落第騎士の英雄譚
小説
著者:海空りく,
出版社:ソフトバンククリエイティブ,SBクリエイティブ,
レーベル:GA文庫,
巻数:全20巻,
漫画
作画:空路恵,
出版社:スクウェア・エニックス,
掲載サイト:ガンガンONLINE,
レーベル:ガンガンコミックスオンライン,
発表期間:2014年4月 - 2017年12月,
巻数:全11巻,
話数:全45話,
漫画:落第騎士の英雄譚アンソロジー feat.ステラ
作画:あやかわりく ほか,
出版社:SBクリエイティブ,
掲載誌:GA文庫マガジン,
巻数:全1巻,
話数:5話,
アニメ
原作:海空りく,
監督:大沼心,
シリーズディレクター:玉村仁,
シリーズ構成:ヤスカワショウゴ,
キャラクターデザイン:小松原聖,
音楽:中川幸太郎,
アニメーション制作:SILVER LINK.,Nexus,
製作:「落第騎士の英雄譚」製作委員会,
話数:全12話,
インターネットラジオ:石上静香と東山奈央の英雄譚RADIO
配信期間:2015年10月2日 - 2016年1月15日,
配信日:毎週金曜日,
配信回数:全15回,
配信形式:録音放送,
構成作家:福本岳史,
ディレクター:タブリエ・コミュニケーションズ,
以下はWikipediaより引用
要約
『落第騎士の英雄譚』(らくだいきしのキャバルリィ)は、海空りくによる日本のライトノベル。イラストは、をんが担当。GA文庫(ソフトバンククリエイティブ→SBクリエイティブ)より2013年7月から2023年12月まで刊行された。2017年2月時点でシリーズ累計発行部数は150万部を記録している。
2014年4月には「ガンガンONLINE」(スクウェア・エニックス)より漫画が連載され、2015年3月にはアニメ化が発表された。
ジャンルとしては学園ものであり現実世界のような雰囲気ながらも魔法の概念が存在するロー・ファンタジーに近い世界観が描かれている。
あらすじ
1巻
新年度が始まる直前に学生寮の自室に戻ろうとした所、十年に一人の逸材である学生Aランク騎士で紅蓮の皇女と呼ばれる入学直前の異国の皇女ステラ・ヴァーミリオンと鉢合わせしてしまい、半裸の彼女のあられもない姿を見てしまう。結果的に一輝は決闘を挑まれるが、周囲の予想に反して勝利してしまう。一輝は能力の代わりに剣術を極めた異端の実力者だった。決闘の際、負けた方が相手の言いなりとなるという約束をしていたため、ステラは一輝の「下僕」となり、同じ部屋で学園生活を送ることとなる。
互いに切磋琢磨し、強さを高めあううちに惹かれてゆく一輝とステラ。入学式当日、ステラに決闘で勝ったことからクラスメイトの女子たちの注目の的となる一輝であったが、そこへ「一輝はイカサマをしてステラに勝った」と一方的に因縁をつける真鍋らクラスメイトの男子5人が一輝に喧嘩を売る。しかし、一輝は固有霊装すら使わずに彼らを傷つけず圧倒してしまう。一輝のあまりの強さにクラスは静まり返るが、そこに新入生次席で入学した一輝の妹、黒鉄珠雫が現れる。クラスメイトの目の前でいきなり一輝に口づけする珠雫。一輝に異性として好意をもっている珠雫に対抗心を燃やしたステラはその夜、一輝のいる浴場に水着姿で現れ、一輝の身体を洗い乳房を直に背中に押し付けるなどの奉仕を行う。
週末となって、一輝、ステラ、珠雫、そして珠雫のルームメイトの有栖院凪は映画を観るために外出する。だが、映画館のあるショッピング・モールでテロリスト集団「解放軍」と鉢合わせしてしまう。一般人を人質にとられたステラは、テロリストの言いなりとならざるをえなくなり、皇女の身でありながら全裸で土下座することを強要される。ストリップを強いられて下着姿となったステラは、群衆にその肢体を視姦され、辱めに涙を流す。ステラがブラジャーのホックに手をかけたそのとき、人質に紛れ込んでいた珠雫の反撃をきっかけとして、一輝たちは解放軍を撃退する。が、その際に人質を殺害されそうになり、一学年上の生徒桐原静矢に助けられる。
しかし、桐原は一輝のことを見下し、迫害していた一人だった。校内の伐刀者同士の「選抜戦」のトーナメントで戦うこととなった二人。桐原の高い能力と「負ければ今までの1年間が無駄になるのでは」というプレッシャー、そして「ステラとの決闘で一輝が勝ったのは、黒鉄家がヴァーミリオン皇国を買収して行われた八百長だったから」という根も葉もないネット上の嘘を信じ、Fランクだからという理由だけで一輝の実力を認めない多くの生徒たちの罵声の前に一輝は心が折れそうになる。しかし、そんな彼らに対しステラは「自分の可能性を諦めているお前らなんかに、才能がないと知っても自分の可能性を諦めない一輝の強さがわかるわけがない!」と一喝する。自分のことを認めてくれたステラの言葉に一輝の心は再び奮い立つ。そして一輝はこの戦いの中で模倣剣技(ブレイドスティール)を応用して対戦相手の思考や価値観を盗み出し、相手の行動を先読みする完全掌握(パーフェクトビジョン)を開眼する。完全掌握で不可視の鏃を受け止め、気配すら感知できないはずの自分を探し当てる一輝に、これまで決闘で怪我をしたことがなかった桐原は一輝の力を恐れ、必死で命乞いをした挙句に鼻を微かに切られ気を失う。一輝は逆転勝利を収めることとなったが満身創痍で気を失ってしまう。その後、医務室でステラと一輝はお互いの気持ちを通じ合わせて恋人となる。そして、いつか七星剣王の座をかけて再び戦うことを互いに誓った。
2巻
一輝が破軍学園序列第3位・速度中毒(ランナーズハイ)の兎丸恋々を無傷で下し、選抜戦全勝を守った一輝はその日、1週間前から自分をストーカーしていた綾辻海斗の娘・綾辻絢瀬から剣術指南を依頼される。綾辻絢瀬に剣術指南をしてから数日後、彼女がお礼としてファミレスで食事を一輝とステラに奢っていたある日、そのファミレスで絢瀬は仇敵である倉敷蔵人と再会を果たしてしまう。蔵人およびその取り巻きは絢瀬達に挑発を繰り返しステラと一触即発となるが、一輝の機転で事なきを得る。しかしその夜、一輝の次の選抜戦の相手が絢瀬に決まってしまう。
選抜戦発表後、しばらく交流のなかった絢瀬は選抜戦前日の夜、学校の屋上に一輝を呼びそこから身投げしてしまう。一輝は一刀修羅を用いて彼女を救出するが彼女の真の狙いは「一刀修羅を選抜戦の前に使わせ、自分との選抜戦で一刀修羅を封じる」ことであり、彼女のことを信じて屋上に向かった一輝はこの結末に悔しさを感じた。
翌日、固有霊装「緋爪」の能力を用いて予め罠を張ったリングで絢瀬は一輝との選抜戦を行なう。序盤は一刀修羅を封じ、緋爪で鎌鼬を設置していた絢瀬が優位に立つが、戦いの中で一輝は彼女が綾辻一刀流の誇りを捨てきれていないことを確信し、第四秘剣・蜃気狼を以って絢瀬から勝利を奪い取る。
彼女の望みと蔵人との因縁を知った一輝は綾辻一刀流の道場へ向かい2年前、絢瀬達から綾辻一刀流の道場を奪い取った蔵人に道場破りを仕掛ける。彼との戦いを続ける中、同じく彼女の話を聞いて一輝に同伴していたステラは絢瀬に蔵人に敗北し意識不明となった綾辻海斗の本当の想いを絢瀬に伝える。そして、お互いが次で決めると誓ったその時、一輝は絢瀬の剣から盗んだ綾辻一刀流最終奥義・天衣無縫を蔵人に叩き込む。「天衣無縫に挑んでみたい」という想いだけで2年間、道場を支配していた蔵人はこの戦いに満足し決闘を中断して絢瀬に道場を返す。その際、一輝に「戦いの続きは七星剣武祭でだ」と言い残しその場を去る。父の本当の想いを知った絢瀬は今よりもっと強くなることを心に誓った。
そして、意識不明で入院していた海斗が目を覚ましたことを一輝達が絢瀬から聞いたその日、50対1の模擬戦を無傷で勝利した珠雫の元に次の選抜戦の相手が破軍学園序列第1位・東堂刀華に決定した、というメールが入る。これまで手を抜いて相手を傷つけないように選抜戦を戦ってきた珠雫はこの内容に喜悦の声を上げた。
3巻
選抜戦当日、刀華との一戦に臨む珠雫。序盤は得意の遠距離での魔法の撃ち合いで刀華と互角に渡り合う珠雫だが、彼女の抜き足によって間合いを縮められ次第に追い詰められていく。珠雫は覚悟を決め、伐刀絶技・緋水刃で刀華の間合いである接近戦に挑むが、彼女の伝家の宝刀である伐刀絶技・雷切によって切り伏せられ敗北してしまう。決闘後、医務室に運ばれた珠雫は、お見舞いに来た一輝達を「1人にしてほしい」と言って追い払うが1人その場に留まった有栖の腕の中で敗北の悔しさに涙を濡らした。
珠雫の悔しさを体感した一輝とステラはその道中、運搬中のプリントをばら撒いた刀華に手を貸し生徒会室までついていくことになる。その際、生徒会執行部が学園から依頼されていた「奥多摩の合宿所での謎の巨人の調査」の手伝いをすることを一輝とステラは表明した。生徒会執行部と行動を共にし親睦を深めていく一輝はその中で東堂刀華の本当の強さを生徒会副会長・御祓泡沫から聞かされ、「君のような何も乗っていない剣では多くの想いを背負っている刀華には勝てない」と断言される。その後、調査のため山を登っていた一輝とステラだったがその道中でステラが風邪を引き体調を崩してしまい、そこへ例の巨人の襲撃を受けてしまう。
泡沫と刀華の活躍により無事に下山できた一輝達だったが、そこへ黒鉄家の分家で魔導騎士連盟の倫理委員会代表でもある赤座守が訪ね、「ヴァーミリオン皇女、禁断の火遊び」と題された一輝とステラの交際をスキャンダルとする新聞記事を一輝とステラに突きつける。記事の内容は「一輝のマイナスイメージを作る内容を書かなかった報道関係者は、今年の七星剣武祭の取材を禁止する」という圧力を連盟が掛けたために作られたデタラメなものだが、一輝はこの報道を理由に魔導騎士の資格を問う倫理委員会の査問のため魔導騎士連盟日本支部に同行を要求されることとなってしまう。この査問は、一輝を魔導騎士にさせないがための黒鉄家の明確な悪意を持った攻撃であり、一輝は自らの潔白を主張するため同行に応じた。
自らの無実を訴え続ける一輝であったが、黒鉄家の息がかかった倫理委員会は彼の話を聞く筈はなく、監禁の極限状態と自白剤などの薬物が入った少量の食事及び事実上の断水によって次第に心身ともに追い詰められていく。しかしそれでも、魔導騎士連盟日本支部で行われた自分の選抜戦の全勝は何とか守り通していく一輝だったがそんな状況の中、自身の幼少期に影を落とした張本人であり今回の騒動を主導した自らの父・黒鉄厳が自分の牢獄に訪れる。久方ぶりに父と会話を交わす一輝であったが、そこで実の息子よりも騎士社会の秩序を大事にする父の姿を見て、父と自分の間に何の繋がりもなかったことを思い知らされ、ついに精神が崩壊してしまう。そして思惑通り一輝のコンディションが最悪となったタイミングを見計らって、倫理委員会は選抜最終戦の対戦相手を東堂刀華に変更し、「彼女に勝てば今回の件は不問、負ければ魔導騎士連盟から永久追放」という絶望的な勝負を一輝に強要した。
選抜戦の最終日当日、倫理委員会の手によって満身創痍の状態のまま徒歩で破軍学園に向かわなくてはならなくなった一輝は、意識がもうろうとなりながらも必死で学園へ向かっていくがその途中で気を失いそうになり倒れてしまう。己が騎士道を歩む理由を見失いかけていく一輝であったが、ステラとの大切な約束を思い出し再び歩を進めだす。そして、学園にたどり着いた一輝が見たのは自分を信じてくれる者や自分を慕ってくれる者、自分と戦い七星剣武祭出場という夢を奪われた者達の暖かい自分への声援であった。そこで一輝は、自分の剣にも多くの想いが乗っていたことに気づき、自分と刀華の剣に込められた物は対等であることを確信する。そして、大切な約束を交わした恋人・ステラの声援を聞き、自分を信じてくれる者達に刀華への勝利宣言をした。
赤座の手により全世界に中継されている東堂刀華との一戦、一輝は一刀修羅を試合開始と同時に発動し、自らの最速の剣技である第七秘剣・雷光を以って彼女の伐刀絶技・雷切に真っ向勝負を挑む。刀華もまた、彼の誇り高い意思を汲み一歩も引かず、一輝を殺すことすら覚悟して雷切を振るう。そして、その刹那の中で雷切の方がわずかに早いことを確信した一輝はたった一つの伐刀絶技である一刀修羅を更に進化させ新たな伐刀絶技・一刀羅刹を作り上げ、刀華の雷切を打ち破り勝利を収める。この一戦に強い興味を持ち会場に訪れていた南郷寅次郎は弛まず己の力を磨き続ける一輝の生き様にかつての自分の好敵手の背中を重ね、あの男にそっくりだと笑みをこぼす。一方で、一輝を追放すれば広報部長に格上げされる手筈だった赤座は自分にとって最も不都合な結果となったこの試合を認めることができず、刀華との一戦で気力を使い果たし意識を失った一輝を自分の手で始末しようとするが、先に一輝の元に辿り着いたステラに鉄拳制裁を喰らい失敗に終わる。この決闘の経緯と結末を聞いたステラの父・ヴァーミリオン皇国国王ことシリウス・ヴァーミリオンは日本の報道陣に対し、不快感を示し今回のスキャンダルについても「一輝が七星剣武祭を終えて、国を訪ねてくるまで保留」という立場を公言した。これにより、報道陣もこれ以上スキャンダルを追求することができなくなり、一輝を連盟から追放しようと手を回していた赤座が失脚したことにより今回の騒動は「黒鉄一輝は無罪放免」という結末で終息した。
刀華との決戦から一週間後、一輝は七星剣武祭任命式で代表選手団長に任命される。そして、前大会の団長だった刀華から校旗と破軍学園の生徒たちの想いを受け取り、改めて七星剣武祭で優勝することを宣言する。その頃、1人任命式を欠席した七星剣武祭代表の有栖は破軍のものではない生徒手帳を持ち、奥多摩の巨人騒動の犯人である鋼線使いの伐刀者・平賀玲泉と密談を交わした。
4巻
合宿最終日まであと一日となった時、今年の七星剣武祭は中学生(シニア)リーグに参加していない、いわゆる天音のような「無名の一年」の数が例年より異常に多いことに疑問を持っていた加々美は各校の代表選手のデータを可能な限り洗う。その結果、「七校の代表選手の中にもう一校の別の存在がいる」という事実にたどり着く。しかし、この事実を知った加々美は有栖の手により意識を奪われ、合宿所の物置に監禁されてしまうこととなる。その日、何食わぬ顔で部屋に戻った有栖は同じく部屋にいたボランティアとして合宿に参加していた珠雫と酒を交わす。そこで珠雫の寝顔を見た有栖は幼い頃、亡くなった親友のユーリと酒に誓った約束や自分がかつて養っていたストリートチルドレンに「姉」として慕われながらの生活を思い出す。
合宿最終日、帰りのバスで破軍学園から黒煙が上がるという異常事態に気付いた破軍の生徒達は破軍学園へ急ぐ。そこで見たのは、幻想形態での攻撃で気を失った破軍学園の生徒と教員の姿であった。そこで一輝達は「暁学園」と名乗る破軍以外の学園の代表選手達と対峙する。その暁学園の一人・平賀玲泉は「破軍学園の代表選手達をここで倒すことで自分達の実力を示し、破軍に代わって七星剣武祭にエントリーする」という計画を口にする。それを聞いた破軍の生徒達はその目論見を打ち砕かんと彼らと相対する。その瞬間、珠雫を見捨てられないという理由で暁学園の一人でありながら彼らを裏切り破軍に味方することを決意した有栖が伐刀絶技・影縫い(シャドウバインド)で暁学園の生徒の動きを封じ、破軍の生徒達は彼らを全員倒すことに成功する。
しかし、その目論見は「未来予知」の能力を持つ天音を通じて暁学園にばれており、彼らが倒したのは暁学園のサラ・ブラッドリリーと平賀玲泉の能力を利用して動いていた偽物だった。そして、天音の投剣が刺さり気を失った有栖は平賀の手により裏切り者として連れ去られてしまい、一輝と珠雫が彼を追う。一方、ステラは今回の襲撃犯の中で一番強いAランク伐刀者、「風の剣帝」と呼ばれる一輝の兄・黒鉄王馬と戦うが、彼の伐刀絶技・月輪割り断つ天龍の大爪(クサナギ)に天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)が押し返される。今まで力勝負で負けたことがなかったステラは対処の仕方がわからず追い込まれる。刀華のおかげで間一髪救われるも、ステラは刀華の力で気を失わされてしまう。刀華は、ここで代表選手が倒されるのは不味いと判断し、葉暮姉妹にステラを預けて彼女らに逃げるよう促し自分は生徒会のメンバーと共に暁学園と戦うが力及ばす、全員敗北してしまう。
