真夜中のパン屋さん
小説
著者:大沼紀子,
出版社:ポプラ社,
巻数:全6巻全2巻の分冊),
ドラマ
原作:大沼紀子,
演出:大原拓,
制作:NHKエンタープライズ,
放送局:NHK BSプレミアム,
話数:8回,
以下はWikipediaより引用
要約
『真夜中のパン屋さん』(まよなかのパンやさん)は、2011年からポプラ文庫にて発行されている大沼紀子による日本の小説シリーズ。イラスト担当は山中ヒコ。児童書レーベルのポプラキミノベルで復刊している。こちらのイラストは木屋町。略称はまよパン。
営業時間が午後11時から午前5時までという変わったパン屋「ブランジェリークレバヤシ」を舞台にした小説。ジャンルとしては、文芸作品にライトノベルの技法を取り入れて描くキャラクター小説になる。ライトなイメージのタイトルだが、内容はシリアスで重いテーマを扱っており、それを個性的なキャラクターたちのユニークな交流に乗せて描かれていることにより温もりのある作品に仕上がっている。
2012年には「『真夜中のパン屋さん』ディスプレイコンクール」が開催され、書店員たちの支持もあり、第3巻までで累計90万部のベストセラーになった。2013年4月にNHK BSプレミアムでテレビドラマ化されている。
あらすじ
午前0時のレシピ
関連事象:メロンパン、チョココロネ
Open
Fraisage-材料を混ぜ合わせる-
Pétrissage & Pointage-生地捏ね&第一次発酵-
Division & Détente-分割&ベンチタイム-
Façonnage & Apprêt-成形&第二次発酵-
Coupe-クープ-
Cuisson avec buée-焼成-
午前1時の恋泥棒
関連事象:クロワッサン、シュトレン、ガレットデロワ
Mélanger les ingrédients & Pétrir la pâte-材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる-
Pointage & Tourage-フロアタイム&折り込み-
Découper des triangles & Fermentation finale-カット成形&最終発酵-
Cuisson-焼成-
登場人物
主要人物
暮林 陽介(くればやし ようすけ)
「ブランジェリー クレバヤシ」のオーナー兼ブランジェ(パン職人)見習いで、主に接客担当。白いコックスーツを身に付け、縁なしの眼鏡をかけ、薄く無精ひげを生やして、やや上がり気味の口角が柔和な雰囲気を醸し出している。年齢は30代後半。北陸または上信越地方の出身にも関わらず、妙な関西弁で話す。弘基からは「クレさん」と呼ばれている。人あしらいが上手く、鷹揚な笑顔で主張を通してしまうため希実からは「笑顔のテロリスト」と評される。手先は不器用で飲み込みも悪いが、パン作りに情熱を傾ける。人の感情の機微に疎く、とりあえず笑って誤魔化してしまうことが多々ある。
複雑な過去を持つ他の登場人物と違って、大した苦労も歪みもなく育ってきている。大学時代のバックパック旅行中に地雷で吹き飛ばされる子供を目の当たりにし、国際法ゼミで地雷撤廃運動や難民問題に明るい教授の下で学んだ。そのゼミで美和子と知り合い、交際し始める。卒業後、約3年半シンクタンクに勤めた後、コロンビア大学院を経て国連PKO局へ入る。30歳の時に美和子と結婚してからも仕事で世界中を飛び回っていたため、実際に生活を共にしたのはごくわずかだが、お互いの夢や目標を尊重し合う夫婦関係を築いていた。美和子の死後、彼女の夢だったパン屋開業のため国連を退職した。「ブランジェリー クレバヤシ」の店舗家屋ではなく、近くのアパートに住んでおり、人にはサラリーマン時代の荷物が多いからだと説明しているが、本当の理由は美和子が生活していた部屋で暮らすことがいたたまれないためである。
希実が美和子の異母妹などでないことに気づきながらも、美和子の意思を継いで面倒を見ることを決めた。
柳 弘基 (やなぎ ひろき)
「ブランジェリー クレバヤシ」ブランジェ。仕事中は墨色のコックスーツを着ている端正な顔立ちをした若い男だが、希実からは「毒キノコ」と評されるような私服の趣味をしている。
元々はブルーワーカーとしての幸福な家庭に生まれたが、地域経済悪化の影響から家庭が荒んでいき、自身も非行に走っていた中学3年生の時に、保護司から製パン学校の学生で塾講師だった美和子を家庭教師として紹介され、近くで接する内に彼女に恋をする。彼女に恋人の存在を知っても、結婚した後も彼女を一途に思い続け、製パン修業のため海外へ渡った彼女を追いかけてイタリア、フランス、ドイツなどまで付いていったことがあり、自身もパン職人になるべく修業した。美和子の死後、初めて暮林と出会い、彼のパン屋開業という提案に乗る。
