白砂村
漫画
作者:今井神,
出版社:一迅社,
掲載誌:月刊ComicREX,
レーベル:REXコミックッス,
発表期間:4月8日,12月27日,
巻数:全10巻,
話数:全72話,
以下はWikipediaより引用
要約
『白砂村』(しらすなむら)は、今井神による日本の漫画作品。
『月刊ComicREX』(一迅社)に連載された。全10巻。
概要
現代日本を舞台とし、ホラー、アクション、ギャグ、ミステリーと様々な要素を取り入れた作品であり、『ウルトラジャンプ』(集英社)にて連載中の同作者の作品、『NEEDLESS』とはまた一風違った作品となっている。
元々は作者の同人活動の作品だったものを商業用に書き起こしたものである。
あらすじ
2001年夏。巨魅葬りとして怨霊を退治する大神の元に、白砂村という村から小包が届く。その中から出てきたものは、なんと人間の目玉。大神はこれに事件を予感し、探偵として白砂村へ赴くことを決意する。しかしやっとの思いでたどり着いた白砂村は、外部の人間を極端に嫌う村だった。
追い出されそうになる大神だが、村人の一人、弥都波の協力により、白砂村に入ることができる。果たしてこの村で大神を待ち受ける事件とは……。
登場人物
主人公
大神(おおがみ)
物語の主人公。怨霊を退治する巨魅葬りの一人。クラスは『88』であり、108人いる巨魅葬りの中では最も下の階級である。だがそれでも、猛スピードで突っ込んできたトラックを片手で止めたり、瀕死の重症でも少し休めばすぐ治るなど人間離れした身体能力を持つ。
本業は探偵だと自負しているが、実際探偵の仕事はほとんど入ってこず、実質巨魅葬りの方が本業と化している。事務所は新宿区采女町の路地裏にある雑居ビルの2階。
温厚でお人よしな性格だが、巨魅を殺すため自分の内に眠る殺人衝動を解放することで好戦的な性格になる。
また、探偵を本業だと自負しているだけあり、推理力もかなりのものである。
白砂村には物書きの仕事でよい風景を探しに来たと説明しているが、根が正直なため嘘をつくのが下手で、何度か自分の正体をバラしそうになっている。
巨魅葬りとして人間を超えた力を持ったことから、自分の力にはそれなりに自信を持っていた。しかし、同じ巨魅葬りである月読娘に完敗したことから、自分の力に自信をなくしてしまう。
また、時に怨霊だけでなく、一般の人間にさえ向いてしまいそうになる殺人衝動にも苦悩している。
人付き合いが苦手で、錺曰く「友達作るのヘタ王」。
その正体は、伊耶那岐命から化成した3柱の神の1柱、天照大神の直系の後継者であり、大神に送られた目玉は伊耶那岐の左目から産まれた天照を示していた。
中学のとき、修学旅行か何かで大神のクラスだけが遭難し、白砂村に数日間泊めてもらったことがある記憶を持っていたが、それは彼の前世である高頭俊作の記憶であり、大神が前世である天照の力を取り戻す「先祖帰り」の兆しであった。
また、月読娘によると彼の前世は「影病」によって殺された、というが……。実は何度も転生し、白砂村を訪れてはその度に非業の死を遂げている。
尚、白砂村に住民を逃したのは大神の前世であり、彼が復活仕掛けた伊邪那美の五体をバラバラに分けて封印した。(後にこのイザナミとの戦いの折、彼に使えていた獣人たちと合わさり桃太郎伝説の元となったと本編では判明する)
神経空間(しんけいくうかん)
特攻式殺人術・壱式・震洋(とっこうしきさつじんじゅつ・いちしき・しんよう)
神経空間(しんけいくうかん)
特攻式殺人術・壱式・震洋(とっこうしきさつじんじゅつ・いちしき・しんよう)
錺(かざり)
大神の彲で、聖剣「天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)」に変化することができる。
