小説

花の降る午後




以下はWikipediaより引用

要約

『花の降る午後』(はなのふるごご)は、宮本輝の小説である。

概要

1985年から1986年まで地方紙、『南日本新聞』、『新潟日報』、『徳島新聞』、『北日本新聞』に連載された。新潮社『宮本輝全集 第8巻』にの後書きにて、この作品を書く切っ掛けとなったのは友人知人の事故や不幸、身内の不幸が続いた事により、作品内善人は幸せになってほしいという希望から執筆をしている。

1989年にはNHKでテレビドラマ化され、東宝から神戸市政100周年記念映画として発表された。

舞台は神戸。亡くなった夫の遺志を継ぎ、フランス料理レストラン・アヴィニヨンを切り盛りする甲斐典子。そのアヴィニヨンの乗っ取りを計画する夫婦がいた。荒木幸夫・実紗夫妻であった。アヴィニヨンを乗っ取るため、実紗はアヴィニヨンのスタッフに手をかけ始め…。

書籍

単行本は1988年に角川書店から刊行され、1991年に角川文庫版、1995年に講談社文庫版が刊行された。

新潮社『宮本輝全集 第8巻』 - 『花の降る午後』に収録。

登場人物
主要人物

甲斐典子

37歳の主人公。33歳の時に亡き夫の後を継ぎ、神戸のフランス料理店・アヴィニョンを経営している。生前の夫に購入してもらった絵画「白い家」を切っ掛けに雅通に出会い、自身のために60号の絵を依頼した。これが切っ掛けとなり雅道と惹かれあうが、自身の年齢差に対して臆している。
高見雅道

風景画「白い家」を描いた、駆け出しの27歳の画家。「白い家」を個展に出すために貸して欲しいとアヴィニョンへ訪問する。絵に対しては遠い道を歩き通す自信が無いほどのマイナス思考。普段の職業はイラストレーター。デザインスタジオで写植の文字貼り、営業マンとして働いている。

甲斐家関連

義直

作品中フルネームの記載がない、2年前に癌によって35歳で他界した典子の夫。大学時代はラグビー部のキャプテンだった。義直が亡くなる5日前の1981年5月2日に「白い家」の額の裏に典子に宛てた手紙を残していた。その手紙には典子に隠していた過去の話が記述されていた。
甲斐リツ

義直の母で、典子の義理の母。
加世子

リツの遠縁の娘。私立の女子大に入学し、甲斐家に下宿している。典子に敵対心を持っている。

アヴィニヨン関連

加賀勝郎

フランスで12年修行し、グラビア雑誌や専門誌で紹介されるほどのシェフ。手製のアペリティフを作って客に出しているが、誰が作っているかは秘密にしている。趣味は広く、絵画、陶芸展にいったり、読書家である。厳しい指導に新人が辞めて行くこともあったが、これが要因となり、料理に生かされている事を、典子が気が付いていた。
葉山直衛

実直で経理に詳しい。典子のアイディアである、運転手付き軽自動車で来る。当初は拒否していたが、しつこく勧められて以降、軽自動車で出勤している。
水野敏弘

典子と同じく37歳。アヴィニョンの店員。ホテルのダイニングルームで働いている。東京にあるフランス料理店を4軒近く勤めていたため、典子よりもフランス料理に詳しい。妻と3人の子持ち。
秋津修一

アヴィニョンのウェイター。葉山の甥。水野とかづ子の関係について松木の店に強請に来た。これが原因で典子からクビを言い渡された。
江見恭弥

アヴィニョンの店員。店の将来のためにフランスに渡航する。
小柴

作品中フルネームの記載がない。過去に暗い経歴を持ち履歴書に嘘の記述をしているが、典子からは見抜かれているものの信頼されている。典子を「奥さん」と呼んでいる。妻がいる。
梶木克彦

