神麻嗣子の超能力事件簿
以下はWikipediaより引用
要約
『神麻嗣子の超能力事件簿』(かんおみつぎこのちょうのうりょくじけんぼ)は、西澤保彦の推理小説シリーズである。カバーイラストと挿絵は水玉螢之丞。
このシリーズは、超能力が実在するが、一般人にはそれが知られていない世界を舞台にしている。エスパーが関わっていると思われる事件に対して、誰がエスパーなのか、超能力をどう使って犯罪を行ったのかなどを、主人公たちが推理するのが主なテーマとなる。また、作者独自の珍名趣味が通行人程度の役にまで徹底されている一方、稀に笹本、吉川など普通のネーミングが大きな役で用いられるが、この意図や理由については明かされていない。1話ごとに物語は完結するが、シリーズ全体を通したドラマとしての伏線も散りばめられている。悲劇的な結末を予感させるような伏線も多いため、懸念した読者の問い合わせに対して作者は、必ずハッピーエンドとなると明言している。ただし2006年で発表は中断しており、文庫版も全作絶版となっている(講談社文庫解説目録2020年4月版)。表紙やイラストでシリーズのイメージを担ってきた水玉螢之丞も2014年に死去してしまった。
主な登場人物
保科匡緒(ほしな まさお)
売れないミステリ作家。初登場時に32歳だが、若白髪で実年齢より年上に見られる。継続的に作品を出版しているが、滅多に重版がかからず、万年初版作家と自嘲することも。代表作は<代行シリーズ>など。朝3時に起きて夜9時に寝るという超朝型の規則正しい生活をしているが、マンションの人たちには胡散臭い目で見られている。自宅が現場となった事件をきっかけに、神麻や能解と出会い、それ以降、2人が相談を持ち込む事件を推理し、解決することが多い。いわゆる安楽椅子探偵である。かつて聡子と結婚していたが、わずか半年で離婚している。もっとも、彼の方は聡子に対して未練があり、また神麻や能解のことも気になっているのだが、話が進むうちに能解との関係を次第に深めていく。
神麻嗣子(かんおみ つぎこ)
超能力者問題秘密対策委員会出張相談員。初登場時からしばらくは見習の地位。外見は中学生ぐらいの神秘的な雰囲気を持つ美少女だが、実年齢は不明で未成年であるかどうかもわからない。家族関係も不明だが、実家に仕送りをしているという発言がある。着物に袴、白足袋、三つ編みの髪型と、大正ロマネスクな服装を好む。また、仕草や立ち居振る舞いが大変に愛らしく、しばしばペンギンに喩えられる。一級相談員の免状を目指すものの、ドジで気弱で天然ボケなため、初級とされる三種乙の試験に七回連続で落ち、反省文と始末書の数もダントツ。しかし保科や能解の手助けを受けているため、セクション内での補導成績はトップで、そのため不採用を免れている。一方家事に関しては万能で、特に料理の腕はプロ級。保科と知り合い、彼の家の鍵を預けられてからは、度々訪ねてきては未解決の事件を相談したり、料理を振舞ったり、単に外回りの休憩に来たりしている。そのため料理道具や食器一式を彼の家に揃え、さらに自分や能解の寝具まで勝手に持ち込んでいた。長い名称を勝手に略する癖があり、<チョーモンイン><カンチョウキ>も彼女が最初に言い出して広めたのではないかと、神余は推測している。保科と能解が結ばれるよう奮闘しており、保科が違う女と親しくしているだけで機嫌が悪くなるほどだが、なぜか聡子に関しては例外である。彼女自身が保科に特別な感情を抱いているようだが、それが恋愛感情なのかは不明。
能解匡緒(のけ まさお)
男のような名前だが、グラマラスで大人の色気漂う大変な美人警部で課長補佐。普段はフレームの大きな眼鏡をかけているが、時折コンタクトレンズを使うこともある。当初は非喫煙者のはずだったが、イラストを担当した水玉螢之丞が煙草を手にした挿絵を描いていたところから、後付で喫煙者となった。初登場の時点で32歳だが、年齢より若く見られる。祖父が警察の大物であり、自身も同じ道を歩んでいる。職業柄か、冷徹で男勝りなところもあり、その美貌にもかかわらず男嫌いと周囲に思われている。その性格のせいで初対面の時は神麻に怯えられていた。保科や神麻と出会ってからは、上層部からそれとなく、超能力の関係していそうな事件を任されるようになり、また単独行動を黙認されている。当初は自分と神麻と保科の奇妙な三角関係に戸惑っていたが、物語が進むに連れて(神麻の努力もあり)相思相愛の仲になる。
遅塚聡子(ちづか さとこ)
