神戸在住
以下はWikipediaより引用
要約
『神戸在住』(こうべざいじゅう)は、木村紺による日本の漫画作品。『月刊アフタヌーン』(講談社)にて、1998年6月号から2006年5月号(3月25日発売)まで連載された。全10巻。欧文タイトルは「from KOBE」。木村は本作品により、第31回日本漫画家協会賞新人賞を受賞した。2015年、サンテレビジョン制作によりテレビドラマおよび映画化された。
東京出身で神戸の北野にある神戸中央大学校〔ママ〕(モデルは神戸山手大学・短期大学)に通う主人公の女子、辰木桂の大学生活を中心に、彼女とその周りを取り巻く人間模様がほぼ一話完結のエッセイ風に描かれている。タイトル通り、神戸近辺を舞台にしているため、特に阪神・淡路大震災の話が度々描かれている。また国際都市神戸としての多様性を象徴するように多様な背景を持った人々が登場する。出会いと別れ、死、地域性や人種・民族、病苦や障害などに焦点を当てたストーリーが特徴的である。
解説
形式と作中の時間経過
主人公の一人称で描かれる形式の漫画で、主人公の内面描写に富む。コマ外の自筆による地の文によってコマの説明やその時の主人公の心理描写が入るためやや文字中心の漫画になっている。また、定規を使わないコマ割の独特さ、トーンやベタをあまり使わず、線の数や太さで陰影をつける繊細な画法が特徴的である。一話単位での時間の流れ方は緩やかであるが、全体を通した時間の流れ方は、第1巻(1999年8月発売)時点で大学2回生で、第5巻(2003年4月発売)の途中(第42話)から第7巻(2005年2月発売)までが3回生、第8巻(2006年2月発売)から4回生であることを考えれば、実際の時間の経過と比べても大きくずれてはいない。ただ、作中での時間経過は徐々に速くなっている。また、主人公の友人・和歌子の被災(第8話)が高校2年の1月と推測できることから、主人公らの在学期間は1996年4月 - 2000年3月と考えられるが、連載の長期化に従い、物語終盤では「携帯電話に恋人の画像」という程度に、作中の時間と現実の時間の経過のギャップが修正されている(1995年当時は大学生でもポケベルの使用が主流であり、携帯電話や写メールの普及は数年先の話である)。
どちらかというと少女漫画の形式に近いが、少女漫画特有の青臭さはない。大人の叙情性をそなえた世界観が魅力である。季節の移りかわりや風物を題材とすることも少なくない。
神戸紹介の側面
本作品は主人公と周りの人間関係の描写が物語の主軸であるが、神戸という街の紹介という一面も持っている。登場人物が通う大学などの施設は架空のものだが、主人公が歩く街並みや立ち寄る店、神戸ハーバーランドや神戸MOSAIC、神戸市立王子動物園など大部分の施設は実在するものであるため、近年の神戸の雰囲気を本作品からうかがい知ることができる。また、単行本中には、登場した建物等を簡単に紹介している「コラム 小神戸」と題したコーナーもあり、神戸紹介の面を補足している。
作中では実在の施設と架空の施設が入り乱れて描かれているため、作中の架空の施設を実際に探すファンもいる。
震災体験の描写
作者自身も神戸で被災しており、また舞台を現代の神戸に設定していることからも、作中でも阪神・淡路大震災について、度々触れられている。しかし、1995年の時点で高校生だった主人公、辰木桂はまだ神戸に引っ越す前で阪神・淡路大震災を直接経験していないという設定のため、作中での震災の話は、桂が被害の爪痕を見ることか、直接体験した桂の友人、金城和歌子とその恋人、林浩の2人が中心となって体験談を語る形で描かれている。
震災の話は第1話から少し触れられていて、友人、鈴木タカ美が地震で揺れた部屋でフラッシュバック体験をするエピソードで桂は震災を体験していない自分が取り残されたような気分になっている。第7、8話では金城和歌子の、第23 - 25話では林浩の震災体験(及びボランティア体験)が描かれている。第40話でも和歌子と林の住んでいた仮設住宅からの引越及び成人式での黙祷が描かれている。この仮設住宅は第2話から登場していたが、ここから退去したことで震災の話は一区切りがついた形になっている。
