荒野に獣慟哭す
以下はWikipediaより引用
要約
『荒野に獣 慟哭す』(こうやにけもの どうこくす)は、夢枕獏著の伝奇小説。『週刊小説』(実業之日本社)にて1989年から2000年にかけて掲載。単行本は初出の新書版で全5巻。また、これを原作とする伊藤勢作画による漫画化作品も併せて解説する。
あらすじ
ジャングルの奥地に暮らし食人習慣を持つ少数民族の脳から見つかったウイルスである独覚菌には、宿主の能力を飛躍的に上昇させる力があった。これを利用して獣化兵と呼ばれる最強のバイオ兵士が産み出されたが、彼らは獣と同様の力を得ると同時にその姿も獣と化し、殺人を嗜好するなど性格も残忍に変わった。御門周平は、人間と変わらぬ外見と常人を遙かに超える能力を併せ持つニュータイプの獣化兵だが、手術の影響から以前の記憶を失っていた。獣化兵を巡る様々な勢力の暗闘に、御門は巻き込まれていく。
用語
独覚菌(どっかくきん)
獣化兵(じゅうかへい)
ゾンビスト
登場人物
御門 周平(みかど しゅうへい) / 竹島 丈二(たけしま じょうじ)
漫画版
伊藤勢の作画によるコミカライズ作品。骨子となるストーリーや主要な登場人物は原作を踏襲しているが、ストーリー、キャラクター設定全般において多数の改変がなされている。
講談社の『月刊マガジンZ』にて2004年5月号から連載され、2009年3月号で同誌休刊により「第一部完」として連載中断。雑誌掲載時の最終話において「連載再開が決まれば原作者ウェブサイトで告知する」との文章が掲載されたまま再開未定となっていた。
2011年3月に、徳間書店のSF小説誌『SFJapan』の休刊号にて描き下ろし新作を掲載。同年10月からウェブマガジン『Web本とも』(徳間書店)にて、マガジンZ版およびSFJapan版のストーリーをそのまま続ける形で連載され、2014年12月に完結した。単行本は原作小説の文庫化に合わせて、マガジンZ版を含めた全編が徳間文庫から全5巻で2014年5月から2015年1月にかけて刊行された。
主な改変点
- 久能仁は登場しない。
- 原作において、物語の発端となった「独覚菌」はウイルスであるにもかかわらず「菌」と呼称されていたが、これを「独覚ウイルス(Dokkaku Virus)」に改称している。採取された原形となるオリジナルを「DV-O」と呼称し、改造した「DV-1」を死者部隊の11人に投与、更に化身効果の抑制を目的として更に改造された「DV-2」を御門に投与する実験を行った。
- 原作における「獣化兵」の呼称が「独覚兵」に改められている。そもそも獣化兵というネーミング自体、高屋良樹の漫画『強殖装甲ガイバー』での造語であり、それを夢枕が「何気なく使ってしまっていた」と認めていた(ただし、呼称のみの問題であり、それぞれの設定はまったく異なる)。しかし変更の理由については「獣人を創造することを目的とした研究ではない」という設定上、獣化兵という名前が不自然だという判断によるもので、『ガイバー』への配慮ではない。編集サイドからの要望もなかったと伊藤が語っている。
- 12人の独覚兵全員に、人体実験前の人間としての風貌と本名のフルネームが設定されていて、最終的には御門含めて安底羅、頞儞羅、摩虎羅の4人が生き残った。作者によると独覚兵となった11人それぞれにも事情はあったと設定していたが描き切れなかった(曰く「みんな揃って自己陶酔気味に自分語りしても、うっとうしい」)。
- 作画を担当する伊藤勢の採用するスター・システムにより、伊藤の過去作品から何名かキャラクターの外見や性格設定が流用されている。
漫画版の登場人物
御門 周平(みかど しゅうへい)
赤石 摩耶(あかし まや)
薬師丸 法山(やくしまる ほうざん)
ティギティギル
漫画版では彼女の呪師としての能力、後述のチャン・キンたちの能力も独覚ウイルスによる物となっている。その言動も変更され、そしてその変更は作品の結末をも変更した。
招社羅(しょうとら) / 里見義久(さとみ よしひさ)
「戌」の独覚兵で、野良犬のように凶暴。研究所員を惨殺して食らっており、それを目撃した御門に、お前もまた独覚兵「「子」の宮比羅(くびら)」だ、すなわち自分の同類の「獣」だと告げるが、むしろ同類ゆえに一層憎んで襲いかかる。
覚醒したばかりの御門と戦い、偶発的な要素もあって敗北。保安局に回収された際には再起不能と言われるが、サイボーグ化を施され「K」というコードネームを与えられる。改造後の外見は伊藤作品「モンスターコレクション〜魔獣使いの少女〜」に登場する暗兵の少年・コルボ。
安底羅(あんてら) / 比留間浩一郎(ひるま こういちろう)
身体能力というより聴力を主体とする知覚能力が高く、ネズミやコウモリといった動物の高周波ネットワークに干渉して操り、情報収集や諜報に暗躍する。
人間時の外見は他の伊藤作品「羅睺伝」の伊賀同心七人衆・水蛭子(ひるこ)がモデル。
