総理の夫
以下はWikipediaより引用
要約
『総理の夫』(そうりのおっと、First Gentleman )は、原田マハによる日本の小説。『月刊ジェイ・ノベル』(実業之日本社)にて2011年4月号から2013年4月号まで連載された。
連載中の挿絵及び、単行本の前後見返しのイラストは、漫画家のみづき水脈によるものである。
著者の政治への理想や憤り、皮肉が込められた作品である。
文庫版は初版には安倍昭恵、映画上映に伴う新版には国谷裕子の解説がついている。
あらすじ
相馬凛子は少数野党の党首だったが、与党を離れ新党を結成した改革派の議員・原久郎によって連立政権が樹立され、史上最年少、史上初の女性総理に指名される。凛子の総理就任を、無力ながらも精一杯応援しようぐらいにしか考えていなかった鳥類学者の夫・日和は、相馬政権の安泰を画策するプロジェクトチームによって、「理想の夫」「理想の家族」を体現するファーストレディならぬ、〈ファースト・ジェントルマン〉として広報に駆り出されることとなる。
物語は、凛子が総理に指名された日から日和が付け始めた日記という形で、その奮闘の日々が語られる。
登場人物
主人公とその一族
相馬 日和(そうま ひより)
凛子の夫。38歳。文京区春日の善田鳥類研究所に勤務する鳥類学者。専門はタンチョウヅルを中心とした希少鳥類の生存と回復の研究。10歳の頃から野鳥観察日誌をつけ続けている。妻が総理大臣になった日から、日記を書き始める。
最も敬愛する人物は、ノーベル生理学・医学賞を受賞したコンラート・ローレンツ博士で、彼の著書『ソロモンの指環』は座右の書である。
東京大学理学部卒、同大学院生物多様性科学研究室にて博士課程修了。実家は日本を代表する財閥「相馬一族」。結婚後は亡き祖父が遺した護国寺の洋館に住んでいる。戦後すぐに祖父が著名な建築家に依頼して作った洋館で、敷地内に小さな森があり、野鳥研究に目覚めるきっかけを得た場所でもあり、20年前に祖父が他界した時に節税対策で売却されかけたが、年甲斐もなくゴネて相続した。
凛子との出会いは、ソウマグローバルが主宰する政財界の重鎮も多く出席する朝食会。スピーチを予定していた東大教授が急病になり、そのピンチヒッターとしてやってきたのが政治学の研究者として頭角を現し始めていた凛子だった。一目見た瞬間に美しく聡明な凛子に恋をした。
整った顔立ちの持ち主で、権力に執着しない飄々とした性格。凛子の首相就任後は、「ひよラー」と呼ばれる追っかけの女性たちが現れている。
相馬 凛子(そうま りんこ)
第111代内閣総理大臣。42歳。曲がったことが大嫌いな正義感溢れる美人。腹の探り合いのようなことは苦手で、何でも直球勝負というポリシーの持ち主。
直進党党首。20xx年9月20日、史上最年少で日本初の女性総理大臣に指名され、消費税増税や企業活動の規制撤廃、脱原発などに取り組む。
東京大学法学部卒、ハーバード大学大学院法学政治学研究科で博士課程修了。経済同朋会を母体とする公共の政策シンクタンクの研究員を務めたのち、無所属で衆議院議員に立候補し、31歳で初当選。父は最年少開田川(あけたがわ)賞作家の真砥部惇、母は東大大学院教授で国際政治学を専門とする政治学者の真砥部夕。父は小学生の頃に亡くなった。後に母も亡くなっている。母の著書『メタグローバル社会を生き抜く日本』は座右の書である。
ファッションモデルや宝塚歌劇団の女優たちも顔負けの美貌を持ち、首相就任後は絶大な人気を誇る。「そ〜りん」(相馬凛子を略した「相凛」と「総理」に「ん」をつけたものをかけたもの)の愛称で呼ばれ、多数いる追っかけの女性たちは「凛子ジェンヌ」と呼ばれている。
相馬 崇子(そうま たかこ)
相馬 多和(そうま たより)
直進党関係者
連立与党関係者
原 久郎(はら くろう)
民心党党首。「ハラグロ」のあだ名の通り、最も野心的で急進的な稀代の策士で、内閣の重要ポストは民心党議員で占められている。モデルは小沢一郎。
民権党元幹事長。改革派の同志と共に寝返り、米沢の不信任案に賛成票を投じた。解散後に民権党を離れ、民心党を立ち上げた。総選挙では80議席を獲得し大躍進し、野党各党(新党おおぞら・革新一歩党・新党かわる日本・直進党)に連立を呼びかけ、連立政権を樹立し、凛子を総理に担ぎ上げた。連立与党の幹事長的なポストである、連立与党協議会議長に就く。
民権党幹事長だった故・遠藤淳弥の秘書を長らく務め、叩き上げで政治家になった剛毅で闊達な人物。米沢とは正反対のタイプで、同じ党にいながら長らくライバル関係にあった。
映画では岩手県第3区選出。
善田鳥類研究所
日和の勤務先。日本の鳥類研究史に多大な足跡を遺した故・善田竜之介博士が1935年に設立した鳥類専門研究機関。主に、環境省の委託を受けて、絶滅危惧種の鳥類の調査や生存の回復のための研究を行っている。相馬家は「節税対策の一環」として多額の寄付を行っている。