「ことば」へのこだわり
登場人物たちの話す言葉は、作者の強いこだわりをもって描かれている。舞台である神戸を中心とする関西圏の言葉の差異をはじめとして様々な方言が書き分けられるほか、同じ東京出身の人物でも、辰木家や友田は一般的な共通語、大棚教授は江戸言葉、桂の高校時代の友人はくだけた首都圏方言と少しずつ異なる。英語、中国語、フランス語などが使われることもある。第45話「喋り言葉のことを色々と。」ではそのこだわりを物語の中心に据えている。また単行本各巻の冒頭には、「ようこそ神戸へ!」を意味する世界各地の言葉をレイアウトしたカットが挿入されている。
おもな登場人物
桂とその周辺
辰木 桂(たつき かつら)
本作の主人公。2月8日生まれ。神戸の大学の文学部美術科課程に通う大学生。もともと東京出身だが、大学入学前に家族で神戸に引っ越してきた。長田区に住む。美術科進学を決めたのは、高校時代に出会った日和洋次の作品「月を見ている猫」に影響を受けてのことで、神戸に来てからは日和のアトリエ兼ショップを訪ね、以来、親交を結ぶ。優しい性格で、涙もろく夢を語る人には弱い。また、普段から大人しく、周りに押されるままに行動するエピソードも多い。ボーイッシュな体型を気にしてか、あまりスカートをはかない。高校時代はロングヘアだったが、大学進学後はショートヘアにしている。本とビートルズなど古めの洋楽が好き。携帯電話は持っていない。大学入学は第8話の和歌子と林浩のエピソードからは1996年4月、第5話の明石海峡大橋が開通した1998年4月には2回生になっている。大学卒業後、伊川谷カンパニーというミニコミ誌の出版などを手がける会社に就職の予定。またその傍らで幼時以来となる生け花を始める。
金城 和歌子(かなぎ わかこ)
泉海 洋子(いずみ ひろこ)
林 浩(リン ハオ)
日和 洋次(ひなた ようじ)
辰木家の人々
辰木 晴君(たつき はるきみ)
辰木 すゑ(たつき すえ)
辰木 晴一(たつき せいいち)
英語文化研究室
名目は研究室だが、実際は英語文化研究部という文化系サークルの部室で、桂が放課後などよく遊びに行く。ただしサークルとしての活動は、大学祭に模擬店を出店したことを除いて描写されたことがなく、専ら「コーヒー愛好会」のような感じになっている。この部屋に来たら、何をするにもコーヒーから始まるのが定番になっているあたりからもそれは良く解る。
鈴木 タカ美(すずき タカみ)
小池 順(こいけ じゅん)
野間 誠一郎(のま せいいちろう)
大棚教授(おおだなきょうじゅ)
高校時代の友人
高橋 愛(たかはし あい)
立花 椿(たちばな つばき)
美術科の人々
美術科は一学年100人程度で、大きく分けて絵画教室・造形教室・芸術学教室の3つがある。絵画教室はさらに水彩画と油画の2つの専攻に分かれている。ここに登場する学生は油画教室伊達ゼミの生徒が多い。
中沢くん(なかざわくん)
伊達先生(だてせんせい)
崔 月姫(チェ ウォルヒ)
斉藤 行次(さいとう ゆきつぐ)
持田 さや(もちだ さや)
田口 里穂(たぐち りほ)
その他の大学の人々
伏見 淳美(ふしみ じゅんみ)
単行本
- 木村紺 『神戸在住』 講談社〈アフタヌーンKC〉、全10巻。
- 1999年8月20日発売、ISBN 4063211045
- 2000年7月21日発売、ISBN 4063211169
- 2001年6月22日発売、ISBN 406321124X
- 2002年5月23日発売、ISBN 4063211371
- 2003年4月23日発売、ISBN 4063211487
- 2004年4月23日発売、ISBN 4063211606
- 2005年2月23日発売、ISBN 4063211673
- 2006年2月23日発売、ISBN 4063211754
- 2006年11月22日発売、ISBN 4063211819
- 2008年1月23日発売、ISBN 4063211827
映像化
