ISBN 978-4-299-02859-4