神君幻法帖
以下はWikipediaより引用
要約
『神君幻法帖』(しんくんげんぽうちょう)は、山田正紀による日本の伝奇時代小説。『問題小説』(徳間書店)にて2007年11月号から2008年9月号まで連載された。
あらすじ
徳川家に盤石の安泰をもたらすため―、捨て石となれ。
元和3年(1617年)、久能山東照宮に埋葬された徳川家康公の御霊を日光東照宮に移し、卯月(4月)17日に正遷宮の儀式が執り行われることとなった。霊柩を遷するその行列は『身乾薪如』という二輿の輿車を擁している。その二輿の輿車-『先自身焦』と『未他焼能』-をそれぞれ担い、いずれが先に日光東照社に到着するか競え。それが“幻法者”山王一族と摩多羅一族に下された命であった。
幻法者対幻法者、7人対7人。異様な体術を駆使して繰り広げられる「幻法」合戦の幕が切って落とされた。
登場人物
山王一族
摩多羅(またら)一族
双 伴内(ふたつ ばんない)
用語
幻法者
常に渡っていたために「ワタリ」の名で呼ばれることもあり、権力者たちの権力の及ばぬ寺域、神域を渡り歩いて「神人(じにん)」の名で呼ばれることもあった。戦国大名たちの書簡に、「飛脚」、「脚力」、あるいは「使僧」の名で登場し、戦場から戦場に書を運ぶ任に携わっていたのも彼らであったらしい。
彼らは全人衆(まとうどしゅう)、あるいは幻人衆(まどうどしゅう)と呼ばれることが多かった。幻人衆――すなわち幻人(げんじん)、幻者(げんしゃ)である。
彼らは「無縁者」であり、「公界者」でもあって、そのほとんどが惣村(共同体)の外――寺域、神域、街道、河原、山中、墓地付近など――でひっそりと生きていた。しかし徳川体制が確立されるにつれて、そうしたアジールは過去の遺物とならざるをえず、元和3年、東照社の奉仕として、一山衆徒、社家、一坊、宮仕、神人などの体制が整備されて、彼ら日光山を聖山(アジール)とする幻法者たちもいやおうなしにその体制に組み入れられることとなった。
山王一族
摩多羅一族
身乾薪如(しんいぬいしんじょ)
その真の役割は、徳川家への生け贄を供するためのジャガーノートである。「身乾薪如」は「わが身は乾いた薪の如し」の意味であり、狂信的なヒンドゥー教徒がジャガーノートを祀った戦車の前に我と我が身を投げ出し、自身を神の生け贄に供するように、「乾いた薪の如」くに幻法者たちを生け贄にすることが目的である。「先自身焦」とは「先ずもって自が身を焦がす」の謂いであり、「未他焼能」は「他を焼くを能わず」の謂いである。
書誌情報
- 神君幻法帖 2009年2月18日発売 ISBN 978-4-19-862680-8 徳間書店刊
- 神君幻法帖 2013年10月4日発売 ISBN 978-4-19-893757-7 徳間文庫
装画は佐伯俊男。
備考
著者インタビューにおいて、『神君幻法帖』は山田風太郎の『甲賀忍法帖』へのオマージュであり、登場する術者たちの術は同じで、科学的理由づけだけはアップデートしたと語っている。