保科の前妻。旧姓は柾という苗字だったが、離婚を期に母の旧姓である遅塚を名乗るようになる。化粧っけは無いが溌剌とした美人。熱しやすく冷めやすい性質で、常に刺激的な事件を待ち望んでいる。また、どんないじめや嫌がらせにも屈しない精神力を持ち、学生時代には「大蛇の聡子」と呼ばれ、キャンパスでは今でも語り草になっているという。保科とは大学時代からの付き合いで、ミステリ作家というのは刺激的な生活をしているに違いないという思い込みから結婚した。しかし、想像とはかけ離れた地味な生活に幻滅し、わずか半年で離婚している。離婚後は自分の飽きっぽい性格を自覚し、内縁の夫を作っても結婚はしなかった。その内縁の夫が起こした事件をきっかけに、保科、神麻、能解の三人が出会うことになる。その後、別の元彼がまたしても超能力に絡んだ事件を起こし、チョーモンインのことを知って、再び保科の家に出入りするようになる。どこまで本気なのか、保科に能解と結婚してもいいが自分を愛人にしてくれと頼んで困惑させることも。雰囲気が能解と似ているらしく、保科が後姿を取り違えたこともある。しばしば、コントロール不能ながら予知夢を見ることがある。
神余響子(かなまり きょうこ)
神麻と同期の、チョーモンインの相談員。ただし、彼女の方が神麻よりずっと早く三種乙の試験に合格している。雰囲気が神麻とそっくりで、双子と見間違えそうになるほどの美少女。しかし性格はだいぶ異なり、神余の方が性格が粗暴で、一人称を「オレ」とするなどがらっぱちな口調で喋る。ただし、保科らに対してはちゃんと敬語で話している。仕事に関しては神麻よりもずっとしっかりしている。見習い時代は寮で神麻と同室だった縁で、お互いよく知った仲だが、神麻のあまりの天然ボケには辟易している。父はおらず病身の母親を抱えて家計が苦しいため、内緒で複数のバイトを掛け持ちしたり、家庭菜園で野菜を作ったりしており、いつも自作の作務衣とカンフーシューズを着用している。自分のパートナーだったスキマーが死亡したのをきっかけに、神麻の担当区域に転属。神麻の能天気ぶりに手を焼きつつも、彼女の仕事や試験勉強を手伝っていた。神麻が試験に合格してからは、今度は自分が二種甲の試験を受け、合格。広域出張相談員に昇進し、新たなスキマーを得る。
奈蔵渉(なぐら しょう)
能解の部下で彼女の大学の後輩。ただし彼は三浪したので、現役合格の能解と同年齢である。大学に入学するまでずっと母の強力な支配下に置かれて洗脳され続け、さらにその母に殺されかけたことから、女性を性欲の対象としてではなく殺人の対象として見るという狂気を持つようになる。警察官となってからはその立場を生かして日常的に連続殺人を行うようになり、元傭兵を含む数人の男をたった一人で皆殺しにできるほど、その殺人技術は高度である。特に能解は大学で初めて会った時から特別な女と感じていて、彼女を殺して自分の人生を完結させることをライフワークとしている。奈蔵と彼の息子がシリーズ最後の敵として登場することが予告されている。
アーノルド・ボルシチ
百百太郎(もも たろう)
阿呆梨稀(あぼう りき)
神威マモル(こうたけ まもる)
用語
チョーモンイン
カンチョウキ
観測装置
スキマー
PD
作中で登場する超能力
サイコキネシス
ハイパーヒプノティズム
テレパシー
読心術:相手の思考を一方的に読み取る。
精神感応術:2人以上のテレパスが言葉や身振りを使わずにコミュニケーションをとる。思念波を使う電話のようなもので、相手の内心を読み取ることはできない。例外もあるが、普通は、相手を拒絶したければテレパシーを完全に遮断できる能力が備わっている。さらに細かく分けると、どのテレパスとも自由にチャンネルを合わせることのできるサイ・テレパシーと、特定の相手としか交信できないエル・テレパシーがある。後者は双生児の間で発生することが多く、チョーモンインの観測装置でテレパシーのやりとりを観測できない。しかし送受信の位置がわかっていれば、盗聴するようにチャンネルを探して通信に割り込むこともできる。
パス:特定の人物の感覚を一方的に共有する。パスの「抜け」具合は様々で、五感がきれいに通じる場合もあれば、いくつかの感覚が欠けていて、しかも不鮮明という場合もある。感覚を送信する方をボディ、受け取る方をソウルと呼ぶが、どちらもパスの接続をコントロールできないため、厳密には能力というより「状態」である。また、ボディは自分の感覚がソウルに共有されていることに気がつかない。パスが通じるのはボディ側の精神的・肉体的な条件が揃った時のみで、この条件のことをデコーダーと呼ぶ。デコーダーは超能力の素質がある側へ設置されるため、デコーダーそのものはいわば逆テレパシーとでも呼ぶべき超能力と言える。頭部への衝撃をきっかけに、このデコーダーの条件が変わることもある。チョーモンインではソウルの立場を別の人間に移す装置「パス・シフト」を保有しており、人形に移してパスを完全に絶ったり、二人の人間が同時にソウルになったりできる。なお、パスが通じっぱなしという状態も存在するが、これは多体同一人格症というまた別の現象に分類される。