珠雫が有栖に着けていた魔力の糸を手繰り、暁学園の校舎に辿り着いた一輝と珠雫だが一輝はそこで当日宿を取っていた世界最悪の犯罪者にして世界最強の剣士・比翼のエーデルワイスと出会う。珠雫を1人校舎に向かわせ、一輝はエーデルワイスと戦うことを決意する。本気を出していないのにもかかわらず、一輝の剣は全く彼女には届かず完膚なきまでに叩きのめされる。しかし、それでも珠雫のために死をも覚悟して自分に挑みかかる一輝の覚悟を前にエーデルワイスは敬意を表してついに本気を出し、彼を倒す。だが、一輝はエーデルワイスの殺すつもりで振るった剣をも凌ぎきり生き延びる。自分の本気の一撃を耐えて見せた一輝にエーデルワイスは自分の好敵手となる可能性を感じ、気を失った一輝に止めを刺さずその場を立ち去る。一輝は駆け付けた黒乃の手により一命を取り留めるが、黒乃はそこでエーデルワイスのいた場所に僅かな血痕を確認し、一輝がエーデルワイスに一矢報いた事実に戦慄する。
校舎に潜入した珠雫は、有栖の師匠でもあるヴァレンシュタインと対峙する。摩擦をコントロールする彼の能力に珠雫の攻撃は命中することはなく、ついに珠雫は彼の防御不能の剣により腰から真っ二つに切られてしまう。しかし、珠雫は自らの最高クラスの魔力制御能力を以って自分自身の体を気体化させることで斬撃や打撃を無効化し、それを再構築することで肉体を蘇生させる新たな伐刀絶技・青色輪廻を発動し、復活を果たす。そして青色輪廻を応用してヴァレンシュタインの肺から空気を奪い、窒息させて勝利する。ヴァレンシュタインに拾われ、暗殺者として生きてきた有栖を珠雫はいつも通り「姉」として受け入れる。有栖も珠雫のために、今度こそ幼い頃の自分に誓った「格好いい大人」として生きることを決意する。
葉暮姉妹とステラを追っていた暁学園の生徒達は、寧音が駆けつけたことにより彼女らを倒すことを諦め撤退することを決めた。しかし、数えきれないほどの無法を犯したにもかかわらず、暁学園の生徒は総理大臣でもある理事長・月影獏牙の情報操作により処罰を受けることはなく、「破軍を半壊させた少数精鋭の学園」という看板を下げて暁学園が七星剣武祭に出場することが決定してしまった。今回の破軍襲撃騒動により、有栖・カナタ・葉暮姉妹は七星剣武祭を辞退することとなったが、この騒動で勝ち星を挙げた珠雫が4人に代わり七星剣武祭出場を表明する。そして、自らの力不足を痛感したステラは七星剣武祭開始までの間、世界ランキング3位の西京寧音の下で修業することを決意する。
5巻
会場で一輝は、暁学園の1人のサラ・ブラッドリリーに礼服の下に着ていたシャツを無理やり引きはがされ、ヌードモデルになるよう迫られる。珠雫はこの行動に怒り、彼女に蹴りを食らわせるがその一撃でサラは気を失ってしまう。この一悶着にいち早く気付いた暁学園の風祭凛奈とそのメイドのシャルロット・コルデーは、一輝に非礼を詫びる。しかし、一輝の容姿を気に入った風祭は一輝に卒業したら自分の豪邸で執事として働かないかと聞いてくる。一輝は名刺だけは受け取りつつ、保留という形で彼女から離れる。裏社会の人間で構築されているはずの暁学園の生徒2人に肩透かしを食らう一輝と珠雫であったが、そこへ暁学園の多々良幽衣がやってくる。一輝はそこで珠雫に毒とカミソリ入りのチキンを手渡そうとした多々良と騒動を起こしかけるが、他の代表選手らが挑発に乗りそうになった一輝をなだめ、騒動を吹っ掛けた多々良を止めたためひとまず騒動は回避された。
挑発に乗りそうだった自分を止めた代表選手らにお礼を言う一輝であったが、そこで彼は昨年の七星剣武祭優勝者であり自分の初戦の相手でもある武曲学園の諸星雄大に暁学園のことを話す中で「自分が考えている魔導騎士の本質」と「今回の七星剣武祭に臨む姿勢」を伝える。それを聞いた諸星は一輝を気に入り、実家が経営しているお好み焼き屋・一番星へ珠雫・有栖と共に一輝を招待する。一輝達はそこでスケッチブックを使って筆談をする諸星の妹・諸星小梅と出会う。そこで彼らはたまたま居合わせた廉貞学園の薬師キリコから彼が事故に遭ってから伐刀者として復活するまでの地獄のような日々と小梅が失声症になった理由を知る。そして、一輝はお好み焼きをご馳走になった礼は七星剣武祭で精一杯の仇にして返すことを諸星に表明し、諸星も万全の一輝との勝負を望む。
殺気を感じて一番星で珠雫達と別れて行動することを決めた一輝は、自分に殺気を出していた男・黒鉄王馬と再会する。王馬は一輝の存在がステラの成長を遅らせていると断言し、一輝に七星剣武祭を辞退するよう要求する。しかし、あまりに身勝手過ぎる言い掛かりをつける王馬の話に一輝が耳を貸すわけがなく、2人はそこで決闘を始めてしまう。その戦いの中で一輝は「戦闘中に集中力が高まると自分の身体が停止する」という異常事態を起こし、いつもの実力が出せず王馬に追い詰められてしまう。一番星に忘れた生徒手帳を届けるために一輝を探していた諸星の横槍で決闘は中断するも、自分の身体に起きた異常事態に一輝は不安を感じることになった。
七星剣武祭当日、一輝と諸星の初戦が始まった。諸星の高い水準を誇る槍術と魔力の塊である固有霊装をも削ることが可能になった伐刀絶技・暴喰(タイガーバイト)に対し、一歩も引かず互角に戦う一輝であったが、第四秘剣・蜃気狼を決めようとした時にまたしても謎の異常事態が起こり一輝は追い詰められていく。しかし、満身創痍になり決着がつきそうになったその時、一輝は無我夢中で戦ったがために記憶にほとんど残っていなかった比翼のエーデルワイスとの戦いを思い出す。そして、自分が模倣剣技を用いてエーデルワイスの剣技を盗み彼女の本気の一撃を凌いだことに気付いた一輝は、エーデルワイス戦の時と同じ指示を自分の身体に出す。すると、一輝の体は閃光の如きスピードを得て諸星を切ることに成功する。
一輝の体に起こっていた異常事態の正体は「一輝の集中力が極限まで高まった時に、無意識の内にエーデルワイスの剣技を使うために獲得した、従来の信号よりも速度も情報量も圧倒的に多い戦闘用の脳信号をキャッチできなかった」ことによるものである。なぜ理解できなかったかというと、一輝の体は一輝と同じように比翼の戦闘を覚えていなかった為、その戦闘中に獲得した従来のものとは全く別物の脳信号を身体が理解できなかったためである。そのことを理解し、思い出した一輝は比翼の剣技の加速を用いて諸星へと攻撃を仕掛ける。比翼の剣技は「加速の工程が存在せず、初速から最高速度を持つ0から100へのロケットスタート」いう非常に強力なもので、一輝の急加速についていけずボロボロになっていく諸星だったが、ずっと応援したくても声が出せなった小梅がついに応援の声を上げる。それに呼応するように、諸星は自らの固有霊装を短くして残り少ない魔力を捻出し、一刀修羅を発動したことで横に回避不可能となった一輝に暴喰を纏った虎王を投げつけてカウンターを狙う。最早、諸星が何もできないと思っていた観客達は、最後まで勝利を諦めずにこの瞬間を狙っていた事実に戦慄する。しかし、虎王を投げた先にいたのは第四秘剣・蜃気狼により生み出された一輝の残像であり、魔力を使い切った諸星は抵抗もできずに一輝に切られ敗北する。諸星は一輝に自らの想いを言い残し、その場に倒れ伏す。
観客達から歓声を受けながら、リングを去る一輝であったがそこへ寧音との修行から帰ってきたステラが姿を見せる。合同合宿でステラの力を見て、自分が正攻法ではステラに勝てないことを悟っていた巨門学園の鶴屋美琴はステラの遅刻に対し、試合でのペナルティを要求するが、実行委員会は遅刻は電車の事故のよるものでステラに過失はないとしその訴えを否決する。しかし、ステラは自ら遅刻のペナルティは妥当だと口にする。ステラは自分へのペナルティとして元々の対戦相手であった鶴屋との一戦にBブロック一回戦の勝者、多々良・風祭・平賀を呼びつけ4対1の変則試合を要求する。優勝候補の一角であるステラを潰すまたとないチャンスを得た暁学園のメンバーはこの要求を受け入れ、鶴屋もこの条件を呑む。これは破軍学園をめちゃくちゃにした暁学園に対するステラの報復であり、ステラはこの圧倒的不利な試合に臨む。
6巻
圧倒的なステラの力に鶴屋は竦んでしまうが、平賀は時間を稼げばステラを自分が倒して見せると豪語する。その言葉を鶴屋は信じ、風祭と共に時間稼ぎをすることを決意する。鶴屋は伐刀絶技・死神の魔眼(サーティン・アイズ)でステラを氷漬けにしようとするが、ステラは即座に妃竜の羽衣(エンプレスドレス)で氷を溶かしてしまう。動きが僅かに鈍ったところで再びスフィンクスが王者の威圧を発動し、ステラの動きを止めるが、ステラは逆にスフィンクスにプレッシャーを与える。すると、スフィンクスは跨っていた風祭を振り落として逃げてしまう。機動力を失った風祭をすかさずステラは攻撃するが、その攻撃は客席より現れた彼女のメイド・シャルロットに防がれてしまう。シャルロットは、伐刀絶技・一輪楯花の障壁で攻撃をステラの攻撃を防ぎつつ、それを攻撃にも利用しステラに少しずつダメージを与えていく。片腕では分が悪いと踏んだステラは己の炎で自らの骨を溶接し、左腕を復活させる。そのままステラは両腕で天壌焼き焦がす竜王の焔を使い風祭をシャルロットもろとも叩き切ろうとする。シャルロットは一輪楯花の最強の防御技・千弁楯花でなんとかそれを凌ぐ。だが即座に発動した2発目の天壌焼き焦がす竜王の焔を止めることはできず、風祭陣営を撃破する。
しかし、風祭撃破に時間を取られすぎたために平賀のステラを倒す準備が整ってしまう。平賀は伐刀絶技・機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)でドーム外から集めた瓦礫で50mの身体を作り、その中から巨体を操作してステラを攻撃する。ステラはその攻撃をかわすも、続く鶴屋の攻撃で自分の固有霊装が凍り付いてしまう。桁違いに出力が上がった死神の魔眼を使う鶴屋をステラは称賛するが、鶴屋は平賀の伐刀絶技・操り人形(マリオネット)で意識を乗っ取られており、ステラの固有霊装が凍り付いたのも平賀が無理矢理鶴屋の力を引き出したためであった。平賀はこのまま戦い続ければ、暁学園への報復とは無関係な鶴屋の体が持たないとステラに話す。平賀の外道な行いにステラは激高し、伐刀絶技・暴竜の咆哮(バハムートハウル)でリング上全てを焼き払ってしまう。ステラが鶴屋を気遣い幻想形態にしたお陰で死者は出なかったが、鉄と樹脂でできた平賀の身体はボロボロに焼け焦げており、そのままステラが止めを刺したことでBブロック第四試合は終了した。この戦いにより多々良はドクターストップ、風祭は棄権、平賀はリングに生身で上がらなかったことによる反則で失格となり、ステラは準決勝まで一気に駒を進めることになった。
暴竜の咆哮を見て、ステラの寧音との特訓の成果があったことに珠雫達は安堵するが、一輝は寧音との特訓の成果は暴竜の咆哮ではなく、ステラは自分の力を少ししか見せていないと口にする。まだまだ上があるという事実に珠雫達は震えるが、一輝だけは喜びを感じていた。そんな中、共に観戦していたキリコの対戦相手である天音が一輝達の前に姿を現す。天音は相変わらず一輝の熱を漏らし一輝に迫るが、珠雫が間に割って入る。キリコが試合の準備をすべきだと天音に促すが、天音はなぜかその必要はないと口にする。すると、キリコは自分の病院の患者全員が危篤状態になったという知らせを副院長から携帯で受け取る。患者全員が一斉に危篤状態という非現実的な事態にキリコは天音を疑う。天音の巨門学園での模擬戦成績が六戦六回不戦勝だったと加々美から聞かされていた一輝は、天音の能力が未来予知ではなく自分の願望を叶うように因果が捻じ曲がる能力であることを看破する。天音はそれを肯定し、自分の能力の全貌を明かす。天音は破軍襲撃のお詫びとして一輝の優勝を願ってあげると口にするが、自分の力で優勝することを考えていた一輝はそんな天音を突き放し、自分の試合を邪魔すればただでは済まさないと警告する。天音は運命に抗い続け一輝が壊れるまで応援すると言い残し、一輝達から離れていった。
その夜、一輝は自分の部屋の前にいたステラと自室で会話を交わす。するとそこへサラが訪ねてきた。一度は扉を閉じて追い返すも、サラは自分の能力で一輝の部屋に侵入しパーティの時と同様、一輝にヌードモデルになってほしいと迫る。サラのことを知らないステラは一輝を問い詰めるが、事情を説明するとモデルを拒否している一輝に味方する。自分が世界的に有名な画家・マリオ=ロッソであることを明かしたサラは、ヌードモデルを描かせてくれたらヴァーミリオン皇宮に二人の結婚式の肖像画を描くことを約束する。するとステラは掌を返し、サラに味方してしまう。一輝は二人から逃れるために王馬の部屋を訪ねた。王馬は渋々、一輝の入室を許可する。一輝は王馬の一連の騒動の理由を問いかける。王馬は利害が一致しただけで、暁学園にも解放軍にも興味がなく自分の目的はステラと戦うことだけだと口にする。一輝は王馬が昔と変わっていないことを知り心から安堵する。そしてそのまま、王馬の部屋で一晩を明かすことになった。翌日ステラの影響で減少した試合数に対応するため、今日中に二回戦・三回戦を一気に消化するという通達が運営委員会から入った。
あまりにも唐突なスケジュール変更。加々美からこれはステラの試合数が減ったことによる放映権を購入したスポンサーからのクレームに応えた結果であることを聞かされる。この一輝にとって不利となる決定に天音が絡んでいるのではないかと一輝と珠雫は考え、一輝は加々美とステラに昨日の天音のことを話す。ステラは天音を失格にできないかと考えるが天音の能力の関係上、それは不可能に近いと一輝は話す。自分が一輝を不利にする原因を作ったことに責任を感じるステラであったが、一輝はステラとの決戦が一日早まったことを喜んでいるとステラに伝える。
控え室で自分の出番を待つ一輝。そこで一輝は同室の蔵人の固有霊装が二刀流になり、形も変わっていることに驚く。蔵人は一輝と戦うために自分を磨いたと一輝に豪語し、サラとの試合に臨む。二回戦第一試合。蔵人vsサラの戦いが幕を開ける。サラの伐刀絶技・色彩魔術(カラー・オブ・マジック)による変幻自在の能力に真っ向から対応して見せる蔵人だったが、サラはこの試合をさっさと終わらせて一輝を早く観察したいという怒りからそれまで使わなかった伐刀絶技・幻想戯画(パープル・カルカチュア)で次々と攻撃を蔵人にぶつける。サラが幻想戯画・死霊軍隊(ネクロバタリオン)で銃撃の弾幕を蔵人に放った時、蔵人は綾辻一刀流最終奥義・天衣無縫を使い、弾幕を受け流し死霊軍隊を撃破する。そして決着をつけようとしたその時、サラは幻想戯画で黒鉄一輝を描く。比翼の剣技と一刀修羅を使う偽一輝に蔵人は切り刻まれていく。一輝の声援で何とか偽一輝を撃破するも、二人の新たな偽一輝に刺され蔵人は敗北してしまう。
蔵人を無傷で倒した暁学園の隠し玉・サラに一輝は警戒心を強める。その戦いを見ていた一輝の対戦相手・城ヶ崎白夜は一輝が七星剣舞祭で絶対に優勝しなければならない事情から自分との試合で一刀修羅を使うことはないと確信し、諸星に対して二十三手目で自分が勝利すると口にし、試合に臨む。そして、第二試合開始の合図が鳴ると同時に、一輝は一刀羅刹を発動する。
7巻
一刀羅刹の反動で負傷した一輝は、再生槽を使うことにした。珠雫が浅木を水牢弾で下し勝利したその頃、麻酔により一輝が眠っている隙に彼をモデルにしようとするサラであったが、この事態を見越していたステラに包帯で捕まってしまう。大会の参加者なので、程々のことで彼女を解放したステラと会話をする一輝。そこへ黒鉄厳が医務室に訪れる。厳は一輝に対し、自分との勘当を検討していると告げる。一輝の実力を直に見ても、なお自分の価値観を変えようとしない厳にステラは怒りを露わにするが、一方で厳も騎士社会の秩序のために妥協は一切しないとして己の主張を変える意思を見せない。一輝はこの話を一旦保留にし、後日厳に改めて自分の答えを伝えることを表明する。
その後、医務室にサラが戻ってくる。しつこくモデルの依頼をするサラを突っぱねる一輝であったが、突然サラのエプロンの紐が切れあられもない姿を晒してしまう。サラの唯一の服である絵具避けのエプロンの紐を包帯と共に切ってしまったステラは、新しい服を買うためにサラをデパートに連れ出すことにした。有栖・珠雫も連れデパートにやってきた一輝達。それぞれが買い物をした後、珠雫は次の試合の準備のために有栖と共に会場に戻ることにした。一輝の所へ戻ってきたステラであったが、途中でテレポートの能力で突然目の前に現れた伐刀者と思わしき赤子を保護する。親がいないことで泣き出した赤子をサラは子守歌であやし眠らせた後、赤子の絵を描き始める。彼女の絵の出来を称賛する一輝は、サラの過去と父親との思い出を聞かされる。彼女の話を聞いた一輝は、厳との勘当に一つの答えを見出す。彼女の本気を見たくなった一輝は、次の自分との試合の結果でモデルをやるか諦めてもらうかの賭けをサラに持ち出す。
