罪の余白
以下はWikipediaより引用
要約
『罪の余白』(つみのよはく)は芦沢央による日本の小説。第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作。加筆・修正された上で単行本化され、2012年に角川書店から発売された。
ラストで主人公が娘を死に追い込んだ女子高生たちに罠を仕掛けるという展開は、スティーヴン・キングの小説『ニードフル・シングス』の小さな欲望や猜疑心、悪意が大きなうねりを持ってくるという構造に着想を得て書いたという。
2015年に映画された。
あらすじ
一人娘の安藤加奈が高校のベランダから転落死した――大学で心理学の講師をしていた安藤聡は、ある日突然そんな報せを受ける。事故と自殺の両面で調べを進めているという警察の言葉に愕然とする安藤。一体、娘の身に何が起きたのか、自分はなぜ娘の思いに気づくことができなかったのか。自分を責める毎日を送っていた安藤の元に現れたのは、娘のクラスメイトの少女だった。
少女に「加奈は遺書や日記を残していなかったんですか」と尋ねられ、そのまま二人で加奈の日記を探すことになるが、実はこの少女は加奈を死に追いやった人間の一人木場咲だった。
娘の日記を読んで真実の一端を知り、娘の復讐を心に誓う安藤と、証拠隠滅に奔走する咲。やがて二人は、互いに真意を隠したまま心理戦を展開していく。
登場人物
安藤 聡(あんどう さとし)
安藤 加奈(あんどう かな)
小沢 早苗(おざわ さなえ)
聡と同じ大学の助教授。心理学専門。29歳で助教授に就任し、現在37歳。無表情で無愛想だが、学生たちにはクールビューティーと騒がれている。
人の感情をくみ取ることが苦手で、言葉を額面通りにしか理解できず、裏を読めない。よって、他人の嘘が見抜けず、自分も嘘がつけない。相手がどういう感情でいるのか表情や仕草で推測できる場合もあるが、原因まではわからず、ニュアンスというものも理解できないため、冗談がわからない。自分が他人と違うことには小学校にあがる前からうすうす気づいており、オリヴァー・サックスの『火星の人類学者』を読んで、アスペルガー症候群や高機能自閉症ではないかと疑うが、病院での検査の結果、脳機能検査も陰性でそれは否定された。
聡とは助教授に就任した時の祝賀会で話をした時、真理子と同じようにベタが好きだとわかったことから家を訪問するなど、家族ぐるみで付き合いがある。
木場 咲(きば さき)
新海 真帆(しんかい まほ)
笹川 七緒(ささがわ ななお)
安藤 真理子(あんどう まりこ)
書評
野性時代フロンティア文学賞の選評で小説家の池上永一は、「娘をいじめ事故死に追い込まれた父の復讐は湊かなえの『告白』と被る部分はあるが、手札の豊富さで読者を飽きさせない。特に「悪意」に対しての描写は秀逸で、女子のスクールカーストの構造は興味深い」と評価しながらも、作品全体については「手札のダブつきも感じ、物語のうねりよりも先に作者がカードを切ってしまい、微妙にテンポがずれている」と述べた。同じく選考委員で小説家の山本文緒も、「サスペンスやミステリーとしては構造上拙いところも多々あったと言わざるを得ない。美しい描写だったせっかくのベタは本筋に深く投影されておらず、早苗もやはり生かしきれていなかった」とテクニック不足を指摘。受賞は「作品から湧き上がってくる熱気」「この著者の只事ではないエネルギーを感じた」と、作者への期待によるものが大きいことが述べられている。
映画
2015年10月3日に公開。監督・脚本は大塚祐吉、主演は内野聖陽。約1か月のリハーサル後、2014年11月1日からクランクイン。
キャスト
- 安藤聡 - 内野聖陽
- 木場咲 - 吉本実憂
- 小沢早苗 - 谷村美月
- 笹川七緒 - 葵わかな
- 新海真帆 - 宇野愛海
- 安藤加奈 - 吉田美佳子
- 刑事 - 宮川浩明
- スカウト - 黒澤はるか
- 岩崎希恵 - 三浦明香
- 児童相談所相談員 - イチキ游子
- 山本梓 - 山木コハル
- 西崎真 - 堀部圭亮 (友情出演)
- 宮崎知良 - 利重剛
- 高山満 - 加藤雅也
- 木村千晶 - 武田玲奈
- 杉本聡美 - 今田美桜
- その他クラスメイト - 北香那、山下愛実、鈴川亜美、ゆきら、大貫真代、南佳奈、鞍馬優、平野杏奈、川島由莉 ほか
- 田崎良一 - 八田浩司
- 仲村香澄 - 久保早里奈
- コンビニ店員 - 田中雄策
- てるてるランド店員 - 白州本樹
- 加賀彩乃 - 水木彩也子
- 教師 - 清塚信也
その他 望月章男、聖毅、竹下優子、中村憲刀、竹村葉月、伊藤さやか、田中慎太郎、間根山雄太 ほか
スタッフ
- 原作 - 芦沢央「罪の余白」
- 監督・脚本 - 大塚祐吉
- プロデューサー - 二村慈哉
- 撮影 - Ivan Kovac
- 音楽 - 鈴木ヤスヨシ
- 音楽プロデューサー - 花崎雅芳
- 音楽協力 - カプリチオ・ミュージック
- 特別協力 - エスタックス
- 配給・宣伝 - ファントム・フィルム
- 宣伝協力 - オデュッセイア
- 制作プロダクション - イープロジェクト
- 制作 - BS11
- 企画制作 - TOKYO MX
- 製作 - 「罪の余白」フィルパートナーズ(イープロジェクト、東京メトロポリタンテレビジョン、日本BS放送、テレビ大阪サービス、文化放送、ローソンHMVエンタテイメント、オスカープロモーション、キネマ旬報社、レスパスビジョン、北海道テレビ放送、アルテメイト、エボラブルアジア、プロスパーデザイン、コード)