また、変化しなくとも怨霊との肉弾戦闘もある程度こなせる。
能天気であまり物事を深く考えない性格。相棒である大神とは口喧嘩が絶えないが、彼のことを心から信頼している様子。
また、普通の人間に見られても怪しまれないよう(通常はそんな心配はないのだが)猫に変化することもできるが、デフォルメされた猫のシルエットのような真っ黒な物体になってしまい、大神から「どこが猫じゃい」とツッコミを入れられた。
この状態だと意識や知能が通常の半分くらいになってしまう。さらに、ギャグシーンで首が取れても平気である。
霊であるため、普通の人間には彼女の姿は見えないのだが結には見えており、猫状態を「こたつ」と命名された。
生前の記憶はほとんど残っていないが、男の子に何かプレゼントをあげようとしていたことだけは覚えている。
白砂村の住人
西島 弥都波(にしじま みずは)
白砂村の5つの由緒ある家柄、「五家」のひとつである西島家の長女。
心優しい性格で、余所者である大神を自分の家に招き入れる。
同じ「五家」の中で最も有力な北島家の長男、速秋の許婚。
結婚に関しては若干抵抗はあったらしいが、速秋のことは本当は誠実な人だと語っている。
霊は見えないようだが、一瞬ではあるが、月読娘の神経空間内が見えたり、弱っていたとはいえ大神の神経空間内に入ってきたりと霊能力は高いと見える。イザナミの器であることが判明、さらにおとねの生まれ変わりである可能性が高く、こちらの方が要因としては大きいと思われる。
出合った当初は外の世界への憧れや大神の優しい人柄などから好意を抱いていたが、物書きの仕事で来たと言う大神が探偵の名刺を持っていたこと、気絶した自分のそばで血まみれで倒れていたことから大神に対し疑念を持ち始め、さらに大神と月読の戦いをはっきりと思い出してしまったことで大神に恐れを抱き、葛藤する。
名前の由来は「弥都波能売神(みつはのめのかみ)」。
西島 迦具(にしじま かぐ)
西島家の次女。だが実際は養子であり、弥都波たちとは血のつながりは無い。両親は既に亡くなっているらしい。
無口で近寄りがたい雰囲気を持っている。また、かなりの毒舌家。一方、後述の侵入事件のために大神が迦具と同じ部屋に寝泊りすることを佐野に提案された際に恥ずかしがるなど、年相応の少女らしい一面もある。半年前、西島家に何者かが侵入したときに左腕に怪我を負った。
北島家をよく思っておらず、次男の速秋を西島家、北島家周辺を荒らしている犯人ではないかと疑っていた。さらに大神に「速秋を殺してくれ」と言ったり、速秋が死んで喜んでいるなど、速秋に対して何か恨みがあったような節がある。そういった言動や事件時の状況などから、速秋を殺した犯人であると村人に疑われてしまう。
結局彼女は事件とかかわりはなく(むしろ被害者)、それどころか事件解決後に再び進入者に襲われている。
夢のお告げで「カミオクリ」という人が助けに来てくれると告げられており、それを信じている。
それと関連するのかは不明だが怨霊に狙われており、半年前の怪我も怨霊の仕業であったことが判明した。
ちなみに彼女自身には霊は見えず、大神の聖剣も見ることも触れることもできなかった。
大神が白砂村の近くの村、両神村に到着した際、彼女のような人影を目撃している。
大神の神経空間と自身の白昼夢を接続することで、大神と白砂村の過去や自身の出生の真実を知ることになる。本性は宮本であり、大神の前世である俊作と中のよかった宮本おとねの妹の孫。
名前の由来は「火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)」。
北島 速秋(きたじま はやあき)
白砂村の「五家」の中の最有権者である北島家の次男。そのことを鼻にかけた嫌味な性格で、村人からの心象も悪い。
