異世界転移、地雷付き。
題材:異世界への転生・転移,
以下はWikipediaより引用
要約
『異世界転移、地雷付き。』(いせかいてんい じらいつき)は、いつきみずほによる日本のライトノベル。イラストは猫猫猫が担当している。「小説家になろう」で2018年1月1日に連載開始され、ドラゴンノベルス(KADOKAWA)より書籍版が2019年2月から刊行されている。2018年12月からは「カクヨム」でも公開されている。「ラノベ好き書店員大賞2020」単行本部門で4位を獲得。
コミカライズされることになり、レルシーの作画により、KADOKAWAが新たに開設したWebマンガサイト『少年エースplus』の初期ラインナップに含まれ、2019年7月の開設時に予告編を掲載後、同年10月より連載開始された。
2020年5月には、同作の書き下ろしショートストーリー『盃の花を飲み干して』がキミラノとカクヨムで無料公開されていた。
あらすじ
修学旅行のバスでの移動で交通事故に遭い異世界の神であるアドヴァストリス(自称:邪神)により異世界転移することになる。その神は「チートはあるのか? そんなものはありません!」といいつつ、それぞれのポイントに応じて気前よくスキルを創造して提供していく。喜んでスキルを選んでいくクラスメイトがいる反面、チートは無いの言葉に違わずそれらのスキルには地雷といえる落とし穴がついていたのである。幼馴染同志で集まった3人を中心に異世界での生活を満喫していく。
第一章 確立
異世界転移後に幼馴染の二人と再会し、選択したスキルを互いに確認するとともに、「命大事に!」「英雄なんて目指さない!」「堅実こそが一番の近道!」と今後の方針を話し合うのだった。
ラファンを活動拠点にすることにした3人は、簡単な仕事から始めてお金を貯めながら徐々に自らを鍛えスキルを充実させていくとともに装備を充実させていくことにする。干したディンドルの実と干し肉である程度の財を貯めたところで、他の仲間を探しに東の隣町であるサールスタットに出かけるのであった。その道中の途中で行き倒れていた若林を救い、ラファンへ行くことを薦めるのであった。
第二章 合流
ラファンに帰ってきたナオは、改めてラファンの街を調べてみることにする。そこで立ち寄った喫茶店風の食堂で自分と同じエルフのアエラと出会い相談を受ける。ナオ達が食堂の相談にのる一方で、アエラからはエルフ秘伝の家庭調味料を提供される。
生活が充実してくると、宿屋生活ではやりたいことに制限が発生するようになったので、パーティーで住む家を建てることにするのだった。
第三章 金策
通常は薬草の採集やゴブリンの討伐ができるようになったぐらいのランク1 - 2の冒険者は、南の森での狩猟や護衛の仕事に就くというので、ナオ達は南の森に出かけた。そこで遭遇したのは低ランクの冒険者の現実であった。それなりに成果を上げていたナオ達にとって、かなり薄汚れ、汗まみれになっている無精髭が生えた高慢な元クラスメートの三人組に、関わるのが面倒に感じた。
第四章 足場固め
パーティーの今後の目標を話し合う中で、住環境の拡充と北の森で活動をすることになる。南の森が収入的に期待外れであるうえに、他のクラスメイトとの面倒を避けたかったからである。住環境の拡充では、調味料や各種薬品の充実、錬金術や生産系スキルを活かせる再生設備の拡充、風呂の整備などを行った。北の森では、銘木が高収入になると聞いて、新たな道具を用意して伐採した。
北の森で遭遇したアンデッドのモンスター対策を調べていくうちに、いくつかの情報が手に入る。聖水を求めて神殿に向かったナオは、神官に促されるままお布施をして祈るとアドヴァストリスから啓示を受ける。神官からは聖水の入手が困難であることを知る。他のメンバーの調査結果で、ケルグで新たな素材が手に入りそうなことがわかりケルグに出かけることに決める。一方で「サトミー聖女教団」の噂も聞くこととなった。
第五章 森の奥へ