午後、七星剣武祭三回戦の幕が開く。第一試合は圧倒的な実力差で加我を下した王馬が勝利する。加我に即死もあり得るほどの攻撃をした王馬に観客は言葉を失うが、ステラだけは真剣に加我と戦った王馬を称賛する。次に一輝vsサラの戦いが始まる。サラの幻想戯画を持ち前の技術でいなす一輝。サラは幻想戯画で比翼のエーデルワイスを描き上げる。偽エーデルワイスに押され気味の一輝であったが、偽エーデルワイスにリングアウトさせられた際に幻想戯画の弱点を一輝は発見する。その弱点を突き、偽エーデルワイスの行動を自分の思うとおりに誘導し一輝は偽エーデルワイスを真っ二つにした。エーデルワイスにほぼ全ての魔力をつぎ込んだサラは諦めかけてしまうが、父の遺作を完成させたい想いで残りの魔力をつぎ込んでオリジナルの幻想、幻想戯画・マリオ=ロッソを作り上げ最後の勝負を仕掛ける。一輝の攻撃を無傷で受け止めるマリオ=ロッソにサラは勝利を確信するが、一輝は偽エーデルワイスの斬撃が作った鎌鼬を利用しマリオ=ロッソの動きを鈍らせ、その隙にサラに陰鉄を突き刺し、この戦いに決着をつける。サラは一輝をモデルにすることは諦めないとだけ言い残し、リングに倒れる。
続く珠雫と天音の戦いを見てから治療を受けようと考えた一輝は、観客席に戻りそこでステラの祝福を受ける。しかし、試合時間になっても両者はリングに現れる様子がない。不審に思った大会実行委員会は、天音の控え室の監視カメラを映す。するとそこには、血塗れになった珠雫とその様子を見て笑う天音の姿が映されていた。
8巻
その日の夜、一輝は近くの公園で比翼の剣技をものにするためのトレーニングを行っていた。その様子を見たステラは改めてエーデルワイスの剣技が桁違いの代物だと知ることになる。お互い次は正念場になると告げる一輝であったが、ステラは決勝で待っていると言い残しその場を後にする。するとそこへ月影が訪ねてくる。月影は、天音の過去と彼が一輝に執着する理由を一輝に話す。
準決勝、ステラと王馬の戦いが始まる。Aランク同士の激しい攻防が繰り広げられる中、ステラは自分の刃が通らないほどの強靭な王馬の肉体を目にする。王馬は海外で修行に励んていたある日、解放軍のリーダーに完膚なきまでに叩きのめされた過去をステラに話す。そして、自分の肉体を進化させるために風の鎧で相手の攻撃を防ぐための伐刀絶技・天龍具足で自分の肉体に高圧の枷を掛けたまま過ごし続けていた事実をこの戦いで明らかにする。天龍具足を解除した王馬はステラをドームの外まで吹き飛ばす。一輝以上にストイックな生き様を見せる王馬にステラは敬意を表し、寧々との戦いで身に着けた新たな伐刀絶技・竜神憑依(ドラゴンスピリット)を発動し王馬を圧倒する。圧倒的な力でねじ伏せられる王馬は解放軍の長である暴君に敗北した時のトラウマに囚われるかけるが、今度こそは負けないと気持ちを切り替え、月輪割り断つ天龍の大爪(クサナギ)で天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)との鍔迫り合いを仕掛けるが、拮抗することなく炎が風を飲み込んでしまう。天壌焼き焦がす竜王の焔を受け敗北するも、最後までリングに立ったまま留まり続けていた。そんな王馬の姿にステラは勝利の喜びを見せることなくリングを後にする。
続く一輝と天音の一戦。天音は試合直前にこの戦いを棄権して一輝の優勝を願うことを観客に発表する。月影から天音の過去を聞かされていた一輝は、天音が自分を憎む理由をくだらないと一蹴し、天音を挑発する。すると天音は棄権を取りやめ、一輝と戦うことを口にする。二人の戦いが幕を開ける。開始直後は過剰なる女神の寵愛により、全てがラッキーヒットとなる天音に押される一輝であったが、自分の持ちうる技術を結集し過剰なる女神の寵愛で発生する自分のミスを即座に建て直し、天音を圧倒し始める。自分の能力で起こっているはずのミスを受け流す一輝に痺れを切らした天音は、過剰なる女神の寵愛に一輝の死を願い、一輝の心臓を停止させる。心臓を止められ動けなくなった一輝に天音が止めを刺そうとしたその時、一輝は比翼の剣技を応用して心臓を自力で動かし天音に致命傷を負わせる。因果干渉系の能力は100%起こらないことは起こせないという前提に基づき、解説の寧々は「天音の致命傷は、彼が一輝に勝つことは絶対にあり得ないことを意味している」と告げる。今まで過剰なる女神の寵愛で何もかも思いのままだった天音は、自分の思いどおりにならない一輝に怒りを見せるが、対し一輝は「自らの能力にも勝とうとしていない者に自分が負けるわけがない」と吐き捨てる。天音は出血多量で倒れ、一輝の勝利が告げられる。
天音に審判が応急処置を施そうとしたその時、一輝への怒りで天音は立ち上がり、己の能力を凝縮させ触れたものに死をもたらす死神の手を作り上げて暴走を始めてしまう。黒乃らプロの魔導騎士達が天音を取り押さえようとするが、一輝は黒乃達に観客の護衛を依頼し、天音を止めるために一刀修羅を発動する。遂に自分の素顔を出してきた天音に一輝は攻撃を仕掛ける。対し天音も一輝にアズールで反撃をするが、死神の手の反動でラッキーヒットにならなくなった天音の攻撃は一輝には通用せず弾かれてしまう。それでも諦めきれない天音は過剰なる女神の寵愛の動きを土壇場で模倣し、一輝に攻撃をぶつけようとする。その攻撃に一輝は第二秘剣・裂甲でカウンターを決め、天音の死神の手を止める。どれだけやっても傷一つ追わなかった一輝に天音は悔しさを感じる。そんな天音に一輝は、かつて黒鉄家に見捨てられ悔しさの中にいた自分の心を救ってくれた龍馬の言葉を送り、リングを立ち去っていく。
天音に勝利した一輝であったが天音の暴走直後、審判をかばった際に死神の手を掠っており昏睡状態になってしまう。医師たちも死へと引き寄せられていく一輝を救おうともがくが状況は良くならない。そんな中、厳の頼みで駆け付けたキリコの手により一輝は一命を取り留める。しかし、一輝が目を覚ましたのは決勝戦開始より後の時間であり、慌ててリングに辿り着いた一輝はリングで待っていたステラに謝ろうとするが七星剣武祭が終わってしまった絶望で声が出ない。すると、大会実行委員会会長の海江田から決勝戦は延期になっていたことを一輝は告げられる。そして、一輝もステラも決勝戦を行うことを観客全員に表明する。
9巻
翌日。『究極の暴力』対『最強の技術』と称される決勝戦が開幕する。ステラの剛力に対し、一輝は相手の攻撃による衝撃を剣に乗せて弾き返す第三秘剣・円(まどか)で真っ向からぶつかり合う。共に過ごした時間が長かったことでステラの心理を完全に見切っている一輝は、ステラにヒットアンドアウェイによる攻撃を繰り返す。一輝が圧倒的有利となった場面に多くの観客は歓声を上げる。しかし、一部の伐刀者達は一刀修羅や一刀羅刹で勝負を決められたであろう場面でなぜかそれらを使わない一輝に違和感を感じる。
突然ステラは防御すら止め、隙だらけになるが一輝は攻撃を中断する。するとステラは前回の王馬戦とは異なり、ノーモーションで竜神憑依を発動する。一輝や伐刀者達が感じていた違和感の正体は一輝の伐刀絶技にステラが竜神憑依でカウンターを狙っていたことであった。竜神憑依の能力で想定以上に跳ね上がったステラの力に一輝は対抗できず、心までもがステラに怯えてしまう。その隙をステラは見過ごさず、一輝に大きなダメージを与えすかさず勝負を決めに行く。だが意識がなくなりかけていたにもかかわらず、一輝の身体は無意識の内に円を使ってステラにカウンターを決める。その一撃で再び心を持ち直した一輝は一刀修羅を用いて竜神憑依を発動したステラと正面から戦うことを決意する。戦いの最中にもなおも進化し続けていく二人だったが、次第に地力の差が見え始める。やがて一輝は魔力によって定められた運命の終着点に辿り着き、ステラの進化についていけなくなってしまう。そして、遂にステラの天壌焼き焦がす竜王の焔をまともに喰らい、一輝は場外の液晶モニターに沈む。最早一輝は敗北したと確信した観客は声援を出さなくなり、ステラも液晶モニターの残骸の中に沈んでいる一輝に背を向ける。
ステラの進化についていけなくなる少し前、一輝は自分の身体に鎖のようなものが巻き付いているのを目にする。運命に抗い続けてきた一輝はこれが自分の運命を縛るものであることをすぐに看破する。ここが自分の限界だと示す運命の鎖を意にも介さず、一輝は自分の身体に負荷をかける。一輝はステラへの無尽蔵の想いを爆発させ、その想いを自分の力へと変えて運命の鎖を引き千切る。すると一輝の身体は運命の限界を突き破り、それまで否定されてきた「魔力容量の増加」を引き起こし再びステラの前に姿を現す。
魔力が増大するというあり得ない事態に全ての人間が困惑する。ステラも初めは何が起こったかわからなかったが、すぐに一輝は自分と共にどこまでも高みへ登れる存在であることを確信する。そして二人は最後の勝負に出る。固有霊装すら消し飛ばす灼熱を身に纏い、ステラは一輝に刺突を仕掛ける。ステラの思惑を見抜いた一輝は一刀羅刹を発動して固有霊装が消滅するよりも早くステラを切り裂くカウンターを狙う。刹那の中でステラは一輝が自分の影よりも早く剣を振るうのを目撃する。のちに人々から終(つい)の秘剣・追影(おいかげ)と呼ばれる居合切りによってステラは切られ、互いに死力を尽くした戦いは、一輝の薄氷の勝利となった。
試合後、揃って医務室送りとなった二人。精神力の消耗で理性の枷が外れた一輝はステラを押し倒し、二人は初めて体を重ねる。珠雫の言うところの「夜の一刀修羅をドラゴンファングする行為」は朝まで続き、翌朝二人は表彰台で束の間の幸せを噛み締めた。こうして落第騎士は学園の頂点、七星剣王(セブンスワン)に上り詰めた。
10巻
月影からのメールで、七星剣武祭のリングに呼び出された2人。そこで突然、黒い甲冑をまとった世界ランク第4位の伐刀者・アイリス・アスカリッドに攻撃される。七星剣武祭で大幅に力を高めた一輝とステラを相手取るアスカリッドに対し、意を決して一刀修羅と竜神憑依を使おうとする2人であったが、月影・寧々・黒乃に呼び止められ戦いは中断する。月影はアスカリッドは2人の実力を確かめたかったために不意打ちのような真似をしたと彼女に代わって謝罪をする。アスカリッドは、そのまま一言も発することなくリングを立ち去る。
月影は、決勝で一輝に起きた魔力の増大について説明を始める。自身の運命を知り、その上で先を目指そうとする強い野心が揃って初めて辿り着ける魔人(デスペラード)と呼ばれる世界があること、そして寧音や南郷、先ほど戦ったアスカリッドなど世界には魔人の域に到達した実力者が他にもいると一輝に話す月影。月影は、訓練次第でどこまでも強くなれるようになった一輝に可能な限りの支援をすることを申し出る。だが一輝は、暁学園の一件をきちんと説明しなければ信用することはできないとしてこの申し出を拒否する。月影はそれも話すつもりだったと口にし、自らの固有霊装・月天宝珠を取り出す。月影は月天宝珠の能力で、焦土と化していく未来の東京を一輝達に見せる。月影は、日本が連盟に残ったままではこの絶望の未来を回避できないと考え、今年の七星剣武祭で連盟非公認の暁学園が優勝することで国内にはびこる反連盟の声を強くし、最終的に日本をもう一つの伐刀者育成機関・大国同盟(ユニオン)に鞍替えさせることが暁学園の一件の真相だと語る。一輝とステラが暁学園の生徒全員を倒したことによりこの目論見は水の泡となったが、次世代の伐刀者に光ある未来を感じたと月影は涙を浮かべる。
珠雫は夏休みに入ると広島の薬師キリコの元を訪ねた。天音の死神の手によって一輝が死の危険にあったとき、何もできなかった自分を恥じる珠雫はキリコから水の魔術の師事を受けることにした。一輝にもしものことがあったなら、今度こそ自分の手で救える力を身につけるために。手始めにキリコはヴァレンシュタイン戦での未熟な蘇生術によって歪んでいた珠雫の身体を矯正する手術を行うが、珠雫は苦痛を伴うことを承知の上で麻酔を受けずにキリコの技術を全て自らの目で見ることを選ぶ。それが珠雫の覚悟と決意の表れであった。
「家族に挨拶する」という約束を果たすため、一輝とステラはステラの故郷であるヴァーミリオン皇国に向かう。一輝は娘の結婚相手として歓迎されたのも束の間、娘を溺愛するヴァーミリオン王・シリウスの思い付きにより文字通り「国民全員を敵に回す」羽目に陥り、ステラの知己である伐刀者、ティルミットとミリアリアのコンビと対決したり、果ては戦車まで出撃しての大騒動になる。
前回の戦いで人間の理を超えた魔人の域に目覚めた一輝は度重なる襲撃を圧倒的な力でねじ伏せ、ようやく結婚が認められるかと思われた。だがステラの姉・ルナアイズによる横槍が入り、一輝に「国民にヴァーミリオンの英雄として認められること」、すなわち騎士同士の一騎討ちで行われる戦争に参加することを要求する。
一方そのころ、隣国・クレーテルラントではヴァーミリオン皇国との戦争に参加する5人の伐刀者が試合に備え、調整を行っていた。しかし、そこへステラを絶望の淵に陥れることを目論むオル=ゴールが襲う。代表選手達の抵抗も空しく、全員がオル=ゴールに敗北した。そして、代表選手たちのリーダーであるヨハンは操られ、仲間たちの遺骸を陵辱することを強要される。クレーデルラントは彼の手に堕ちていく。
11巻
その頃、ヴァーミリオン皇国ではクレーデルラントの第1王子のヨハンから、オル=ゴールが近くに潜伏しているという情報に対する対処の相談と、ステラを破った一輝と一目会いたいという要請が来たことから、彼らを連れたルナアイズがクレーデルラントの首都リュシェールへ向かった。ルナアイズの話では、かつては対立していた両国が、30年前にシリウス王がクレーデルラントのクレフ王に直談判して以来、次第に友好を深めるようになったとのことであった。
ヨハンやクレーデルラント側の代表選手たちに歓待される一行。国民たちも暖かく迎えてくれる中、一輝だけは気配を消した銀髪の女性の存在に気づいていた。その存在感は一輝が少し前に戦ったあの人物と同じものだった。現在の両国の王族や民、全てを愛するステラはそれらを守り抜いてみせると誓う。しかし、そこにそれを否定する如く、オル=ゴールが現れる。代表選手たちを初めクレーデルラントの主要な者たちは全て既に殺されており、オル=ゴールの操り人形とされていた。唯一生き残ったヨハンもそれまでに受けたむごい仕打ちによって精神を閉ざした状態となっていた。
そして、オル=ゴールの伐刀絶技《殺人戯曲》による無数の斬撃が放たれ、ルナアイズ達に確実な死が降り掛かることを感じながら、ステラは全く動けなかった。魔人たるオル=ゴールの動きに唯一対応できたのは同じ魔人の領域に達していた一輝だけだった。《一刀羅刹》により斬撃の中に敢えて飛び込み、その場にいる者たちを守ったが、代償として全身を切り刻まれ一輝は倒れてしまう。怒るステラとルナアイズに対し、オル=ゴールはステラを苦しめ、絶望させることによって彼女の心が耐えられずに壊れていくさまを見ることを無上の悦びとしているからだと語り、操り人形と化したクレーデルラント軍によるヴァーミリオンへの大侵攻を開始したことを告げる。
そこに現れたのはステラ達を見張っていた銀髪の女性。七星剣武祭終了翌日に一輝とステラを襲った黒騎士、アイリス・アスカリッドだった。オル=ゴールは彼女を「アイリス姉さん」と呼んだ。その会話の中で彼の発した悪意と害意の魔力を目の当たりにしたステラは、それがすなわち自分の死の運命そのものであること、つまり戦えば確実に死ぬことを直感してしまう。それは「魔人」と「ただの伐刀者」であるステラとの決定的な差であった。アスカリッドは予め魔導騎士連盟が用意していた《翼の宰相》ノーマン・クリードの《蒼天の扉(ディヴァイン・ゲート)》によって自分を含めた4人をヴァーミリオン領内へ転送する。ひとまず難を逃れ、一輝はアスカリッドの霊装《無敵甲冑(オルカレイコス)》により治療された。オル=ゴールに傷つけられていたルナアイズは病院へ運ばれ、ステラは竜神憑依を応用した炎の翼で文字通り王宮へ飛んで帰る。そこで、事情を聞いた王妃アストレアは自分の責任でヴァーミリオン国民を守るため、敢えて軍に侵攻してくるクレーデルラント軍を迎撃する命令を出そうとする。だが、シリウス王は「理屈」よりも「義」を選び、全軍を国民とともに首都まで退却させる決断をする。
