小説

百花 (小説)




以下はWikipediaより引用

要約

『百花』(ひゃっか)は、川村元気による日本の小説。2019年5月15日に文藝春秋から刊行されたのち、2021年7月7日に文庫化された。

川村はアルツハイマー型認知症になった祖母や、様々な認知症患者やその家族、さらに医療・介護関係者などに話を聞いて本作を書き上げたという。

映画版が2022年9月9日に公開された。

あらすじ

音楽ディレクターの葛西泉は同僚の香織と結婚し、香織は新しい命を宿していた。母一人子一人で育った泉は、大晦日に一人で実家に帰省したが、そこで見たものは、公園のブランコに座り、「半分の花火が見たい」と呟いている母・百合子の姿だった。

認知症を患ってしまった母のためにヘルパーを雇う泉。香織は同居を提案したが、泉には大きな蟠(わだかま)りがあった。泉が中学生の頃に母の百合子は妻子ある男性と愛し合い、泉一人を家に残して駆け落ち事件を起こしたのだ。一年後に百合子は何事も無かったように戻って来たが、泉の心の傷は癒えず、幼い頃の母との記憶も封印して生きて来たのだ。

息子の存在さえ忘れていく百合子を介護しながら、少しづつ楽しかった頃のことを思い出して行く泉。だが、香織が子供を生んだ頃に、百合子は亡くなった。実家の整理に行き、縁側から近所の花火大会を見る泉。家並みに遮られた花火は半分しか見えなかった。百合子が見たかったのは、幼い泉と一緒に楽しんだ、この花火だったのだ。

登場人物

葛西泉

レコード会社に勤務する男性。子供の頃に母に置き去りにされた事件の後、味噌汁を飲むことができなくなり、楽しかった幼少時の記憶も封印している。37歳。好きな食べ物は卵料理とハヤシライス。
葛西百合子

泉の母。夫はおらず、患った認知症が急激に悪化して行く。ピアノが得意で、ピアノ教室を開いて一人息子の泉を育てた。
香織

泉の妻。泉と同じレコード会社に勤務していることがきっかけで泉と知り合った。
浅葉

百合子が泉の元から消えていた一年間、百合子と関係を持っていた男。船舶工学が専門の大学教授。妻子持ち。阪神・淡路大震災以降の消息は不明。
祖母

泉の祖母。百合子が消えた一年間、泉の面倒を見た。
葛西ひなた

香織が妊娠していた息子。百合子が亡くなった頃の8月27日に生まれた。
大澤

泉の所属部署の部長。
田名部

泉の部下の女性。大澤部長と付き合っている。
永井

泉の部下。後に会社を退社し、映像会社へ転職。
真希

香織の友人。レコード会社勤務。帰国子女。外資系のレーベルにヘッドハンティングされ、太郎と知り合う。
太郎

真希の夫。アニメオタク。
観月

老人ホームの施設長。
三好

泉の中学校時代の同級生。娘の美久は百合子にピアノを習っている。夫は銀行員。
Y

百合子の音大時代の同級生。神戸在住。阪神・淡路大震災以後の消息は不明。
峯岸

老人ホームの入居者の女性。新興宗教に入信以後は家族と疎遠。認知症を患う。
KOE

泉のレコード会社が売り出していたアーティスト。

書誌情報
  • 川村元気『百花』
  • 単行本:2019年5月15日発売、文藝春秋、ISBN 978-4-16-391003-1
  • 文庫本:2021年7月07日発売、文春文庫、ISBN 978-4-16-791716-6
  • 単行本:2019年5月15日発売、文藝春秋、ISBN 978-4-16-391003-1
  • 文庫本:2021年7月07日発売、文春文庫、ISBN 978-4-16-791716-6
映画

2022年9月9日に公開された。主演は菅田将暉と原田美枝子、監督は原作者の川村が手掛ける。また、川村にとって本作が長編映画初監督作となる。本作の配給は日本では東宝が担当、日本以外の海外での配給はギャガが担当する。

重要な場面の撮影が行われた諏訪湖畔で行われた諏訪湖オータム花火で、本作が全国一斉公開されることを記念した花火も打ち上げられた。この他に神戸市でも撮影が行われた。

同年の9月25日、サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀監督賞受賞。

キャスト
  • 葛西泉:菅田将暉
  • 葛西百合子:原田美枝子
  • 葛西香織:長澤まさみ
  • 大澤哲也:北村有起哉
  • 永井翔太郎:岡山天音
  • 田名部美咲:河合優実
  • 佐藤雅之:長塚圭史
  • 関綾乃:板谷由夏
  • 工藤恵:神野三鈴
  • 浅葉洋平:永瀬正敏
スタッフ
  • 原作:川村元気『百花』(文春文庫刊)
  • 監督:川村元気
  • 脚本:平瀬謙太朗、川村元気
  • 音楽:網守将平
  • 主題歌:KOE「Hello,I am KOE」(produced by Yaffle)
  • 製作:松岡宏泰
  • 共同製作:西新、依田巽、古澤佳寛、岡田武士、渡辺章仁、弓矢政法、潮田一、今村俊昭、広田勝己、奥村景二、鈴木貴幸、中部嘉人
  • エグゼクティブ・プロデューサー:臼井央、小竹里美
  • プロデューサー:山田兼司、伊藤太一
  • ラインプロデューサー:横井義人
  • 撮影:今村圭佑
  • 照明:平山達弥
  • 録音:矢野正人
  • 美術:杉本亮
  • 装飾:茂木豊
  • 編集:瀬谷さくら
  • スタイリスト:伊賀大介、荒木里江
  • ヘアメイクデザイン:勇見勝彦
  • キャスティング:田端利江
  • 音響効果:北田雅也
  • 監督補:平瀬謙太朗
  • 助監督:中里洋一
  • 制作担当:菅井俊哉
  • 音楽プロデューサー:成川沙世子
  • 宣伝プロデューサー:宮千香子
  • メディアプロモーション:秋山智美、上野美穂
  • 配給:東宝
  • 海外配給:ギャガ
  • 制作プロダクション:AOI Pro.
  • 製作:「百花」製作委員会(東宝、テレビ朝日、ギャガ、STORY inc.、EMI Records、ローソンエンタテインメント、ジェイアール東日本企画、AOI Pro.、朝日放送テレビ、毎日新聞社、日本出版販売、Filmarks、文藝春秋)