ケルグで、資料の調査や買い物を終えたナオ達は、ギルドから、ケルグ - ラファン間に出没する冒険者崩れの盗賊の討伐を依頼された。ランク4でそこそこ高い能力があることと、ラファンに帰る予定があることが依頼の根拠だった。ラファンへの帰途で12名の盗賊に遭遇する。誰何の後先制攻撃して討伐したものの、討伐後にかつてのクラスメイトが含まれていることが分かり、後味が悪いものになった。
ラファンに戻った後、北の森野探索を再開したナオ達は、北西の森の奥にある洞窟の前にスケルトン・ナイトを含む50匹以上のアンデッドの群れに遭遇する。魔法で撃退した後で残された素材を回収しているうちに、その中に紋章が刻まれた白鉄製と思われる剣が含まれていることが分かる。ギルドに報告すると、剣にあった紋章は領主であるネーナス子爵家の紋章で、洞窟はミスリルの隠し鉱山の跡地であることが分かった。当時強引な開発を行っていたが、鉱山の視察に向かった領主とその息子が帰ってこないという事件が起きる。その後強いモンスターが大量発生して近づけなくなったということだ。ナオ達は、塩漬けになっていた依頼である「ネーナス子爵家の家宝の剣の回収」の依頼を受けることにする。
再び洞窟を探索し補給のため一旦戻ってきたナオ達は、ケルグの街がサトミー聖女教団関連の騒乱状態になっていることと、廃棄物処理のついでに作っていた肥料のあまりの効果の良さに代官から肥料関係技術の買取打診があったことをディオラから伝えられる。コンポストを代官に販売した際、パーティー名があった方がよいということで「明鏡止水」をパーティー名とした。
第六章 家族
食料供給が一段落した後、再び洞窟に挑戦すると、罠に掛かり脱出できなくなってしまう。新たな食糧にすることが可能なモンスターの発見などもあったが、40日近い放浪の後、やっとダンジョンを脱出する。ダンジョンを攻略するなら本格的な準備が必要だと反省しつつ街に帰った。ギルドに報告に行くと、長期の行方不明から戻ったことをディオラが涙ながらに喜んだ。洞窟がダンジョンであったことを報告し、ダンジョンの名前を「避暑のダンジョン」と名付ける。ディオラからは、「サトミー聖女教団」が武力解体されたことが伝えられた。サトミーが「現人神」を名乗った時点で潮目が変わり、教団は武力で解体され、聖女サトミーが賞金首になったという。ケルグの件があったのでまだ送付していなかったネーナス子爵家の剣をギルドの依頼として自分たちでピニングの領主のところまでもっていかないかとディオラがナオ達に提案した。アエラに長期にわたる食肉提供の停止を詫びたうえで肉を提供した後に、レベルを確認しに神殿に参拝すると、孤児院に案内され、寄付をするとともに子供たちとひと時を過ごすのだった。
紛争の跡が痛々しいケルグについて良さそうな食堂に行くと、そこにはヤスエが夫ともに店を切り盛りしていた。スキルの弊害で苦労しつつもそれなりの幸福を掴んだことをナオ達は祝福した。紛争のために投げ売りしている本を買い求めた後、トーヤが行き倒れになっている獣人の姉妹を見つけた。せめて弔ってやろうとすると息がまだあり、トーヤが責任を持つというので、治療を施した。姉妹はメアリとミーティアといい、サトミー聖女教団にお金を貢いだ家主による放火で焼け出されたのだという。調べてみると親も亡くなっていた。責任を取ると言ったトーヤの小遣いだけでも二人を養えるというと、「お父さん言ってたの。お金を持ってる良い人がいたら、『やしなって』もらえって」といい、働くので養ってほしいと言われ、つれていくことにした。二人に必要な着替えなどを購入していると、聖女サトミーに声をかけられ、トーヤは彼女を気絶させて冒険者ギルドに突き出すのだった。
領都ピニングに着いた一行は、領主館に要件を告げると、しばらく待たされることになった。待っている合間にピクニックを兼ねてクエストを行い、その後、無事に商談を達成するのであった。ラファンに帰ったナオ達は、メアリとミーティアの歓迎会を開き、新しい家族として二人を迎えた。