ヴァーミリオン国民を退却させつつ、オル=ゴールに操られたクレーデルラント軍を傷つけずに開放するための作戦が始まった。オル=ゴールは多数の人間を操るために「中継(ハブ)」を使う。そこで、一輝がヘリで上空からハブになっている者を見極め、同乗するヴァーミリオンの伐刀者ミリアリアが狙撃銃でペイント弾を着けて地上の兵たちにハブを抑え込むものである。この作戦は順調に進み、クレーデルラント軍の三分の一ほどを開放した。だが、王宮にはアイン、一輝の前にはB.B、ステラの前にはナジームが立ちふさがった。
一輝は消火栓や鉄道の架線といった物を利用してB.Bの撃退を図るが、B.Bはますます巨大化。ステラは「魔人」ナジーム相手にやはり本能が自らの死を予感し竦んでしまう体を懸命に奮い立たせるが、彼の(左腕のみの)ボクシング技に額を割られ、捨て身の頭突きからの反撃を試みるも彼にダメージを与えられない。ステラはナジームの能力は砂を操るものと看破するが、彼の右腕を見たとき、またも死の直感が彼女を襲った。彼の真の能力はそんな生易しいものではなく、その右腕が地面に叩きつけられたとき、自分のみならず何万もの人々が死ぬことになると確信する。
そして、王宮ではアインの霊装による香りの攻撃でアストレアたちが痺れにより動けなくされ、なお抵抗を試みたシリウスも彼女の荊の鞭に倒されていた。だが、そこに現れたのはかつて暁学園の一員としてステラと戦った多々良幽衣だった。彼女の本当の名は「フィーア」であり、アインは姉であった。多々良は自分の本拠地《黒い家(アップグルント)》が全滅していることを知り、仲間やクライアントまで手に掛けて殺し屋としての最低のルールすらも破った姉を追ってきた。
B.Bに踏み潰されそうになった一輝はアスカリッドが救い、実はメンタル面が5歳相当の幼児でしかないB.Bはアスカリッドの一叱りで泣き出し、逃げ出した。そして、ヴァーミリオンの上空からは突然巨大な隕石が襲来、その直撃を受けそうになったナジームはやむなく右の拳をその隕石を破壊するのに使い、ステラが直感した被害は未然に防がれた。隕石を落としたのは西京寧音だった。国際魔導騎士連盟が動き、非常事態として彼女を武力介入させた。さらに、後詰めとして「百万規模の」増援が用意されていた。
対峙するナジームと寧音、ナジームの真の能力は「乾き」。大地そのものをそこにある全ての生命もろとも乾き尽くし、死の砂漠と化す「生きる災害」、それが彼であった。いよいよ「魔人」同士の激戦の火蓋が切られようとしたその時、突然オル=ゴールとヨハン、そしてルナアイズがそこに現れた。ルナアイズは自分が操られていないことを告げた上で、オル=ゴールとの交渉の結果、両国から5名の魔導騎士を選抜しての代表戦を行い雌雄を決すると宣言した。
12巻
1週間後にクレーデルラントの首都リュシェールで5人対5人のバトルロイヤル形式で両国家の存亡をかける代表戦が決まり、ヴァーミリオン側の代表はステラ、一輝、アスカリッド、寧音が決定、あと1人は未定のまま。それぞれの軍勢は引き上げた。そんな中、ステラは予想より少数とは言え国民に犠牲を出し、しかも魔人たる者たちを前に怯えることしかできなかった今の自分の力不足を嘆いていた。寧音からの「自分の身を守れる程度には鍛えてやる」という特訓の申し出を断り、ステラは「ある人物」のいるエストニアの《剣峰》エーデルベルクを目指す。その人物とは《比翼》のエーデルワイスであった。
ステラはそんなエーデルワイスに勝負を挑むことによって魔人の領域に少しでも近付こうとしていた。このあまりにも無謀な挑戦に一輝とアスカリッドも同行、成り行きで多々良も同行することを選ぶ。ただ、彼女は味方になったというよりはアインとの因縁にケリを付けるために志願して代表戦のメンバーに入ったのであり、ステラが無様にこの修業を失敗するところを笑ってやろうと付いてきた。世界中を飛び回っているエーデルワイスに会えるかどうかは賭けだったが、山に着いてみれば周辺には功名心から彼女の首級を狙う伐刀者たちがうろついており、それが彼女が在宅している証拠だった。
ステラの竜の飛行能力で一行は苦もなく高度8000メートルの頂上近くの山小屋に到着。現れたエーデルワイスにステラは挑もうとするが、「殺気」による威圧だけで傷を負わされるというあまりに隔絶した実力差を見せつけられただけだった。エーデルワイスも「あなたのしようとしていることは身投げと同じ」と取り合わない。一輝もまた、以前暁学園で剣を交わしたときとは比較にならない剣気を感じる。ステラはまた、無理やり押しかけた自分の無謀さを諭してくれるエーデルワイスの優しさを知った。しかし、ステラは引き下がらない。降りかかる凶事は自分が強くなるのを待ってくれはしない、自分が愛する者たちを守るためには、「今この瞬間に、誰よりも強くなるしかない」ヴァーミリオン皇族の責務、国民を守る義務、そのためには命を投げ出すことも構わない、と彼女は前に進もうとする。このまま自爆するまで突っ走るだろうステラを見かねて、エーデルワイスはある対価と引き換えに挑戦を受けることにした。その対価とは、麓から登ってくるエーデルワイスの首級を狙いにやってきた伐刀者たちを代表戦前日までの5日間食い止め、6日目の朝まで持ち堪えること。それをクリアすれば挑戦を受けると。ただし、条件として同行者の一輝、アスカリッド、多々良はステラに助勢することはできない。その誓いを違えば心臓を引き裂かれ命を奪われることになる。そんな彼女の伐刀絶技《無欠なる宣誓(ルールオブグレイス)》に3人は契約することになる。
5合目のキャンプで登ってくる伐刀者たちを迎え撃つステラ。最初のグループを難なく蹴散らしたが、そんな彼女を多々良は「いつまで保つか」とせせら笑って見物していた。一方、一輝は山小屋でエーデルワイスお手製のお菓子で歓待されていた。その美味に驚く一輝。最強の剣士としての彼女とは別の顔をそこに見る彼だった。そして、エーデルワイスは一輝が七星剣武祭で対戦した天音を解放軍に紹介したのは自分であると告白し、彼を救ってくれたことに深い感謝を示した。一輝は、「もしそれに恩を着せていいのなら」と剣の稽古をつけてほしいと頼む。しかし、エーデルワイスはそれよりも魔力制御の未熟を指摘、そこを鍛えることを勧める。その方法は、エーデルベルクの頂上、そこにある針のような永久凍土の切っ先で、吹きすさぶ暴風の中で「人差し指一本での逆立ち」を行うことであった。1時間その体勢をもたせることを目標に、早速鍛錬に打ち込む一輝であった。
初日が暮れる頃、早くもステラは苦戦を強いられていた。凄まじく燃費が悪い《竜神憑依》を考えなしに使っていたため、身体がガス欠を起こし始めていた。格下の伐刀者のグループにいいようにされる彼女を笑って見ていた多々良だったが、逆にイライラし始める。彼女が見たかったのはかつて自分が七星剣武祭でステラにそうされたように、《比翼》にコテンパンにされるステラであり、こんな雑魚に手こずる姿ではなかった。多々良はついにステラに「助言」を与え始める。「助勢」でなければ《無欠なる宣誓》の対象外だ。戦いの無駄を省くための助言を受けて、あっという間に戦い方のコツを掴んでいくステラに多々良は「教えがいのない生徒だ」と呆れつつも、もしかすると自分の予想をひっくり返して見せるかもしれないと期待すら抱く。
5日目の夜、自らの炎の熱で即席の露天風呂を作ったステラはアスカリッド、多々良と共に久しぶりにくつろいでいた。ステラはこれまで助言してくれた多々良に感謝を示す。そして、多々良はアインを自らの手で殺すことで殺し屋としてのケジメをつけるという。ステラはそんな彼女に闇の世界から足を洗ってほしいと願うが、多々良は最後まで殺し屋として生き、殺し屋として野垂れ死ぬことでやっと自分の生きざまに少しは誇りが持てる気がするという。どこまでも確固たる意志を曲げない多々良に、「アンタが死んだらアタシは泣く、これでもかってくらい盛大な国葬を開いてやる」と宣言し、決して死なないことを強引に約束させるステラであった。
今度はアスカリッドの身の上話に話題は移っていく。アスカリッドが戦うのは自分の罪を償うためだという。彼女の本当の名はアイリス=ゴール。弟のオル=ゴールが10歳の誕生日に操られ村人全てを始末されられた事件。その弟の悪魔の兆候を一番近くにいた自分が見抜けなかったことがこの悲劇を招いたのだとアイリスは自分を責め、後悔した。その後悔を払うためには自らの手で弟を倒すこと、それが彼女の生きる理由の全てだった。ステラは彼女と目的が同じであることを確かめ、必ずオル=ゴールを倒すことを誓い合う。
その頃、麓にはある闖入者が現れ、エーデルワイスに挑戦しようとしていた二人のプロの伐刀者をあっさりと倒していた。彼女の名は中国に存在する「神竜寺」の武僧、《饕餮(とうてつ)》リー・シャオリー。「四仙」と称される中国に存在する4人の魔人の1人である。あっという間に山を駆け上がり、ステラと相対するシャオリー。どうせ《比翼》と戦うのだから魔人とぶつかるのはいずれも同じと敢えて艱難辛苦に挑むステラ。しかし、シャオリーの真の能力は触れた魔力の持ち主の能力を得る闘技《五兵大主》つまり「複写使い(フェイカー)」であった。彼女はステラの能力をコピーし、中国四千年の歴史が作り出した体術を活かし、竜の膂力をエーデルベルクの山全体に乗せることで、山の質量を技に込める《泰山》の型を打ち出す。その一撃に叩きのめされ、その後も多彩なシャオリーの体術に翻弄され、強烈な反撃を食らうばかりの展開が続く。
もはや、「竜の生命力」も尽き、満身創痍となったステラ。そこに到着したエーデルワイスが戦いを止めようとするが、そこに割って入ったのは一輝だった。一輝は、ステラがヴァーミリオンの人々のためにこのような無謀をしているのなら止めなければならないと考えていた。だが、彼はステラは自らの譲れない願い、つまり「自己(エゴ)」を貫き通すために戦っていると気づいた。ならば逆に彼女を止めようとする者全てを打ち払うと一輝は決めた。立ちふさがるならば斬るまでと、エーデルワイスは剣を一輝に突き立てる。だが、剣は止められた。一輝は今回の修行で自分のなけなしの魔力を極一点に集中する技を会得し、本来魔力が豊かな者しか成しえない魔力防御を実現してみせた。そして一輝はエーデルワイスに啖呵を切る。
一方、自信も誇りも何もかも砕かれて意識すらも朦朧とする中、ステラは自分の戦う動機がこれまで「紅蓮の皇女」としてでなく、1人の少女「ステラ」として愛して慈しんでくれた全ての人々への感謝であり、そんな人達の前では「カッコよく強い自分でいたい」という「自己(エゴ)」であることに思い至る。ただそれだけを拠り所に前に進み、剣を振るステラにシャオリーも格下の相手と見ていた考えを改め、全力を持って決着をつけることを決意する。シャオリーは四象拳奥義《麒麟功》で自らをフル強化しての一撃をかける。先手を取ったステラの意地の剣を受け止め切ったことで、彼女の魂の化身たる妃竜の罪剣は砕け、シャオリーは勝利を確信する。だが、妃竜の罪剣は砕けたのではなかった。内側から新たな大剣が顕現し、ステラはシャオリーを「山ごと」たたっ斬った。それはステラが己の運命の縛りを破り、伐刀者としての魂を新たな在り方に進化させた瞬間だった。
こうしてステラは、一輝に続いて魔人の領域に足を踏み入れる資格を得た。この修業の目的を思わぬ形で達成したステラはエーデルワイスへの挑戦を取り下げた。シャオリーはどこかへ姿を消し、ステラたちも決戦の地へ戻っていった後、エーデルワイスも「最後の休暇」を終え、自らの戦いへと向かった。
13巻
14巻
15巻
一輝はアイリスが誇る無敵甲冑に対し模倣剣技を使い早々に技量を見破り攻撃を仕掛ける。そして兄・黒鉄王馬から盗み見た旭日一心流・天津風を進化させた天津雷光を放つ。アイリスからの大量の出血を見て一輝の勝利を確信したヴァーミリオンの応援団らが歓声をあげる中、ステラの父・ヴァーミリオン国王のシリウス・ヴァーミリオンはアイリスはまだ倒れておらず、魔力の差がある一輝はアイリスには勝てないという。一輝も自分の会心の攻撃を耐えたアイリスの弟を守ろうという強い決意を見て改めて黒騎士の強さを実感する。これに勝つには追影を使うしかないと考えるも、七王剣舞祭の決勝戦を見ていたアイリスも同じことを考えており、一輝はなかなか技を出せずにいる。
そんな中、別の場で逃走を図ったオル=ゴールにステラが追いついた。しかしオル=ゴールは自分を愛し、全ての名誉を捨ててまで守ってくれた姉の優しさに対して全く感謝もしておらず、ヘラヘラ笑うばかりであった。ステラは許すまいとオル=ゴールに攻撃を仕掛けた。一輝たちの方はアイリスが抜刀絶技の強化再生を使い始めたことで形勢が変わり一輝は追い詰められる。ヴァーミリオンの人々も一輝の棄権を望む。アイリスの強化再生は10分で一輝が追いつかないレベルに身体強化される。一輝にとっても長期戦は不利でしかない。しかし一輝は全く攻撃を仕掛けず、耐え続けている。それはオル=ゴールは戦い慣れしていないためステラ相手に10分間耐えることは難しく、アイリスがオル=ゴールを助けるのを目的にしている以上、自分が耐え、ステラのための時間を稼ぐことで隙のないアイリスの焦らしを誘い、その隙を狙い追影を放とうと考えているからだ。
誰もが一輝が追い詰められていると思っている中、アイリスは本当に追い詰められているのは自分だと理解する。そして止む無く一撃に勝負をかけることにした。そして、一輝は一刀羅刹を使用しアイリスの無敵甲冑ごと叩き切った。強化再生を使用した時点で、無敵甲冑無しに生き延びるこのできない体になっていたアイリスは死を覚悟した。一輝は罪人である弟を守るために自分の命を省みず死を選んだアイリスに敬意を払いアイリスが死ぬ瞬間まで倒れかけた体を支え続けた。こうして、黒鉄一輝は〈落第騎士〉、〈無冠の剣王〉、〈七星剣王〉に変わり、彼の生涯の大半を共にすることになる〈剣神〉という二つ名で呼ばれるようになる。
残るクレーデルランド軍はオル=ゴール一人となった。ステラはオル=ゴールを追い込むが、クレーデルランドの兵士を操り逃れようとしたオル=ゴールに手を出さずにいた。その時ヴァーミリオン国王をはじめとする援軍が駆けつけてオルゴールの策を挫いた。その隙にステラはオル=ゴールを追撃し彼の両手両足を斬り、身動きを取れなくした。オル=ゴールは再び命乞いをするが、ステラはオル=ゴールの体を投げ飛ばし、空中にいたクレーデルランド王のヨハンに任せた。ヨハンは自分を操り、王国の人を殺戮させたオル=ゴールを自分の抜刀絶技《礫鍗の王道》を使い粉砕した。
戦争が終わったと皆が気を緩めた刹那、ステラたちを死んだはずのオル=ゴールの技が襲った。それは、オル=ゴールの究極の伐刀絶技、自らの肉体の死によって可能となる《死霊遊戯(ダンスマカブル)》である。間一髪で他の人を守るが、ステラはオル=ゴールの糸に捕まってしまう。オル=ゴールは得意げに語る。かつての自分、オルレウス・ゴールの出自とその凶行の全てを。そして、ステラは《死霊遊戯》によって大幅に強化された糸に締め付けられ、縊り殺される寸前まで追い詰められた。
そこに一輝が駆けつけた。続いてナジームとの死戦を勝ち抜いた夜叉姫も加勢する。しかし二人とも前の試合で消耗しており、防衛するのに徹することしかできない。そんな中一輝は自分が考えたやり方を実行する。ステラを捕らえていたオル=ゴールの右手を切りステラを解放すると、ステラが戦線に復帰できるまでの1分間足止めを開始した。しかしこの作戦は一輝自身の命を引き換えにステラにオルゴールを倒させるもので、一輝は初めから死を覚悟していた。一輝に別れの言葉を告げられたステラは必死に自分の回復速度を上げる。しかしステラが動けるようになったと同時に一輝はオル=ゴールに仕留められてしまう。
