終の棲家 (仙川環)
以下はWikipediaより引用
要約
『終の棲家』(ついのすみか)は、仙川環による日本の推理小説。文庫書き下ろし。
女性新聞記者を主人公とした作品で、著者の仙川が新聞社を辞めたばかりの頃に担当編集者から「記憶が生々しいうちに書いておいた方がいい」と言われて執筆を決めた。小説を書かないと生活できないというプレッシャーもあって気持ちがとげとげしていた頃だったため、主人公の智子に高飛車で空気が読めないという要素が加わってしまったのかもしれないとのちのインタビューで語っている。
2014年にテレビドラマ化された。
あらすじ
MBAを取得していることを買われ、大日本新聞社で念願の経済部に配属されたにもかかわらず、2か月前に社会部に異動となってしまった麻倉智子は、現場へ行って対象を追いかけ回すという部の性質について行けず、戸惑っていた。企画をあげてもあっという間にボツにされ、なんとか書き上げた記事も掲載直前で取材対象者の死亡により他の記事に差し替えられてしまう。
早くも仕事に辟易していたが、次期局次長を狙う社会部部長の蓑田守彦の思惑と援護により、智子は得意分野である介護や医療、年金などの問題を総合的に扱う企画班のメンバーに選ばれる。俄然やる気になった智子は、以前介護の現場を取材した時に唯一協力してくれた社会福祉法人「銀愛会」の秋本直己に紹介してもらい、高齢者を在宅介護している家を往診している医師・平林彰について介護者宅を訪れ取材する。
梅田春江は孤独死を怖がり、片岡敬は「自分1人でやれるから誰かの世話はいらない」と主張し、”在宅でも安心”というコメントをとりたかった智子の思惑は外れたが、なんとか初の連載「明日の介護」の第1回記事を書き上げる。しかし古巣の経済部や整理部の嫌がらせにより、結局智子の記事は紙面には載らなかった。落胆し、今度こそ仕事を辞めようと考えた智子だったが、紙面の片隅に自分が取材した片岡敬の死亡記事を見つける。心臓発作で亡くなったらしい。
そのわずか4日後に梅田春江も自宅で孤独死したと聞き、「自分が取材した人間が連続して亡くなるなんてまるで死神ね」と自嘲する智子だったが、同期の原島大吾は不穏なものを感じた。調べを進めると、亡くなった2人を往診していた平林医師が以前栃木県内の公立病院にいた頃、老人介護の専門誌で「子供に負担をかけたくないと訴える患者から懇願されたら手をかしたくなる」と自殺幇助を示唆するコメントをしていたことが判明する。
社会部のデスクである的川康弘に取材の続行を申し出た智子と大吾は、取材メモが抜群に詳しい松江信二をメンバーに加え、自殺幇助や依頼殺人、連続殺人の可能性さえも出てきたこの案件を追う。
登場人物
大日本新聞社
社会部
麻倉 智子()
主人公。2か月程前に経済部から社会部に異動してきたばかりの記者。MBAを持っている初めての記者という特別扱いで支局勤務は免除され、経済部に即配属される。経済部時代は農水省に経済部記者として常駐していたこともあり、企画、インタビュー、解説記事などを中心に書いていた。アメリカに留学経験があり、英語も達者。経歴やステータスを自慢に思っている。ファッションも実用性より見た目重視で、取材時でも20万のスーツに身を包んで長い髪を巻き、化粧も濃い。場違いな姿でいることに気付かず、部下として最低限の気遣いすらできないため、男性陣からは「麻倉女史」と呼ばれ、距離を置かれている。
島根の片田舎に育ち、大学進学時に上京。現在は駒場東大前に住んでいる。
原島 大吾()
智子と同期の記者。30代半ば。智子と同じ遊軍のサブキャップだが、キャップが現在うつ病でほとんど出社していないため、実質十数人のとりまとめ役となっている。疲れている時ほど明るい声を出して頑張り、マイナー雑誌などからも情報収集を怠らない”できる記者”だが、元は警察担当で、今も戻りたいと思っている。大学ではラグビー部に所属していたこともあり、見た目はがっちりして爽やかなスポーツマン。しかし智子に「セクハラ」と言われるにもかかわらずボディタッチの癖が治らず、パソコンのデスクトップも女性のヌード写真にしているなど、智子曰くデリカシーはゼロ。