弥都波の許婚であり、大神に「弥都波に手を出すな」と釘を刺していた。
迦具は、大神の来る半年前から西島家、そして北島家を荒らしている犯人ではないかと見ていた。
しかし、実際は誠実で正義感のある人間であり、弥都波と共に村の外で暮らしたいと言う想いから跡継ぎらしくない態度をとっていた(上記の性格の理由はこれ)。
そして北島家の寄り合いでそのことを告白し、兄の綿津に跡継ぎを任せようと考えていた。
そのことを話すため、手紙で弥都波と綿津を呼び出していたが、真実を知らなかった大戸に殺害され、蔵で死体で発見される。
特技は剣道で、村人達によれば相当な腕前であるらしい。
その後、大神達の前に巨魅として現れた。
番外編では前述の誠実な一面を象徴するような爽やかな表情を見せた。
名前の由来は「速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)」。
大戸 渡(おおと わたる)
南島診療所に勤める白砂村唯一の医者。真面目で働き者だが、どこか頼りない。
まだ新米らしく、先代医者の健一は仕事が全く板についていないと言っている。
実は弥都波に恋心を抱いており、彼女の許婚である速秋を憎んでいた。そして寄り合いの席で速秋が弥都波を襲うと勘違いをし、殺害する。
その後大神の推理によって犯行が明かされ、弥都波を人質に取るも大神によって取り押さえられ、伝説の奇病「影病」を調べるために来たことを明かした後、連行された。
弥都波と毎日会うために、すでに完治している迦具の怪我を治っていないと診断し続けたり、犯行のトリックのために結をメスで傷つけるなど、歪んだ一面がある。
また、武道の達人である速秋を殺せるほど武道に精通している。
その後、牢屋の中で何者かに襲われて殺害される。
名前の由来は「大戸日別神(おほとひわけのかみ)」。
巨魅葬り
月読娘(つくよみのいらつめ)
大神と同じ巨魅葬りの一人。だがその力は大神を圧倒的に凌駕しており、大神は彼女に傷一つ負わせられなかった。
特攻式殺人術という巨魅葬りの中でも最上級クラスのものしか扱えない技を持つ。階級は「K-04」(上から4番目)
大神を執拗に狙うが、その理由は不明(「有罪だから」「計画に役不足(力不足)だから」など曖昧な表現をしている)。
また、大神の前世の記憶のことを聞いたりと意味深な言動が目立つ。
その正体は、「伊耶那岐命」から化成した三柱の神の一柱、「月読命」の正当な後継者。
彼女の元にも、大神と同じように目玉が送られており、それは伊耶那岐の右目から化成した月読命を示していた。
『NEEDLESS』に登場する離瑠は彼女をモデルにしている。
特攻式殺人術・壱式・震洋(とっこうしきさつじんじゅつ・いちしき・しんよう)
巨魅
治道(ちどう)
白砂村に巣くっていた巨魅。黄泉の王「伊耶那美命」を守護する8体の巨魅「八雷」の1体で、「脳の治道」、「大雷(おおいかずち)」の異名を持つ。
真の姿は、その名の通り巨大な脳に女性の体が張り付いた姿(あくまで自身の能力に応じた姿であり、性別などは無いらしい)。
巨魅になったのは200年以上前で、それ以来寺の住職「鹿屋野 超空」として人間と変わらぬ生活をしてきた。
しかし、巨魅送りである大神が白砂村に現れた事で封印を解き、巨魅として黄泉帰った。
その巨体に似合わないスピードと、打撃を弾く体で大神を苦しめるが、一か八かで大神が繰り出した「特攻式殺人術壱式・震洋」に敗れる。
RPGのボスさながらの変身をしたためか、外伝の漫画では住職(最終形態)と呼ばれた。
歴史上の人物
過去の白砂村の関係者
用語
巨魅(かみ)
通常の怨霊とは比べ物にならない力を持ち、神社に祀られているものもある。
普段はその強大な力を封印しており、封印を解放するとその力に応じて巨大化する。