オル=ゴールはステラの目の前で一輝の亡骸を破壊し、一輝を死なせた原因は、ステラが自分を死んだと見誤ったためだとステラを精神的に追い込む。死んでなお痛めつけられる一輝を見て、耐えられなくなったステラは《覚醒超過》を起こす。異形の姿となり完全に人間性を失ったステラを見た夜叉姫は、暴走を止める手がなく青ざめる。オル=ゴールは精神が壊れたステラを見て喜びさらに追い込もうと操ろうとしたが、ステラは覚醒超過をしてもなお意識を保っていた。そして生き残るという約束を破り自分を置いて死んだ一輝に怒りを爆発させその感情を、一輝の亡骸にぶつけた。その怒りがステラをまだ「人間」の域にとどまらせたのだ。
そこに治療医キリコの代わりに呼ばれたキリコの弟子で一輝の妹の黒鉄珠雫が現れる。珠雫が溺愛する兄・一輝の死とその惨状を見てなお冷静を保つ珠雫を見てオル=ゴールとステラは驚く。それは、珠雫が七王剣舞祭で死にかけた一輝を救えなかった為に必死にキリコの元で修行をした結果死者を蘇らせる抜刀絶技を身につけたからだ。珠雫は抜刀絶技《青色世界》を使い一輝の修復を始めた。珠雫を信じ、正気を取り戻したステラは味方の指揮をとり、ついにオル=ゴールとの一撃勝負に持ち込んだ。ステラの抜刀絶技《天壌焼き焦がす竜王の焔》とオルゴールの抜刀絶技《殺戮戯曲》がぶつかろうとした瞬間、オル=ゴールが切り裂かれた。それは一輝が死ぬ前にオル=ゴールとの攻防の中で遅効性の剣撃の《第五秘剣・狂い桜》を使用していたためである。その隙を逃さず、ステラは抜刀絶技をぶつけた。オル=ゴールが断末魔の叫びの中で自分の不幸を嘆くなか、ステラは愛してくれる姉がいたのに誰も愛さなかったオル=ゴールに責任があると言い放った。そして細胞ごと焼き尽くし、消滅させた。オル=ゴールの死をもって戦争は幕を下ろした。
病室の中で一輝は目を覚まし自分が生きていることに驚いた。約束を破られたことから今なお不機嫌なステラから、珠雫が直してくれたことや、彼が「死んでいた」間の戦争の出来事を聞きみんなの無事に安心する一輝。珠雫はどこだとステラに問うたところ自分の胸を指し、ここにいるとステラは言った。一輝は珠雫が自分の復活を引き換えに自分の体の一部になってしまったと思い込み絶望するも、珠雫はステラの指す先にいた。珠雫は一輝に自分の細胞を貸した代わりに身体が小さくなっていた。しかし珠雫は貸した細胞を一輝から取ると元に戻った。一輝は安心するが、自分の姿が小6の頃に戻っていることに気づいた。珠雫の細胞なしでは、元の身体を維持できないのだ。一輝が元に戻るには半年を要するという。そこに夜叉姫が入ってきて、珠雫のAランク昇格を発表した。一輝は喜ぶも、珠雫は一輝がFランクから昇格しなかったことに不満だった。ランクは上がらなかったものの、KOK4位のアイリスを倒した一輝は注目を集め、アイリスの義母である、国際魔導騎士連盟フランス支部長のレヴィ・アスカリッドの希望で一輝のバックにフランスがつくことになった。国際魔導騎士連盟の主力とみなされるようになった一輝が七星剣舞祭予選の時のように襲われる可能性があるからである。
一輝を治療していた珠雫はステラを置いて死ぬことを決断した一輝に初めて冷たく怒った。一輝は珠雫に怒られたことで、改めて自分のした事を反省し、ステラに許しを請うた。ステラの怒りは収まらない…と思いきや、珠雫が自分が言いたかった事を言ったことと一輝が無事だったことの安心で怒りはすでに収まっていた。仲直りをし、互いに求めあっているところにステラの父母が登場、いちゃつく2人を目撃して怒る父を抑え一輝を気遣うステラの母はステラにある事を伝えた。ステラは血相を変え病室を飛び出した。
向かった先は空港から飛び立とうとしている多々良幽衣の下だった。彼女は珠雫の治療によって命を取り留めたが身体の部位を多く失い、車椅子に乗っている状態だった。ステラは身を呈してヴァーミリオンのために戦ってくれ、七王剣舞祭の時と比べて親交を深めていた多々良に暗殺という世界から足を洗ってもらうために自身の近衛兵に雇うと誘うが断られてしまう。しかし諦めないステラに折れた多々良は自分の名刺を渡し、いずれ会う事を誓ったことでステラは落ち着いた。別れ際に多々良は自分の本当の名、「フィーア」を名乗った。こうしてヴァーミリオン王国は日常を取り戻していった。
一方、戦争が始まる前オルゴールたちに襲撃された解放軍の本拠地に大同盟国隊長・アメリカの〈超人〉エイブラハム・カーターが現れ、その場にいた総理大臣月影と風祭父娘らに「今というこの瞬間、この場所に立つ貴様らは世界(ステイツ)の敵か味方か」という言葉をかけてきた。ステラたちの預かり知らぬところで、世界は大きな動きに巻き込まれつつあった。
16巻
この節の加筆が望まれています。
17巻
18巻
登場人物
破軍学園
黒鉄 一輝(くろがね いっき)
声 - 逢坂良太、藤井ゆきよ(幼い一輝)
伐刀者ランク:F 攻撃力:F 防御力:F 魔力量:F 魔力制御:E 身体能力:A 運:F
本作の主人公。破軍学園1年1組。10年に1人の劣等生と蔑まれる最低のFランク騎士。二つ名は『落第騎士(ワーストワン)』、後に『無冠の剣王(アナザーワン)』『七星剣王(しちせいけんおう)』『剣神(けんしん)』。固有霊装は刀型の「陰鉄」。
高ランク騎士を輩出する名家・黒鉄家に生まれるも、その劣った才能故にまるで「存在しない」かのように扱われる幼少期を過ごすが、曽祖父・黒鉄龍馬との出会いによって生きる目標を見つけ、騎士を志す。その後は黒鉄家を出奔し中学生時代は道場破りをしながら各地を巡る生活を送り、破軍学園に入学するも黒鉄家からの圧力で設置された能力値選抜制により授業を受けることすら認められずに1年を過ごすが、翌年に新理事長となった新宮寺黒乃が能力値選抜制を廃止したことでようやく授業を受けられるようになった。そのため初年度は留年しており、他の1年生より1つ年上で、2年生と同い年である。また、七星剣武祭優勝が卒業条件とされている。
剣の道に生き、またその境遇ゆえに危険を顧みずストイックすぎる一面もあるが温和で礼儀正しい好青年であり、容姿も良いことから騎士として名声を得るに従って女性からの人気も高くなっている。しかし恋愛面では極めて鈍感な上、あくまでステラ一筋であり、そのステラに対しても肉体関係を持たずにいたが、「ステラの両親に挨拶もしていないのに手を出すわけにはいかない」という考えと自制心の賜物であり、人並みに性欲はある。
魔力量が平均の1/10程度である上に、能力である「身体能力の倍化」も伐刀者であれば能力の種類を問わず同様のことができるという程度の代物だが、毎日20kmのランニング(ただのランニングではなく全力疾走+ジョギングで緩急をつけて高負荷をかけるスタイル)を始めとする様々なトレーニングで磨き上げられた超人的な剣技を含む卓越した戦闘技術や精神力、身体能力を持ち、体技の一点においてはトップクラスの判定を受けており、並の伐刀者相手なら異能や固有霊装を使わずに相手を撃退できる。
幼少時代は技を教えてもらうことすらできなかったため、他人の剣を見て盗むことを続けた結果、「照魔鏡の如き」と評されるほどの観察眼を手に入れ、目にした剣術をごく短時間で模倣し昇華させる『模倣剣技(ブレイドスティール)』、さらに他者の思考回路の根底に根ざす「絶対価値観(アイデンティティ)」を把握して対象の行動を読み取る『完全掌握(パーフェクトビジョン)』といった能力を得るに至っている。『模倣剣技』によって100以上の剣術を会得しているほか、黒鉄家の武術に関しては小太刀術なども他者に教授できる域に達しており、加えてオリジナルの剣技として7つの「秘剣」を持つ。
また、魔力制御能力も非常に高く、珠雫に匹敵するほどであり(能力測定においては、放出した魔力を操作し、粘土で造形することで測定しており、一輝はそもそも魔力を放出することができないので、測定できなく最低評価となっている)、魔力・能力を「全力」で使用することができる。
身体能力倍化の能力も、絶え間ない修行により通常なら2倍しか倍化しないところを大幅に引き上げられるようになっており、それらを使用した肉体のリミッターを外して正真正銘の「全力」を使って1分間数十倍に引き上げる伐刀絶技『一刀修羅』、派生として1分間ではなくただの一振り程度の時間に凝縮する『一刀羅刹』を使用する。これらの使用には1日かけて魔力を満タンにしておかねばならず、発動後の中断も不可能であり、効果が切れた後はしばらくまともに動けないほどに消耗する。
七星剣武祭の決勝戦で自身の可能性の全てを使い果たすに至ったが、ステラには更なる先があり、ステラのライバルでいられなくなることへの反発とステラの恋人・ライバル・目標全てが自分でありたいという独占欲によって、《魔人(デスペラード)》になった。
身体技術・剣技は超人の領域であるが、魔力制御能力は優等生(珠雫クラス)であり、更なる飛躍が可能であると《比翼》のエーデルワイスに指摘され、彼女の修行で魔力制御能力も超人の領域へ至った。
技一覧
ステラ・ヴァーミリオン
声 - 石上静香
伐刀者ランク:A 攻撃力:A 防御力:A 魔力量:A 魔力制御:B+ 身体能力:B+ 運:A
本作のヒロイン。一輝のルームメイトで、後に恋人。破軍学園1年1組。ヨーロッパの小国ヴァーミリオン皇国の第二皇女。二つ名は『紅蓮の皇女』。固有霊装は大剣型の「妃竜の罪剣(レーヴァテイン)」。
十年に一人の逸材とされるAランク騎士であり、新入生平均の三十倍の魔力量を有する規格外の天才(ただし、最強の肉体能力とは違うようであり、当初は全力疾走での20kmのジョギングにかなり苦痛を感じていた)。その大きすぎる力は、むしろ制御にとまどったようであり、幼少期から何度も自分の身を焼いたがそれでも諦めず、力を御するために人一倍の努力を重ねてきたため、自分を才能だけで生きてきたと見る者や圧倒的な才能の前にひれ伏して努力を諦めてしまう者を嫌う。ヴァーミリオン皇国に伝わる皇室剣技も完璧に使いこなす、全てにおいて隙のない圧倒的な強さの持ち主だが、その才能に比べればまだまだ未成熟と評価される。一輝曰く、燃料無限の超高機動重戦車。
出自や実力相応にプライドが高く勝ち気な性格で、容姿の面でも非の打ち所のないスタイル抜群の美少女であり、その見た目に似合わず並外れた大食いだが、どれだけ食べても太らない特異体質。珠雫曰く「栄養が全部胸に吸い取られてる」。
その魔力量ゆえに、多少の攻撃なら単なる魔力での防御で無効化できる。決め技である伐刀絶技「天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)」を始めとして炎を扱うが、実は本来の能力は「ドラゴンの特性を体現する」というものであり、炎はその一側面にすぎない(摂氏は3000度)。本来の能力に目覚めた後は、ドラゴンの体現による桁外れの膂力や再生力なども発揮し、「一刀修羅」のように能力を数十倍に引き上げる『竜神憑依(ドラゴンスピリット)』を使用するが、能力の使用には魔力だけでなくカロリーの消費も必要だというデメリットも判明した。大食いな特異体質も能力の使用に必要なカロリーの供給のための物である。
父に溺愛されて育ったためか世間知らずの天然ボケ。加えて性的好奇心が異様に強いが、その知識には著しい偏りがある上に非常に危なっかしい。
技一覧
黒鉄 珠雫(くろがね しずく)
声 - 東山奈央
伐刀者ランク:B→A(15巻で昇格) 攻撃力:D 防御力:B 魔力量:C 魔力制御:A 身体能力:E 運:C
一輝の妹。破軍学園1年1組。二つ名は『深海の魔女(ローレライ)』。固有霊装は小太刀型の「宵時雨」。
幼少期から伐刀者としての能力を発現しており、周囲から甘やかされていたが実の兄である一輝だけは彼女に媚び諂うことなく接していた。そのため一輝に対して兄妹の域を通り越した特別な感情を持っており、妹や異性として限らず与えられるあらゆる愛情を与えるとまで言い切る。一輝以外に対しては興味がなく距離を置きがちだが、ルームメイトの有栖院には心を開いている。ステラのことは一輝の恋人として認めているが、姑として何かと文句をつけたり挑発的な言動をとっていることも多い。
水や氷を操る伐刀者であり、特に魔力制御に関してはAランク並とされる。治癒魔法も得意としている。武術もある程度身につけているが、伐刀者としては標準の域を出ない。
技一覧
有栖院 凪(ありすいん なぎ)
声 - 浅沼晋太郎
伐刀者ランク:D 攻撃力:E 防御力:D 魔力量:D 魔力制御:C 身体能力:C 運:D
珠雫のルームメイト。破軍学園1年4組。二つ名は『黒い茨(ブラックソニア)』、または「黒の凶手」。固有霊装は短剣型の「黒き隠者(ダークネスハーミット)」。
男の身体に生まれた乙女を自称するDランク騎士で、「アリス」と呼ばれることを好む。女性のコーディネートを完璧にこなすなど、いわゆる女子力は本物の女性も顔負けの域にある。面倒見が良く気のいい人物だが、冷徹で達観した一面もある。
影の中に一時的あるいは長期的に潜む、相手の影に霊装を突き刺すことで動きを封じるなど、影に干渉する能力を持つ。
実は「解放軍」のメンバーであり、「暁学園」の一人として破軍学園に送り込まれた人物だったが、珠雫を裏切れないという思いから最終的に解放軍を裏切る。七星剣武祭への出場権を獲得していたが、この一件の後に辞退している。
元は北欧育ちの孤児であり、有栖院凪という名前も本名ではなく、孤児時代には「アリス」とだけ呼ばれていた。
技一覧
綾辻 絢瀬(あやつじ あやせ)
声 - 小林ゆう
伐刀者ランク:D 攻撃力:C+ 防御力:E 魔力量:E 魔力制御:D 身体能力:D+ 運:E
破軍学園3年1組。非伐刀者ながら日本屈指の剣士とされた「最後の侍(ラストサムライ)」綾辻海斗の娘で、綾辻一刀流の後継者であるDランク騎士。固有霊装は刀型の「緋爪(ひづめ)」。
内気で異性と接するのが苦手なボクっ娘。剣士として伸び悩んでおり、スランプを克服すべく一輝に剣術の弟子入りをする。海斗を重体にして道場を奪った倉敷蔵人へのリベンジのために七星剣舞祭出場を目指している。
剣士としては一輝に遠く及ばないものの、霊装でつけた傷を開く能力を持ち、わずかな傷でも与えられればそれを致命傷に変えることができる。また、空間に刀傷を付けて後から開くことでその場にかまいたちを発生させる伐刀絶技「風の爪痕」も使う。
日下部 加々美(くさかべ かがみ)
声 - 相坂優歌
一輝とステラのクラスメイト。新聞部所属でジャーナリストを目指している眼鏡をかけた少女。ステラを負かした一輝に興味を持ったことから一輝達と親しくなり、時には一輝達の依頼で伐刀者の情報などをリサーチすることもある。取材のためには手段を選ばず、色仕掛けで一輝を誘惑するようなこともしている。伐刀者としての能力は明らかになっていないが、9巻では分身の能力を使って警備をすり抜け表彰台に上がっていた一輝とステラのツーショット写真を撮っている。
桐原 静矢(きりはら しずや)
声 - 松岡禎丞
伐刀者ランク:C 攻撃力:E 防御力:D 魔力量:D 魔力制御:B 身体能力:D 運:B
昨年度首席入学者にして、去年の七星剣武祭代表の一人であるCランク騎士。破軍学園2年3組。二つ名は『狩人』。固有霊装は弓型の「朧月(おぼろづき)」。
自身を完全にステルス化する強力な伐刀絶技・狩人の森(エリア・インビジブル)を持ち、狩人の森を攻略できない相手を必要以上にいたぶって勝利するが、一方で狩人の森と相性の悪い広範囲攻撃を使う相手とは一切戦わず棄権するために、騎士らしからぬという意味で「狩人」の二つ名を与えられている。性格は非道かつ小心者。昨年度の一輝のクラスメイトであり、学校側の意向に従って一輝への攻撃に参加していたこともある。容姿は良く前回の七星剣武祭出場者ということもあって女子にはそれなりにモテていたが、一輝との選抜戦で切られそうになった際に情けなく命乞いするところを見せてしまったため、この一戦を機に多くの女子から見限られている。1巻から以降全く登場していないが、寧々から「狩人の森は対人最強の伐刀絶技」と評されており、一輝も七星剣武祭準決勝で東堂刀華・ステラ・ヴァーミリオンに並ぶ強敵と認めている。
技一覧
生徒会執行部
東堂 刀華(とうどう とうか)
声 - 金元寿子
破軍学園生徒会会長。『雷切』の異名を持つ学園最強の騎士にして、昨年度の七星剣武祭ベスト4。学年は3年3組。固有霊装は刀型の「鳴神(なるかみ)」。