伊藤 るい(いとう るい)
その他
米沢 旬太郎(よねざわ しゅんたろう)
内閣官房人事
- 相馬 凛子 - 内閣総理大臣。42歳。直進党党首。
- 小津 智祐 - 内閣官房長官。45歳。直進党前幹事長。
- 小石川 輝信 - 官房副長官 政務担当。58歳。民心党衆議院議員。
- 陣内 忠久 - 官房副長官 政務担当。48歳。革新一歩党参議院議員。
- 石田 堅一 - 官房副長官 事務担当。66歳。旧自治省事務次官OB。
- 岡林 弓子 - 内閣総理大臣補佐官 少子高齢化担当。40歳。新党おおぞら。
- 木内 信也 - 内閣総理大臣補佐官 北海道沖縄安全保障条約担当。41歳。民心党。
- 上松 一 - 内閣総理大臣補佐官 北朝鮮問題担当。44歳。新党かわる日本。
- 白井 翔 - 内閣総理大臣補佐官 環境担当。39歳。新党おおぞら。
- 海野 友哉 - 内閣総理大臣補佐官 社会保障担当。40歳。革新一歩党。
- 相馬五山(全員、姓名に「山」がつくため、こう呼ばれるようになった)
- 山岡 久 - 総理大臣秘書官 外務省。
- 山内 等 - 総理大臣秘書官 財務省。
- 大山 徳弘 - 総理大臣秘書官 経産省。
- 山根 快 - 総理大臣秘書官 警察庁。
- 島崎 虎山 - 政務担当秘書官。
- 山岡 久 - 総理大臣秘書官 外務省。
- 山内 等 - 総理大臣秘書官 財務省。
- 大山 徳弘 - 総理大臣秘書官 経産省。
- 山根 快 - 総理大臣秘書官 警察庁。
- 島崎 虎山 - 政務担当秘書官。
相馬内閣
- 秋庭 友香 - 総務・地域主権大臣。48歳。東大大学院教授、民間より指名。
- 江川 俊 - 法務大臣。58歳。民心党。
- 遠藤 由一 - 外務大臣。47歳。民心党。
- 古野 公人 - 財務大臣。56歳。民心党。
- 行山 明子 - 文部科学大臣。53歳。直進党。
- 橋爪 京助 - 厚生労働大臣。59歳。革新一歩党。
- 細田 義彦 - 農林水産大臣。60歳。革新一歩党。
- 小川 光 - 経済産業大臣。58歳。民心党。
- 喜多 潤 - 国土交通・海洋大臣。55歳。民心党。
- 松田 由美 - 環境・防災大臣。49歳。直進党。
- 久永 鋭一郎 - 防衛大臣。51歳。民心党。
- 富沢 瑠璃子 - 沖縄・北方大臣。53歳。新党かわる日本。
- 片岡 駿祐 - 国家公安委員会委員長・拉致問題担当大臣。60歳。新党おおぞら。
- 田野村 龍一 - 郵政改革・金融大臣。55歳。新党かわる日本。
- 沖田 美弥子 - 経済財政・消費税担当大臣。53歳。新党おおぞら。
- 荻野目 優太 - 国家戦略・科学技術政策担当大臣。47歳。民心党。
映画
2021年9月23日に公開された。監督は河合勇人、主演は田中圭と中谷美紀。
公開後の同年9月25日に放送された『クレヨンしんちゃん』にて、相馬日和役の田中と相馬凛子役の中谷が本作品の役柄で声優として出演した。
キャスト
- 相馬日和:田中圭
- 相馬凛子:中谷美紀
- 富士宮あやか:貫地谷しほり
- 島崎虎山:工藤阿須加
- 伊藤るい:松井愛莉
- 徳田実:木下ほうか
- 幡ヶ谷卓:長田成哉
- 窪塚豊:関口まなと
- 阿部久志:米本学仁
- 医師:国広富之
- 衆議院議長:寺田農
- 相馬多和:片岡愛之助
- 小津智祐:嶋田久作
- 相馬崇子:余貴美子
- 相馬日向:永尾柚乃
- 原久郎:岸部一徳
- 登坂淳一、大沼百合子、山田桃子、福田成美、野杁俊希 ほか
スタッフ
- 原作:原田マハ『総理の夫 First Gentleman』(実業之日本社文庫)
- 監督:河合勇人
- 脚本:松田沙也、杉原憲明
- 音楽:富貴晴美
- 主題歌:miwa「アイヲトウ」(Sony Music Labels)
- エグゼクティブプロデューサー:福家康孝、柳迫成彦、三輪祐見子
- 企画・プロデュース:谷戸豊、橋本恵一
- プロデューサー:山本章
- 共同プロデューサー:小久保聡、大森氏勝
- 撮影:木村信也
- 照明:石黒靖浩
- 美術:黒瀧きみえ
- 録音:日下部雅也
- 編集:瀧田隆一
- 装飾:鈴村高正
- VFXスーパーバイザー:赤羽智史
- 助監督:木ノ本豪
- 制作担当:赤間俊秀
- スクリプター:杉本友美
- 選曲:長澤佑樹
- 音響効果:松井謙典
- ラボ:IMAGICA
- スタジオ:日活調布撮影所
- 制作プロダクション:ジャンゴフィルム
- 配給:東映、日活
- 製作幹事:日活、東映
- 製作:「総理の夫」製作委員会(日活、東映、テレビ朝日、トライストーン・エンタテイメント、朝日放送テレビ、ローソンエンタテインメント、東映ビデオ、実業之日本社)
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