頞儞羅(あにら) / 皇 魁(すめらぎ かい)
旭川の研究所を破壊して脱走する。劇中では同じく「龍」の力に目覚めた御門と、龍神の座を賭けるかのような激闘を展開する。御門が記憶を取り戻す過程で観た回想では元・テロリストで無差別テロの実行犯だが、その能力を買われて司法取引から自衛隊に所属していた。本人いわく「自分が守るべきは自分だけ」と語るが、溶岩に落下しかけてバランスを立て直すために御門を分銅代わりに使った結果、助けた際には含羞の表情を見せた。
摩虎羅(まこら) / 葉沼 巴(はぬま ともえ)
「申」の独覚兵で、独覚兵の中でただ一人、肉体変容が「猿に似た顔さえ隠せば、コンビニで買い物ができる」程度にとどまっている。しかし、その外見上の特性ゆえに、もはや人間とはいえない姿になってしまった他の10人の仲間から孤立気味である。そしてついに、御門を生かすか殺すかの意見の食い違いをきっかけとして、敵対関係になってしまう。
キャラクターの元ネタは、伊藤勢の過去作品『ニルヴァーナ・パニック!!』に登場した「ハヌマット」で、本名もそれをもじったものとなっている。なお、彼女も漫画化にあたって性別が女性に変更されたキャラクターである。御門に惚れているような描写があり、麻耶不在の間のヒロインとしての面もある。矜羯羅(こんがら)、制多迦(せいたか)と名付けたオランウータンを従えている。
迷企羅(めきら) / 真田和泉(さなだ いずみ)
「寅」の独覚兵であり、その身体能力はまさに本物の虎並み。また虎並みの鋭い五感と軍人の戦術眼をもあわせ持ち、策略においても敵を寄せつけない。ただし獣じみた非理性的な欲望、特に食欲の強さも虎並みであり、御門に対して文字通り「『食べちゃいたいほど』大好き」という「好意」を示し、執着する。御門とディギティギルの2人がかりで倒され、ノフ・エクに支配された状態でキャンプに帰還するが、法山には読まれており大暴れするも頞儞羅に殺された。
人間時の外見は他の伊藤作品「羅睺伝」の和泉御前がモデル。
波夷羅(はいら) / 森 賢吾(もり けんご)
「未」の独覚兵であり、その膂力と機動力は因達羅(午)や伐折羅(丑)にも劣らず発達した体毛と皮下組織は高い耐久力を誇る。因達羅と共に中東に派遣されて米軍の下請けという形での実戦テストを行っていたが、帰国後メッツアボックやティギティギル、死者部隊による三つ巴の乱戦から一時的に御門と共に行動していた。だが、メキシコで死者部隊に戻る。子供に人殺しや責任を押し付ける行為を心底嫌悪している。
妻子持ちで、病気に罹った娘の治療費と引き換えに死者部隊入りし、多めの見舞金を交渉した法山に恩義を感じている。メキシコへの途上では自慢していたが、今わの際に「病気に苦しむ娘の姿に耐えきれず、自分は逃げた」と御門に告白した。
伐折羅(ばさら) / 福島 哲也(ふくしま てつや)
珊底羅(さんちら) / 三輪 啓介(みわ けいすけ)
因達羅(いんだら) / 白瀬 敏彦(しらせ としひこ)
真達羅(しんだら) / 山崎 蒸(やまざき じょう)
毘羯羅(びから) / 岩城 光輝(いわき みつてる)
日下部(くさかべ)、柴田(しばた)、安藤(あんどう)、月形(つきがた)
土方 元(ひじかた げん)
外見は伊藤作品「モンスターコレクション〜魔獣使いの少女〜」に登場するデュラン・ド・ブランシー(を名乗る暗兵組織・ネルガルの生き残り)。
ゼノヴィア・ザンジバル、オードリー・ブラック、英姫(ヨンヒ)
オードリーは毘羯羅に敗れ、ゼノヴィアと英姫は法山に殺された。
チャン・キン
過激なタカ派となったノフ・エクを説得しようと単独行動した際にKに殺害される。
カユン
ノフ・エク
メッツアボック、というよりラカンドンの中でも過激な派閥のリーダー的存在だが、銃は下手で弓の方が得意。記憶を取り戻すために無防備になった御門とティギティギルをカユンと共に乗っ取り、仲間と共に死者部隊との戦闘に突入するが、御門の制御に集中している間の無防備な状態を波夷羅に発見されて殺された。彼の首を欲しがった五代を首だけの状態で咬み殺す。
外見は伊藤作品「羅睺伝」に登場する九曜羅睺丸(またはラーフラ)。
ペトゥル、コ
メッツアボックのメンバーという訳ではないがジャングル育ちは伊達ではなく、見た目に寄らずかなり逞しい所がある。
川畑総一郎(かわばた そういちろう)
五代文吉(ごだい ぶんきち)
死者部隊とメッツアボックの戦いの末に討ち取られたノフ・エクの脳を研究しようとしていたが、手にした首に喰いつかれて死ぬ。すでにほとんどの独覚兵が死んでいるのに元に戻す研究が進められるなど正気を失っている様子だったが、ティギティギルによるとDウイルスを操ろうとして、逆に呪われたとのこと。
明石浩介(あかし こうすけ)
夢枕獏(ゆめまくら ばく)
伊藤勢(いとう せい)
渡辺広美(わたなべ ひろみ)
単行本
- 小説