雷系の能力を有するBランク騎士。破軍学園序列第1位。幼い頃両親を亡くしたことで体調管理にはうるさく生徒会役員としては面倒見がいい母親的な存在。少し天然なドジっ娘なところがあり動揺すると筑後弁的な訛りが出る。南郷虎次郎の弟子の一人であり剣士としても一流で、普段の性格に反して剣士として強敵との戦いを望む側面もある。
伐刀絶技は二つ名の由来でもあり、ひとたび放てば必ず勝利を収めてきた電磁抜刀術「雷切」、相手の体に流れる微細な伝達信号を感じ取って心を読む「閃理眼(リバースサイト)」など。
技一覧
御祓 泡沫(みそぎ うたかた)
声 - 潘めぐみ
破軍学園生徒会副会長。学年は3年3組。二つ名は『観測不能(フィフティ・フィフティ)』。
人を食ったような性格の少年。刀華とは養護施設「若葉の家」で育った幼馴染。破軍学園の中ではただ一人の《因果干渉系》のDランク騎士で、自分の力や行動で可能な範囲の事象の結果を自在に操ることができるが、身体能力が非常に低く、自身の力で100%どうしようもないような事柄に対処できないので出来ることには限りがある。
貴徳原 カナタ(とうとくばら かなた)
声 - 日笠陽子
破軍学園生徒会会計。学年は3年3組。二つ名は『紅の淑女(シャルラッハフラウ)』。固有霊装はレイピア型の「フランチェスカ」。
お嬢様風のBランク騎士。破軍学園序列第2位。学生の身分ではあるが「特別招集」という形で実戦の現場にも参加し、様々な犯罪阻止を壊滅させた優秀な騎士。
伐刀絶技の「星屑の剣(ダイヤモンドダスト)」は空気中に散らした目に見えないほどの細かく砕いた愛剣の欠片を自在に操り、それを吸い込んだ敵を内側から切り刻むもの。返り血が多いため常に傘を持ち歩いているらしい。
貴徳原グループという財閥の娘であり、色々な業界に顔が利く。なお、泡沫や刀華が幼少期を過ごした養護施設「若葉の家」も貴徳原の管轄である。
兎丸 恋々(とまる れんれん)
声 - M・A・O
破軍学園生徒会庶務。学年は2年2組。固有霊装はナックルダスター型。二つ名は『速度中毒(ランナーズハイ)』。
破軍学園序列第3位のCランク騎士で、ボーイッシュな体育会系少女。動きを止めない限り自分にかかる速度を累積して無限に加速し続ける伐刀絶技「マッハグリード」を使い、積み重ねたマッハ速度を打撃のエネルギーに転化させた一撃を放つ。
砕城 雷(さいじょう いかづち)
声 - 竹内良太
破軍学園生徒会書記。固有霊装は斬馬刀型。二つ名は『城砕き(デストロイヤー)』。
破軍学園序列第4位のCランク騎士で、古風な性格の坊主頭の巨漢。斬馬刀を振り回し続けることで放つ斬撃の破壊力を数tにまで高める伐刀絶技「クレッシェンドアックス」によって非常に高い攻撃力を誇る。
学園関係者
新宮寺 黒乃(しんぐうじ くろの)
声 - 東内マリ子
伐刀者ランク:A 攻撃力:A 防御力:B 魔力量:B 魔力制御:A 身体能力:A 運:A
破軍学園の理事長。喫煙者。二つ名は『世界時計(ワールドクロック)』。元KOK・A級リーグ選手で、元世界ランキング3位。固有霊装は二丁拳銃の「プロパトール」と「エンノイア」。
長らく七星剣武祭で優勝者を出していない破軍学園を立て直すために就任し、能力値選抜制を廃止して、トーナメント方式を採用するなど大改革を実施した。
既婚者かつ子持ちであり、結婚を機にKOKを引退した。旧姓は「滝沢」。
時間を操る能力の使い手で、周囲の時間を停止させたり時間を巻き戻すことで破壊された物を修復したりできる。七星剣武祭では、その能力で観客の保護や生命の危機に陥った出場者の救命を行っている。
没収試合となった過去の七星剣武祭の寧々との再戦を望んで自らを鍛え魔人になる目前まで辿り着いたが、覚醒することで交際相手だった神宮寺琢海との出会いや過ごした時間が壊れることを危惧し、魔人となるのを止めた過去を持つ。
彼女の伐刀絶技・時空崩壊(ワールドクライシス)は特定の空間に二度と修復できない攻撃を与えるもので、あまりにも危険過ぎることから連盟の許可なしに使用することを禁じる禁技指定という制限を受けている。
技一覧
西京寧音(さいきょう ねね)
声 - 井口裕香
伐刀者ランク:A 攻撃力:A 防御力:A 魔力量:A 魔力制御:E 身体能力:A 運:A
常に着崩した着物を纏う黒髪の小柄な女性。KOK世界ランキング3位の現役の《伐刀者》で、二つ名は《夜叉姫》。《魔人》の1人。固有霊装は2対の鉄扇型の《紅色鳳(べにいろあげは)》。
重力を操る自然干渉系の能力を持ち、相手を押しつぶしたり、逆に軽くすることができる。 また、膨大な重力のエネルギーを刃や蝶などの形に変化させ、相手にぶつけるといった応用も可能。武術の技量も超一流であり、上記の能力と組み合わせることで無類の強さを発揮する。
幼少期は母親の再婚相手から常に暴力を受けながら育つ。《伐刀者》である寧音にとっては然程苦にはならず、慕っていた母親も暴力に耐え続けてきたことから、最初の内は我慢していた。しかし、ある日夕食で大好物のハンバーグを踏みつぶされたことで我慢の限界を超え、義父を撲殺。その後母親も失踪し家庭が崩壊したことで理性のタガが外れ、愉悦のままに暴力を振りまくようになってしまい、そんな暴力を楽しむ姿が《夜叉姫》という二つ名の由来となっている。
中学に上がるときには西日本では名を知らないものはいないほどの悪童となっており、一度は逮捕にまで至るものの、その能力を惜しんだ《連盟》の意向で《闘神》南郷寅次郎に引き合わせられる。南郷の紹介で、当時破軍学園に在籍していた《世界時計》滝沢黒乃との決闘に挑み、凄まじい執念で食い下がるも、惨敗を喫する。その敗北以来、黒乃を生涯のライバルと定め、打ち倒すために南郷の弟子となり、過酷を極める特訓を経てその力を高めていった。そのため、黒乃が結婚と共にKOKを引退したときには激しいショックを受け、悲嘆に暮れることとなる。また、師匠の南郷に対しては口汚く反抗的な態度をとることが多いが本心では敬愛しており、着物や天狗下駄を着用しているのも南郷の真似をしているためである。
選抜戦編では、新理事長に就任した黒乃の要請で、臨時講師として破軍学園に勤務している。選抜戦では解説を務めるも、途中で勝手に抜け出すことも多く、実況の月夜見などからは呆れられている。
七星剣武祭の直前にはステラに弟子入りを乞われ、寧音からは何も教えないという条件でこれを承諾。容赦のない訓練でステラを追い詰め、《絶対強者》としての自負と傲慢さを持つことを気付かせ、概念干渉系《ドラゴン》の開花に導いた。
ヴァーミリオン戦役編では、《砂漠の死神(ハブーブ)》ナジーム・アル・サーレムを相手に窮地に陥っていたステラを救援し、《傀儡王》オル=ゴール率いるクレーデルラント王国との戦争における5人の代表の1人に選出される。戦争の序盤からナジームと相対し、当初は互角に戦うも、《覚醒超過》に至ったナジームに追いつめられる。しかし、自身も《覚醒超過》に堕ちたことで逆に圧倒。ナジームを殺す寸前まで追い込むほどの異常な力を発揮するものの、黒乃への想いから《覚醒超過》を自力で解除する。最後は勝負を焦って突撃してきたナジームを《要返し》で迎撃し、宇宙の裏側に追放して勝利した。
技一覧
折木 有里(おれき ゆうり)
声 - 橘田いずみ
伐刀者ランク:C 攻撃力:B 防御力:E 魔力量:D 魔力制御:C 身体能力:C 運:F
一輝やステラの担任。通称「ユリちゃん」。二つ名は『死の宣告(ジョリーロジャー)』。固有霊装はカットラス型。
生徒にフレンドリーな態度を要求する明るい性格だが極めて病弱で、1日1リットル吐血する体質のため目の下にクマがある。一輝が学園に入学する際に試験官を務めた人物で、一輝にとっての恩人の一人。
Cランクの騎士であり、自身の苦痛を周囲の人間に無差別に与える伐刀絶技「血染めの海原(ヴァイオレットペイン)」を使う。普段から「患っていない病気の方が少ない」と言われるほどの身体状態であるため、自身の痛みを相手と共有する技との相性が非常によく、常人なら即座に失神するほどの苦痛を与えることができる。
南郷 寅次郎(なんごう とらじろう)
声 - 麦人
寧音や刀華の師匠で、『闘神』の異名を持つ老人で《魔人》の1人。特殊な呼吸法と歩法によって相手に自身の存在を認識させなくする「抜き足」の使い手。
黒鉄龍馬の生涯のライバルと称された男であり、中国で行われている最高クラスの伐刀者の大会・闘神リーグを制した唯一の日本人である。
一輝と刀華の選抜戦を観戦して以降、黒鉄一輝に強い関心を持っており合宿所で一輝と模擬戦をした際、一輝がまったく隙を見せず自分を一度も間合いに踏み込ませなかったことに感心しており、「剣技だけなら既に龍馬をも超えているかもしれない」と評している。
その他の生徒
真鍋(まなべ)
声 - 柳田淳一
破軍学園の生徒。不良グループのリーダー。固有霊装は銃型。一輝に多人数で喧嘩を吹っかけるもあっさり返り討ちに遭う。
アニメでは時系列や経緯が変更され、「女性にモテるのが羨ましかった」として他の生徒共々一輝に弟子入りを志願し、彼に敬意を払うようになる。
月夜見 半月(つきよみ はんげつ)、三日月(みかづき)、満月(まんげつ)
桃谷(ももたに)
声 - 川上晃二
破軍学園の生徒。二つ名は『ヘビータンク』。甲冑型の固有霊装を装備しているため素顔は不明。七星剣武祭代表選抜選のステラの初戦の相手。異能はゴリアテから放たれるヘビーチャージだが、勝ち目がないと悟り戦わずして敗れた。
貪狼学園
倉敷 蔵人(くらしき くらうど)
声 - 細谷佳正
貪狼学園3年。貪狼学園のエースにして、昨年度の七星剣武祭ベスト8のCランク騎士。固有霊装は鉈型の「大蛇丸」だが、伐刀絶技「蛇骨刃」によって蛇腹剣の如く自由自在に可変させることができ、間合いを自在に操れるために『剣士殺し(ソードイーター)』の二つ名を持つ。
道場破りで綾辻海斗を倒し、綾辻一刀流の道場を乗っ取った事で絢瀬にとっての仇敵となる。他人に暴力を振るうことを厭わない不良だが根からの悪人ではなく、道場を懸けた一輝との勝負の後には素直に道場を返し、それ以来一輝をライバルと認め、七星剣武祭で一輝との再戦を待ち望み修行を積む。
一輝達が参加した七星剣武祭では海斗との地獄の訓練を経て、二刀流になり大蛇丸の形状も西洋の剣のように両刃型に変化している。
伐刀者としての能力とは別に、常人では有り得ない0.05秒の反応速度を出せる特異体質「神速反射(マージナルカウンター)」を有する。
技一覧
武曲学園
諸星 雄大(もろぼし ゆうだい)
昨年度の『七星剣王』であり、元々の二つ名は『浪速の星』。固有霊装は槍型の「虎王」。
陽気でフレンドリーな関西人で、初戦の相手となった一輝に対しても実家のお好み焼き屋に招待し、万全の状態で戦うことを望んだ。
小学生時代から将来を嘱望された伐刀者だったが、大規模な電車事故によって両足を失っており、破損した四肢の再生を当時研究していた薬師キリコの協力を得て絶大な苦痛を伴うリハビリを乗り越えて復活を遂げた過去を持つ。
超高速の三段突き「三連星」を得意技とする、体術主体で戦う伐刀者であり、その人物像に反して計算高く周到な戦いを持ち味とする。加えてあらゆる魔力を無効化する金色の魔力光を放つ伐刀絶技「暴喰(タイガーバイト)」を有する。
技一覧
城ヶ崎 白夜(じょうがさき びゃくや)
廉貞学園
禄存学園
巨門学園
暁学園
黒鉄 王馬(くろがね おうま)
一輝の兄。長髪で眉間を中心とした×字状の傷がある。『風の剣帝』の二つ名で知られる、日本人の学生では唯一のAランク騎士。固有霊装は野太刀型の「龍爪」。
強さのみを追い求めそれ以外には一切興味が無い、一輝以上にストイックな男。求めているのはあくまで「騎士としての強さ」であるため、伐刀者として最大級の才能を持つステラを宿敵として期待をかける一方、才能の欠如を技術で補う一輝の戦いは「小手先の技」「ペテン」として軽蔑している。一方で一輝の側はそれを知った上でも彼のストイックな姿勢を尊敬している。
風使いの伐刀者としても剣士としても超一流であり、小学生時代にはすでにその名を轟かせていたが、真剣勝負を求めて中学生から現在までの5年間、表舞台での戦いに一切参加せず各地を旅していた。
旅の途中で《暴君》(実際には《暴君》に扮したエイブラハム・カーター)に挑むも一方的に敗れ、泣きながら命乞いを行うほど恐怖と挫折を味わい、エーデルワイスに助けられるも、心の底で震えが止まらなくなってしまった。それでも立ち上がって《魔人》を目指すことになる。そのため「風によって自身の肉体に凄まじい負荷をかけ続けたまま戦い続ける」という常軌を逸した修行を積むことで肉体をわずか数年のうちに「進化」させ、本人曰く筋密度・骨密度が常人の数十倍に達していると豪語するに値し、加我をも上回る体重500kg近くもの鋼の如き強大な肉体を手に入れた。それによって戦闘能力は大幅に上がり、7月下旬の合同合宿直後の刀華の「雷切」をも無傷で耐え得る防御能力や、斬撃を遠方に飛ばすほどの風圧を発生させる超人的な膂力を獲得している。
暁学園に加わったのは月影総理の招請によるもので、「解放軍」とは関係を持っていない。
また、天音に対し一輝や珠雫達黒鉄家の人間がどうなろうと知ったことではないという態度を見せているが、一輝に「天音には注意しろ」と警告したり、決勝戦前の一輝の調整に手を貸したりするなどそれなりに気にかけている様子もある。
七星剣武祭の準決勝のステラとの試合では、竜神憑依(ドラゴンスピリット)によって本領を発揮したステラを前に圧倒され、再び震えが彼を襲うも克服し、彼女に敗れるも最後まで正面から挑んだ。
後に《超人》エイブラハム・カーターと戦闘になり、かつての敵と同一であると気付き、勝利した。
技一覧
紫乃宮 天音(しのみや あまね)
全戦不戦勝で巨門学園の代表の座を手にしたことから『凶運(バッドラック)』の二つ名を持つ中性的な少年。一輝のファンを公言している。固有霊装は剣型の「アズール」。
望んだことが何でも勝手に叶う伐刀絶技「過剰なる女神の寵愛(ネームレス・グローリー)」を持つが、願いが叶うまでに何が起こるかは自分でもコントロールできないため、周りからは何をやっても能力のおかげだと妬みや恐れを抱かれ、実の母親も能力の恩恵を目当てに愛情を注いでいたことを思い知らされ、誰からも居ない者のように扱われる幼少期を過ごす。そのため普段は無邪気なふうに振る舞っているがその精神は歪みきっている。一輝のことも「自分と同じように居ない者扱いされながら、自分と違い栄光や名誉を手にして他者に認められている」ことから実際は心底憎悪しており、彼の邪魔をするためだけに暁学園の生徒になった。
戦闘技術は素人同然だが、「過剰なる女神の寵愛」の効果により、繰り出す攻撃の一つ一つが致命的なラッキーヒットとなり、自分に対する攻撃はあらゆる要因によって失敗させられる。
技一覧
サラ・ブラッドリリー
世界的に有名な正体不明の画家「マリオ・ロッソ」その人である天才画家少女。二つ名は『血塗れのダ・ヴィンチ』(禄存学園に在籍していたころは『万華鏡(カレイドスコープ)』)。固有霊装は筆とパレットの二つで構成された「デミウルゴスの筆」。
実力を隠していたが、真の実力はAランク。
一心不乱に絵を描き続けた父親が遺した未完成の絵を完成させることを人生の目的としており、一輝をそのために必要なモデルとして執拗に追いかける。生まれつき重い病を患っており、「解放軍」に協力しているのもそれを治療して絵を描き上げるためである。すでに治療を受けてある程度回復しているが、それでも常人に比べると極めて虚弱。『血塗れのダ・ヴィンチ』もその虚弱さに由来しているらしい。
絵を描くこと以外には全く関心がなく、作中屈指の巨乳でステラをも上回るバストサイズなど抜群のスタイルを持つ美少女なのだが化粧どころか着る服にすら無頓着。
特定の色のイメージに沿った効果を発現させる伐刀絶技「色彩魔術(カラー・オブ・マジック)」、描いたものを現実化する伐刀絶技「幻想戯画(パープル・カリカチュア)」を使い、「幻想戯画」は「一刀羅刹」をも使用可能な一輝のコピーを複数体同時に出現させることすらできる。
技一覧
幻想戯画(パープル・カリカチュア)
描いた絵を実体化させ、敵に攻撃する。
トンプソン
トンプソンを実体化させ、毎分800発の弾を乱射する。
トマホーク
巡航ミサイルのトマホークを実体化させて、敵に向かって爆発させる。
死霊軍団(ネクロバタリオン)
100体以上の銃剣を持った骸骨の軍団を出現させる。