暮林と同じく、希実が美和子の異母妹ではないことを知ってはいる。希実とはお互い名前を呼び捨てにし、良く言い合いをする仲。
篠崎 希実 (しのざき のぞみ)
いつも何かに腹を立てている女子高生2年生。自分で短く切りすぎる傾向があるため髪はショートカット。店では帳簿付けと自転車でのパンの宅配を担当する。
産まれてすぐに母親に祖父母の元に置き去りにされ、6歳の時に祖母に説得された母に引き取られるまでそこで育った。その後も、カッコウの托卵のように母の知り合いのあちこちの家に預けられ、知らない大人の元で育っている。高校2年に進学する年の春休みに母が家出し、置き手紙にあった異母姉・暮林美和子を頼ってブランジェリークレバヤシを訪ね、店の2階の物置だった場所に世話になり始めるが、実父とされている男性が生存していることを確かめたことがあるため、自分が美和子の異母妹でないとは思っている。小学生のときに美和子に面倒みてもらったことがあり弘基とも会っているのだが、フルーツサンドが好きだったことを含め、その頃の記憶が欠落している。
育ってきた環境からくる諦観を囲っているが、負けん気と自立心が旺盛で学業や出席率は良く、公認会計士か税理士の資格を取って、結婚せずにひとりで安定した生活を送るという人生設計を立てている。
暮林 美和子(くればやし みわこ)
「午前0時のレシピ」
水野 こだま(みずの こだま)
昼夜を問わず、街を歩きまわっている小学3年生。母子家庭であるが、亡き祖父の遺した瀟洒な一軒家で暮らしている。名前は新幹線の「こだま」に由来している。母である織絵は家に戻らないことが度々あり、こだまの世話も満足にできないというネグレクト気味で、時には体罰も受けていたが、心底母を慕って織絵のことを第一に考えている。幼稚園と小学校の入試には失敗しているが、現在通っている学校での成績や知能検査の結果は大変に良く、希実も優秀な子だと思っている。
開業準備中の美和子と親しくしていたことがあり、情報の行き違いからブランジェリークレバヤシで万引き扱いされてしまうが、それが縁となって似たような素行の母親を持ち、名前が「こだま」と「のぞみ」で新幹線繋がりでもあるので、希実の弟分としてブランジェリークレバヤシに出入りするようになり、店の3人や常連客から色々と面倒を見てもらうようになった。
斑目 裕也(まだらめ ゆうや)
テレビドラマを手がける中堅脚本家。8階建てビルの最上階の42㎡のワンルームに暮らしている。同居しているのは、雑巾のような模様をした猫のぐーたんで、2巻からは暮林が拾ってきた雄の仔猫のシバタを引き取った。趣味と仕事への実益を兼ねて自宅マンションの三面の窓から複数の望遠鏡で人間関係を観察する他は、ほとんど世間との関わりを持たず、自室内で完結している自分の生活を分相応のものとして、それなりに満足していた。自分がしていることが変態行為ではあることを自覚しているが、他人の着替えや濡れ場は見ないといった外道に堕ちないための自分ルールを持つ。覗きで情報を得る他にも、ネットスキルに長けており、情報を整理収集することが上手いため、「ブランジェリー クレバヤシ」周辺で起きる面倒事の際には、その能力を活かして協力している。
かつて自分のファンだという女性をストーカーし、200m以内の接近禁止の念書を書かされてしまったが、それからも彼女を心配し、彼女が郷里に帰ってしまうまでは動向を見守り続けていた。
開業前から望遠鏡で見ていたため、弘基が美和子に横恋慕していたことを知っており、弘基とは追い続ける恋愛感から意気投合し、また創作と製作というクリエイター同士としても共感している。変態的な趣味と独特の暗い雰囲気から、希実には警戒敬遠されていたものの、元来の人柄は良いため人間的な評価は段々と好転していき友人となった。
ソフィア
水野 織絵(みずの おりえ)
こだまの母親。こだまをひとり残して家を留守にすることが度々あり、「ブランジェリークレバヤシ」に、しばらくこだまと離れたいと連絡を入れて失踪してしまう。
父親は開業医、母親は父の30歳年下のその医院の事務員で、そこそこ裕福な家庭に生まれ、父親には溺愛され医院を継ぐように期待されて育った。母親は、父に蔑まれ続けて、織絵とも良い関係を結ぶことのできないまま小学校に上がる前に自殺している。医師になるべく育てられるも学力が及ばず断念し、看護師になるが父親は認めてくれなかった。自分を見限った父親の愛情を取り戻すため、勤務先の病院で優秀な医師と関係を持ち、こだまを妊娠する。しかし不倫関係による妊娠だったために父親からの理解を得ることができず、父親はこだまを出産する少し前に病没している。たびたびの出奔理由は、こだまを叱るときなどの自分に、かつて自分に辛く当たっていた頃の父親の影を見出し、その事が苦痛になってしまうからであった。