第七章 ダンジョン
5層ではゴブリン系の魔物が出て、武器を回収するとともに、宝箱からは宝珠が得られた。6層、7層、8層と肉が得られる魔物が出て、宝箱からは錫杖が得られた。9層、10層はアンデッド系の魔物が出て、魔物が臭い問題があってさっさと終わりにし、宝箱からはランプが得られた。11層には草原が広がっており時間がかかると予想して一旦戻ることにする。ダンジョンの様子をメアリとミーティアに話すと、冒険についていきたいと言い出したので、装備を整えてあげた上で訓練するように言い渡した。ギルドに行くとランプは『虫除けランプ』だったので庭で使うことにする。庭の柑橘と菜種の収穫し、菜種は菜種油に加工した。
8層まで転移して、そこから11層に向かった。11層では、草原にグラス・コヨーテの群れが徘徊していた。遠くに森が見えたので行ってみると、果物が収穫できた。12 - 14層は収穫できる果物の種類が違う程度で大差はなかった。15層にはストライク・オックスがいた。雄牛は狩って、牝牛は捕獲して乳を搾ることにする。乳を搾るとなれば、それなりの容器と道具が必要なので一旦戻ることにする。メアリとミーティアに取ってきた果物とミルクを提供した。分担して容器と道具を用意するのと並行して、ナツキがアイスクリームを作成した。
15層のボス部屋にはマードタウロスという二足歩行する牛が待ち構えていた。これを斃すと宝箱の中には白鉄製の両手剣が入っていた。16 - 19層は森野産物が果物がナッツ類に変わったぐらいで大差はなかった。20層では、進化種のレッド・ストライク・オックスが待ち受けていた。20層のボス部屋の前で一旦戻ることにする。ナッツを気に入ったメアリとミーティアは果物やナッツの収穫だけなら手伝えないかと言い出した。ディオラに果物をお裾分けして、ミルクを販売しようとすると、レッド・ストライク・オックスのミルクが貴族の間で精力剤的な人気があることが分かる。イシュカに常識的な育児としてメアリ達の年齢の子供を冒険者として鍛えることの是非を相談し、メアリ達を冒険に同行することにする。そんな中、ネーナス子爵からディオラに相談の手紙が届く。ダイアス男爵が結婚するのだという。ディオラは、贈り物としてレッド・ストライク・オックスのミルクを使うことを提案し、結婚式への使者の護衛には、ナオ達を派遣することを考え、謝礼に『避暑のダンジョン』の権利を譲渡することでコストを抑えることにした。交渉をまとめたディオラはナオ達に依頼を出した。
ナオ達はレッド・ストライク・オックスのミルクを採取に行き、まとまった収入を得たので、護衛の仕事の時期まで休暇を取ることにする。魚の補充とレジャーを兼ねて、メアリとミーティア、トミーを連れて魚釣りに行ったり、ミルクと魚をアエラに提供して料理を楽しんだりした。定期的に参拝してお布施をしているアドヴァストリス神殿で、新たなスキルを得るというイベントがあった。護衛依頼の期日が来たナオ達はピニングに出発した。
第八章 護衛依頼
行程は、ピニングからミジャーラの間が道が狭くあまり街道の整備されておらず、ミジャーラから目的地の領都クレヴィリーの間は街道の整備が行われているという。ナオ達が露払いすることで順調に旅を続けていたが、三日目には道幅の三分の一ほどもある穴が前方に出現し、身分不相応な武器で武装した盗賊に襲われた。結婚式への妨害が目的で参列者を減らして貴族の面目を貶めたかったようだ。ミジャーラに近づくとその外側にスラム街が広がっていた。ナオ達はこの世界の嫌な現実を理解するのだった。
クレヴィリーでは、新たな食材や新たな素材との出会いが待っていた。特にスパイスの類やコメを見つけたことはナオ達にとって僥倖だった。さっそく精米して食べてみるとともに、カレーに挑戦することを決意した。