無冠の剣王(アナザーワン)
黒鉄一輝を出現させる。複数体作り出すことが可能で一刀修羅も使える。
比翼のエーデルワイス
エーデルワイスを出現させる。大量の魔力を必要とするため、複数体作り出すことはできない。
マリオ=ロッソ
3メートル以上の身の丈を誇る金剛石の大剣を持つ血に濡れた剣闘士を出現させる。
一輝との決闘中に土壇場で生み出したオリジナルの絵で、その顔は覚えていなかったはずの自分の父によく似ている。
風祭 凛奈(かざまつり りんな)
何かと難解で仰々しい言い回しを多用したがる、日本でも有数の財閥のお嬢様。二つ名は『魔獣使い(ビーストテイマー)』。暁学園は偽名を名乗っている人物が多いとされるが、彼女は本名である。父親が解放軍の重鎮であるために協力しているが、一応彼女自身は解放軍に属していない。
固有霊装「隷属の首輪」を他者に着けさせることでその人物を霊装として扱い、非伐刀者であっても自身の魔力を与えて伐刀者並の戦闘力を持たせ、そしてその人物に応じた伐刀絶技を使用させることができる。
サラが彼女の父の養子となっているため、サラとは義理の姉妹の関係にある。
作中の漫画「黄昏の魔眼」に影響を受けており、片目にカラーコンタクトを入れ眼帯で隠している姿やシャルロットの通訳が必要な意味不明の言い回しはそれに由来する。
その他の連盟所属の登場人物
黒鉄 龍馬(くろがね りょうま)
声 - 有本欽隆
一輝の曾祖父にあたり、一輝の目標であり、恩人でもある人物。彼の言葉は今でも一輝の心の支えになっている。第二次世界大戦で日本を勝利へと導いた《大英雄》であり、「サムライ・リョーマ」として世界的に有名。
《魔人》の一人であり、世界最強最高の水使い。固有霊装は二対の刀であった模様。
《暴君》との戦闘の末、自身の固有霊装の一本を生贄に《暴君》の魂に永遠の停止を与え、彼を討伐した。それにより、引退することになる。
また《大炎》播磨天童を凍結させて封印していた。
遭難した幼少期の一輝を救った数か月後に亡くなっている。
彼があまりにも偉大で核心的な人物であったため、彼の息子は龍馬に反発して黒鉄家当主として規律の厳格化を徹底的に行い、それを自身の息子である厳にも徹底教育した。
黒鉄 厳(くろがね いつき)
声 - 速水奨
一輝や珠雫の父。黒鉄家現当主であり、国際魔導騎士連盟日本支部長。
黒鉄家の一人息子として自我が形成されるより前から当主となるべく育ったため、家としての方針を守ることに凝り固まっており、一輝に対して人間として一切の期待をかけず、騎士となり中途半端に大成することすらも害であると考えている。一方で親としての情も持ってはいるが、徹底して公人としての自分を優先しているためにそれが表に出ることはない。
能力値制度の裏には息子のような人間が騎士として成功したとしても、Fランク相当の騎士では普通の拳銃でも致命傷を負いかねないが故に、息子を始め資質に恵まれなかった同様の人間を守るために線引きを設けたという事実があったが、それを差し引いても娘からは心底嫌われ、あまりに無感情故にステラも一輝の実の親ではないと疑ったことがある。
赤座 守(あかざ まもる)
声 - 大川透
黒鉄家の分家筋で、肥満の身体と恵比寿のような顔の中年男性。伐刀者であり、バトルアックス型の固有霊装を使う。連盟の倫理委員会代表を務めており、「一輝を連盟から追放すれば広報部長に昇格させる」という密約を厳と交わし、同じく倫理委員会という汚れ役の地位から脱却したい者達と共謀して一輝を連盟から追放するために様々な手を打った。しかし、一輝を全世界に晒し者にしようと画策した東堂刀華との決闘で一輝が勝利してしまったことで目論見が外れ、一輝の勇名が世界に轟く前に一輝を始末するという暴挙に出るも、ステラの横槍でそれも失敗に終わり連盟から失脚した。
シリウス・ヴァーミリオン
声 - 堀秀行
ステラの父親、ヴァーミリオン皇国国王。黒鉄厳とは旧知の仲。娘には過剰なほどの愛情を注いでおり、ステラの留学の際には反対を貫いた末に一時的に国王でありながら投獄までされてしまったほど。
ステラに結婚を申し込んだ一輝のことを公式に認めはしたが、内心では納得できておらず、一輝がヴァーミリオン皇国を訪れた際には彼同様ステラを愛する全国民を秘密裏に扇動し、国ぐるみで一輝を襲撃した。そのことが露見した際にはステラに絶縁されかかっている。
かつては「紅蓮の荒獅子」と謳われた伐刀者だったが、現在は加齢で衰えているようで左目はほとんど見えていない。
アニメでは、原作でも本名が判明する前であったため「ヴァーミリオン国王」表記。
本来は、情義に篤い好漢で、アニメでは厳の一輝に対する振る舞いを「大人の事情に子供を巻き込むな」と赫怒したり、友国のクレーデルラントの危機には迷うことなく手を差し伸べ、上記のように疎んでいた一輝を、彼の行動に触れ、ルナアイズに嵌めれた形でした約束を履行しようとし、頑なだったルナアイズが初めて、ヨハンの傍にいたいと本心を吐露した際には、背中を押す度量の持ち主。
月影 獏牙(つきかげ ばくが)
ダニエル・ダンダリオン
アイリス・アスカリッド
KOK世界ランキング4位に位置する『黒騎士』。固有霊装の全身鎧「無敵甲冑(オレイカルコス)」は「不屈」の概念を宿し、鎧を装備した人間に無尽蔵の回復能力をもたらす。必要に応じて装備を部分的に外すこともできるので、装備を貸し与えることで怪我の治療にも使える。
本名はアイリス=ゴール。弟のオルレウス=ゴール(オル=ゴール)や家族と共にフランスの小さな村で暮らしていたが、オルレウスが10歳になった時に起こした事件で操られ、両親を含む村の住民全員を、その手で惨殺させられる。その後は連盟の追手の足止めに使われ鎮圧されるが、その直後に覚醒し魔力切れまで足止めを続けさせられた。後に連盟で保護されたが、精神は取り返しようもないほどに疲弊し崩壊寸前な中、後の養母となるレヴィ・アスカリッドから敢えて追い詰めるような言動で叱咤され、自分のすべきことを再認識、オル=ゴールの悪魔のような本性を見破れなかったことに責任を感じ、オル=ゴールを止めることが自分の使命だと考えている。
実は彼女が覚醒した本当の理由は、弟であるオル=ゴールを守るためであり、そのために限界を超えてでも自分を操るオル=ゴールの要求に応え続けていた。
ステラと共にオル=ゴールと交戦するも、上述の理由から決定打になる場面で攻撃が甘くなり、その原因となる可能性を必死に否定し続けたが、ステラとの拮抗で逃げられなくなったオル=ゴールに止めを刺す寸前、オル=ゴールの命乞いで、かつて生まれたばかりのオル=ゴールに触れた日のことを思い出し、「弟を死なせたくない」という自身の本当の願いを自覚、ステラを薙ぎ払った後、彼女に謝罪し、オル=ゴールを逃がしながらステラの前に立ちふさがった。自身を敵と認識したステラと交戦する直前に乱入した一輝とステラに代わって対峙、その際、裏切ったことを謝罪するも、アイリスの願いを知りながらも対等な敵として認めてくれた一輝に涙ながら感謝し、自らの選択に殉ずる覚悟で一輝と交戦した。
技一覧
強化再生(リジェネレーション・オーバードーズ)
アイリスの切り札にして唯一の伐刀絶技。損傷した自分の肉体を次はより強い負荷に耐えらるよう一段強い肉体に再生し、身体能力を永久的に累積上昇させる。
強力無比ともいえる能力だが、「無敵甲冑(オレイカルコス)」無しでは過剰に強化された肉体を維持出来ず、何らかの形で「無敵甲冑(オレイカルコス)」の治癒能力を失うと、その瞬間に肉体が自壊する致命的な欠陥がある。
ヨハン・クリストフ・コールブランド
解放軍
アダムス・ゲーティア
『暴君』の二つ名を持つ、かつての世界最強の伐刀者にして、《魔人》の一人。
《魔人》の中でも桁違いの力を持ち、《白髭公》や《超人》と共に、世界を三分する《魔人》として並び称されている。
能力によって世界の国々の上層部を洗脳し、第二次世界大戦を引き起こし、世界を裏から支配しようとしていたが、《白髭公》アーサー・ブライトに気付かれ、黒鉄龍馬や南郷寅次郎など彼が率いる伐刀者と秘密裏に戦いになる。最終的に黒鉄龍馬に敗れ、魂を凍結停止させられ死亡した。
《超人》エイブラハム・カーターは彼のクローンであり、彼由来の魔力と能力を持つ。
《解放軍》の長であるとされているが、故人であり、《解放軍》成立以前に死亡している。それでも、生存している絶対悪として、多くの犯罪者伐刀者を一ヶ所に集め、監視しやすくする目的で、アーサー・ブライト等によってその死は隠され、彼を旗本に解放軍は成立した。
彼のクローンであるエイブラハム・カーターが《暴君》に扮している。
ビショウ
声 - 野島健児
テロ組織「解放軍」の一員であり、非伐刀者を指揮する「使徒」の伐刀者。固有霊装は指輪型の「大法官の指輪(ジャッジメントリング)」で、左手で攻撃を無効化し、右手で無効化した攻撃を反射するという能力の使い手。この二つの効果をそれぞれ「罪と罰」と称している。
一輝らが訪れていたショッピングモールを襲撃し、一般人を人質に取り、ステラの攻撃も跳ね返し破った後、服を脱がせる辱めを行うが、激昂した一輝によって攻撃を防ぐ間もなく腕を切断されて敗北し、警察に逮捕された。
ヤキン
ヴァレンシュタイン
オル=ゴール
『傀儡王』の二つ名を持つ極めて強力な伐刀者であり、《魔人》。固有霊装は糸状の「地獄蜘蛛の糸(ブラックウィドウ)」。
平賀玲泉を操っていた大元の人物。彼が操っているのは平賀だけではなく、1000を超える操り人形を全世界に配して同時に操っている。
人格は平賀同様、人の不幸や苦しみを見て喜ぶ邪悪そのもの。七星剣舞祭で平賀を倒されたことをきっかけとしてステラに執着を見せており、彼女を絶望の淵に陥れるために全ての操り人形の操作を打ち切り、解放軍まで捨て生身で活動を開始する。
以前はアスカリットら家族4人で暮らしており、本来のフルネームは、オルレウス=ゴール。村の住民に好かれる社交的な人物だったが10歳の誕生日に自らの手で姉のアイリスを操り、村の人間全員を始末した。
この際、一人一人違う殺し方をする、家族も容赦なく手にかけるなど、すでに自身の残忍さが現れていた。
技一覧
操り人形(マリオネット)
生物の脳や神経に糸を侵入させ、意のままに操る。
死体すらも、生きているかのように操ることが出来るなど、自身の人形である平賀玲泉より精度が高い。
機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)
糸で岩や廃材などの無機物を人型に束ね、人形を形成する。
殺人戯曲(グラン・ギ・ニョル)
手を持ち上げ、持ち上げた方向に親指と中指を合わせて音を鳴らすことで、自分の周囲に張り巡らせた糸を拡散させて撃ち出す広範囲攻撃。
その威力は解放軍が本拠地にしている白峰と周囲数キロメートルの山々を切断できる程。
ただし、使った後は無防備になり、再構築に時間が掛かる。
死霊遊戯(ダンスマカブル)
桁違いの総量を誇る糸の力を自分の肉体に集め、死んだ自分自身を傀儡にして操る最強最悪の伐刀絶技。
生きている間は到底耐えられず、死後にのみ発動可能だが、パワーが桁違いに増しており、ステラの竜の力でも引きちぎれない糸を放つ。
また既に死んでいるため、例え脳などを破壊されても倒せない。
ナジーム・アル・サーレム
アイン
同盟
エイブラハム・カーター
その他の登場人物
綾辻 海斗(あやつじ かいと)
声 - 斧アツシ
「最後の侍(ラストサムライ)」の異名を取る非伐刀者の剣客。綾辻一刀流道場の師範。道場破りの倉敷蔵人に敗れて重傷を負い長らく意識不明の状態にある。
非伐刀者でありながら、犯罪者の伐刀者逮捕に貢献したこともあるらしく、珠雫によると伐刀者でないことを惜しまれた剣士とのこと。
心臓の病気を患い、剣士として衰える一方であった自分に対して全力で挑みかかってきた蔵人には内心で感謝しており、回復後には蔵人に自らの技を授けている。
ユーリ
エーデルワイス
『比翼』の二つ名を持つ、世界最強の剣士にして最悪の犯罪者とされる女性。《魔人》の一人。固有霊装は二対の剣「テスタメント」。
一輝の目指す頂きに存在し、対人特化でありながら、単独で世界を相手にできる。作中最強の人物。
十五年前、連盟非加盟国だったエストニアに侵攻した《同盟》と、それに対抗した《連盟》の両軍を一人で叩き潰した事から指名手配を受け、両勢力が彼女を捕えようと必死になったが、全て失敗、その十年後、エストニアが《連盟》に加入した際、エストニアはエーデルワイスが住むエーデルベルク周辺の領有権を放棄、一人の剣士を相手に一国が領土を捨てて逃げ出したことで、彼女が世界最強の剣士と呼ばれる事になった。
初速・終速の概念がなく初動から最大速度で動くことができるという独特の剣術により絶対的な強さを誇り、二刀流の剣がまるで翼のように見えることから《比翼》と呼ばれる。あまりの強さゆえに、犯罪者とされながらも捕えることは諦められている。
また、あまりにも極まった剣技により、大気が彼女に斬られたことに気付かず、暫くの間斬撃がその場に残り(綾辻絢瀬の伐刀絶技「風の爪痕」のような現象を純粋な剣技のみで行っている)、地面を通して、相手に直接触れなくとも浸透勁を撃ち込んだりと一輝以上の剣技を誇る。
《魔人》としての引力も圧倒的であり、彼女の引力によって、最低限《魔人》でないと、斬る必要なく相手の運命をねじ曲げ斬撃を浴びせられる。
暁学園による破軍学園襲撃の際に一輝と刃を交えることとなるが、その際に一輝は《模倣剣技》によって彼女の剣技を無意識のうちに盗むことに成功し、結果的に一輝の成長を大きく助けることとなった。
紫乃宮天音を暁学園に紹介したのも彼女であり、自分では救えなかった彼の心を救ってくれた一輝に感謝している。
「契約」を司る因果干渉系の伐刀者であり、テスタメントの前で誓いを立てた者の心臓に楔を打ち込み、契約に反した者の命を奪う「無欠なる宣誓(ルールオブグレイス)」を使う。
剣を持ったきっかけは甘いもの好きが祟って太ってしまった際のダイエットであり、偶然にも天賦の才能を持っていて、気が付けば最強になっていたとの事。その為、自分が何のために剣を振るうのか、その答えとなる騎士道を探し求めており、明確に剣を持つ理由がある一輝やステラを羨ましいと思っている。
彼女に剣を教えたのは日本人らしく、エーデルベルクの山頂付近の彼女の家にはその者の写真が飾られており、故人となった今でも師として慕っている。
諸星 小梅(もろぼし こうめ)
諸星雄大の妹。おかっぱ頭で兄同様陽気な少女だが、自分が「遊園地に行きたい」と言い出したことが電車事故で兄が両足を失う遠因となり、気を病んで失声症になってしまい、雄大が再起を志すきっかけとなった。後に、一輝vs雄大の一戦で雄大を応援しようとした際に声を取り戻した。
アストレア・ヴァーミリオン
ルナアイズ・ヴァーミリオン
ステラの姉、ヴァーミリオン皇国第一皇女。ステラとは対照的にクールな性格で、体型も細身。性格はアストレア以上に合理を重んじ王族の責任感が強く、幼馴染のヨハンが学生という身分に浮ついて道を踏み外しかけたのを痛烈な平手打ちで引き戻した。
クレーデルラントの争乱では自国を優先し、単身オル=ゴールの元へ赴き、彼が望む悪魔の通貨を支払う形で代表選の体裁を整え、国民が国外に出る猶予を勝ち取るが、それでも国民は「自分達なりにできることをする」と国内に留まり続け、後に成長したステラの姿を見て、ヴァーミリオンの未来を切り開く真の王が誕生したことを確信し、自らは王位継承権を放棄することを決意し、同時に責任感で覆い隠していたヨハンの気持ちを吐露させ、心身ともに傷ついた彼を傍で支えていきたいと初めて自分の気持ちに正直となった。
用語
伐刀者(ブレイザー)
黒鉄家
一輝の破軍学園業を妨害したのは、表向きは「名家からFランクを輩出するのは恥だ」としているが、実際は「一輝のような例外を許すと一輝のように低ランクでありながら魔導騎士になろうとする第二・第三の落第騎士が誕生し、魔導騎士社会の秩序が乱れるため」である。
固有霊装(デバイス)
他者に一切の肉体的損傷を与えず精神にのみダメージを与える「幻想形態」とすることが可能。
魂の形が変わるほどの経験を積むことで、形状が変化することがある。
魔力
実際、総魔力量の多い人物の方が、得意分野において、総魔力量の少ない人物よりも最終的な到達点が高く、これは剣技・芸術等魔力に関係のない分野も同様である。
