監督 (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『監督』(かんとく)は、海老沢泰久の小説。
プロ野球元監督の広岡達朗を実名のままモデルにしているが、作品としてはフィクションである。
1979年第81回直木賞候補作品。
作品世界
物語の舞台は1978年頃 の日本。プロ野球チーム『エンゼルス』は架空の球団だが、そのモデルは実世界でも当時弱小球団と呼ばれていたヤクルトスワローズである。「先輩を差し置いて監督に就任したくないのでコーチとして入団」「家族主義的なチームカラー」「新人ショートを抜擢」「主砲外国人の放出」「元巨人の捕手を腹心のコーチとして招聘」など、当時のヤクルトスワローズや広岡達朗を想起させる内容が記載されている一方、「主砲のトレード相手が活躍」「前任の監督が占い師によって打順をきめていた」「外国人投手が入団」など、現実とは異なる部分 も多数見受けられ、現実をモチーフとしたフィクション小説であることがわかる。
エンゼルス以外の選手・チームは全て実在の名前で登場している。ただし、チーム名はエンゼルスを含め愛称のみで語られており、オーナー企業名はオリンピック建設。登場人物の大半が姓のみ で書かれ、広岡や選手の家族も名前が出てこない。モデルが特定できる人物が悪役として描かれるのみならず違法行為まで手に染める描写となっているが、特に名誉毀損訴訟などは起こされていない。
あらすじ
球団創設以来20年間「ドンケツ・エンゼルス」と呼ばれ続けているプロ野球チームエンゼルスは、その年も夏には首位ジャイアンツから26ゲーム差も離されての最下位。チームは6連続安打で一点も取れない珍記録 を出すわ、監督はノイローゼからスターティングメンバーを祈祷師に占わせて決めているわと、絶望的な状況に陥っていた。
現監督を解任したチームオーナーは、ヘッドコーチの広岡達朗に新監督の就任を依頼することになった。
登場人物
監督・コーチ陣
広岡達朗
渡会洋一
高柳
球団フロント
岡田三郎
副社長
西尾藤子
選手
高原
チャーリイ・ヘミングウェイ
羽後
武富
ハドソン
寺田
下条
作品内における野球理論
- 野手の成績は打撃成績だけを見ず、走力・守備力等を総合し相手に与えた得点も考慮して評価するべきである。
- 足の速い選手は闇雲に次の塁へ盗塁をするだけでなく、ランナーの動きから相手投手の投げられる球種に制限を与えたり、盗塁するアクションで守備体型を見破るなどの揺さぶりをかけることで、試合の展開を少しでも有利に進める役割がある。
- プロ野球選手は野球をすることが仕事ではなく、試合に勝つことが仕事。
- 選手はサボりたがり。常にチーム内でも競争させ、危機感を煽っていなければいけない。
書籍
- 初出単行本 新潮社 1979年3月25日発行 ISBN 4-10-331301-3
- 文庫本 新潮文庫 1982年3月25日発行 ISBN 4-10-126601-8
- 文庫本 文春文庫 1995年1月10日発行 ISBN 4-16-741406-6