ユピクリスア帝国の工作員が結婚式の妨害しているのではないかという情報が入った。結婚式場におけるイリアスの護衛を、エルフという見栄えもあって、ナオとハルカがするように依頼される。急遽、ナオの礼服とハルカのドレスが用意された。それとともにナオとハルカに社交の特訓が行われた。その中で、他の貴族からのナンパを防ぐ目的で、ナオとハルカがカップルとして行動することになる。
いよいよ結婚式当日。着飾ったハルカにナオは素直に綺麗だと思った。イリアスの後についてナオはハルカをエスコートした。結婚式が終わり、参列者の歓談が始まる。さっそく道中に襲われたことを指摘され、イリアスはナオ達を示して良い冒険者を確保していることを誇る。ダイアス男爵夫妻への挨拶を終えて、パーティーに出された料理を楽しんでいると、エルフを商品ぐらいにしか思っていない貴族がハルカに声をかけた。ハルカを愛人として引き抜こうとする貴族に対してナオは「彼女は私のパートナーです。近づかないで頂きたい。」とはっきりと断る。イリアスや他のエルフの貴族の助力でその場を切り抜けると、ハルカの美貌をほめる貴族に「既に決めておりますので」とハルカはお断りを告げた。パーティーから戻ったナオとハルカは、互いに自分の気持ちを告白して確認した。
無事にピニングに戻ってくると、ネーナス子爵から仕事を依頼される。聖女サトミーに逃げられた上に、連続して行方不明が発生しているので人手不足になっており、行方不明の調査を依頼したいということだった。ネーナス子爵の親族でもあるディオラからディンドルの採集を依頼されていたことを思い出し、ナオとハルカはトーヤ達と別れて行動することにする。
ラファンに戻ったナオとハルカは、ディオラに仕事報告をするとともに貴族の面倒さを嘆くのだった。ナオにディオラが粉をかけてきたことに、ハルカはナオに言質を取られるなと厳命するのだった。アエラを誘ってディンドルの収穫を済ませた。神殿に参拝するとイシュカに出会い、しばらく留守をしていたら庭が荒れたと嘆いたら、孤児院で草取りの仕事を請けたいと依頼される。きれいになった庭を確認して、ピニングに戻った。
一方、ピニングに残ったトーヤ達は行方不明者の調査を開始する。結局、明確な進展がないまま、ナオ達が合流することになった。ギルドに行くと既にグッズという冒険者が類似の案件を調査していることが分かる。グッズの行方を確認すると、不審な住宅があることが分かり、調査対象にする。その住宅に領兵を伴って調査のために押し入ると、クラスメイトだった加地がバンパイアの能力を使って魅了して放蕩三昧していた。戦闘になるが、手傷を負わせただけで逃げられてしまうが、後日その死体が発見された。被害に遭った女性の事後の状態が悪いこともあって後味が悪い結果となった。
第九章 一周年と……
ダンジョンの入り口に所有権表示の看板を建てた明鏡止水の一行は、ダンジョンに挑戦する前に、しばらく旅行していて鈍っている勘を取り戻すために、狩猟の日々を過ごすことにする。狩りで得た肉は孤児院に寄贈した。ダンジョンの二十層でボスであるレッド・タイラント・ストライク・オックスを斃して、ナオたちは二十一層に挑んだ。長い通路を抜けると二十一層には巨大な断崖絶壁とそこに流れ込む巨大な滝が待ち構えていた。崖にできている隧道を歩きながら状況を観察すると、行き止まりになっていて本格的に崖に対する対策が必要なことがわかり、ラファンに戻ることになった。
レッド・タイラント・ストライク・オックスから得た素材を処分することで資金的な余裕ができた明鏡止水の一行は、異世界転移とパーティの結成の一周年記念にパーティーをすることを企画する。パーティーの準備を兼ねて二週間の自由行動を設定した。
ナオとユキは、キノコなどの食材を採集するとともに、崖攻略のために用意した登山用具の評価を兼ねて、指輪に錬金術で『アジャスト』の機能を付与するために必要な鉱石を採掘した。ハルカは、旅行中に購入したコメを精米すべく籾摺り機の開発をトミーに依頼していた。同様にユキも登山用具の改良をトミーに依頼した。