伐刀絶技(ノウブルアーツ)
魔導騎士制度
暁学園
解放軍(リベリオン)
その思想的に一般では伐刀者の組織だと思われているが、実のところ、構成員の大半は『信奉者』と呼ばれる解放軍の掲げる世界秩序に賛同する非伐刀者であり、『使徒』と称される伐刀者はほんの一部で、一部の伐刀者が非伐刀者を兵士として指揮するという部隊運用で活動している。
iPS再生槽(アイピーエスカプセル)
運命
階段に例えると、生涯で歩ける歩数は全人類共通で、個々の努力・やる気等によって歩く速度が変化し、一歩で登れる段数は総魔力量に比例する。そのため、現段階において、総魔力量の少ない人物の方が高い位置にいたとしても、最終的な到達点は総魔力量の多い人物の方が上になる。
ただし、可能性を使い尽くすには努力を数十年間続けなければならず、極一部以外の人間は最終的な到達点・可能性の終着点に至ることなく生涯を終える。
魔人(デスペラード)
この領域に辿り着いたものは、運命の輪から外れ、運命をなぞるのではなく、自ら運命を切り開く存在となるが、逆に運命に護られることがなくなり、生涯平穏が訪れることはなくなる。また、研鑽次第で魔力すら高めることが可能となると言われている。
更に、世界に対して強固な自己(エゴ)を発揮し、他者の運命をそこに引き寄せる引力を発する。この引力は同じ《魔人》でないと抗えず、仮に捕らえられると因果関係を無視してその《魔人》の描く未来へを運命を書き換えられてしまう。
また、自己(エゴ)によって、より魂を剥き出しにすることで、《覚醒超過》という状態になり、肉体が魂に引っ張られ、理性を失い、鬼や竜など化け物のような姿となる代わりに、固有霊装(デバイス)と一体化し、絶大な力を得ることもある。
この領域への至り方は二つ。一つは常軌を逸した研鑽を重ねることによって自らの才能・可能性の限界に至り、それを打ち破る方法。もう一つは、自らの才能・可能性の限界では絶対にどうすることもできない状況を強いられ、生きるために仕方なくそれを打ち破る方法。どちらにしろ運命の鎖を引き千切るほどの異常な自己(エゴ)を必要とする。
二つ目の方法で《覚醒》する場合は研鑽を必要としないため、幼い子供でも可能であるが、より魂が不安定になり、犯罪行為に走ったり、《覚醒超過》を起こしたりしやすくなる。
「限界を超えることは可能」という事実そのものが、才能の限界を超えさせるための非人道的な計画につながりうるとして、その存在はほとんどの人間に対して秘匿されている。
作中で判明している《魔人(デスペラード)》は、《剣神》黒鉄一輝、《紅蓮の皇女》ステラ・ヴァーミリオン、《夜叉姫》西京寧音、《世界時計(ワールドクロック)》新宮寺黒乃、《闘神》南郷寅次郎、《比翼》エーデルワイス、《黒騎士》アイリス・アスカリッド、《傀儡王》オル=ゴール、《砂漠の死神(ハブーブ)》ナジーム・アル・サーレム、《饕餮》フー・シャオリー、《白鯨》ダグラス・アップルトン、《大炎》播磨天童、《大英雄》黒鉄龍馬、《白髭公》アーサー・ブライト、《暴君》アダムス・ゲーティアの15名。
作中で判明している《覚醒超過》を行った《魔人》は、《剣神》黒鉄一輝、《紅蓮の皇女》ステラ・ヴァーミリオン、《夜叉姫》西京寧音、《砂漠の死神(ハブーブ)》ナジーム・アル・サーレム、《大炎》播磨天童の5名。
七つの秘剣
制作背景
本作のコンセプトは「異能バトルでスポーツモノ」である。海空は『断罪のイクシード』で受賞して以来、同レーベル作品の『無限のリンゲージ』(あわむら赤光/著)のような「試合を勝ち上がり、成り上がっていくスポーツ形式の物語」を執筆したかったと話している。
既刊一覧
小説
海空りく(著) / をん(イラスト) 『落第騎士の英雄譚』 ソフトバンククリエイティブ→SBクリエイティブ〈GA文庫〉、全20巻
巻数 | 初版第一刷発行日 | 発売日 | ISBN |
---|---|---|---|
1 | 2013年7月31日 | 2013年7月13日 | 978-4-7973-7468-1 |
2 | 2013年10月31日 | 2013年10月15日 | 978-4-7973-7548-0 |
3 | 2014年1月31日 | 2014年1月15日 | 978-4-7973-7641-8 |
4 | 2014年4月30日 | 2014年4月15日 | 978-4-7973-7720-0 |
5 | 2014年8月31日 | 2014年8月12日 | 978-4-7973-7754-5 |
6 | 2014年12月31日 | 2014年12月15日 | 978-4-7973-8031-6 978-4-7973-8135-1(立体マウスパッド付き限定版) |
零(短編集) | 2015年3月31日 | 2015年3月14日 | 978-4-7973-8290-7 |
7 | 2015年5月31日 | 2015年5月15日 | 978-4-7973-8352-2 |
8 | 2015年10月31日 | 2015年10月15日 | 978-4-7973-8470-3 978-4-7973-8471-0(ドラマCD付き限定特装版) |
9 | 2015年12月31日 | 2015年12月15日 | 978-4-7973-8514-4 |
10 | 2016年4月30日 | 2016年4月15日 | 978-4-7973-8731-5 |
11 | 2017年1月31日 | 2017年1月14日 | 978-4-7973-8943-2 |
12 | 2017年4月30日 | 2017年4月15日 | 978-4-7973-9198-5 |
13 | 2017年10月31日 | 2017年10月13日 | 978-4-7973-9317-0 978-4-7973-9355-2(ドラマCD付き限定特装版) |
14 | 2018年4月30日 | 2018年4月12日 | 978-4-7973-9586-0 |
15 | 2018年10月31日 | 2018年10月11日 | 978-4-7973-9901-1 |
16 | 2019年4月30日 | 2019年4月15日 | 978-4-8156-0244-4 |
17 | 2019年11月30日 | 2019年11月15日 | 978-4-8156-0382-3 |
18 | 2020年6月30日 | 2020年6月12日 | 978-4-8156-0643-5 |
19 | 2023年12月31日 | 2023年12月15日 | 978-4-8156-2167-4 978-4-8156-2166-7(画集付き特装版) 978-4-8156-2354-8(画集&タペストリー付き特装版) |
漫画
海空りく(原作) / をん(キャラクター原案) / 空路恵(作画) 『落第騎士の英雄譚』 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックスオンライン〉、全11巻
巻数 | 初版発行日 | 発売日 | ISBN |
---|---|---|---|
1 | 2014年12月12日 | 978-4-7575-4493-2 | |
2 | 2015年3月13日 | 978-4-7575-4605-9 | |
3 | 2015年5月13日 | 978-4-7575-4637-0 | |
4 | 2015年10月14日 | 978-4-7575-4755-1 | |
5 | 2015年12月11日 | 978-4-7575-4824-4 | |
6 | 2016年4月13日 | 978-4-7575-4944-9 | |
7 | 2016年10月13日 | 978-4-7575-5091-9 | |
8 | 2017年1月12日 | 978-4-7575-5216-6 | |
9 | 2017年6月13日 | 978-4-7575-5340-8 | |
10 | 2017年10月11日 | 978-4-7575-5496-2 | |
11 | 2018年4月12日 | 978-4-7575-5651-5 |
あやかわりく・天神うめまる・矢島Index・伊東宏峰(著) / 流ひょうご(作画)、SBクリエイティブ〈GA文庫〉
タイトル | 初版発行日 | 発売日 | ISBN |
---|---|---|---|
落第騎士の英雄譚アンソロジー feat.ステラ | 2014年12月31日 | 2014年12月15日 | 978-4-7973-8220-4 |
テレビアニメ
2015年10月より12月までAT-Xほかにて放送された。SILVER LINK.にとっては初の他社との共同制作作品となる。
スタッフ
- 原作 - 海空りく
- キャラクター原案 - をん
- 監督 - 大沼心
- シリーズディレクター - 玉村仁
- シリーズ構成 - ヤスカワショウゴ
- キャラクターデザイン - 小松原聖
- プロップデザイン - 明珍宇作
- デバイスデザイン - 高瀬健一
- アクションディレクター - 大平剛生
- 色彩設計 - 山口真奈美
- 美術監督 - 古賀徹
- 3DCGディレクター - 濱村敏郎
- 撮影監督 - 廣岡岳
- 編集 - 坪根健太郎
- 音響監督 - 明田川仁
- 音楽 - 中川幸太郎
- 音楽制作 - フライングドッグ
- 音楽プロデューサー - 石川吉元
- プロデューサー - 黒澤典弘、中山卓也、長瀬奈津子、柳村努、深尾聡志、柏木豊→礒谷徳知、伊藤将生
- アニメーションプロデューサー - 中川二郎
- ラインプロデューサー - 中村浩士、鬼塚康介
- アニメーション制作 - SILVER LINK. / Nexus
- 製作 - 「落第騎士の英雄譚」製作委員会
主題歌
「アイデンティティ」
「波羅蜜恋華」
「覚醒の無意識」
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | アクション作監 | 作画監督 | 総作画監督 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 落第騎士 I | ヤスカワショウゴ | 玉村仁 | 高瀬健一 | 小松原聖、松岡秀明 村上竜之介、武本大介 山本亮友 | 小松原聖 | |
第2話 | 落第騎士 II | 澤井幸次 | 横田一平 | 中西和也 | 野田康行、よち | 野田康行、よち 小松原聖 |
|
第3話 | 落第騎士 III | 大沼心 | 大沼心 井上圭介 | 高瀬健一 | 山本亮友、野澤吉樹 | 小松原聖 | |
第4話 | 落第騎士 IV | 徳本善信 | 中西和也 | 明珍宇作、中西和也 | 野田康行、よち 小松原聖 |
||
第5話 | 皇女の体験 | 河鍋 俊 | 二瓶 勇一 | のがみかずお | 高瀬健一 | 石堂伸晴、能海知佳 | 小松原聖 |
第6話 | 剣士殺し I | 徳本善信 | 中西和也 | 北原大地 | 野田康行、よち 小松原聖 |
||
第7話 | 剣士殺し II | 猪爪慎一 | 細田直人 | 高村雄太 | 高瀬健一 | Cha Myoung Jun、飯飼一幸 小島えり、大塚渓花 佐藤このみ、三井麻末 関口雅浩、古川英樹 | 小松原聖 |
第8話 | 剣士殺し III | 澤井幸次 | 山本亮友、橋口隼人 野澤吉樹、松岡秀明 緒方厚、柴田志朗 |
||||
第9話 | 皇女の休日 | ヤスカワショウゴ | ジミー・ストーン | ジミー・ストーン 徳本善信 | 中西和也 | 明珍宇作、よち | よち 野田康行 |
第10話 | 深海の魔女 VS 雷切 | 河鍋俊 | 徳本善信 | よち、中西和也 明珍宇作、北原大地 |
|||
第11話 | 無冠の剣王 I | 猪爪慎一 | 二瓶勇一 | 福多潤 | 高瀬健一 | 野澤吉樹、山本亮友 北原章雄、さのえり 松岡秀明 | 小松原聖 |
第12話 | 無冠の剣王 II | ヤスカワショウゴ | 澤井幸次 | 徳本善信 大沼心 | 中西和也 高瀬健一 | よち、野田康行 中西和也、明珍宇作 北原大地、山本亮友 | 小松原聖 よち 野田康行 |
放送局
BD / DVD
巻 | 発売日 | 収録話 | 規格品番 | |
---|---|---|---|---|
BD | DVD | |||
1 | 2015年12月25日 | 第1話 - 第2話 | MFXN-0031 | MFBN-0025 |
2 | 2016年1月27日 | 第3話 - 第4話 | MFXN-0032 | MFBN-0026 |
3 | 2016年2月24日 | 第5話 - 第6話 | MFXN-0033 | MFBN-0027 |
4 | 2016年3月23日 | 第7話 - 第8話 | MFXN-0034 | MFBN-0028 |
5 | 2016年4月27日 | 第9話 - 第10話 | MFXN-0035 | MFBN-0029 |
6 | 2016年5月25日 | 第11話 - 第12話 | MFXN-0036 | MFBN-0030 |
BOX | 2017年11月29日 | 第1話 - 第12話 | MFXN-9004 | - |
Webラジオ
『石上静香と東山奈央の英雄譚RADIO』のタイトルで2015年10月2日から2016年1月15日まで音泉、アニメイトTVにて配信されたWebラジオ番組で略称は『キャバラジ』。毎週金曜日に更新、全15回。パーソナリティは石上静香(ステラ・ヴァーミリオン 役)と東山奈央(黒鉄珠雫 役)が務めた。
音泉のスペシャルCD企画「<音泉>のオリジナルキャラクター、またはキャッチコピーを考えて!」にて、<音泉>オリジナルキャラクター部門で当番組が考案したキャラクター(おとね、いずみこ)が採用され、賞金10万円を獲得した。賞金を番組運営費に充てることにより、2016年2月12日に特別回(SP回)の配信を実現させた。
2016年3月27日に発表された第2回アニラジアワードにおいて、「BEST FEMALE RADIO 最優秀女性ラジオ賞(新人枠)」を受賞した。
コーナー
ふつおた
天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)
破軍高校壁新聞・今週の見出し!
ヨソはヨソ、ウチはウチ
珠雫のお兄様ポエム
次回の進行役はどっち
ゲスト
- 第6回 - 逢坂良太(黒鉄一輝 役)
- 第8回 - 相坂優歌(日下部加々美 役)
- 第12回 - 東内マリ子(新宮寺黒乃 役)
ラジオCD・DJCD
Vol.
発売日
新規録り下ろし特別版ゲスト
過去配信回
商品番号
ラジオCD「石上静香と東山奈央の英雄譚RADIO」
1
2016年1月27日
金元寿子(東堂刀華 役)
第01回 - 第06回
TBZR-0603/0604
2
2016年3月30日
浅沼晋太郎(有栖院凪 役)
第07回 - 第15回
TBZR-0615/0616
DJCD「石上静香と東山奈央の英雄譚RADIO」ステラと珠雫の妄想デートCD
-
2016年1月27日
-
-
TBCD-0612
ゲーム
スマートフォン用GREEにて2015年末にソーシャルカードゲームが配信されていた。年齢制限付き。
似ている漫画
似ているアニメ
似ている小説
似ている漫画
似ているアニメ
似ている小説
関連カテゴリ
- GA文庫
- 2013年の小説
- 日本の小説のシリーズ
- 日本のファンタジー小説
- 高等学校を舞台とした小説
- 日本の恋愛小説
- 差別を題材とした小説
- 架空の養成学校を舞台とした作品
- 漫画作品 ら
- 2014年の漫画
- ガンガンONLINE
- ファンタジー漫画
- 高等学校を舞台とした漫画作品
- 恋愛漫画
- 差別を題材とした漫画作品
- アニメ作品 ら
- 2015年のテレビアニメ
- UHFアニメ
- AT-Xのアニメ
- SILVER LINK.
- Nexus (アニメ制作会社)
- フロンティアワークスのアニメ作品
- メディアファクトリーのアニメ作品
- GA文庫のアニメ作品
- ショウゲートのアニメ作品
- フライングドッグのアニメ作品
- ファンタジーアニメ
- 高等学校を舞台としたアニメ作品
- 恋愛アニメ
- 差別を題材としたアニメ作品