阪神・淡路大震災20年・サンテレビジョン開局45周年記念事業作品としてテレビドラマ化され、震災発生20年を迎える2015年1月17日に同局にて90分の作品(本編77分)がゴールデンタイムに放送された。その後順次関東・中部・関西各エリアの独立系12局で放送のほか、放送日と同時に映画『劇場版 神戸在住』(本編96分)として劇場公開された。地上波放送のテレビドラマと劇場用映画が同時に公開される試みは国内では初めてで、テレビドラマ版と映画版では登場人物の視点が異なる。オール神戸・阪神間ロケにて制作され、神戸を舞台とした映画『She's Rain』を手がけた同地在住の白羽弥仁が監督した。原作と同じく、こちらは実名で神戸山手学園が撮影に協力した。
原作とは時代設定などが異なり、2015年が舞台。主人公の桂は阪神・淡路大震災の2日後に生まれたという設定で、ストーリーは日和洋次のエピソードを中心に再構成され、阪神・淡路大震災や東日本大震災についても言及されている。
キャスト
- 辰木桂 - 藤本泉
- 日和洋次 - 菅原永二
- 泉海洋子 - 浦浜アリサ
- 鈴木タカ美 - 松永渚
- 金城和歌子 - 柳田小百合
- 小西健 - 松尾貴史
- 合田和名 - 田中美里(友情出演)
- 早坂兵衛 - 仁科貴
- 林浩 - 上田康人
- 辰木さなえ - 愛華みれ
- 武内真弓 - 竹下景子
スタッフ
- 監督 - 白羽弥仁
- 原作 - 木村紺
- 脚本 - 安田真奈
- 音楽 - 妹尾武
- 主題歌プロデュース - 犬飼伸二
- 主題歌 - 宮崎奈穂子「あのとき」作詞 宮崎奈穂子 / 作曲 犬飼伸二
- 製作総指揮 - 朝日義治
- 製作者 - 門前喜康、石田好一、中村仁
- 企画プロデュース - 大西昭彦
- プロデューサー - 嶋田豪、高瀬博行
- 撮影 - 豊浦律子
- 照明 - 鈴村真琴
- 美術 - 嶋田良一
- 録音 - 松陰信彦
- 編集 - 渋谷陽一
- 助監督 - 落合俊一
- 制作担当 - 金子哲男
- ポスプロ - 日活撮影所、動画堂
- カラーグレーディング - IDC〜映像創作集団
- 後援 - 兵庫県、神戸市、神戸市教育委員会、神戸新聞社
- 特別協賛 - 学校法人神戸山手学園
- 協賛 - ミント神戸、神戸新聞会館、神戸製鋼所、東芝、三井住友銀行、池田泉州銀行
- ロケーションサポート - 神戸フィルムオフィス
- 製作著作 - サンテレビ
- 製作プロダクション・配給 - アイエス・フィールド
ネット局
放送年は特記がなければ2015年
放送地域 | 放送局 | 放送日時 | 放送系列 | 備考 |
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兵庫県 | サンテレビ 制作局 |
1月17日 20:00 | 独立局 | 3月15日 12:00 - 13:30に再放送 |
京都府 | KBS京都 | |||
三重県 | 三重テレビ | |||
神奈川県 | テレビ神奈川 | 1月17日 18:30 | 1時間半先行放送 | |
栃木県 | とちぎテレビ | 1月17日 19:00 | 1時間先行放送 | |
群馬県 | 群馬テレビ | |||
千葉県 | 千葉テレビ放送 | |||
岐阜県 | ぎふチャン | 1月17日 21:00 | ||
和歌山県 | テレビ和歌山 | 1月18日 14:00 | ||
東京都 | TOKYO MX(MX2) | 1月18日 19:00 | ||
宮城県 | ミヤギテレビ | 1月22日 25:29 | 日本テレビ系列 | |
埼玉県 | テレビ埼玉 | 1月24日 19:00 | 独立局 | |
岩手県 | 岩手朝日テレビ | 2月7日 26:45 | テレビ朝日系列 | |
福井県 | 福井テレビ | 2月20日 14:00 | フジテレビ系列 | |
静岡県 | 静岡第一テレビ | 2月20日 26:36 | 日本テレビ系列 | |
福岡県 | 九州朝日放送 | 2月28日 26:47 | テレビ朝日系列 | |
福島県 | 福島中央テレビ | 3月22日 13:55 | 日本テレビ系列 | |
石川県 | 北陸放送 | 5月22日 25:15 | TBS系列 | |
沖縄県 | 琉球放送 | 2016年1月25日 15:20 | TBS系列 |