そして真の姿を見破らなければ、決定的なダメージを与えることが出来ない。
巨魅葬り(かみおくり)
怨霊を狩る聖剣へと変化する守護霊、彲を従えている。本部である「公安第零課」は新宿のオフィス街にあるビルの地下に存在する。
しかし、巨魅送り本部は巨魅を倒すどころか、彼らの王であるイザナミを復活させようとしている様子であり、その真意は謎に包まれている。
彲(みずち)
生身の人間は、霊に触れるためにはその霊の波長と自分の波長を合わせねばならず、複数の霊を相手にする場合、それら全てにいちいち波長を合わせなければならない。だが霊体で出来た武器を使えば、霊体は霊体を斬ることができるため、波長を合わせるのはその武器だけですむ。さらに通常の霊は打撃では再生してしまうが、聖剣で斬られると再生は不可能である。
そのため、巨魅葬りは復活させてはならない強力な怨霊と戦うときは彲を従えることを義務付けられている。
また、剣のほかにも動物へ変化することもできる(錺や梔姫は奇妙な姿になってしまうが)。
現時点で判明している彲は全て女性である。
白砂村(しらすなむら)
「五家」とよばれる5つの有力な家柄(北島、西島、東島、南島、中島)があり、それを中心にして成り立っている。
特に北島が一番権力を持っており、西島は北島の分家である。
元々は千年以上前、朝廷に逆らった阿倍宿儺が治めていた村で、宿儺処刑後、朝廷に降りかかった災いが「宿儺の呪い」であるとされ、一族の住む村は朝廷から派遣された寝子武振という武将によって焼き払われ、一族は死に絶えた……というのが表向きの話で、実際は武振が誤解によって殺されてしまう村人を不憫に思い、あらかじめ山奥へと避難させた上で焼き払ったため、村人は全員無事であった。
しかし彼らは記録上死んだ人間、つまり「死人」として扱われることとなる。
その村人たちが山奥に新たな村を作り上げ、朝廷やほかの村に村の存在を知られてはならないことから「知らすな村」と名付け、それに当て字で白砂村とし、今に至る。
その経緯から今でも村人たちのほとんどは外部の人間を毛嫌いしているが、完全に交流を絶っているわけではなく、麓の町に下りたりもしている。
特攻式殺人術(とっこうしきさつじんじゅつ)
元々は第二次世界大戦中に日本軍が編み出したといわれる戦闘術を、巨魅葬りが怨霊討伐術として完成させたもの。
自らの肉体を剣とし、敵に向かって捨て身で攻撃することから「特攻式殺人術」と名づけられ、震洋、回天など、実在する特攻機から名前をつけられている。
原理としては生物の心臓を半永久的に動かしている体内の電流を掌に集中させ、摩擦を伴う打撃と同時に放つ、というもの。
巨魅葬りが戦闘状態になったときに発せられるアドレナリンは、心拍をある一定のリズムに誘導し、そのリズムが莫大な電流を生み出すという。
これが使えれば聖剣がなくとも怨霊を討伐できるとまで言われる非常に強力な技である。
今のところこれを扱えるのは月読娘だけだが、大神も弥都波を守るために、意識を失いながらも見よう見真似で震洋を繰り出している。
霊障(れいしょう)
北原さゆりが負わされた傷もこれで、西島金山彦の手にはそれを上回るほど酷い霊障がある。
さゆりの傷が怨霊を倒した後に消えていたことから、霊障を負わせた怨霊を倒せば霊障は消えるものだと思われる。
白砂様(しらすなさま)
2本の角を持つ巨大な姿で、人間を喰らう恐ろしい化け物とされる。
白砂村を作り上げた人々はこの妖魔と、四年に一度生贄をささげる代わりに外の人間からかくまって欲しいと言う契約を交わしたという。
現在では生贄の風習は廃れているが、村の大人達は悪いことが起こると「白砂様の祟り」と恐れている。
影病(かげわずらい)
月読娘曰く、大神の先祖はこの病気で死んだという。
どのような病気なのかは不明。