パーティーでは、異世界に転移してからお世話になったラファンの人たちを招いた。この1年で知り合いお世話になった人たちに感謝の意を示した。パーティーでの話題として、コメが見つかったことから醤油や味噌、日本酒が作れるのではないかと盛り上がる。酒好きの関係者から日本酒に期待が集まった。宴が終わり、月明かりの下、ナオはハルカを呼び出して指輪を渡してプロポーズした。もっとも、いい雰囲気の中、その様子を隠れて覗いていたユキとナツキであったが、ユキが我慢しきれずナオとハルカの前に現れて揶揄って邪魔するととも祝福するのだった。
崖対策の準備をして再びダンジョンの二十一層に戻った明鏡止水の一行は、魔物に襲われるなどのトラブルに遭いながらも崖を下って行った。そんな中で、ナツキが落石で落下してしまう。ナオはナツキを救うべくナツキとともに落下していくのだった。
第十章 身の丈
ナツキに追いついたナオは、体を密着させて体勢を整えるとともに、ナオが減速のための魔法を、ナツキがそれを補助する魔法をかけ、崖下の川に何とか無事に着水した。岩に上陸して上を見上げるが、見えるのは滝の飛沫で白い霧に閉ざされた空。無事を伝える笛の合図を送るとともに、これからのことを二人は相談した。下流へ向かって移動を始めた二人を土石流が襲う。魔法で安全を確保するものの遠く下流に流された。
川から上がったナオとナツキは、森に入って野営をして交代で休みをとった。気丈にしていながらも不安を隠せないナツキは、いつもなら浄化してから使う寝具をそのまままにナオの温もりが残る寝床に潜り込んで不安を誤魔化した。森の中には、シャドウ・マーゲイ、トレント、シャドウ・バイパーといった隠密のスキルを持つ魔物が蠢いていた。二人は、それらを撃退しつつ、転移ポイントを目印にもと来た岩山の方に向かった。岩山付近で転移魔法がうまく使えないことに気づき、帰還方法を探るために岩山の調査を始めた。岩山の裾野に奇妙な穴を見つけた二人は、その穴を調べてみることにする。穴の先には、見慣れたボス部屋の先にある部屋と思われる小部屋とボス部屋に続くと思われる扉があった。宝箱の中のアイテムを回収し、ボスと思われる石像の攻撃を避けつつボス部屋の転移陣でダンジョンの外へ脱出した。
予想外に早期にダンジョンの外へ脱出できた二人は、ダンジョンの入り口に何も目印がないことから仲間がまだ帰還していないものと判断して、数日の間その場で待つことにする。ただ、その付近はダンジョンの中よりダンジョン周辺の動物や魔物の方が危険であることもあって、不安に思った二人は転移陣からの帰還ポイントを中心にした砦を構築した。砦ができてティータイムを楽しんでいると、帰還ポイントが光り仲間と合流できた。ハルカたちは、心配していた相手が先に脱出していてこともあろうかお茶をしている状況に腹を立てながらも再会に安堵するのだった。しかし、崖の事故によるパーティの分断は、パーティに少なくない影響を残していた。冒険者としての将来や、事故などの万が一の時の生活や、引退後の生活についてといった将来への不安である。
ラファンに戻ってきた一行を待っていたのは、トミーやガンツなどのパーティーに招いた人たちによる『酒はまだか!』という声だった。ダンジョンに再挑戦するにも準備や鍛錬が必要だし、期待させてしまったからには仕方がないと、酒造りに挑戦することにする。酵母の抽出と培養に成功すると、ガンツに報告した。しかし、いつの間にか話が大きくなっており、地下3階地上3階の巨大な醸造蔵を建て代官を巻き込んで地域産業にしたいといった話になっており、パーティが留守中の責任者としてディオラを巻き込むことにした。将来のためにも副業は必要だという話の流れで、その世界では結婚適齢期のユキやナツキが結婚や結婚後の子育てで冒険者として働けなくなった時のことをシモンに指摘されると、尽かさずナオがハルカとユキとナツキの3人を娶ってくれるから大丈夫とユキはナオを追い込むのだった。シモンは稼げる奴は複数の嫁がいるのは珍しくないし、必要なら相談に応じてやると、ナオを励ました。
第十一章 再始動
第十二章 新たな一歩と新しい命