水野と江見の紹介でアヴィニョンに勤める店員。

顧客関連

松木かづ子

貴金属店主・精兵衛の妻。40代のJTBの会(ジャズダンスのJ、食べるのT、本のBの略)を作った人物。会の人達がジャズダンスで肥満防止に成功していない事で、典子がダンスの頭文字「D」から「デブの会」という失言をした事で、アヴィニョンに来なくなり、芦屋の松木宅へ典子が謝罪をしている。その反面、アヴィニョンの店員・水野には法外なチップを渡している。
松木精兵衛

66歳のかづ子の夫。貴金属店の社長でアヴィニョンのお得意様。総務部長・後藤栄吉を使ってまでリード・ブラウンのお店の土地を欲しがっている。夫人と別れたがっている。
荒木幸夫

実紗の夫。ヤクザの方面でも手がうてる人物。
荒木実紗

アラキエンタープライズ専務取締役。最近自分の親族に関する調査をしていた。父は松木精兵衛。

その他

リード・ブラウン

78歳のイギリス人。義直にラグビーボールを持たせた人物。典子とはチェスの相手であるが、初対戦で父の影響で将棋を嗜んでいた典子に負けている。肺気腫を患っている。息子マイクと嫁のジルとは仲が悪い。
黄健明

福建出身の右足痛風の男性。
黄芳梅

39歳。健明の娘。梅ちゃんと呼ばれている。
黄康順

42歳。健明の息子。典子に片思いしている。

参考文献
  • 新潮社『宮本輝全集 第8巻』『花の降る午後』
テレビドラマ版
キャスト
  • 岩下志麻
  • 二谷英明
  • 永島敏行
  • 加藤治子
  • 川谷拓三
  • E・H・エリック
  • 三國一朗

ほか

スタッフ
  • 脚本 - 畑嶺明
  • 音楽 - 大野雄二
  • 演奏 - 新室内楽協会
  • 料理指導 - 酒井一之
  • 方言指導 - 池田道枝
  • 演出 - 江口浩之
主題歌
  • 大木康子「ひとりぼっちのDIMANSHE(日曜日)」
  • (作詞:三浦徳子、作曲:大野雄二)
  • (作詞:三浦徳子、作曲:大野雄二)

映画版

1989年10月7日にみゆき座他東宝洋画系で公開。本作に主演した古手川祐子は第13回日本アカデミー賞主演女優賞、桜田淳子は助演女優賞を受賞した。

キャスト
  • 甲斐典子 - 古手川祐子
  • 高見雅道 - 髙嶋政宏
  • 荒木幸夫 - 夏夕介
  • 黄芳梅 - 室井滋
  • 工藤健一 - 円広志
  • 葉山直衛 - 小林昭二
  • 加賀ヨシエ - 赤座美代子
  • 黄健明 - 高品格
  • 沼田美加 - 田村英里子
  • 松木かず子 - 明日香尚
  • 松木精兵衛 - 黒部進
  • 甲斐義直 - 古尾谷雅人
  • 加賀勝郎 - 梅宮辰夫
  • 荒木実紗 - 桜田淳子
スタッフ
  • 監督・脚本:大森一樹
  • 製作者:角川春樹
  • 音楽:加藤和彦
  • 撮影:姫田真佐久
  • 助監督:渡邊孝好
  • 主題歌:「花の降る午後」カルロス・トシキ&オメガトライブ
  • (作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:新川博)
  • (作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:新川博)
オリジナル・サウンドトラック

花の降る午後 オリジナル・サウンドトラック
加藤和彦カルロス・トシキ&オメガトライブサウンドトラック
リリース
レーベル VAP
プロデュース 角川春樹
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「角川春樹事務所作品 花の降る午後 オリジナル・サウンドトラック」は、映画のサウンドトラック・アルバムである。角川春樹のプロデュースのもと製作された。加藤和彦が製作した楽曲を中心に収録されており、また主題歌を担当したカルロス・トシキ&オメガトライブの楽曲も3曲収録されている。

収録曲

※作曲・編曲:加藤和彦(1,6,11曲目のみ、カルロス・トシキ&オメガトライブの楽曲)