真昼の暗黒 (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『真昼の暗黒』(まひるのあんこく)または『日蝕』(にっしょく、ドイツ語原題: Sonnenfinsternis、英語原題:Darkness at Noon)は、アーサー・ケストラーの政治小説。1940年に刊行され、世界でベストセラーになった。
タイトルは、ジョン・ミルトンの詩『闘士サムソン(英語版)』の一節「ああ、暗い、暗い、真昼の炎の中にいても……」から取られた。
あらすじ
革命家であり、現在は革命政府の要職にある主人公ルバショフ。彼は政府トップの地位にある「ナンバー・ワン」による粛清の標的にされ、でっち上げられた容疑で逮捕されて収容所に送られてくる。帝政ロシアの元将校である隣室の囚人と、壁を叩いた音によって会話を交わしながら、彼は収容されるまでの経緯を追想する。かつての友人イワノフが、彼の判決と命運を左右する地位についていることを知った彼だったが、さらに彼の前に現れたのは新しい革命世代の男グレトキンだった。グレトキンの取り調べを受ける中で、彼は自らの意志で、でっち上げられた罪を自白していく。
登場人物
四〇六号室の男
モデル
スターリン時代のモスクワ裁判をモデルにしており、主人公ルバショフは「物の考え方は、ニコライ・ブハーリンをモデルとした。人柄と風貌はレフ・トロツキーとカール・ラデックを合わせて作った」とケストラー自身が述べている。
反響
- ジョージ・オーウェルが、評論『アーサー・ケストラー』で高く評価している。またオーウェルの小説『1984年』に大きな影響を与えたといわれる。
- 哲学者モーリス・メルロー=ポンティが、著書『ヒューマニズムとテロル』で強く批判した。
- 今井正監督による、冤罪事件を扱った同名の映画があり、「虚偽の自白で死刑判決を受ける」という要素の一致からタイトルに借用された。
日本語訳書
- 中島賢二訳『真昼の暗黒』岩波文庫、2009年。英語版に基づく
- 岩崎克己訳『日蝕』三修社、2023年。2015年に発見されたドイツ語原本に基づく