第十三章 誰が為の……
第十四章 新たな道
主な登場人物
明鏡止水
主人公たちのパーティー。
ナオ/神谷尚史
ハルカ/東悠
しっかり者の乙女というより男前の優等生。もともと長身の美人であったが、合気道を学んでおり、ナンパしてきた男を追い払った武勇伝に事欠かない。パブリックな場面とプライベートをきっちりと使い分け、当たり障りのない広い交際がある一方で、本当に親身になって対応するのはごく少数の特別な相手のみである。
幼馴染の尚史が、きっとエルフを選択するからと予想して、自分もエルフを選択した。尚史とは家が隣同士であったこともあって、日本にいる時から深夜まで尚史の部屋に入り浸ったり、尚史に料理を振舞ったりするなど、幼馴染から嫁へのステップアップを狙っていた。同性の友人としては、高校入学後は夕紀と那月と一緒にいることが多かったが、異世界転移後に合流したユキとナツキに一夫多妻が許される世界だから二号さんでいいので人生設計の実利的にナオを共有しようといわれて困惑している。異世界に転移して1年、ようやくナオからプロポーズされ、人生設計の次の段階に思いをはせている。
トーヤ/永井知哉
ユキ/紫藤夕紀
悠と那月の親友。那月とは小学生時代からの幼馴染。「スキル強奪」でスキルを強奪された経験があり、一般の人間より長寿になっている。ちょっとお調子者なところがあるかわいい系の美人で、小柄で社交性が高く、人当たりが良い。ヘルプをとらなかったので、地雷スキルのデメリットに気づかなかったが、人のスキルを奪うのは良心が咎め、ポイントの少ないスキル強奪ではなくスキルコピーを選び、ナツキに早めにスキルのデメリットを教えてもらい地雷にはまらずすんだ。異世界転移前から悠に遠慮しつつも尚史に対して淡い憧れを持っていたようで一夫多妻が可能な社会であることを幸いとして、ナオにハルカ・ユキ・ナツキの3人をまとめて娶るように何か機会がある度に圧力をかけている。ナオがハルカとの結婚を決意したことを察すると、ナオが婚約指輪を用意するのに協力している。もっとも、ナオがハルカにプロポーズしていい雰囲気になっている時に自分たちの存在も忘れるなと邪魔してダメ押しして、ハルカに恨まれた。
ナツキ/古宮那月
用語・世界観
神々
アドヴァストリス
ベルフォーグ
ウェスシミア
オーファー
イグリマイヤー
地雷スキル
スキル強奪
スキルコピー
取得経験値2倍
取得経験値10倍
英雄の資質
魔法素質・全属性
魔力・極大
魅了
蟒蛇(うわばみ)
美白
その他のスキル
ヘルプ
異世界の常識
既刊一覧
小説
- いつきみずほ(著)・猫猫猫(イラスト) 『異世界転移、地雷付き。』 KADOKAWA〈ドラゴンノベルス〉、既刊9巻(2023年9月5日現在)
- 2019年2月5日発売、ISBN 978-4-04-073069-1
- 2019年6月5日発売、ISBN 978-4-04-073070-7
- 2019年12月5日発売、ISBN 978-4-04-073410-1
- 2020年7月4日発売、ISBN 978-4-04-073707-2
- 2021年4月5日発売、ISBN 978-4-04-074044-7
- 2021年12月3日発売、ISBN 978-4-04-074335-6
- 2022年6月3日発売、ISBN 978-4-04-074554-1
- 2023年3月3日発売、ISBN 978-4-04-074895-5
- 2023年9月5日発売、ISBN 978-4-04-075112-2
漫画
- いつきみずほ(原作)・猫猫猫(キャラクター原案)・レルシー(作画) 『異世界転移、地雷付き。』 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉、既刊2巻(2021年4月26日現在)
- 2020年6月26日発売、ISBN 978-4-04-109224-8
- 2021年4月26日発売、ISBN 978-4-04-111098-0