- 実業之日本社ジョイ・ノベルス
- 獣化の章 ISBN 4-408-50146-8
- 凶獣の章 ISBN 4-408-50218-9
- 獣王の章 ISBN 4-408-50303-7
- 鬼獣の章 ISBN 4-408-50359-2
- 完結編・獣神の章 ISBN 4-408-50360-6(完結)
- 完全版 ISBN 4-408-50413-0(上記の全5巻を一冊にまとめた合本。)
- 徳間書店トクマ・ノベルズ
- 上巻 ISBN 978-4-19-850893-7(ジョイ・ノベルス版の第1巻から第3巻中盤までを収録。)
- 下巻 ISBN 978-4-19-850894-4(ジョイ・ノベルス版の第3巻後半から第5巻までを収録。)
- 徳間文庫(各巻の構成はジョイ・ノベルス版に準拠)
- 獣化の章 ISBN 978-4-19-893837-6
- 凶獣の章 ISBN 978-4-19-893848-2
- 獣王の章 ISBN 978-4-19-893859-8
- 鬼獣の章 ISBN 978-4-19-893871-0
- 獣神の章 ISBN 978-4-19-893890-1
- 漫画
- 講談社マガジンZコミックス
- ISBN 4-06-349187-0
- ISBN 4-06-349209-5
- ISBN 4-06-349234-6
- ISBN 4-06-349245-1
- ISBN 978-4-06-349274-3
- ISBN 978-4-06-349304-7
- ISBN 978-4-06-349335-1
- ISBN 978-4-06-349375-7
- ISBN 978-4-06-349410-5
- 徳間文庫
- ISBN 978-4-19-893827-7(マガジンZコミックス版1-3巻を収録)
- ISBN 978-4-19-893849-9(マガジンZコミックス版4-6巻を収録)
- ISBN 978-4-19-893860-4(マガジンZコミックス版7-9巻を収録)
- ISBN 978-4-19-893872-7(SFJapan掲載話およびWeb本とも公開分から収録)
- ISBN 978-4-19-893933-5(Web本とも公開分から収録)
- 実業之日本社ジョイ・ノベルス
- 獣化の章 ISBN 4-408-50146-8
- 凶獣の章 ISBN 4-408-50218-9
- 獣王の章 ISBN 4-408-50303-7
- 鬼獣の章 ISBN 4-408-50359-2
- 完結編・獣神の章 ISBN 4-408-50360-6(完結)
- 完全版 ISBN 4-408-50413-0(上記の全5巻を一冊にまとめた合本。)
- 徳間書店トクマ・ノベルズ
- 上巻 ISBN 978-4-19-850893-7(ジョイ・ノベルス版の第1巻から第3巻中盤までを収録。)
- 下巻 ISBN 978-4-19-850894-4(ジョイ・ノベルス版の第3巻後半から第5巻までを収録。)
- 徳間文庫(各巻の構成はジョイ・ノベルス版に準拠)
- 獣化の章 ISBN 978-4-19-893837-6
- 凶獣の章 ISBN 978-4-19-893848-2
- 獣王の章 ISBN 978-4-19-893859-8
- 鬼獣の章 ISBN 978-4-19-893871-0
- 獣神の章 ISBN 978-4-19-893890-1
- 完全版 ISBN 4-408-50413-0(上記の全5巻を一冊にまとめた合本。)
- 上巻 ISBN 978-4-19-850893-7(ジョイ・ノベルス版の第1巻から第3巻中盤までを収録。)
- 下巻 ISBN 978-4-19-850894-4(ジョイ・ノベルス版の第3巻後半から第5巻までを収録。)
- 講談社マガジンZコミックス
- ISBN 4-06-349187-0
- ISBN 4-06-349209-5
- ISBN 4-06-349234-6
- ISBN 4-06-349245-1
- ISBN 978-4-06-349274-3
- ISBN 978-4-06-349304-7
- ISBN 978-4-06-349335-1
- ISBN 978-4-06-349375-7
- ISBN 978-4-06-349410-5
- 徳間文庫
- ISBN 978-4-19-893827-7(マガジンZコミックス版1-3巻を収録)
- ISBN 978-4-19-893849-9(マガジンZコミックス版4-6巻を収録)
- ISBN 978-4-19-893860-4(マガジンZコミックス版7-9巻を収録)
- ISBN 978-4-19-893872-7(SFJapan掲載話およびWeb本とも公開分から収録)
- ISBN 978-4-19-893933-5(Web本とも公開分から収録)