既婚者で小学2年生の娘がいる。母方の祖母の認知症がひどく、母親が過労や鬱になりながら自宅介護を続けていた姿を目の当たりにしていた。
的川 康弘()
村沢()
蓑田 守彦()
松江 信二()
小笹 美智子()
経済部
輪島()
川崎()
介護関係者
秋本 直己()
平林 彰()
岩崎 清三()
梅田 春江()
河村 慶子()
片岡 敬()
桂木 亮一()
テレビドラマ
2014年7月20日・27日にNHK BSプレミアムの「プレミアムドラマ」枠でテレビドラマ化された。主演は桐谷美玲。
主演の桐谷は脚本を読んで介護の実情に驚き、介護のことについてほとんど知らないことに気づいたため役をどう演じるか悩んだが、何度も共演している岡田義徳や監督、スタッフらとさまざまなパターンや心情を考え、日本テレビ系報道番組『NEWS ZERO』でのキャスター経験を生かし、話のテンポや目線を合わせ方、取材の際に使うレコーダーの置く位置などにこだわって撮影を進めた。
キャスト
詳細な人物説明は原作項目を参照。本項では簡単な続柄を記載。
麻倉智子(あさくら ともこ)
大日新聞社社会部新人記者。
秋本直己(あきもと なおみ)
銀愛会ケアセンターケアマネジャー。
原島大悟(はらしま だいご)
大日新聞社社会部記者。
的川康弘(まとかわ やすひろ)
大日新聞社社会部デスク。
蓑田守彦(みのだ もりひこ)
大日新聞社社会部部長。
松江信二(まつえ しんじ)
大日新聞社社会部記者。
水谷弥生
銀愛会ケアセンターヘルパー。
麻倉優美子
智子の母。自宅で父の幸吉を介護した。
麻倉陽子
智子の姉。
河村慶子(かわむら けいこ)
梅田春江の娘。
河村達夫
慶子の夫。
片岡幹彦(かたおか みきひこ)
片岡崇の息子。
藤木麗子
銀愛会ケアセンターケアセンター長。
雨宮紀夫
平林の知り合い。大学で薬の研究をしている。
大竹彩子
麻倉幸吉
智子の祖父。島根の自宅で娘に介護されて余生を過ごす。
岩崎清三(いわさき せいぞう)
銀愛会ケアセンターからヘルパー派遣を受けている要介護度4の利用者。
岩崎芙美子
清三の妻。認知症。
片岡崇
銀愛会ケアセンターからヘルパー派遣を受けている利用者。認知症。
梅田春
銀愛会ケアセンターからヘルパー派遣を受けている要介護度5の利用者。
平林彰(ひらばやし あきら)
訪問診療医。
スタッフ
- 原作 - 仙川環『終の棲家』(ハルキ文庫)
- 脚本 - 田辺満
- 音楽 - P.P.M
- 演出 - 藤井裕也(AX-ON)
- 音響効果 - 石井和之
- 介護監修 - 針田進
- 医療考証 - 冨名腰文人
- 医療指導 - 中澤暁雄
- 法律考証 - 柴崎菊恵
- 取材協力 - 朝日新聞社
- 制作統括 - 管原浩(NHK)、大森美孝(AX-ON)
- 制作著作 - NHK、日テレアックスオン
放送日程
各話 | 放送日 | ラテ欄 |
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前編 | 7月20日 | 在宅介護えぐる社会派ミステリー |
後編 | 7月27日 | 介護老人連続死の先にあるものは |
NHK BSプレミアム プレミアムドラマ | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
プラトニック
(2014年5月2日 - 7月13日) |
終の棲家
(2014年7月20日 - 7月27日) |
そこをなんとか2
(2014年8月3日 - 9月21日) |