スプリッター
タイムイレイザー
予知
Dツール
テレポーテーション
記憶消去
フラッシュ
フラッシュオーバー
念写
書籍情報
- 幻惑密室
- 講談社ノベルス (1998年1月発行) ISBN 9784061820036
- 講談社文庫 (2003年6月発行) ISBN 9784062737777
- 実況中死
- 講談社ノベルス (1998年9月発行) ISBN 9784061820289
- 講談社文庫 (2003年11月発行) ISBN 9784062738910
- 念力密室
- 『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (1999年1月発行) ISBN 9784061820531
- 講談社文庫 (2004年4月発行) ISBN 9784062739986
- 夢幻巡礼
- 講談社ノベルス (1999年9月発行) ISBN 9784061820777
- 講談社文庫 (2004年10月発行) ISBN 9784062749084
- 転・送・密・室
- 『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (2000年12月発行) ISBN 9784061821606
- 講談社文庫 (2005年2月発行) ISBN 9784062750097
- 人形幻戯
- 『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (2002年8月発行) ISBN 9784061822641
- 講談社文庫 (2005年8月発行) ISBN 9784062751643
- 生贄を抱く夜
- 『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (2004年12月発行) ISBN 9784061824065
- 講談社文庫 (2007年12月発行) ISBN 9784062759212
- ソフトタッチ・オペレーション
- 講談社ノベルス (2006年11月発行) ISBN 9784061825079
- 講談社文庫 (2010年1月発行) ISBN 9784062765626
- 講談社ノベルス (1998年1月発行) ISBN 9784061820036
- 講談社文庫 (2003年6月発行) ISBN 9784062737777
- 講談社ノベルス (1998年9月発行) ISBN 9784061820289
- 講談社文庫 (2003年11月発行) ISBN 9784062738910
『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (1999年1月発行) ISBN 9784061820531
- 講談社文庫 (2004年4月発行) ISBN 9784062739986
- 講談社ノベルス (1999年9月発行) ISBN 9784061820777
- 講談社文庫 (2004年10月発行) ISBN 9784062749084
『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (2000年12月発行) ISBN 9784061821606
- 講談社文庫 (2005年2月発行) ISBN 9784062750097
『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (2002年8月発行) ISBN 9784061822641
- 講談社文庫 (2005年8月発行) ISBN 9784062751643
『メフィスト』掲載
- 講談社ノベルス (2004年12月発行) ISBN 9784061824065
- 講談社文庫 (2007年12月発行) ISBN 9784062759212
- 講談社ノベルス (2006年11月発行) ISBN 9784061825079
- 講談社文庫 (2010年1月発行) ISBN 9784062765626