少女時代から病的な万引き癖があり、こだまが「ブランジェリークレバヤシ」で万引きをしたと聞かされた際に、こだまが自分の良くない血を引いていると思い込み、一緒にいない方がよいのではと考えるようになってしまっていた。失踪中にソフィアに拾われたのも、ソフィアが万引きを見逃してくれたことがキッカケだった。こだまの元に戻ったあとは、ソフィアの紹介先で看護師として勤め始め、3巻時には昔馴染みの安倍医師の診療所で働いていた。
「午前1時の恋泥棒」
「午前2時の転校生」
美作 元史(みまさか げんじ)
美作 孝太郎(みまさか こうたろう)
その他
三木 涼香(みき すずか)
書誌情報
ポプラ文庫版
イラスト:山中ヒコ
# | タイトル | 発行日 | ISBN |
---|---|---|---|
1 | 真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ | 2011年6月3日 | ISBN 978-4-591-12479-6 |
2 | 真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 | 2012年2月3日 | ISBN 978-4-591-12751-3 |
3 | 真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生 | 2012年12月5日 | ISBN 978-4-591-13182-4 |
4 | 真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 | 2013年10月4日 | ISBN 978-4-591-13624-9 |
5 | 真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者 | 2016年3月15日 | ISBN 978-4-591-14512-8 |
6 | 真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥 | 2017年6月15日 | ISBN 978-4-591-15482-3 |
ポプラキミノベル版
イラスト:木屋町
# | タイトル | 発行日 | ISBN | |
---|---|---|---|---|
1 | 真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ | 上巻 | 2021年9月15日 | ISBN 978-4-591-17110-3 |
2 | 下巻 | 2021年10月13日 | ISBN 978-4-591-17137-0 |
テレビドラマ
2013年4月28日から6月16日まで毎週日曜22:00 - 22:49にNHK BSプレミアムのプレミアムドラマ枠で放送された日本のテレビドラマ。主演は滝沢秀明。
2013年11月5日から12月24日までNHK総合「ドラマ10」枠で放送され、2015年春にも、深夜枠で再放送された。
キャスト
ブランジェリークレバヤシ
パン屋の客
都立桜ヶ原高等学校
その他
ゲスト
スタッフ
- 原作 - 大沼紀子『真夜中のパン屋さん』(ポプラ文庫)
- 脚本 - 寺田敏雄、李正姫
- 音楽 - 岡部啓一、帆足圭吾
- 演出 - 大原拓、榎戸崇泰
- 主題歌 - Chara「hug」(Ki/oon Music)
- 製パン指導 - 吉田菊次郎、田川佳弘
- 擬闘 - 中川泰幸
- タイトルバック - 小林恵美
- 撮影協力 - 多摩市、日野市、埼玉県立三郷工業技術高等学校
- 制作統括 - 落合将、谷口卓敬
- 制作 - NHKエンタープライズ
- 制作著作 - NHK
放送日程
各話 | 放送日(BSプレミアム) | 放送日(総合) | サブタイトル | 脚本 | 演出 |
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第1回 | 4月28日 | 11月 | 5日謎の女子高生来たる | 寺田敏雄 | 大原拓 |
第2回 | 5月 | 5日11月12日 | 小さなパン泥棒 | ||
第3回 | 5月12日 | 11月19日 | 普通じゃない人々 | 榎戸崇泰 | |
第4回 | 5月19日 | 11月26日 | 恋って、おいしい? | ||
第5回 | 5月26日 | 12月 | 3日元カノの秘密 | 李正姫 | 大原拓 |
第6回 | 6月 | 2日12月10日 | もうひとりの佳乃 | ||
第7回 | 6月 | 9日12月17日 | おだやかなクレーマー | 寺田敏雄 | 榎戸崇泰 |
最終回 | 6月16日 | 12月24日 | 小さな灯りをともして | 大原拓 |